熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

112 / 254
ヤーキターイ作りと思い出の味

早速ヤーキターイ作り……のためのたい焼き作りを始めたユキ達。そして、たい焼き器を使ってまず普通のたい焼きを焼いていた。

 

「良い匂いがしてきましたね!」

 

「この待ち時間がたまらないぜ」

 

「上手くできたかな……」

 

するとタイマーが鳴り響き、たい焼きが完成。ユキ達はそれをツバサとヒョウに食べてもらう事に。

 

「完成!これがたい焼きだよ」

 

「見た目はヤーキターイと全く同じですね」

 

「これがこっちの世界のヤーキターイことたい焼きかぁ……ゴクリ」

 

ヒョウは今にも食べたそうな目で見ていた。取り敢えず二人の前に置くとそれぞれ手に取って食べようとする。

 

「「「「じーっ………」」」」

 

するとその様子をユキ達四人はじーっと見つめる。そのせいかツバサもヒョウも食べづらそうにしていた。しかし、それでも食べてみると口の中に甘いあんの味が広がる。

 

「お、美味しい……俺……ヤーキターイを食べるの初めてで……」

 

「一応それ、たい焼きだからな?」

 

「あはは。でも……ヒョウはずっと辛い気持ちをしてきたんだからもうここでは我慢しなくて良いんだよ」

 

ヒョウは感動からか目から涙を流しており、そんなヒョウを見てユキがよしよしと頭を撫でる。ヒョウはユキの優しさとたい焼きの美味しさに心を奪われてしまった。そして、ツバサの方はソラやましろから質問される事に。

 

「どうかな?」

 

「どうでしょうか?」

 

「……美味しいです!」

 

「と言う事は……」

 

「ヤーキターイと同じ味かな?」

 

しかし、二人の問いにツバサは首を横に振る。流石に全く同じ味といわけでは無かったようだ。

 

「でも、美味しかったですし十分ですよ」

 

「ううん。ここからがスタートだよ。このたい焼きとヤーキターイ。二つの違う点をツバサ君に教えてもらえば……ヤーキターイが作れると思うんだ!」

 

「なるほど!」

 

そう。ヤーキターイ作りはようやくスタートに立ったに過ぎない。ここからが本番とも言える。

 

「えっと……生地の味は殆ど同じなんですけど、中のあんの味が……」

 

「じゃあ材料を変えて色々と作ってみよう!」

 

「今度は私達も手伝います!」

 

「あ、ボクも!」

 

それから楽しい楽しいお料理の時間が始まった。かぼちゃにチョコ、さつまいもと言った多種多様のあんの材料を用意し、それを生地の中に詰めてたい焼きを焼くのだ。

 

「えっとこれをボウルの中に入れて……」

 

するとユキは鼻がムズムズし始めてしまう。それを見たアサヒは慌ててユキのクシャミを止めようとする。

 

「待て、今そこでクシャミは……」

 

「ご、ごめん……もう限界……く、クシュン!」

 

ユキは思わずクシャミをしてしまうと丁度入れていた薄力粉が思い切り煙のように広がってしまうと粉物料理でお約束の真っ白な姿に変わってしまう。

 

「ご、ごめんなさい……」

 

しかし、誰一人ユキを責めることは無く皆で笑い合った。そして、皆で幾つものたい焼きを作り終わると横に並べる。

 

「さて、ツバサ君。ヤーキターイと同じ味のたい焼きはあるかな?」

 

「取り敢えず一つずつ食べてみなよ」

 

「はい。そうしますね!」

 

それからツバサは少しずつたい焼きを食べると味を吟味していく。しかし、結論から言えばヤーキターイと同じ味のたい焼きは無かった。こればかりは仕方のない事だろう。

 

「すみません、やっぱり……。でも、全部美味しいです!」

 

「ユキ姉、この残った分……食べても良いかな?」

 

「うん。このまま残すのももったいないし皆で食べよっか!」

 

それから一同はたい焼きを試食していく。するとアサヒはある事を思いつくとたい焼きを手に取ってユキの前に持っていく。

 

「はい、ユキ。あーん」

 

「ふえっ!?い、良いの?」

 

ユキは遠慮しようとするが、アサヒが食べてくれないと引っ込めないよとばかりの顔つきでいたためにユキはアサヒから差し出されたたい焼きを食べる。

 

「はむっ……美味しい」

 

ユキが幸せそうに笑うとアサヒは内心ホッとしたような顔つきに変わった。そんなユキを見てヒョウが不機嫌そうになる。またアサヒがユキをたぶらかしたと思ったからだ。

 

「ちょっとアサヒ……」

 

「別に良いだろ。ユキが嫌がったわけじゃないんだし」

 

「それはそうだけど……」

 

するとユキは顔を赤くしながらアサヒの前にたい焼きを差し出した。そんなユキを見てアサヒは驚く。

 

「ゆ、ユキ?」

 

「………お、お返し……。私はアサヒ君に食べてもらいたい」

 

ユキの声と体は恥ずかしさを隠しているのか震えており、食べてくれないと恥ずかしさで倒れそうだと言わんばかりである。

 

「ありがと、ユキ。じゃあ食べるね」

 

アサヒはそう言って自然にユキからのたい焼きを食べた。アサヒとしては嬉しすぎて今にも舞い上がりそうだったが、流石にそんな事をすれば引かれると思ってあくまで自然体を装って食べる。

 

「はむっ。……美味しいよ」

 

「そっか……よかっ……」

 

「ユキが出してくれたから余計に美味しくなったかな」

 

「……ふえっ!?」

 

するとユキの顔から湯気が上がりそうなくらい恥ずかしさが込み上げてくるとそのままユキは後ろに倒れかけた。

 

「あ、危ない!」

 

それをソラが何とか回り込んで受け止めるとユキはあまりの恥ずかしさに脳のキャパオーバー。目を回してしまう。

 

「は、はうぅ……」

 

流石に倒れるまで言うつもりは無かったのかアサヒは慌て始めるとヒョウは溜息を吐く。

 

「ユキちゃん!?」

 

「アサヒ、いきなり攻めすぎだろ」

 

「ユキさんってやっぱり押しに弱いんですかね……」

 

ツバサが苦笑いする中、少しの間ユキの介抱で時間を取られる事に。それからユキが起きると少しボーッとした様子だった。

 

「うぅ……」

 

先程のアサヒからの攻めの言葉が彼女の脳裏から離れない。どうしても心に刻まれて抜けてくれないのだ。

 

「ユキちゃん、大丈夫?」

 

「え?あ、あぁ。うん……」

 

「ユキ姉まさか……」

 

ヒョウはそんなユキの顔つきを見てある予感が浮かぶ。しかし、そうと決めるには早計。なので頭からその考えを外した。

 

「じゃあ、ひとまず買い物に行こっか!」

 

ここでようやくヤーキターイ作りを再開。まずはヤーキターイを作るための材料を買い出しに行く事になった。六人が堤防を歩きながら話す事に。

 

 

「はちみつとカスタード。オレンジとか果物も良いかも!」

 

「あとはシャケです!思いつくものは全部買いましょう!」

 

ソラの提案にましろ達は苦笑いする中、時間の関係でもし買い出しした物の中にヤーキターイの味に当てはまる物が無いと厳しい所だろう。

 

「でも諦めたらダメ。チャレンジあるのみだよ!」

 

するとツバサがましろ達へと声をかける。それは今回の事の感謝だった。

 

「ましろさん。ありがとうございます。ボク達のために皆さんとこんなに頑張ってくれて」

 

「お礼なんて良いよ。私はただツバサ君やヒョウ君にヤーキターイを食べて喜んでもらいたいだけで……」

 

「思い出します。私もここに来たばかりの頃にましろさんにスカイランドをイメージした雲パンを作ってもらいました。それが……凄く嬉しくて……」

 

それを聞いたユキも嬉しそうに微笑む。この世界に落ちてきて右も左もわからない状態の二人を優しく導いてくれたのはましろとアサヒだ。

 

「ましろさんの料理には食べた人を笑顔にする。そんな不思議な力があるんです!」

 

「はい!」

 

「え?そんな事無いよ……でも、もしそうだったら嬉しいな」

 

「ううん。絶対にそうだよ。私達皆ましろちゃんに救われてきたんだから」

 

ユキからもそう言われてましろは照れくさそうに顔を赤くする。そして、ましろはある事を思い出した。それは彼女が初めて料理を作ろうとした時の事だ。仕事で疲れている両親のためにおにぎりを作ろうとしたのだが、上手く作れずに泣いてしまった。

 

しかし、それに気がついた両親とアサヒが一緒に作ってくれたのだ。その時に食べたおにぎりの味はとても美味しくて皆笑顔でずっと忘れられない味である。

 

「もしかしたら、私にとってのヤーキターイかも……」

 

それを聞くとヒョウは目に涙を浮かべていた。先程から押し黙っていたのもそれが原因だろう。

 

「ヒョウ?」

 

「やっぱり皆が羨ましい……俺は、俺はずっとそんな心まで温かくて美味しい料理を食べた事が無い……。でもこの家に来て、皆と打ち解けて食べた料理は家族と食べた料理よりも美味しかった……どうしてだろ」

 

ヒョウが悲しむのを見てユキが優しく背中をさすってあげる。そんな中、ツバサはある事を思った。それは、ましろにはあってヒョウには無い物についてである。

 

「あ……」

 

「ん?」

 

「ツバサ君、どうしたの?」

 

「……ボク、気づきました」

 

ツバサは他の面々に向き合うと真剣な顔つきで自分が思った事を言う事に。

 

「ボクはさっきヤーキターイを食べたいって言ったと思います……ですが、本当はそうじゃなくて……」

 

ツバサが大事な事を言おうとしたその時だった。突如として拡声器から音が聞こえてくる。

 

「かばや〜きいも!おいも!おいも!おいも!おいも!おいもだよ〜!」

 

それは焼き芋屋に扮装したカバトンである。とは言っても頭に手拭いを被った程度の変装のために外から見たらバレバレだった。

 

「ほらほら、甘くてホッカホカ。美味しいのねん」

 

そのため、ユキを除く面々はそれを無視するとツバサとの話を進める事になる。

 

「ツバサ君、教えて」

 

「本当に食べたかった物は何ですか?」

 

「それは……」

 

「え?ちょっと皆?カバトンがいるのに無視するの?」

 

ユキが真面目にそういう中、アサヒはユキの前に立つとカバトンなんて無視するように言う。

 

「あんな奴とは関わるだけ時間の無駄だから無視だ無視」

 

「同感。ユキ姉、アレは放っておこう」

 

「ええっ!?」

 

ユキは少し哀れみつつアサヒ達に促されて無視する事にした。そのためカバトンは構ってもらうために声を上げる。

 

「ちょいちょいちょーい!聞いてんのか!美味しい焼き芋なのねん!」

 

「今大事な所なので後にしてください!」

 

ソラにそう言われてカバトンは唖然とする。そんなカバトンは置いておき、ましろがツバサへとお願いした。

 

「ツバサ君、カバトンなんて気にしなくて良いよ。話を続けて」

 

「えっと……」

 

「美味しい焼き芋なのねん!」

 

しかしカバトンも諦めない。声を張り上げて更に邪魔しようとする。流石にユキ達も鬱陶しくなってきたのかアサヒがカバトンへと声を上げた。

 

「あのさ、お前少しは空気読めよ。ツバサが大事な事を言えないじゃねーか。わかったらさっさと帰れ!」

 

アサヒにそう言われてカバトンは流石に苛立ちも頂点に達したのか変装(手拭い)を外すとカバトンとして本性を表す。

 

「石焼き芋屋に化けてお前らを油断させる作戦だったが……カモン!アンダーグエナジー!」

 

するとアンダーグエナジーが焼き芋に注がれてその姿がランボーグへと変化。六人の前に登場する。

 

「ランボーグ!」

 

「「「「「邪魔しないで!」」」」」

 

一同が声を揃えて言う中、それぞれがミラージュペンを持つ。しかし、戦えないヒョウは後ろに下がらざるを得なかった。

 

「ヒョウは下がってて」

 

「う、うん。ユキ姉達も負けないでね」

 

ヒョウからの言葉に頷くと五人はその姿をプリキュアへと変える事に。その頃、遥か遠くでは体にアンダーグエナジーを纏ったシャドーがアンダーグエナジーの気配を感じ取る。

 

「………」

 

そして、その姿が一瞬にして揺らぐとどこかへと消えてしまうのであった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。