正直彼女は生きて欲しいんですよね。すごく人間味があって美しいというか。
ただ己のためだけに動く姿は自分的にはすごく綺麗で汚くて美しくて醜くて・・・とても興奮します。
「何をしているんだ」
「・・・・・・僕の勝手でしょ、そんなの」
ショートカットの少女は鉄橋の手すりにの手をかけ上半身が乗り出していた状態にあった。
「自殺するには向かない場所だな。水量がなければ流れが特別早いというわけでもない」
「本当になんのようなの?たまたま見えたから自殺を止めようとしてきたのかな」
「死にたいようには見えないが」
「・・・・・・へ?」
「目を見れば分かる。別に死にたいわけじゃなく何処か遠くに行きたいという目をしているぞ。落ちた後はゆっくりとその体を誰もいないところへ送ってくれるとでも考えていたのだろ?」
「エスパーかよ・・・」
ふむ、どうやら合っていたようだ。
光世は目の前の家出少女に近づいていく。それに少し怯えたように後ずさる。
「ちょ!?なんで近づいてきてるのさ!」
「話すには遠すぎるだろ。俺は目を合わせて話したいのでな」
「・・・話すことなんて・・・ない」
「嘘だな。目は口ほどに物を言う。憎悪、哀惜、後悔、愛心、正と負の感情がごちゃごちゃになってどうすればいいのかわからないんだろう。それに君は他の子供よりも教養があって大人に早くなろうと背伸びしている子供だな」
「・・・僕が見る限り君と僕って同い年だと思うんだけどさ、なぜか君の方が大人のように感じちゃうんだよね。なんでかな」
「これでも人生経験は濃いんだ」
「・・・てっ違う!?結局君はなんで僕が飛び降りようとしたのを止めたのさ!!」
「何も解決していないのに死のうとしている馬鹿を止めただけだが」
「は?もしかして僕のことじゃないよね?」
「お前のことだが?」
何を言ってるんだお前はと言う顔をして死にたがりの馬鹿少女に答える。
「僕のことなんて知らないでしょ!どれだけ僕が苦しんできたのかなんて知らないくせに!!」
「ああ知らん」
「じゃあなんで!!」
なんで手を差し伸べているんだよ。
「俺は『助ける』なんて言わない。お前を本当に助けることができるならしたいがな、現実はそれほど甘くない。助けるためには金も権力も時間も必要だ」
「それなら!それなら死んでも---」
「死んで花見が咲くものか」
「---なに」
「枯れてしまった気には花も実もならないように、人間も死んでしまったらおしまいだ。けれど」
「生きていれば・・・巡ってくる・・・」
「まだ生を受けてから十数年しか生きていないだろ。あと40年くらいは生きてみたらどうだ。」
『簡単すぎる人生に、生きる価値などない。』ソクラテス
思うようにいかないからこそ人生は面白いものになる。
愛する家族死んだとき。母親に憎まれたとき。
このような出来事は自分の人生を大きく変えるターニングポイントだ。
「こんな僕でもいつか、いつの日か花を咲かしたり、実を実らせることができるの?」
「それは俺には分からん。自分の人生は自分で決めるんだ。だが手を貸すことぐらいはできる」
柳生の手を握り鉄橋の手すりから離れる。
太陽が出始め、光が、自分のために生きると決めた少女の顔を照らす。
既に死に急ぐ顔ではなく、未来を楽しみにする少女のものに変わっている。
桜の木には一つの花が咲いていた。
死にたい人の気持ちは分かる。
けど救う方法がわからんわ。
わしの場合推しに救われたって言うのはあるけど。
光輝よくこいつの自殺止めたな。助けはしなかったけど。