プリキュア達は協力してシュラ相手に勝利した……かに思えたが、倒したはずのシュラはレインボージュエルを核にして無傷状態で復活。プリキュア達の心には絶望感が広がる。
「言っただろう?お前達に勝ち目など無いと」
「ッ、コイツどうなってんだよ」
「見た感じ周りから力が集まってるようにも見えたけど」
「まさか、不老不死になってませんよね」
シュラが何故復活したのか。プリキュア達はその理由を考えるがそんな暇など与えないとばかりにシュラは構えを取る。
「皆、気をつけて!」
「シュラが何を企んでるか……」
「ふふっ、折角だ。お前達に更なる地獄という物を見せてやる
シュラの構えに対してプリキュア達が警戒をしていると彼は自信満々に話すと突如として瞳を紫に発光させた。その瞬間、フェアリーパーク内に存在する闇の液体のような物を取り込み始める。
「あれは……」
「確か、影の兵士を生み出してる力の根源!?」
「それを取り込んでいるの!?」
「ふふっ、何を驚いている?あの闇の力は元々我が眷属として使役していた物。サスケ達の力として与えるのも、我の力として一つになるのも自在なのは当然だろう」
どうやらシュラはサスケ達に貸し与えていた影の兵士達の力を自らの力として吸収し一体化。それが終わる頃には胸に黒い宝石のような物が生成するとそこから伸びる黒い鎖がシュラの体をX字型に見えるように包むと4本の鎖が背中で一つに合体。それはまるで正面から見てX字型のリング状の装甲を形成するようだった。
その姿が一回り大きくなると彼から感じられる凄まじい圧力が増幅されたように感じられる。
「シュラが更に強くなった?」
「まさか、まだ本気になってなかったって事?」
「ふははっ!当然だ。切り札という物は大事な場面のために取っておく物だと相場が決まってる。それは我とて同じというだけの話だ」
「くっ……」
「さて、そろそろ終わりにしてやろう」
「皆、来るよ!」
シュラは自身の体から赤黒いオーラを立ち上らせると同時にフェアリーパーク各所にある剣から更に闇の力を吸収。そしてその力が手にした6本の刀に宿ると刀身が赤黒く染まり、“バチバチ”と電撃を帯びる。
「受けるが良い、必殺奥義・六道地獄!」
シュラが構えた刀の刀身が掛け声と同時に紫に染まり、その力を高めていく。そして、赤黒い電流が流れ始めるとそのままシュラが刀を振り抜く。
「つあっ!」
シュラの放った必殺の六連撃。漆黒の斬撃波であるそれらが一斉にプリキュア達に襲いかかると彼女達は避ける間も無くまともに受けてしまう。
『うわぁああああっ!?』
「プリキュア!!」
「えーるぅ!」
「「ああっ……」」
その様子をシロップの上に乗った状態で見ていた妖精達。そこにマント生成のために一旦離れていたシプレとコフレも合流するものの、その視界に広がったのはプリキュア達が全員為す術無く倒れてしまった姿である。
「剣の力絶えぬ限り、我の肉体は不滅。故にお前達に勝ち目など無い。それに、お前達の希望の宝石は既に我の物となって潰えた。諦めろ」
そして、シュラは倒れてしまったプリキュア達を文字通り上から見下ろすと降参を勧めた。それでもプリキュア達は立ちあがろうと足掻く。
「く……ううっ……」
「む、流石にこれだけでは終わらないか。ならばあと何発耐えられるか。試してやろう」
シュラは倒れたプリキュア達に容赦無く無数の斬撃波攻撃を放つ。そこからは最早一方的な蹂躙だった。プリキュア側に状況を打開するための体力は残っておらず。シュラからの攻撃をただ黙って受け続けるだけだった。
当然体には痛みが走り、その場には悲鳴も響き渡る。そして、シュラが攻撃を止める頃にはプリキュア達にはシュラに対して反抗するだけの力は残されていなかった。
「ここまで……なの?」
「力の差がありすぎる」
シュラは倒れて動けなくなったプリキュア達をもう一度見やると彼女達が未だに変身解除せずに残っている様子に目を細める。
「何故だ?ここまでプリキュア共を一方的に痛ぶっているのに何故折れない」
シュラは妙にプリキュア達が持ち堪えている理由が疑問だった。何しろ、先程から彼はプリキュア達相手に圧倒を続けている。今だって戦うどころか動く事さえできないくらいにはプリキュア側がボロボロであり、勝ち目なんて物は残されてない。
「ふん。痩せ我慢をするのも良い加減にしてもらおうか。希望の源、レインボージュエルは我の手に落ちている。加えて単純な力においてもお前達に勝ち目は無い」
シュラはプリキュア側に立ち上がる気力すら残ってないのを見越すと降伏勧告をする。もしこれで応じないのであれば更なる痛みを与えてプリキュアの力を失わせ、完全に彼女達の心を折るつもりだった。
だが、そんな絶望的な状況の中でもプリキュア達は諦めない。特にピーチとブロッサムが痛みを堪えながら顔を上げると立ちあがろうと足掻き始める。
「確かにあなたは強い……」
「だけど、まだ希望は失われてなんかいません」
そのように必死に動こうとしているピーチとブロッサムが言う中、シュラは2人の心が折れてない事に疑問符を抱いた。
彼目線ではプリキュア側の希望であるレインボージュエルを奪い取って自らの中に取り込んだ。つまり、普通なら消えているはずの希望がまだ残っているという事が疑問だった。
「ピーチ、ブロッサム。どうしてそう言い切れるの?」
「だって、まだ私達の中にはこんなにも力が残ってるんだよ。諦めるなんて勿体無いよ」
「少なくとも、あの時の絶望感に比べたら……今の絶望なんて大した事ありません!」
「あ、あの時の絶望感?」
「ッ、そっか!」
メロディが2人に疑問を投げかけるとピーチとブロッサムがそう返す。2人の言葉にスカイも思わず聞き返すとそのタイミングでマリンも何かに気がついたように声を上げる。
「マリンもわかったの?」
「えっえっ、どういう事?」
ただ、明らかにマリンよりも頭の回転が早いはずのサンシャインやリズムも困惑。レインボージュエルは世界の希望を司る力。例え開くだけの力が残っていなかったとしてもその力が闇に奪われるという事は世界の希望が失われるのと同じだ。
「言われてみれば、私達普通に戦えるよね?」
「うん、あの時は力が抜けて動けなかったのに……」
「力が抜けて動けなかった?」
するとベリーやパインも何かを察して立ちあがろうとするとプリズムが首を傾げる。
この様子からプリキュア達の中でも意味がよくわかってない者と既に何かを察している者で分かれているとシロップの上にいるタルトが声を上げた。
「あーっ!そうや!今の状況、あの時と比べて決定的に違う事があるやんけ!」
「あの時ってどういう事にゃ?」
「確かにそうですぅ!レインボージュエルを取られてもプリキュアの力が失われてないんですぅ!」
それを聞いてコフレやシロップ、シフォン辺りは納得が行く。ただ、それ以外の妖精達はよくわかっていない様子だった。これに関してだが、実はかつてこのフェアリーパークを襲った相手であるボトムはシュラと同じようにレインボージュエルを奪う事に成功している。
その際、レインボージュエルを守るために戦っていたプリキュア達はその力を急激に失って窮地に陥っていた。一応レインボージュエルを奪われた事で即座の変身解除はしなかったものの、衣装の色が褪せてモノクロカラーに近い色合いになるような変化が起きた。だが今回はシュラの力こそ強まったものの、プリキュア側の力が消えているような様子は見られない。
「もしかして……ライトピラーが守ってくれたのって」
『えぇ。私の力を使ってレインボージュエルの核となる機能だけは保護したわ。流石にシュラの降臨に使われた力は無理だったけど』
どうやら先程ヒョウが戦線離脱する寸前にライトピラーがレインボージュエルに対して行った行為というのはレインボージュエルにとって必要な世界の希望を司る力を闇の力で乗っ取られないように内側から保護する事だった。
「そうだったんだね……ありがと」
『別に……あなた達にいなくなられたら困るからよ』
ライトピラーはプリキュア達がレインボージュエルを守り切れないのを察するとレインボージュエル消失によるプリキュアの力の低下を避ける事を選んだ。その信念により、シュラが使った一瞬の隙を突いてレインボージュエルの力が失われないための細工を施したのである。
「皆、まだシュラ相手に負けるわけにはいかないわ。私達の力ならきっと……」
パッションがそう言うと状況を理解できていなかったスイプリ、ひろプリ、そしてサンシャインとムーンライトも同じように胸に希望を抱きながら立ち上がる。
「なるほど、そこまでして我に殺されたい。そういう事か」
「残念だがそれは違う!」
「少なくとも、ボクたちは世界を絶望の底に沈めるような奴に……負けてなんかいられません!」
レインボージュエル由来の希望の力が無事だと知ったプリキュア達の胸には少しずつ希望の火が灯ると燃え上がり始める。同時に彼女達の体には力が湧き始めていく。
「ぬう……どうなっている。我の力を前にして希望を見失わぬとは。それに、まだ我の力を破る手立てが無いはずだろう?何故だ」
「確かにそうね……だけど、もうその弱点に目星は付いたわ」
『えっ!?』
「何?」
すると突如としてムーンライトが弱点がわかったと言い出したために他のプリキュア及びシュラは驚いたような声を上げる。
「ムーンライト、それってどういう事?」
「根本的な話、私達はフェアリーパークに刺さっているあの剣の果たす役割を履き違えていたのよ」
「えっと確かあの剣はシュラ復活のためのエネルギーを……あ」
「まさか、あの剣ってシュラが復活した後もエネルギーを送る機能は有効なわけ!?」
それはつまり、シュラを倒すにはまずあの剣を全て破壊しないといけないという条件は変わらないのだ。要するに、プリキュア達はシュラ復活という世界の危機に気を取られ過ぎたのである。
「ふはははっ!なるほど、確かにあの剣を破壊すれば我を追い詰められる。……だが、今のお前達にそんな事できるのか?抵抗する力なんてもう無いだろう?」
シュラは自らフェアリーパークに存在する剣を破壊すれば不利になるとカミングアウト。しかし、それは同時にあの剣を破壊できなければシュラを倒せない事を意味する。更に言えば先程はチームメンバーが揃ってなかったとはいえ剣相手でさえムーンライトとダークムーンの連携技以外は一切攻撃が通用していなかったのだ。
それだけの耐久性を誇る剣に今のプリキュア達の技が通じるとは思えなかった。
「くっ……」
「それに、弱点を知られた以上……お前達はもう終わりだ。消えてもらう」
シュラはプリキュア側に自分の弱点を悟られた以上は生かしておく事自体がリスクだと判断。さっさと倒してしまおうとする。そして、それを見たヒョウはどうにか痛む体を動かして動こうとした。
「ッ……俺が、時間を稼がなきゃ……プリキュアの皆が戦えるようになるまで……」
「ちょっ、ヒョウはん!それは無茶やで!」
いきなりヒョウが戦うと言い出したために慌ててタルトが彼を止めようとする。そして、シプレ達もヒョウに思い留まるように言う。
「そうです!今のシプレ達にシュラをどうにかできる力なんて無いんですぅ!」
「でも、このまま黙って見てるなんて無理だよ!今プリキュア達がやられたら全部終わっちゃう。だから……!」
ヒョウは瞳に涙を浮かべながらそう言うと同じくボロボロ状態のミルクが彼に話しかけた。
「そう思うのなら……信じるのミル」
「えっ?」
「そうでしゅよ!ポプリ達が今できるのはプリキュア達が頑張れるように信じるだけでしゅ!」
ヒョウはポプリにもそう言われて周囲を見渡すと他の妖精達も頷く。そして、シフォンがその手にブレスレットを着けた。
「キュアキュア〜!プリップー!」
「そのブレスレットは確か!」
シフォンが着けたのはフェアリーパーク入場の際に全員が装着したブレスレットである。
「そうにゃ。こんな事を想定して、皆で予め作っておいたミラクルライト改め、ミラクルブレスなのにゃ!」
「ミラクル……ブレス!」
するといつの間にか妖精達がそのブレスレットを装着すると早速プリキュア達に向かって声を上げる。
「「「「「「プリキュアに力を〜!!」」」」」」
「えるぅ!」
「エルちゃんも……」
勿論その中にはエルもいる。彼女もまた、プリキュアの事を信じて応援したいという確固たる意思を持っていたのである。
「ッ……そっか。皆は戦えないけど、プリキュアの力になりたい気持ちは同じ……じゃあ、今の俺にできるのは……」
「そうミル。ヒョウ、一緒にやるよ」
「ああ」
そして、ヒョウもようやく自分が飛び出す事を思い留まるとその手にブレスレットを装着。奇跡の光を送るためにブレスレットを天に掲げて叫んだ。
「プリキュアに力を〜!!」
するとそのタイミングで妖精達の使うブレスレットが光を放ち始める。そして、それだけなら瞬くような微かな光程度でしか無い。だが、その瞬く光を見たと思われるフェアリーパークの外側。パークに続く道から凄まじい量の光が溢れ出す。
「ッ、あれは……」
「きっと、フェアリーパークに遊びに来てくれた他の皆がミラクルブレスを使ってくれたんですっ!」
「皆、もっともっとミラクルブレスの力を増幅させてプリキュアに力を与えるロプ!」
それと同時に妖精達やフェアリーパークの入場者達は声を合わせてミラクルブレスに光を灯す。
『プリキュアに力を〜!!プリキュアに力を〜!!』
その想いが届いたのか。フェアリーパークの外から飛んできた無数のミラクルブレスの光が一気にシュラと対峙するプリキュア達、合計17名の元に向かって飛来。彼女達の上から降り注ぐ事になる。
また次回もお楽しみに。