あなたにもう一度毛布をかけるため《物語修整完了》   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
更新が長くなり申し訳ありません。アフターストーリー以降の話を大幅修整するのに時間がかかってしまいました。つきましては修整した話にはサブタイの横に★マークがありますので読み直しください!
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


11話 不死攻略戦

 馬の怪物を斬り飛ばしサニー号で研究所から脱出を試みたおれは、いつの間にか研究所内の通路を突き進んでいた。

 

 おかしい、さっきまで外にいた筈なのに何故……。というか、あいつらは何処行ったんだ?時間がねェってのに迷子になりやがって。

 

「しっかし、この研究所は入り組んでんなァ。ここはどこだ?」

 

 早いとこあいつらと合流してェんだが……ッ!

 

「……ハッ、ここが何処かも仲間たちが何処にいるかもわからねェってのに……てめェの気配だけはわかっちまうんだよなァ」

 

 おれは手ぬぐいを頭に巻き気合を入れると一直線に駆け抜ける。

 

 近くにいるな。おれの持つ三代鬼徹よりもヤバイ気配。妖刀の気配がよォ。

 

「丁度いい、今度はおれ一人で斬り伏せてやるよ!」

 

 高ぶりが抑えられず、壁を斬り崩し近道をする。そして、奴との距離がすぐそこまで近づき───

 

「よお、悪いがその獲物もらうぜ」

「「ゾロ!!?」」

「またテメーか。クソガキ」

 

 部屋に入るとそこには思った通りさっきまで戦っていた馬の怪物がいた。こんな所で何をやっているのかと思えば同じ部屋にロビンとフランキー、それに元CP0の金髪女も一緒だった。

 

 成程、おれ達を取り逃がした次はロビンを狙って来たか。そうはさせねェ。

 

「さっきは三対一だったからな。今度はサシでやろうぜ」

「舐めんじゃねェぞ。たかが一端の人間剣士風情が」

 

 ロビン達の前に立ち互いに睨み合う。剣を抜きいつでも斬りかかれる状況の中後ろからフランキーが怒鳴ってくる。

 

「ウオイ!ゾロお前今までどこに行ってやがった皆探してたんだぞ!!つーかここで戦われちゃ困る!!外でやれ外で!!!」

「あん?外だァ?まあ、確かにここでやるには狭いしな。おい、場所移すぞ」

「誰がテメーらの都合に合わせにゃならん。どこに行こうが変わらねェよ。───テメーらの死の運命はよォ」

「───ッ!?」

 

 後ろ足が踏ん張るのが見えた瞬間、ダン!と大きな地響きが聞こえ姿が消えた。目では追えないあまりの速さに直感で察知した。

 

 奴の刀からはおれへの殺気は感じられなかった。狙いは別、本命は───

 

「ロビン!!!」

「えっ」

「まずは逃げねェように、その両足貰うぜ」

 

 速ェッ!!さっきは手を抜いていたのか!?くそ、間に合わねェ!!!

 

「スゥゥパァアアア!!!」

 

───ガキィィンッ!!!

 

『───ッ!!?』

 

 奴の剣がロビンの足を狙った瞬間、隣にいたフランキーがロビンを押しのけ身代りとなる。しかし、金属音が響いた後もフランキーの足は無事だった。

 

「何て硬さだ……!」

「ガッハッハ!!今のおれは過去最高にスーパー状態だ。そんなナマクラなんざ───んおおっ!?」

「斬れねェならやり方を変えるまでだ」

 

 フランキーの頑丈さに一度はこの場の全員が息を呑んだが、奴が斬りつけた箇所から凍りつきフランキーの足は動けなくなる。

 

「ぐおおお!?何だこれは……!!」

「チッ、順番がズレちまった。まあいい、次こそニコ・ロビンの足を奪う」

「動けねえ!ロビン!逃げろ!!」

「ええ、ここで暴れられちゃ困るもの!”枝分かれ咲き(ラミフィカシオンフルール),,!!!」

 

 ロビンは離れつつ構えを取ると部屋中に数え切れない人数のロビンが咲き現れた。

 

「さあ、どれが本物か分かるかしら?」

「ったく、小細工を……すんじゃねェよ!!」

「キャアッ!?」

 

 バリバリ!!と奴から覇王色の覇気を発するとあれだけいたロビンの分身達はあっという間に消え散ってしまう。

 

 機材の後ろに隠れていた一人を除いて。

 

「アイツ!早く助けねェと!!」

「おい待てゾロ!!」

「何だこんな時に!ロビンが危ねえんだぞ!!」

「いいんだ!それよりおれの話を聞け!!!」

「何だと?」

 

 仲間の危機に一切動じていない。それどころか余裕を感じているフランキーの態度に違和感を覚えひとまずは話しを聞くことにした。

 

 そうしている間にも奴は一瞬でロビンとの間合いを詰め居合の構えを取る。

 

「おれ達が欲しいのはその頭脳だけ。反抗されねェように四肢は斬り取ってやるよ!」

「アアッ!?」

 

 刀が抜けると同時にロビンの両足が切断される。そのまま倒れ込んだロビンは苦悶の顔となり───

 

「残念、ハズレ♪フフッ」

「なッ!!?」

 

 他の分身と同様に全身が花となり散ってしまった。

 

「最初から全部偽物だったのか……!!おちょくりやがる!!!」

 

 これにはあの怪物も激怒したらしく怒りで覇王色がバリバリと漏れ出していた。その間、おれはフランキーの話を聞きこれからの行動方針を決めていた。

 

「───ってな訳でおれ達はさっきまでこの部屋で作業をしてたんだ。だから、ここで暴れず外に追い出してくれ。そっからなら思う存分暴れてくれていいからよ」

「成程な。だが、相手が相手だ。部屋を無傷で追い出せってのは無理だ。多少なりとも強引に行かせてもらう」

 

 できるだけで被害を抑えるつもりだが仕方がない。そこはフランキーも理解してくれているらしく縦に頷いた。

 

「ああ、それでいい。多少の損傷ならおれが速攻で直してやる。ただし天井はダメだぞ」

「了解……つか、その足で大丈夫なのか?」

「そこは心配すんな。おれ火吹けっから」

 

 そういやそうだった。相変わらず面白人間してやがる。

 

「コソコソ話してんじゃねェよ。こっちは気が立ってんだ。ニコ・ロビンの居場所をさっさと吐きやがれ」

「誰が吐くかよバーカ。逆にてめェが吐きやがれ。血反吐をな」

 

 奴とおれの刀が交差する。剣先が身体に刺さる直前に弾き再び剣を振るう。そして、部屋中を駆け回り斬り合いが始まった。

 

 さっきも見たが本当にやえーな。まったく見えない。だが……!

 

「火の消えたキング程じゃ……ねェ!!」

「ぬゥッ!?この太刀筋を見極るか!」

 

 一瞬気配が揺らいだ!やるなら今!!

 

「一刀流!!”三百六十煩悩鳳(さんびゃくろくじゅうポンドほう),,!!!」

「しまっ───」

 

 ゼロ距離からの波状斬撃を食らうとそのまま後ろの壁ごと外へ飛ばされていく。かなり大穴が空いちまったがフランキーならすぐ直してくれるだろ。

 

 おれは奴をぶった斬るだけだ!

 

「よお、随分と下に落ちたじゃねェか。これでようやく存分に戦える」

「人間如きがおれを見下すんじゃねェよ。万死に値する」

 

 この部屋がそこそこ上階だったため壁から出た怪物は下の島雲へと落ちていた。余程上からの視線が気に入らないのか明らかに怒を露わにしている。

 

「慌てんな、おれもすぐ降りっからよ。じゃねェと───てめェをぶった斬れねえだろうが」

 

 おれは強く踏み込み奴めがけ勢いよく飛び出した。刀に力を込めると黒い稲妻が迸り緑炎が刀身を包み込む。

 

「閻王三刀龍!!”煉獄鬼斬(れんごくおにぎ)り,,!!!」

「ぐおっ!?これまで以上に……強ェな!!」

「そりゃこっちの台詞だ!」

 

 真っ二つにする勢いで斬り掛かったが受け止められちまった。どうせ不死の力ですぐ治るからとこれまでは防御にそこまで気を回していなかったが……急にマジになりやがった。

 

 数秒の鍔迫り合いの後に弾き一旦距離をとる。

 

「妙だな」

 

 何故ここへ来て急に防御に徹した?確かに大技ではあるがすぐに再生するのだから今までみたいに戦っても……。

 

「まさか、不死には何かカラクリがあるのか?……ってヤベッ!?」

「どうした、打って来ねェならこっちから行くぞ!」

 

 少し思考を巡らせていると突進してきた怪物が斬りかかる。即座に刀を交差させ奴の斬撃を受け切るが猛攻は終わらなかった。

 

「さっき存分に戦えるとか生意気抜かしてたな。同感だよ───おれもさ」

「ぐっ!お!オォォオオ!?」

 

 キン、と刀に鞘を収めたと思えば幾つもの神速の居合が遅れて襲いかかる。後退する度に勢いを増していきとても受け切れない。

 

「ぐふっ!があっ!?」

「その気になりゃこの浮島ごと真っ二つにだってできる。だが、規模がデカけりゃいいってもんじゃねェよな?」

「何言ってやが───」

「気ィつけな。既にそこら一帯は斬っちまった」

「ッ!!?」

 

 斬撃の猛攻が止んだかと思えば今度は全方位から斬撃の嵐が襲いかかる。いったいさっきの一瞬でどれだけの斬撃を放ったというのか。

 

 何百何千もの斬撃の包囲網。見渡す限り逃げ場はない。

 

 事早斬りに関してはおれよりブルックの方が勝る。しかし、奴の早斬りはブルックを優に超えていた。

 

「これを食らっちゃマズイ!三刀流!!”黒縄大竜巻(こくじょうおおたつまき),,!!!」

「斬撃の竜巻!?チッ!」

 

 竜巻を起こした事で同時に全方位からの斬撃を突破に成功する。このまま一気に畳み掛けようと居合の構えを取った。

 

「一刀流!!”()獅子歌歌(ししそんそん),,!!!」

「ウ"ッ!!」

 

 竜巻の中という死角から一気に奴の首を斬り刎ねる。不意を突かれたのか無防備にもらってしまうがここで違和感を覚えた。

 

「……?何だ、急にさっきまでとは反応が違う?」

 

 いくら不意打ちとはいえ、さっきのアイツならこの攻撃も凌がれると思ったんだが……気の張りようが変わった?

 

「いくら斬っても無駄だとまだ分からねェのか?」

 

 斬り飛ばした首からすぐに頭が再生する。竜巻の余波で負った他の傷も同様に……。

 

「考えろ、何かがおかしい。違いを探せ……!」

 

 待てよ、そういやさっきは……。

 

「これ以上遊んでるヒマはねェ。さっさと斬ってその死体を永久冷凍してやるよ」

 

 奴の刀から夥しい覇気と冷気が溢れ出る。どうやら次で決めるつもりらしい。それには賛成だ。おれ達も時間がねェ。ぼちぼち先へ行かせてもらおう。

 

 その為にも、コイツだ……。

 

「閻魔、おれのありったけをくれてやる。その代わり……」

 

 奴の姿が消える。目では追えないとおれは目を瞑り閻魔に語りかけた。

 

「───てめェの力を貸しやがれ」

 

───ズ、ズズズッ……!!ボォッ!!!

 

「ウ"ッ!ああああッ!!」

 

 閻魔がおれの覇気を無尽蔵に吸い取り始める。だが、これでいい。後はおれがどれだけやれるかだ。おれに潜む()()……そいつをどこまで引き出せるか!

 

『え?お前今まで気付いてなかったの!?』

『やっぱアルガは気付いてたのか。そういや、カイドウにも言われたっけか』

『普通は気付くだろ。パンクハザードで俺と戦った時からあんなバリバリ出てたのに』

『マジ?そんな前から??』

 

 ワノ国の決戦後にアルガからそう言われ初めておれにも覇王色を使える事に気付いた。今までは無意識に使っていたみたいだが、それじゃダメだ。

 

 素質があってもそれを意図的に引き出せなければ意味がない。おれは今───己の殻をブチ破る!

 

「なんつー覇気だ。そっちも一撃で仕留めに来たか。上等!!!」

 

 おれの周囲を駆け回り幾つもの残像が現れる。しかし、そんなものには気にも留めず集中する。周りに気を取られるな。向き合うは己の剣。

 

「鬼気九刀携えん阿修羅は覇道を突き進み、各々見据える頂は閻獄の覇者。閻・修羅・鬼!三気結んで地獄の王とかせ!!」

 

 覇気を、極限まで高めろ!!!

 

()()三刀龍!!!」

 

 全身から黒い稲妻が迸る。そして、背後から気迫で阿修羅が現れるが覇王色に充てられた阿修羅は雄叫びを上げその姿を変える。より大きくより強靭な姿へと変貌するそれは威圧感もこれまで見せてきた鬼神の比ではない。

 

「……ッ!神を怯ませるか、罪深い!!死ね!!!」

 

 より荒々しくも恐ろしい地獄の王───

 

 

「───”覇武(はむ)鬼斬(おにぎ)り,,!!!!」

 

 

 おれの動きと連動するように動く三刀流となった閻魔大王が全方位から襲いかかる怪物の尽くを斬り裂いた。

 

「がっ……アァ……!?人間如きに、神が……!!」

「ハアッ!ハアッ!上出来だ閻魔……返せ!!」

 

 勝負が決した今も覇気を吸い続ける閻魔。そいつから主導権を奪い覇気の流動を停止させる。

 

 息を整え振り返ると、敵はおれの斬撃を食らい四肢どころか全身をズタズタに斬り裂かれ動ける状態じゃなかった。

 

 そう、()()()()()のだ。不死の力を使えばこんな重傷な状態でもすぐに治せる筈なのに。

 

「思った通りだ。てめェらの不死の力には攻略法がある。倒しきるのは無理でも対抗策が見つかっただけでも上々だ」

「………」

 

 ニヤリと笑い相手の悔しがる顔を拝んでやろうと思ったが、生首だけとなったジジイは思いの外冷静におれを見てくる。てっきり怒り狂うもんかと思ったが……。

 

「こりゃダメだな、しばらくは動けん。まさかおれが斬られるたァいつ振りだ?おい、お前……名を聞かせろ」

 

 意外な対応に内心驚きつつも素直に答える。

 

「ロロノア・ゾロ」

「そうか、憶えておく。この後おれァ五芒星(アビス)で強制送還されるからな。ロロノア、この落とし前はいづれ返すぜ」

 

 悔しがるどころか笑みまで見せてくる。それはまるで久しく見る強敵に出会った一人の剣士のように。

 

 やけに素直な態度にあまり勝った気がしない。実際決着がついたわけでもねェし……そもそもコイツはまだ本気で戦っていなかった。

 

 さっき”煉獄鬼斬り,,を止めたあの反応速度、あの状態のまま対応されてたらこの戦いはもっと長引いていた。それしないって事は何か制限があるのかもしれない。

 

 だが、今回で奴を炊きつかせたみたいだし次会った時はその制限もなくなってお互いに全力でぶつけ合えそうだ。

 

「ハッ、おもしろい……!」

 

 この怪物と……いや、この剣士とまた戦いてェ。

 

「だったらてめェも名乗れ」

「おれに対する態度がなっちゃいねェが……いいぜ。今は気分がいい、おれはナス寿郎聖。───五老星が一人「財務武神」イーザンバロン・V・ナス寿郎聖だ」

「そうか、憶えておく」

 

 刀を納め頭の手拭いを外すとタイミングよくフランキー達がやって来る。

 

「おいゾロ!準備完了だ、とっととここから出るぞ……ってうおおっ!?あの怪物を倒したのか!?」

「いや、倒しちゃいない。ただ動けなくなってるだけだ」

「それでも十分スゲーだろ。まあいい、早く掴まれ飛ぶぞ!!」

「先導は任せて」

 

 言われた通りフランキーの方に乗ると元CP0のスパイ女が先頭に立ち移動を始める。勢いよく助走をし島雲から飛び降りた。

 

「おれ達も行くぞ!”スーパー風来噴射(クー・ド・ブー),,!!!」

 

 女の後を追うようにおれ達も島雲から飛び降りる。向こうは華麗に空中を蹴って移動するがこっちはオナラで減速しつつの移動……コーラ臭ェ。

 

「よし!下に巨人族とおれ達の船を発見!!一気に向かうぞ!!もう迷子になるなよ?」

「なるかァ!!!」

 

 全く心外だおれは迷子になっちゃいねェよ!(無自覚)

 

 苛立ちを落ち着かせるために一度大きく深呼吸をし、頭上を見上げさっきまでいた場所を見つめる。おそらくまだ居るであろうアイツに対しおれは密かに闘志を滾らせるのだった。

 

「またやろうぜ。ナス寿郎聖」

 

 

 

 

 

 フランキー達がゾロを見つけてくれたみたいだな。

 

 ここはエッグヘッドで最も高い場所。パンクレコードの上から俺は見聞色で島の状況を観測していた。

 

 というか、いい加減ここに突っ立てるのもキツくなってきたわ。そんな時間は経っていないはずなのになんか2ヶ月ぐらい立ちっぱなしな気がする。

 

「という訳で……よし。準備運動終わり!」

 

 軽く手足をブラブラさせストレッチを終えるといよいよ俺も行動を開始する。皆と合流する為に俺も飛び降りだな。

 

 それにしてもやっぱ高いなァここ。ざっと見て高さは3千メートルってところか。地上まで勢いを殺しつつ減速して降りれば数分、自由落下なら25秒ぐらい。しかし、ある物を使えばその時間は一気に省くことができる。

 

「よろしく頼むぜ」

 

 俺の新装備"青玉の篭手(ジュエリーガントレット)"。これは貝のコアのみを内蔵された次世代の"貝手袋(ダイアルグローブ)"。前みたいにコネクターに貝をセットする必要がなくなっただけでなく、最大の強みは"青玉鱗"による自然光のエネルギー充電。

 

 衝撃(インパクト)なら打撃を、(フレイム)なら火を与えエネルギーを溜める必要があった貝の工程をコイツは不要となった。さしずめソーラー充電ならぬナチュラルライト充電と言うわけだ。

 

 更にコイツのスゲー所はそれぞれの貝の力を同時使用が可能となった事だ。

 

「つまり、ロマン溢れる貝のコンボ技を編み出せる!!まずは"(フレイム)"と"(ブレス)"を合わせて───「加速(ブースト)」!!!」

 

───ゴォォオオオオッ!!!

 

 パンクレコードから飛び降り後ろへ両手を向けると掌から炎が放出される。色は赤から青へと変わり勢いを増していく。

 

「さあ、行k───ぼぼぼぼぼぼっ!!?」 

 

 予想以上のスピードに首がもげそうになる。ジェットコースターみたいなものだろと高を括っていたがとんでもない。体感亜音速並みの直下落下で今にも身体が持っていかれそうになる。

 

「あばばばっ!?やべべべべべ!!イギでぎなっ!?速すぎィィィィ!!!」

「アルガ何だそのスp───」

「ゾロロロロ!!!先行ってるぞぞぞぞぞ!!!」

 

 先に降りていたゾロ達に追いつくがすぐに追い抜きあっという間に地上が目前となる。既に海岸沿いではサニー号と巨人族の船が出航しようとしていた。

 

 しかし、それを阻止すべくサターンが襲っておりそこをニカ化したルフィとボニーが食い止めていた。

 

 何故ボニーがニカの姿に!?と驚く場面だが……リアクションを取るよりも先に地上へ到着した俺は障害物にぶつかってしまった。

 

 ゴミ屑クッション(サターン)に。

 

「ゴハアアアアアッ!!?」

「「えええええええっ!!?」」

「ぶはっ!あー、やっと止まったー。ジェットコースターの比じゃないスリルだったぜ……」

 

 突然空から降ってきた俺を見て二人は目ん玉が飛び出るぐらい驚いていた。

 

「アルガ!?スゲー勢いで落ちてきたが大丈夫か!?」

「おうルフィ!なんとか無事だ。丁度いい尻敷きがあって助かったぜ。なんともまあ見晴らしがいい♪」

 

 神と名乗り散々好き勝手生きてきた権力者を尻に敷き見下ろすのは背徳感があって気分がいい。ついゾクゾクしてしまう。

 

「アルガ君!」

「ん?あ……くまさん!」

 

 巨人族の船から聞き覚えのある声が聞こえそっちを向くとそこにはバニーちゃんジニーさんと一緒にいるくまさんがいた。

 

「こんな時だが言わせてくれ!2年前の約束を果たしてくれてありがとう。お陰でおれは無事に家族とまた出会えた。本当にありがとう!!」

「アッハッハッ!お礼を言うにはまだ早いよ!それならこれからは末永く家族と幸せに暮らしてくれないとね!」

「ああ、勿論だ!」

 

 力強く頷きお互いに笑っていると下から怨めしい声が耳に入る。

 

「くまも戻り家族全員が幸せになる?そんな選択は与えていない。貴様らに用意された運命は───絶対服従か死だけだァアア!!!」

「あのさァ……」

 

 聞くに耐えない雑音で不快となった俺は笑顔から一変冷めて目でゴミを見下す。そして"青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"をいじり組み合わせを設定する。

 

 "(フレイム)"+"(フラッシュ)"で───「熱線」。

 

「くまさん達の運命を、お前がきめんな!!!」

 

───カッ!!ジュワアアアア!!!

 

「グオオオオオッ!!?」

「おーおー、やっぱゴミはよく燃えるなァ〜」

 

 真上から熱線を浴び皮膚は爛れ火傷が広がる。再生されようが痛覚までは消えていないらしく焼かれる激痛に絶叫が響く。

 

 俺はゴミの上から飛び降り船に着地した。

 

「お前がいる限りくまさんは安心して生きられない。だったら今日この場で決着をつけよう。さっきのお返しも兼ねて───リベンジマッチだ!」

「減らず口を叩くな。どれだけ攻撃しようと私を倒すことはできん。逆にお前には限界がある。さっきの無様な結果をもう忘れたのか?」

「そうだな。俺ひとりじゃ敵わない認めるよ。だから、皆と戦う……つーわけで───」

 

 後ろから俺を挟むようにルフィとボニーちゃんが並び立つ。

 

「一緒に戦ってくれ!!!」

「当たり前だ!!!」

「お父さんの憧れたこの戦士の力でアイツをぶっ倒す!!!」

「虫ケラ共め……!!!」

 

 サターンが悪態をつくとルフィが真っ先に突っ込んで行く。ボニーちゃんも後を追い俺も温存していた力を解放する。

 

「”降霊(こうれい)呼憑(よびつ)き」,,!!!そして、”混合憑(こんごうつ)き「魔王の系譜(トットムジカ)」,,!!!」

 

『今度こそ倒してやるわ!』

『だな!君達も力を貸してくれ!!』

『わかったー!』『任せて!!』『ギッタンギッタンに!』『いや焼却だ!』『潰せばよくない?』『死なないなら死ぬまで叩き潰す!』『アルガを悲しませる悪い奴!』『後悔させてやる!』『許せない許せない許せない!』『必ず倒してやるううう!』

 

 トットムジカの力に父さん母さんの力の重ね掛けだ。消耗は激しいが仕方がない。だって、こうしなければ……。

 

───最高地点になれないのだから。

 

「またその姿か。さっきより少し光ってる感じ………大して変わらん───ぐふっ!??」

「おせェ」 

 

 サターンが言い終わるよりも早く、なんなら先に突っ込んでいったルフィやボニーちゃんを置き去りにするスピードで移動した俺は奴の顔面をぶん殴った。

 

 さてと……。

 

「はえ〜な〜!?」

「ルフィ!!アレ頼む!」

 

 俺が両腕を広げ胸を無防備にする。それでルフィは俺の意図を察してしししと笑った。

 

「おっしゃ任せろ!!”ゴムゴムの〜白い解放銃(ドーンリベルガン),,!!!」

「えええええ!?何で味方を殴ってんだお前!!?」

 

 ルフィが思いっきり俺の胸を殴ったのを見てボニーちゃんは目が飛び出るほど驚いた。だが、次の瞬間俺の変化を見てその理由が分かる。

 

 ドンドットット♪ドンドットット♪

 

「……プッ!クク……アッヒャッヒャッヒャ!!」

 

 俺の体がみるみる白くなり姿を変える。これはルフィがいないと成れないからな。待たせたなサターン。これが俺の最高地点!

 

「”自由な太陽(ニカ),,!!!」

「アルガも、ニカになっちゃった!?」

「何だとっ!!?」

 

 俺の姿にボニーちゃんが驚く。しかし、もっとも驚いていたのはサターンだった。

 

「この世にニカが三人も……!」

 

 向こうからしたら溜まったもんじゃないよな。世界政府にとって畏怖すべき存在が複数人になるなんて。正直、俺も少し驚いてる。まさかボニーちゃんもニカになれるなんて。

 

 だが、こっちの方がお前らの嫌がる顔が見れそうなのでよし!

 

「わあ!ニカがいっぱいだ……!」

 

 後ろでくまさんが目を輝かせて俺達を見てくる。フフン、くまさんにそんな目で見られるとテレてしまう。俄然やる気が漲ってきた!

 

 しゃあ!ぶちかまして行くぜ!!

 

「不死攻略戦開始だ。まずはコイツを船から降ろす!!」

「任せろ!”ニカパンチ,,!!!」

「ぐっほっ!!?」

 

 やだ、可愛いネーミング。でも、そんな安直な技名からとは思えない威力でサターンをぶっ飛ばす。飛ばされる先にルフィが待ち構える。

 

「オーライオーライ!”ゴムゴムの〜白い風船(ドーンバルーン),,!!!」

「ウオォアッ!?」

 

 一気に膨らんだルフィの体に突っ込むとその反動でサターンは空高く打ち上げられた。そこへ俺が跳び奴の足を掴む。

 

「俺達の連携はどうだサターン」

「小癪な!!この程度の攻撃などすぐ修復される!意味のない事を───ッ!!?」

 

 しかし、ここでサターンはある事に気が付いた。俺はその表情を見て厭味ったらしく嘲笑う。

 

「あれれ〜?ひょっとして今頃気付いたの〜?お爺ちゃんだからって感覚衰え過ぎじゃな〜いw」

「火傷が、まだ……!?」

 

 そう、ボニーちゃんに殴られるよりも前に食らった俺の熱線による火傷がまだ直っていなかったのである。これこそがコイツら不死の力への攻略法のひとつ!

 

「火が回っている間は再生のスピードが落ちる。これは俺がお前らに光線の雨を撃ちまくっていた時に気付いた弱点のひとつさ!」

「だとしてもだ!たった一発の攻撃が何故今もこの身を焼き続けているのだ!?」

「そりゃあ、この火……いやこの()()は俺が操っているからなァ!!」

「なっ!?」

 

 さっき撃った熱線はだたの炎じゃない。今も焼いている火には俺の”降霊「鬼火」,,を加えているんだよ!

 

「だが、そんなに消したいってんなら消化を手伝ってやる!優しいだろ俺?」

「ま、まさかっ……!!」

 

 真下の海に視線を向けた俺にサターンは次の行動を察する。

 

 バトル系で不死になった悪役がどう行った末路に辿り着くのか……お前に教えてやるよ。これが不死攻略法そのふたつ!

 

「いくらお前らが不死でも要は能力者なんだろ?だったら海に落としゃ終わりだろうが!!!」

 

 仮に死ななかったとしても、カナヅチで溺れて息ができない無限地獄を味わえる!!

 

「決めるぜ!!ダンクシュート!!!」

 

 ボール(サターン)を相手のゴール()にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!

 

 ……あれ?これはバスケで言うセリフだったっけ?ボードゲームだったような……まあ、いっか!

 

 海中へとダンクを叩きつけるとサターンは呆気なく海の中へと沈んでいった。

 

「何だ?やけにあっさりだな。もっと焦ると思ったが」

「どっちにしろもう終わりだろ。海に落ちたなんだぞ?あーあ、せっかくあたしがぶっ倒してやろうと思ったのに」

 

 ボニーちゃんが言いたい事もわかる。ニカ化してここから!って所でこうもあっさり倒してしまうと戸惑っちゃうよな。

 

 呆気ない幕引きに俺達が困惑していると……ゴゴゴッ。

 

「「「えっ?」」」

 

 ズウゥン、ズズウゥン……ズシャアアアアン!!!

 

「うわっ!?あっぶね〜!?」

「何これ!?地面から脚ィィ!?」

 

 俺達の足元からクモの脚が飛び出してきた。

 

 慌てて空へ跳び上がり毒針を回避すると今度はサターンの全身が飛び出してきた。

 

「よくもやってくれたな。濡れたではないか」

「バカな!?海に落ちたハズだろ!まさか、能力者じゃないのか!?」

「それこそ変だろ!!じゃああの姿は何だってんだよ!?まんま怪物じゃねェか!!」

 

 俺の仮説にボニーちゃんが否定する。だけど実際に起きた事から目を背くことはできない。コイツらはいったい何なんだ?

 

「船から離れてしまったが……よかろう。また呼び寄せるまで。来い!!」

 

 サターンが杖をカツンと地面につくと、頃合いを見計らったようなタイミングで島の奥から二体の怪物がやって来る。

 

 さっきまで俺の分身と戦っていたジュピターとマーキュリー。

 

「ゲッ!怪物が増えやがった!!」

「でも待って、アイツら走る方向おかしくない?」

 

 ボニーちゃんの言う通り二体はこちらへ走ってくるが若干方向がズレており勢いを留めず俺達を素通りしてしまった。

 

 向かう先は……海だった。

 

「アイツらまさか船を!!止め───危なっ!?」

 

 そこで、二体の目的に気づき追いかけるがサターンが毒液を吐き引き止めた。

 

「邪魔はさせん」

「クソッ」

 

 睨み合っているとジュピターは大口を開け吸引を始める。何でも吸い込む吸引力に離れていたサニー号と巨人族の船は再び海岸へと引き戻されてしまう。そして、そこへ巨大猪の姿のマーキュリーが助走をつける。

 

 マズイ!あの突進を食らえばいくら巨人族の船といえど無事じゃ済まない。さっきのサターンを見るにアイツも海で溺れないと仮定するとこのままでは……!

 

 そう危惧していると、サニー号からひとりの影が飛び出した。どんどん吸い込むジュピターの口にめがけ勢いよく飛んできたのは……。

 

「アトラス!?」

「おい、巨大ミミズ!!テメー人がせっかく逃げてんのに……ムカつく真似すんじゃねェよ!!!」

「来るなアトラス!!そいつの歯は尋常じゃなく硬いだ!!噛み砕かれるぞ!!?」

 

 遠くだが大声でアトラスに相手の危険性を伝える。しかし、アトラスは止まらなかった。

 

「本望だ!!」

「なっ!?」

「コイツの吸い込みを止める為にきたんだからな!!コイツは、サービスだよ!!!」

 

 ニコッと笑うアトラスをジュピターは容赦なく噛み砕く。だが、その瞬間奴の口が大爆発を起こした。

 

 ───ボカァァアアアアアン!!!

 

「ブオオオオオッ!!?」

「いやだ、アトラスゥゥゥ!!!」

 

 爆発で口は爛れ重傷を負う。あの規模をモロに食らってしまえばいくら不死と言えどしばらくは何もできない。少なくとも吸引や噛みつきなどの口に関する技は一次的に封じられた。

 

 ジュピターの悲痛な叫びとボニーちゃんの悲鳴が響く。俺もまたアトラスの行動に船が助けられた安堵と助けられなかった不甲斐無さに悔しさが込み上げた。

 

 同時に、アトラスの覚悟を受け取った。それはルフィも同じだった。

 

「アトラス、お前……ッ!!立派だった!!!」

「絶対に無駄にはしない。ルフィ!ボニーちゃん!やるぞォ!!」

「グスッ……うん!」

「先ほど「悪」(リリス)「想」(エジソン)の反応も切れたと連絡が入った。これで残るベガパンクは「欲」(ヨーク)のみ。後は貴様らを始末しあの船を沈めるだけだな」

「倒せるもんならやってみやがれ!!船もまだ沖から距離がある。あそこならまだ逃げ切れる!」

「そうかな?あまりマーキュリー聖を舐めていると……いや、もう手遅れか」

「何っ!?」

 

 サターンの言葉に振り返るとまだ距離があるにも拘らずマーキュリーは助走を始めた。進むごとに勢いを増し沖ギリギリまで走ると……巨体の猪が飛んだ。

 

「ウソだろ!?皆ァア!!!」

 

 手を伸ばすがもう遅い。その巨体は海の上を滑空し船へと向かって───

 

 ───ザッパァァアアアン!!!

 

『ッ!!?』

 

 おそらくはこの場の全員が驚愕した。船にぶつかる直前、マーキュリーの前に巨大ロボが海から現れたのだ。そして、巨大ロボは同じ巨体である巨大猪を殴り飛ばした。

 

「ブギィィィイイ!!?」

「巨大ロボ〜!!!」

 

 島の沖まで殴り飛ばされたマーキュリーはその場に倒れる。ルフィは号泣するほど感動していた。何が起きているのかは分からないが、これはチャンスだ!

 

「ルフィ戻ってこい!二体が負傷で動けない!この機を逃すな!!」

「おっと、そうだった!!」

「おのれェ!串刺しにしてくれる!!」

 

 焦り始めたサターンは無我夢中に毒針を突きまくる。しかし、そんなあてずっぽうな攻撃なんかじゃ俺達には当てられなかった。

 

「当たらねェよっと!」

「ほらほらコッチ〜♪お尻ペンペン〜♪」

「クッ、ちょこまかと……忌々しい!!」

 

 当たらない煩わしさでイライラが溜まってきている模様。そうでなくてもニカの姿が三人もいるってだけで向こうからしたらストレスなのかもしれない。

 

 ……ハハ〜ン、良い事考えた〜♪

 

「おいサターン、お前におもしれーもん見せてやるよ。ニカがそんなに嫌なら……フーッ」

 

 そういい俺は髪を引き抜き吹きかける。すると吹き飛んだ髪の毛達が俺の姿へと変わっていき……。

 

『アッヒャッヒャッヒャ!』

「ッ!!?」

 

 無数の俺がサターンの周りを取り囲む。その全てがニカの姿をしておりサターンは目を疑った。

 

「スゲー!!アルガがいっぱいだ〜!そうだ、おれもやろーっと♪フーッ」

「おもしろそー!あたしもあたしも〜♪フーッ」

『あっひゃっひゃっひゃ!』

『アハハハハハハハハハ!』

「はあっ!!?」

 

 俺の行動を見て二人も面白がり真似をする。するとあまりの数にサターンの視界を埋め尽くさんばかりにニカの俺達が取り囲んだ。

 

 相手は悪夢でも見ているかのように体を震わせる。

 

 ざっとひとりで100人ずつって所か。こんな数のニカを前にするなんて流石に同情が沸く。……いや、そんなこともなかったわ。おもくそ袋叩きにしてやろ。

 

「行くぞ、五老星。命の貯蔵は十分か?」

「何なのだ、この光景はァァ……!!?」

 

 どこぞの英雄王に向けた台詞っぽい前置きをすると俺は腕を上げ周りの皆に合図を送った。

 

「総勢300人のニカ集団で……総攻撃だァアア!!!」

『オオオオオオオオオッ!!!』

「ま、待て───」

 

 流石の物量にサターンも引け腰になるが全方位からの集中攻撃。どこにも逃げ場はなかった。

 

 そして、各々の大技の波がサターンを襲う。

 

『”ゴムゴムの〜100連白い銃(れんドーンピストル),,!!!』

『”解放(かいほう)百裂(ひゃくれつ)ニカパンチ,,!!!』

『”雷鳴八百卦(らいめいはっぴゃっけ),,!!!』

「ぐはあああああああああああああっ!?!!?」

 

 しばらく続く攻撃の荒波にサターンは原型を留められないぐらいズタボロとなっていく。それでも不死の力は凄まじく攻撃が止むと徐々に修復されていた。

 

 しかし、想定外のダメージ量にサターンは溜まらず膝をつく。

 

「ごふっ。うあ、アァ……は、ハア……ハア……」

 

 明らかオーバーキル。不死とは言えしばらくは動けそうになかった。そこへ遠くから見ていたマーキュリーがこちらへと突進してくる。

 

「これ以上サターンに攻撃はさせぬ!!」

「わっ!イノシシが復活して来た!!てか、いつの間にか巨大ミミズも復活して巨大ロボが襲われてる〜!?」

 

 ボニーちゃんの言う通り二体ともキズが治っており既に一度突進したのかジュピターを止める巨大ロボの腹に大きな風穴が空いていた。

 

 そこにジュピターの噛みつきで片腕も持っていかれている。別に味方ってわけじゃないが助けてくれた恩人が壊されているのは……嫌だな。

 

 だが、そんな悠長な事は言っていられない。もう目の前にはマーキュリーが迫ってきていたのだから。

 

 巨大ロボの殴打のキズもすっかり治り全快となったマーキュリーは突進の勢いを増していく。

 

「あのロボにいた配信電伝虫は破壊した。これでようやく貴様に集中できる!もう逃さんぞォォ!!」

「誰が逃げるかよ。そういや、お前には煮え湯を飲まされたっけな」

 

 ビルにも劣らない巨体にご自慢の防御力、そこへ勢いのあるぶちかましはやはり驚異的だ。実際に食らった体よくわかる。

 

 だがなァ……。

 

「今だったらお前の防御力を突破できるぜ。”武極色「硬化」,,!!!」

 

 ご自慢のその硬度を真っ向からブチ破ってやるよォ!!

 

「”太陽の拳銃(コロナガン),,!!!」

「ブギャギィィ!!?」

 

 俺の拳と奴の突進が衝突すると、相手の牙はへし折れた。それでも突進は止まらず勢いはそのまま俺の攻撃力に加算されカウンターが決まった。

 

 マーキュリーは溜まらず倒れてしまい脳が揺れたのか目の焦点が合っていない。脳震盪はケガじゃないから治せないのか?

 

「何にしてもリベンジ成功!!!」

 

 俺がガッツポーズを決めているとルフィが巨大ロボの惨状を見て嘆いていた。

 

「ああ〜!!!、ミミズが巨大ロボを〜!?よくも〜……あ!そうだいいこと考えた。んにょ〜〜っと!」

 

 ルフィは秘策を思いついたのか足をぐるぐる回し空高く駆け上がる。そして、ある程度登ると腕を見えなくなるまで上に伸ばし……。

 

「捕まえ……たァアアああああ!!!」

「何を……ってハアアッ!?!?」

 

───ズゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!!

 

「しーっしししし!まとめてブッ潰す!!”ゴムゴムの,,ォォ~~!!!」

 

 何かを掴み引き戻すと空から巨大な岩が……。

 

「”隕石(いんせき),,!!!」

 

 てか、島にも劣らない巨大な隕石を引っ張って来やがった。

 

「規模を考えろよあのバカアアアア!!!」

「ギャアアアッ!?アレあたしらもヤバくない!!?」

「わかってる!!!」

 

 あの野郎後先考えないで……ッ!!

 

 無計画バカと内心で罵っていると上にいるルフィと目が合い……ニッと笑う。

 

「……ったく、せめて事前に言ってくれよな!」

 

 ルフィの意図を察した俺はまだ残っていた分身達と連携し三手に別れる。向かうは負傷しているサターンとマーキュリー。そして、ロボと取っ組み合いをしているジュピター。

 

『いっせ〜~のっ!!ふんぬ!!!』

 

 そいつらを力いっぱい持ち上げ金棒を振り構えた。そのまま頭上の隕石めがけ───

 

『”雷鳴八百卦(らいめいはっぴゃっけ)ホームラン,,!!!』

「ぐっ!がっ!?ブハッ!?」

「んぐっ!?これは……!?」

「ウオオオァアッ!?」

 

 巨体の怪物だが、複数人の俺が一斉にフルスイングを決めるとまるで野球ボールの様に頭上高く打ち上げられる。

 

「「「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!?」」」

 

 そして、三体はそのまま迫りくる隕石へと直撃した。

 

───ドッパァアアァァアアン!!!!

 

「あっひゃっひゃっひゃ!た〜まや〜!」

「わ〜キレーな花火〜!」

「いや、きたねえ花火だろ」

 

 材料は五老星(ゴミクズ)だぞ?

 

 にしても、えげつない攻撃だな。マジで跡形も残らねェだろアレは……。がだ、これで敵はいなくなった。さっさと船に戻って───

 

「ま、まだ……だァ……!」

「うわっ!?バラバラの体からちょっとずつ直ってきてるキモッ!!?」

「これでもまだ倒れねェのかよ!?」

 

 空から降ってきた肉塊から徐々に元の姿へと修復してくる五老星達。いや、もういい加減にしろよ。どんだけ攻撃したと思ってんだ!

 

 そこは死んどけよ人として。

 

「ん……?誰だ?」

 

 アイツらの不死身さに嫌気が差しているとルフィがおもむろに周囲を見渡す。

 

「どうしたルフィ?」

「いや、誰かが言ってんだ「逃げろ」って」

「そんな声どこにも聞こえないぞ?」

「でもな〜、あ……まただ「船に戻れ」って」

 

 いまいち要領が掴めないがルフィにだけ聞こえるその謎の声は俺達を心配してくれているって事か?

 

 どうする、素直に応じるべきか……。

 

「ジョイボーイ?おれはルフィ!!海賊王になる男だ!!!」

「ッ!?ちょちょい!今ジョイボーイつったか!?マジで誰が言ってんだよ!!」

 

 聞き捨てならないワードに思わず顔を近づける。

 

「多分だけどあの巨大ロボだ」

「アレが……?」

「よく分かんねェけど「今がいざってとき」って言ってる」

「いざって───ッ!!?」

 

───キィィィ……ン!

 

 今、俺の見聞色が大音量で警告音を発した。急いで未来を見ると……ここにいたらマズイ!!

 

「ルフィ!!急いで島出るぞ!!!」

「お、おうわかった!」

「ボニーちゃんも急いで!」

「自由つかれた……」

「ああもう!しょうがないな!!」

 

 ここでボニーちゃんの変身が解かれその場に突っ伏する。動けないみたいなので急いで担ぐと俺達は島を飛び出した。

 

「船まで急げ急げ!!」

「……ッ!!?確かに、これは───スゲー覇気だ」

 

 ルフィも見聞色で未来を見たのはこれから訪れる事態に戯けていた顔が一瞬で真顔になってしまう。

 

 そして、巨人族の船へと一気に飛んでいき……。

 

「着いたァ〜!!!」

「アルガ君!ボニー!待っていたよ。無事でよかった!!」

「ただいまですくまさん。それよりボニーちゃんを、戦いで疲れちゃったみたいで」

「お父さん……あたし……やってやったよ。あのサターンに一泡吹かせてやったんだ」

「ああ見てたよ!お前はすごい奴だ!自慢の娘だ!!」

「えへへ、やったー……」

 

 元の少女の姿に戻ったボニーちゃんは最後に嬉しそうに笑うとそのままくまさんの腕の中で眠ってしまう。

 

「所で、ルフィ君は?」

「へ、ルフィなら一緒に……っていない!?あ、まだあそこに───」

 

 くまさんの指摘でルフィがまださっきの場所に残っていると気付くがその瞬間、島からこれまで感じたことのない覇気が島中に迸った。

 

 

バリッ!!バリバリ!バリバリバリィィ!!!

 

 

 その光景に全員が目を離せなくなった。遠くからでも感じる強烈すぎる覇王色の覇気。こんなもの、カイドウの時ですら経験にない。

 

 900年前からあるとされている謎の巨大ロボ。ジョイボーイとの繋がり。いざってとき。とてつもない覇王色。

 

 そして、覇気の才能が人一倍ある俺だからわかる事。それは……この覇気はあのロボのではない第三者によるもの。

 

 まさか、これがジョイボーイの覇王色の覇気だと言うのか?仮にそうだとすれば……。

 

「………」

 

 この仮説が真実だとすると、とあるもうひとつの仮説が浮かび上がり俺はその結論に畏怖した。

 

 だって、これがその通りだとすれば───

 

 

「空白の100年の戦いで生き残ったイムは、このレベル(次元)の強さだってのかよ」

 

 

 まだ正体の知らない未知の敵に俺は身震いした。おそらく……いや、間違いなく断言できる。もしそうなら今の俺達じゃ……あの世界の王には勝てない。

 

「もっと、強くならないと……」

「わりいアルガ!つい魅入っちまってた!」

 

 そこへさっきまで遠くにいたルフィが戻って来ると違うことを考えていた俺は辿々し返してしまう。

 

「え、あ、ああ……大丈夫だ……」

「にしてもスゲー覇気だったな。あのクモ以外全員消えちまったよ」

「他の五老星が……?」

 

 あれだけ攻撃しても消えなかった奴らがほぼ全滅だと?さっきの覇気に何か……ひょっとして覇王色自体に何か奴らへの対抗手段のヒントが……?

 

「とにかく、これで……逃げ、られりゅ〜……」

 

 あ、ルフィも限界が来てしまい変身が解かれしわくちゃになっちゃった。てか、俺も正直キツイので同じく変身を解く。

 

 何にしてもこれで終わりだな。海軍も今の覇気で全滅している。これなら追っても来ず容易に逃げ切れる。

 

 そう、これで……終わ───ザワ…

 

「……いいのか?本当にこれで?」

 

 俺は今、自分でも変な事を考えている自覚がある。踏み止まれ、いいに決まっているだろ。このまま逃げ切れば勝利だぞ。サターンとは決着こそつかなかったが、それならまた次会った時に戦えばいい。

 

 なのに、胸騒ぎが止まらない。

 

「次なんて、あるのか……?」

 

 これまで戦ってきたボス敵に対して倒さなかった章はインペルダウンのマゼラン以外いない。しかし、あれは実力差による強制負けイベなのだから仕方がない。

 

 だけど、2年後のルフィなら話は別だ。どんな強敵でも最後には必ず勝ってきたじゃないか。カイドウの時でさえ何度も負けても最後には勝利を掴んだ。

 

 なのに、今回は倒さず逃げ切るだけ?違和感が拭えない。メタイ話になるが、これまで散々ヘイトを稼いできたサターンがこの章で倒せないなんてあり得るのか?

 

 もしかすると、サターンは今回の戦いで失態の責任としてイムに───

 

「それならそれで結果オーライ。だけど、納得したくねェ……」

「アルガ……?」

 

 俺が様子を見て心配してきたルフィが声をかける。俺はどうすればいいのか分からないままルフィに愚痴を溢した。

 

「ルフィ、多分だけど島にいるサターンは何もせずとも終わると思う。これ以上深追いをしても被害が出るだけだ。アイツはクズで殴る価値もない。だからここで切り上げるのが一番合理的だ。だけど……」

 

 俺は一つ一つ思っている事を伝えるとルフィはよく分からないと言った様子で首を傾げる。

 

「アルガ?な〜にを悩んでんだ?」

「はあ?いや、だから……」

「おれ達は海賊だぞ。合理的?関係ねーよ、正論を優先して自分を縛ってんじゃねェ。やりてェ事あんなら自由にやれよ」

「っ!!」

 

 ルフィらしい核心めいた言葉に俺の心臓はドクン!と跳ねた。

 

「一人じゃ動けないってんなら……フン!ムウ"ウ"ウ"ン!!」

 

───ドッ トト…… ドン♪トット……♪

 

「おれが、お前の行きてェ道に飛ばしてやる!」

「ルフィッ……」

 

 既に体力は限界を超えている。ルフィの歪な変身がそれを物語っていた。胸から中心に衣服が白くなるが途中で止まりズボンはそのまま、顔も目はニカの瞳になれど髪色も黒髪から変わらなかった。

 

 そして、中に浮かぶ羽衣も弱々しくか細い。なのに……。

 

「ししし、飛ばすぞ!!”ゴムゴムの,,〜~!!」

 

───そのあどけなく笑うルフィの顔は俺を安心させた。

 

「”砲丸投(ほうがんな)げ,,〜!!!」

「うおあああああっ!!?」

 

 片腕だけをムキムキにすると俺を掴みエッグヘッドへめがけ思いっきり投げ飛ばした。飛ばされると船からルフィの声が聞こえてくる。

 

「アルガ!!お前が悩んでいることは冒険と一緒だ!」

「冒険……?」

「ああ!そこにお宝があるかなんてわからねェで冒険して、宝箱が空っぽだったとしても「次だ次行こう」って笑えばいいんだ。どっちも一緒さ、冒険も戦いも……やってる間は後悔なんてない!!!」

 

 ニカッと笑いエッグヘッドへ指を差し最後の一押しをしてくれた。

 

 

「悩む暇があるなら───前に突っ走れ!!!!

 

 

 足踏みしていた俺を全力で後押ししてもらい振り返ることなく前を向く。

 

 ありがとう、ルフィ!!

 

 

 

 

 

 まさか、我々から逃げ遂せるとは……!

 

「忌々しい、あれがニカの力か……!」

 

 あんなにも掴み所のない力とは!それにこれまで動く気配のなかった鉄の巨人が奴に反応し再び起動するなんて思いもしなかった。

 

 今日だけで得た情報が多過ぎる。一度聖地へ戻り整理せねばな。

 

「一先ずはベガパンクの抹殺、「融合炉(パワープラント)」及び「欲」(ヨーク)の身柄保護は成功した。麦わらと鬼の戦漢の始末はまた別の機会に───」

 

───ズドォォオオン!!!

 

「何事だッ!!?」

 

 突如、空から何から落ちてきた。土煙が上がる場所を凝視すると中から人影が現れた。

 

「さっきは逃げて悪かったよ。俺達の間に中途半端はなしだよな」

「き、貴様は……!!」

 

  現れたのは、今世界政府が最も消したい憎き敵だった。もう、白い姿ではないが未だにそのヘラついた顔が私の苛立ちを誘発させる。

 

「まさか、自ら死地へと飛び込んでくるとは……愚かな」

「それはこっちの台詞だ。まだ死地にいてくれてありがとう」

 

 減らず口が……。

 

 内心で悪態をつくと鬼の戦漢は空を仰ぎ自分語りを始めた。

 

「俺は何だかんだ行く先々のボス敵はルフィに任せてきていた。悲願だったカイドウでさえ最後はルフィに譲っちまった。だけど、今回は別だ」

 

 そういい頭の角を擦ると後ろに背負う金棒に手をかける。

 

「前世の俺、「おじさん」としての戦いはカイドウで終わった。でも、ここからは……今の俺「アルガ」としての戦いだ」

 

 それにさっきから何を言っておるのだ。前世?おじさん?今の俺?意味の分からない事を口にし困惑していると男は掴んだ金棒を振り上げる私に突きつけた。

 

アルガ()として出会った皆のためにも───」

 

 

 

「五老星サターン!!!てめェは俺が必ずブッ倒す!!!!!」

 

 




【次回】アルガVSサターン聖一騎討ち!
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