熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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月光の剣士・シャドーの力 オリジナルストーリー15話

バラバラに分断され、フェアリーパーク内に突き刺さった4本の剣を破壊するために動くプリキュア達。その中の最後の一箇所である北東の剣付近での話をするためにもう一度時間を遡る事にしよう。

 

「ここが、私達が壊さないといけない剣……」

 

そこに一番に辿り着いたのはスノーだ。彼女が上を見上げるとそこには当然聳え立つ巨大な岩石の剣が見える。

 

「おーい!スノー!!」

 

「ッ!サンライズ!」

 

そんなスノーの元にやってきたのは彼女にとって頼もしい仲間であるキュアサンライズだ。心強い仲間の登場に嬉しそうにするスノー。それにサンライズの力はパワー方面に強い。彼ならこの剣を破壊するのに最適だと考える。

 

「サンライズ、他の皆は?」

 

「悪い、まだ合流できてないんだ。……ただ、多分皆もここに来てくれるはず。途中にあの面倒くさい兵士はいるけど、最終的に4本の剣を破壊しないとゲームクリアできないし……最終的にはここに来てくれるはず」

 

「そうだよね。それに、皆の負担を減らすためにも私達でここを壊せば……」

 

「ああ。そういう事だ」

 

スノーとサンライズはこの剣を破壊する事が自分達の最終目的である以上、過程はどうあれ剣のある場所にプリキュアが集まるのはほぼ決まっている。

 

「うん、それなら早速……」

 

「戦場でのんびりお喋りとは……呑気だな」

 

「「ッ!?」」

 

その瞬間、2人の元に声が聞こえてくると同時に剣の前に立つような形で1人の男が現れた。その男の姿に2人は構えると険しい顔つきで男を見据える。

 

「シャドー……」

 

「もう、こんな時まで俺達の前に出てくるなって……」

 

サンライズはシュラの配下として洗脳されてもシャドーの相手は自分達がしないといけないという事実にうんざりとした顔つきを見せる。

 

ただ、だからと言ってシャドーを相手にしないという選択肢は無い。彼の強さは2人共理解しているし、もし仮に片方がシャドーを止めている間に剣を壊そうとした場合……剣の方も中々破壊ができなかったら逆に無駄に時間を使う事になってしまう。

 

「2人纏めてで良い。……来い」

 

「サンライズ、私達2人でやろう。シャドーの事だし、1人ずつは多分危険だから」

 

「そうだな……焦って両方を狙うのは強欲か」

 

2人の間で納得が行くとひとまずは目の前にいるシャドーの相手をする事だけに専念する事を決定した。

 

「「はあっ!」」

 

スノーとサンライズが2人揃って飛び出すとシャドーは早速刀を抜き放つ。そのまま2人がかりで連続攻撃を仕掛けるとシャドーは僅かに顔を歪めた。

 

「ぬっ……俺の太刀筋に対応し始めてるだと」

 

「あなたとは記憶が無くなる前から何回も戦ってるの!」

 

「だからお前の攻撃のパターン、ある程度だけど俺達も学習してるんだよ!」

 

幾ら洗脳されているとはいえ、シャドーとの対戦経験は2人ともそれなりに溜まっている。そのため、意外と対処する事自体はあっさりとできていた。

 

「だが、俺にはまだまだ上があると知ってもらおうか!」

 

シャドーは自分の戦いがプリキュア側に対応されているのならばと更に力を解放。その体に赤黒いオーラを纏わせると手にしていた刀を二刀流に変化させて対連携用の構えを見せる。

 

それに対応する形で2人も改めて警戒心を高める。それから数秒間静寂が流れた直後、踏み込んだのはサンライズだった。

 

「はあっ!」

 

サンライズが一気に接近する中、シャドーはその動きを構えながらジッと観察。次の瞬間、サンライズの拳が繰り出されるとシャドーはその拳に合わせる形で攻撃を回避。サンライズが前に出てくる勢いを利用してカウンターによる一撃を無防備な腹に放つ。

 

「ッ!?ぐあっ!?」

 

サンライズは攻撃に対してカウンターを合わせられたためにダメージを受けつつ体勢を崩してしまう。

 

「やあっ!」

 

「ぐ……このっ!」

 

ただ、サンライズはまだ一撃入れられただけだとすぐに体勢を立て直すと地面を踏み締めつつ反転。それに合わせる形で今度はスノーも前に出てくる。

 

「今度は挟み撃ちで!」

 

「これならきっと!」

 

「ふっ、甘いな。ぬん!」

 

だが次の瞬間、シャドーが剣を振るったような仕草を見せると同時に2人の体に斬撃のエフェクトと鈍い痛みが走ってしまう。

 

「「うわぁああっ!?」」

 

そのまま2人は前に出た勢いのまま地面に体を打ちつけると倒れ込んでしまった。

 

「な、何だよこれ……さっきまでいつものシャドーだったのに」

 

「うん……雰囲気が変わってから戦い方がまるで別人で」

 

シャドーの基本的な戦い方は相手の全てを引き出させた上で自分の持てる力で相手を上回るというやり方。その中にカウンターも勿論あるのだが、基本的には相手の行動を見てからそれに対する対策を打ってくる。

 

だが、今のシャドーは違う。カウンターを基本とした淡々とした戦い方。相手の力を引き出す事すら無く。最短ルートで相手を始末する事だけを中心にした戦い方をしてきたのだ。

 

その様はまるで目の前の敵を少しでも早く無力化する機械のよう。そこに戦いその物を楽しむという戦闘狂だったシャドーの姿は無かった。

 

「この野郎、俺達の事を倒す事だけを優先してやがる」

 

「うん……いつものシャドーならもっと戦いを楽しむのに。今はまるでそれが無い」

 

こうなると力に劣る2人は圧倒的に不利だ。いつもなら戦いを楽しむ……つまり2人の成長も楽しみながら戦いを進めるため、2人にもまだつけ入る隙という物があった。

 

しかし、敵を最短で倒す事だけに拘ってしまうと2人はシャドーへと反撃する隙も無いままに蹂躙されてしまう。

 

「やりづらいな……こんなの、シャドーがシャドーじゃないみたいだ」

 

「うん、それにカウンター重視の戦い方って事は私達も迂闊に攻撃しに行けない」

 

もし下手にシャドーへと接近して攻撃すればカウンターで手痛い目に遭う事に加えて、今のシャドーには戦いを楽しむという気持ちが無い。だから2人は反撃をまともに受けてしまうとそのまま一気に持っていかれるリスクもある。

 

「……どうした。俺を倒さないとお前達の目的の剣は破壊なんてできないぞ?」

 

「くっ……こんな時にそれを持ち出すのか」

 

「何とかシャドーにつけ入る隙は無いの?」

 

2人はシャドーと睨み合いながら必死に彼の隙を探す。ここに来て2人にとって不利な要素……レインボージュエルが闇に染まる前に剣を破壊して解放しないといけないという長期戦を封じるための要素が効いてくる。

 

そのため、2人はカウンターが来ると分かっていてもシャドーへと仕掛けるしか無い。そうなると逆に言えばシャドーは無理に踏み込む必要が無いのだ。ただ待っているだけで2人の方から来てくれるのだから。

 

「ッ……スノー、一緒に行くぞ」

 

「でも、今のシャドー相手に正面から仕掛けたって……」

 

「それでもやらないと……俺達の目的はコイツを倒した後にしか達成できない」

 

「そっか……そうだよね」

 

今の自分達にシャドーをどうにかする作戦は無い。しかし、それでもシャドーを倒さない事には本来の目的である剣の破壊まではできないわけで。

 

「ふん。やっとやる気になったか」

 

「ああ、待たせて悪いな」

 

「うん。私達はあなたに勝たないといけないから!」

 

「ならば、逆にお前達を終わらせてやろう」

 

スノー、サンライズの2人が戦う気になったため、シャドーは僅かに笑みを浮かべる。このまま睨み合うだけというのは彼にとってもあまり好きでは無いらしい。

 

それから3人が戦いを始めようとした瞬間……突如としてシャドーが何かに気がつく。

 

「ッ!?あれは……」

 

「「えっ?」」

 

その瞬間、突如として3つの光が降り注ぐ。それは赤、紫、黄の輝きを纏っており、それらを見てシャドーが慌てて距離を取るとスノー、サンライズの前に降り立った。

 

「あなた達は!」

 

「キュアパッション、キュアムーンライト……キュアミューズ!」

 

そこにいたのはキュアパッション、キュアムーンライト、キュアミューズの3人……つまり、各チームの4人目として加わった戦士達である。

 

「待たせてごめん!」

 

「ここからは私達も戦うわ」

 

「一緒に行きましょう」

 

スノーやサンライズにとっては彼女達の参戦はとても有り難かった。何しろ、普通にシャドーを相手しても勝ち目が薄かった所に援軍として来てくれたのである。

 

これなら今のシャドーにも勝てるかもしれない。そんな希望がスノーとサンライズの中に湧き上がって来た。

 

「皆……」

 

「これなら届くぞ!」

 

少なくとも、先程シャドーと戦った際に5人がかりであれば良い戦いができていた。しかも今回の5人の中には先程もシャドーを追い詰めていたムーンライトもいる。

 

対してシャドーの方は敵が5人に増えたくらいでそこまで動揺はしていなかった。

 

「ククッ……確かに5人が相手となれば俺も一筋縄では行かないだろう。……だがな」

 

するとシャドーは再度赤黒いオーラを体に纏わせると笑みを浮かべる。そして、両手に二刀流の刀を構えた。

 

「先程一度良い勝負ができたからと言って今度もそうなるのを決めつけるのは良くないな。……見せてやろう、この俺の力というのをな」

 

「それはこっちの台詞だ」

 

「絶対にあなたを倒して後ろにある剣も壊す!」

 

こうして、シャドーの方は他の方面より1人多い5人がかり彼を倒すべく戦いを開始する事になる。

 

同時刻、レインボージュエルのある場所を目指してフェアリーパークの中を進むヒョウと妖精達。彼等は影の兵士を倒しつつレインボージュエルのある中心部へと急いで向かう。

 

「ッ、コイツら多過ぎ!どれだけ数揃えれば気が済むのよ!!」

 

しかし、ヒョウがどれだけ影の兵士を倒そうとも次から次へとゾンビのように湧いて出てくる影の兵士達はヒョウ達の行手を阻む。

 

「ヒョウが苦戦してるにゃ……」

 

「あの兵士達は倒しても元を絶たないと無限に湧いてくるさかい。仕方ないちゃ仕方ないけど……」

 

ただ、まるでこの先にある物を守るように集中的に守りを固めてくる影の兵士を相手にヒョウの肉体は徐々に消耗していく。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

『この程度でバテてたらレインボージュエルになんて辿り着けないわよ?』

 

「分かってるよ!だけど……俺はプリキュアとは違って生身なんだ。体力的に保たないのも仕方ないだろ」

 

ヒョウは先程までレインボージュエルの元に辿り着くべく張り切っていたのだが、残念ながら彼はプリキュアでは無いせいで肉体的な限界値は生身とそう大して変わらない。

 

ライトピラーが多少サポートして肉体への負荷を減らしてもプリキュア程の身体能力は出せないし、体力を多くすることもできない。殴られれば普通に怪我だってしてしまう。

 

「このままじゃまずいですぅ!」

 

「こうなったらポプリが少しでも負担を減らすでしゅ!」

 

「ダメですって!あの数が相手じゃポプリのバリアにも限度があるです!」

 

一応ポプリならバリアを展開できる関係でヒョウを守る事もできる。しかし、ポプリのバリアは一回につき1つしか展開できない。今回のように集団が相手の時にその能力では相性が悪い。

 

むしろ、ヒョウがプリキュアじゃない分ポプリの危機にヒョウが反応できない危険がある。

 

「ッ、せめて浄化技とか使えたら楽なのに……」

 

ヒョウは格闘戦で影の兵士を倒すよりも浄化技で蹴散らせる方が断然有利だと思っていた。そのため浄化技を欲しがるが……残念ながら今のライトピラーの力ではヒョウをそれなりに戦えるようにする以上の強化は不可能だ。

 

すると、そんな時だった。突如として影の兵士達は持っていた武器を捨てると一斉にヒョウへと飛びかかって来た。

 

「えっ、ちょっ!?」

 

ヒョウはいきなりの事に困惑するとその間にも影の兵士達は次々とヒョウへと向かってくる。

 

「コイツら、急に俺に飛びついて……ぐっ!?」

 

ヒョウはどうにか群がってくる影の兵士を倒していくが、数の差はどうしようもなく。その数の暴力を前にヒョウは肉体を抑えられる形で拘束されてしまう。

 

「がっ!?」

 

そのままヒョウは地面にうつ伏せて倒させられるとそのまま何体もの影の兵士達が上にのしかかる形で両腕、背中、両足を次々に拘束。ただでさえ小学生くらいの年齢かつツバサよりも肉体が細くて体重が軽いヒョウにとってこの戦法を取られてしまうともうどうしようもないできない。

 

「「「ああっ!?」」」

 

「「ヒョウ(はん)!?」」

 

「えるうっ!!」

 

「重い……ダメ……ライトピラーの力でも振り払えない」

 

妖精達が悲痛な声を上げる中、ヒョウは影の兵士達ののしかかり攻撃を前に完全に身動きが取れなくなってしまう。

 

「ッ……早く抜け出さないと……ううっ、でも重いせいで全身が痛い……」

 

このままではヒョウは圧迫されてその痛みで気絶するか残ってる影の兵士にタコ殴りにされてやられてしまう。

 

「ツバサ……お願い、誰か……助けて……」

 

ヒョウは自分の力ではどうしようもできず、どうにか抜け出すために周りに助けを求めようとしたその時だった。

 

「ミルキィローズ!メタルブリザード!」

 

その瞬間。鋼鉄化し、銀色になった薔薇の花びらによる吹雪がその場に吹き荒れると影の兵士達は一瞬で全滅。

 

「ッ……」

 

「ほら、大丈夫?」

 

ヒョウはいきなり拘束から解放されて驚きの顔を浮かべる。すると、そこに1人の少女が歩いて来た。

 

「あなたは……!」

 

「良かったわ。ひとまず無事そうね」

 

「ミルキィローズでしゅ!」

 

ヒョウを助けたのは入り口付近で影の兵士達を相手にしていたミルキィローズである。そして、彼女はヒョウや一緒にいる妖精達が無事だとわかって安堵の顔を浮かべるのだった。




また次回もお楽しみに。
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