熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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フェアリーパークへの入場 オリジナルストーリー3話

ヨヨから渡されたフェアリーパークの入場チケット。そこにある四角い部分をタッチするとユキ達の姿は虹ヶ丘家から消失してしまった。それから彼女達が移動した先で目を開けると周囲を見渡す事になる。

 

「ッ……わぁああっ!」

 

「本当に来たのか……フェアリーパークって所に」

 

そこにあったのは妖精達が運営するテーマパークであるフェアリーパークの入場用の入り口だった。そして、そこにはテーマパークで言うところの入場ゲートに当たる場所に列を成す人々の姿もある。

 

「凄い人ですね!ここにいる皆さんは招待された方々なのでしょうか?」

 

「多分そうじゃないかな。手に私達と同じチケットを持ってる人が多いし」

 

ユキだけで無くソラも興奮気味であり、ましろも人々の賑わいを見てワクワクの気持ちが湧き上がる。

 

「それにしても、本当に妖精の要素がいっぱいですよね。ほら、ここから見えるアトラクションとか……」

 

ユキ達は今現在、フェアリーパークの入り口付近でそこから見えるパーク内の光景を見ていた。その時点で飛行機型のライドアトラクションが妖精仕様になっていたり、観覧車やジェットコースターと言ったサイズの大きなアトラクションも妖精の要素がしっかりと現れている。

 

「うん。それにしてもここって海の上……なのかな」

 

ヒョウがパークの外側の方を見るとそこには海が広がっており、パーク全体が海の上に存在するようだった。

 

「見た所、街からは切り離されてますよね」

 

ヒョウの発言に合わせてツバサが後ろを振り向くとフェアリーパークへと繋がるように都市部の方から海の上に敷かれる形で存在する道路がある。

 

その道路だが、何故か一部分だけ補修したように中途半端に繋ぎ足しされている部分があったが……それは些細な問題だろう。

 

「える!えるるぅ!」

 

「あっ、もしかしてエルちゃんもワクワクしてる?」

 

「えるぅ!」

 

「良かった。エルちゃんにも楽しんでもらえそう」

 

そして、一緒に連れてきたエルもこのフェアリーパークを一目見ただけで気に入ってもらえたようである。

 

するとアサヒがフェアリーパークへの反応がひと段落した所でソラの方へとジト目を向けた。

 

 

「そうだ……ソラ」

 

「はい、アサヒ君何でしょ……」

 

「お前な?ヨヨさんの話を最後まで聞く前に何で転移するための部分押しちゃったんだよ!!」

 

「うええっ!?」

 

アサヒはヨヨからの話を聞き終わる前にいきなりチケットに存在する移動用の部分を押してしまったという事でソラへと詰め寄る。勿論ソラはいきなり自分がアサヒから責められた形になるので困惑した。

 

「あ、アサヒ君!?ちゃんとフェアリーパークに来れたので問題無いのでは……」

 

「問題大アリなんだよ!俺達私服姿に着替えただけで出かける準備とか全くして無かったよな?」

 

「……あっ」

 

アサヒに指摘されてようやくソラは自分の過ちに気がつく。それは、ユキ達全員が出かける準備を全くしていなかったという事だ。出かけるために必要な物を部屋で揃える必要があったし、お出かけのための着替えやメイク。髪や身だしなみを整える事や転移先に合わせて靴の準備。

 

挙げ出したらキリが無いくらいに必要な準備があったのだ。それなのにソラはノリと勢いで転移するための場所を押してしまったのである。

 

「しまったぁあああっ!?」

 

「そ、ソラちゃん落ち着いて……」

 

「落ち着くなんて無理ですよ!?どうしましょう……」

 

ソラは自分が大変なやらかしをしてしまった事に大慌て。それからある事に思い至る。

 

「ハッ……そうです!ここに来るためにこのチケットを使ったんですからこれを使えばましろさんの家に……戻れない!?」

 

「はぁ……そんな事だろうと思った」

 

ソラは来る時にチケットを使ったのだからそれを使えば家に瞬間移動する事も可能だと考えていた。しかし、残念ながらそれは無理なようで。チケットを何度押してもうんともすんとも反応が無かった。

 

「あ、あのねソラちゃん」

 

「ましろさん、今どうにか家に帰る方法を……」

 

「その必要は無いと思うよ?」

 

「へ?」

 

ソラはそれを聞いて慌てて自分の姿を見る。そこにはしっかりと服装やメイクが整い、お出かけのために必要な物が準備された上で靴まで履いていた。

 

そして、改めてユキ達を見渡すと他の5人も同じように全ての準備がされた状態である。勿論、エルはスリングの中で抱っこされていた。

 

「な……な……何ですかこれぇええっ!?」

 

「恐らくですけどチケットにはお出かけ準備機能もあったみたいです」

 

「幾ら何でもご都合主義が過ぎるけどな?」

 

「ヒョウ、ちょっとそれはメタいよ……」

 

ツバサ、ヒョウ、ユキが口々にそう言う中で一瞬の転移時間の間にいつの間にかお出かけのために必要な準備が全て完了していたという事実にソラは困惑してしまう。

 

「ま、まさかこの世界の技術はそんな所まで進歩してたんですか……」

 

「違うからね?ソラちゃん……」

 

ソラが驚きのあまりボケてしまうとましろがすかさず指摘する。そんな中、ユキ達は1番の懸念点だったお出かけの準備の件も問題無しだったので早速フェアリーパークへと入場するべく列に並んだ。

 

「それにしても、皆さんよくフェアリーパークに来てるのに平然としてますよね」

 

「あー、言われてみたらそうだよな。普通妖精とかいうファンタジー要素を目の前にしたら驚くなり何なりするのに」

 

「それに、シロップ君が届けたという事はきっと妖精達も実在するって事でしょうし……騒ぎにならないんでしょうか?」

 

すると、入場待ちをする中でユキ達は妖精達がすぐ間近にいる状況下でよく人々が平然とした様子でいられるのかわからずに理由を考える。するとそこに1人の少年が声をかけてきた。

 

「……そんなの、フェアリーパークその物に強力な結界が働いてるからに決まってるだろ」

 

「へぇ……結界ねぇ……うん?」

 

ユキ達は結界があると聞いて最初はスルーしようとするが、そのタイミングで聞き慣れない言葉に困惑。それから慌ててその方を向くとそこにいたのは金髪の少年である。

 

そして、彼こそが今回のフェアリーパークへの招待状をヨヨへと手渡したペンギンの妖精……シロップだった。

 

「「「「「うわぁっ!?び、ビックリ(しました)(したよ)(したあっ)!?」」」」」

 

「えるぅっ!?」

 

「結界を知ってるってお前誰!?」

 

尚、ユキ達は彼の人間態こと甘井シローを知らないために思わず叫んでしまう。するとシロップことシローはその様子に困惑した。

 

「はぁ、俺だよ俺。この前のぞみ達と一緒にいたシロップ……って、この姿じゃわからないか」

 

シローはそこまで言った所でユキ達が自分の人間態を知らないことにようやく思い至るとポンという音を立てて妖精へと変化。それを見てようやくユキ達中学生4人組が納得する。

 

「あっ、あの時の!」

 

「なるほど、のぞみさん達の所の妖精さんだったんですね」

 

「やれやれ、やっとわかったロプ」

 

シロップはユキ達4人が自分の事をようやく認識してくれたと考えているとそこにツバサとヒョウが話す。

 

「これが妖精ですか……初めて見ましたね」

 

「うん、それに俺達と一緒で鳥に変身できるなんて」

 

「ツバサ、ヒョウ。それギャグのつもりか?俺達の中ではお前らが一番妖精っぽいんだけど」

 

アサヒはプニバード族という妖精に一番近い種族柄をしているツバサやヒョウがシロップの事を言うのは違和感があると言わんばかりに思わず指摘を入れる。

 

「それはそうとさっき結界って言いました?」

 

「ああ、そうロプ」

 

その瞬間、シロップは妖精から人間態へと姿を変えるとシローの状態でソラの質問に答える。

 

「このフェアリーパークには妖精達の力で特殊な結界が張られるようになったんだ。前にフェアリーパークに眠っている光の力を狙って襲撃があったからな」

 

「そうなんだね……」

 

その襲撃というのはフェアリーパークの周囲の海の底。光届かない深海に生まれた闇を持つ者だった。

 

「そいつの名前はボトム。で、そいつはプリキュア達の敵の力を使って1000年に1度開くこの島の宝物。レインボージュエルを奪ったんだ。その時はその場にいたプリキュア達の力で退けたけど、あんな出来事が何度もあるのはごめんだからな」

 

「なるほど、それでそれ以降結界を張るようになったのか」

 

「ああ。ついでに、妖精の事に関してもその結界内では気にならないようになっている。それに、この遊園地で遊び終わった後は妖精の事が疑問に浮かばないくらいに幸せ気分になるからな」

 

要するに、最初の違和感さえ消してしまえば後は楽しんだ後の余韻が上手く違和感を無くしてくれるという事だろう。

 

「まぁ、どこかご都合主義感はあるけど……納得はしたかな」

 

「あはは……」

 

どちらにせよ、フェアリーパークを覆う結界がある限り闇の力はパーク内部には侵入しないのに加えて妖精が一緒にいるという違和感も消してくれるらしい。

 

「そういえば、このチケットの転移機能だけど……」

 

「ああ、それならこのパーク内である程度遊べば幸せゲージが溜まって帰れるようになる。勿論戻る先はここに移動する直前にいた場所だから変な場所に飛ばされる事にはならない」

 

「ホッ……それを聞いて安心しました」

 

流石に帰る時に転移のせいでまた面倒な事態になるのは避けたい所だったため、シローからの答えに一同はホッとした顔を浮かべる。

 

「それにしてもよくこんな転移機能なんて画期的な機能を付けたよね」

 

「ああ、以前誰かさん達がチケットを忘れた〜とか寝坊して集合時間に遅刻した〜とかで大惨事が起きてたからな」

 

「寝坊の方は兎も角チケットを忘れてたらどっちにしても入れないんじゃ……」

 

シローが過去の苦い思い出を思い出すと顔が引き攣っていた。同時にユキ達は彼もまた苦労したのだと察する。

 

「っと、そろそろ先頭ですね」

 

「うん!これでフェアリーパークの中に入れる!」

 

そんな風にユキ達が色々と話をしていると彼女達は列の先頭付近に到着。するとそこには白を基調としつつ耳や前髪の方は先が薄いピンク色の毛並みをしており、頭には赤いリボンを付けた垂れ耳のウサギの妖精がいた。

 

「次の方どう……って、シロップ。何してるのミル」

 

「「「「「ウサギが喋った!?」」」」」

 

「えるる!?」

 

「ウサギじゃないのミル。というか、あなた達は前にミルクと会ったでしょ」

 

ましろを除くユキ達がいきなり喋り出したウサギの妖精ことミルクに困惑した顔つきになるとミルクはそんなユキ達へと呆れた視線を向ける。

 

尚、ましろが驚いていないのはましろの中の人がウサギの妖精の声を担当しているからなのだが……それはさておこう。

 

そして、ミルクはまるでユキ達と会った事があるような口振りを見せた。そうなると当然ユキ達は更に混乱するわけで。

 

「「「「「「……へ?」」」」」」

 

「える?」

 

「ミルクはお前達がこの前会ったミルキィローズこと美々野くるみなんだよ」

 

「へぇ、あなたがあの時の美々野さんなんですね」

 

「まさかこんな可愛いウサギの姿に……」

 

「って、マジかよ!?」

 

どうやらミルクはこの前ユキ達が会ったミルキィローズの変身者である美々野くるみが妖精態になった姿らしい。

 

「はぁ……。証拠を見せても良いけどあまり長々止まってると迷惑だからこれを受け取って早く中に入るミル」

 

「えっ?……あっ」

 

ユキ達がミルクに早く中に入るように急かされるとヒョウが疑問符を浮かべつつ振り返るとその理由を理解する。

 

そう、ここはテーマパークの入場口。つまり、入場待ちの人が後ろに長蛇の列を成しているのだ。そんな所で立ち止まれば後ろの人の迷惑になってしまう。

 

「ご、ごめんね」

 

「このブレスレットを持っていけば良いんですね」

 

「そうミル」

 

それからユキ達はミルクの近くに置いてあるピンクのブレスレットを手に取るとそれを腕に装着。これがこのテーマパークにおける入場者の証になるようで。

 

「では、早速行きましょうか」

 

「うん。それじゃあお仕事頑張ってね」

 

「そうね。仕事が終わったらミルクも楽しませてもらうミル」

 

ましろが優しくミルクへと声をかけると彼女はツンツンした様子で素っ気なくそう答える。どうやら、自分の街の友達であるのぞみ達がまさかの5人共が用事で来れなかったのを気にしてるらしい。

 

「良し、じゃあシロップもパークの中を……」

 

「シロップは待つのミル!」

 

シロップはユキ達がパーク内へと入るのに便乗して中に行こうとするが、ミルクが耳を使って引き止めてしまう。

 

「ミルク!?な、何するロプ!」

 

「あなたはここでのお仕事があるのミル!というか、当番はミルクと一緒だったはず!サボったら許さないミルよ!」

 

どうやらシロップはミルクと同じタイミングで入場口の当番だったらしく。それをサボろうとしたからか、ミルクの額に苛立ったようなマークが浮かび上がる。

 

「ちょっ、ちょっとくらいは……」

 

「ダ・メ・ミル!ミルクを1人で働かせるなんて絶対許さないのミル!!」

 

「うわぁああっ!?助けてロプ〜ッ!!」

 

ミルクに無理矢理仕事をするように強制されたシロップは情けない声を上げるが、だからって彼を助ける者は1人もいない。こうなると彼が可哀想に見えてくるが……こればかりは仕方ないだろう。

 

「「「「あはは……」」」」

 

「何やってんだ、アイツらは」

 

「やれやれね」

 

そしてユキ達は改めてフェアリーパークの中へと入ると早速アトラクションを楽しむために行動を開始するのだった。




また次回もお楽しみに。
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