熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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今回から少しオリジナル回となります。それと、最後の方は少し胸糞展開かもなので覚悟して読んでください。それではどうぞ!


プニバードの村 ヒョウの家族

災害が起きた影響で助けが必要となったプニバード族の村に向かう青の護衛隊の選抜メンバー達。その中にはユキやヒョウに加えてアサヒもいた。

 

「………何でお前もいるんだよ、アサヒ」

 

「いたらダメなのかよ」

 

「まぁまぁ二人とも、喧嘩はダメだよ」

 

アサヒとヒョウがバチバチと睨み合う中、ユキがどうにか仲裁するために声を上げる。

 

「でも意外だったよね。私の中ではプリキュアは私含めて二人来るって言ったからてっきりプニバードのツバサ君が来ると思ってたのに」

 

「あー。最初はその予定だったんだけどな?アイツ、“ボクはプリンセスの騎士!プリンセスの側にいる必要がありますから!”って拒否したから」

 

それを聞いてユキは苦笑いし、ヒョウは僅かに嫌そうな顔つきに変わった。

 

「アイツ、親と不仲の俺でさえ来てるのに親との確執が無いお前の方が適任だろうが」

 

ヒョウはツバサの言葉に悪態さえ吐く始末である。その頃、都ではツバサがクシャミをしたのは言うまでも無い。

 

「それで、俺達は何をすれば良いんだ?」

 

「えっと、プニバード族の村の近くにある山がここ最近の大雨で一部崩れて土石流が村に流れ込んだのと、川が氾濫してしまったせいで山の上に取り残されたプニバードの人達を助けて欲しいって」

 

「そうなると土石流の撤去は私達青の護衛隊の面々がやった方が良いな」

 

そこにペギンが話しかける。そして、ユキは嬉しそうな顔つきで反応した。

 

「ペギンさん!」

 

「あれ?ユキってこんなにペギンさんと仲良かったっけ?」

 

「ユキ、手合わせしてからペギンさんの強さに憧れを抱いたみたい」

 

「あー、そゆことね。確かに俺から見てもペギンさんは凄かったし」

 

その間にペギンからアサヒとユキへと要望が出たのか声が上がる。

 

「山頂から人々を救い出すのは君達二人に任せて良いか?」

 

「はい!」

 

「確かにここは空を飛べる俺たちの方が適任か」

 

そして、アサヒはここでもやはりツバサが来なかった事を悔やむ。ツバサならプリキュアの能力で飛べるのでこの作業が楽になった事は間違い無いだろう。

 

「そういえばユキ姉、アサヒ。新しいプリキュアの力として飛行能力があったけど、アレって無制限にできるの?」

 

「それが先代プリキュア曰く無理なんだと」

 

「……え?」

 

「実はあの力、自分達の中に高められた幻想の力で一時的に浮いてるだけだからある程度飛んだら効果切れになっちゃうらしいの」

 

まだ詳しい制限時間は把握できてないので何とも言えないが、やはりそうなると制限時間を考慮しないといけないだろう。

 

「うーん。だとしたらやっぱりツバサが来なかったのは失敗だったのでは?」

 

一同が雑談をしているとプニバードの村のある島へと辿り着いたために鳥達は着陸。ユキ達は降りるとそこはユキやヒョウにとって懐かしい景色だった。

 

「ふわぁあ!久しぶりに来たけど綺麗だね、ヒョウ」

 

「うん……」

 

「ったく、何元気無くしてるんだ。もうお前は強いだろ、しっかり前見とけ!」

 

アサヒにそう言われてヒョウは頷く。それから青の護衛隊の面々と共に村の中に入ると村の広場で村の長である村長と対面。ちなみに本来なら室内で話すところだが、プニバード族の建物の大きさだと人間は入れないのでこのような形となっている。

 

「それでは早速活動を開始しよう」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

まずはヒョウや地元のプニバード族達の手引きで移動すると土砂が溜まった場所に移動する。

 

「これは結構大変そうだな」

 

「でも、俺達ならきっとできる!」

 

「ヒョウ、良いぞ。その気持ちだ」

 

そして、アサヒとユキは山の中に入ると大雨で増水した川を見つけるとその対岸に取り残されたプニバード族の人々が見えた。

 

「なるほど、確かにこれだと渡れなさそうだな」

 

「アサヒ君、行こう!」

 

「オッケー。人助け、行きますか!」

 

それから二人はプリキュアに変身するためにミラージュペンを取り出すと光に包まれた。

 

「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」

 

「日暮れにひろがる輝く月!キュアムーンライズ!」

 

「夜空にひろがる煌めく幻想!キュアオーロラ!」

 

「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」

 

二人が変身を終えると体に力を込める。その瞬間体に光のオーラを纏うと浮かび上がり同時に空中を移動。それから対岸にいるプニバード族の人々を抱えて川を飛んで越える。

 

「次は荷物だね」

 

「あ、でも今行ったら時間が不味いから」

 

二人は飛べる時間の限界が近いために一旦オーラを解くと一時的に休憩する。再度飛行可能になるまでには少し時間がかかるからだ。

 

「そろそろかな」

 

「うん!行こう」

 

二人は再度浮かぶと空を飛んで移動。荷物を回収して戻ってくる。これにより、素早く取り残されたプニバード族の人々を助け出すミッションはクリアした。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「あなた方は誰なんですか?」

 

「えっと、伝説の戦士。プリキュアです!」

 

その言葉にプニバード族の面々は目を輝かせる中、二人は次の仕事をするために変身は維持しつつ移動。

 

「良し、次は村の方の土石流の撤去だな」

 

「頑張ろ!」

 

それから二人が村に戻ると大岩に苦戦する護衛隊の面々の元に行く。

 

「私たちなら!」

 

「すまない。任せるぞ!」

 

二人は軽々と岩を持ち上げると飛行能力で害がなさそうな場所にまで移動させていく。

 

ムーンライズとオーロラの参加によって作業のペースは上がった。やはりここでもプリキュアの力は役に立つらしい。そんな中、ヒョウが作業を進めているとプニバードの子供達がやってきた。

 

「ヒョウ!久しぶり!」

 

「しばらく見なかったけど元気にしてた?」

 

「皆……」

 

ヒョウは友達には恵まれたようで昔から仲が良いプニバード族の面々との再会に喜ぶ。

 

「うん。大丈夫だ」

 

「あ、でもよ。ヒョウ。俺達の前でその言葉遣いは……」

 

「ッ、シーッ!あの人達には言ったらダメだからな?」

 

それを聞いてプニバード族の友達は頷く。それから作業も順調に進んでいく。このペースであれば翌日には完全に片付きそうだ。

 

「プリキュアが加わるだけでも結構早くできるんだな」

 

「護衛隊の皆さんも頑張ってくれている。我々も頑張ろう!」

 

プニバード族の人々の中でも力自慢の大人達は率先して作業に参加。そのため作業はどんどん進む。

 

「……ヒョウ」

 

「ペギンさん」

 

「皆よく頑張ってるわね。ここの結束力の高さがわかるよ」

 

「そうですね」

 

「……どうしてそんなに暗そうなんだ?」

 

ペギンからの言葉にヒョウは複雑な顔つきをしていた。そしてある方角を向く。ペギンはそれを見て何かを思う。

 

「ヒョウはこの村が嫌いなのか?」

 

「……いえ。嫌いなのは村じゃないんです」

 

それを聞いてペギンは疑問に思う。するとそこにこの日の作業をある程度終わらせたオーロラがやってきた。

 

「ペギンさん、ヒョウについては私から話します。ですので……」

 

「わかった。ごめんね、ヒョウ」

 

「いえ……」

 

ヒョウはこの村に来てからあまり良い気分では無かった。勿論友人との再会が嬉しくなかったわけでは無い。どちらかと言えば問題はこの後訪れる事になる。

 

その日の夜、村の広場では作業を手伝ってもらった青の護衛隊への感謝と労いためにパーティが開かれることになった。その時、出された物の中にヤーキターイもある。

 

「これがヤーキターイか!」

 

「はむっ!……美味しい!たい焼きとは違う味だけどツバサ君の言う通りふわふわしてる!」

 

「おーい、ヒョウもそこでボーッとしてないで食べなよ!」

 

「……要らない」

 

それを聞いてアサヒは疑問符を浮かべる。向こうの世界でヤーキターイを作る話になった時は一番乗り気だったヒョウが何故嫌がっているのか。それはすぐにわかった。

 

「……俺には食べる資格がないから。皆で食べちゃって」

 

「……ッ、でもヒョウ。あの時食べてみたいって……」

 

「俺には……俺は食べたらいけないんだ」

 

その時のヒョウの目には涙が浮かんでいた。そんなヒョウの元にユキがヤーキターイを持って現れる。

 

「ほら、ヒョウ。食べて」

 

「……でも、俺は……」

 

ヒョウは躊躇していた。普段からお祝い事の日にヤーキターイを食べてこなかったがために自分が食べて良いのか……と。

 

「我慢したらダメだよ。ここの皆は食べたらダメなんて言わないから」

 

「うん……あ、ありがと。ユキ姉」

 

するとユキは僅かに違和感を感じる。それはヒョウの声色がいつもより若干高かったからだ。

 

「い、いただきま……」

 

ヒョウがようやく初めてのヤーキターイを口にしようとしたその時だった。

 

「これはこれは護衛隊の皆様、この度はありがとうございます」

 

「我々の家も総力を挙げておもてなしさせていただきます」

 

そこにやってきたのは白い毛並みをしたプニバード族の夫妻。後ろには何人ものヒョウより歳上のプニバードがいた。それを見た瞬間、ヒョウの心に穴が開くような不快な感覚が溢れ始める。

 

「……あ……あぁ……」

 

ヒョウが凍りつくと手にしたヤーキターイをポトリと皿に落としてしまう。

 

「……む?」

 

そして、ヒョウとそのプニバードの夫妻達の目が合ってしまう。そしてポンと音を立てると夫の方がヒョウを見た途端侮るような目をする。

 

「……急に家出をしたと思ったらノコノコと帰ってきて何の用だ?我が家の恥晒し」

 

「今何を食べようとしたのかしら?家出をしたあなたの分のヤーキターイは無いわよ」

 

後ろにいるプニバードの面々もヒョウを嘲るような顔つきだった。それを見てユキは拳を握りしめる。

 

「ユキ?」

 

「忘れるわけが無い……あの人達が……」

 

「父様……母様……」

 

ヒョウが震える声でそう言う中、二人はヒョウをギロリと睨みつけた。そしてこう告げる。

 

「……あなたのようなバカ娘(・・・)、私は産んだ覚えは無いんだけれど」

 

「何をやらせてもできない本当にダメな娘で、家出して少しは成長したと思ったんだがな。まさか、何も成長してないとはな」

 

ヒョウはガタガタと震えており、目には涙が浮かぶ。そして、アサヒとユキは二人が言った娘という単語を飲み込むと驚いた。

 

「「む、娘!?」」

 

「じゃ、じゃあヒョウは……」

 

「女の子!?」

 

ヒョウはそんな事お構い無しに一人走り去ってしまう。慌ててユキがヒョウのフォローをするために行く中、アサヒが怒りを露わにした。

 

「あんたら、ヒョウになんて事を……」

 

「待て、アサヒ」

 

その時手を伸ばして止めたのはペギンだった。ペギンはそれから首を横に振ってから頭を下げる。

 

「うちの隊員が失礼を働きました。今後ともどうぞよしなによろしくお願いします」

 

「そうか、青の護衛隊に入ったのか。見ての通りあの子は役に立たない愚娘ですから」

 

「さっさとやめさせた方が良い」

 

「はぁ!?ふざけん……」

 

「アサヒ!……少し黙れ」

 

ペギンがそう言ってアサヒを無理矢理止めさせると頭を下げたままヒョウの両親へと提案する。

 

「明日には片付けて撤収いたします。ヒョウについてはこちらでもう少しだけチャンスをもらえませんか?彼女も頑張っています」

 

「……わかった。あのバカ娘が護衛隊にいるのはシャララ隊長も認めているという事」

 

「ただ、あの子は無能なのでどこまで役立つかわかりませんが」

 

それからペギンはヒョウを馬鹿にされて怒り狂うアサヒを何とか抑えながらヒョウの両親に挨拶をして下がることになるのであった。




また次回もお楽しみに。
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