熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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空に現れた脅威 飛び出してしまったエル 旧・ヒョウの過去 ユキへの憧れ(パート6)

学校を終えたアサヒ、ましろの二人。彼等は取り違えて持って行ってしまったユキの鞄の中にヒョウを連れた状態で虹ヶ丘家へと到着。それから居間へとその光景を見て唖然とする。

 

「赤ちゃん用のケーキですよ〜!」

 

「えるぅ!」

 

「はぅう……ごめんね、ケーキ何個か失敗しちゃって……」

 

「ユキさん、そんなに気にしなくても大丈夫ですから」

 

そこには居間のソファーに隣り合って座るユキ、ソラ、ツバサの3人がおり、ソラの膝元にエルが座っていた。そして、ソラの右側にはユキがしょぼんとしつつ座っておりツバサがそんなユキを慰めている。

 

何故こうなっているのか。簡潔に言うと3人は仲直りした後、エルのために赤ちゃん用のケーキを作って用意しようという話をする。しかし、ユキがケーキを手作りしようとした所、いつもの如く彼女の料理下手が出てケーキを幾つか失敗策にしてしまう。

 

具体的には分量ミスをやらかしたりケーキを焼き過ぎて黒焦げにしたり等だが……。

 

「あはは、結局ヨヨさんが代わりにやってくれてましたよね」

 

「うう……。もっと勉強しないとだよ……」

 

それはさておき、エルはケーキ作りの裏話よりもケーキが食べたいのか。もう既にケーキの方に前のめりになりつつあった。

 

「えるぅ!」

 

「っと。エルちゃん、食べたそうですね。それでは早速どうぞ!」

 

ソラがエルのためのケーキを食べさせるべくスプーンで掬うとそれを彼女の口元に持って行こうとする。

 

「えーる……」

 

エルが“あーん”と言わんばかりにケーキを食べようとした時。ケーキに乗っていたイチゴのジャムが溢れそうになってしまう。

 

「おっと!」

 

するとツバサが咄嗟にケーキの乗った皿を移動させるとその場所にジャムが落ちてくるようにフォローする。

 

「える!」

 

「ツバサ君は本当にエルちゃんを助ける騎士みたいになってますね!」

 

そして、そんなツバサの姿にソラは彼が自称だけで無くちゃんと行動でも騎士みたいな事をしていると感心していた。

 

「ツバサ君、凄い」

 

「あはは……照れちゃいますね」

 

「「「えっと、どゆこと?」」」

 

そして、そんな3人の仲の良さを見たアサヒ、ましろ、ヒョウの3人は困惑。何しろ、出かける前まであんなに険悪だったはずの空気はどこへやらと言わんばかりに消えると逆に3人共が仲良くしている。

 

「あの……何で皆こんなに仲良くなってるんだ?」

 

「えっ?でもそれだったら……」

 

「アサヒさんとヒョウも二人揃って仲良くなってるじゃないですか」

 

アサヒが疑問符を浮かべているとユキとツバサも前日まであんなに喧嘩しまくってたアサヒとヒョウが近くにいても何も争わない様子に揃ってキョトンとしていた。

 

「ばっ!?そ、そんなわけ無いしー!アサヒと俺が仲良くだなんてそんな……」

 

「ヒョウ、お前なぁ……」

 

「それとこれとは話が別だ!」

 

ヒョウはアサヒと仲良くするなんてあり得ないと言わんばかりだったが、その声色に前日までのような明らかな敵意は無く。顔が多少赤くなってる所からもただ純粋に恥ずかしいだけらしい。

 

「何にせよ良かった。二人が仲良くなってて」

 

「あはは、じゃあソラちゃん達の方の事情も聞いて良いかな?私達の方も話をしないといけなさそうだし」

 

「わかりました!」

 

それから双方で起きた出来事を共有する事になり、ツバサ、ヒョウの二人はユキ達四人全員から受け入れられた。

 

「そうだったんだね……」

 

「ツバサ、凄く大きな夢を持ってるんだな」

 

「それに、その夢の達成のために頑張ってる。そんなの、私達は応援するしかないよ」

 

「ヒョウ君の事については当時ユキさんから聞いていましたが……やはり酷い親ですね」

 

「うん。でも、今はその親元から離れてるし元気にやれてる。ヒョウ、これからよろしくね!」

 

「ありがと、ユキ姉……皆」

 

こうしてユキ達三人もツバサと友達になる事になり、そしてソラもヒョウの過去を聞いて友達になるのであった。

 

それからはようやくそれぞれの確執が無くなったという事で今は六人での時間を楽しもうとする。しかしその瞬間、突如として外から何かの音が鳴り響いた。

 

「ッ、何!?」

 

「今の音、外からだけど……」

 

「見に行こう!」

 

それからユキ達6人とエル、ヨヨは外に出るとその視界に上空から街を襲う巨大なUFO型のランボーグが映る。

 

「あれはランボーグですか!?」

 

「この前の電車の時と同じで大きくない!?」

 

一同は空中に浮かぶランボーグの出現に驚いてしまう。実はこの少し前の事。

 

〜少し前 ソラシド市街の中の公園〜

 

ランボーグが出てくる少し前。夕方の街中、その中では公園でドローンをコントローラで操作して遊んでいる子供達がいた。

 

「カッケェ!」

 

「貸して貸して!」

 

「順番だよ」

 

そんな風にドローンを操作する順番について話をしていた3人。そんな時、突如として3人の前に大柄な影が現れる。それはプリキュアを倒すための作戦を必死に考えていたカバトンであった。

 

「順番ねぇ。じゃあ強い者順って事で……どうよ!!」

 

「「「うわぁああっ!?」」」

 

カバトンは子供達を脅す形でドローンを奪い取ってしまうとそれを手に笑みを浮かべる。するとそんなカバトンへとジト目を向ける形でシャドーが話しかける。

 

「ぐふふふっ」

 

「カバトン、わざわざ子供を脅してそんな物を手にして何のつもりだ?」

 

「へっ、さっきお前が言ったアドバイスを実行するのにコイツが必要だったからな。何なら、これを使えばプリキュアに勝つ事だってできるのねん」

 

シャドーはカバトンが手にした物、ドローンの玩具を見ると少しだけ考えてからカバトンの策を理解する。

 

「……なるほどな。確かに発想は面白い。お前にしては悪くない考えだな」

 

「“お前にしては”は一言余計なのねん!」

 

「まぁ、お前がどういう作戦で動こうが俺には特に関係は無い。せいぜい油断するなよ」

 

「わかってるのねん。それじゃあ早速、カモン!アンダーグエナジー!」

 

カバトンはシャドーとの会話をひと段落させると早速アンダーグエナジーを召喚。今子供から奪ったドローンを使って巨大なUFOランボーグを呼び出すのだった。

 

〜現在〜

 

そんなわけでランボーグを召喚したカバトン。彼は早速プリキュアを殲滅し、目的であるプリンセス・エルを連れ去るべく街を襲撃。プリキュアを誘き出そうとしていた。

 

『プリキュアァアッ!どこだ!!とっとと出てきて勝負するのねん!さもないと……ポチッ!』

 

その瞬間、ランボーグの体の下側から赤いレーザー光線が放たれるとその攻撃が地上の街に命中。街ではランボーグからの攻撃に黒煙と共に人々は逃げ惑い、大惨事になってしまっていた。

 

『うわぁあああっ!?』

 

『にゃーっはっはっは!それでは皆さん御唱和ください。せーのっ!俺TUEEE!!』

 

カバトンが自分の強さに酔いしれているのか笑い声を上げる。そして、そんなカバトンの乗るランボーグを建物の屋上から見上げる形です見ていたシャドーは笑みを浮かべつつ呟く。

 

「さぁプリキュア、どうする?早く来ないともっと被害が広がるぞ」

 

そして、ユキ達はそんなUFOランボーグが暴れている様子を虹ヶ丘家の庭から確認。ツバサはその様子に思わず声を上げた。

 

「あんな形の物が空を飛ぶなんて……デタラメだ!航空力学的にあり得ません!」

 

「今はそんな事を言ってる場合かな……」

 

ツバサは航空力学を勉強していたためにその理論に当てはまらないUFOのランボーグを見て思わずそんな声を上げ、ましろにそんな事を言ってる場合では無いとツッコミを受けていた。

 

「あ、ごめんなさい。つい……」

 

「ツバサ君、エルちゃんをお願いします」

 

「ヒョウも任せたぞ」

 

そんな中、ランボーグが暴れているとあればプリキュア達はそれを見過ごすわけにはいかない。シャドーやカバトンが狙っているエルを安全な場所であるここに残して早速ユキ、アサヒ、ソラ、ましろの四人はミラージュペンをそれぞれ手にした。

 

「っと、そうだユキ。これ」

 

「あっ、ごめん!私が取り違えてたんだよね」

 

すると変身前にどうにかユキとアサヒが鞄ごと取り違えていたミラージュペンとスカイトーンを相手に返す。そんな風にプリキュアの四人が行こうとしているのを見たエルは不安そうな声を上げる。

 

「える!?」

 

「エルちゃんは危ないからここにいて!」

 

「はい、気をつけてください」

 

「えーるぅ」

 

エルの不安な声に対して四人が止まることは無い。何しろあれだけ大きなランボーグだ。放っておけば街への被害はどんどん拡大する。それだけは避けないといけなかった。

 

「ユキ姉、アサヒもお願い」

 

「うん!」

 

「任された!」

 

それから四人は早速プリキュアになるべくミラージュペンをスカイミラージュへ。スカイトーンを装填して変身する。

 

「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!」」」」

 

「ひろがるチェンジ!サンライズ!」

 

四人は掛け声と同時にプリキュアへと変身。今回の変身のメイン担当はサンライズだ。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

「静かにひろがる白い雪景色!キュアスノー!」

 

「夜明けにひろがる眩い朝日!キュアサンライズ!」

 

「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」

 

四人は変身を完了するとランボーグを止めるために街へと飛び出していく。それを見たエルはどうにかして行こうとしてジタバタする。

 

「行きましょう!」

 

「「「(うん)(ああ)!!」」」

 

「え〜るぅううっ!」

 

「中に」

 

「はい。行こう、エルちゃん」

 

しかしエルは赤ちゃんの身である以上、ツバサ、ヒョウ、ヨヨの決定に逆らう事はできない。

 

「えるるぅう!!」

 

「エルちゃん、ここは危ないからね」

 

「える〜ぅう!!」

 

それでもどうにかプリキュア達の元に行きたいと思ったエル。そんな彼女の意思に呼応したのか、小舟の形に変化したスリングが飛んでくる。

 

「うわっ!?」

 

「ッ、ツバサ!?」

 

その瞬間、ツバサはいきなり飛んできたスリングに驚くと思わずエルから手を離してしまった。

 

「いけない!?」

 

「しまった!」

 

「えるるぅ!!

 

そのままエルは小舟の上に乗ると3人が止める前に行ってしまう。その様子をただ唖然とした様子で見送る3人。するとヨヨの携帯にあげはからの電話が入る。

 

「もしもし、あげはさん?」

 

『ヨヨさん、街でランボーグが暴れてる!』

 

ヨヨが電話に出るとあげはが切羽詰まった様子で声を上げていた。電話の様子からして、ランボーグが真上で暴れている街中にいるらしい。

 

「今見たわ。あげはさんは街にいるのね?」

 

『えっ、エルちゃんが一人でこっちに向かってる!?……きゃっ!?』

 

あげははヨヨからエルが空飛ぶ小舟と化したスリングに乗って街の方に来ているのを聞いて驚くとそのタイミングで近くにランボーグのレーザー光線が着弾してしまう。

 

ただ、今あげはがいるのは上からはすぐに視認できない細い路地だったために次の攻撃が来る事は無く。あげははヨヨからの頼みに応える事になる。

 

『わかりました、私に任せてください』

 

「居場所はミラーパッドで探して連絡するわ」

 

ヨヨはあげはとの電話を継続しつつ未だにエルが行ってしまって放心状態のツバサとヒョウへと声をかけつつ家へと行こうとする。

 

「ツバサさん、ヒョウさん。あなた達は中に」

 

ただ、まだあげはへの連絡事項が終わってないためにヨヨ自身は家の方を向いたまま話を継続する事に。

 

「でも無理はしないで、先にプリキュアに会えたらエルちゃんは彼女達に任せて安全な場所に避難して」

 

ヨヨが二人から視線を外した時。ツバサとヒョウは顔を見合わせると自分達が同じ事を考えていると何となくで感じ取り頷く。

 

「エルちゃんが危ない」

 

「でもどうやって行く?ここから最短ルートで行くには……」

 

何しろ2人にはプリキュア程の身体能力なんて無い。ここからまともに走ったのではエルの危機的状況に間に合わない可能性が高いのだ。そのため、この場所から手っ取り早く行くためには空を飛ぶしか無いが……。

 

プニバード族の2人は空を飛ぶ事ができないためそれも絶望的に思えてしまう。しかし、それでもツバサはやる気だった。

 

「ヒョウ、風を読むんだ。ボク達ならできる」

 

「ッ、勉強してるツバサなら兎も角俺には……」

 

ヒョウはツバサと違って航空力学の本を読んで無いので正直やれる気はしない。だけど、ツバサだけが危険を冒すくらいなら自分もその力になりたい気持ちがあった。

 

「ううん。弱気になったらダメ。ぶつけ本番になっちゃうけどツバサのためにやるしかない」

 

「ヒョウ、行くよ」

 

「ああ。俺達なら……できる!」

 

その瞬間、二人はプニバードの姿に変化。そして街の方へ向かうために駆け出すと丘から空へと飛び出す。そして小さな翼をパタパタと動かして空を飛び、進もうとするのであった。

 

「「うぉおおおっ!」」

 

果たして、プリキュア達は街で暴れるランボーグを止められるのか。そしてエルを無事に連れ戻せるのだろうか……。

 

〜おまけ ひかるの世界移動〜

 

ランボーグがソラシド市上空に現れる少し前の事。一人で帰宅の途についていたひかるは帰り道を歩いているとふと脳裏にある人物が浮かぶ。

 

「そうだ、らんこさん……」

 

それは春休みのラスト一日で出会った並行世界の友達。風波らんこの事だった。そして、ひかるは鞄の中に入れていたスカイトーンを手にする。これはらんことのペアルックであり、彼女との絆の証だった。

 

「らんこさん……上手くやれてるのかな……。らんこさん、フードを外したら可愛くて……だとしたらもう彼氏とか作ってるのかな?……もしそうだったら嫌だな……」

 

ひかるはらんこの事を考えていると寂しさがどんどん募っていく。ひかるは彼女と別れて以降度々らんこの事を考えていた。

 

「あの可愛い顔をもう一回見たい……うう」

 

ひかるはそう思う所から何となくらんこの事を異性として意識していると自覚があった。それでも今のこの状況では彼女の元に行くなんてできない。何しろ相手は並行世界の人間なのだから。そのため、ひかるにとっては諦めるしか無い無謀な恋である。

 

「会いたい……会いたいよ。ああ、もしここにらんこさんの所に行ける穴でもあればなぁ……」

 

ひかるが叶わぬ恋のような気持ちでいっぱいになったそんな時。突如としてひかるの持つスカイトーンがチカチカと光るとそれが何かに共鳴。ひかるの前に緑の空間の穴が空く。

 

「え!?な、何だよこれ……」

 

ひかるはまさかの事態に唖然としていると先程から自分の持つらんことペアルックのスカイトーンが未だに共鳴するように波動を放っていた。

 

「……まさか、これを潜ったららんこさんの所に行けるのかな……」

 

ひかるはそれができるならとらんこと会いたいと強く願いながらその穴へと飛び込む。その直後、穴が消えてしまうとひかるの姿はそのままこの世界のどこからも姿を消してしまうのであった。

 

こうして世界を移動したひかるがその先でどんな行動をとるのか。それが語られるのはまた別の話である。




今回でアニメ8話分は終わりとなります。今回のおまけのひかるの行動ですが、改めて説明しますと世界移動後の彼の行動は以前私とコラボをした獅子河馬ブウさんの作品の方で説明があります。

もし気になるとか改めて観たいとかでしたらまたそちらの話をよろしくお願いします。

それではまた次回もお楽しみに。
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