あなたにもう一度毛布をかけるため《物語修整完了》   作:もしも=ロマンの可能性だよねッ!

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どうも皆さんもしロマです!
今回でエッグヘッド編もラスト!
怒涛のクライマックスをどうぞご覧ください!
それでは続きをどうぞ!( ´ ▽ ` )つ


12話 決着の果て

 先程の大規模覇王色によりバスターコールの集中砲火は止んだが、既に辺り一帯は業火に包まれていた。島で立っている者はたったの二人だけ。

 

「私を倒す?そんな状態でか?あれだけ攻撃をして無駄だった私を前にまだ理解できんとは低脳もここまで来ると哀れだな。それに、もうニカの姿にも成れぬようだが」

「そうだな、お前が何をしても死なねェのはわかった。だがな?何も手がないってワケじゃない。お前はただそこそこ強くてただ死なないだけ」

 

 あの場での()()の勝利条件は島からの脱出だった。だが、それは達成され今この場での()の勝利条件は違う。

 

 何も気にせずただ目の前の敵を倒すだけだ。

 

「だったら、てめェを倒す方法はあるぜ?」

「ガキめ」

 

 サターンは恨めしそうに俺を睨みつける。これまでお互いに手を尽くし殺そうとしてきたんだ。手を伸ばせばいる距離にいるんならそういう反応にもなるだろう。

 

 だけどな、サターン。俺は頭の隅でチラついていた仮説があった。それはお前ら五老星の過去だ。

 

 何だかんだ言ってお前らも人間だ。最初っからここまで腐り切った奴らとは思えない。何か辛い過去、重い過去があるのかも知れないと思ってた。

 

 だけど、仮にあったとしても……その人格は既に死んでいる。なら、この場でお前を終わらせるのがせめてもの弔いだ。

 

「サターン聖。お前はこの世にいちゃいけない存在だ」

「それは貴様だ。我々の統べる世界に貴様の存在は許されぬ。……ッ!!」

 

 サターンの目にギラリと光が揺らめく。見聞色で未来を見ていた俺はそれが攻撃だと察知し横へ飛ぶ。

 

 すると、さっきまで立っていた場所に目には見えない攻撃が飛んできてすぐ後ろの建物に穴が開く。

 

「ハア、ハア……危ねえな」

「避けるだけで息を絶やすとはいよいよもって理解できぬ。吹けば飛ぶような状態で私に勝つなどあり得ぬわ」

 

 サターンの言う事にも一理ある。

 

 俺の容態はハッキリ言ってよろしくない。一時は分身達に戦闘を任せて「研究層(ラボフェーズ)」の天辺で応急処置をして休憩し回復に専念していたがそれまでに食らったダメージはまだまだ残っている。

 

 マーキュリーによるぶちかまし3回、サターンの串刺し、ナス寿郎の斬撃。休憩後は攻撃こそ食らっちゃいないがニカ化の反動で体力の消耗が激し過ぎる。

 

 ”混合憑き「魔王の系譜」,,どころか”「武装龍鬼」流桜武神,,すら使えない。”降霊「呼憑き」,,なら辛うじて使えるがせいぜい数秒保つのが活動限界だろう。

 

 だけどな、それで十分なんだよ。

 

「理解できないのはお前が俺より低脳ってだけだろ。言ったよな?何も手がないってワケじゃないって」

「ほう、何か秘策でもあると」

「じゃなかったらここへは来ちゃいねーよ。それを今から見せてやる。不死身以前に、お前ら天竜人には切っても切れねェ───決定的弱点を」

「ぬかせェ!!」

 

 再び目を光らせると見えない衝撃が飛んでくる。しかし、この攻撃はすでに何度も見て法則は分かっている。当てるには相手を視界に捉え照準を合わせなきゃいけない。

 

 だったら跳んできた瞬間にその照準の範囲外へ逃げれば容易に避けられる!

 

「アハ、アハハッ!アッハッハッ!!オラどうしたどうしたァ!?自称神様は虫の息になってる人間ひとりすらまともに潰せねェのかァ?!!」

「クソッ、ちょこまかと……!!」

 

 動け動け!動ける内に己を鼓舞し奴を倒す行程へと持って行け!!

 

 ボロボロなこんな状態でもまだ動けるのはドーパミンやアドレナリンとかがドバドバだからだ。体が冷静になればいよいよもって動けなくなる。

 

 つまり、やるべきは短期決戦。俺の今持つ全てを使って奴を削り()()()()へと連れて行くこと!

 

「いい加減に……せんかァアア!!!」

「ッ!?しまっ───」

 

 避けた衝撃が後ろの建物に当たり建物全体が瓦解する。そして、瓦礫などが上から崩落してき俺は瓦礫の山の下敷きとなった。

 

 

 

 

 

 瓦礫の山を前にサターンはほくそ笑む。

 

「ようやくくたばったか。何を企んでいたかが分からんが貴様との因縁もこれで───」

「と思っていたのかァ?」

「なっ!?」

 

 ガッシャーン!と瓦礫の上から俺が這い出るとサターンは生きている事実に驚愕する。

 

 某筋肉ブロッコリーみたく続けて「何なんだァ今のはァ?」って言えたらカッコイイが流石にそんな余裕はなかった。正直もう終わりかと思ったわ。

 

「貴様!いったいどうやってあれだけの瓦礫を!?」

「そりゃあ……」

「「「「俺が助けたからだけど?」」」」

「こいつらはっ!!」

 

 俺に続き四人の分身体が瓦礫から現れる。サターンは忌々しく俺の無くなった右腕を見て理解した。

 

 改めてこのトットムジカの有難味を噛み締める。右腕から生まれる分身体は能力じゃないっぽいから体力の消耗をしない。そのくせ手数が増えるから汎用性も抜群だ。

 

「そうか、分身体で瓦礫を防いだか。しぶとい!」

「不死のお前が言うかそれ」

 

 しびとさで嫌気を指してんのはむしろこっちだっつーの。

 

「てなワケで、やるぞお前らァ!!」

「「「「オオオオッ!!」」」」

 

 俺の号令を合図に四人の俺達が一斉に飛び出した。四方から襲ってくる俺達に狙いが定まらないのか見えない衝撃や毒液を飛ばしても全然当たらない。

 

 そうしている内に一人目が仕掛ける。

 

「桜木一刀流!!”桜花一輪(おうかいちりん),,!!!」

「ぐあっ!?脚がぶっ!!」

「”鬼鏑(おにかぶら),,!!!」

 

 神速の居合でサターンの脚を2本斬り落とす。続けてもう一人が下に気を取られているサターンの顔面に金棒をフルスイングした。

 

 体がよろけ顔を押さえるが痛がる暇なんて与えない。もう二人が立て続けに追撃をかける。

 

「”朧突(おぼろづ)き,,!!!」

「”焔突(ほむらづ)き,,!!!」

「ぬっ!?ぐほっ!?……目障りだっ。離れろォォ!!」

 

───バリッ!バリバリバリィィ!!

 

 サターンは堪らず覇王色の覇気を周囲に撒き散らす。戦果は上々だったので一度四人が離れるとサターンは再生を始めようとする。

 

 だけど、それを黙って見てる訳ねーだろ。

 

 "(フレイム)"+"(フラッシュ)"で───「熱線(ビーム)」。

 

「焼け爛れろやァァ!!!」

「ぐああああああっ!!?」

 

 瓦礫上に立っていた俺は"青玉の籠手"をサターンに向けて再生を始める斬り口に熱線をぶち当てる。

 

 さらに燃費の良い”降霊「鬼火」,,で発火を絶やさず火傷を継続させる。これで再生速度は著しく低下した。

 

「またしてもこの炎か……!時間稼ぎにかしかならんわァ!!」

「そんなにこの鬼火がお気に召さないならもっと食らわせてやるよ」

 

 火傷に苦しむサターンの目の前には蒼炎を纏う拳を振り上げた俺がいた。

 

「”煉獄(れんごく)朧突(おぼろづ)き,,!!!」

 

 殴り飛ばすと殴られた頬は爛れる。再生し切っていない脚では踏ん張りが効かないのかバランスを崩して転倒してしまった。

 

「ぐぬっ!おのれェ〜……ッ!?」

「戦闘中に空を眺めるなんて余裕だなァ。だったら畳み掛けてやる」

 

 転倒し苛立ちながら空を仰ぐサターンの目の前にはさらに蒼炎を纏う二人の俺がいた。

 

「”鬼炎八卦(きえんはっけ),,!!!」

「桜木二刀流!!”鬼桜焼咲(おにざくらやきさ)け,,!!!」

「がああああああ!!?」

 

 二人で残りの脚を焼き払う。全ての脚を全焼されたサターンは苦痛の声を上げた。

 

「そんなに焼けてしまって可哀想に。今水をかけてやる。魚人空手!!」

 

 動けないのを良いことに目の前で集中し大気の水を拳に纏わし構えを取る俺。

 

「”朧瓦正拳(おぼろがわらせいけん),,!!!」

「ごふあっ!!?」

 

 大気の水と体内の水が暴発しサターンは血反吐を出してぶっ飛ばされた。しかし、散々袋叩きにあったサターンはこれを好機と見て目の色を変えた。

 

「ヌゥン!!!」

「はっ!?脚一本だけやたらと再生が早い!?」

 

 攻撃の最中でも手を緩めず熱線を放っていた俺だったが、奴の再生力を見誤る。おそらく再生する箇所を一点にだけ集中し脚を一本再生させてしまったのだ。

 

 その一本でぶっ飛ばされる軌道を変え俺に向かってくる。

 

「元より偽物に付き合うつもりはない!用があるのは、本体の貴様だァァ!!」

 

 速い!強力な一撃だったためにぶっ飛ぶ速度も半端ない。自分の技の威力を逆手に取られてしまった。今からでは四人を守りに回しても間に合わない!

 

 熱線を撃ち込んでも止まらないサターンの巨体はみるみる迫ってきてしまい……。

 

───ドスッ!

 

「がっ!!?」

 

 一本の脚が俺の腹部を貫いた。

 

 ジュウウウ!と体の内側から毒が蝕む音が聞こえる。同時に言葉にならない激痛が俺を襲う。

 

「が、は……あ"、アァあああァァアア!!?」

 

 苦しみに悶えながら必死に脚を抜こうと掴むが既に引き抜く程の握力が残っていなかった。

 

「足掻くな。満身創痍の状態で私の毒を体内から侵蝕されているのだ。最も、毒がなくとも腹に風穴が空いてしまえば死は免れんがな」

 

 ダメ押しと言わんばかりにグリグリと脚をねじ込んでいく。すると、周りの俺達も音符の粒子へと変わり霧散して行った。消えていく分身体と意識が遠のき力が抜けていく俺を見てサターンは勝利を確信した。

 

「ちく、しょ……ォ……。サ、ターン……ッ」

「遺言か?負け犬の遠吠えを聞くのは勝者の特権だ。最期に聞いてやるぞ。貴様の惨めな遺言を」

 

 もうロクに言葉を出せなくなった俺を見て更に調子づくサターンはここぞとばかりに顔を近づける。

 

 俺は血反吐を出し虚ろな瞳で口を開き───

 

 

「残念、またハズレ〜。キキッ♪

 

 

 ケケケッ、最低でも五人の分身体を出せる俺が何で四人しか前線に立たせなかったのかを考えなかったお前の負けだ。

 

 ()()()()もまた同じ様に音符の粒子となって消えていく。そして、その粒子は……すぐ真下の瓦礫へと消えた。

 

 

 

 

 

 全ての音符の粒子が俺の右腕へと戻っていく。

 

 お前達ナイス位置調整だ。それに8本の脚を7本も削ってくれたお陰で相手の機動力は著しく低下している。決めるならココだ!

 

「……は??何が?まさか、こいつも偽も───」

「”降霊(こうれい)呼憑(よびつ)き」,,!!!」

「───ッ!!?」

 

 最後の強化形態になると身を潜んでいた瓦礫をどかし真上に居たサターンへ跳び出した。遅れて気付くがその時には俺の金棒が奴の顎を捉えていた。

 

「”怪力鬼(かいりき),,ィィィ!!!」

「ごっ!!?オ"ォォ!?キ、ザマ……ずっと、隠れで……ッ!!」

「オ"オ"オ"ォォォオオ!!!天高く……ブッ飛べやァァアア!!!」

 

 金棒を振り抜くとサターンの巨体は頭上高く飛んでいく。そして、最後の一撃で限界が来てしまい”降霊「呼憑き」,,が解かれてしまった。

 

『おれ達ができるのはここまでみたいだな!』

『アルガ!正念場よ!!気張りなさい!!』

(ああ、二人ともありがとう。必ず倒すよ!)

 

 最後の強化が切れると同時に両親も消えてしまう。だが、目論見通り奴を頭上へ飛ばせたので特に問題はない。むしろ予定通り計画が進み笑みすら溢れてしまう。

 

「これがてめェの最後の弱点さ。つっても、これは割と途中から見せてはいたんだがな」

 

 お前らは何百年と権力を握り続けた結果……その膨れ上がった貪欲さは、もはや自分じゃ自制できない所まで来ている。

 

 欲ってのは恐いね〜。その欲のせいで後一手先の俺と囮を誤認させる。一度立ち止まり警戒すれば気づけるであろう違いに何度も引っかかって。

 

「それがお前ら天竜人の弱点。欲を我慢できねェ膨れ上がった自制心だよ」

 

 まあ、それを差し引いても改めてこいつは戦闘向きじゃないなとわかる。

 

 大局を見ようとせず眼の前の欲に釣られる。さっきの囮だってそうだ。俺が下に隠れていたのも見聞色使いなら誰だって気づける。それが出来ないってことは奴には見聞色の覇気が使えない。おそらく武装色も同様だろう。

 

 覇王色は生まれ持っての素質だから最初から使えても不思議じゃない。だが、他の覇気は鍛えないと使えないからな。

 

「さて、そろそろ減速してきた頃か」

 

 強化形態じゃなくなってもすぐに接近できる術を俺は持っている。

 

「”飛龍翔(ひりゅうしょう),,!!!そんでもって"(フレイム)"と"(ブレス)"で「加速(ブースト)」!!!」

 

 "青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"で飛行速度を強化。亜音速にも匹敵するこのスピードなら一瞬で追いつける!

 

 ゴウッ!とロケットエンジンみたく飛び上がりあっという間にサターンのいる所まで追いついた。

 

「ヌ、ウゥ!貴様よくもこんな真似を……!!」

「そう急ぐなよ。今から更にてめェをブッ飛ばしてやんだからよォ!!」

 

 俺はサターンに右手を突き出しこれから訪れる衝撃に備え左手で右腕を掴んだ。

 

「さあ"青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"よ。お前の本領を奴に叩き込めェ!!」

 

 俺の叫びに"青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"は返事をする様に太陽の光が反射し眩く煌めいた。その輝きに見覚えがあったのかサターンは"青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"に目を見開いた。

 

「奇怪な籠手を着けていると思ったが、その手甲に埋められている宝石……もしや青玉鱗!!?」

「その通り、思えばてめェが失敗した副産物と吐き捨てたこれをベガパンクが超強力装備にしてくれたんだっけか」

 

 この時点で両者の技術力の差を感じられる。科学者でもない俺ですらそう思えるのだからきっと向こうはもっと痛感しているだろう。

 

 そして、今から物理的にも痛感させてやるよ。

 

 現在地は地上と「研究層(ラボフェーズ)」のちょうど中間辺りか。あの(ダイアル)の威力なら何とか届くだろ!

 

 なにせ、わざわざ衝撃を溜めずとも自然光のお陰でこの戦いの中ず〜っとエネルギーは溜まり続けていたのだから。

 

「失敗と謳った物にこれから追い込められるってどんな気分かねェ?こいつの最大火力を見せてやる!!」

「これまでの戦いを見るに青玉鱗の何らかの性質を利用し(ダイアル)の力を引き出しているとみた。これからするのは衝撃か?くだらん!今更そんなものを食らったとて……!!」

「残念、その10倍だ」

「───ッ!!?」

 

 桁違いの威力を聞きサターンは戦慄する。しかし、未だに脚の回復が追いついておらず避ける事も叶わない状況を受け入れるしか出来なかった。

 

 俺はニッと笑い右手をかざしたままこれまで溜め込んだエネルギーを一気にぶっ放した。

 

 

「”根絶排撃(イラディケイト・リジェクト),,!!!」

 

 

───カッ ズドゥン!!!

 

 一瞬轟音と共に視界が真っ白に染まるとさっきまで居たはずのサターンは更に天高く吹き飛ばされていた。

 

「アッハッハッハ〜!すっげー威力だなァおい!?サターンが一気に「研究層(ラボフェーズ)」までぶっ飛びやがったぜ!!」

 

 威力もスゴイが何よりヤバいのは……。

 

「腕ヨシ肩ヨシ筋肉骨共に反動無し!撃つ瞬間に少しGを感じたぐらいか。これまで反動で酷い目にあってきたから撃つ直前まで躊躇ったがベガパンクの説明通りだ!」

 

 俺はベガパンクから"青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"を受け取った時に聞かされていた言葉を思い出す。

 

『排撃貝のコアは右の籠手に埋め込んである。自然の光に当て続ける程に威力を増していくがその分反動もデカい。じゃから、複数の衝撃貝のコアを埋め込んだ左の籠手で自身が受ける衝撃を吸収しろ。そうすればリスクは消える。否、それどころか───』

 

 俺は左の籠手を見て不敵に笑うとサターンに追いつくべく再び”飛龍翔,,と「加速(ブースト)」でかっ飛ばす。再び空の旅を楽しんでいるサターンと対面すると血反吐をぶちまけて頭を揺らしていた。

 

排撃(リジェクト)(ダイアル)だとォ……!?どこで、そんな……代物をォ……」

「頭シェイク状態の所悪いんだが……ダメ押しにもう一発な」

「は?なァ……!?」

「もう一度ぶっ飛びやがれ!」

 

 二発目と聞き呂律の回らないサターンは身動きが取れず俺の突き出す左手を視界に収めるだけだった。

 

 一発目の排撃の反動を吸収した衝撃。こいつをそのまま相手に食らわす事ができる。これこそが"青玉の籠手"の最終兵器(リーサルウェポン)、排撃の二連攻撃!!文字通り根絶させる排撃ってなァ!!!

 

 

「”根絶排撃(イラディケイト・リジェクト),,!!!!」

 

 

───カッ ズドゥン!!!

 

 二発目の排撃、今度は真上ではなく目の前の研究所へ向けてぶっ放す。すると、目論見通り奴は壁を突き破りとある部屋へと入っていく。

 

 シュゥゥゥ……。

 

「っとと、限界が来たか。これもベガパンクの説明通りだな」

 

 ここで"青玉の籠手(ジュエリーガントレット)"は過度なエネルギー排出で負荷がかかりまくり熱が籠ってきたので自動冷却モードへ移行した。

 

『最後に一点だけ注意がある。二発目の排撃を撃てば"青玉の籠手"は一時的に使用不能となる。何分エネルギーの排出量が馬鹿にならんからのー。そうなるとまた機能が回復するまでに一日はかかるから気を付けるんじゃぞ』

 

 ……ってなワケで貝の機能は停止したが結果は上々。一番の難所は突破できた事だしここからは俺の余力でどこまでやれるかだ。

 

「ここまで来たんだ。絶対に秘策を決めてサターンとの決着をつけてやる」

 

 お膳立てしてくれたロビン、フランキー、くまさん、ステューシーさんのためにもな。

 

 そう心に決めた俺は最後の決着の地へと赴いた。対不死攻略戦の最終兵器が準備された部屋へと。

 

「ここは……研究室?」

 

 部屋はやや広くサターンの巨体も悠々と収まる広さだ。そこでサターンは警戒しつつ周囲を見渡していた。鬼火の効力も切れておりさっきまでなかった脚やボロボロだった体がみるみる修復されていく。

 

 あれだけ苦労してつけたキズが無情にも塞がり無傷に戻ってしまう。だが、ここまでは予定調和なので特に焦る事もなく相手の疑問に答える。

 

「ここはある人が死んだ場所。そして、てめェが死ぬ場所でもある」

「なに?まだ言うか。懲りんな、無駄だと何度言えば分かる。貴様に私は殺せない」

「だろうな。正直、海に落としても隕石くらっても無駄だったのには驚かされた。だが、だったら趣向を変えるまで」

「趣向だと?」

 

 これまでとは違う雰囲気にサターンも違和感を覚える。腐っても科学者だし部屋に施された装置にも勘づくのも時間の問題だろう。

 

 なので、ここで俺の目論見を話すことにした。

 

「ああ、肉体的に殺せないのなら───精神的に殺せばいい」

「精神……ッ!!ま、まさか、ここはッ!!?」

「そう、ここは……」

 

 サターンは頭上を見上げ冷や汗をかく。天井には一面びっしりに照明らしき物が取り付けられている。しかし、それはただの光を照射するものではない。

 

 あの装置から発せられる光は脳へと電波を送りどんな生物にも等しくかけがえのないものを奪っていく悪魔の光だ。

 

 

「───くまさんが記憶と自我を失った部屋。人として一度死んだ部屋さ」

 

 

 天井にびっしりと取り付けられているあの装置の正体、それはくまさんが記憶と自我を消す際に使われた装置をこの部屋全体にスケールアップさせた物だ。

 

 これにはフランキー達の力とある程度の時間が必要だった。しかし、皆上手くやってくれたお陰でこうやって実現させることに成功したのだ。

 

 俺は部屋を回りレバーが置かれている所で足を止める。その間に答え合わせを聞かされたサターンはこれからの未来を予測し動揺を隠しきれずにいた。

 

「そして、さっきも言ったが、これからお前が死ぬ部屋でもある」

「お、おォおお前……正気かっ!?……いや、ハッタリだ。そのレバーで作動するのなら部屋にいる貴様も巻き込まれるのだ。無駄な虚勢はやめろ!」

「試してみるか?」

「ッ!!」

 

 サターンの持論に一切動揺を見せない俺に奴は言葉を詰まらせる。そしてレバーを掴んだ瞬間、奴はこれまでにも見せなかった程に素早く駆け出し突っ込んできた大穴へと逃走を図る。

 

 それを、黙って見過ごすワケねーのに。

 

「”竜刃(りゅうじん)壊風(かいふう)」,,!!!」

「桜木二刀流!!”紅枝垂(べにしだれ)双輪(そうりん)」,,!!!」

「うぐっ!?あがっ!!?あ、脚が……!!」

 

 右腕から二人の分身体を出しサターンの脚を斬り落とす。無我夢中に走っていたせいか急に脚を斬られしてまうとバランスを崩し転んでしまう。

 

 そこへ更に三人の分身体を出し合計五人で転んだサターンにしがみつき身動きを封じた。

 

「や、やめろ!!離せェェええ!!!」

「ようやく崩れてたな。余裕綽々だった憎ったらしい表情がよォ」

 

 不死者が感じた初めての恐怖。それは、一介の研究者には耐え切れるものではなかった。不死というアドバンテージに傲り胡座を掻いた結果がこれなのだ。

 

 未だに足掻こうとするサターンは冷めた目で見下ろす俺に交渉を持ちかけてきた。

 

「わ、わかった!!私が悪かった!もう貴様を殺そうとはしない約束しよう!そうだ!こうしないか!?貴様にも永遠の命をくれてやろう!!「深々海契約」は無理だが私が特別に推薦して「深海契約」を結ばしてやろう!!!そうなれば"五芒星(アビス)"だって作れる!!どうだ悪い提案じゃないだろう!!?」

 

 ………………ん〜?何を言ってるんだこの老害は?

 

 何やらすごい早口でまるで好条件の交渉を持ちかけてやってる風だが……。

 

「わり、お前が何言ってんのか全くわかんね」

「は…………?」

「俺はお前らが嫌いだっつってんのに何でわざわざ同類に誘おうとしてんだ?そもそも、シンカイケイヤク?アビス?ってのがよくわからん」

「……───ッ!!!!」

 

 俺が本当に理解していないと分かった瞬間サターンは何かが事切れた様に感情を爆発させた。

 

 

「貴様は本当に何なんだァア!!!!」

 

 

 わっ、キレた。え、コイツこんなキレるキャラだっけ?

 

「何を知っていて何を知らんのだ貴様はァ!!古代兵器やゴムゴムの実の秘密にイム様の存在まで知っておるくせに、契約は知らん"五芒星(アビス)"も知らん……チグハグすぎるわァァァ!!!」

「ええェ……そんな事言われたって」

 

 知らないんだから仕方ないじゃん。文句は核心めいた情報を小出しし続ける創造神(尾◯先生)に言ってくれ。

 

 にしても今言ったワードは今後絶対に重要になる気がするし覚えておこう。

 

「私はこんな、こんな所で……!!終わってはならんのだァァァ!!!」

「うわっ!?」

 

 火事場の馬鹿力と言うのだろうか。サターンはこれまで以上に強力な覇王色で掴んでいた分身体を威圧し怯ませる。

 

 その僅かな隙を突き今度こそ外へと繋がる大穴へと突っ走った。

 

「ヤベッ!思ったより俺の力が残っていなかったか!こうなりゃ一か八かもうレバーを……おっ?」

 

 一度レバーを下ろそうと強く握るが、ある事に気づきその手はピタッと止まる。これは……。

 

「私は終わらん!!この部屋を抜け出せさいすれば勝者はこの私───」

「じゃあ敗者になるてめェは大人しくその部屋で引き篭もってやがれ。このゴミ野郎」

 

───ドゥン!

 

 壁の穴から身を乗り出す勢いで顔を出した瞬間、一発の銃声が鳴るとサターンは身動きを止める。後一歩、という所で何故立ち止まってしまったのか。

 

 それは、発泡された銃弾が奴の額に命中したからだ。脳に異物が混入し思考が鈍る。そんな状態でサターンは外で待ち構えていた存在を睨みつける。

 

「あ、アァ……貴、様……なぜ……ここに……」

「アルガに任せてもよかったが、ドレスローザで二人にゃ啖呵きっちまったからなァ。ウチが決めた事だ……」

 

 ガシャコンと銃のリロードを終えたその人は、やってやったぞと言わんばかりに不敵に笑う。

 

 

「───世界政府は必ずブッ潰すってよ」

 

 

 サターンの額を撃ち抜いた人物、ジニーさんは役目を果たしたからか背を向け後を託す。その場にいた、もう二人の存在に。

 

「サターン、おれは自分の運命から逃げなかったぞ。だから、お前も自身の運命を受け入れろ」

「そうよ、それでも逃げようと言うのなら……」

「ぐぬっ!?動けん……貴様らァァァ!!!」

 

 全身から幾つもの腕が咲き動けないように拘束されるとサターンは目の前に現れた二人を忌々しく睨みつけた。

 

「無駄よ、咲く場所を厭わない私の体は あなたを決して逃がさない」

 

 今よ!とロビンが合図を出すと動けなくなったサターンに向かってくまさんは思いっきり腕を振り上げ殴り飛ばした。

 

「ぐほぼばっ!!?」

「バニーから聞いたよ。意識がない時におれはお前を殴ったらしいな。だが、今度はおれの意思で……お前殴ってやったぞ」

 

 殴り飛ばされたサターンは再び部屋の中央へと戻されてしまう。その光景を見ていた俺は三人に心の底から感謝する。 

 

「ロビン、くまさん……!!皆、来てくれたのか……ありがとう!」

 

 三人が作ってくれたこのチャンス、絶対に逃さない。そう意を決した俺は再びレバーを握り……。

 

「あ、あああああ!!!やめろおおおお!!!!」

 

 ガッチャン、と力強くレバーを下ろした。

 

 部屋の装置が作動するとまだ逃げようとしていたサターンの動きを封じるべく駆けつけてしがみつく。絶対に離さない俺にサターンは殺意の籠もった睨みをきかせるが頭上を照らす光を見るとその目は絶望へと変わる。

 

「あ、あああ……うああああああああっ!!!!」

「じゃあな、サターン。終わりだ───」

 

 サターンの絶叫と共に天井から眩い光が立ち込め部屋は忘却の光に包まれていった。

 

 

 

 

 

 私にとってアルガは大切な人。

 

 生きてという娘を想う母の言葉すら呪いの様に重荷に感じる程、精神をやられていた時期に支えてくれた人。私に再び生きる意味を与えてくれた人。

 

 幼い頃から騙し騙され裏切り裏切られてきた私は最初こそ彼を警戒していたが、それもすぐに払拭され気付けば自然と笑えるぐらいにまで心が回復していた。

 

 それから一悶着あり長い間離れ離れとなったが、色々あって再会を果たし今では一緒の船で航海をしている。

 

 再会した彼は昔と変わらず明るく優しいままだった。それが私にとってどれ程嬉しかった事かきっと彼には分からないだろう。

 

 それからも彼はどんな困難にも全力で挑み乗り越えてきた。

 

『空想と嗤われてもなお諦めず先祖を信じてきたノーランドの子孫───クリケットおじさんのためにも!!!鐘を鳴らすんだァッ!!!!』

 

『もっと欲しいモノを欲しがれよ!もっと俺達にワガママ言えよ!お前は海賊なんだ!!だからこれ以上我慢する必要はねェ!!我が儘で欲張りなのは"海賊の本質"だ!!!!』

 

『お前の好きだった彼女はホントにコイツなのか?生前に持っていた思考や感情を失った彼女のことを!嘘じゃないと言うんならもう一度彼女の眼を見て……逸らさずに言ってみろよ!!』

 

『俺を頼ってくれよ!!!友達じゃねェか!!!!』

 

『レベッカさん達をありがとう。今は休んでてくれ。アイツは俺に任せろ』

 

 そして、そのどれもが決まって誰かの為に動く時だと分かる度に私は彼に惹かれていた。やっぱり私にとってアルガは特別な人なんだと思った。

 

 だからこそ私は───

 

 

「俺にはこことは違う世界で生まれ育った記憶がある」 

 

 

 そう言った彼の寂し気な顔を見逃さなかった。

 

 彼が秘めていた事情を聞いた時、これまでの私はアルガを誤解していた事に気付いた。彼は能力で見た目以上に歳を重ねており精神も強い人なんだと思っていたけれど……。

 

 創作した物語の世界へ転生。その事実が、自分だけがこの世界の異物だと思わずにはいられなかった彼の心情はどれ程の孤独感だったのだろうか。

 

 孤独の辛さを知る私でもそれは計り知れない。何故なら、その苦しみを完全に理解し合える人間はこの世に居ないのだから。

 

 アルガは明るく優しくて強い?違う、アルガは皆が思っている以上に脆く繊細で孤独を恐れる普通の人だった。

 

 ずっと、ずっとずっと……心の片隅では伝えようのない孤独に耐えていたに違いない。

 

 誰もが鼻で笑い飛ばすような真実味のないアルガの事情。それを何十年も独りで抱え込み生きてきた彼を改めて認識した私は心の中で決心した。

 

 もう二度と、彼に心細い思いをさせないと。

 

 私の空いた心を埋めてくれた様に、彼のぽっかり空いた孤独の心を私が埋めてあげたい。ずっと傍で支えたい。

 

 その為にも……。 

 

「なあフランキー。結局お前らはあそこで何をしてたんだ?」

「アウ、ちょっとアルガに頼まれてな!何でも対不死攻略戦の最終兵器だとさ。……ん?ロビン、どこ行くんだ?」

「少し、くまの所へ」

 

 ゾロがフランキーにあの部屋についての話をしているのを脇目に私はくまの所へと向かう。

 

「くまここに居たのね。ねえ、アルガは見なかった?」

「ロビン君か。アルガ君ならさっき……」

 

 くまはそういい離れたエッグヘッドへと視線を向ける。

 

「彼は一人残ったよ。どうしても決着をつけたいそうだ」

「そう……」

 

 相手は五老星。彼自身との因縁もあるだろうが、それだけならきっと彼は残らなかったと思う。それでもあそこへ残ったのは……私達の為。

 

 やはりアルガは誰かの為に本気で動く人だ。なら私も行かないと……。

 

「ねえ、くま。お願いがあるのだけど、いいかしら」

 

 彼が何かを背負う時、私が傍で一緒に支えたいから。

 

 

 

 

 くまに頼み込んでいると傍にいたジニーも乗り気になり共に同行しエッグヘッドへと向かった。そして、私達の助力により見事アルガはサターン聖をあの部屋へと誘い込み部屋内が光でいっぱいとなった。

 

 数秒が経過すると部屋の光は消える。安全を確認して私達はサターン聖の空けた大穴から入ると中では二人部屋の中央で倒れていた。

 

 咄嗟に駆け込み倒れる彼を抱き寄せるが反応がない。一緒にあの光を浴びたのだから当然だ。しかし、この場の誰も騒ぎ建てたりはしなかった。

 

 何故なら、これもまた彼の計画の内だったから。

 

「キキッ」

「待っていたわ。案内してもらえる?」

「キャキャ」

 

 部屋に入ってきたのはアルガの分身体。彼が案内するように私達と通路を交互に見て誘導させる。アルガを担ぎ彼の指示に従って通路に出る。

 

 そこに一緒に来るくまがアルガを心配そうに見てくる。

 

「アルガ君はおれが持とう。君一人で担ぐのは重いんじゃないか?」

「平気よ、こう見えて鍛えているの。それに、決めているのよ。頑張っている彼は私が支えるって」

「かー!あっついなーオイ!甘ったるいもん見せつけるやがってコーヒーが欲しくなるわ」

 

 ジニーはそう口を悪くいいつつもどこかで微笑ましく私達を見てくる。そうこうしていると、隣の部屋へやってくる。

 

 中へ入ると、そこには大きな肉球が浮かんでいた。

 

「これは、アルガの……」

「話はぱっと聞いてたが、いつの間に用意したんだ?」 

「確か、彼が五人の分身を出す前にボニーが連れていたおれのセラフィムで作ってここに自分の記憶と自我を保管したらしい」

 

 成程、五人の分身達が各自五老星と対峙する前にバックアップを、ここまで読んでいたなんて……。

 

「流石ねアルガ」

 

 私は聞こえるはずのない彼を称賛し肉球へと近づける。そして───

 

───ポ ワ ア ア ア ッ !

 

 肉球が彼に触れた瞬間、淡い光が弾け彼の中へと入っていく。すると、担いでいた体が震え……。

 

「ただいまロビン」

「おかえりなさいアルガ」

 

 彼のいつも見せる笑顔を見て私は口元が緩んでしまった。

 

 ねえ、アルガ。あなたはこれからも誰かの為に無茶をすると思う。止めても無駄なのはもうわかってる。だから、その時は私も一緒に戦うわ。

 

 もう二度と、あなたを孤独にさせない為に。

 

 

 

 

 

 目が覚めると視界にはロビンが出迎えるようにロビンが微笑んでいた。

 

 思わずたたいまと言ってしまいロビンものってくれておかえりなさいと返してくれる。何か新婚みたいなやり取りでドギマギしてしまうな。

 

 まあ、俺結婚したことないからこれが新婚のやり取りかは定かではないけど。うん、自分で言ってて辛いや。

 

「まさか三人が来てくれるなんて思わなかったよ。サターンとの決着は俺の独断だったし」

「放っておける訳ないじゃない。あなたは私達の想いも背負って戦っていたんだから」

「さすロビ、お見通しでしたか」

「フフン」

 

 あらやだ可愛い。

 

 たまに見せるロビンの得意気な顔にほっこりしていたが、用は済んだし早い所ここを出て皆と合流しなければ。

 

「よし、せっかくくまさんもいるし能力でぱぱっと皆の所に───ッ!!?」

 

 戻ろうと言いかけた瞬間、見聞色であり得ない気配を感知した。それは隣の部屋から。さっきまで俺が、俺とサターンが倒れていたあの部屋からだった。

 

 それもこの気配は……嘘だろ?

 

「アルガッ!?どうした急に走り出して!」

 

 皆の声を振り切り通路を出ると急いで隣の部屋へと向かった。そして、部屋に入ると……。

 

 おかしいだろ。何で……!

 

「───何で、まだ意識があんだよ」

「…………」

 

 記憶と自我を失ったハズのサターンが部屋の中央で立ち上がり俺を見つめていた。

 

 姿は人間に戻ってはいるが目も開いており俺を認識している。つまり、コイツの不死の力は精神すら影響を及ぶ程の……。

 

 カツンカツン、ゆっくり俺に向かって歩み始め警戒する。しかし、さっきまで痛いほど感じていた敵意を相手から伝わらず不思議になる。

 

 

「そのケガ、酷い状態だ。大丈夫か?」

 

 

 ………………………………………………はい???

 

 今、なんて言った?大丈夫かだって?サターンが?俺に?心配だと?天竜人が、それもトップに位置する存在が他者を慮るなんて……!?

 

「おーいアルガ急にどうしたってんだ理由ぐらい言えよ……って、ハア!?何でてめェまで起き上がって……!!?」

「ジニー!!おれの後ろに!!」

「不死は肉体だけでなく精神にまで影響するって事かしら。そうなると、いよいよもって危険な状況ね」

 

 後から追いかけてきた三人も復活したサターンを見て困惑する。しかし、俺はそれ以上に頭が混乱していた。

 

「私は医者ではないがこう見えて科学者の端くれ。医術の心得も持ち合わせている。どれ手当をしよう」

「は?どうなってやがる?何かサターンの様子がおかしすぎるぜ?」

「そもそも自我と記憶を失っているのに平然と会話ができる時点で異常だわ。不死とかそういった話じゃなくなっている」

 

 サターンの変貌っぷりにジニーさんとロビンも違和感を拭いきれずにいる。どうなっているのか分からずまずは確認を取る。

 

「なあ、自分の名前は言えるか?」

「何だその幼児に尋ねるような質問は。名前ぐらい言えるわ。私は───」

 

 名前を言えるかという一見バカにするような質問にムッとするが素直に答えようとする。しかし───

 

「……っ!!グアッ!?あ、頭が……!誰だ……お前は……!!」

「お、おい!どうしたんだよ!」

「私がっ!消えていく……アアアアアッ!!!」

「うわっ!なんか出てきた!?」

 

 頭を抱え一頻り叫ぶと全身から黒いモヤのようなものが溢れ出す。突然の出来事に一歩後退りしてしまい様子を伺っていると糸が切れたようにピタリと止まった。

 

 そして、ガクンと項垂れる。何が起きているのか分からないが黒いモヤは消えたので近寄ろうとすると……。

 

───ひ た っ ……

 

「───ッ!!!?」

 

 今、悍ましい何かが背後から俺の首を掴まれた気がした。言葉では形容し難い気持ち悪さに拒否反応を起こし全身に鳥肌が立つ。

 

 しかし、振り返っても三人しかおらずそこには何もなかった。

 

「錯覚……?」

「オイ」

「っ!!」

 

 今度は悍ましい気配が声を伝って耳に入る。声の方を向くと、そこにはサターン……らしき人物がいた。

 

 なぜ断定しないのか。それは今目の前にいるサターンはこれまでの傍若無人なアイツでもついさっき見せた思いやりのあるアイツでもない。

 

 俺の見聞色……いや、覇気を使わずとも本能があれは別人だと警告していた。

 

「やってくれたな。これでは()()()()()()()()と変わらんではないか。五老星だった記憶と自我がないコレはもう破棄する他ない」

「…………」

 

 冷汗が止まらないこの威圧感。五老星をコレ呼ばわりする態度。そして、特徴的なあの眼光。間違いない、目の前にいる奴こそ俺達の最大の敵。

 

「こうして言葉を交わすのは初めてだな───イム」

「様をつけろ。無礼者」

「アルガ君すまないおれ達はまるでついて行けていない。彼はサターンじゃないのか?君は何を知っている?」

 

 俺だけが理解している状況に置いてけぼりを感じ会話に入ってくるくまさん。他の二人も同じ疑問を持っており答えを待っている。

 

 今更隠す必要もないと考えた俺は目の前の人物の正体を伝えた。

 

「世界政府のトップ「五老星」。その上に君臨する文字通り世界の王……その名がイム」

「「「っ!!?」」」

 

 受け入れ難い真実に三人は固まり戦慄する。五老星が世界最高権力者と言われていたのにその上が存在なんて想像すらしなかっただろう。

 

 俺も初めて知った時は同じ反応だった。

 

「バッカニア族、オハラの生き残り、そして……ムーを知る存在。ここには不都合が多過ぎる」

「800年間何もせず引き篭もってりゃそら不都合も増えるわな。こまめに掃除しなかったお前の自業自得だよ」

 

 順番に俺達を見ていくイムに皮肉をで返すとピクッと反応する。

 

「っ!800年……そこまで知っていたか。ますます不可解、ヌシヤは何者だ?」

「"神の天敵"とだけ言っておく」

「……そうか、お前も「D」か」

 

 俺がDと名乗るとイムは目の色を変えた。

 

「ならばこの場で消すのは得策ではないな。お前達一族は悪運が強い。確実に仕留める必要がある」

 

 再び奴の体から黒いモヤが現れるとそれは自身を包むように溢れ出す。

 

「一応、ここにも手を打つがどうせ死なないだろう。だから、そう遠くないウチに鬼の戦漢……お前の命をいただく。必ずな」

 

 いつもの俺ならここで軽口を叩き相手を煽るだろうが、変に刺激すると取り返しのつかない事態に発展しそうなので黙って踏みとどまった。

 

 そして、黒いモヤは僅かに見えた瞳を最後に閉ざし全身を包みこんだ。

 

「また会おう」

 

 別れを告げられると黒いモヤは一気に晴れる。しかし、奴は最後に胸糞悪いものを置いていった。

 

「キャ!?なんだ骨?」

「これは、サターンのなのか?白骨化している……」

「さっき、破棄するって言っていたわね。もしかしてこれはそういう……アルガ?」

 

 サターンの成れの果てを呆然と見つめる三人を前に俺は骨だけとなったサターンを見つめる。

 

『そのケガ、酷い状態だ。大丈夫か?』

 

『やってくれたな。これでは()()()()()()()()と変わらんではないか。五老星だった記憶と自我がないコレはもう破棄する他ない』

 

 サターンがかけてくれた言葉。イムのあの含みのある言葉。それぞれのピースを合わせていく。もしかしてあの時のサターンが本来の姿で後からイムが怪物へと変えてしまったのか?

 

「は、何だよそれ……」

 

 イムは、他者の思考や価値観とか……そう言った人の心も変えてしまう力があるのか?だとすれば……人を馬鹿にするにも程がある!!

 

「あんの尊厳破壊魔の自己中野郎……!」

 

 かつて、前世でまだ子供だった頃を思い出すよ。暴力やネグレクトで洗脳に近い教育を施されていた俺がまともな思考と価値観を持つのにどれだけの歳月がかかったことか。

 

 そんな俺だからこそ、イムの諸行を許せない!

 

 俺は今回の戦いの中でサターンにも善性を持っていたかもしれないと思ってた。何か価値観が変わってしまう辛い過去があったのかもしれないと思ってた。

 

 仮にあったとしても今のサターンにそんな心は欠片も残っていないと判断しここで殺す決断をした。

 

 なのに、それなのに……っ!心を操り上書きしてただと……!なら、まだ残ってたんじゃねェかよ!人の心が……!!

 

「イム、イムッ……イムゥゥゥゥゥッ!!!」

 

 神なら何をしても許されるってか?人の心を弄んで使えなくなったら壊れたオモチャみたくあっさり切り捨てる。それをできる力とイカれた思考回路……間違いない断言する。

 

 サターンを越えるイカれ具合。イム、お前だ、お前だったんだ。

 

───お前こそがこの世にいちゃいけない存在だ。

 

 たとえ世界政府が滅んでも……お前が生きていたら意味がない。

 

「まだ、浅かった」

「え?」

「あいつだけは倒さないと……絶対に、倒さな……」

「アルガ!?しっかり!」

 

 とうとう体の限界が来てしまう。いや、限界なんてとっくに超えていたがサターンを倒すという目的だけで突き動かされていたんだ。その目的を果たした達成感で俺の体は気が緩み動かなくなってしまう。

 

 何一つ納得のいかない達成感だがな。クソが……。

 

「アルガ肩を貸すわ」

「うん、ありがとロビン」

 

 一人では立つこともままならない俺を見てロビンは隣に来ると支える様に腕を持ってくれた。

 

「結果がどうであれこの戦いはアルガの勝ちよ。もうここにいる理由はない。早く皆の所へ帰りましょう」

「ああ、そうしよ───ッ!」

 

 この時、再び見聞色に反応が出る。地上から誰かが一人ここへ近づいて来ていた。

 

「下から誰かが来る!気を付けろ!」

「うげ、まだ何か出てくんのかよしつこいなァ!」

 

 イムがさっき手を打つと言っていたがまさかもう新手が!?

 

 全員で身構えているとその人物は現れた。

 

「まさか、本当に倒してしまうとはねェ」

「お前は……間女っ!」

「誰が間女だい!!ブルーグラス中将だよ!!!」

 

 意外な人物に呆気にとられる。くまさんもブルーグラス中将を見て思わず口に漏らす。

 

「驚いた、あの覇気に当てられてまだ意識を保てたのか」

「年季が違うんだよ。あれ程までとは言わんが過去にも強力な覇気が飛び交う事態はあったからね。例えばゴットバレーとか」

「……っ!」

「それで、今更なにしに来た?それもたった一人で」

 

 俺の問いかけにブルーグラス中将は少し間を置くがその答えはあっさりとしたものだった。

 

「何もしないさ。別に戦いに来たわけじゃない」

「何だと?」

「現状動けるのがウチと黄猿大将のみだったから現場の状況を把握しに来ただけさ。首謀者は既に逃走しているのにこれ以上できる事なんてないからね」

「俺達を前にしてそれを言うのか」

 

 政府にとって不都合でしかない俺等を前にブルーグラス中将はキッパリと言い張った。

 

「言うね、相手との力量差ぐらい分かる。ここじゃ能力も十分に発揮できない。ウチにできることは現状の把握とその報告だけだよ」

 

 そういうブルーグラス中将は辺りを見渡し俺たちの足元に転がる白骨体見つめる。

 

「どうやったのかは不明だが、その服サターン聖のだね。全く、これは大事件になるよ。五老星が亡くなったんだ。前代未聞だよ」

「こいつを殺したのはウチらじゃ……!」

「ジニーさん!!」

 

 ジニーさんが弁明しようとするとしたので俺が声を上げて止める。ビクッと体を震わせるとこっちに顔を向けてきたので理由を話す。

 

「アルガ……?」

「それ以上はダメです。殺されます」

「っ!悪かった」

 

 ジニーさんも察したようで口を閉じる。そもそもイムの存在は俺たちが知っていていいものじゃない。海軍とはいえこの人にも話せばきっと彼女も消されてしまうだろう。

 

「中将さん、目的は本当にそれだけ?」

「ロビン?」

「状況の把握と報告だけならわざわざ私達に近づく必要はない。にも関わらず危険を顧みずに接近した理由がある筈よ」

「流石だねニコ・ロビン。……と言ってもそんな仰々しいものじゃない。聞きたいことがあっただけさね」

「聞きたいこと?」

 

 ロビンの着眼点を賞賛しブルーグラス中将は俺と向き合った。

 

「一つ答えな鬼の戦漢。お前さんは、世界政府をどう思っとる?」

「悪口が聞きたいのなら1日じゃ足りないが?」

「冗談はいいから答えな。簡潔に頼むよ」

 

 冗談なく言えるんだが……。

 

 だが、おそらく彼女が聞きたいのはそういうことではないのだろうと思い世界政府に対し率直な意見を述べた。

 

「海軍と連携し海賊を取締って国民を守る姿勢は素直に褒めるよ。組織ぐるみで組めるからこそできる事だ。そして、同時に組織だからこそ一定数生まれる膿みたいな連中もいる。まあ、こればかりは集団心理による現象もあるので仕方がないのも分かる、だが……」

 

 膿以前の問題、世界の癌について答える。

 

「天竜人、あいつらの行いは許容の範囲を優に超えている。道徳心倫理観が欠落しているクセに海軍は奴らの行為を抑制するどころか肯定してやがる。俺はそれが許せない」

 

 これが一被害者である俺の意見だ。いや、この場の全員か。ここにいる誰もが天竜人に人生を無茶苦茶にされている。だからか皆も俺の意見に頷いていた。

 

「ならば世界政府は滅びた方がいいと?」

「現時点で言えばな。そうすりゃ海軍も幾分かまともになんだろ」

「ヒヒヒ、そういやあの時も「政府の都合のいい正義」って改名しろ、とか言われたねェ。………全くもってその通りだよ」

 

 ブルーグラス中将は遠くを見つめ何か意を決したのか改めて俺達と向かい合った。

 

「お前達なら、いずれ本当に変えちまいそうだ。世界を───」

「お前っ、マントを……!?」

 

 絶対正義のマントを外して……。

 

「ここにはウチらしかいない。だからここでの話は他言無用で頼むよ。くま」

「おれか?」

「ウチはゴットバレーで警備を担当されていた。だからお前さんが逃げた元奴隷なのは知っていた」

「何っ!?」

「しかし、ウチはその事を軍へ報告をしなかった。思えば、あれがウチのせめてもの抵抗なったんだろうなァ。「政府の都合のいい正義」への……そんな、これまで数え切れない者達を切り捨ててきたウチが言える事ではないが言わせておくれ」

 

 政府に傀儡と成り果てた海軍としてではなく、本物の正義を志した一海兵としてブルーグラス中将はくまさんに頭を下げた。

 

「その島でウチが切り捨てた、本来殺される筈だった500を越える命を救ってくれてありがとう」

「っ!!!?」

 

 くまはさんは酷く動揺する。まさか海兵が頭を下げるなんて誰が想像できようか。当人でない俺達も言葉を失った。

 

 くまにお礼を伝えると今度は俺に視線を向ける。

 

「そして、鬼の戦漢……いや、フィッシャー・タイガーに続き聖地の奴隷解放を果たした裏の英雄と言おうか」

「俺の事まで……」

「ウチら切り捨てた、切り捨てる事しかできなかった者達を救ってくれてありがとう」

 

 再び頭を下げる姿に俺は立ち尽くした。海兵が海賊に、それも元奴隷の俺達に……。

 

「……ばーさん、あんたどこまで知ってるんだ?」

「さてね、年寄りは長生きしてる分見分が広いけど物忘れも酷いからねェ」

 

 あからさまにはぐらかしヒヒヒと怪しげに笑うとブルーグラス中将は再び真剣な表情に戻る。そして、俺に忠告する。

 

「お前さんには海軍には持てない「自分の正義」を持っている。だが、覚えときな。この世は「自分の正義」を消し去れる「世界の正義」が存在する。それに楯突く正義は尽く「世界の正義」に「悪」の烙印を押され消されてきた。オハラやサウロと同じようにね」

「……っ!」

 

 ブルーグラス中将の口からサウロの名を聞きロビンが顔を強張らせる。一瞬、ロビンに寄り添おうとするがロビンは大丈夫だと目で伝え足を止める。

 

 サウロは生きている。だから平気だと。

 

「裏の英雄アルガ、お前さんはそれでも世界政府に楯突くかい?」

「勿論だ」

「大切な人達が死んでもかい?」

「っ!それは……」

 

 相手の質問に一切迷いなく即答するが容赦のない追撃に口が止まる。俺の行いで周りに被害が出る可能性は大いにある。サボさんがいい例だ。俺が原作を改変してしまったばっかりに彼にも被害が及んでしまった。

 

 そんな俺が無責任に答える事なんて───

 

「勿論よ」

「え、ロビン……」

「彼は決して万能ではない。どこかで限界は必ず訪れるでしょう。だけど、彼の穴埋めなら私が……いえ、私達が補う」

 

 ロビンの返答にジニーさんやくまさんも腕を組んで強く頷いていた。

 

「アルガにゃあ何度も助けられた。だから困った事があれば今回みたくウチも助けてやんねェとな。強ェけど意外とメンタル雑魚だからな放っておけねェんだわコイツ」

「ああ、おれもそうだ。彼には恩がある。なら、彼が困った時は助ける。それが友達だ」

「皆……!!」

「へェ、これはなんともまあ……眩しい正義だ」

 

 そう呟くとブルーグラス中将は正義のマントを羽織り直すと来た道を戻り始める。

 

「聞きたい事は聞けた。もう用はなくなったしウチァそろそろ行くよ。お前さんらも早くここを去りな。()()()()()()()

「……?ん、あ、ああ」

 

 何やら含みのある言い方だな。でも、まだ地上には黄猿が居るんだから早くこの島を出ないといけないのは間違いないよな。

 

「くまさん俺達を皆の所へ飛ばしてください」

「そうだな、わかった」

 

 くまさんも下にいる黄猿が気になっているようで素早く手袋を外す。ブルーグラス中将とはここでお別れになるので俺は最後に別れを告げた。

 

「なあ、最後にいいか?」

「なんだい」

「今回あんたと話せてよかった。また会う機会があるかもしれないがその時は敵同士だ。お互い気をつけよう。またな」

「……ああ、()()()()

 

 最後の言葉を交わすと俺達はくまさんの能力でぱっとこの場から姿を消した。そして、皆のいる船へと飛んでいく。

 

 その道中、一緒に飛行しているロビンから声をかけられる。

 

「意外と話せる海兵だったわね」

「そうだね、戦っていた時は軽蔑してたけど今回話して見方が変わったよ。個人的には割と気に入ったかも」

「ふふふ、そうね。ねえアルガ……次の島はいよいよエルバフじゃない。私、待ち遠しいわ」

「サウロに会えるから?」

「ええ」

 

 そう答えるロビンの顔は笑顔で満ちていた。20年以上も前から死んでいたと思っていた友達が生きていてもうすぐ会えると思えばそういう表情にもなるよね。

 

「アルガもそうだったの?」

「と言うと?」

「まだ気が早いけど、アルガの気持ちが少し分かった気がする。「初めての友達と再会」喜びと言うものを」

「だろ、多分再会した瞬間大泣きするんじゃないか?俺もクロコダイルと戦っている途中じゃなかったら号泣して抱き締めてたと思う」

「それは私が困るわ……///でも、アルガの言う通りよ。早く会いたいわ。サウロ」

 

 友達の名を呼ぶロビンを見てつい微笑ましく感じでしまう。俺も二人の再会は是非とも見届けたい。彼女がこれまでどれだけ頑張って生きてきたのかを伝え「よく頑張った」「よく生きててくれた」と褒めさせてやりたい。

 

 二人の再会はきっとロビンにとって空いた心の穴を埋めてくれるかけがえのないものだから。

 

 こうして、色々あったエッグヘッドの戦いは幕を閉じ俺は次の島での楽しみを胸にしばらくの間空の飛行を続けるのだった。

 

 再会に心躍らせるロビンと一緒に。

 

 

 

 

 

「またな、かァ……」

 

 恐らくそれは叶わないだろう。故にあの場でウチは「またな」ではなく「じゃあね」と返したのだ。

 

 ……真っ直ぐな子じゃったなァ。

 

 海賊でありながら自分の正義に実直。ウチァ眩しくて直視出来なかったよ。情けないねェ……。

 

『天竜人の欲望に振り回された人達を助けねェでお前ら───どの面下げて正義掲げてんだァ!!!!』

 

 戦場での彼の言葉を思い出す。返す言葉もない。全くもってその通りだ。

 

 じゃが、大人というのは守るものが増えていくに連れて守れる幅が狭くなる。全く、歳は取りたくないねェ。

 

 だけど、これがウチ選んだ選択。なら最後まで責任は果たさないと。

 

 ウチは「研究層」から飛び降り地上へと着地する。そして、つい先程……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のを思い出し頭上を見上げた。

 

「さて、これが……報いかねェ」

 

 空を仰ぐ視界の先では奇妙な現象が起きていた。

 

 

──ズ ゴ ゴ ゴ ゴ…ッ!!!!

 

 

 島中の瓦礫や燃え広がる炎が浮かび上がり島の上で密集していく。その大きさは留まることを知らず島を飲み込むサイズへと変貌する。

 

 藤虎大将の能力に似ているがあの人は今回の任務には就いていない。となると……。

 

「神の騎士団か」

 

 流石は世界政府、手が早い。あんな物が落ちてきたんじゃこの島にいるものは何も残らんな。不都合なものを消すにはこれが手っ取り早いのは理解できるが。

 

「軍艦まで距離がある。もう間に合わんな」

 

 もう少し早くあいつらとの会話を切り上げれば……いや、そうでなくともウチは……。

 

 彼らの眩しい正義に当てられ……もう疲れてしまったよ。「世界の正義」に……。

 

「アルガ、最期にあんたと話せてよかった。これで心意気なく任せられる」

 

 ウチには救えなかった命を、彼は……否、彼らならこの先も救ってくれる。世界を変えてくれる。ならウチは安心して自身の罪を受け入れよう。

 

 天竜人を止め切れない罪、奴隷に堕ちる者を助けなかった罪、それを正義だと己を騙し続けた罪……全てを。

 

「さようならだよ」

 

 そして、ウチは自身の過去を悔やみ空から降り注ぐ()()()()()()()()災厄を己の天罰と受入れ───

 

 

 

 エッグヘッドは跡形もなく消し飛び、島は地図から消えた。

 

 




どうも皆さんもしロマです!
12話をご覧くださりありがとうございます。
今回でエッグヘッド編も終了し次回はいよいよエルバフ編!
……ですが、以前にもお伝えしましたように次の投稿は原作がエルバフ編を締めるまで一時中断とさせていただきます。
詳しくは活動報告をご覧ください。

ではまた会いましょうでわでわ~~( ´ ▽ ` )シ
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