熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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すれ違いと仲直り デートの結末

アサヒとユキがデートを終えると虹ヶ丘家へと帰ってきた。そして、家の扉を開けるとまずソラとましろが出迎える。

 

「お帰り〜二人共」

 

「お出かけはどうでし……え?」

 

戻ってきた二人の顔は気まずそうにしているようでとてもではないが二人きりのお出かけを楽しめたという顔つきでは無かったのだ。

 

「二人共!?何があったの?」

 

するとユキは一人アサヒの隣から逃げ出すように駆けていくと自分の部屋に籠ってしまう。そしてそれと入れ違うようにヒョウとツバサも顔を出す。

 

「アサヒ!お前、ユキ姉に何をした!」

 

ヒョウはユキの元気が無いのはアサヒが原因だと断定。アサヒへと詰め寄ると胸ぐらを掴む。

 

「ユキ姉はお出かけを楽しんでいたんじゃねーのかよ!ユキ姉に辛い思いをさせやがって!」

 

ヒョウは自分の慕うユキが辛そうにしていたのを見てアサヒに怒りをぶつける。しかし、アサヒは淡々と返した。

 

「……ユキに告白した。ユキならきっと受けてくれると思った。……ユキの答えはNOだった。ただそれだけだ」

 

アサヒの言葉を聞いてましろは耳を疑う。ユキはあれだけアサヒにぞっこんでアサヒの事が好きになってもおかしくなかった。それでもアサヒからの告白をユキは断ったという事実にましろ達は衝撃を受ける。

 

「嘘です!ユキさんがアサヒ君からの告白を断るなんて……」

 

「……でも、あれは断られた時の返事だった」

 

「……具体的にはなんて返されたの?」

 

ましろが恐る恐るそう聞く。もしかすると誤解の可能性もある。アサヒはそれを聞いてなんて言われたか答えた。

 

〜回想〜

 

「私の事が……好き?」

 

「うん……ユキが好きだ」

 

ユキはアサヒから好きだと言われて純粋に嬉しかった。しかし、ユキの中にはある思いも秘められておりそれを言うことになる。

 

「……ごめん。今の私じゃ……アサヒ君の気持ちに応えられない」

 

「え……ユキ?嘘だよな……?お付き合いはできないって事か?」

 

「うん……。私じゃきっとアサヒ君をガッカリさせて……」

 

「そっか。ユキは俺の事を好きじゃなかったのか」

 

ユキはアサヒからの返しを聞いて目を見開く。そして何かを言おうとしたがそのままアサヒの目は絶望したような物に変わり、彼女は何も言えなくなってしまう。

 

〜現在〜

 

「それから俺もユキもお出かけどころじゃなくなって……ここに帰ってきた」

 

「ッ……待ってください。ユキさんは何かをアサヒ君に伝えようとしたんじゃ……」

 

「そんな訳あるかよ……。ユキは俺なんか好きじゃ無いって事だ。ごめん……今は一人にさせて欲しい」

 

そう言ってアサヒは部屋へと引っ込んでしまう。そんな様子を見たソラ達は不安そうな顔になる。ひとまずはソラはユキの元に向かう。そして部屋の戸をノックした。

 

「ユキさん。開けますよ」

 

「……うん」

 

ユキからは弱々しい返事が返ってくるとソラがユキの元に行く。そこにはユキが涙で濡れた目でうずくまっており、絶望したような顔をしていた。

 

「ユキさん?……アサヒ君から事情は聞きました。どうして告白を断ったり……」

 

「私……そんなつもりじゃなかった」

 

「え?」

 

「私は告白を断るつもりなんて無かった。……でも、これは私が悪いの。素直にオッケーを言えば済んだ話だったのに……」

 

ユキが言うには告白を断るつもりは全く無かったらしい。むしろ、彼女の考え方は違った。

 

「……私は今の自分じゃアサヒ君と釣り合わないと思ったの。だからこれから一生懸命努力してアサヒ君に似合う女になるって伝えたかった……。でも、私の伝え方が悪かったせいで……アサヒ君を傷つけてしまったの。だから悪いのは全て私……。自業自得よ」

 

ユキが力無くそう言う。全てはお互いの認識の違いによる誤解だった。しかし、お互いの気持ちは相当落ち込んでしまっており今はまともな会話もできないかもしれない。するとソラはユキの頬を叩いた。

 

「ソラ……ちゃん?」

 

「その気持ち、素直にアサヒ君に伝えてください」

 

「でもアサヒ君は私の事なんかもう」

 

「それでもです!アサヒ君は……あなたの言葉を蔑ろにする人では無いと、ユキさんが一番わかってるはずですよ」

 

ユキはそれでも決心が付かない。あれだけ酷い言葉でアサヒを傷つけたのだ。ユキの心の支えも今は無い。もしこれで失敗でもしようものなら今度こそ確実に病んでしまうだろう。

 

「私のようなクズにそんな事する資格なんて……」

 

「良い加減にしてください!」

 

するとソラはユキの元に詰め寄って声を上げる。ソラの目は必死にユキを動かそうとしていた。

 

「ユキさんの信じたアサヒ君は……そんな程度なんですか?ユキさんがもしここで何も言わなかったら誤解はずっと解けませんよ?そのままアサヒ君と疎遠になって……それがユキさんのやりたかった事なんですか?」

 

「でも私は……私のような奴が……」

 

「そんなの関係ありません。まずは謝る事です。それをしない事には何も始まりません」

 

ユキは俯いてからソラの目を見るとソラは真っ直ぐ自分を見ている。ユキはそんなソラの眼差しに動かされた。

 

「私、やってみる……アサヒ君の誤解をちゃんと解くから」

 

ソラはユキがやる気になってくれた事に嬉しくなると頷く。その頃、アサヒの部屋ではましろがアサヒの部屋の中にいた。

 

「アサヒ」

 

「ましろ。一人にしてくれって言っただろ……どうして来たんだ」

 

「ユキちゃんはきっと何か言いたかった事があるんだよ。だからもう少しだけユキちゃんの言葉に耳を傾けてみたら?」

 

「……そんな事ねーよ。俺はフラれた。ユキに嫌われたんだ。……マジ最悪」

 

アサヒは完全に絶望色に染まった目をしており、このままでは確実に危険だとましろは思う。

 

「アサヒ、ユキちゃんだって好きでアサヒの事をこんな風にするつもりは無いと思うよ」

 

「わかってる。それでもユキに断られたショックが大きすぎて」

 

「……じゃあ、直接ユキちゃんと話してみる?」

 

「は?ましろ。そんな事をして何になるんだよ。ユキの気持ちはもう……」

 

アサヒは完全に諦めたような表情である。すると部屋の扉が開けられるとソラが入って来た。そして、ましろがソラを見ると小さく頷く。

 

「ましろ?」

 

「そんなに言うのなら二人で直接話し合って」

 

「は?それって……」

 

するとソラとましろが部屋から出ていくとユキが恐る恐る入って来た。そんなユキを見てアサヒは布団にくるまってしまう。

 

「アサヒ君……」

 

「ユキ。無理に取り繕わなくて良い。俺の事が嫌いなら嫌いだと。恋人になりたくないならなりたくないとハッキリ言ってくれ」

 

アサヒがそう言うと心の中で自分を呪っていた。好きな人の前でなんて情けない姿を晒しているのだろう……と。

 

「……アサヒ君。私ね、アサヒ君の事が……」

 

「嫌いなんだろ?もう友達としているのも……」

 

「違うよ。私は……私は……アサヒ君。あなたが異性として好きです」

 

それを聞いたアサヒは一瞬硬直する。それからその言葉の意味を飲み込むとユキの顔を見るために布団から出て来た。

 

「ユキ……何で?俺と恋人になるのは嫌だったんじゃ……」

 

「違うの!私があの時あんな事を言ったのは……私が、私自身がアサヒ君と付き合うのに力不足だと思ったからなの……」

 

ユキの目には涙が浮かんでおり、話す声色も震えている。ユキとしても勇気を振り絞っているという事をアサヒは感じ、彼女の言葉をちゃんと聞こうとした。

 

「私は今日のお出かけの時、アサヒ君にリードされっぱなしだった。アサヒ君は私のために私が気持ち良くお出かけできるように色々と手を尽くしてくれて……なのに私ときたら自分の事ばかりでアサヒ君に気を使わせてばかりだって気付けなくて。ナンパされた時もアサヒ君に迷惑をかけてしまった。そんな自分が許せないの」

 

ユキは泣きながらそう言い、悔しそうにしていた。このままでは自分のせいでアサヒに迷惑をかけ続けてしまう。そう思うと心が苦しくなっていく。

 

「私はアサヒ君の隣にいたい。でも、それと同じくらいアサヒ君に嫌われるのが怖い。私のせいでまたアサヒ君を深く傷つけてしまわないか。私の力が足りないせいでアサヒ君に負担ばかりかけてしまわないか」

 

するとアサヒはユキを抱くと頭を優しく撫でる。それと同時にアサヒは自分の勘違いを恥じた。

 

「俺の方こそごめん。ユキの気持ちが全くわかってなかったせいでユキにそんな辛い思いまでさせてしまって。俺はユキを守ればそれで良いと思っていた。ユキはユキなりに悩んでいたんだよな……気がつかなくてごめん」

 

二人はそれからお互いに誤解が解けたという事を確認するとベッドに二人並んで座る。

 

「ユキはこれからどうするの?」

 

「わからない。今まで通り……にはもう無理だよね」

 

ユキは俯いたままそう言う。しかし、アサヒがそんなユキをフォローする。

 

「元はと言えば俺が言い出した事だ。ユキが今まで通りの関係が良いと言うのならそうする」

 

「………」

 

ユキは迷っていた。アサヒを傷つけた自分が普通に接して良いのか。それこそ自分が責任を取るべきなのではと思ってさえいる。

 

「ユキ……恋人になろう」

 

「え!?そ、そんなの……。私なんかには……」

 

ユキはアサヒからの提案に混乱。第一、ユキは自分の力がアサヒに釣り合わないと考えたから先程断るような事をしたのだ。それでは何の意味も無い。

 

「私、まだまだアサヒ君の隣に並べるような良い女には……」

 

「ならなくて良い。ていうか、むしろ俺は弱点だらけの彼女の方が可愛いと思う」

 

「で、でも……。私のような可愛くもない彼女と一緒になんか」

 

「ユキ。俺は今のユキも十分可愛いと思うし、むしろ変に変わってほしく無い。ユキがもっと良い女になるための努力をしたいのならすれば良いけど、恋人って言うのは付き合っている間にお互いの事を想いあって成長するものだと思うんだ。だから無理して今すぐ完璧にならなくても良い。付き合いながら良い女になれば良いんだから」

 

ユキはそれを聞いて恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にする。そして、アサヒはそんなユキの唇に自分の唇を付けた。

 

「ッ!?」

 

アサヒはユキから離れるとユキへともう一度告白の言葉を言う。

 

「もう一度言うよ。俺はユキの事が異性として好きだ。ユキは良い気持ちにならないかもしれないけど俺は今のユキも好き。だから俺と付き合って欲しい」

 

ユキはそれを聞いて心がポカポカと温かくなる。ユキからの返事はもう一つしか無かった。

 

「……はい。喜んで」

 

二人はそれから手を繋ぐと微笑み合う。そんな様子を入り口の方からこっそり見ていたソラ達はちゃんとアサヒとユキが仲直りできた事にホッとしていた。

 

「アサヒ、ユキ姉を泣かせたら許さないからな……」

 

ヒョウはユキが幸せな顔をしているのを見て安心するとそのままその場から去っていく。それを見て今は二人きりにしてあげようとソラ達もいなくなるのであった。




また次回もお楽しみに。
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