ユキとソラがラブ達と出会う少し前。他のメンバーと逸れてしまったアサヒとましろの場面へと移る。
「あ、いたいた!アサヒ!!」
「ッ、ましろか。良かった……。これで1人合流だ」
ただ、近くに来ていたのが偶々この2人だったのか。周囲を見てもユキ達は近くにはおらず。そのため、まずは彼女達を探す必要が出てしまう。
「でも、近くに他の皆はいなかったから」
「そっか……。じゃあ合流できたのは俺達だけって感じだな」
少しだけ残念そうにアサヒがそう言うが、いない人の事をあまり言っても仕方がない。
「これからどうする?」
「うーん。このまま皆の事を探すしか無いと思うけど……」
「あー……」
ましろはこうなった以上は合流のためにユキ達を探す必要がある事を言うが、今現在アサヒやましろがいるのは広いテーマパーク内。当然のように沢山の人間がテーマパークを楽しむためにここにいる。
「この中から目的の人物を探すって……かなりキツくね?」
「うん……しかもユキちゃん達だって私達の事を探すよね」
しかもテーマパーク内で逸れた際の厄介な点として、その探す相手側も自分達の事を心配して歩き回ってしまうという点だ。
そして、パーク内に多数の人がいるというのもあって近くにいたとしても見落とす事もある。そのため、兎に角入れ違いが発生しやすい。
「これ、思ってる以上に鬼畜かもな」
「どうにかソラちゃん達と連絡を取れれば良いんだけど……」
「連絡……そうだ連絡!!」
「え……あ、そっか!!」
アサヒはましろから連絡の話が挙がった時点である事実に気がつく。それは、連絡をすればこの話が万事解決するという事だった。
「確か今ならユキもソラもスマホを持ってるよな」
「うん。この前のショッピングモールの一件でお婆ちゃんに貰ってたよね」
実は以前、それこそショッピングモール内でユキが逸れた際に連絡が取れなかったという一件以降……スマホを持っていなかったスカイランド組の2人もヨヨからスマホを契約してもらって受け取っていたのだ。
そして、ツバサとヒョウもスマホに関しては前々からちゃんと持っている。これなら、お互いに連絡を取り合えるのに加えて合流もすんなりできるはずだった。
「ナイスアイデアだよアサヒ」
「ああ、そうと決まれば早く連絡して合流しよう」
それから早速2人は逸れてしまっているユキ達へと連絡をするためにスマホを取り出してメールを送ろうとする。
「えっと、ソラちゃんの連絡先は……うん?」
そんな時だった。突如として遠くから何かが土煙を上げながら向かってくるのが2人の視界に入る。
「……ねぇアサヒ。アレが何かわかる?」
「いや、俺がわかるわけ無いだろ」
2人が唖然としながらそれを見ているとどんどん土煙が大きくなっていく。こちらに向かってくるのだからそれ自体には何も不自然は無い。そしてそんな様子を見た2人がこの光景に危機感を覚えるのは至極当然だろう。
「だよねー……。なんか嫌な予感がするのは私だけかな?」
「安心しろましろ。嫌な予感なら俺もバッチリ感じてるから」
ただ、2人が嫌な予感を感じている間にもその向かってくる影はどんどん大きくなっていく。こうなると2人の視界にもハッキリとそれが見えるようになるわけで。
「うわぁああああっ!?す、すみませんっ!退いてくださいいぃっ!!」
そこに来たのは何故か季節外れの巨大な雪だるま状態になった少女がゴロゴロとアサヒとましろの元に転がってくる様だった。
「う、嘘!?何あれ!?」
「何で春も深まったこの季節に雪だるまになってるんだよ!?」
アサヒとましろは流石にこの異様な光景にツッコミを入れざるを得ず。そして、少女がその雪だるまの中に捕まってるとなるとどうにかしたい気持ちも出てくる。
「アサヒ、早く逃げないと……」
「ッ、でも女の子があの中にいるんだぞ」
「ユキちゃんやソラちゃんなら兎も角、私達には無理だって!」
「それでもどうにかする!ましろは離れてろ」
アサヒは雪だるまを見てそれを止めようとする中、ましろはそんなアサヒの行動を無茶だと諌めた。しかし、だからってアサヒの決意が変わるわけでは無い。
「ッ!?危ないですよ、離れてください!」
「そういうわけにはいかない。俺が止める!!」
そんなアサヒを見た雪だるまに囚われた少女が叫ぶが、それでもアサヒは逃げずに向き合う。そして、そんなアサヒの心に彼と共にいる先代のプリキュア、キュアバーニングサンが声を上げた。
『やれやれ、本当に仕方ない子ね。手、貸してあげるわ』
「バーニングサン……ああ、頼む」
その瞬間、バーニングサンが自らの能力で熱線を発すると少女が囚われている雪だるまの雪を強制的に溶かしていく。
「こ、これは……」
少女はいきなり自分を捕まえている雪が溶けて雪だるま自体が小さくなっているのに驚く。それに合わせる形でアサヒはソラの見よう見まねだったがスカイランド神拳の構えを取った。
「はぁあああっ!」
そしてアサヒが渾身の力で小さくなった雪だるまを殴るとその拳からバーニングサンの熱が更に伝達。雪だるまの雪を直接溶かす形となると雪だるまが真っ二つに粉砕。
「うわあっ!?」
「っと!」
そのまま飛び出してきた少女を抱き抱える形で受け止めると雪だるまになっていた雪は蒸発して完全に消え去り、バーニングサンの熱線も消失。それと同時に周囲の熱も消えたのか元の気温に戻った。
「大丈夫か?」
「は、はい……ありがとうございます」
それから少女を立たせるとそこに離れていたましろが戻ってくるとアサヒへと声をかける。
「アサヒ!」
「おう、上手く助けられたぞ」
「いや、助かったから良かったけどさ。何であんな無茶しちゃうの!」
「えっ?」
ただ、アサヒは人助けをした事を褒められるかと思ったら初手から注意をされて唖然とした。
「雪だるまを殴るってソラちゃん達なら兎も角さ。先代のプリキュアさんが手を貸してくれなかったら大怪我してたよね?」
「あっ……。まぁ、確かにそうだけど手を貸してくれたから結果論大丈夫だろ」
「結果論だけならね?もう……こんな事二度とやったらダメだから」
そんな中、2人が会話をする際にその話を横で聞いていた少女はましろの言ったプリキュアという言葉に何か引っかかっている様子を見せる。
「先代のプリキュア……もしかして」
「あっ、そうだ。あなたは大丈夫だった?」
「へ?あ、はい!私はもう大丈夫ですよ。それと助けていただきありがとうございました!」
するとましろが続けて少女を心配する様子を見せるとその言葉に彼女は笑顔で答えを返す。
「そうだ、君はどうしてこんな……」
「あはは、それなんですけどね……」
アサヒ達は何故少女が雪だるまにされたのかが気になって問いかけるとその少女も苦笑いを浮かべつつ事情を話そうとする。そんな時だった。
「あ、いた!あそこ!!」
「つぼみ〜っ!大丈夫〜?」
そこにこの少女を追ってきたのか。3人の少女が走ってきていた。ただ、その中の1人は明らかに少女と言うには雰囲気が大人っぽかったが。それはさておき、改めて容姿を説明すると。
アサヒに助けられたのは赤紫色の髪を二つ結びにした少女であり、その髪は黄色い花型の髪留めで止めている。また、前髪は両側に分けられており身長もそこまで高い方では無さそうだった。瞳はピンクでそんな彼女からは気弱そうな雰囲気も感じられる。
その少女を追ってやってきた3人の中の1人は黒に近い青髪の少女であり、瞳の色は青。ボブくらいの長さの髪をストレートに下ろしている。また、身長は4人の中で一番低く。雰囲気から見ても子供っぽさが感じられる子だった。
1人は黄色に近い茶髪の少女……なのだが、髪型はショートヘアで尚且つ中性的な見た目。ボーイッシュな雰囲気も相まって服装が女の子のようなワンピースな点を除けば男の子と間違えられそうなくらいである。尚、瞳は暗めな黄色をしていた。
1人は4人の中で最も身長が高く、あげは以上にクールな大人っぽさを感じられるようだった。髪は紫色の淡いロングヘア。また、髪には青いヘアピンを付けている。加えて眼鏡を掛けているのとモデルのようなスレンダー体型なのもあって余計に大人っぽさが目立っていた。
アサヒとましろの前にこの4人が揃うとましろがこの4人が知り合いだということを確認する。
「えっと、この人達は……」
「はい!私と一緒に遊びに来た友達です!」
「アタシは来海えりか!よろしく!」
「ボクは明堂院いつき」
「私は月影ゆりよ」
「私は花咲つぼみです。よろしくお願いします!」
4人組の少女達は流れるままに自己紹介を済ませていく。ツインテールの子が花咲つぼみ。青髪ボブの子が来海えりか。ショートヘアの子が明堂院いつき。大人っぽい子が月影ゆりである。
「私は虹ヶ丘ましろ」
「俺は虹ヶ丘アサヒ。あ、だけど俺達は実の兄妹とかじゃなくて。幼い頃に俺はましろの家に預けられたって感じ」
「なるほど、訳ありって感じなのね」
アサヒが自己紹介に対して自分達の自己紹介で返すと年長者と思われるゆりが早い段階で理解を示してくれた。
「えっと、ゆりさんって意外と順応早かったりします?」
「まぁ、ボク達の中では一番年上の高校生だからね」
「「高校生!?」」
まさかのこの大人っぽさで高校生という事実を聞いて2人は混乱する。あげはよりも年下なのにこの雰囲気なのだから余計に信じられなかった。
「マジか。あげは姉より年下でこれ?」
「う、うん。もう風格から強キャラ感が凄い……」
2人はゆりの高校生離れした雰囲気に驚きつつも先程の雪だるまのようになったつぼみの事を指摘する事にした。
「それにしても、つぼみさんは何でさっき雪だるまの中に?」
ましろからの指摘に対してはいつきが苦笑いしつつ答えようとしたが、そこにえりかが割って入る。
「あはは、実はね……」
「アタシが間違えて雪が大量に入った倉庫の扉を開いちゃったんだ!」
「「……えっ?」」
「元々はこのフェアリーパークの演出用として取っておいた物らしいんだけどね……」
えりかが堂々とした態度に2人は困惑。それと同時にいつきが更にその件についての補足説明を入れる事に。
「えりかがアトラクションを楽しむ中で倉庫の中にアトラクションがあると勘違いしちゃって。それでドアを開けたら中からバーッと雪が降ってきて」
「そのままつぼみが呑み込まれてあんな風に転がったのよ」
「それにしても偶々雪だるまの形に収まるのもどうかと思うんだが……」
「そこはホラ。所謂ギャグ補正ってやつよ!」
「「………」」
つぼみが巨大雪だるまと化していた理由の説明を受けて2人は困惑しつつも一応納得……はできた。ただし、だからって素直に受け入れられるような話でも無かったので半信半疑な所はあったが。
加えてえりかがそこまで悪びれてないという様子なのもあってどうしても呆れの感情が出てしまう。
「っと、そういえば先程お二人はプリキュアと言われてましたけど……」
「「……ギクッ!?」」
その瞬間、つぼみから問われた2人の顔つきが一瞬にして凍り付く。これは先程の自分達の会話からプリキュアの所を聞かれてしまっていた事が原因だ。そして、同時にえりかがプリキュアという話題を聞いて思わず声を上げる。
「ええーっ!?ぷ、プリキュアぁああっ!?」
「ちょっとえりか、声が大きいよ」
「あっ、ごめんごめん」
いつきから指摘されてえりかが謝罪するが、最早それどころでは無いアサヒとましろの2人。どうにか4人にバレないように誤魔化そうとする。
「え、えっとね。それはきっと聞き間違いだよ?」
「そ、そ、そ、そうだぞ。プリキュアじゃなくてぷちきゅあって言ったんだ」
「残念だけどそれもプリキュア関連の事なのよね」
アサヒはプリキュアの事を誤魔化すためにぷちきゅあという単語を出すが残念ながらゆりの言う通りそれもプリキュアの関連ワードだ。
「え、えっとじゃあ……」
「……そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
「だってアタシ達もプリキュアの一員だしね!」
「「……はい!?」」
2人はつぼみ達からのカミングアウトを受けて最初脳内が混乱する。……ただ、ユキ達と同様で以前なぎさ達と出会っていた事を思い出すとプリキュアは自分達意外にもいるという事を考える事ができた。
そのまま芋づる式にお互いの事情を話す事に。まずはアサヒ達が友達と逸れた件である。
「ふーん、つまり2人はバラバラになった友達を探してるって事」
「なるほど、私達と同じね」
「同じ……という事はあなた達も?」
「はい。実は訳あって……」
どうやら双方共に友達を探している……という点に於いて目的は同じらしい。ただ、つぼみ達は4人揃ってるのに何故友達と会えてないのかが気になった。
「そういえば、友達と会えてないのは何でだ?4人以外にももっといるって事?」
「うん。今日は12人くらいで集まろうって話だったんだ」
「本当はくるみもだったけど、彼女はここの仕事で一緒には無理だって話だから」
くるみというのは恐らくミルキィローズの変身者こと美々野くるみの事を指すだろう。
「それにしても12人かぁ。しかもなぎさちゃん達とは違うメンバーでって」
「どれだけプリキュアいるんだよ……」
「でしょ?私も最初は驚いちゃったんだよねー」
プリキュアの仲間の人数の多さに新人プリキュアが驚くのはプリキュア界隈の洗礼として、昔から続く伝統だ。当然ここにいる4人も最初は驚いたものである。
「それで、友達と待ち合わせしたのに何で迷ってるんだ?」
「それはですね、えりかが……」
「むーっ、最初待ち合わせ時間ピッタリに着いたのに誰もいなくて。先に中に入ったのかなと思って探してたら迷ったのよ」
尚、他のプリキュアメンバーの一部は遅刻をかましているので時間ピッタリだといないのも仕方のない話だろう。
「ボクとゆりさんはここに来るのが初めてだったからつぼみとえりかが頼りだったんだけど……」
「だあって仕方ないじゃん!間違えたものは間違えちゃったの!!」
どちらにせよえりかのドジが原因でこうなったのは間違い無さそうだった。
「はぁ……それじゃあ、俺達が一緒に探すよ」
「えっ、本当に!?」
「良いんですか?」
するとアサヒはつぼみ達の事情を聞いて一緒に探す事を提案。すると当然のようにつぼみとえりかのコンビが食いついた。
「元々俺達も人探しする所だったしな。この方が効率が良いだろ。ましろも良いよな?」
「うん!沢山の人数で探した方が見つけやすいしね」
「2人共ありがとう」
「それなら私達も2人の友達を一緒に探す事にしましょう」
「はい!」
こうして、アサヒとましろはつぼみ達4人と合流。4人でユキ達を探す事になるのだった。
また次回もお楽しみに。