レインボージュエルへのエネルギーチャージが終わり、シュラが来てしまう少し前。それぞれの剣の麓でサスケ、ベンケイ、オクニを倒した後の事。プリキュア達は時間が来る前にそれぞれが剣を破壊しないといけなかったために早速攻撃を開始していた。
「ヒーローガール!スカイパンチ!」
「「「プリキュア!」」」
「ラブサンシャイン」
「エスポワールシャワー」
「ヒーリングプレアー」
「「「フレッシュ!」」」
スカイ達の方は青い拳と化したスカイによる突撃に合わせる形でフレプリの3人によるキュアスティック技が周囲に三角形を作るように飛ぶとそれらが同時に剣に激突。
だが、剣には多少ダメージが入る程度で破壊には程遠い状況だった。そして、想定以上に剣が固かったためにプリキュア達は驚きの声を上げる。
「なっ!?」
「全然効かない!?」
「ちょっと、固すぎるでしょ!?」
その頃、プリズム達の方も4人が一斉に攻撃を仕掛けるためにまずはブロッサム達がアイテムを取り出す。
「集まれ、花のパワー!ブロッサムタクト!」
「ヒーローガール!プリズムショット!」
そのままプリズムはプリズムショットを放ち、ブロッサムとマリンはタクトを使ってピンクと青の花のエネルギー弾を一気に放つ。
「花よ、輝け!プリキュア!ピンクフォルテウェイブ!」
「花よ、煌めけ!プリキュア!ブルーフォルテウェイブ!」
「花よ、舞い踊れ!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!」
サンシャインの方は先程と同様の手順で自身の周囲に黄、オレンジ、赤をメインにした多数のひまわり型のエネルギー弾を生成。そのまま両手でシャイニータンバリンを構えつつ真上に掲げる。
ただ、今回はシャイニータンバリンを掛け声と共に前に突き出すと展開したエネルギー弾を一箇所には集めずに敢えてバラバラのままにして無数の弾幕として放つ。
ただ……だからと言ってそれで剣を破壊できるわけでは無い。それどころか大して効いてすらいなかった。
「ッ、そんな……」
「私達の一斉攻撃でもダメだなんて」
一方、ウィング達も同じようにそれぞれが自分たちの技を繰り出していたのだが……。
「ひろがる!ウィングアタック!」
「「「駆け巡れ!ト音のリング!」」」
「「プリキュア!ミュージックロンド!」」
「プリキュア!ハートフルビートロック!」
ウィングの突進に合わせて3人がリングを発射。そのリングがウィングの正面に並ぶとまるで輪くぐりをするような形でそれぞれのリングのオーラを追加。そのまま強化されたウィングアタックが当たる。
「これでもダメなんですか!?」
「嘘、こんなのどうやって壊せば……」
やはりプリキュア達の攻撃は剣相手に効いている様子が無く。どれだけ技をぶつけても全く効いていない様子からプリキュア達の中には絶望感すら湧いてきてしまう。
それもそうだろう。何しろ、先程ムーンライトとダークムーンが剣を破壊した際は2人の合体技を使って割とギリギリだった。それはつまり、ムーンライトクラスの戦士が2人分いないと破壊するという事自体が難しいのだという事を意味する。
そしてそのムーンライトは単体の段階でハートキャッチプリキュアの他の3人を足した戦力以上。……要するに他のプリキュアでは最低4人での合体技以上の物を使わないと話にすらならないのである。
「それでも、諦めるわけにはいきません!」
「皆、もう一回お願い!」
「僕達しかシュラの復活は止められません!」
そんな絶望的な状況を前にしてもどうにか剣を破壊するためにプリキュア達は攻撃を仕掛け続けた。だが、剣に傷がついても決定的なヒビ割れのような物は全くできる様子は無い。そのため、時間だけが無駄に過ぎ去っていく。
一方でレインボージュエルをすぐ目の前に奮闘していたヒョウとミルキィローズの方は2人共限界が近いながらも必死にレインボージュエルを守るために踏ん張っていた。
「はぁ……はぁ……なんでこんな時に限って多いのよ!」
「それでも弱音なんて……はあっ!」
2人共だいぶ息が荒れてしまっており、このままではじきに体力切れしてやられるのは目に見えている。だが、だからと言って休んでいる暇なんて無い。レインボージュエルの周囲にはまだかなりの数の影の兵士がいる。2人が足を止めたらそれこそその数に押し潰されるだろう。
「こうなったら、ヒョウ。少し離れなさい!」
「ッ、うん!」
ヒョウはミルキィローズに言われて咄嗟にその場から離れるとミルキィローズは手にしたミルキィミラーによる技を使う。
「ミルキィローズ・メタルブリザード!」
その瞬間、ミルキィローズの後ろに現れた銀色の鋼のバラが分解さへて無数の花びらとなって影の兵士を消し去って行く。
「はぁ……はぁ……」
これにより、見えている範囲の兵士はある程度消滅したものの……ミルキィローズの体力も同時に限界に達してしまったのか変身が解けて妖精であるミルクの姿にまで戻ってしまう。
「うっ……」
「ッ!ミルク!」
ヒョウが慌ててミルクをキャッチすると彼女を気遣う。ただ、極限まで体力を削られた影響で気を失ってしまっており……もうこれ以上の戦闘なんてできなかった。
「ミルク、ここまでありがと。ここからは俺が頑張るからね……」
そのタイミングでミルクの限界を悟ったシロップが降りてくるとヒョウはミルクをシロップの背中にいるタルト達に預けた。
「ヒョウはまだ大丈夫ロプ?」
「ミルクと一緒に戦ってたからちょっとくらいならね。……でも、もう限界ギリギリだから……早くレインボージュエルを確保しに行かないと……」
ヒョウはフラフラとした足取りながらもどうにかレインボージュエルをシュラに奪われてしまわないために確保するべく歩き出す。
「はぁ……はぁ……はぁ……くっ……」
ヒョウは途中で転びそうになりながらもどうにかレインボージュエルのすぐ目の間に到着。そこには三つの禍々しいエネルギーがジュエルの中に取り込まれている所であり、元々4つだった物が一本減っている事からムーンライトとダークムーンによる剣の破壊でエネルギー供給のためのラインが一つ壊されている事がわかる。
「レインボージュエル……時間もヤバいし早く確保しないと……」
目盛りは11個目に到達し、その到達からもう時間が少し経っている。そのため、いつレインボージュエルが解放してしまってもおかしく無い。ヒョウは急いでレインボージュエルが入っているシャコ貝をその場所から運び出すために手を伸ばそうとする。
……だが、その瞬間だった。突如として凄まじい音と共にヒョウの目の前。ヒョウ自身とレインボージュエルの間に割って入るような形で雷が落下。そのため、ヒョウはその凄まじい威力の前に吹き飛ばされてしまう。
「うわああっ!?」
そのまま彼は地面に叩きつけられてゴロゴロと転がると先代プリキュアの加護を示すオーラが消え去りヒョウは体への負担が限界を超えてしまったからか、強制的にプニバードとしての白い鳥の姿に戻ると全身傷だらけになってしまう。
「く……ううっ……」
そして、その雷が落ちた所にいたのは赤黒い魂のような物……今までずっと異空間で時を待ち続けていたシュラであった。
「この宝石は我が降臨するために必要な物。お前のような小僧にそれを邪魔される筋合いは無い」
「く……お前は……」
「我こそが全ての世界を統べる者……シュラだ。我はこれまで幾つもの世界を征服してきた。この世界もじきに我の物となる」
「そんな事……させ……うあっ!?」
ヒョウはどうにかシュラを止めるために体を無理に動かそうとした所で全身に激痛が走ってしまう。
「くそ……こんな時に……」
「ふん。お前の体はもう限界だ。そこで我が完全な姿で降臨するのを黙って見ているが良い」
シュラは倒れてしまっているヒョウを一瞥してから目の前にあるレインボージュエルの方を向くとそのタイミングで剣からのエネルギーチャージが完了。赤黒いハートマークが完成してしまう。
「くくっ、これでこのレインボージュエルは我の物……そしてこの世界を支配する!」
そして、ハートマーク完成と同時にレインボージュエルを覆っていたシャコ貝が開き始める。その様子をヒョウは遠のく意識で見守る事しかできなかった。
「もうダメなのか……俺がどれだけ頑張っても、無意味なのか……?」
ヒョウの脳内にはまた自分の不出来さのせいで親から蔑まれ、自分がダメな人間である事を思い知らされる日々が流れてしまう。
「嫌だ……俺は、変わりたいんだ……。こんな自分から……だから。諦めたく無い……」
ヒョウは弱々しく手を伸ばすとその様子を彼の内部から見ていた先代プリキュアのライトピラーは溜め息を吐く。
『……本当に仕方ない無い子。無茶のし過ぎよ。……でも、私の見込んだ通りの心を持ってる。仕方ないから力を貸してあげるわ』
その瞬間、ライトピラーが力を発動させるとヒョウが手を翳したタイミングに合わせて衝撃波のような物を飛ばす。ただ、それはシュラでは無くシャコ貝が開く途中だったレインボージュエルの中に吸い込まれていった。
「ッ!?今の……ライトピラー?」
ヒョウはいきなり見た事の無い力が発動したためライトピラーの仕業だと考える。ただ、何故かヒョウが呼びかけてもライトピラーの返事は無かった。
また、シュラは開いたレインボージュエルにヒョウ……と言うよりはライトピラーが何かをしたという瞬間は見えてなかったらしく。特に気にする事なく自らの念力でレインボージュエルの宝石を空中に浮かせた。
「闇の力を持って目覚めたレインボージュエルよ。我が内に取り込まれるが良い!」
そして、レインボージュエルがシュラの魂の中に吸収。直後には彼の中に凄まじい力が溢れ出す。
「ふふふふふ……あはははははは!」
シュラが止めどなく溢れ出る力に嬉しさを露わにするとその体から凄まじい量の赤黒い霧のような物が放出し、巨大化していく。
「嘘……だろ?」
同時に空は更に暗く染まるとその赤黒い霧が巨人のような姿を形成。変化はそれだけに止まる事は無く。突如してシュラの肩から突き破るような形で腕が2本ずつ追加で出現。
そして顔の部分にも追加で両側に顔が現れる。それは正にその姿は三面六臂の姿を持つ阿修羅のような物だった。
「ッ……何だよ、これ」
「ああ……アカン、アカンで!?」
「大変な事になっちゃったのにゃ……」
「えるぅ……」
上空ではシロップが妖精達を乗せつつ飛んでいたものの、シュラのあまりの禍々しさに恐怖の感情が湧き上がって来る。
そのまま最後にシュラの元にもう一度赤黒い雷が落下するとその際に発生した電撃が彼の体を覆っていた霧を消し飛ばすとそこにはそこには世間一般で知られるような法被にボンタンを来てその体色は赤。手にはそれぞれ一本。6本の腕で計6本の刀を武装。
その顔つきは憤怒のような厳つい物でフェアリーパークの観覧車並みのサイズも相まって周囲に凄まじい威圧感を与える。
「ッ……クソッ……俺がもっと早く来れてれば違ったのか?こんな時までプリキュアの足を引っ張るなんて……」
ヒョウは自分の情けなさに悔しそうな顔を浮かべる。そもそも、ここまで来れた事自体がミルキィローズの助けがあっての事。自分1人ではとっくに体力切れしてやられていたのが関の山だ。そのため、余計にヒョウは悔しさでいっぱいなのである。
「ふはははっ!素晴らしい。素晴らしいぞ。レインボージュエルとやらの力が我の中に満ち満ちている」
シュラは普段の降臨の儀式で得られる以上の力を持ってこの地に降り立てた事が嬉しかった。そして、降臨した彼が最初にターゲットにしたのは当然一番近くにいる邪魔者のヒョウである。
「ふふっ、まずはそこに転がっている小鳥を始末するとしよう。これからプリキュアとやらを相手する前に邪魔者がいたら何をされるかわからないからな」
「ッ……やっぱり一番最初に俺を狙うのか」
ヒョウはわかってはいたものの、やはり一番最初に狙われるのは自分なのだと考えてしまう。何しろシュラはヒョウが影の兵士相手に戦う姿を見てしまっている。それはつまり、ヒョウが邪魔な存在であると認知するのと同じというわけだ。
「なぁに、安心しろ。お前如き、痛みすら感じない程に一瞬であの世に送ってやる。痛みを感じないだけ幸せだと思うんだな」
そう言ってシュラは手にした刀の一本をヒョウへと向けた。勿論それを受けてヒョウは逃げようと考えるものの……もう彼の肉体は限界を超えてしまっているせいで体を動かす事すらままならなくなってしまっていた。
「早く逃げないとやられる……なのに、体がもう……」
「では消えろ。雑魚鳥が!」
シュラは巨大な足を振り上げるとプニバード状態でその場から動けないヒョウを上から踏み潰そうとする。
「ッ……」
ヒョウはそれに対してどうにか痛みに備えて目を閉じ、攻撃が来るのを待つしか無かった。そんな時……。
「プリキュア!ブラックフォルテウェイブ!」
突如として黒い花のエネルギー弾が飛んでくるとそれがシュラに命中。彼は不意を突かれた事もあって思わず数歩下がってしまう。
「ぬうっ……貴様……」
「ヒョウ、お待たせ!」
「悪い、遅くなった」
そして、ヒョウの前に姿を現したのは先程シュラが降臨する前に唯一剣を破壊できたスノー達のチーム6人であった。
「よくもまぁ無抵抗な相手を痛ぶるなんて真似しやがったな」
「そうだよ!私達にとってヒョウは大切な友達で仲間なんだから」
「ふん。そんな事、我は知った事では無い」
「だろうな。だからこんな目に遭わせた分は覚悟しろよ?」
「あなたを倒す!」
こうして、とうとうシュラとプリキュアが睨み合う。同時にフェアリーパークでの戦いは遂にラスボス戦へと突入する事になるのだった。
また次回もお楽しみに。