熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

118 / 256
あげはの来訪と山登り

アサヒとユキが付き合い始めてから一週間程経った。その間、アサヒとユキは以前にも増して近い距離で接するように。その結果、クラスメイトには一瞬にして付き合いがバレてしまった。

 

だが、そんな二人をクラスメイトは受け入れてくれたために特に問題は起きず。むしろ二人の仲睦まじい所を温かい目で見てくれるぐらいだ。そんなクラスメイトにアサヒもユキも感謝しつつ恋人としての時間を満喫していた。そんなある休日の朝の事。

 

「ふぁああ……」

 

「もう朝か……ッ!?」

 

ツバサとヒョウがプニバードの姿で巣箱の中にちょこんと座って寝ており、ヒョウが先に目を覚ますとギョッとした顔つきになる。そんなヒョウの反応を見たツバサは疑問に思った。

 

「ツバサ、前!前!」

 

「ま……え?」

 

するといきなり二人の前に影が現れると二人を抱きしめるように持ち上げたその影はツバサやヒョウに頬擦りをし始める。

 

「きゃーっ!可愛い!モチモチできゃわわ〜!」

 

「うわあっ!?」

 

「な、何で俺も!?」

 

そのまま二人纏めてその人物に愛でられる羽目に遭う。ツバサもヒョウも慌ててプニバードから人間の姿に変わると自分達に頬擦りをした人物を見上げる。

 

「わぉ!今のどうやったの?」

 

「あ、あなたは……」

 

「あげはさん!?」

 

「お邪魔してまーす!私、聖あげは!」

 

あげはがノリノリで話しかける中、ツバサが不機嫌な顔つきになる。ヒョウは最初は驚きこそしていたが、不快な気持ちにはならなかったのか割といつも通りの表情であった。

 

「ど、どうも」

 

「あ、そう言えばどうしてあげはさんはうちの中に入ったんですか?家の戸って鍵がかかってるはずですけど」

 

「ああ、それね。この前ましろんからこの家のスペアキーを貰ったんだ。と言うわけで早速使わせてもらったよ!」

 

あげはの言葉にヒョウがなるほどと頷く中、ツバサは納得していない様子なのか頬を膨らませる。

 

「ヒョウ、どうしてそんなにすんなりと受け入れるんですか!?そもそも勝手に他人の家に上がるのは色々と問題じゃ……」

 

「それはそうかもだけど、あげはさんは一応俺達の関係者だし大丈夫なんじゃね?」

 

「ヒョウ君は話がわかって助かる〜!」

 

「そう言う問題じゃないですからね!?」

 

ツバサが呆れたようにツッコむ中、あげはは上機嫌になると二人へと質問攻めを開始した。

 

「初めまして。ちゃんと話すのは初めてだよね?こないだの活躍見たよ!ましろんやアサヒからも色々聞いてる!てか、鳥でも朝弱かったりするの?ねぇ、後でもう一度鳥になるのを見せて!」

 

あげはがグイグイとツバサへと迫るように質問を次々とぶつけていくため、ツバサはなかなか答えを返せない。

 

「まぁまぁ、あげはさん。ツバサが困ってるでしょ。俺は割と朝は弱い方だよ。前にユキ姉の鞄の中で寝てた事あるし。それと俺で良かったらまた鳥になるのはやるからさ」

 

「ありがと!ヒョウ君。それとよろしくね、少年!」

 

そう言ってあげはがツバサへと手を差し出す。ツバサはそれを取ると二人揃って立ち上がる。そんな中、ツバサは頭の中に疑問符が浮かび上がった。

 

「……ってあれ?少年!?ヒョウはちゃんと名前で呼ぶのに!?」

 

ツバサは自分だけ少年呼びされた事について納得がいかない様子である。そこに起きてきたユキ達四人がやってきた。

 

「おはようございます!」

 

「あ、あげはちゃん!?」

 

「あげは姉!?何でここに……」

 

「あげはさん。おはようございます!」

 

「おっはよー!今日は皆でお出かけだよ!山行こう山!」

 

「や、山!?」

 

それからあげはの提案で山に行くことが決定。早速ユキ達もそれぞれの部屋で準備をしてから車に乗り込む事に。ただ、このタイミングで一つ問題が発生した。

 

「そう言えばあげはさんの車って私達全員は乗れないんじゃ……」

 

「うーん。一応ツバサとヒョウがプニバード形態を使って、俺がトランクに乗り込めば何とかなるんじゃね?」

 

「で、でもそれじゃあ……」

 

実際問題、トランクに乗れば何とかはなるだろう。しかし、それだとトランクにのるアサヒに負担をかけてしまうとユキ達は消極的であった。

 

「大丈夫さ。俺はこれでも乗り物酔いは強い方だし」

 

当のアサヒはそう言って乗る気満々だったために結局アサヒがトランクに乗り込んでツバサとヒョウがプニバード形態になった上でそれぞれソラとユキの膝の上に座る事により、解決する事に。

 

「それじゃあ山へレッツゴー!」

 

早速あげはが車を出すと山への道のりを走り始める。それから暫く移動時間となり、その間にあげはは上機嫌に歌い始めた。

 

「あげはさん、ご機嫌ですね」

 

「こういうのは楽しんだ者勝ちだからね!」

 

あげはの言葉にユキも納得したように頷く。ましろはトランクに座ったアサヒを心配する。

 

「アサヒ、大丈夫?酔ったりしてない?」

 

「ああ。まだ平気だよ。どうしてもヤバかったらまた言うから」

 

アサヒ達がそんなやり取りをする中、ソラは飛ぶように過ぎていく外の景色を見て興奮したような声を上げる。

 

「一体、何で速さですか!?木や建物がビュンビュンです!」

 

「あはは……確かにスカイランドではこんな風にはいかないもんね」

 

「ふふっ。ユキちゃんもソラちゃんも車に乗るのは初めてだもんね」

 

「はい!スカイランドでは鳥さんが活躍してますから!」

 

スカイランドではこちらの世界のように機械の概念があまり無い。また、鳥と仲良しという事もあって鳥が移動手段として活躍する場面が多いのだ。

 

「鳥さんも良いけどさ、私のピヨちゃんもビュンビュンできゃわわ〜でしょ!」

 

「ん?ピヨちゃん?それってこの車の名前?あげは姉」

 

「そうだよ。私の自慢の愛車なんだから!」

 

それを聞いてソラはこの世界では車に名前を付けるのが当たり前なのだと勘違いしてましろ達にそうでは無いとツッコまれる事になる。

 

「何でボク達は山に向かってるんですか?」

 

「まぁ、一応山に行くだけならましろの家にある山があるけど……そこじゃダメだったの?」

 

ツバサとヒョウの二人があげはに問いかける中、あげはは運転をしつつ言葉を返す。

 

「うん。偶には遠出したいし、それに君達の事も知りたいしね。少年、ヒョウ君」

 

「……むう。やっぱりヒョウだけ名前呼びでボクは少年扱いなんて何だか納得がいきません」

 

ツバサが不満を募らせる中、ヒョウは苦笑いする。それでもやっぱりヒョウはあげはがツバサの事を何故か少年呼びする事には気になった。

 

「あげはさん。どうしてツバサの事だけは少年呼びを?」

 

「えっとね、それは……何となくその方が良いかなって」

 

それを聞いたツバサは更に不機嫌になってしまう。何となくで変な名前呼びをされれば不機嫌になってしまうのも無理は無い。

 

「はぁ……どうしてそうなるのかボクには理解できません」

 

「ふふっ。あとそれと、アサヒ。ユキちゃん。お付き合いおめでとう」

 

「あ、ありがとうございます。あげはさん」

 

「アサヒ。ユキちゃんを泣かせたらダメだからね!」

 

「揶揄うなよあげは姉……」

 

そんな雑談をしている間に一同は目的地であるらそ山に到着。そして、車を降りると荷物を持って移動を開始する。

 

「着いた〜」

 

「結構人来てるね!」

 

「える?えるぅ〜!」

 

するとエルが何かに興奮したようにスリングから身を乗り出すようにして手を伸ばす。

 

「エルちゃん?」

 

「あ。あれ!」

 

ユキが指差す先にはボードが立っており、そこにはツバサのプニバード姿にそっくりな姿をしたらそ山のマスコットキャラ。ソラ吾郎からのクエストだった。その名はらそ山クエストである。

 

「らそ山クエスト……か」

 

「ソラ吾郎の出す謎を解きながら山登りに挑戦しよう」

 

「謎を解きながら山登りですか!面白そうですね!」

 

「山登りが苦手な人もやりやすくするための配慮みたいだな」

 

そんな事を言う中、エルはずっと手を伸ばしっぱなしでソラ吾郎が気になる様子であった。

 

「全ての謎をクリアすると非売品グッズをプレゼントだって」

 

「そういや、ソラ吾郎ってさ……ツバサのプニバード形態にそっくりだな」

 

「確かにそうだね!」

 

「似てません!あげはさんだけでなくヒョウも揶揄わないでください!」

 

ツバサはヒョウにさえ揶揄われたからか完全に拗ねてしまう。だが、エルの興味は止められないようなのでどうしても欲しいとばかりに声を上げてねだる。

 

「よーし!じゃあ皆でエルちゃんのために謎解きしちゃいますか!」

 

一同はそれを聞いて“おー!”と声を上げた。そして、早速登山道について見ているとそこには二つのコースがあり、一つは急な山道が続くコース。もう一つは比較的に穏やかな道が続くコースだ。

 

「道は二つあるね。こっちが歩きやすくてゆったり楽々ののんびりコース」

 

「もう一つは、本格的な山登りをしたい人が歩きそうなコースだね」

 

するとソラは急な方のコースを見ると興奮したような声を上げる。ソラにとってはこちらのコースの方がやりたくなるだろう。

 

「とっても登りがいのありそうな道ですね!」

 

「あ。じゃあソラちゃん。エルちゃんのお世話は私に任せて行きたい方に行きなよ」

 

「ありがとうございます!」

 

ソラはやる気十分と言った様子で声を上げる。それからソラがエルをあげはに預けた。

 

「それでは、エルちゃん。行ってきますね!」

 

「えるぅ〜!」

 

「ましろさん。行きますよ!」

 

そして、ソラはましろの手を取るとそのまま引っ張りつつ登り始める。

 

「ええ!?私もそっちなの!?」

 

ましろはあまり急な山道は得意では無いが、友達のソラが誘っているので断ることもできず。そのまま連れられる事になった。

 

「じゃあ、ユキ。俺達も……」

 

するとユキはアサヒの手を掴むと小声で小さくアサヒへと話しかける。

 

「アサヒ君。大丈夫かな……。ツバサがかなりご機嫌斜めだけど……」

 

「あー。まぁ、多分何とかなるだろ」

 

「でも、もし喧嘩とかしたら……」

 

ユキは心配な様子である。ツバサとあげは。更にそこにヒョウもいる。先程から見る感じだとあげはとヒョウは問題無さそうだがツバサに関しては二人と仲の良さそうな感じでは無い。ユキが心配するのも無理は無いだろう。

 

「いや、きっと大丈夫。むしろ、俺達がいたらダメだ」

 

それを聞いてユキは心配な気持ちは残りつつもアサヒの意見に最終的には頷き、結局二人は急な山道を選択する事になる。

 

「それじゃあ俺達も行ってくるね」

 

「うん!それじゃあ後でね!」

 

それからアサヒとユキが行くと残されたツバサとあげは、そしてヒョウの三人が残った。

 

「じゃあ、少年やヒョウ君はこっちだね!」

 

「行っくよ〜!」

 

「おー!」

 

「えぇ……」

 

あげはとヒョウがノリノリで進む中、ツバサはやはり不機嫌そうな顔のまま。やはり、ツバサの中ではあまり良い気分とは言えない様子である。それからそれぞれの山登りが開始されるのであった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。