熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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一つの戦いの終わり 救い出した命

カバトンとの決着が付き、シャドーは再度力を解放すると構える。それに対してサンライズとスノーも迎え撃つために構えた。

 

スカイ達はひとまず変身解除はせずにあげはやエル、ヒョウに危険が及ばないように警戒をする事に留める。

 

「「はあっ!」」

 

先に仕掛けたのはサンライズとスノーだ。二人はトレーニングで鍛えた通り、連携でシャドーを攻める。シャドーは手にした刀で攻撃を捌くが、思ったよりも二人の連携が凄まじいために押される一方だ。

 

「凄いです。あのシャドーを押していますよ!」

 

「頑張れ、二人共!」

 

「えるぅ!」

 

サンライズとスノーは更に体にオーラを纏わせると攻撃の密度を高めた。

 

「ひろがる!サンライズブレイク!」

 

サンライズが炎を纏わせた鉄槌を振り下ろすと上からシャドーを押し潰そうとする。

 

「ふん。腕を上げてきたか。だが!」

 

シャドーがサンライズの技を押し返すとすかさずスノーが突撃。休む間も無く仕掛けていく。

 

「だだだっ!」

 

「ひろがる!シャドークレッセントムーン!」

 

「ヒーローガール!スノーインパクト!」

 

二つの技が激突すると火花を散らす。しかし、威力の面ではやはりシャドーの方が有利なのかスノーは弾かれてしまう。

 

「きゃあっ!?」

 

スノーが叩きつけられる中、サンライズがスノーをカバーするように入れ替わりラッシュを仕掛けた。

 

「だあっ!」

 

サンライズはスノーよりも力強い攻撃で確実にダメージを与えていく。シャドーはそれを受けて後ろに下がると構え直す。

 

「お前ら、この三日で何をしたか知らないが俺をここまで追い込むとはな。だが!」

 

シャドーが回し蹴りでサンライズを押し戻させるとすかさず手にした刀でサンライズを切り裂こうとする。

 

「ッ!?」

 

サンライズは後ろに跳んで回避。そこにスノーも立ち上がるが二人は少しずつ息が上がり始めていた。

 

「やっぱり強い……」

 

「これはバラバラにやっても勝ち目なんて無いな」

 

対してシャドーはまだ息すら切らせていない。体力面でサンライズとスノーの方が押されているのは明らかだ。

 

「サンライズ、二人であの技を使う?」

 

「いや、まだ早い。それでアイツに耐えられたら終わる。絶対に勝てる時にしか使ったらダメだ」

 

それを聞いてスノーが頷くとシャドーはその体に更に激しいオーラを纏わせる。

 

「さて、ここからは俺の番だ!」

 

するとその時、サンライズとスノーの目にはハッキリと見えた。シャドーの中に囚われているキュアルーセントムーンが悲鳴を上げているのを。

 

『やめて……もう、これ以上は……』

 

下手をするとルーセントムーンの体力を削っていると考えた二人は焦るが、それでも今は冷静になるべきだと考えた。

 

「早くしないと不味いかも」

 

「ルーセントムーン、もうちょっと頑張ってくれ」

 

二人はまた飛び出すとシャドーと殴り合う。その際、シャドーの攻撃がさっきまでよりも更に強くなっているのを感じたが、それでも二人は諦めない。

 

「「だあっ!」」

 

するとその瞬間、二人の攻撃が空を切ってしまう。そして、そこにはシャドーの姿がいなかった。

 

「「ッ!?」」

 

「終わりだ。ひろがる!シャドーブラッドムーン!」

 

シャドーが円月殺法を行うと刀に赤黒いエネルギーを高めてそれを斬撃波として放つ。

 

「「うわぁああっ!?」」

 

そのまま二人は纏めて吹き飛ばされると叩きつけられてしまう。二人は痛みに悶えているとシャドーが無言で刀を向けた。

 

「強い……強すぎる」

 

「二人に鍛えてもらったのに。まるで強さの次元が違う」

 

二人は何とか立ち上がるものの、シャドーはそんな二人を容赦なく攻める。

 

「うらあっ!」

 

手にした刀を抜くと連続で斬りつけてから回し蹴りで吹き飛ばす。

 

「「あがっ!?」」

 

「少し本気を出せばこの程度。だが前よりはマシにはなったと褒めてやる」

 

二人はそれでも諦めずに立とうとする。それを見たシャドーは二人を見下ろすと睨みつけた。

 

「そこまでしてお前らは何がしたい?俺を救って何になる?無駄な努力は止めろ」

 

「確かに無駄な事かもしれない。それでも苦しんでるあなたを救いたいのは当たり前じゃない!」

 

「俺達が諦めたらそれで希望は消えてしまう。だからこそ、俺達はお前を救ってみせる」

 

「ふん。そんな言葉で俺が揺らぐとでも……ぐっ!?」

 

その瞬間、囚われていたルーセントムーンがシャドーに暴走をやめるように小さく言い放つ。

 

『お願い…‥もう止めて。私がやりたいのはこんな事じゃ、こんな事じゃないよ』

 

ルーセントムーンが呟く中。シャドーは怒りを露わにする。それはかつての記憶。仲間が自分のせいで傷つく様だった。

 

「俺は、俺はもう足手纏いにはならない!強くなって、強くなって俺は!」

 

するとその記憶にピシリとヒビが入る。シャドーはそれを受けて疑問符を浮かべた。

 

「何故だ?何故記憶にヒビが……」

 

「「……?」」

 

シャドーは何とか記憶による妨害を首を振って振り切るとそのまま突っ込んでくる。

 

「そんな、そんなはずはない!」

 

シャドーが体にパワーを高めて突っ込むとサンライズとスノーは急に攻撃してきたシャドーを迎え撃つ。しかし、シャドーはあまりにも強大であり、あっという間に二人はサンドバッグと化してしまうとシャドーからの攻撃で滅多打ちにされて傷だらけで倒れ込んだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「アイツ。まだまだ余力は十分って事かよ。この化け物め」

 

サンライズとスノーは何とか持ち直すが、それでもダメージはかなり深い。これ以上の被弾は二人としては避けたい所だ。

 

「どうにかしないと」

 

「だがどうする?俺達の力が通じないのに勝てるのか?」

 

「それでも……私達が諦めたらそれで終わりだよ」

 

スノーの言葉にサンライズはスノーの言う通りだと考えた。確かに今諦めるのは簡単だ。まだ二人は戦える。それなのにやられっぱなしで諦めるつもりはなかった。

 

「良い加減諦めろ。お前らに俺は倒せない」

 

「嫌だ!どれだけ勝ち筋が薄くたって……」

 

「俺達は決して折れたりしない!」

 

「ならこれで終わらせてやる」

 

シャドーが再び円月殺法の構えを取ると二人へとトドメを刺すために一撃を放つ。

 

「ひろがる!シャドーブラッドムーン!」

 

シャドーから解き放たれた斬撃は二人に向かって飛んでいく。二人は何とか手を繋ぐとそれを凌ぐために技を使った。

 

「サンライズフレイム!」

 

「スノーアイス!」

 

「二つのプリキュアの輝きが!」

 

「聖なる守りを築き上げる!」

 

「「プリキュア!エレメントシールド!」」

 

二人が発動させた技、エレメントシールドがシャドーブラッドムーンと激突。二つの力はぶつかり合って押し合う中、シャドーは一気に二人の技を打ち破ろうと力を込める。その瞬間、盾にヒビが入るとそのまま粉砕。二人はまともに攻撃を喰らい、悲鳴をあげて倒れ込んでしまう。

 

「くうっ……」

 

「まだ……終わってなんか……うっ……」

 

二人共ここまでよく頑張ったがもう限界が近く、立ち上がるのも困難になっていた。しかも、シャドーにはまだ殆ど有効打を与えられていない。戦力の差は絶望的だった。

 

「サンライズ、スノー、私達も……」

 

「やめて……」

 

「え?」

 

プリズムは見ていられないとばかりに介入しようとしたがスノーはそれを止めた。

 

「ごめんプリズム。助けてくれるのは嬉しい。でもこれは俺達の戦いだ。手を煩わせるわけにはいかない」

 

サンライズとスノーは体に力を入れて立つ。しかし、もうフラフラで立っているのがやっとだと一目でわかった。

 

「……シャドー。例えあなたが幾ら強くたって」

 

「俺達は絶対に助けるのを諦めない」

 

「何を言ってる。俺がいつ助けて欲しいと……」

 

するとシャドーの頭の中にあった記憶に更にヒビが入ると亀裂がどんどん深くなっていく。そして、その隙間から見えたのは四人の戦士と共に笑い合う自分の本来の……キュアルーセントムーンとしての姿だった。

 

「これは……俺の記憶なのか?……そんなわけがない。俺は、シャドー。俺は……」

 

しかし、彼の頭が痛み出すと記憶がどんどん崩れ始めていく。シャドーは痛みとともに困惑すると叫んだ。

 

「違う……こんな生優しい記憶が俺の記憶なわけがない!こうなったら、俺の記憶をぶち壊してくれたお前らを始末してやる……この俺の……最大パワーでな!」

 

するとシャドーの体のオーラが激しく燃え立つとフルパワーである最終段階へと移行。その力は今までの比では無く、圧倒的な力を前に一同は緊張感を露わにした。

 

「こうなったらあのお方の指示も関係無い!俺の記憶を触ってメチャクチャにしたお前らを消し去ってやる!」

 

するとシャドーの後ろにエフェクトとしてでてきた月が少しずつ影によって隠されていく。それはまるで月食とでも言えるような光景だった。

 

そして、隠れた月から漆黒のエネルギーがシャドーを包み込むとそれをシャドーが手を翳して解き放つ。

 

「ひろがる!シャドー・ルナエクリプス!」

 

それはシャドーの持つ最大にして最強の技。全てのリミッターを解除しなければ使えない切り札とも言える大技だった。

 

「スノー!もうこうなったら使うしかないぞ!」

 

「うん!絶対に……助ける!」

 

二人が手を繋ぐといつものように二人で使える浄化技を発動させる体勢に入る。

 

「サンライズフレイム!」

 

「スノーアイス!」

 

「二つのプリキュアの魂が!」

 

「闇の僕達を打ち砕く!」

 

「「プリキュア!エレメントスクリュー!」」

 

二人がエネルギーを腕に纏わせたその状態のまま同時に腕を後ろへと引っ込める。そして、二人が叫びながら腕を突き出すと同時に放たれたエレメントスクリューの強化技。

 

「「マックス!」」

 

それは初代プリキュアのマーブルスクリューマックスを彷彿とさせる一撃。二つのエネルギーが混ざり合うと威力が相乗的に強化される必殺の一撃にして先代と共に取得した奥義だった。

 

二つのエネルギーがぶつかり合うと互角の勝負を繰り広げる。しかし、パワーの面ではやはりシャドーに分があるのか二人は押されるのを必死に耐え続ける。

 

「強い……こんなのどうやったら……」

 

「スノー、気持ちで負けるな。そこも負けたら本当に終わる」

 

「うん!」

 

「しぶとい……さっさと終わりにしてやる!」

 

するとシャドーは更に出力を上げると彼の中にあるルーセントムーンが悲鳴と共に生命力が吸われていくのを感じた。

 

『あ……うぅ……はぁ……はぁ……』

 

そして、どんどんエレメントスクリューは押し込まれてしまう。

 

「これ以上は保たない……」

 

ウィングがそう言って飛び出そうとするが、それをヒョウが掴んで首を横に振る。

 

「二人を信じよう」

 

ウィングが周りを見渡すとスカイ達も覚悟を決め、二人を信じている様子だった。

 

「俺達は……まだ……」

 

「諦めない!」

 

するとその瞬間、キュアバーニングサンとキュアブリザードの幻影が姿を現すとそれが二人を後ろから支えるように手を置く。

 

「「!!」」

 

「これが私達の全力です!」

 

「二人共、耐えてください!」

 

するとバーニングサンとブリザードの体から赤と白のエネルギーが二人に流れ込む。その力のあまりの強大さに二人の意識が飛びかけるが、それをギリギリでコントロール。そこから繰り出すダメ押しの一撃。

 

「「バースト!」」

 

それにより、二人の技は更なる力を持ち、一度にエネルギーが大量に放出。そのままシャドーのエネルギーを呑み込むとシャドーにまでエネルギーは到達する。

 

「馬鹿な!?俺のフルパワーが負けただと!?」

 

そして、シャドーの脳裏にある光景が映る。それはキュアバーニングサンとキュアブリザードの二人がシャドーを包む闇を打ち払い、キュアルーセントムーンとしての姿に戻していった。

 

「バーニングサン……ブリザード……私……どうして」

 

すると二人のプリキュアは力を使い果たしたのかそのまま消滅。それと同時にサンライズ、スノーの変身が強制解除され、スカイトーンは輝きを失った。

 

「スミキッタァ〜」

 

そして、シャドーのアンダーグエナジーが消え去り、澄み切るとシャドーとしての姿では無く、一人のとある青年として倒れ込んだ。

 

「「はぁ……はぁ……」」

 

エネルギーが完全に消えるとアサヒとユキは手を繋いだまま何とか立っており、シャドーとの戦いに勝ったことを実感した。

 

「やった……」

 

「救えたんだな。俺達」

 

「うん……」

 

それから二人は笑い合うと空を見上げる。こうして、シャドーとの決戦も終わり、プリキュア達の戦いにひと段落の終わりが訪れるのであった。




また次回もお楽しみに。
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