熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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雲パンと河原でのスカイジュエル探し

四人は休憩をするためにリュックから出したレジャーシートマットを広げると地面に敷き、一息吐くとユキが早速エルにミルクを飲ませるためのマグを出して手際良く彼女にミルクを飲ませる。

 

「ぷはあっ……」

 

「もう良い?」

 

「える!」

 

エルはミルクを飲んでお腹いっぱいになったものの、やっぱりまだ両親に会えない事に不機嫌なのかそっぽを向いてしまう。そんな中でましろがユキを褒める。

 

「やっぱり、ユキちゃん上手……」

 

「そうかな……そうやって褒めてくれると嬉しい」

 

それからユキはエルの口元を拭いてから背中をさすってゲップをさせた。そんな中でアサヒは何かに気がついたのかユキへと話しかける。

 

「何だか気のせいかもだけど、ユキの時はソラさんやましろがやった時よりもエルちゃんが少し安心してる感が強いよな」

 

「そうですか?」

 

「いや、なんとなくだよ?」

 

「エルちゃんも触られ心地とか気にしてるのかな?」

 

「うーん。でも私は特別二人の時と比べてミルクのあげ方を何か変えたって事は無いんだけどなぁ……」

 

何にせよ、エルは泣き止んでくれた。そして、それと同時にアサヒはユキの反応が初めて会った日前後と比べると明るくなったのを見ると今はユキの心が自信で溢れているのだと感じ取り、やはり夢の事は言い出せないと考えてしまう。

 

そんなアサヒの心境など梅雨知らずの三人。そんな中、ましろは先程までアサヒが背負っていたリュックから何かを取り出した。

 

「はい、皆にはパンがあるよ」

 

「わぁ……ありがとうございます!」

 

「美味しそう!」

 

そこにあったのは真っ白な色をしたクリームパンのような形をしたパンである。

 

「ましろ。確かクリームパンって言ってたけど、色が白なんだな」

 

「うん。実は理由があって白なんだけど、まずは皆んなで食べよ」

 

ましろに促され、アサヒはパンを手に取る。そんな中で先にパンを手にしていたソラとユキは早速一口目を同時に食べた。

 

「「いただきます……はむっ!」」

 

二人はパンを食べると口の中にフワフワとしたパンの食感が広がり、同時にクリームの甘みも感じる。そして、あまりの美味しさに二人は笑顔になった。

 

「うーん!フワフワでとっても美味しいです!」

 

「ましろちゃん。このパン、凄く美味しいパンだけど……どのお店から買ってきたの?」

 

ユキはこんなに美味しいパンはどこかの有名なお店で売られているパンだと考えてましろに聞く。するとましろは首を横に振った。

 

「ううん。このパンは私が作ったんだよ」

 

アサヒはパンを手に取って一口食べるとましろの言葉に続くように説明をする。

 

「ましろの料理の腕は相当だからな。こういうパンとかお菓子作りとかは結構得意だぞ」

 

「え!?これ、ましろさんが焼いたんですか?」

 

「うん。上手く焼けたかちょっと心配だったから不安だったけど、美味しいって言ってくれて良かった」

 

ましろの言葉に質問をしたソラも近くで聞いていたユキも驚く。こんなにも美味しいパンをましろは作ったと言うのだ。思わずソラはそんなましろへと賞賛の言葉を贈る。

 

「パンを作れるなんて凄いです!しかも、プロ級の味ですよ!」

 

「そう言ってくれると嬉しいな」

 

するとそんな中でユキはほんのり顔を赤くして恥ずかしそうになりながらましろへとあるお願いをした。

 

「あ、あの。ましろちゃん……今度私に料理を教えて欲しいな……。実は、私……料理苦手で……」

 

「ふふっ、私で良ければ良いよ」

 

ユキはましろが料理を得意と聞いて彼女に頼む。それに了承を貰えてユキは嬉しそうにした。そんな中でソラは手にしていたパンを見ているとある事に気がつく。

 

「あれ?もしかしてこのパン……雲の形ですか?」

 

「あっ、ホントだ」

 

「言われてみるとそうだよな」

 

ソラが手にしたパンを掲げると同時にパンを包んでいた包み紙が落ち、全体像が露わになる。そして、雲の隣に並べるようにして二つを見比べると確かに雲の形だ。

 

「うん!スカイランドをイメージしてみたの!スカイランド自体はどういう所かはわからないけど、それをモチーフにしたパン!……名付けて、雲パンだよ!」

 

ましろは想像力を働かせてスカイランドは雲の上にあると考えると雲の上にある世界をイメージして雲をモチーフにした雲パンを焼いたのだ。

 

尚、実際のスカイランドは雲の上にある浮島なので雲の上にある……という事実だけ抜き取ればあながち間違いでは無い。

 

「雲パン!エルちゃん、雲パンですよ〜。フワフワ〜」

 

「「「フワフワ〜」」」

 

それから四人はエルへと雲パンを見せながらそれが空中に浮かんでいる様子を見せるようにしてゆったりと動かす。エルはそれを見て嬉しそうにニッコリと笑うと喜んだ。

 

「えるぅ?える、えるぅ!」

 

「「「「やったぁ!」」」」

 

四人はエルが笑顔になったのにつられて嬉しそうに微笑む。そして、それから少しして休憩を終えると荷物を片付けて再びスカイジュエル探しへ。

 

四人が暫く歩くと近くに小川が流れている河原に出た。それから四人はスカイジュエルを探しつつひとまず川の流れに沿って歩く事になる。ちなみにエルの抱っこはましろへと移動し、リュックはソラが背負っていた。

 

「おばあちゃんが言っていたのはこの川だけど……」

 

「本当にあるんでしょうか?」

 

どうやら事前情報としてヨヨがある程度の場所を教えてくれていたらしい。後は細かい場所を特定するだけだ。

 

「ま、不安になっても仕方ない」

 

「うん。皆、頑張ろう!」

 

四人がそんな風に話しているとソラやユキの持っているミラージュペンが突然光を放ち始める。そしてこれは四人の近くにスカイジュエルがあるという事が示されていた。

 

「ペンが光り始めた!」

 

「スカイジュエルが近くにあるって事だね!」

 

「さぁ、宝探しの時間です!」

 

ユキやソラがペンを翳しながら四人はキョロキョロとしつつその辺りを捜索。

 

「この辺りかな?」

 

「いや。ミラージュペンがスカイジュエルの反応をキャッチ可能な範囲がわからない以上、まだそこそこ距離があるかもしれないぞ」

 

そんな中で、早速ソラは正面に何かを見つけると他の三人へと声をかけてその方向に向かう。

 

「あっ!皆さん。あれを見てください!」

 

四人の行く先にあったのは大小様々なサイズの石が積まれた石のオブジェクトである。

 

「凄いな……これ、どうやって積まれてるんだよ」

 

「こんなオブジェクト。一体、誰が何のために……」

 

しかも、オブジェクトは絶妙なバランスを保ってそびえていた。これを作るだけでもかなり大変だっただろう。だからこそ制作者の意図が気になった。

 

「うん、確かに凄いけど……」

 

「……三人共、一旦離れない?見た感じ少し震えちゃってるし、多分少しでも風が吹いたら崩れちゃいそうだよ」

 

興味津々にオブジェクトに近づくソラ、ましろ、アサヒだが、ユキがあまり近づくと危険だと察して三人へと一旦離れるように言う。

 

「それもそうか。少し離れて見よう」

 

それから三人はユキの言った通りに少し離れる。……その時だった。エルは鼻がムズムズしたのか思わず可愛らしいクシャミをする。

 

「へっくち!」

 

その瞬間、エルがクシャミをしたせいで空気が僅かに震えるとその影響なのか絶妙なバランスで積まれていたオブジェクトがガラガラと音を立てて崩れてしまった。

 

「皆、大丈夫?怪我は無い?」

 

ユキが三人を心配する中、三人共ユキが離れるように言わなければ巻き込まれるくらい近かったので怪我せず済んだ事に安堵する。

 

「う、うん」

 

「もしさっきの場所にいたらきっと巻き込まれていました……」

 

「ユキ、気がついてくれてありがと」

 

「どういたしまして!」

 

アサヒがユキへとお礼を言うとユキは微笑んでそれに応える。その後、ソラやましろも自分達を引き留めてくれた礼を言うとユキは同じように返した。

 

気を取り直して四人はまたスカイジュエルを求めて移動を再開。少し歩いてから今度は四人の正面。

 

その行く手には河原に存在する巨大な大岩が目に映った。そのサイズは四人の背丈よりも大きく、横幅は四人並んでも足りないくらいのサイズである。

 

「凄い大きいね」

 

「まさか河原ど真ん中にこんなに大きな岩があるとは……」

 

「逆にこれ、どうやってここにこの大岩ができたのかが気になるけど……」

 

四人が岩について話をしているとふとましろはこの大岩を見て岩の中にスカイジュエルがあるのではないかと感じた。

 

「まさか、この中に?……なーんて、そんな事無いか」

 

「流石に無いだろ。というか、あったとしてもこんな岩なんて壊せないだろうし」

 

そう、この大岩の中を見たくとも今の四人には大岩を破壊するための道具が無い。仮に道具があっても壊すだけで日が暮れてしまいそうだ。

 

ましろとアサヒは大岩を避けようとしていると、ソラが背負っていたリュックをユキへと預けていた。

 

「あ、ソラちゃん。アレをするつもりなの?」

 

「ええ。このくらいなら多分行けますし」

 

それからソラは大岩に手を置きつつ、その強度を調べているような感じだった。

 

「ソラちゃん?嘘だよね?」

 

「……やってみましょう!」

 

「はい?待て待て、ソラ。そんな事したらソラの腕が……」

 

ソラは完全に岩を砕く気満々だった。そのためにアサヒとましろが慌てる中、ユキは落ち着いた様子で二人を止める。

 

「大丈夫。ソラちゃん、アレをやるみたいだし」

 

「「……アレ?」」

 

ましろやアサヒが何の事だかわからずに疑問を抱くとソラはその間にも精神を統一。それから何かの動きを始める。

 

「わぁ……何か凄そう!」

 

「ユキ、ソラは今何をしようとしてるんだ?」

 

「スカイランドに古くから伝わる技、スカイランド神拳だよ。長い溜め時間があるっていう弱点こそあるけど、その一撃が決まれば岩をも砕けるぐらいには強力なの」

 

ユキが解説する間にもソラの動きは続く。そんな中でアサヒは何かの既視感を感じた。

 

「……あれ?なんか見た事ある動きしてないか?えっと……あっ!これ○グナス氷河の○グナスダンスじゃん!」

 

「「何それ……」」

 

アサヒは○闘士○矢に出てくる○グナス氷河の技に似ている事実に気がつくが、それを知らないましろや異世界人のユキは首を傾げる。その間にソラは溜めを完了させて正拳突きを放つ。

 

「はあっ!」

 

スカイランド神拳の溜めが終わり、凄まじい音共にソラによって岩は殴られた。そして、その少し後に岩は真っ二つに割れて中からアンモナイトの化石まで出てくる。

 

「マジか……」

 

「本当に割れた!」

 

「これを見て改めて、ソラって本当に俺達と同い年か?」

 

「あはは……」

 

「押忍!」

 

アサヒはソラが自分と同い年なのに岩を砕ける程の奥義を使える事実に自信を無くしてしまいそうになる。それをユキは苦笑いで見ていた。

 

「ちなみにこれ、ユキさんも使えますよ」

 

「……え?」

 

「ソラちゃん、それを言っちゃったら……」

 

「う、嘘だろ……マジで二人揃って身体能力化け物か……」

 

アサヒはユキにもスカイランド神拳が使えると聞いて完全に戦意を喪失。その場に項垂れてしまう。

 

それはさておき、結果的にスカイジュエルは出なかったためにハズレだったが、それでもソラの人間離れした身体能力が垣間見える瞬間だっただろう。

 

「それにしても化石かぁ……。確かにお宝ではあったけど特に反応とか無いみたいだし、関係無かったね」

 

「じゃあ、スカイジュエル探しを再開しよっか」

 

それから四人は真っ二つの大岩をスルーしてスカイジュエルを探しつつ更に川の流れに沿って歩く。

 

「見つかりませんね」

 

ソラがそう言っていると突如としてユキとソラのミラージュペンが輝きを増した。

 

「ッ、凄い光!」

 

「まさか、近くに……」

 

「あ!あれって!」

 

四人が周囲を見てみると近くを流れている川の浅瀬から青白い光が輝きを放つ。四人がその場所に行くと代表してソラが川の中に手を突っ込む。

 

そして、ソラが光を放つ何かを手にしつつ引き上げる。それは確かにスカイジュエルで間違い無かった。

 

「ありました!」

 

「これでスカイランドと通信ができる!」

 

「お宝、見つかって良かったな」

 

「うん。後は家に帰るだけだね」

 

「やったぁ!やりました!」

 

ソラは嬉しさのあまりにその場に飛び跳ねるとそんな彼女を三人は微笑ましい顔で見ていた。

 

そんな時、ソラが着地するのと同時に突如として四人の後ろからいきなりガラガラと何かが崩れる音が聞こえてきた。

 

「あぁーっ!!」

 

「「「「え?」」」」

 

四人がその方向を振り向くとそこには崩れ去った岩のオブジェクトとその制作者がいた。どうやらソラが着地したと同時にその振動が伝わってバランスが崩れてしまったらしい。

 

「折角新記録までもう少しだったのに……ダメだったのねん!」

 

その声や口癖に四人は警戒心を一気に高める。岩のオブジェクトを作っていた者の正体は何とカバトンであったのだ。

 

「おい!ビックリしちゃって崩れちゃったじゃないか!どうしてくれるのねん!」

 

そう言って文句を言うカバトンに対してユキ達は彼と対面。ましろが思わず声を上げてソラがそれに続く形で彼の名を言う。

 

「あなたは……」

 

「お前ら……」

 

「カバピョン!」

 

ソラの言葉を聞いてカバトンとユキは同時にズッコケる。どうやらソラはまだカバトンの名前を覚えてなかったらしい。

 

「カ・バ・ト・ン!なのねん!良い加減覚えろっつーの!」

 

「ソラちゃん……何だか前にもこんなやり取りあったよね……」

 

「まぁまぁ、ソラだってわざと間違えてる訳じゃないし、ほら。栗きんとんもお気の毒にな」

 

「アサヒ君も違うからね?」

 

「栗きんとんって、こっちの世界の美味い食べ物らしいが……俺様はその食べ物じゃないのねん!脇役ボーイ、お前は絶対わざと間違えてるだろ!」

 

カバトンは会う度に何度も名前を間違えられる事への苛立ちを覚える。しかも、今回は自分が必死に作っていた自慢のオブジェクトまで崩されているのだ。そのせいでカバトンの怒りのゲージは上昇する一方である。

 

「お前ら、何度も何度も名前を間違えやがって!俺様を何だと……あん?」

 

するとカバトンが苛立ちの顔を浮かべる中でましろが抱いているエルを見つけるとニヤリと笑みを浮かべた。

 

「探し物が向こうからやってくるなんて……ラッキー」

 

「……やっぱりこうなるよな?」

 

「その赤ん坊をこっちへ寄越しな」

 

カバトンはエルを自分へと渡すように勧告するが、それをユキ達四人が聞くつもりなどハナから無い。

 

「絶対に嫌!」

 

「エルちゃんには手出しさせない!」

 

「へっ、なら仕方ないのねん。カモン!アンダークエナジー!」

 

するとカバトンは仕方ないと言わんばかりにアンダーグエナジーを呼び出す。そしてそれは近くにあった竹やぶの中にある一本の竹に吸い込まれた。

 

「ランボーグ!」

 

そして、そのランボーグを見たアサヒは目を見開く。そこにいたのは……夢の中に出てきたスカイやスノーをボコボコにしてしまったランボーグと姿がそっくりであったのだ。

 

しかも、両腕は夢の中に出てきた怪物と同じような形状……たけのこを武装したような物である。この場所も夢で出てきた場所と既視感を覚えてしまう。

 

「……まさかな」

 

アサヒはそう思う事で、そう思い込む事で嫌な考えを無理矢理封印した。そんな中、ユキとソラはエルを抱いているましろを守るように前に出た。

 

「よーし、今度こそはお前ら二人をボッコボコにして赤ん坊をゲットするぞ!」

 

「アサヒ君とましろちゃんは隠れてて。ソラちゃん!」

 

「……えぇ、私達二人で行きましょう」

 

「うん、ソラちゃんもユキちゃんも気をつけて」

 

「任せたぞ、二人共!」

 

アサヒはそう言ってその場を二人に任せる……しかし、夢の中の出来事に今の状況がどうしても重なって見えていた。そんな彼の気持ちは梅雨知らずのソラとユキは二人が隠れたのを見てミラージュペンを手にする。

 

「「ヒーローの出番(です)(よ)!」」

 

「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」

 

それから二人の体が光に包まれるのと同時にプリキュアへと変化。二人は揃うと名乗りをあげる。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

「静かにひろがる白い雪景色!キュアスノー!

 

二人がプリキュアに変身完了すると並び立つ。それから早速襲いかかってきたランボーグを相手に戦いを始めるのだった。




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