影の兵士達に襲われて窮地に陥っていた妖精達の元に助けに入ったヒョウ。彼は先代プリキュアのキュアライトピラーの力を使うと影の兵士達相手に立ち向かう。
「はぁあああっ!」
ヒョウが影の兵士達へと拳を繰り出すとライトピラーのサポートのお陰か基礎身体能力が向上しており、影の兵士を圧倒できていた。
「ッ!体がいつもより軽い……。それに、生身の体なのにあの化け物達を倒せてる」
『私が力を貸してるんだからこのくらいは当然よ。……だけど、やっぱりプリキュアになってる他の5人と比べるとまだあなたは荒削りって感じが凄いけど』
「ッ……それはそうだよな……」
ヒョウはライトピラーの力を借りてプリキュアに近いレベルでの戦いができてはいるものの、どうしても素体であるヒョウが生身であるのに加えて彼はユキ達と違ってトレーニングをしているわけでも無ければ実戦で戦っているわけでも無いため……素人に毛が生えたようないかにも初心者な動きしかできなかった。
『ま、鍛えるかどうかはあなた次第だから。今は目の前の敵に集中しなさい』
「ああ、わかってる!」
ヒョウはどうにか戦い慣れない中でも影の兵士相手に奮戦。勿論ヒョウは素人なのでどうしても攻撃を喰らいそうな場面はある。
その際はタイミングを合わせてライトピラーが障壁を展開するという完璧なサポートでヒョウへの被弾を無くしていた。
「これでラスト!」
そして、暫く影の兵士を倒していると一旦波が収まったのか。全ての兵士が消滅。ただ、これはあくまで一時凌ぎでしか無い。このままだとまたここに兵士がやって来るだろう。
「ふぅ……皆。もう大丈夫だよ」
「ありがとうにゃ〜!」
「プリプ〜ッ!」
「すまへんな。プリキュアじゃ無いのに1人でこんなに戦わせてしまって」
ヒョウの声かけに合わせて物陰に隠れていた妖精達が出て来ると彼の前に集合。それに合わせる形でヒョウが疑問を投げた。
「そういえば、皆はどこに行く所だったんだ?確か妖精ってプリキュアのお供なんだろ?」
「それなんですけど……」
ヒョウ達はそれから妖精達と共に移動を開始。その間にシュラという敵が来た事、狙いがレインボージュエルである事。そしてプリキュア達が分断されてしまった事の説明を受ける。
「マジか、じゃあ今結構ヤバい状況って事になるのか」
「レインボージュエルが奪われたらこの世界から全ての希望が失われてしまうですっ!」
「この前一回ボトムに奪われた時もプリキュアの力が失われかけて大変やったんや」
「ッ……」
それを聞いてヒョウは戦慄してしまう。プリキュアの力さえもレインボージュエルが奪われる事に連動してしまうのならこれは到底見過ごす事はできない。
「……だったら俺をレインボージュエルの所に案内してほしい。今ならまだシュラって奴も来ないんだろ?」
「それはそうでしゅけど……」
「そんな所に行くなんて危険だにゃ……」
ヒョウは今のタイミングならシュラがやってこない事、加えて四剣刃もそれぞれの方面のプリキュアに対応するので手一杯と聞いて自分が行くと言う。しかし、当然ながら危険なので反対されてしまった。
「そうですよ。あなたはプリキュアじゃないのに……」
「それでもだよ。今は俺しかそこに行けないんだろ?だったらレインボージュエルを保護する何かができるかもしれないじゃん」
「えるぅ……」
ヒョウの考えに少し心配そうに彼を見るエル。するとタルトが覚悟を決めたように声を上げる。
「わかった。ヒョウはんの言う通り。何かをやるなら今しか無いからな。案内は任しとき!」
「キュア〜ッ!」
こうして、ヒョウは妖精達を守りながら出口方向とは真逆のレインボージュエルが保管されている噴水広場へと向かう事になるのだった。
それから少し時間を遡り、ベンケイの力によってプリキュア達が分散させられた後、スカイ達が四剣刃との戦闘を開始した頃。南西に刺さった剣の近くではウィングがその場所に到着していた。
「ッ、ありましたね。これが破壊する必要がある剣ですけど……」
ウィングはそう呟いてキョロキョロと周囲を見渡す。ただ、そこには鬱蒼とした森が覆い茂っていると他の場所と比べると視界は悪い方だった。
「それにしても、かなりの大きさですね。ボク1人で壊すのは厳しいでしょうけど、幸いボクは飛ぶ事ができます。他の皆さんが来るまでにこの剣の弱点を……」
ウィングは自分の能力で空を飛べるという利点を使う形で空を飛行し、巨大な剣の弱点を探そうとする。
しかし、ウィングが飛行の高度を上げる形で空高く飛ぼうとした瞬間。ウィングの後ろから何かが飛んでくると彼はそれを感じ取って咄嗟に体を捻って回避する。
「ッ!?」
するとそんなウィングの顔の真横を掠る形でエネルギーの手裏剣が飛び去って行った。そして、この攻撃が飛んでくるという事は近くにいる相手は1人しかいない。
「手裏剣……サスケですか!?」
「ああ、その通りだぜ!」
すると、ウィングの周囲に存在する森から声が聞こえる形でサスケが近くにいるという事を伝えてきた。そして、サスケが忍者であるためか。周囲に存在する木々を使って姿を隠すとウィングを翻弄しようとする。
「ッ、一体何処に……」
ウィングはどうにかサスケの位置を特定しようと周囲を見渡す。しかし、ウィングの動きが止まってしまうのは相手の思う壺だ。何しろ追跡するターゲットが動かないためにサスケ側はウィングの事を狙い放題になってしまうのである。
「さぁさぁどうする?一か八か俺の位置を当てずっぽうで当ててみるかい?」
サスケはウィングを煽る達で彼の動きを短調にさせたいのか。彼の周りを動き回る音を敢えてウィングへと聞こえるようにしながら彼を翻弄していた。
「くっ、完全にボクを挑発しに来てますね」
「おいおい。俺1人に苦戦してるようじゃあ、シュラ様を倒すのはまず無理かな〜」
サスケがそう言っているとウィングはそれに対してもう一度周囲を見渡す。そして、その中で木から木の間を高速で移動する何かが見えた。それと同時に彼はサスケが一箇所に留まっているわけでは無いという事実を見抜く。
「ッ!!なるほど、木々の間を飛び移り続ける事で場所を特定させないようにしてたんですね。……でしたら、ボクもその勝負を受けて立ちますよ!」
するとウィングはまさかのサスケの高速移動に対抗するように空中を高速で移動し始める。勿論周囲には沢山の木々が存在するためトップスピードでの移動は不可能だ。
「へっ、この俺と木の上での高速移動合戦か。良いぜ、付き合ってやるよ!」
ウィングとサスケはお互いに牽制し合いながら木々を利用した機動戦を展開。しかし、空中飛行では機動力がどうしても下がってしまうのに対して木々を利用した移動であればその影響は少ない。
「ッ、向こうも沢山動いてくれたら見つけられるはずなのに……」
「へっ、確かにその発想は良かったが……根本的に俺のスピードをその程度で簡単に捉えられると思ったのは失敗だったな!」
ウィングが中々サスケの動きを捉えられない間にもサスケは完全にウィングの事を補足しているのか。その上で攻撃を仕掛けずに言葉をかけるだけという余裕を見せていた。
「これだけ有利なのにボクの事を攻撃してこないなんて……」
「あははっ!確かにそれも変な話だよな。じゃあ、お望み通り攻撃させてもらうぜ」
サスケはウィングを捉えるとその背後に存在する木々を飛び移りながら一気に彼の真後ろに接近。手にしたエネルギーの刃で生成された短刀を振り抜こうとする。
「へっ!」
「そう来るのを待ってましたよ!」
だが、この状況はウィングにとっての想定内だった。ウィングはサスケが動いて自分に直接攻撃してくる状況を作れれば、彼が自ら攻撃するために近づいてくると思ったのである。
そして、ウィングの狙い通りにサスケは手に短刀を構えて自分の真後ろに来てくれた。そのタイミングに合わせてウィングは真後ろに肘打ちを繰り出す。
「はあっ!」
「ッ!?」
サスケはそれに対して咄嗟にガードするものの、そのガードの上から押し込まれて吹き飛ばされる。
「ぐあっ!?」
「今がチャンスです!」
ウィングは好機を逃すまいとすかさず加速して接近。蹴りを一度ぶつけてから更に何度も足踏みをするように蹴り込む形で何度も攻撃。そのままサスケの体を地面に叩きつけさせる。
「がはぁああっ!?」
「良し!」
サスケはこれには堪らずに大きなダメージを受けたようで、そのまま地面にバタリと倒れ込む。
「このまま……えっ!?」
ウィングは勢いに乗って追撃を仕掛けようとする。しかしそのタイミングでウィングは慌てたように目を見開く。今さっきまで自分が攻撃を仕掛けていたサスケのいた場所にあったのはそこそこ大きめなサイズの木の丸太だったのである。
「これは一体……」
「変わり身の術ってやつだな」
「ッ!?」
その瞬間、ウィングの背後からサスケが飛びつくといきなり首を絞める形で攻撃を仕掛けてきた。
「おいおい、俺の姿を見たら何となく忍者っぽいってわかるだろ?変わり身の術は定番だと思うけどな」
「しまった……」
ウィングは完全に失念してしまっていた。忍者風の容姿に木々を飛び移る際の忍者のような身のこなし。そして、それならば変わり身の術を始めとした忍術による攻撃くらいは想定しておくべきだった。
「ま、残念だけどこうなったらお前はチェックメイト。俺の勝ちかな」
「ぐ……」
ウィングはどうにかサスケを振り解こうとするが、その締め付けは想像以上に強く。元々パワーの無いウィングでは力による振り解きはほぼ不可能と言える。
「……ッ、なら……これでどうだぁあっ!」
ウィングは普通に振り解きをしても無意味だと感じたのか。空中ででんぐり返しをするようにサスケの張り付いている背中を下にするとそのまま一気に地面へと背中から突っ込んでいく。
「ッ!?」
その直後、ウィングが背中から地面に激突。同時にサスケはウィングと地面によってプレスされる形となったのか。ウィングへとかけていた首絞めが解けると彼は咳き込む形で呼吸を取り戻す。
「ゲホッ、ゴホッ……はぁ、はぁ……何とか助かりましたね」
「ああ、今のは良い判断だった。最も、俺をプレスできていればもっと良かったけどな」
「えっ?」
するとウィングの目の前に姿を現す形でサスケはケロッとした様子で笑みを浮かべる。どうやら、今の攻撃を仕掛けてからウィングが地面に激突するまでの間に脱出されてしまったようで。
「速い……疾風剣を使う名前の通り、スピードに関して言えばシャドーさえも上回ってますよ」
「ふふっ、まだまだ俺の力はこんな物じゃないぜ?次の手には着いて来れるかな?」
サスケはその瞬間、ウィングに向かって走り出す。そして、ウィングが構えを取る中でサスケが笑みを浮かべるとその直後には彼の姿が5人へと分身した。
「なっ!?今度は影分身ですか!?」
「「「「「ほらほら!早く本物を見極めないとタコ殴りだぜ?」」」」」
サスケは5人に分身したままウィングを滅多打ちにするために近づいていく。それを受けてウィングは自分ではどうしようもできない。そう感じた瞬間だった。
「ビートソニック!」
「「「「「へ?」」」」」
このタイミングで声が聞こえてくると紫色の音符をしたエネルギー弾が次々にサスケの分身の元に降り注ぐと命中。5人に増えた分身の中の4人を一瞬で粉砕すると分身は消滅。
同時に本体が慌てた様子で降り立つとそこに2人のプリキュアが走ってくる。
「行くよリズム!」
「任せて、メロディ!」
やってきたのはスイプリのキュアメロディとキュアリズム。彼女達はその手にミラクルベルティエとファンタスティックベルティエを手にするとそれぞれにフェアリートーンを2つ装填する。
「ミラクルベルティエ!」
「ファンタスティックベルティエ!」
「「セパレーション!」」
そのままベルティエを中央で分割した2人は両手に構えたベルティエで音を鳴らすように何回も振る。
「溢れるメロディの、ミラクルセッション!」
「弾けるリズムの、ファンタスティックセッション!」
2人が掛け声を言うとそのまま両手で大きくハートを作るように動かす。これにより、メロディはピンクとオレンジの。リズムは白色と黄色で半分ずつ作られた炎が燃えるエネルギーのハートが生成された。
「プリキュア!ミラクルハートアルペジオ!」
「プリキュア!ファンタスティック・ピアチェーレ!」
そして、2人が同時にハートを前に射出。その一撃が曝け出されたサスケの本体へと向かっていく。
「コイツは不味いかも!?」
ただ、そのサスケが回避行動を取るよりも早く二つのハートが直撃。サスケの体は二つ分のハートのエネルギーに包まれる事に。そして、2人はベルティエを再度合体させて1つに戻すと三拍子を描く。
「「三拍子!1・2・3!フィナーレ!」」
2人が指揮者として指揮棒を振るように三拍子を振るとエネルギーリングに包まれたサスケは爆発。同時にその煙が駆け抜けるとメロディがウィングへと話しかけた。
「ウィング、大丈夫?」
「ええ、助けていただきありがとうございます」
「ふふっ、まさかもう他のプリキュアが来てくれるなんてなぁ」
すると突如として爆発したはずのサスケの声が煙の中から聞こえるとその煙を風で吹き飛ばすような形で蹴散らす。そこには先程と同様に身代わり用の木の丸太を手にしたサスケが立っていた。
「今のを凌ぎ切った!?」
「本当に見た目通り忍者のみたいな奴ね」
更に続けて降り立ったのは先程のビートソニックを放った主。キュアビートである。これにより、スイプリのメンバー3人がこの場に到着。
対してサスケは先程の攻撃を防いだ状態のまま、今度は4人の前に姿を晒す。
「皆さん、気をつけてください。コイツのスピードや忍術は侮れません」
「そうね。ここは私達4人で行くわよ」
「うん!」
こうして、こちらの剣の麓でも四剣刃の1人とプリキュア達が戦いを開始する事になるのだった。
また次回もお楽しみに。