熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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月光剣との決着・重なる月の光と影 オリジナルストーリー22話

シャドーとの戦いの中で復活したダークプリキュア改めキュアダークムーン。シュラが降臨してしまうまであと2目盛り分。残された時間が僅かな状態でムーンライトとダークムーンはシャドーに挑む事になる。

 

「来い」

 

「言われなくとも行く!」

 

最初に飛び出したのはダークムーン。背中に生えた片翼の翼を展開すると一気に加速。一瞬にしてシャドーの背後に回った。

 

「ッ、速い!」

 

「はあっ!」

 

シャドーはダークムーンのスピードに多少驚いたものの、動揺するには至らずなのか。手にした刀を二刀流にして迎え撃とうとする。

 

「はっ!」

 

「何!?」

 

だが、そのタイミングを見計らったのか。ムーンライトが飛び出すと一気に加速。シャドーがダークムーンに対応していた一瞬の隙を突いて彼を殴り飛ばす。

 

「があっ!?」

 

「逃がさない!たあっ!」

 

その吹っ飛んだシャドーをすかさずダークムーンが追跡。高速で接近した彼女を見てシャドーはまた驚く。ダークムーンの隣には既にムーンライトが追いついていたのだ。

 

「チッ!!」

 

そのまま乱打戦に突入するのだが、ムーンライトとダークムーンの2人がかりによるラッシュでは流石のシャドーも受けに回らざるを得ない。

 

「コイツら、本当に他の奴等とは次元が違う……。しかも連携までしてくるのか!?」

 

今までならムーンライトレベルの戦闘力が相手でも個人単位であれば他のメンバーに対して十分対応可能だった。だが、ムーンライトレベルのプリキュアが2人揃ってしかも完璧な連携までしてくるとなると話は別……。シャドーの対処がまるで追いつかない。

 

「やるわね、ダークムーン」

 

「ふっ、そっちこそ。あの時から更に強くなったようだな」

 

ムーンライトとダークムーンはシャドーから一旦離れてからお互いの成長を認め合う。

 

「ええ。あなたがいなくなってからも沢山の戦いがあったわ。でも、その度に乗り越えてきた。あの時とは比べ物にならない程に強いわよ」

 

「そうか」

 

ムーンライトとダークムーンはそんな風に掛け合いをしつつシャドー相手に対峙。シャドーは2人の実力の前に余裕が無くなりつつあった。

 

「2人揃ってとんでもない強さをして……ならば、これでどうだ!」

 

「お姉様、ここは私が」

 

シャドーは手にした刀を合わせて長い刀に変化。そのままそれを振り下ろして強力な斬撃波を放つ。

 

それに対してダークムーンが前に出るとその手に彼女の使うタクト……ダークタクトを構える。

 

「集まれ、花のパワー!ダークタクト!」

 

そして、ダークムーンは手にしたダークタクトを真上に掲げるとそこに黒い花に緑の萼を模したエネルギー弾を生成。しかもその色はかつてムーンライトと敵対していた時と比べるとプリキュアとして再度現れた影響で禍々しい雰囲気では無くなっていた。

 

「花よ、煌めけ!プリキュア!ブラックフォルテウェイブ!」

 

漆黒のフォルテウェイブと化したその一撃はシャドーからの斬撃波を一瞬で打ち破るとそれがシャドーへと向かっていく。

 

「な、何だと!?」

 

シャドーはまさか一撃で打ち砕かれるとは思っておらず。慌てて横に回避するとその一撃は直線上にあった巨大な剣に命中。その際に剣に小さなヘコミができるほどの威力を発揮した。

 

「ぐ……」

 

シャドーが今の一撃に危機感を抱いているとその様子を見ていたスノー達は歓喜の声を上げた。

 

「凄い、シャドー相手にここまで戦えるなんて」

 

「ええ、これなら勝てるかもしれない」

 

「よっしゃ、このまま一気に……」

 

サンライズはこのままシャドーを倒してもらおうと考える。だが、パッションは一瞬だけ自分達の後ろを見て冷や汗をかいていた。

 

「いえ、多分このままじゃ不味いわ」

 

「「えっ?」」

 

それを聞いてスノーとサンライズは驚きの声を上げる。そして、ミューズもその事実に気がつくと頷いた。

 

「確かにそうね。このまま戦えばシャドーは倒せる……けど、私達の目的は剣を壊す事だわ」

 

「「あっ……」」

 

スノー達はそれを聞いて慌てたような顔を浮かべる。今の時点で残り2目盛り……いや。時間の経過具合からいつあと1目盛りになっていてもおかしくは無い。今はシャドーを倒す事よりもシュラを降臨させない事が最優先なプリキュアはシャドーにばかり構ってはいられないのだ。

 

「ムーンライトとダークムーンもそれはわかってるはず」

 

「それなら、私達が……」

 

「いえ、恐らくあの2人なら……」

 

パッションはある予感がしていた。それは先程ダークムーンが技を剣に当てた際のダメージ感覚からある一手を打つと予想していたのである。そして、そのムーンライトとダークムーンは2人でアイコンタクトをした。

 

「ムーンライト、そろそろ剣を破壊しないと」

 

「そうね……残り時間的にも2人で行きましょう」

 

2人は残り時間が少ない事から2人で剣を破壊するべきと判断。そして、その視線を一瞬だけパッションへと向けると彼女もその意図を理解した。シャドーは2本の刀を合体させて一刀流にすると2人を迎え撃とうとする。

 

「何をするつもりかわからないが、変な事はさせない」

 

「いいえ、今はあなたを相手にするよりもやるべき事があるわ」

 

「ああ。ムーンライト、やるぞ!」

 

2人はそう言ってそれぞれの手にタクトを構えるとブロッサム、マリンの時と同じように掛け声を叫んだ。

 

「「集まれ、二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!」」

 

するとその瞬間にムーンライトが白、ダークムーンが黒の光に包まれるとその二つが空中に浮かび上がり合体。そのハートの形をしたエネルギーはシャドー……では無くその更に奥にある剣に向かっていく。

 

「な!?」

 

シャドーはまさかの自分を無視して剣へのダイレクトアタックを繰り出したプリキュアに対して驚きの顔つきを見せる。そして、そんな事を許すわけにはいかない為にシャドーはそちらへとフォローを入れようとした。

 

「く、クソッ!」

 

「2人に気を取られ過ぎ!」

 

その瞬間、シャドーが剣へと攻撃をしようとした2人の元に行く直前にパッションがまたワープ能力でいきなりシャドーの前に現れると彼の顔を蹴り飛ばす。

 

「がっ!?」

 

シャドーは不意を突かれて吹き飛ばされるとどうにか着地。自分に攻撃を仕掛けたパッションを退かしてすぐにムーンライト達を止めに行こうとする。だが、それだけシャドーが隙を晒せば他のプリキュアも黙ってはいない。まずはミューズが先程も使用していたフェアリートーンのシリーを呼ぶ。

 

「おいで、シリー!」

 

「シシー!」

 

そのままシリーがミューズのキュアモジューレに装填されるとすかさず彼女モジューレを手にしつつ一瞬だけ青いリングを作り出してからそのリングが変化する形で自身の周囲に黄色い泡のような物を無数に生成する。

 

「“シ”の音符のシャイニングメロディー!」

 

更にミューズがキュアモジューレの吹き口から“シ”の音を鳴らすと今度は自身の周囲に発生した泡が音符のような形に変化。そこから繰り出すミューズのもう一つの浄化技。

 

「プリキュア!スパークリング・シャワー!」

 

ミューズが放った無数の泡がシャドーへと向かっていくとそれが集まる形でシャドーの体がその中に閉じ込められた。

 

「ぐうぅ……動けない。何だ、これは……」

 

「ッ……何てパワーなの……抑えるので手一杯だなんて」

 

シャドーはどうにか動こうとして抵抗し、ミューズはそれを抑え込もうとする。ただ、やはりシャドーの力は凄まじいのでミューズはギリギリの所で止めるのが精一杯。しかもシャドー相手に不意を突いてこれなので体勢を立て直されたら破られてしまう。

 

「ミューズの技でも不十分だなんて」

 

「それなら、俺達がやるしか無い!」

 

サンライズの言葉にスノーも頷くと2人は手を繋いで手を空に掲げると技を発動させる。

 

「サンライズフレイム!」

 

「スノーアイス!」

 

その直後、二人の元に天から降り注いだ炎と吹雪が落下。それぞれが掲げた腕へと集約されていく。そのまま二人の体に赤と白の神秘的なオーラが発生するとそれぞれが掛け声を言い放つ。

 

「二つのプリキュアの魂が!」

 

「闇の僕達を打ち砕く!」

 

2人が掛け声を言うとそのまま繋いでいた手を強く握り締めて手を離さないと言わんばかりの姿勢を示す。

 

「「プリキュア!エレメントスクリュー!」」

 

二人のプリキュアは技名を言うための叫びと共に手を前に突き出すと炎と氷のエネルギーが一気に放出。二つの属性の力を高めたエネルギーの奔流は合体すると相乗効果で凄まじい威力へと変貌を遂げていく。

 

「「はぁあああっ!」」

 

そしてその一撃がシャドーへと迫っていき、シャドーを捕らえているミューズのスパークリング・シャワーにぶつかるとその力を更に増幅させる。

 

「ぐあああ!お、おのれ……」

 

シャドーは本気を出せばこの技を破る事ができるのだが、その本気を使わせる時間も無いほどの連続攻撃を前に少しずつ追い込まれていく。

 

そして、3人の技の衝撃を受けてシャドーの仮面に入っていたヒビが更に大きく……深くなっていった。

 

同時にレインボージュエルに負のエネルギーを送っていた巨大な岩石の剣に対して突撃するムーンライトとダークムーン。2人の突撃が剣に命中するとその威力で剣を破壊しようとする。だが、流石に中央のレインボージュエルにエネルギーを送る存在であるからかそう簡単には壊れない。

 

「く……これでも押し切れないのか!?」

 

「でも、ここで私達が決めるしか無い」

 

何しろ時間的にはもう余裕が無い。丁度目盛りが11に進んであと1目盛り。この一撃で決められなければ破壊なんてできないだろう。

 

「「はぁあああっ!」」

 

そして、2人が更に力を入れると少しずつ巨大な剣の中央から外に向かってヒビ割れが入っていく。

 

「「行っけぇええええっ!」」

 

その掛け声と共に2人が纏うエネルギーが更に増幅。直後に岩石の剣は耐え切れなくなると真っ二つに粉砕されて爆発を起こした。同時にこの剣から流れ込むエネルギーは消失。また、その様子をシャドーは見てしまうとその心に動揺が広がる。

 

「何だと!?たった2人であの剣を破壊したというのか!?」

 

「シャドーの気が取られた!」

 

「今だよ!」

 

そして、シャドーが動揺してこちらにも大きなチャンスが生まれるとスノーとサンライズはめいいっぱいの力を込めて一気に炎と氷のエネルギーの奔流を爆発。シャドーはそれに耐え切れなくなっていった。

 

「がぁああああ!?」

 

「「ミューズ!」」

 

「ええ、締めは任せて!」

 

シャドーの抵抗が殆ど無くなった所でスノーとサンライズは自分達の役目を終えたために最後をミューズに託す。そしてそのミューズは少しだけ空中に浮かせたモジューレを手を動かす動作で操作する。

 

「三拍子!1・2・3!フィナーレ!」

 

これにより三拍子を描いたミューズは最後にそのモジューレを元の胸の辺りに戻しつつ最後の決めポーズを決めてからシャドーを閉じ込めている泡を爆発させる。

 

「ぐ、この俺が……この俺がぁあああっ!」

 

その瞬間、シャドーの断末魔のような声と共に彼の顔を覆っていた仮面がとうとうダメージに耐え切れなくなって粉々に砕け散った。

 

これにより、シャドーの内部から赤黒いエネルギーが外へと露散していく。勿論その露散した力もミューズの起こした浄化の光に包まれて片っ端から消失。爆発が収まるとそこには気絶したシャドーが倒れていた。

 

「ッ、シャドーの仮面が壊れた……」

 

「これで戻ってくれれば良いんだが」

 

スノーとサンライズはそんなシャドーが無事かを確認するために少しだけ近づく。するとシャドーは割とすぐに“ピクリ”と指先が動いたかと思うと起き上がった。

 

「「「「ッ!」」」」

 

シャドーが起きたのに対してスノー達4人は警戒心を維持したまま構える。するとシャドーはキョロキョロと周囲を見回していた。

 

「何だここは……いつの間にこんな所に……。ここに来るまでの記憶が抜け落ちているな」

 

「この感じ、もしかして」

 

「ええ。恐らく記憶が戻ったんだわ」

 

プリキュア達はシャドーの言動から彼の洗脳が解けたのだと察するとひとまず安堵の顔になる。同時にシャドーがスノー達の姿に気がついた。

 

「む、キュアスノーにキュアサンライズだと?他に見た事の無いプリキュアが2人……そうか。お前達だな?俺にかかった妙な術を解いたのは」

 

「ああ。そうだけど……というか、自分が洗脳されていたって事はわかるんだな」

 

「状況を見れば何となくわかる。これであの時の借りを返したという事か」

 

「「「「えっ?」」」」

 

するとシャドーが言う“あの時の借り”という言葉が4人にはよく分からずに困惑。一応補足しておくとシャドーの言う借りというのは以前ダークネスが攻めてきた際にシャドーがプリキュアの囚われていた水晶を破壊して助け出した事である。

 

そして、今回はプリキュア側が洗脳を受けたシャドーを助けた。つまり、これでシャドーからしてみれば自分への借りをプリキュアが返してくれたという事になる。

 

「シャドーに借りを返すってどういう事?」

 

「わからねぇ。俺達、シャドーに何かをしてもらったか?」

 

ただ、プリキュア側からしたら何が何だかわからない状態なのでシャドーが勝手に言って勝手に納得している状態なのである。

 

するとシャドーは周囲を改めて見ると明らかに異変が起きていると察する。ただ、他の地点でも戦いのような音や光が起きている事からプリキュアがそこにもいるのだと考えた。

 

「なるほど、俺はあの時三人衆に操られてプリキュアと戦わされていたのか。……キュアスノー、キュアサンライズ!」

 

「へっ?」

 

「何だよ」

 

いきなりシャドーから名前を呼ばれて慌てて返事をするスノーと少し困惑しながらシャドーへと聞くサンライズ。そして、シャドーは刀をしまうとある事を言い出した。

 

「ここにはお前達以外にもプリキュアがいるんだよな?」

 

「ああ、そうだけど?」

 

「皆この異変を解決するために戦ってるよ」

 

「そうか。ならば、これ以上お前達と戦う理由は無い。それに、借りを返してもらったとはいえお前達には洗脳を解いてもらった恩がある。今回、俺はこれ以上手を出さない」

 

シャドーのその宣言を聞いて思わずパッション、ミューズ、そして剣を破壊した後に戻ってきたムーンライトは驚いたような顔つきを見せる。プリキュアの敵であるはずのシャドーがこのような発言をしたのが半ば信じられないのだ。

 

「せいぜい負けるなよ、プリキュア」

 

そのままシャドーはその場から消え去ってしまう。その様子を呆気に取られた顔つきで見ていたプリキュア達は一応周囲を警戒するが、もうシャドーの気配は何処かに消え去っていた。

 

「えっと、シャドーはああ言ってたけど」

 

「俺は信じて良いと思う」

 

「シャドーはそういう人ですから」

 

シャドーをよく知ってるスノーやサンライズがそう言うのなら大丈夫だろうと目の前の出来事に集中しようとする。だが、次の瞬間には轟音と共に赤黒い雷が落ちるとレインボージュエル付近に凄まじい闇が出現してしまう。

 

「なっ!?」

 

「嘘、これって……」

 

「ッ、間に合わなかったのか……」

 

プリキュア達はこの様子から他の地点では剣の破壊が間に合わず。シュラが出てきてしまったのだと察した。そして、それを示すようにエネルギーの溜まり具合を示す目盛りは一回転して12個目が点灯してしまう事になる。




また次回もお楽しみに。
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