熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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お久しぶりです。更新が遅くなってしまいすみません。それではどうぞ!


ヒョウの戦い ツバサの覚悟

スカイとスノーからの拳が叩き込まれる少し前の事。ランボーグから放り出されたツバサとヒョウはエルの乗っていたスリングに乗ることで難を逃れていた。ちなみに気絶していたヒョウだったが間一髪で目を覚ますとスリングに乗ることができたのである。

 

「ふぅ、詰めの甘い奴で助かった」

 

「アイツ、落としたと思ったらすぐに行ったもんな……色々と甘すぎだろ」

 

二人が言い合う中、それでも状況が変わったとは言い難い。このままではどちらにしてもエルを助ける事はできないだろう。

 

「……けど、ボク達じゃダメだ。後はプリキュア達に……」

 

「待て。まだ諦めるには早いだろ。ツバサ、お前のエルちゃんを助けたい気持ちはそんな物かよ」

 

ヒョウがそう言ってツバサを叱咤する。それ。聞いてツバサもエルが涙する瞬間を思い浮かべた。

 

「ヒョウ……そうだ!」

 

それから二人はコッソリとランボーグへと近づくとランボーグの外周に存在する窓を割って中に入り込む。そして、ツバサとヒョウは人間態へと変わるとカバトンと共にいるエルを探す。

 

するとエルはすんなりと見つかった。そこにいたのはカバトンが紫のゲートの前で誰かと会話する様子である。

 

その会話の相手はカバトンの上司のようでカバトンはエルを連れて行った際の報酬についてカバトンから頼み込んでいた。

 

「ヒョウ、今のうちに」

 

「ああ」

 

それから二人がエルの元に忍び足で行くとすかさずツバサがエルをシャボン玉から解放。しかしその際の音でカバトンは気が付いてしまう。

 

「あん?」

 

「やばっ!?これでも喰らえ!」

 

その瞬間、振り向いたカバトンの顔面にヒョウからの拳が命中。流石にパワーの差があっても顔面をやられればカバトンでもタダでは済まない。カバトンは吹き飛ばされるとゴロゴロと転がって壁に激突する。

 

「のわあっ!?」

 

「ツバサ、今だ!」

 

「うん!」

 

ヒョウが何とか時間を稼いだ間に二人揃って走り始める。一方のカバトンは僅かにダメージに顔を歪めたものの、まだまだ健在ですぐに追いかけてきた。

 

「待てやこの赤ちゃん泥棒!」

 

「「いや、お前に言われたくない!!」」

 

カバトンからの言葉に二人はブーメランを返すと一目散に逃げる。そんな中、ヒョウはツバサへと声をかけた。

 

「ツバサ、ここは俺に任せて先に行って!」

 

「でもそれじゃあヒョウが……」

 

先程は不意打ちしたからカバトンを何とか倒せたのである。真正面からやり合えばどうなるか。容易に想像がついた。

 

「……ツバサ、今までありがと」

 

「えるぅー!!」

 

それからヒョウは立ち止まるとカバトンのいる方向へと戻っていく。そんなヒョウをツバサやエルは見捨てられないと思うが、それでも今は逃げるしか無い。ツバサは悔しそうにしつつそのまま走って行った。

 

「良かった……さて」

 

するとヒョウの正面からカバトンが現れるとヒョウへと突進してくる。ヒョウ程度なら突進で十分だと思っているからだ。

 

「邪魔なのねん!」

 

「はっ!」

 

その瞬間、またヒョウは後ろに飛び退きつつポンと音を立てて姿を変える。その際に発生する煙幕でカバトンの視界を奪った。

 

「何度も同じ手を喰らうとでも……」

 

しかし、ヒョウの狙いは違った。カバトンは視界を奪われた事で足元にあるバナナの皮に気が付かずに滑ってしまう。

 

「へっ!?うわあっ!」

 

「良し!」

 

ヒョウはしっかりと周りを見て何か使えるものが無いかをちゃんと考えて行動したのに対し、カバトンはエルを取り返す事で頭がいっぱいであったために決まった一発である。

 

「誰なのねん!こんな所にバナナの皮をポイ捨てした奴!……俺か!?」

 

自分でボケて自分でツッコミを決める中、ヒョウはカバトンの前に立つ。

 

「お前なんかさっさと倒してやるのねん」

 

「良いのか?なんかって侮ってると痛い目を見ると思うぜ」

 

「だったら、まずは俺様の攻撃を受けるのねん!」

 

カバトンが拳を繰り出すとヒョウはそれを躱す。それからヒョウはカバトンからの攻撃をことごとく躱し続けた。

 

「なっ!?なんで避けるのねん!」

 

「馬鹿正直にお前の攻撃を受ける奴がいるかっ!それに、俺は時間を稼げば勝ちなんだ。お前とまともにやり合うつもりはない!」

 

カバトンはその言い回しにイライラを募らせる。だがこのままでは確かにツバサやエルには逃げられてしまうだろう。

 

「クソッ!だったら!」

 

するとカバトンは奥の手だと言わんばかりに尻をヒョウへと向ける。

 

「ッ!?」

 

ヒョウは何が来るのか全くわからずに困惑する中、カバトンはそのままオナラを放出。ヒョウはそれをまともに喰らってしまう。

 

「うわあっ!?」

 

そして、その臭いの臭さはかなりのものでヒョウは悶絶してしまった。

 

「うぐっ……こんなのやって良い事じゃねーだろ……ゲホッ、ゴホッ……」

 

ヒョウが苦しむ中、カバトンはヒョウにできた隙を突くかのように拳を振り上げる。その時であった。突如としてヒョウの首から下げられていた石のカケラような物が発光すると黄緑のオーラが発生。カバトンを吹き飛ばす。

 

「……え?」

 

ヒョウもこれには驚いており、何が何だかわからないと言った顔つきであった。

 

「な、何これ……」

 

しかし、カバトンが吹き飛ばされて転がった今がチャンスである。ヒョウはもうそろそろ時間稼ぎも十分だとカバトンに背を向けるとその場から逃げ出した。

 

「あっ!待つのねん!逃げるなこの卑怯者!」

 

「だからお前にだけは言われたくないんだよ!」

 

ヒョウがランボーグから脱出するために先程入った窓ガラスを出るとそこにはまだツバサとエルがおり、ヒョウを待っていたようである。

 

「ッ!?二人共どうして……」

 

「やっぱりヒョウを置いて逃げるなんてできません!」

 

「える!」

 

「カバトンだっていつまでも倒れてるわけじゃないんだ。早く行かないと……」

 

そんな事を言っているとカバトンが三人を捕まえようとして追ってくる。

 

「ツバサ」

 

「うん、エルちゃん。エルちゃんは一人で逃げるんだ」

 

「える!?えるぅ!」

 

しかし、エルは二人を残しては行けないと首を横に振った。そんな中カバトンは小さな窓ガラスから無理矢理抜けようとする。

 

「エルちゃん、お願い。俺達は置いていって良いから」

 

「えるぅ!」

 

「仕方ない……」

 

するとヒョウは隙間を抜けようとするカバトンの顔面へとドロップキックをぶつけるとカバトンを壁へと叩きつけさせて時間を稼ぐ。

 

「おりゃ!」

 

「ふぶっ!?」

 

そして、その間にツバサはエルの乗ったスリングに掴まるとそのままヒョウも飛びつくようにエルの後ろにプニバードの姿で乗る。

 

「える!」

 

そのままエルは逃走しようとするが、やはり重量オーバーで全くスピードが出ない。

 

「ダメだ、スピードが出ない……」

 

「くっ、逃すか!」

 

カバトンはそんな姿を見てすぐに操縦席に戻るとランボーグを動かす。このままではスピードの差で追いつかれてしまう。

 

「……ヒョウ、エルちゃんをお願い」

 

「ツバサ?」

 

その瞬間だった。ツバサがスリングから両手を離したのは。それを見たヒョウはスリングから飛び降りるとポンと人間の姿になる。

 

「ツバサ!」

 

「ヒョウ、どうして……」

 

「お前だけ行かせるかよ……行くなら俺も一緒だ」

 

「……そっか……結局、飛べなかったな」

 

「俺も……家を出てから何も得ることができなかった」

 

二人は目を瞑るとそのまま落下の勢いに身を任せる。そんな中、ヒョウの脳裏にはある光景が走馬灯として映った。それは、ユキと初めて出会って助けられた後。ヒョウが家に帰るとヒョウの家族は皆揃ってヒョウを役立たずだと蔑んだ。

 

「して……どうしてそんなこというの!ヒョウは、ヒョウはやくたたずじゃない!ヒョウは、ヒョウはつよいんだよ!」

 

ユキからの言葉を聞いたヒョウの家族はそんなユキを嘲笑う。ヒョウは出来損ないだと何もできないクズだとヒョウを馬鹿にする。ユキは震える体でヒョウの家族へと声を張り上げていた。

 

「ヒョウをばかにしたらダメだよ!どうして……ヒョウのおとうさんもおかあさんも、ヒョウをたいせつにしないの!」

 

ユキは涙目になりながらも必死にヒョウのいる価値を説いていたのだ。そんなユキにヒョウは救われた。世界のどこかには自分をちゃんと見てくれる人がいると思い出させてくれたのだ。

 

するとヒョウは目を開けるとツバサの体に手を置いて揺らす。そして声を上げた。

 

「ツバサ、まだ何も終わってない!諦めるな!」

 

「ッ……ヒョウ。でもボクたちプニバード族は」

 

「そんな事で諦めるな!飛べなかったって諦めてこのまま黙って死ぬつもりなら俺は許さない!」

 

するとその時、二人の体が紫のオーラに包まれるとエルが手を翳しており力を発揮していたのがわかる。

 

「える!」

 

「エルちゃん、ボク達の事は良いから!」

 

「えるる!」

 

しかし、エルは嫌だとばかりに首を横に振って拒絶。エルは何が何でも二人を助けるつもりのようだ。

 

「エルちゃん……」

 

「ッ!?エルちゃん、上!」

 

その瞬間、ランボーグが三人の真上に来るとランボーグからトラクタービームが照射されてしまう。そのためにエルは吸い込まれ始めた。

 

「える!?」

 

「「エルちゃん!」」

 

「ぎゃーっはっはっは!ばーか!そんな脇役放っておいてさっさと一人で逃げておけば良かったのに……」

 

カバトンはそう言ってエルを嘲笑う。そんな中、エルは涙を流しておりそんな姿を見てツバサとヒョウは心の中に怒りが湧いてくる。それは、エルを馬鹿にした事に対する感情だった。

 

「「やめろ……エルちゃんを……笑うなぁああっ!」」

 

その瞬間だった。ツバサの胸に光が宿り、ヒョウの首から下げられていた石のカケラが再度輝きを放つとそれがヒョウの体を包み込む。

 

「もし、ボクに最期の時が訪れたとして。その時に思い出すのはボクを笑った人達の顔じゃ無い。プリンセス、ボクを守ろうとしてくれたあなたの顔です!」

 

そして、ツバサの胸の覚悟が形となるとそれはミラージュペンへと変化。そのままツバサの手に握られる事になる。

 

「でも、それは今じゃない。だってこれからはボクがあなたを守るんだから!」

 

「エルちゃん……ユキ姉……俺は弱いよ。でも、まだ俺の心は折れたりなんてしてない!まだ俺の価値を見出したわけじゃないけど、こんな俺でも皆の力になりたいから!」

 

そして、その瞬間。ヒョウの胸の内に声が聞こえるとその光は覚醒の時を迎える。

 

『ありがとうございます……あなたのおかげで……私は目覚める事ができました』

 

「あなたは……」

 

『今は説明している時はありません。……ヒョウ、一時的にはなりますが私の力の一端を行使可能となる力を与えます』

 

そして、その存在はヒョウの体に光を宿すとヒョウから溢れるオーラが輝き出す。

 

「チィッ!させねぇ!」

 

カバトンは何としてでもエルを吸い込むためにその吸い込みの威力を強化。しかし、そのタイミングで自分達へと迫るスカイとスノーの姿が見えた。

 

「面倒なのねん!オートバリア起動!」

 

そのタイミングでランボーグは自動的にバリアを起動する。しかし、その力はいつもより弱まっていた。その理由は単純。ヒョウが纏ったオーラがそれを阻害しているからだ。

 

「ば、馬鹿な……」

 

そして、スカイパンチとスノーインパクトのダブルアタックを喰らったバリアは粉々に砕けると二人の技が命中して掃除機光線も止まる事に。

 

「あ、あり得ねぇ……」

 

「エルちゃん、今だよ!」

 

そして、光線が止まればエルも力を行使できる。そのまま紫の光がエルから放たれた。

 

「ぷいきゅあああっ!」

 

その光はツバサへと飛んでいくとツバサの手にスカイトーンとして収まる。色は夕焼けのようなオレンジで翼のような絵が描かれていた。

 

「プリンセス・エル……あなたのナイトが参ります!」

 

その言葉と同時にツバサはその体を変身の光の中へと包み込む事になる。




また次回もお楽しみに。
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