熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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アサヒとユキの恋愛事情

シグレとの一件があった日から暫く経ったある平日。学校での事である。

 

「よ!虹ヶ丘、ひかる、おはよう!」

 

「おはよう軽井沢」

 

「ん。あれ?どうした?今日はお前だけか?軽井沢」

 

アサヒがそう聞き返すのも無理は無い。何故なら今日はいつも一緒にいる仲田や吉井と言った女子組がいないのだ。となるとそもそもアサヒとひかるだけというソラやましろ、ユキがいないタイミングを狙ってきた彼の目的が気になる。すると軽井沢はチラリと横目で仲田と吉井を見やる。その時二人は小さく頷くとソラ、ましろ、ユキをどこかへと連れ出した。

 

「おい軽井沢?本当にどうしたんだよ」

 

「おほん。女子組がいないタイミングを狙ったのには理由がある」

 

「「……え?」」

 

「二人には好きな子はいるのか?」

 

軽井沢からの質問に二人は納得の顔つきを示す。確かにこれは身近な女子がいる前ではなかなか話しづらい事だろう。

 

「なるほど、お前が一人で来た理由はわかった。だが何でこのタイミングなんだ?てか俺達二人ってどゆこと?」

 

「えー?俺だって自分の周りの子達の恋愛事情とかも気になる年頃なんだよ」

 

「でも、俺はこの学校には……」

 

「ストップだひかる。話しても良いけどここは軽井沢、お前の話も聞こうじゃないか。それで平等だろ?俺達だってお前の恋愛事情は気になるしな」

 

アサヒは三人とも話す事で平等にしようと考えた。流石に自分達だけ喋るのはフェアでは無い。そこで軽井沢も巻き込む事に。

 

「良いぜ。俺はやっぱり仲田か吉井だな」

 

「へー、まぁ無難な所だな。いつもいるし」

 

「あ、でもあくまで俺の場合は友達としてだけどね」

 

軽井沢のその言葉に嘘は無さそうだった。アサヒとしては僅かに残念そうにするがそれも仕方ないだろう。何しろ三人の話し方は外から見ても友達の範疇だと分かる程だからである。

 

「ひかるはどうだ?」

 

「………」

 

するとひかるは黙り込んだ。そして僅かに顔を赤くする。そんな反応をされれば一発でわかるわけで……。

 

「おい待て、ひかる。お前……」

 

「いや、何でも無い」

 

しかし、顔のニヤけは消えていない。アサヒも軽井沢もわかりやすいと思うがここは敢えて聞くことにした。

 

「脈ありだな。で、誰なんだ?」

 

「え!?それは……その……」

 

「じゃあタイプだけ聞いておこうか」

 

ひかるが口籠ったのを見てアサヒは話の方向性を変える。流石にこのまま攻めてもひかるを困らせるだけだと思ったからだ。

 

「えっと、気が強くて……周りから見たら近寄りがたいけど、本当は内に秘めた可愛らしさを恥ずかしがりながら口にするみたいな……所謂ツンデレ?みたいなのも好きだと思う」

 

「なるほどな〜ってひかるの意外な一面が見れたよ」

 

軽井沢がそう言う中、アサヒはその特徴を持つ女子に既視感があった。それは並行世界の友達である風波らんこのことである。

 

「(待て待て……その性格、前に会ったらんこさんに似てるなぁ……あ、でもあの子は恥ずかしがり屋っぽさそうだけどツンデレでは無いか)」

 

否。彼女はツンデレと恥ずかしがり屋。両方の属性を併せ持っているのだが、アサヒが出会った時は周りを拒絶してばかりだったために変わった後のらんこについては知らない。そのため解釈違いだとアサヒは割り切ってしまう。

 

「(それに、あの子とはひかるは度々会ってるみたいだけど流石にな?そんなすぐには好きになったりしないだろう。うん、きっとそうだ)」

 

アサヒは現実逃避する事にした。そして、二人の目線が自分に向けられている事に気がつく。

 

「さーて、俺達の番が終わったし……」

 

「次は虹ヶ丘の番だぜ!」

 

「……やーっべ」

 

アサヒは言い訳を考えた。とにかくここで二人に自分の恋愛観を知られるのは面倒である。どちらもクラス内ではムードメーカー的立ち位置で少々口が軽そうなのだ。下手をしたら広められる危険がある。

 

「俺達は言ったんだ」

 

「お前だけ逃すつもりは無いぞ」

 

しかし、二人相手に勝てるはずもなくアサヒは渋々言う事になった。

 

「俺は……気になっている子はいないよ?」

 

「嘘だ!お前同学年の女子三人と同居してるんだろ!誰かしらとはフラグの一つは立つだろ!」

 

「そんなに言うなら当ててみろよ。ちなみにチャンスは二人合わせて一回ね」

 

「「はぁ!?」」

 

一人一回のチャンスならば二人だと特定にまで持って行かれてしまう。そう考えての二人で一回だ。

 

「じゃあ言わせてもらうぞ」

 

「……へ?」

 

しかしアサヒには嫌な予感がした。与えたチャンス一回で特定されるのでは無いか……と。

 

「「ユキさんだろ!」」

 

「………はぁ!?」

 

二人揃って迷う事なくユキだと言われた。アサヒは心は一瞬凍りついてからあからさまに動揺する。

 

「ちちち違うし……ユキじゃ……ユキじゃねーよ」

 

「あからさまに動揺してるし」

 

「これは決まりだな」

 

アサヒはユキが好きだと完全に見破られていた。彼にとって完全に誤算である。

 

「「イェーイ!」」

 

二人がハイタッチをした途端アサヒはハッと思考を巡らせる。そもそも何故こんな事になったのか。その理由に何となく合点がいった。

 

「さてはひかる!お前もグルだな!?」

 

「何の事だかわかりませーん!」

 

「へへっ。前々から気になってたけどやっぱ虹ヶ丘はユキさんが好きなんだろ」

 

アサヒはここに来て嵌められたと思った。しかしもう遅い。全てが手遅れだと気づいた頃には二人からの質問攻めに遭うのであった。

 

そして同時刻。屋上では女子組の面々からユキが一人問い詰められている状態だった。ちなみにソラとましろの二人はここにはいない。その理由はソラをましろが引き剥がしているからである。ソラは正直者のため、この場にいてしまうとアサヒ達の前で話してしまう可能性があった。そこで今回は彼女には申し訳ないがユキ一人に聞く事になる。

 

「ユキちゃん、アサヒ君の事どう思ってるの?」

 

「もしかして好きだったりして……」

 

「ふ、ふえぇ……そ、そ、そ、そんな事は……」

 

ユキは可愛い顔つきを更に赤くして恥ずかしそうにしていた。ユキはクラス……いや、学年内でモテる方である。スタイル良し、勉強も良し、性格良し、運動良し、割と彼女はハイスペックガールのため恋に落ちる男も結構いた。告白される事も度々だったがユキは全て断っている。

 

「ユキちゃんってアサヒ君の事偶に目で追うでしょ?」

 

「それにアサヒ君と一緒に暮らしてるし何かしらあるのかなって」

 

「……そんなの無いよ。確かに私はアサヒ君に変えてもらった。ダメだと思い込んでいた自分を前向きにさせてくれて……アサヒ君には凄く感謝してる」

 

ユキは頬を赤らめながらそう言う。そんな彼女を脈ありだと仲田も吉井も顔を見合わせて頷く。

 

「でも、仮に好きになっても私に告白する資格なんてないよ」

 

「「……え?」」

 

「アサヒ君はカッコいいし、私を変えてくれた恩人。感謝はしてもしきれない。お礼もそのうちしたいと思ってる。でも、この感情がアサヒ君に恋してるかって言われたらまだわからない。そんな中途半端な気持ちでお付き合いするって言ってもアサヒ君に失礼だよ」

 

二人はそれを聞いて頭を悩ませる。つまり、ユキの気持ちはまだアサヒを完全に好きになってるわけではない。まだまだ友達以上恋愛対象未満と言った感じなようなのだ。

 

「でもアサヒ君が気になってるって気持ちは嘘じゃないよ。多分もう少ししたら気持ちにも整理が付くから少し待ってほしい」

 

「オッケー。私達としても深く踏み込むつもりはないから」

 

「ユキちゃんもゆっくり考えれば良いからね」

 

「二人ともありがと」

 

そんな感じで女子組がソラやましろと合流して教室に戻るとアサヒが疲れ切った顔つきで机に突っ伏していた。そして、ソラとユキ、アサヒがいないタイミングでましろがそれぞれの結果を聞く。

 

「なるほど、今のところはまだアサヒの一方通行って感じかぁ」

 

「でもさ、ユキちゃんももう少しって感じだしデートとかしたらすぐにくっつきそうだと思うよ」

 

「アサヒの方はアピールとかも始めそうな雰囲気だしな」

 

しかし、ましろの中に一つ懸念点があった。それはユキのトラウマについてである。まだユキはアサヒからの恋愛感情には気づいていない。だがそれも時間の問題だろう。ただ、ユキの場合は過去に恋愛関係から虐めに発展した前例がある。だからこそ恋愛に臆病になっているのではないのか。その気持ちが抜けなかった。

 

「とにかく、俺達にできるのはあの二人を応援する事だ」

 

「そうだね。二人の気持ちを尊重してあげる事が二人のためだし!」

 

と言う事で話は纏まる事になる。そして、その日の放課後。ユキは寄り道したいと一人で帰っていた。それはアサヒへのお礼のプレゼントを選ぶためである。それを聞いたましろが手伝おうかと提案するが、ユキは一人で選びたいと言って今一人でいる。

 

「うぅ……つい一人で選びたいって言ったけど、男の子が好きな物ってどうすれば……」

 

ユキはここに来て一人で選ぶと言った自分の発言を後悔することに。そして自分の男物を選ぶ才能の無さを恨んでいた。

 

「どうしよう……」

 

「ユ〜キちゃん!」

 

その瞬間後ろからあげはがユキへと抱きついてくる。勿論ユキはびっくりするわけで。

 

「ひゃっ!?ひゃい!……あ、あげはさん!?」

 

「コンちゃ!って、前もこんな流れやったよね?」

 

「どうしてここに……」

 

「えっとね、私も買い物に来たんだけどちょうどそこにユキちゃんがいたから声をかけたくなってね!」

 

嘘である。ましろからユキがアサヒへのプレゼント選びは悩むだろうからと助っ人として呼ばれたのだ。

 

「で、誰へのプレゼント?」

 

「ち、違……私が欲しい物が……」

 

「男物が欲しいの?」

 

それを聞いてユキは焦ると顔を赤くしつつまた誤魔化そうとする。何が何でもバレたくないらしい。

 

「ふーん。ユキちゃん、気になる男の子がいるんだ。誰?」

 

「ち、違いますよ。アサヒ君へのプレゼントじゃ……」

 

「え?私アサヒなんて一言も言ってないけど?」

 

「……あ」

 

完全にユキはノックダウン。全てをあげはに話さざるを得なかった。

 

「へぇ〜。ユキちゃんを変えてくれたお礼にね」

 

「はい……」

 

「大切な人へのお礼をしたいなんてやっぱりユキちゃんは良い子だね」

 

「でも私、アサヒ君の好みなんて知らなくて」

 

ユキが自信なさげな顔をする中、あげははユキへとある提案をする事に。それは……

 

「じゃあさ、ユキちゃん。アサヒ君と二人っきりで出かけてみるのは?」

 

「………え?」

 

あげはからのその言葉を聞いてユキは混乱する。そんな発想は全く思いつかなかったからだ。果たしてユキの取った選択は……。




また次回もお楽しみに。
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