熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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静かなる雪の舞 キュアスノー登場!

ユキの意識が移動するとそこは夢に出てきた雪が積もった大地の上。そしてそうなれば吹雪が襲ってくる……かに思えたが、何故か吹雪は無く空が晴れ渡っていた。

 

『やっと覚悟はできたみたいね』

 

「え……」

 

そこに声が響くとザクザクと雪の上を歩く音が聞こえ、そこに一人の少女が姿を現す。その姿は白い髪をポニーテールの形に纏め、そこにはグレイシャブルーのメッシュが入っていた。

 

ブーツは青で髪には雪の結晶の形の髪飾り。耳には雪の結晶のイヤリング。両腕には水色の手袋に白のシュシュが装着。服は白がメインでグレイシャブルーのワンピースドレス。両脚には白と水色のツートンカラーのハイソックスを履いている。

 

「その声、もしかしてあなたが……」

 

少女はユキの問いに頷くと彼女の前に立った。ただ、顔つきやその雰囲気はユキに近いものがあった。

 

『あなたに足りなかったもの、それは自己犠牲の気持ちを改善する事じゃない。……あなたはここまで他人に守られすぎた。だから自分の信念を貫く心が無かったのよ』

 

「……!!」

 

思えば、ユキは少女から言葉による攻めを受けた際に心が何度も折られそうになった。また、普段はそういう時には周りに自分を助けてくれる友達……ソラがいたのだ。だからこそ自分の気持ちを強く持つ氷河のような折れない固い精神の部分が足りて無かったのである。

 

『自分の掲げた信念一つ貫けないような子に私の力を使わせたく無かった。そうしないと、結果的に途中で精神が折れて戦えなくなった時に困るからよ』

 

少女からの言葉にユキは頷く。これから戦いをする上で彼女には何度も試練が降りかかるだろう。その時になっても耐えられる覚悟を貫ける強い精神を持ってほしかったのだ。

 

『……私だってあなたが心配なの。あなたは力が無いってわかってるのに無理するから。それで心が折れかけて更に心配させて。……これからの戦いは恐らく長く厳しい物になるわ。それを最後まで信念を持ってやり抜く覚悟が……あなたにある?』

 

少女の目は鋭く、ユキの心を覗き込むようだった。しかし、今のユキは覚悟を決めている。自分の友達を助けるため、自分の力で守り抜くために戦いたいという覚悟だ。

 

「……勿論です。私の力で誰かの役に立てるのなら……」

 

『そう。……あなたの気持ちはわかったわ』

 

ユキの気持ちを聞くと少女は手を翳す。するとそこから白い粒子の光がユキの持っていた色のくすんだアクセサリーへと取り込まれていく。

 

すると同時にその石化が解けてスカイトーンに変化。カラーリングは白をメインにし、グレイシャブルーの雪の結晶が描かれたものになった。

 

「これって……キュアスカイの物と同じ」

 

『そうよ。……私はキュアブリザード。またあなたと会う事になるわ。その時にあなたは自分の信念を覚悟に変えて持っていられるか。……あなたの隣で見させてもらうわよ』

 

それからキュアブリザードが吹雪を起こすとユキの意識は現実世界へと戻ってくる。そのまま彼女がスカイトーンを見ると夢での世界とリンクしていたのか、完全に石化が消えて色がついていた。

 

「ユキさん、まさかそれは……」

 

「うん、そうだよ」

 

それと同時にユキの胸がグレイシャブルーに光るとユキの分のミラージュペンが生成。その手に収まる。

 

「ユキの持ってるあれ……」

 

「ソラちゃんと同じだよね!?」

 

アサヒやましろも屋上からの遠目だったが、ユキがミラージュペンを具現化させたと知る。勿論下にいるカバトンは驚くわけでわかりやすく狼狽えていた。

 

「ゲッ!?まさかあんな弱っちい脇役もプリキュアになるってのか!?」

 

一同が驚く中でユキはスカイを守るように前に移動。手にしたミラージュペンを構えて胸の覚悟を口にした。

 

「……この一言で、私は変われる。……ヒーローの出番よ!」

 

するとその瞬間、ユキの体がスカイの時と同様に眩い光に包まれると同時にペンがマイクのように変形。スカイミラージュとなった。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!スノー!」

 

その言葉と共にマイク部分にSNOWと表示され、宇宙空間のようなエフェクトに包まれるステージへとユキは舞い降りた。そしてユキはセミロングだったその白い髪がロングヘアとして伸びると透き通ったような白色へと変化。そこにグレイシャーブルーのメッシュが入ると後頭部の辺りでポニーテールとして結ばれる。それからユキが跳び上がると彼女の両脚にブルーのブーツが装着された。

 

「煌めきホップ!」

 

その言葉と共にステージ部分にHOPの文字が浮かぶ。同時に彼女の頭に氷の結晶のような髪飾りが装着。氷の結晶を模したイヤリングも両耳に付いた。

 

「爽やかステップ!」

 

続けてステージがSTEPに変わると吹雪と共にグレイシャーブルーを基調として白を差し色としたドレスが具現化。それと同時に両脚が氷の膜で包まれるようにして白と水色のハイソックスが履かれる。そのまま氷の上を滑るようにステージから回転しつつ跳ぶ。

 

「晴れ晴れジャンプ!」

 

そのタイミングで更にステージがJUMPに切り替わり、ユキの両手に雪が降り積もるエフェクトと共に光が集まると両手に白いグローブが付与。最後に彼女のグローブの根本にグレイシャブルーの光とシュシュが出てくるとそこに降ってきた雪の結晶が張り付く形で完成。

 

衣装が変わり終わるとユキは左目を閉じる形でウインク。それからスカイの時と同じように場面が転換。彼女はグレイシャブルーの空間に映るとスカイと同じような画面転換がされてから名乗りを上げる。

 

「静かにひろがる白い雪景色!キュアスノー!」

 

ユキが決めポーズを取ると雪の結晶が舞い踊るエフェクトと共に変身完了して降り立った。彼女の名はキュアスノー。雪を冠する名を持つプリキュアである。

 

「キュア……スノー!」

 

「ユキちゃんが、プリキュアに!」

 

「凄い……ユキ、可愛い!」

 

その姿はまるで雪のお姫様を彷彿とさせるような可愛らしい物でユキは自分のもプリキュアになれた事に驚いていた。

 

「なれた……私も。プリキュアに!」

 

「マジでプリキュアが増えやがった……。どうなってるのねん!?」

 

カバトンが狼狽える中、スノーはスカイの元に行くと彼女へと小さく断りを入れた。

 

「ごめんね、ちょっと揺れるよ」

 

「え?」

 

スノーはスカイをお姫様抱っこで抱き抱えるとそのままジャンプ。アサヒ達のいる屋上へと移動した。

 

「うわぁああっ!?」

 

「大丈夫、少し加減してるから」

 

スノーがそう言うと丁度良いくらいの高さであり、スノーはスカイを屋上にいたアサヒやましろへと預かる。

 

「スカイ、大丈夫?」

 

「え、ええ……」

 

するとスカイはスノーへと少し申し訳なさそうな顔つきをして声をかける。

 

「ユキさん、ごめんなさい。私のせいでこんなに無理をさせてしまって……」

 

「大丈夫だよ。……今までがソラちゃんに頼り過ぎてただけだから。……それと折角送るならそんな暗い言葉じゃなくてもっと明るく送り出してほしいな」

 

スノーは微笑んだ顔つきでそう言うとスカイもスノーの笑顔につられて微笑むと声を掛け直す。

 

「そうですね。ユキさん……いいえ、キュアスノー。ここはお願いします!」

 

「うん、任せて!」

 

それからスノーは飛び降りるとその落下中にカバトンはランボーグへと指示を出した。

 

「ランボーグ!あの脇役の着地する足元にミサイル弾だ!」

 

ランボーグは指示通り、ミサイルを飛ばすとスノーの着地点を液体まみれにしてしまうとスノーを着地狩りする構えを見せる。

 

「なっ!?」

 

「卑怯だよ!」

 

アサヒとましろが声を上げる中、スノーはそれを見て自分が飛び降りる際に立っていた建物の壁を足場にしてそのまま滑るように降りていく。

 

そのままある程度降りてから思い切り踏み込んでランボーグへと突撃。ランボーグへと蹴りを放つ。

 

「って、うわあっ!?」

 

ただ、やっぱりまだ制御が追いつかないのか、ランボーグに回避されてしまった。

 

「ぶっ、さっきの制御はマグレか。ランボーグ、今のうちに……」

 

「ううん、狙い通りだよ!」

 

その瞬間、スノーは自分の飛ぶ先にあった街灯のポールを掴むとそのままの勢いを使ってUターン。勢いを殆ど殺さずにランボーグの死角から思い切り蹴り飛ばす。

 

「ランボーグ!?」

 

「嘘なのねん!?」

 

これに対応されると思わなかったカバトンが狼狽える中、スノーは地上に降り立つ。

 

「くっ、だったらランボーグ!とっておきだ!」

 

「ランボーグ!」

 

するとランボーグは取り出し口を開けると巨大なペットボトルミサイルが取り出される。そのまま飛んできたミサイルをスノーは見据える。

 

「スノー!」

 

スカイが叫んだその時、スノーが飛び出すとミサイルを真正面から受け止めてしまう。

 

「くううっ……」

 

「やった!」

 

「受け止めただと!?」

 

そのミサイルはランボーグのとっておき。つまり、最高威力の技だ。それを真正面から受け止められた衝撃は大きい。するとその瞬間、突如としてミサイルが凍結を始めた。

 

「えっ!?」

 

「そうか、スノーの氷の力で……」

 

そう、スノーの放つ冷気がペットボトルを完全に冷凍。完全に巨大な氷の塊になるとジェット噴射も止まってしまった。

 

「大・回・転!プリキュア返し!」

 

スノーは自身を軸にして回転すると手にしたミサイルをランボーグに向けて投げ返す。勿論ランボーグにこれを止める術は無い。

 

「ランボーグ!?」

 

ランボーグは巨大ミサイルの質量をまともに受けると押し込まれて壁に叩きつけられてしまう。

 

「何やってるのねん!とっておきまで返されて……こうなったら、足元全部水浸しにするのねん!」

 

ランボーグは最後の手段とばかりにミサイルをスノーでは無く地面に無差別でばら撒く事で水溜まりの面積をさらに増やそうとした。

 

「……そうはさせないよ!」

 

スノーは咄嗟にミサイルを投げた反動で自身の体が後ろに飛んだのを利用。また壁を蹴って接近するとランボーグのミサイルの取り出し口を狙う。

 

「はぁああっ!」

 

スノーが拳に氷を纏わせて取り出し口を殴るとその箇所が凍結。これにより、ランボーグはミサイルの発射口を封じられてもう打つ手が無くなってしまう。

 

「強い!!」

 

「スノー、凄いよ!」

 

「こ、これは不味いのねん」

 

「これで終わりにする!」

 

カバトンが慌てる中、対策を考えるがもう遅い。スノーが吹雪のエフェクトに包まれると胸から白い何かのエネルギーが飛び出す。それがスノーの周りを回転してから右脚に集約。それからスノーは跳び上がると同時に吹雪の風を利用して前に出るとボレーシュート型のキックをランボーグへと放つ。

 

「ヒーローガール!スノーインパクト!」

 

その一撃がランボーグに決まるとランボーグは凍結されるのと同時に体が浄化されていく。

 

「スミキッタァ〜!」

 

そして、スノーが勝った影響で地面に点在した水溜まりやボロボロになった建物は元に戻る。加えて、同時に昨日の時と同じでスカイの脚の捻挫が綺麗に治った。

 

それからスノーは友達であるスカイを傷つけたカバトンを睨みつけるとカバトンはビビって即撤退する事になる。

 

「ひっ!?カバトントン!」

 

そしてスノーは危険が去ったのを見ると跳び上がってスカイ達の元に到着。それからスノーとスカイは何かを話す前にアサヒとましろを抱えて屋上から降り、変身を解いた。

 

「ふぅ……良かった」

 

「ユキちゃん凄い!あんなに綺麗に戦えたなんて……」

 

「そんな事無いよ。私なんてまだまだ……」

 

その瞬間、ソラはユキに抱きつくと同時に涙を目に浮かべて彼女へと謝り出す。

 

「うえっ!?ソラちゃん!?」

 

「ごめんなさい!私が未熟なせいでユキさんにこんな……」

 

その声はかなり不安そうな物だった。そのため、彼女を安心させるかのように背中を優しくさすった。

 

「……大丈夫。ソラちゃんが無事でいてくれたら私はそれで十分だから」

 

ソラはその言葉を聞いて安心したかのようにホッとする。それからましろは何かを思いつくとアサヒに聞いた。

 

「アサヒ」

 

「うん。俺もましろと同じ事を考えてた」

 

それからアサヒとましろはユキとソラの手を掴む。手を掴まれた二人はそれを気にする前にアサヒとましろに引っ張られて連れて行かれた。

 

「ましろさん!?どうしたんですか!?」

 

「アサヒ君も、何で?」

 

「良いから来て!」

 

「二人と行きたい所があるから」

 

ある場所へと連れていく。その場所は前にましろがウィンドウから商品を眺めていたお店、PrettyHolicだ。そして、四人は中に入るとソラはましろに連れられて、あるコーナーへ。そこにあったのは二枚の白い翼の絵が描かれた可愛らしいデザインの手帳だった。

 

「良かったぁ!まだ売り切れてなかったよ〜!」

 

「えっと……」

 

「どうかな?」

 

「どうかな……って?」

 

「これ、ヒーロー手帳の代わりにならないかな?」

 

「うええっ!?そんな、貰えませんよ!」

 

ソラはましろからの提案に驚きを隠せない。その手帳の値段をソラが見るとそこそこ値段が張るとわかる。そんな高い買い物を自分のためにしてほしくなかったからだ。

 

「実は発売前から情報をチェックしてお小遣いを貯めてたんだけど、今これが必要なのはソラちゃんって感じだし!」

 

「ダメですよ、前々から買うのを楽しみにしてたはずなのに……」

 

「それでも良いの!お願い、プレゼントさせて!」

 

ソラは困惑する。何しろ、何故そこまでして自分にプレゼントがしたいのか。ソラにはわからなかったのだ。

 

「どうして?」

 

「ふふっ。本物のヒーローを見ちゃったから……かな!」

 

そう言うましろにソラは嬉しそうな顔つきに変わると手帳を受け取った。それを微笑ましい顔つきで見ていたユキだったが、その直後にアサヒにも声をかけられる。

 

「あ、あった!ユキ!!」

 

「何?アサヒ……くん?」

 

アサヒが差し出したのは雪の結晶の模様が可愛らしいシュシュであった。それを見たユキは驚く。

 

「あ、アサヒ君!?まさかと思うけど……」

 

「ああ。……助けてくれたお礼だよ。さっき変身してたキュアスノーの時にシュシュ付けてたし、似合うかなって」

 

「そんなのダメだよ。私なんかにそんなの似合わないよ……」

 

俺はそうは思わないよ。それに、俺も本物のヒーローを見ることができた。ユキにならきっと似合うよ」

 

そう言うアサヒの顔つきは若干赤く、照れた様子である。そんな様子を見たユキは恐る恐るシュシュを手に取ると嬉しそうに笑う。

 

「ありがとう!アサヒ君!大切にするね!」

 

そう言って笑うユキの笑顔はとても眩しく、アサヒは思わず顔を赤らめる程だった。そしてユキはある事を思う。

 

「(良かった……これで私の力で大切な人達を守れる……。やっと、やっと私のせいで皆が傷つかないで済む。これからプリキュアとして皆を守るために頑張ろ!)」

 

ユキはそう思って張り切る中、その様子をとある不思議な鏡越しにヨヨとエルが見ていた。

 

「ふふっ。四人の物語の始まりね」

 

「え〜る!」

 

そして、また場面は変わってお店の外。遠くからお店の方を見つめる影がいた。それは前にユキを足止めした仮面の男である。

 

「やっぱりお前だったか。俺の力に共鳴する者。……それに、この調子ならあと一人の覚醒も近そうだ」

 

男は意味深な事を言うと今度はアサヒの方を向く。それから身を翻した男はどこかに消えていくのだった。

 

そしてその頃、ユキが夢の中で見た精神世界では彼女に力を託したプリキュア。……キュアブリザードが一人精神統一中である。

 

『本当にずっと見てきた通り、危なっかしい子ね。……まだ彼女の精神面でのケアが不完全。信念は貫けるようになったけど……自己犠牲までは治せなかった。……あの子はここからが大変よ』

 

そんな風に小さく呟くキュアブリザード。彼女はふと脳裏に一人の少女の事を浮かべる。

 

『(……ユキの成長のためには彼にも力を引き出してもらわないと困るわ。……そっちはお願いね、キュアバーニングサン)』

 

ブリザードは考えつつ、自らの起こした吹雪の中で更に精神を集中させると体を鍛えるのであった。




また次回もお楽しみに。
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