遥か上空に現れたUFOのランボーグ。それに対してプリキュアが立ち向かうものの、レーザー光線の圧倒的火力に加えてただジャンプしただけでは絶対に届かないと言い切れる程の高さに陣取っているランボーグを前に圧倒されてしまう。
また、プリキュアの苦戦を見たツバサとヒョウの内、ツバサは無策の状態でランボーグ相手に喧嘩を売ってしまうと容赦無く彼へと攻撃が降り注いだ。
『オラオラどうしたぁ!この俺様の相手をするんじゃなかったのねん?』
カバトンからのレーザー光線に手も足も出ずに逃げるしか無いツバサ。彼が必死に逃げる中、もう1人のプニバード族よヒョウはランボーグから自分が狙われてない事から今いる自分の場所がランボーグからの死角である事を確認。
「(……良し、多分だけど俺の今の場所はカバトンから見えてない。俺がツバサを助ける)」
するとカバトンはツバサを助けるために動き出そうとする。するとそこにスリングが変化した小舟に乗って家を飛び出したエルが飛んできた。どうやら彼女はツバサが逃げ惑う際の叫び声を聞いたようだ。
「えるるぅ〜!」
エルは2人の窮地に颯爽と駆けつけるとツバサと並走しつつ乗ってと言わんばかりにエルがスリングにツバサが乗る分のスペースを作る。
「えるる!」
「ッ、エルちゃんが来た!?
「離れて、危ないよ!」
だが、ツバサの目的はエルを連れ戻す事。これでは助けに来た方と助けられる方があべこべだと言う事でエルに逃げるように言う。しかし、エルはどうしてもツバサを助けたいようで。
「えるる!」
「エルちゃん……良し!」
ツバサはエルがどうしても自分の力になりたいと言わんばかりに着いてきたために彼女の気持ちに応えるようにすかさずエルのスリングへと乗り込む。
「たあっ!」
「える!」
「ありがとう!」
ツバサがお礼を言い、ちゃんと乗り込んだのを確認したエルはこのままこの場から一気に脱出するために加速しようとした……のだが……。
「……あれ!?」
「えるぅ!?」
しかし、本来浮かぶエルのスリングは1人用。2人以上が乗り込む事は想定されていない。そのため、ツバサが乗った時点でスリングの許容重量をオーバー。2人の乗ったスリングのスピードは落ちてしまう。
「ッ!」
『にゃ〜っはっはっは!わざわざ2人乗りして速度が落ちるとか笑えるのねん!』
カバトンがランボーグのモニター越しにその様子を見ると馬鹿にするように大笑いする。そして、この状態ならエルを捕まえるのは容易いと考えていた。
「ッ、まだだ!」
その瞬間、ランボーグが映す映像の範囲の外側にいたヒョウは咄嗟にその姿を人間に変えるとツバサとエルの乗ったスリングを抱えて走り出す。
「ヒョウ!?」
「えるぅ!」
2人はヒョウが助けに入ってくれた事に嬉しさを感じるが、次の瞬間ヒョウが何故か顔を顰める。
「エルちゃん、ツバサ、大丈夫か?……って、重いっ!?」
ヒョウが顔を顰めた理由。それは、2人を同時に持った事による重さだった。彼は特段非力というわけでは無い。最低限の筋肉量はあるし、ツバサかエルかの1人だけならどうにかできた。
しかし、流石に2人分を持った状態で全力疾走というのは彼の負担が大きかったのである。
「ツバサ、お前は降りてくれ!流石に2人分を抱えて走るのはキツい!」
「むぅ!しょうがないなぁ」
ツバサはこのままだと逃げられないという事で半ば仕方なく“ポン”と音を立てて人間の姿に変化。そのまま2人は揃って走る事になり、そこからは振り返らずに全力疾走。ランボーグから逃げる事だけに専念する。
それを見たカバトンはこのままではまた面倒な事になりかねないのである手段を使うことにした。
「ふん、そうやって逃げても無駄なのねん!掃除機光線発射!」
カバトンはそう言いつつ操作盤の中にあるエネルギー砲とは別の赤いボタンを押す。
するとツバサ、ヒョウ、エルの3人の元にランボーグからの緑色の光が降り注ぐ。そのままそれが3人の体に当たると痛みこそ無かったが、体が上に浮かぶとランボーグの中へと吸い込まれ始めてしまう。
「「えっ!?ちょっ!?」」
その瞬間、プニバード族であるツバサとヒョウは光線に吸い込まれ始めた際にびっくりすると思わずプニバード化してしまう。
『見たか!これが掃除機光線の威力!どれだけ逃げたとしても狙った獲物を吸い込む事ができるのねん!』
「名前そのまんまかよ!?」
「そんな事よりもこのままじゃ吸い込まれるぅううっ!?」
カバトンが3人へとスピーカー越しに得意げに説明にするのに対し、思わずツッコミを入れてしまうヒョウ。そのまま3人の体は為す術無くどんどんと吸い込まれてしまう。
「「うわぁああああ!」」
「えるるぅ〜!!」
「これで俺様の勝ちなのねん!」
カバトンが勝利宣言をする中、3人は逃げようともがく。しかし、それでも掃除機光線の影響でランボーグに吸われてしまう状況はどうしようも無いのだった。
その頃、とある建物の屋上。そこに繋がる扉を開けたのは先程ヨヨと電話をしていたあげはであった。
「遠目だったけど、さっきのランボーグの攻撃で誰かこっちの方に吹き飛ばされてた。……多分だけど、それはきっと……」
あげははランボーグのエネルギー砲攻撃によってプリキュア達が吹き飛ばされてしまうのを遠目だったが下から見ていた。そのため、慌てた様子で彼女達が吹き飛んだ先と思われる建物に登ったのである。
「皆が無事でいてくれると良いけど……ッ、いた!」
あげははそんな中でどうにか吹き飛ばされてしまっていたプリキュアを発見。急いで彼女達の元に駆け寄る。
「ッ……」
そこにはランボーグの攻撃が直撃こそしなかったものの、吹き飛ばされた際のダメージで倒れて気を失った4人がいた。そのため、あげははすかさず4人へと必死に声をかける事に。
「しっかりして!ねぇ!スカイ、プリズム、サンライズ、スノー!」
それから何度かあげはが声をかけるとようやく4人に届いたのか薄らと目を覚ます。そのため、あげはは4人が目覚めてくれて安堵の顔を浮かべた。
「あげは……ちゃん」
「良かったぁ〜」
「えっと……」
「あげは姉、どうしてここに……」
スノー達はいつの間にか自分達の前にいきなり現れたあげはに未だに困惑したような感じであったが、あげははまだ4人がこの危機的状況を理解できていなさそうだったために真剣な顔つきで話す。
「ッ、私の事よりもだよ!あなた達プリキュアを追ってエルちゃんが家を飛び出しちゃったの!そしたら……」
あげはがそう言いつつ横を向く。そのため、4人も同じようにその方向を見た。すると4人の視界にランボーグへと吸い込まれていくツバサ、ヒョウ、エルの姿を確認。同時に状況を理解して驚きの声をあげる。
「なっ!?」
「エルちゃん!」
「ツバサ君!」
「ヒョウも来てるなんて……」
プリキュア達は流石にもう気絶して起きたばかりのボンヤリとした状態ではいられない。半ば連れ去られるのが確定しているツバサ達3人を助ける必要が出てきたのだから。そして、年長者であるあげはがその場を仕切る事に。
「質問は無し……3人を助けないと……」
「でもどうやって……」
「ただジャンプするだけなら兎も角バリアもあるとな……」
「えっ。あのランボーグ、バリアもあるの!?」
あげははまさかのランボーグがバリア持ちと聞いて先程まで考えていた作戦は使えないと感じる。
「バリアを突破するには多分合体技を使わないと……」
「だけど、2人同時にあの高さの近くにまで連れて行くのは……」
先程のやり方ではスカイしかランボーグのいる場所に届けられなかった。つまり、同じやり方をしても意味が無い。
「ッ、それだったらこういうのはどうかな?」
するとあげはは先程胸の中に考えていた案を少しだけ変える形である事を提案。それを聞いて4人は頷く。
「なるほど、確かにそれならできるかもしれませんね!」
「流石だよあげはちゃん!」
「ありがと……って言いたいけど、それはランボーグの所にまで届いてからかな」
何にせよ4人の取る手段は決まった。後は実行に移すだけである。そのため、4人は横に並ぶと覚悟を決めたような顔で上を向く。
「タイミングは私から声をかけるわ。だから!」
「うん、絶対に助け出そう!」
プリキュア達が作戦会議をしている間にランボーグの中にエル、ツバサ、ヒョウが完全に吸い込まれると掃除機光線も消えてしまう。もう一刻の猶予も無いため4人は早速行動を開始した。
「「「「はぁあああっ!」」」」
4人は少しだけジャンプの踏み込み地点から離れるとそこに向かって助走。そして、先程と同じように4人が同時に建物の屋上を踏み込むとスノーが氷の壁を足元から迫り出させる。
「「「「ジャンプ!」」」」
同時に4人はその壁を発射台兼足場として使う事で跳び上がるというのは先程と全く同じだ。しかし、当然4人がただジャンプしただけでは全くもって届かない。ここからが先程と比較した変化点だ。
「プリズム、お願い!」
「任せて!」
あげはの声に合わせる形で1人だけ身体能力で一段劣るプリズムが3人の後ろに回り込む。
プリズムはここから3人を上に押し上げる役割を担うのだが、当然先程のように足の裏を蹴り込む方式では1人だけしか上に押し上げる事はできない。そのため彼女は別の手段を取る事になる。それが……。
「ヒーローガール!プリズムショット!」
プリズムは両腕を自分の進む正面に突き出すとそこに巨大なエネルギーボールを生成。それはプリズムの個人技であるプリズムショットだ。同時に3人がプリズムショットによって生成された巨大なエネルギーボールに両足で着地。
「プリズム、撃って!」
「はぁああっ!」
プリズムがそれを思いっきりぶっ放すと3人を乗せたエネルギーボールは一気に上へと上昇。しかし、プリズムは空中で技を放った反動で急速に落下。そのまま屋上に叩きつけられてしまう。
「うっ!?」
「ッ……」
あげははそんなプリズムの痛々しい姿に心が痛んでしまう。3人を助けるための作戦とはいえプリズムを完全な踏み台要因として傷つけさせるのは幼馴染としての苦しさが心の中に出てしまうのだ。
「プリズム!?」
「スカイ、振り返っちゃダメだ」
「ッ……」
「プリズムの分まで私達が頑張らないと……」
サンライズの言葉にスカイは苦しみながらも上を向き、スノーもスノーで友達のプリズムが傷つく苦しさをサンライズと手を繋ぐ事でどうにか堪えていた。
すると3人を上に押し上げているプリズムショットが少しずつ小さくなり始めていた。恐らく、技の飛距離限界が近いのだろう。
「「「せーのっ!」」」
そして、それに合わせる形でプリズムショットを踏み台に3人が同時にジャンプ。直後にプリズムショットが消失するとランボーグへと3人が接近していく……が、やはり届かない。
「スノー、サンライズ。行きますよ」
「うん!」
「頼んだぞ!」
すると3人のジャンプの飛距離が限界近くに達した所で今度はスカイが2人の後ろに入り込む。ここも一度目と大きく変わる点になるだろう。そしてスカイはすかさず技を使う。
「ヒーローガール!スカイパンチ!はぁあああっ!」
今度はスカイによるスカイパンチが放たれると青い拳のエフェクトにスノー、サンライズは乗る形でスカイが一気に2人を押し上げる。ただ、スカイパンチでもランボーグの元には届かない。そして技のエネルギーが尽きかけると青い拳のエフェクトが点滅を始めた。
「お二人共、そろそろです!」
「わかった!」
「行こう!」
「「せーのっ!」」
スノーとサンライズはスカイパンチのエフェクトが完全に消失する前にそのエフェクトさえも足場にして跳び上がる。
そのままランボーグとの距離が近づくととうとうランボーグのバリア展開範囲の手前にまで到達した。そんな2人を見てスカイが声を上げる。
「お二人、今です!」
「ああ、スノーやるぞ!」
「うん!」
スノーとサンライズはとうとうランボーグの目の前に到達したという事で再度手を繋ぎ、2人での合体技を発動した。
「サンライズフレイム!」
「スノーアイス!」
「二つのプリキュアの魂が!」
「闇の僕達を打ち砕く!」
「「プリキュア!エレメントスクリュー!」」
2人が繋いで無い方の手を突き出すとそこから放たれた炎と氷のエネルギー波は螺旋状に絡み合い、相乗効果を発揮すると凄まじい威力となってランボーグへと飛んでいく。
「ランボーグ!」
すると、いつの間にかオート運転に切り替わったのか……ランボーグが自分の意思でバリアを展開。エレメントスクリューとランボーグのバリアが激突。
「「はぁあああっ!」」
スノーとサンライズはどうにかランボーグの展開したバリアをこじ開けるためにその力を高めていく。すると少しだけ押し合った後にランボーグのバリアにとうとうヒビが入り、その直後に粉砕された。
「やったぁ!」
「これならランボーグに直接攻撃できる!」
「サンライズ、お願いね」
「作戦通りにな」
すると、ランボーグのバリアを粉砕して無防備なランボーグを前にしたスノーとサンライズの2人の内、スノーがサンライズの手を両手で掴むとそのまま自らグルグルと回転し始める。
「はぁああああっ!せーのっ!」
そして、スノーはタイミングを見計らってサンライズをランボーグの方へと投げ飛ばす。そして、サンライズはそれに合わせる形で突撃しつつ拳を後ろに引いた。
「エル達を返してもらうぞ!」
スノーからの投げ飛ばしにより勢いが付いたサンライズがランボーグへと肉薄。そのままサンライズはランボーグの外壁へと拳を叩きつけるために手に炎の力を集約。そのままランボーグへと拳を繰り出した。
「はぁあああっ!」
そして、とうとうサンライズ達にとって念願の一発が命中するその時。突如としてサンライズの前に何かの影が降りてくると彼の全力の拳を受け止めてしまう。
「なっ!?何で……」
「流石はプリキュア……カバトンの策を攻略するとはな。だが、見立てが甘かったな」
サンライズからの渾身の力を受け止めた影……シャドーはそう呟きつつ笑みを浮かべる。シャドーは先程までプリキュアの様子を観察していたのだが、ランボーグがやられそうになったという事で加勢に来たのだろう。
「ここからは俺も参加させてもらう。覚悟は良いな?」
こうして、あと一歩でランボーグを攻撃できるというプリキュア達の絶好のチャンスを潰したシャドー。彼の参戦によって戦いは更に厳しくなってしまうのだった。
また次回もお楽しみに。