変身解除してしまった二人が目を覚ますとそこには自分達を攻撃しようとするブラック達の姿は無く、キュアバーニングサン、キュアブリザードが立つのみだった。
「ううっ……」
「あれ?俺達……」
それから自分達の体は傷だらけだと気がつくと鈍い痛みが襲ってくる。しかし、次の瞬間には先代の二人が手を翳すとその痛みがあっという間に消えた。
「どうして……」
「私達の力です」
「あなた達の今の実力はわかりました。次のトレーニングです」
それを聞いて二人は思い出す。ブラック達に自分達は歯が立たなかった。それだけまだ未熟なのだと思い知る。二人が重い空気を出す中、先代プリキュアは意外にも基礎的な体力トレーニングを提示した。ただし、内容は鬼のように厳しかったが。
「マジかよこれ……死ぬ」
「はぁ……はぁ……私達が倒れるギリギリを狙ったトレーニング……」
二人から提示されたメニューを一セットやった二人は既にまた気絶しかけていた。呼吸は荒く、二人の視界は朦朧としている。
「よく頑張りました。少し休憩にしましょう」
それから二人は体力を回復させると同時に次のトレーニングに備える。するとユキが先代プリキュアへと問いかけた
「あ、あの。どうしてシャドーの事をお二人は知っていたんですか?」
「「………」」
それを聞いてアサヒも気になった。バーニングサンもブリザードも、そしてヒョウが持っている石に宿ったライトピラーもシャドーの正体について知っている様子だった。
「お願いです。私達に教えてください。シャドーに何があったのか」
「俺からもお願いします。……アイツがどうしてああなってしまったのか。……俺達はシャドーを助けたい。過去の話が何かヒントになるかもしれないんです」
二人からの頼みに対してバーニングサンもブリザードも少し考えた後にそれに対して答えることになる。
「……それは、彼が私達の仲間であるキュアルーセントムーンを宿しているからです」
それから先代の二人が話し始めた。シャドーの過去に何があったのかについて……。
「遥か昔。私達五人はスカイランドの窮地に覚醒したプリキュアでした。そして、五人で力を合わせてスカイランドに訪れた脅威を止めた。ここまでは知っていますね」
「はい。ヨヨさんが話していた古い伝説の話ですね」
それを聞いて二人は頷く。その伝説のプリキュアは五人。あと一人は不明だが、ここに集まっている二人とヒョウの元のライトピラー、そしてシャドーのルーセントムーンだ。
「あの後、キュアルーセントムーンはおかしくなってしまったの」
「……え?」
「おかしくなった?」
「あの子の変身者は元々気弱で五人の中でも一番プリキュアとしての実力が無かった」
「だからその分人一倍頑張らないとって思ってたみたい。……ユキ、あなたと一緒で」
「……!」
それから彼女は怖い目をするようになってしまった。とにかく強くなるためにトレーニングを欠かさずにやるようになったのだ。それ自体は悪いことではない。だが、彼女はそれを義務という形でやっていたのだ。
「トレーニングって義務でやる事じゃ……」
「そう。最初は弱い自分に嫌気が差したのかと思ったんだけど、彼女は私達と同じぐらい強くなっても満足する様子もなくて……」
「世界は平和その物なのにずっと過酷なトレーニングを義務としてこなしていったの」
彼女は必死だった。それこそ、ユキが前に強くなるために毎日やっていた過酷なトレーニングに匹敵するような量をだ。
「止めるように言ったんだけど、あの子……結局倒れるまでやってしまって」
「それからあの子は寝込んでしまった。トレーニングのやり過ぎで」
それは前にユキがやった事と全く同じだった。唯一違うのは彼女が何かに必死になってしまったという事だ。
そして、彼女はその疲れから解放された後。すぐに姿を消してしまった。仲間には何も言わずに……。結局彼女はそのまま寿命を迎えるまでどこかでひっそりと暮らしたのかそれ以降伝説のプリキュア達が顔を合わせることは無かった。
「私達が知っているのはここまでよ」
「……済まないわね。実際、あの子が何であそこまで強さに拘るようになったのか。そこまでは私達もわからない」
「だとしたら余計に助けてあげないと」
「ああ。強くなることに囚われてしまった先代のプリキュア……ルーセントムーンを救わない事には俺達がこうして戦える意味がない」
「恐らく、あの子も誰かを依代として入っているわ。つまり、関係ない一般人を巻き込んでいるという事」
「だから私達が救いたいのはルーセントムーンだけじゃない。その子が取り憑いている人間もなの」
アサヒやユキがバーニングサン、ブリザードとペアであるようにこの時代でのパートナーがルーセントムーンの魂を宿したスカイトーンを持っている。そしてそれこそがシャドーという存在だろう。
「……あなた達には私達の奥義を習得してもらいます」
「奥義を……」
「ええ。恐らく、これが無いと今のルーセントムーンには勝てないわ」
「上等だ。俺達がその奥義って奴を手に入れてやる」
二人のやる気に先代プリキュアは頷くと指を鳴らす。すると二人の前にメニューが現れるとそれを二人は手にする。そこには奥義についてとトレーニングの内容が描かれていた。
「これが奥義」
「って、多分これ俺達のエレメントスクリューの進化版だ」
そこに書いてあったのは二人の技であるエレメントスクリューを強化したような技である。
「あなた達はその力の片鱗を既に手に入れているわ。後はそれを形にするだけ。そのための特訓メニューよ」
「早速始めるわ」
それから二人はまた厳しいトレーニングを再開する事になるのであった。
その頃、外界ではシャドーが待ちきれない様子である中、そこにローブを纏った影が現れる。
「……今度の決闘でプリキュアを始末しろ」
「ああ。わかっている。だが良いのか?お前の親玉が……」
「お前にとっての主人は私のはずだ。いちいち疑問を抱くな。それともあの時の記憶を思い出したいか?」
それを聞いてシャドーの目は再び闇に染まる。そしてそれ以上影に対して何も言わなかった。
「それで良い。……せいぜい私の期待通りに動け。キュアルーセントムーン……」
そのまま影は去っていくとシャドーはその目を滾らせていく。彼は早く戦いたい一心であった。
「絶対にプリキュアを潰す。それでこそ俺は強さを証明できる」
場面はトレーニング中の二人の元へ。それから特殊空間の中で六日間が過ぎ、最後のトレーニングに差し掛かっていた。
「最後は最初と同じよ」
二人が手を翳すと先代の六人のプリキュアが出現。そして、六人との組み手が課せられた。
「今度こそ勝つ」
「うん!」
「ただし、今回はブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディの四人を同時に相手してもらうわ。その後に新式のブラック、ホワイトと戦う。前回よりもハードモードよ」
それから二人がプリキュアになったタイミングで先代が開始の合図を出すと四人が同時に飛びかかる。
「「「「はあっ!」」」」
「サンライズ!」
「ああ。あの四人の特徴は把握している。まずは俺が!」
するとサンライズが前に出るとブルーム、イーグレットのコンビと戦闘。今回は二対一でもまともに戦いを進める事ができていた。
「やあっ!」
そして、ブライトとウィンディの相手をスノーがした。こちらもレベルアップしたからか互角に戦う事ができている。
「ふふっ。やっぱりね」
「あの子達はちゃんと強くなってる」
サンライズがオーラを纏うとブルームをまず掴んで投げ飛ばす。そのままスノーと戦うウィンディにぶつけてコンビを崩させると同時にスノーがブライトへと氷の拳を叩き込む。
「だあっ!」
そのタイミングでサンライズも炎を射出して気を引いたタイミングで逆を突いて拳をぶつけた、そこに倒れたブルーム、ウィンディも復帰するが、二人は一対一の状況を作って対応する。
「俺達の実力じゃ長時間四人の相手は無理」
「だから、分断して一人だけを相手にすれば勝機が見えてくる!」
二人が何とか対応していると四人のプリキュアは一旦距離を取った。それを見てサンライズとスノーは大技の準備と読んで構える。すると四人はスパイラルリングをそれぞれ装着して手を繋いだ。
「精霊の光よ!」
「命の輝きを!」
「希望は導け!」
「全ての心!」
そのフレーズを聞いて二人は手を繋ぐ。これは前の戦いで見たスプラッシュスターの花鳥風月のメンバーが揃った時に発動する最強の大技……
「「「「プリキュア!スパイラルハート・スプラッシュスター!」」」」
四人がエネルギーを放つとそれが一つに合体。そのまま放つとサンライズ、スノーへと向かっていく。それに対して二人は技を使う。ただし、今回は迎え撃つのでは無く守るための技だ。
「サンライズフレイム!」
「スノーアイス!」
「二つのプリキュアの輝きが!」
「聖なる守りを築き上げる!」
「「プリキュア!エレメントシールド!」」
すると二人が手を翳すと目の前に炎と氷のエネルギーで生成された盾が出現。四人による一撃を辛うじて防ぐ事に成功した。
それを見届けた先代プリキュアは合格と言わんばかりにメンバーを交代させた。
「それを凌げれば十分よ」
「さぁ、次よ」
休む間もなくブラック、ホワイトが突っ込んでくるとサンライズとスノーを容赦無く攻め立てる。
「ブラックとホワイトは純粋な実力勝負……」
「新式だけあって強いけど……それでも勝てない相手じゃない!」
二人は前は旧式相手でも手も足も出なかったが、今度は新式相手にまともに戦えているので確実にレベルは上がっている。するとブラック、ホワイトはサンライズとスノーを試すかのように技を使った。
「ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」
「「プリキュア!マーブルスクリュー!」」
二人がマーブルスクリューと同じ構えをした後に腕を一度引っ込めると更なるエネルギーを解放した。
「「マックス!」」
それはマーブルスクリューが進化したプリキュア・マーブルスクリュー・マックスだ。それを受けて立つと言わんばかりにサンライズとスノーも手を繋ぐ。
「サンライズフレイム!」
「スノーアイス!」
「二つのプリキュアの魂が!」
「闇の僕達を打ち砕く!」
「「プリキュア!エレメントスクリュー!」」
二人が放ったエレメントスクリューは前よりも格段に強くなっており、ブラック、ホワイトの技と互角に渡り合う。そのまま二つのエネルギーは相殺。流石にサンライズとスノーは疲れからか息切れする。だが、前はこの時点でかなりいっぱいいっぱいだったがそれが新式ともまともに戦えているので強くなっている実感はあった。
「そこまでよ」
その言葉を最後にブラック達は消える。先代達は合格の判断を下したのだ。
「そろそろ時間ね」
「二人共、私達の仲間を、ルーセントムーンを助けて」
先代プリキュアが頭を下げると二人はハッキリと二人へと返事を返した。
「「はい!」」
それから二人は体力と傷を回復してもらってから異空間から出るとちょうど三日間が経過しており、特訓を終えたソラ達と合流。そして、カバトンやシャドーとの決戦の地に向かうのであった。
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