熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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闇の暴走 シャドーの怒り

ウィングがあげはを頂上に送り届けてから戻ってくるとランボーグとの戦闘を開始。ランボーグはケーブルの上に乗るとその上を飛び跳ねながらウィングをトリッキーな動きで翻弄する。

 

「ランボーグ!」

 

「はぁっ!」

 

ウィングとランボーグの実力は拮抗。そのためかお互いに有効打にならない。するとそこにプリキュアに変身したスカイとプリズムがケーブルの上を走ってきた。

 

「「ウィング!」」

 

「お待たせしました!」

 

「今行くよ!」

 

二人が駆け上るのを管制室から見たカバトンは苛立ったように声を荒げる。

 

『誰も待ってないのねん!暴れろランボーグ!』

 

ランボーグはケーブルの上を飛び跳ねるとスカイ及びプリズムが登りにくくしてしまう。だが、その程度では二人は止められない。

 

「何のこれしき!」

 

「たあっ!」

 

二人が跳び上がるとランボーグへとダブルキックを叩きつける。

 

『あっ!?ちょっ……ま、待つのね……』

 

そのままランボーグは地面にまで押し込まれると叩きつけられて目を回す。

 

「ウィング!」

 

「お願い!」

 

そして、トドメを決めるのはウィングだ。ウィングは加速するとそのまま夕日をバックに突撃する。

 

「ひろがる!ウィングアタック!」

 

『あわわっ……このままじゃ負け……』

 

その瞬間だった。突如としてウィングの突撃が受け止められてしまう。

 

「なっ!?」

 

そこに立っていたのは体にオーラを纏ったシャドーである。その小脇にはサンライズとスノーが傷だらけで抱えられていた。

 

「この程度……温い!」

 

シャドーが気合いを込めるとそのままウィングは弾き返されてしまう。

 

「うわあっ!?」

 

ウィングが近くの木に激突するとダメージを受ける。更にシャドーはサンライズとスノーをドサリと地面に投げ捨てた。

 

「サンライズ!?」

 

「スノーも……」

 

スカイとプリズムが動揺する中、シャドーは無言でスカイとプリズムの方を向くと二人はシャドーに立ち向かうために構える。

 

「ッ……」

 

「お前ら如きでどうにかなるとでも?」

 

「やってみないとわかりません!」

 

「行こう!」

 

スカイとプリズムの二人はシャドーへと飛びかかり、それにウィングも合わせて三人がかりでのラッシュを仕掛ける。

 

「はぁあっ!」

 

「やあっ!」

 

「たあっ!」

 

だが三人による攻撃はシャドーに防御の手こそ使わせていたものの、まるで有効打になっていないのかシャドーは全く動じる様子を見せない。

 

「……遅いな。それでは俺には届かない」

 

次の瞬間、シャドーの体が揺らぐと三人の体にダメージが走る。そしてその直後にはシャドーからの斬撃波が三人を襲った。

 

「「「うわああっ!?」」」

 

三人が吹き飛ばされて転がるとシャドーはそれを見下ろす。そんな中、カバトンはプリキュアをシャドーが叩きのめしている今がチャンスとばかりにエルを狙おうとする。

 

『ら、ランボーグ。今のうちに頂上にいるプリンセスを狙うのねん!』

 

「そんな事……させな……ううっ」

 

「か、体が……動かない」

 

プリキュア達はランボーグを止めようとするが、シャドーから受けたダメージが深いためになかなか動き出せない。

 

「……」

 

するとシャドーはいきなりランボーグの目の前に回り込むとその手をランボーグへと当てる。

 

「な、何を……」

 

するとランボーグからアンダーグエナジーが飛び出すとその体が素体となるロープウェイの姿へと戻ってしまう。

 

『なっ!?何するのねん!シャドー!』

 

カバトンがシャドーへと抗議する中、シャドーは無言のまま手を翳すとランボーグから無理矢理抽出したアンダーグエナジーをその身に取り込み始めた。

 

「え!?」

 

「嘘、あんな量のエネルギーを取り込んだら……」

 

その瞬間、シャドーの目が光ると同時に更に火花の散った紫のオーラを宿した。するとその波動が周囲を駆け抜けていくと先程よりもさらにスピードが上がった様子でシャドーは一瞬にして三人との距離を詰めてしまう。

 

「「「!!?」」」

 

そして、シャドーが地面を殴るとその衝撃波で三人は吹き飛ばされて近くの木々に激突。三人共何とか意識は残すものの体がグッタリとしてしまう。

 

「ううっ……強すぎます……」

 

「なんて力なの」

 

するとようやく目を覚ましたサンライズとスノーが体の痛みに耐えながら立ち上がると声をかける。

 

「まだだ……」

 

「あなたを助けるまで……」

 

「「負けられない!」」

 

しかし、シャドーは二人を見下すように鼻で笑う。最早二人など今のシャドーにとっては敵ですら無いと言わんばかりだ。

 

「スノー、もう一度エレメントスクリューだ」

 

「でも、アレは防がれて……」

 

「だとしてもだ。アイツをどうにかするにはその技を使うしか無い。ここで俺達が負けたらシャドーを止められなくなる」

 

サンライズが決死の覚悟でそう言うとスノーはコクリと頷く。そして、二人が手を繋ぐとまた技を使おうとしたその時であった。突如として光が降り注ぐとそこに現れたのは光のオーラを身に纏い、宙に浮かんだヒョウである。その背中にはあげはとエルも来ていた。

 

「ヒョウ!?」

 

「あの姿、UFOランボーグの時に見た……」

 

それは以前、ヒョウに力を与えたキュアライトピラーの加護を得た姿だった。

 

時を少し遡り、ウィングがあげはを頂上に戻した頃。ヒョウは何もできない自分の弱さを悔やんでいた。

 

「俺は……役立たずなのかな」

 

「ヒョウ君……」

 

「皆が戦っているのに俺だけ何もできなくて……そんな自分が許せないんです」

 

するとあげははヒョウを見て首を横に振る。ヒョウの意見を否定したのだ。

 

「それは違うよ。少なくとも私はヒョウ君の事を役立たずだなんて思った事は無いから」

 

「でも……」

 

「ヒョウ君は過去の事が原因で自分に自信を持つのが難しいかもしれない。それでも、ヒョウ君はヒョウ君なりに頑張っているって私は知ってるから」

 

あげはにそう言われてヒョウは失いかけていた自信を取り戻すとその胸に光が宿る。それはキュアライトピラーが発した光だとわかった。

 

「これは……」

 

『あの子が、キュアルーセントムーンが苦しんでいます。お願いです。彼女を助けてあげてください』

 

ライトピラーはいつにもなく真剣にヒョウへと頼み込むように声を上げるとヒョウの体にオーラが纏われる。

 

『私の力ならあの子に多少の光を灯す事もできます。ですから……ですから』

 

「わかりました。俺が絶対に光を灯します」

 

ヒョウがプリキュア達の元に行こうとするとあげはがそんなヒョウへと声をかける。

 

「待って!私も行く」

 

「危険ですよ……エルちゃんだって抱えているのに……」

 

「それでも私も行きたい」

 

ヒョウは少し考えてからあげはの言葉を呑むとその背中にあげはを乗せ、そのまま現場へと向かった。

 

そして到着する頃にはプリキュア達が傷つき、ボロボロになっている所で逆にシャドーは圧倒的な力を纏っていたのだ。

 

「ヒョウ!?」

 

「あげはさんも、危険なのにどうして……」

 

「シャドー。お前の苦しみから解放する」

 

「寝言を言うな。俺は苦しんでなどいない。この力なら俺はお前らなんぞには負けん!」

 

シャドーが衝撃波を二人へと放つとヒョウが光のバリアでそれを防ぐ。しかし、そのバリアにはヒビが入ってしまう。そのため、ヒョウは何発も耐えられる威力では無いと悟った。

 

「シャドー、お前の本当の心を教えてくれ」

 

「うるさい。お前らに俺の何がわかる?」

 

すると周囲の面々にまたキュアルーセントムーンの声が聞こえ始める。それは徐々にアンダーグエナジーに侵食されて苦しむ彼女の悲痛の声だった。

 

『お願い……く、苦しい……。助けて……私がやりたかったのは……こんな事じゃない』

 

スノーはシャドーへと声を上げると彼をどうにか説得しようと試みる。

 

「シャドー!今のあなたはアンダーグエナジーに汚染されて気持ちがおかしくなってるの!正気に戻って!」

 

「スノーの言う通りだ!これ以上やったらお前は……」

 

だが、シャドーにそれは届かないのか全くやめる気配がない。それどころかエネルギーの刃を作り出すと放とうとする。

 

「シャドー、今のあなたとは戦えないよ!そんな苦しんでいるあなたとは戦いたくない!」

 

スノーがそう叫んだ瞬間。シャドーの中の何かがキレた。そして体のオーラが一瞬引っ込んだかと思うと先程の倍はあるであろうオーラが立ち昇る。

 

「貴様……戦いたく無いだと?お前、お前もそうやって敵に情けをかけて仲間を傷つけられるクチか……ふざけるな。ふざけるなぁああっ!」

 

スノーはシャドーの地雷を踏み抜いてしまった。シャドーから溢れ出る激しいオーラが手にした刀が纏われるとゆっくりとスノーへと近づいていく。スノーは抵抗しようとするが、そのタイミングで体への痛みが走って上手く防御ができない。

 

「ッ!」

 

その瞬間だった。あげはがヒョウにエルを預けると走っていき、スノーを庇うように両手を広げて前に立ったのは。

 

「あげは姉!?」

 

「あげはさん!?」

 

「ッ……」

 

プリキュア達が叫ぶ中、あげはへと刀が振り下ろされる……はずだった。シャドーは刀があげはに命中する寸前で寸止めしており、頭を片手で抑えている。

 

「何故だ……何故だ何故だ何故だぁあっ!俺は、俺は弱さを捨てたはず。それなのに、なのに……何で……何で」

 

するとシャドーの中に浮かんだのは自分を庇うために前に出て両手を広げるプリキュア達の姿であった。そして、そのプリキュア達は傷つく中でも自分を庇うのをやめず。生身のあげはがそれと同じ事をすると考えたシャドーは攻撃ができなくなってしまったのだ。

 

「クソッ……プリキュア、次は俺の本気で叩き潰す」

 

そう言ってシャドーは紫の煙と共に消えてしまう。そして、事態は収束すると一同は山の上へと移動した。ちなみに、完全に空気と化したカバトンはと言うと……。

 

「ったく!何でアイツらだけで話を進めるのねん!カバトントン!」

 

完全に無視された上にこれ以上戦える空気では無くなったために撤退せざるを得なかったそうだ。ユキ達が頂上に着くと話をする事になる。

 

「あげはちゃん。エルちゃん」

 

「大丈夫ですか?」

 

「うん!」

 

「えるぅ〜!」

 

「少年が助けてくれたしね」

 

それから一同が山の上からの景色を一望するとその綺麗な景色を目に焼き付ける。

 

「良い景色ですね」

 

「うん!」

 

「ホント、良い景色……」

 

それからその帰り道。エルは謎解きをクリアした事で手に入った非売品グッズを付けてご機嫌そうに寝ており、アサヒ達も疲れからか眠っていた。

 

「疲れた?」

 

「いえ……」

 

唯一運転しているあげはは元気そうであり、さらにツバサもウトウトとしていつつも何とか起きてはいる。

 

「今日は助けてくれてありがとう。ちゃんとカッコ良かったよ」

 

しかし、ツバサはプニバードの姿のまま寝息を立ててしまうと完全に寝てしまう。そんなツバサを見たあげははニッと笑うのだった。

 

同時刻。とある建物の屋上ではカバトンが一人藁に包まって寝ようとしていたが、寒さにクシャミをしていた。

 

「心が寒いのねん。今日もプリキュアに負けた。何でこんなに負け続けるのねん」

 

すると突如として周囲の空気が一変。そして、聞き覚えのある女性の声が聞こえた。

 

「カバトン。最早貴様に猶予は無いぞ」

 

「ッ!ははあっ!それはよーくわかっております!」

 

「役立たずに価値は無い!」

 

するとその直後。カバトンの近くにあった貯水タンクに雷が落ちるとタンクがひしゃげてしまう。

 

「ひぃっ!?今度こそ、今度こそ必ずプリキュアを倒して……プリンセス・エルは手に入れてみせますぅ……」

 

カバトンは悲痛な叫びと共に決意を固める。それは、自身の最後の戦いになるという覚悟を持って。

 

少し時間は進み、あげはの運転する車が虹ヶ丘家に到着した頃。あげはがユキ達を降ろすと帰る前にある事を口にした。

 

「あ、そうだ。今度の休みって皆時間空いてる?」

 

「確か何も無いはずだけど何かあった?」

 

「ふふっ。ジャーン!」

 

そう言って見せたのは旅行のチケットだった。それを見てユキ達は驚く。

 

「「「「「「ええっ!?」」」」」」

 

「あげはちゃん、それって……」

 

「実はこの前買い物をした時に当たっちゃってさ。だから皆で行こうかなって!」

 

「へぇ……その街は……おぉ!有名な温泉旅館とかあるんだ!」

 

「しかも展望台とかもあって観光にはピッタリかも!」

 

「じゃあ決まりだね!」

 

こうして、ユキ達はユキ達で新たな旅行の計画が立てられた。その向かう先の街の名は……すこやか市。

 

その先で地球を蝕もうと目論む敵との戦いを終えた少女達と出会う事になる事をまだユキ達は知らない。




また次回もお楽しみに。
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