熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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それぞれの戦いの幕開け

夜は明け、クルシーナが街を一望できる丘の上に立っていた。そして、彼は指を鳴らす。

 

「……時間だ。進化しろ、ナノビョーゲン」

 

その瞬間、街の三箇所にメガビョーゲンが出現。周囲の地形を侵食し始める。それと同時にラテが異変を訴えた。

 

「ラテ!」

 

「遂に始まった……」

 

ちなみにアサヒ達は朝一番でユキをお見舞いに来ており、ユキはうなされた様子で寝ている。ユキの体力は徐々に奪われているのか少しずつ衰弱している様子だ。

 

「手分けしてどうにかしよう!」

 

事前に話し合った結果、ましろとのどか、ソラとちゆ、ツバサとひなた、アサヒとアスミのペアでそれぞれ向かう事になる。

 

「ユキの事は俺達が見ておくからアサヒ、絶対に……」

 

ヒョウがそう言った時、ユキが薄らと目を開けると弱々しく声を上げる。

 

「やだ……アサヒ君、側にいて……」

 

「でも、俺だって戦いに行かないと……」

 

ユキはアサヒの手を握ると離そうとしない。彼女は不安で仕方ないのだ。いつ自分の命が消えるかもわからないこの状況。アサヒが側にいてくれないとその不安で押し潰されてしまう。

 

「アサヒ君……」

 

「……わかりました。クルシーナは私が対処します」

 

「アスミさん……」

 

「こういう時、大切な人が側にいてくれるだけでも病人は頑張れるから」

 

「……わかりました。お願いします」

 

それからプリキュアチームは外に出るとそれぞれプリキュアへと変身する。

 

「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!」」」

 

「「「「プリキュア!オペレーション!」」」」

 

「「「ひろがるチェンジ!」」」

 

「「「「エレメントレベル上昇!」」」」

 

「「「「キュアタッチ!」」」」

 

光に包まれた七人はプリキュアとなるとそれぞれ別れてメガビョーゲンの発生地へと向かっていった。残されたアサヒはユキの手を握ると声をかける。

 

「大丈夫か?ユキ」

 

「うん……ごめんね。私の我儘で……」

 

するとサンライズのスカイトーンが光を放つとスノーのスカイトーンと共鳴。二つの光がユキの中に入るといきなりユキが苦しみ始めた。

 

「あうっ!?あああっ!!」

 

「ユキ姉!?大丈夫か?」

 

「多分、昨日と同じでユキちゃんの体にいるメガパーツを追い出そうとしてメガパーツとの居場所の取り合いをしてるのかも……」

 

 

「ユキ!俺がついてる。負けるな。頑張れ!」

 

するとアサヒの体から赤いエネルギーが注ぎ込まれていく。ユキの体は苦しみながらもその熱を受け取って必死にメガパーツを追い出そうと抵抗した。

 

「ぐうっ!?ううっ……はぁ、はぁ……ああっ!!」

 

「ユキ……お願いだ。頑張ってくれ……」

 

その頃、水のメガビョーゲンの元に辿り着いたスカイとフォンテーヌの二人は水弾を放つメガビョーゲンに対して戦闘を開始する。

 

「メガビョーゲン!」

 

「私がどうにかして隙を作ります!急いで浄化を!」

 

「わかったわ」

 

スカイは前に出ると水弾を殴って粉砕しつつ接近。そのまま連続での拳を叩き込んだ。

 

「はああっ!」

 

更に跳び上がったタイミングでフォンテーヌが折角し、ボトルを使う。

 

「氷のエレメント!」

 

すると地面が凍結し、メガビョーゲンの動きが僅かに止まった。すぐにスカイが追撃する。

 

「ヒーローガール!スカイパンチ!」

 

スカイパンチがメガビョーゲンに命中するとメガビョーゲンは後退。

 

「キュアスキャン!」

 

すぐにエレメントさんの位置を割り出すと一気に畳みかけていく。その頃、光のエレメントから作られたメガビョーゲンとウィング、スパークルが戦っていた。

 

「メガー」

 

こちらの個体のメガビョーゲンは素早く、スピードで二人を撹乱しようとしてくる。

 

「素早っ!」

 

「ボクがどうにかしてみます!」

 

すると同じくスピードのあるウィングがメガビョーゲンの動きを見切って先回り。メガビョーゲンは動きが止まってしまう。

 

「はあっ!」

 

そこにスパークルが蹴りをぶつけるとメガビョーゲンは後ろに下がった。

 

「ひろがる!ウィングアタック!」

 

更にウィングが技で追撃。ウィングからの体当たりを受けてメガビョーゲンはダメージを貰う。

 

「火のエレメント!」

 

スパークルはステッキから炎を放つとメガビョーゲンの体を焼き、少しずつダメージを蓄積させていく。

 

「今ニャ!」

 

「キュアスキャン!」

 

スパークルがエレメントさんの位置を特定するとすかさず浄化技を使おうとする。しかし、メガビョーゲンもすぐに立て直して逃げてしまう。

 

「あっ、ちょっと!」

 

「逃げ足は早いようですね!」

 

更に花のエレメントから作られたメガビョーゲンとプリズム、グレースが交戦。

 

「実りのエレメント!」

 

「はあっ!」

 

二人はエネルギー弾を連射すると遠距離から少しずつメガビョーゲンを弱らせる手に出た。

 

「メガ!」

 

それに対抗するようにメガビョーゲンも花の部分にエネルギーをチャージ。そのままビームを放出してくる。

 

「プニシールド!」

 

プリズムがグレースの後ろに立ってシールドの影に入り、エネルギー弾をやり過ごすとすかさずプリズムが両手を上に掲げて技を放つ。

 

「ヒーローガール!プリズムショット!」

 

プリズムショットを喰らったメガビョーゲンはよろけるとすかさずグレースとラビリンがエレメントさんの場所を探る。

 

「キュアスキャン!」

 

すると突如としてメガビョーゲンの体が赤いオーラに包まれるとパワーアップ。そしてそれは他の二箇所でも同じ事が言えた。

 

「何!?」

 

「いきなりパワーアップしたラビ!」

 

「聞いてないよ!」

 

メガビョーゲンが腕の部分を振るうと二人纏めて吹き飛ばしてしまう。同時刻、三箇所での戦闘を見下ろしていたクルシーナの元にアースが到着した。

 

「やはりここでしたか」

 

「ほう?俺の場所がよくわかったな」

 

「あなたの事です。きっと街を一望できる場所に陣取るとわかっていました」

 

「なるほどな。じゃあ、こっちもやろうか」

 

その瞬間、クルシーナの体にメガビョーゲンが纏った赤いオーラが出てくるとそのまま二人はぶつかり合う。そのスペックは先日のそれを遥かに上回っていた。

 

「前よりも強くなりましたね……」

 

「ああ。環境に適応して変異する。それが俺達ウイルスの特性だ。そして、今他のプリキュアが戦っているメガビョーゲンも俺と同じ特性を引き継いでいる。……果たしてアイツらに倒せるかな?」

 

「だとしても私は皆さんを信じています!空気のエレメント!」

 

するとアースが手にしたハープにボトルを装填。そのまま空気圧を発射してダメージを与えた。

 

「ふん。なかなかやるな。ならば!」

 

するとクルシーナはアースへと接近し、ラッシュを仕掛ける。アースもそれを受けて対応。互角の殴り合いとなった。

 

「クシュン!」

 

するとラテの体調が見るからに悪くなっていく。ラテは地球が蝕まれると弱ってしまう。そして、ラテが苦しんでいるという事は更に地球へのビョウゲンズの侵食が進んでいる証拠だ。

 

「さて、残り時間はあと半分。まだ一体も浄化できてないけど大丈夫なのかな?」

 

クルシーナがそう言うと笑みを浮かべる。同時刻、病院ではユキの呼吸がどんどん荒くなっていくと意識が朦朧としていく。そんなユキを見てアサヒは彼女の手を強く握った。

 

「ユキ、お願いだ……頑張ってくれ……死なないでくれ!」

 

「大……丈夫……私、もう簡単に諦めない……」

 

痩せ我慢だ。アサヒはそう思う。ユキは少しでもアサヒを安心させるためにどんなに意識が遠のいても目を閉じないようにしている。大好きなアサヒのために頑張る彼女を見てアサヒは悔しさに震えていた。

 

そんなユキを見てヒョウが飛び出そうとするがあげはが静止する。今は見守ることしかできない。そんな状態だからだ。

 

するとそんな時。アサヒとユキのスカイトーンが更に光を放つと二つ揃ってユキの体を照らす。先代のプリキュア、キュアバーニングサン、キュアブリザードがメガパーツと戦っている。

 

「ううっ……あぐうっ……ああっ!?はぁっ……はぁっ……あううっ……」

 

「頼む……ユキ……助かってくれ……」

 

アサヒが祈る中、ユキの中のメガパーツが突如として更に強く抵抗を始める。

 

「あうっ!!あぁあっ!」

 

「ユキ!耐えてくれ…….俺にはそれしか言えない……」

 

アサヒが悔しそうに唇を噛み締める。このままではユキの体が保たない。時間も残り十分を切ってしまう。

 

「もうここまでなのか……」

 

ユキの体はもう限界であり、急激に弱っていく。アサヒが諦めかけたその時だった。突如としてユキの体から赤黒い何かが出てくるとそれが飛び出してどこかへと飛んでいった。

 

「ッ!?今のは……」

 

その直後、ユキが大人しくなるとゆっくりと起き上がる。そして、アサヒと目が合うとユキは微笑んだ。

 

「心配……かけちゃってごめん」

 

「ユキ……?体は……」

 

「うん。もう大丈夫だよ」

 

それを聞いたアサヒの目に涙が浮かぶとユキを抱きしめて彼女へと謝る。

 

「ごめんユキ……俺が至らないせいでこんな苦しい思いをさせてしまって……」

 

「ううん。アサヒ君は悪くなんか無いよ。それに、私は今生きてるって感じだから……」

 

「ユキ姉!」

 

「ユキちゃん!もう大丈夫?」

 

「ヒョウ、あげはさん……はい!」

 

すると喜びに浸る間も無く突如として遠くから轟音が聞こえてきた。それからユキがベッドから降りて外に行こうとすると体がフラリとぐらついてしまう。

 

「ユキ!?無理したらダメだ。今のユキは体力が……」

 

「大丈夫……。ちょっとフラってしちゃっただけ」

 

しかし、ユキの息はまだ荒い。体力までは流石に戻っていない。今のまま戦場に出るのはかなり危険だ。

 

「ユキは病み上がりなんだし休んでいてくれ」

 

しかし、ユキは首を横に振る。彼女としては皆に任せっきりにしたくない。自分も戦いたいのだ。

 

「私、アサヒ君だけに戦わせたくない。少しでも力になれるのなら……それなら私だって戦いたい」

 

それを聞いたアサヒは悩む。ユキの体力は残り僅か。せめて回復するのを待ちたいが、そうも言ってられない。すると二人の持つスカイトーンが共鳴するとユキの体に緑の光が宿る。

 

「これは……」

 

「体が……軽くなった」

 

「え?」

 

どうやらスカイトーンの中にいる二人の先代プリキュアの力によってユキの力が戻ったようで、彼女は心なしか元気になっていた。

 

「アサヒ君。これなら私も行ける。だから……」

 

「わかった。でも、無茶はしないでよ」

 

ユキは頷くと二人揃って外に出る。すると三箇所に分散していた戦いの音が一箇所に集まっていた。これはつまり、三箇所の戦いは何らかの形で終わったという事である。

 

「ユキ。俺達で助けに行こう」

 

「うん」

 

「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」

 

そのまま二人は光に包まれるとプリキュアへと変身。戦場へと駆け出すのであった。




また次回もお楽しみに。
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