熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ドーナツ屋での邂逅 オリジナルストーリー5話

シフォンの悪戯によっていきなり大量の水が降り注いだためにユキ達6人は慌ててバラバラに逃げてしまう。そして、そうなれば当然6人は逸れてしまうわけで。

 

「……どうしよう」

 

「ええ、困りましたね」

 

「えるえる」

 

今現在、シフォンに悪戯された地点から少し離れた場所でどうにかユキとソラは合流していた。また、ソラが抱いていたエルも2人と一緒にいる状態だ。

 

「まさか私達全員がバラバラに逃げてしまうなんて」

 

「うん。完全に他の皆を見失っちゃったし……これじゃあフェアリーパークを楽しめない」

 

2人はいきなりアサヒ達とバラバラになってしまったために愕然としてしまう。2人だけでフェアリーパークを楽しむという選択肢もあるが……それをやってしまうと他の4人が自分達を探し回っていた場合、かなり気不味くなってしまう。

 

「ひとまず、ましろさん達に連絡を……」

 

「あれ?ソラちゃん、どうしたの?」

 

ソラは逸れてしまった際の定石としてましろ達への連絡を取ろうと考えるが、その直前に動きが止まってしまう。それを見たユキは気になってソラの方を向きつつ話しかけた。

 

「あれは……」

 

「あれ?」

 

ソラが正面を向いて固まっており、ユキもそれが気になって前を向く。するとそこにあったのはとあるキッチンカーのような物だった。そして、そのキッチンカー内部で作っているのは……。

 

「何でしょう?あの穴の空いた丸い物は……」

 

「しかもコイン?お金?を入れたら坂道をコロコロ転がってるみたいだよね」

 

2人が見つけたのは奇妙な機械であった。コインを1枚入れるだけで機械の中で食べ物が作られて出てくるのである。まず間違いなくスカイランドでは見ない技術だった。ひとまずソラはキッチンカーの上にある看板を見ると目を細める。

 

「えっと、ドーナツ?」

 

「ボーナツじゃなくてですか?」

 

ソラはドーナツという名前を聞いてキョトンとしていた。どうやら、スカイランドにドーナツという物は無いらしい。ただ、その代わりなのか……ボーナツという物はあるそうだ。それはさておくとして。

 

ユキ達が見たのはドーナツの製造機であり、お金とは別の特殊なコインを入れると装置が作動。機械の内部でドーナツが作られ、坂道をコロコロと転がってから取り出し口に出てくるような感じだった。

 

「ユキさん。面白そうですし、あそこに行ってみませんか?」

 

「そうだね。皆の事も探さないとだけどちょっと見るくらいなら……」

 

ユキとソラはドーナツの製造機が置かれているキッチンカーに興味を示す。

 

勿論アサヒ達を探すのは大事であったが、少し寄り道するくらいならと

 

の方へと歩き出す。すると、そこには丁度客への対応が一通り終わったのか。キッチンカーの中から1人の男性が出てきた。

 

「やはり今回の依頼、受けて良かったなぁ。こんなにも儲かるなんて!ガハッ!」

 

独特な笑い声で笑みを浮かべるのはサングラスをかけ、いかにもどこかの国のSPのような雰囲気を出している中年の男性であった。どうやら、彼がこのお店を仕切っているようである。

 

「あの……」

 

「お、もう次のお客さんか。しかもこんなに可愛いお嬢ちゃん達にだなんて。モテるって良いよね!」

 

「えるぅ!」

 

男性はユキとソラを見て上機嫌な状態で店に戻っていくとエルは先程のドーナツが坂道を転がって出てくる所が面白かったのか。もう一回見せてと言わんばかりに手を伸ばす。

 

「エルちゃん、少しだけ待っててね」

 

「あの、注文良いですか?」

 

「おう。好きな物買えば良いからな」

 

それから2人がドーナツのメニュー表を見ているとその中にとあるドーナツがあるのを見つける。

 

「えっとこれは……クローバードーナツ?」

 

「な、なんか凄い色してるね」

 

それはピンク、青、黄、赤の四色カラーをしたドーナツであり、当然のように真ん中にはハートの形をした穴が空いていた。

 

「ああ、それ?実は俺が普段活動してる街の象徴をイメージして作ったんだよね〜」

 

「街の象徴……」

 

「それだけ有名な物って事だよね」

 

「えるるぅ!」

 

そうやってドーナツについて話をしているとエルが催促するように声を上げてきた。どうやら彼女としては早くドーナツが出てくる所を見たいというのと、その流れでドーナツを食べたかったようで。

 

「ああ、ごめんね。じゃあこのクローバードーナツを3つお願いします」

 

「まいどあり」

 

男性へとユキ達がお金を渡すと自分が持っている専用のコインを取り出す。それから機械にそれを挿入すると先程と同じようにドーナツが出てきた。

 

「コロコロ!コロコロ!」

 

「エルちゃん、転がるドーナツに大興奮ですね」

 

「うん。やっぱり赤ちゃんだからこういう目新しい物とかを見るのが好きなのかも」

 

すると中年の男性はそんなエルを見て何かを感じたのか。ユキ達へと話しかけてくる。

 

「そういや、その赤ちゃん。ここらじゃ見かけない不思議そうな感じしてるけど……」

 

「「ギクッ!?」」

 

「え、えっとぉ……」

 

「こ、この子は……」

 

男性からの言葉に真面目な2人はわかりやすく動揺。どうにか彼を誤魔化そうと言い訳を考えるが、それよりも早く男性が続けて切り出してくる。

 

「なるほど、要するに訳ありって事か」

 

「ち、違っ……そういうわけじゃなくて……」

 

どうにか必死に誤魔化そうとするユキ達。ただ、男性はそんな2人の様子を見てから少し揶揄い過ぎたと感じたのか。それ以上聞かない事にした。

 

「なーんてな。ちょっと不思議な感じの普通の子なんだろ?おじさん、ちょっとした事だったら気にしないからよ」

 

「は、はあ……」

 

「何だかこっちのおじさんの方が変わってるように見えるのは気のせいかな……」

 

ユキは自分達が他人の事を言うのもおかしな話だと思いつつも目の前にいる男性の異常さに違和感を覚えつつある。少なくとも、ただ者では無いのは間違いないと言えるだろう。

 

「はい、クローバードーナツ。できたぞ」

 

「わぁ……ありがとうございます!」

 

3人は男性からドーナツを受け取ると早速ドーナツの乗った皿を持って近くにある丸いテーブル席に行こうとする。するとそのタイミングでこちらに向かってくる4人の影がいた。

 

「あ、カオルちゃんだ!!おーい!!」

 

「お、噂をすればだな」

 

ユキ達が男性が呟いたのに合わせて声のした方を向くとそこに来たのは4人組の少女達である。彼女達はこのお店の主の男性と知り合いなのか。割とフランクに接しており。その中の1人は少し呆れたような顔つきを見せる。

 

「何でこんな所でもお店をやってるのかしら……」

 

「あはは……カオルちゃんってそういう所が謎だよね」

 

この4人の少女達だが、1人は小麦色の髪をツインテールにしたのが特徴的で結び目にはピンク色のシュシュのような髪飾りを付けており、毛先は大きくカールしている。瞳の色はピンク色でその雰囲気からも漢気のあるような女子だとわかる。

 

1人は青い髪をロングヘアで下ろしており、水色のカチューシャを付けていた。瞳は青色で身長が高く、モデルのように綺麗な体つきをしている。そんな彼女は正にクール系女子のような雰囲気だった。

 

1人はオレンジに近い茶髪のボブヘアーで尚且つ髪の一部を右側でサイドテールにしつつ黄色いリボンで纏めている。身長は4人の中で一番低く、小柄な印象を与えた。また、おっとりとした見た目で温厚な雰囲気である。

 

1人は青髪の子よりも更に濃い青の髪……紺色の髪と言えば良いだろうか。その髪をセミロングで薄い赤い瞳をしていた。他の3人と比べると無愛想のような感じで感情の起伏が小さそうな雰囲気をしている。

 

「カオルちゃん、今日はここでお店をやってるんだ」

 

「ああ。人手が足りないって事で兄弟に誘われてな」

 

「なるほど、タルトの仕業って事ね……」

 

紺色の髪の少女がそれを聞いて納得する。すると黄色い髪の子が少し心配そうにしていた。

 

「そういえば、タルトちゃん。シフォンちゃんと一緒って聞いたけど……」

 

「あー、シフォンの事だから何かやらかしてそうなのよね」

 

すると、4人からシフォンという単語が出たのに気がついたユキはある予感がして気になった。

 

「シフォン……タルト。あの……」

 

「「「「うん?」」」」

 

「シフォンってもしかしてあのぬいぐるみみたいな妖精さんの事ですか?」

 

「「「「……えっ?」」」」

 

ユキからの問いに4人はまるで“ドキッ”としたような反応を見せる。そして、慌てたような様子で話し始めた。

 

「そ、そうだけど……」

 

「もしかして見ちゃった感じ?」

 

「はい。じゃあ、タルトっていうのはあの動物さんの事ですよね?」

 

「そうだよ」

 

ソラは4人が慌てるのを見て少しだけ疑問を抱く。何しろ、ここはフェアリーパーク。妖精が動き回る事自体はそう珍しい光景では無い。それなのにここまで慌てるのには何か理由があるのだと感じた。

 

「えっと、皆さんはどうしてそんなに慌ててるんですか?妖精が動き回る事は別にこのパーク内では普通にある事ですよ」

 

「そうだよね……うん。それは私達もわかってる」

 

「えっ、じゃあ何に対して慌ててるんですか?」

 

「そ、それは……」

 

4人はどう説明すれば良いのか悩んでいる様子であり、ユキはふと以前の事を思い出すとソラへと耳打ちする。

 

「あ、もしかするとソラちゃん」

 

「はい?」

 

それからユキからの意見を聞いたソラは驚きのあまりその場で声を上げながら驚いてしまう。

 

「ええっ!?ここにいる4人が私達と同じプリキュアかもしれないんですか!?」

 

「あっ……」

 

ただ、ユキはこの時失念してしまっていた。ソラはこういう秘密の話をしたい時に隠し事ができないという事を。

 

そして、ユキは自分達がプリキュアである事をこのプリキュアの関係者かどうか確定していない4人の前で暴露する事は想定外だった。

 

「「「「えっ?」」」」

 

「……あ」

 

そして、4人はソラが自分から自分達はプリキュアであると暴露した事にあぜんとするとソラもようやく自分のやらかしに気がつく。

 

「し、しまったぁああっ!」

 

「い、今のは忘れ……」

 

「本当!?あなた達もプリキュアなの!?」

 

すると、小麦色の髪をツインテールにした少女が2人がプリキュアであると知って興奮したように詰め寄る。そこから話は早かった。

 

「なーんだ、なぎさちゃん達ともう会ってたんだね」

 

「あはは……はい」

 

「私達もあなた達がシフォンとタルトの事を知ってて、いきなり聞いてくるからちょっと焦っちゃって」

 

「プリキュアって他の皆さんには秘密だからだよね」

 

「そうそう」

 

ユキとソラがなぎさ達と面識があるという話を聞き、そのままの流れで6人はテーブルを囲んでドーナツを食べる事になるとドーナツ美味しくいただく事に。

 

「えるぅ!」

 

「その赤ちゃん、可愛いね」

 

「この子はエルちゃんって言うんだ」

 

「える!」

 

ユキがエルの名前を紹介したためにそろそろ自分達の名前も言った方が良いと感じ、自己紹介を始めた。

 

「あ、そういえば私達自身の自己紹介がまだでしたね。私はソラ・ハレワタールです」

 

「私はユキ・ハレワタール。ソラちゃんとは血が繋がってないけど幼い頃から一緒の家で過ごしてきた姉妹みたいな者です」

 

「なるほど。複雑な家庭事情みたいな感じかしら」

 

ユキとソラが血が繋がってないのに幼い頃から同棲してると聞いて4人は気になったものの、一応納得はしてくれた。

 

「じゃあ次は私達だね。私は桃園ラブ」

 

「蒼乃美希よ。よろしく」

 

「山吹祈里です」

 

「東せつな。私もラブとは色々あって同じ家に住むようになったの」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

小麦色髪のツインテールの子が桃園ラブ、青髪ロングヘアの子が蒼乃美希、茶髪ボブ+右サイドヘアの子が山吹祈里、紺髪セミロングの子が東せつなという事で全員の自己紹介が終わった。

 

「皆さんも遊園地に招待されたんですか?」

 

「そうだよ。私達の他に、シフォンちゃんとちゃんタルトちゃんも一緒に来たんだ」

 

「その割にはバラバラなんですね……」

 

「ええ。あの2人はここでのお仕事もあるから」

 

そう考えると妖精の2人だけ別行動なのには納得が行く。ただ、自分達は先程シフォンに悪戯された影響でこうなっていたために少し複雑であるが、

 

「でも、まさかカオルちゃんまで来てたなんてね」

 

「カオルちゃん……もしかしてあの方の事ですか?」

 

「そうよ。私達の住んでる街でもあんな風にドーナツ屋さんをしてるの」

 

4人から改めての説明を受けて2人は先程の彼の説明との整合性が取れたので納得するのは簡単だった。

 

「だけどカオルちゃんの正体の謎に関しては私達にも解明できてないのよね」

 

「うん。前なんか海外の国の王子様の先生だったらしいし」

 

「ええっ!?」

 

「そんな事もやってたんだ」

 

ラブ達からドーナツ屋さんのおじさんことカオルちゃんが色々と謎に包まれた人物だというのがわかった所で彼女達の方からある提案がされる。

 

「そうだ。あなた達もプリキュアなんだよね?」

 

「はい。そうですけど……」

 

「だったら私達と一緒にこの遊園地を回ろうよ!」

 

「あっ、それ良い!」

 

「ラブ完璧よ」

 

そんな風に遊園地を回る事を誘われた2人だったが、それを聞いて少し申し訳なさそうにした。

 

「その、すみません。実は……」

 

「私達、さっきまで一緒に来ていた友達と色々あって逸れてしまって」

 

「えっ……そうだったんだ」

 

ラブ達はユキ達が友達と逸れている状態だった事を知らなかったために少し申し訳なさそうにする。ただ、それならとばかりにラブが続けて喋り出した。

 

「だったらさ、私達が一緒に探すよ!」

 

「えっ……で、でも……」

 

「そんな、私達のためにわざわざ……」

 

ユキとソラは誘い自体は嬉しかったし、有難い気持ちこそあるものの……流石にそこまで見ず知らずの4人を付き合わせるわけにはいかないと遠慮してしまう。

 

「実はね……私達も人を探してるの」

 

「うっ……」

 

「そう。誰かさんがまた前と同じようにチケットを無くしちゃってね〜」

 

「うぐっ……」

 

「そうなの。だから私達も友達を探してる所だったんだ」

 

「も、もうやめて美希たん、せつな……」

 

美希やせつながそう言う度に何故か傷つくラブ。この様子だとやらかしたのは彼女らしい。

 

「だから、一緒にどうかな?それに、皆で探せばきっと見つかるって信じてる」

 

最後に祈里の方からも頼み込むとそこまでお互いのやりたい事が一致してるなら断る理由も無かった。

 

「わかりました。でしたら、お願いします!」

 

「その代わり、私達もラブちゃん達の友達を探すのを手伝うね」

 

「うん!ありがとう!」

 

こうして、ユキとソラはラブ達4人と合流。彼女達と共にバラバラになってしまったアサヒ達を探す事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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