ツバサがプリキュアとしての光に包まれるとミラージュペンがスカイミラージュへ変化。
「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!ウィング!」
その言葉と共にツバサがスカイトーンを装填。扇風機部分が回転するとそこにWINGと表示され、宇宙空間のような変身用の謎空間に移動。
その瞬間、髪の毛が明るいオレンジに染まると同時に左腕を右から左に薙ぎ払うように動かすと左の前髪が短くなる。加えて頭の上で丸まっていた鶏冠が開くようにしてアホ毛に変化。更に後ろ髪のほんの一部が鳥の尾を模したような細長いアンダーポニーテールへ。髪の変化が終わると続けて円盤に一度降り立ってからジャンプ。そのタイミングでオレンジのロングブーツが装着される。
「煌めきホップ!」
ツバサの言葉と共にステージ部分にHOPの文字が浮かぶ。すると頭の右側に小さな黒いシルクハットの形をした髪飾りが出現し、両耳に左右対称の形で大小二つのピアスのような物が装着される。
「爽やかステップ!」
続けてツバサがそう言いつつステージに降り立つと表記がSTEPへと変化。体にオレンジを基調として赤や黄の差し色が入った執事服を模した服が3段階くらいに分けて装着。腰から脚にはショートパンツが展開されると更に腰からローブが伸びる形で展開。また、右腿にはいつの間にか赤いリボンタイが巻かれていた。そのためここで左右非対称の要素が追加される。
「晴れ晴れジャンプ!」
ツバサがジャンプするのと同時にステージがJUMPに切り替わった。すると両手にオレンジのグローブが装着。その後、空を見ながら地面を蹴って飛び出すとその勢いで空中を自由自在に飛び回る。その際に出たオレンジの光のエフェクトが飛行機が飛んだ後にかかる飛行機雲のようなエフェクトとして彼の飛んだ軌跡を描いた。その後、彼は左目をウインクさせるとオレンジの空間へと移行。そのまま画面転換を挟んでからプリキュアとしての名を名乗った。
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」
するとバックで両翼のようなエフェクトが出ると一瞬だけ鳥の羽が舞い散り、変身を完了。こうして、青空を羽ばたく翼の名を冠したプリキュア……キュアウィングが誕生するのだった。
「キュア……ウィング!」
「ツバサがプリキュアになったのか!」
スカイの攻撃が命中したのを見届けて建物の屋上に降り立ったサンライズとプリズム、そして元々そこにいたあげはは夕日に照らされて上空の風にローブや衣装がたなびいているウィングの姿にカッコ良さを感じる。
その姿は同じ男子が変身したプリキュアという事でキュアサンライズと同様に男の子らしい姿で纏まっていた。……ただし、キュアウィングにはキュアサンライズとは決定的に違う点がある。
「凄い……しかも、空中なのに落ちてない!!」
「あっ、本当だ!何で!?」
「キュアウィング……翼……まさか!?」
地上にいるサンライズ達はウィングがどれだけ時間が経っても落ちてこない事……というよりは空中に浮かんでいるのを見て驚きの声を上げた。そして、同時にウィングは全身に力を感じるのを手を握り締める事で感じると体を動かしてみる。
「ッ!やっぱり、キュアウィングは空を飛べるんだ!!」
ウィングが準備運動とばかりに自らの意思で自由に夕焼けに染まる空を飛び回るとまるで空を飛ぶ鳥のような身軽な動きをして見せた。そのため、カバトンは困惑したような声を上げる。
『ば、馬鹿な!?そ、空を飛べるプリキュアだなんて聞いてねぇっつーの!?』
「プリンセス!」
「える!」
それからウィングはその素早い空中での動きを利用してすかさずエルを抱き抱える形でその場から離脱。その勢いで空をまた自在に飛行する。
「速い速い!空をあんなに自由に飛べるなんて……」
「それだけじゃない……ヒョウも、凄い事になってるよ!」
あげはが興奮したように声を上げているとそのタイミングでサンライズ達のいる建物の屋上にスノーが着地。彼女はツバサことウィングだけで無くヒョウにも変化が訪れている事に気がつく。
するとヒョウの方はツバサとは違ってプリキュアへの変身こそ出来なかったものの、首から下げた石が光り輝くのと同時に体にミントグリーンのオーラを纏って空に浮かんでいた。
「ツバサが自由に空を飛んでる……。というか、俺も空にいるのに落ちてない。……もしかして俺も……!?」
ヒョウは何となく自分も空に浮かべるようになったと直感すると一度体を動かしてみる。するとその予想が的中するかのようにヒョウの体は自由自在に空中で動いた。するとヒョウの脳内に先程の声が響く。
『これが私の力の一部。だけど、流石にあそこの子みたいにずっと飛ぶのは出来ないわ。だから制限時間がある事を頭に入れておいて』
「は、はい!」
ヒョウは脳内に響く少女からの言葉に了承する。流石にツバサの変身したキュアウィングとは違い、ヒョウはプリキュアで無いただの生身の人間が謎の少女の力で飛べるようになっただけ。そのため、制限時間があるのも当然だろう。
それでも、ヒョウも石に宿った少女の力込みとはいえ飛べるようになった事実は大きい。そして、彼はウィングの元に行く。
「ツバサ、やったな!」
「ヒョウもですよ。どうしてあなたはプリキュアじゃないのに……」
「俺にもわからない。だけど、多分アサヒやユキ姉の時と同じ。誰かが俺に力をくれたんだ」
ウィングはそれを聞いて納得するとその前にまずは今の自分の名前はツバサでは無いという事で改めて話しかける。
「そっか。……それとヒョウ。ボクがこの姿に変身してる時はキュアウィングって呼んでください」
「わかった。俺達にできる事をやろう、キュアウィング!」
「はい!」
それから2人は息を合わせるように空を飛び回るとカバトンやランボーグを撹乱。彼はいきなり現れた2つの空を飛ぶ存在に混乱する。
「ちょっ、どっちを狙えば……あ。プリンセスを抱いている方か!」
カバトンは自分の目的がプリンセスだと思い出すとエルを抱いているウィングの方を狙うべきと判断。ランボーグを操作しようとするが、ここまでもたついていればプリキュアでは無いヒョウにとっても隙だらけに見えてしまう。
「対応が遅すぎ!だあっ!」
「え、嘘だろ……ぶふうっ!?」
ヒョウがオーラを小さな球体状のエネルギーフィールドとして自身の周囲に展開するとその状態でランボーグに体当たり。カバトンはいきなりランボーグにダメージが入った衝撃で船内が揺れるとそのまま船内を転げ回る形でダメージを負う。
ヒョウはすかさず一撃離脱で距離を取る中、2人が空を飛んでいるのを見たスカイは目に感動の涙を浮かべていた。
「ツバサ君が空を飛ぶプリキュア……それにヒョウ君も新しい力に目覚めて……2人共、頑張ったね!」
スカイは今まで努力していたツバサは言わずもがな、ヒョウの方も覚悟を決めて頑張った事でその成果ざ出ている事実に感慨深さが浮かぶ。ただ、そのタイミングでスカイは気がつく。
「って、あれ?そういえば私は空を……」
スカイは先程ランボーグに攻撃を命中させた際に拳をランボーグの体にめり込ませる事でその場に留まっていた。
しかし、ヒョウがランボーグに体当たりをした際にその衝撃でランボーグが動いてしまう。つまり、スカイがめり込ませていた拳がランボーグから離れていたのだ。そして、スカイは空を飛ぶ事ができないという事で。
「……飛べないんでしたぁああっ!?」
無慈悲にもスカイは重力に従う形で落下を開始。思わず彼女はみるみる近づく地面に叫び声を上げてしまう。
「うわぁああっ!?」
「あっ、ソラさん!?」
「俺が行く!」
スカイが落下するのを見たヒョウはすかさずスカイの元に飛んでいくと落下してしまうスカイの手を取った。
ヒョウはスカイの重さに少女が貸してくれた力が耐えられるか不安だったが、スカイの重さが加わっても落下する事は無く。スカイは自分が助けられた事に驚いて上を見るとヒョウに声をかけた。
「スカイ、このまま俺の手を離さないで!」
「はい、お願いします!」
「ヒョウ、こっちに!」
「ああ!」
それからウィングとヒョウはスカイとエルを連れて行く形でスノー達のいる屋上へと降り立った。同時に時間切れなのか、ヒョウが纏っていたミントグリーンのオーラが消え去ると不思議な力が終わってしまう。
「ッ……俺が力を使えるのはここまでか」
「でも助かりました!ありがとうございます!」
スカイが自分を助けてくれたヒョウにお礼を言うと屋上への先に降りていたスノーとサンライズ、プリズムの3人に加えてあげはの計4人が駆け寄ってきた。
「ウィング、ヒョウ、エルちゃん!」
「えるぅ!」
「3人共無事で良かった」
「やるじゃん少年!」
「ヒョウ、スカイを助けてくれてありがとな!」
「え、えぇ……」
サンライズがヒョウにお礼を言うと今まで散々自分がユキへの嫉妬で酷い事を言い続けてきたのに純粋な気持ちでお礼を言われたため、唖然とした顔で頷く。
そして、ウィングの方もあげはからの言葉を聞いて今自分が何をしていたのかを改めて自覚する。
「あっ、そういえばボクは今……空を飛べていた……」
そう、ウィングはプリキュアに変身した事で幼い頃からの夢である空を飛ぶという目標をプリキュアの力とはいえ達成していた。そして彼の気づきはこれだけに留まらない。
「(そういえば、父さんがボクを助けて空を飛んだ時……)」
“いやぁ、どうやって飛んだのかなんて言われても……父さん、ただ必死だったとしかあの時はただ必死だったとしか……”
ウィングことツバサは幼少期に自分の父に空を飛ぶ事ができた理由を聞いた際に父が言った言葉を改めて脳内に思い出す。当時はその答えの意味がわからずにただ適当に答えているだけにも聞こえていた。しかし、今であれば……父がそのように答えた意味を理解する事ができる。
「ッ……父さんの言ってた事、こういう事だったんだね」
すると遥か空にいるカバトンはランボーグ越しに大声で叫ぶ。どうやらウィングの事を認められない様子だ。
『認めねぇええっ!空が飛べたからって何だってんだ!TUEEEのはこの俺なんだぁああっ!!』
カバトンは怒りを込めた言葉と共にそう叫ぶとランボーグにある掃除機光線とは別の赤いボタンを押す。どうやら先程の衝撃の際にその機能は破損していなかったらしい。
しかもその機能というのは先程4人のプリキュアを着弾の衝撃波で吹き飛ばしたあの強力なエネルギー砲の事である。
「ッ、あの紫の光……」
「またアレが来るよ!?」
カバトンが押したボタンの信号をキャッチしたランボーグはありったけのエネルギーを自身の体の下側でチャージし始める。そして、先程同様に紫の強力なエネルギー砲が生成されていく。まだ放つまでに時間はかかるが、このままでは先程の二の舞だ。
「いいえ、もう撃たせません!」
「うん、今はもうキュアウィングがいるから!」
スカイやスノーに後押しされる形でウィングが空にいるランボーグを見上げるとそのタイミングでエルが声をかける。
「える!」
「ッ……?」
「えるる!」
ウィングが振り返るとエルが“やっちゃえ!”と言わんばかりに拳を上げつつウィングへと行く事を促した。そして、ヒョウがウィングの前に立つと拳を軽くウィングの胸に当てた。
「ヒョウ?」
「はあっ!」
するとヒョウが持っていた残り僅かなミントグリーンのエネルギーをウィングに譲渡すると彼の体に更に力が漲るのを感じ取る。
「俺ができるのはここまでだから……俺は俺にできる事をやる。……ウィング、後はお願い」
そう言ってヒョウは男の子とは思えない程に可愛らしいヒロインのような微笑みをウィングへと向けた。
「ッ……はい。プリンセス、皆さん……行ってきます!」
それを見てウィングは驚きつつも、彼から託された想いの分もぶつけるために空へと飛び上がった。
ウィングはそのままランボーグと加速しつつ肉薄していく。そして、彼はヒョウから貰ったミントグリーンのエネルギーを高めると自らの体にオーラとして纏う。そして、その光がウィングの速度を更に加速させていく。
「落ちこぼれの俺にだってできる事がある。もう俺に価値が無いだなんて誰にも言わせない!」
ヒョウはそんなウィングを屋上から見届けながら彼を応援するように自らの覚悟を改めて叫んだ。
「一度やると心に決めた事は絶対に諦めない!それがヒーロー!そうボクは決めた!プリンセスを、皆を守るのは……キュアウィングだ!」
ウィングも同じように胸の覚悟を叫ぶとその気持ちに応えるようにヒョウから受けた力が自らの力を補助する形で溶け込んでいくともっともっとその動きを加速させていく。
そして、彼は夕日のエフェクトに向かって行くように飛んでいくとその中に突入。一瞬だけ黄色のキラキラマークが光ると同時にその体に黄色のオーラを纏う。その後、夕日の中から飛び出すとそのエフェクトをバックにしつつ羽を舞い散らせながらランボーグへと突進していく。そしてそれがキュアウィングの持つ浄化技……。
「ひろがる!ウィングアタック!」
「良し、チャージかんり……
ウィングはそのままランボーグがチャージ完了して攻撃を放つよりも早く
ランボーグの体を貫いた。その際にランボーグの真上に鳥の両翼のエフェクトが現れるとかなりのダメージなのか火花を散らして墜落し始める。
「ランボ……グ」
「あ、あと少しで勝てたのにぃいい……」
カバトンはランボーグのエネルギーチャージがあと1秒でも早ければウィングを返り討ちにしながら屋上のプリキュアも倒せたと考えて悔しさを滲ませる。
「「「「「やったぁ!」」」」」
「えるぅ!」
「皆さん、後はお願いします!」
そして、プリキュア達は歓喜の声を上げるとウィングは自分の一撃だけではランボーグを倒し切るには至らなかったために後は自分よりも地上のメンバーに任せるべく声を上げた。
「うん!行こうサンライズ!」
「ああ、このまま決める!」
ウィングの言葉に今回は自分達で決めると言わんばかりにスノーとサンライズは頷くと自らの合体技を放つ事になる。
また次回もお楽しみに。