熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ルーセントムーンの過去 新たな決意

カバトンやシャドーとの決戦が終わり、シャドーになっていた青年をひとまずユキやアサヒ達は虹ヶ丘家へと連れ帰った。青年は薄い黄色のショートヘアにあげは以上に高い身長。目は薄い赤で真面目そうな雰囲気であった。

 

「ん……うぅっ……」

 

その青年が目を覚ますと周りを見渡す。そして自分の記憶にない光景に驚いていた。

 

「ッ!?ここは!?君達は……」

 

「意識が戻ったんですね……良かった」

 

「確か俺は灰色の丸い宝石みたいなのを手にしたらいきなりドス黒い感情に支配されて」

 

それを聞いて一同は驚く。それは恐らくキュアルーセントムーンが使っていたスカイトーンであるだろう。それからそのスカイトーンらしいものを出すと確かにそれはスカイトーンが輝きを失った物だった。

 

「あなたは長い間、その感情に支配されて暴れてたんです」

 

「ッ!」

 

すると青年はユキ達の前で頭を下げた。彼は薄らと記憶としてわかっていたらしい。自分が暴れた事、また自分のせいで罪のない多くの人を傷つけた事を。

 

「本当にごめんなさい。俺のせいで君達に、見ず知らずの人々に沢山の迷惑をかけてしまった」

 

「あ、頭を上げてください。あなたは何も悪くありませんよ」

 

ソラがそういう中、青年は自らの名前をユキ達へと名乗ることになる。

 

「俺の名前は望月かける。数ヶ月前に専門学校に通うためにこの街に来たんだけど……」

 

「って、え!?確かその名前……」

 

「あげはちゃん、何か知ってるの?」

 

あげはは何かを思い出したかのように声を上げるとそれを口にする。

 

「うん。私の専門学校に一人学校に所属はしてるんだけどなかなか来ない人がいて、その人の名前がかける君なの!」

 

つまり、かけるの言う専門学校というのはあげはの通っている保育士の学校であると言う事だ。

 

「入学してから来ない日ばかりだったけど……それはシャドーになっていたからだったんだね」

 

「はい。本当にすみません」

 

「まぁ、でも仕方ないわよ。本人が好き好んでやっていたわけじゃないし」

 

「うん。私達はかけるさんを責める気は無いよ」

 

するとヒョウの持つ石とかけるが持っていたスカイトーンが共鳴すると二人のプリキュアが姿を表した。

 

「ライトピラー!それにあなたは……」

 

「はい。私がキュアルーセントムーンです」

 

二人はすぐに一同に頭を下げるとルーセントムーンは謝罪の言葉を口にする。

 

「皆さん。私のせいでここまで迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。それと、狂ってしまった私を救っていただきありがとうございます」

 

「私やバーニングサン、ブリザードからもありがとうございます」

 

「あれ?バーニングサンとブリザードは出てこないんですか?」

 

ツバサがそう聞くとルーセントムーンは申し訳なさそうに暗い顔をして声を上げる。

 

「バーニングサンとブリザードは私を助けるためにその身の力を全て使って眠りについてしまいました」

 

「「え!?」」

 

アサヒとユキがそれを聞いて驚く。そして、それと同時にどうりで二人との意思疎通が取れなくなったのだと察した。

 

「そして、二人が眠りについた事でアサヒ君とユキさんのプリキュアとしての力は失われたのです」

 

それを聞いて二人は目を見開く。改めてスカイトーンを見ると色はまた消えてしまっており、二人の力が失われたのだとわかる。

 

「じゃあ、お二人はもうプリキュアにはなれないんですか?」

 

それを聞いてルーセントムーンは再び頭を下げるとアサヒ、ユキへと謝った。

 

「本当にごめんなさい。私が私が力の誘惑に負けたから……私がシャドーになってなければお二人の力が失われる事には……」

 

ルーセントムーンがそう言う中、アサヒとユキはそんなルーセントムーンをフォローするように返事を言う。

 

「気にしないでください。私達はあなたのおかげで強くなれました」

 

「おう。シャドーという存在がいたから俺達は前と比べて心も体も強くなれたんです」

 

「ですが……」

 

ルーセントムーンはまだ自分が未熟だったがために二人を危険な目に遭わせたのみならず、折角二人が手にしたプリキュアの力を失わせる事、そして目覚めた自分の同僚を眠りにつかせる原因になった自分が許せなかった。

 

「あの、どうしてあなたはシャドーになったの?」

 

「そういえばお二人もその原因までは知らなかったですよね」

 

ルーセントムーンはそれを聞いてから自らの過去について話す事になる。

 

「……私はかつて、伝説のプリキュアの一人でした。その中でも私は一際弱く、未熟で……」

 

ルーセントムーンはバーニングサン、ブリザード、ライトピラー、そしてもう一人の伝説のプリキュアと仲間だった。しかし、彼女は五人の中では一番弱かったのだ。

 

「戦いの後、自らの未熟さを悟った私は世界が平和でもトレーニングをするようにしました」

 

ここまではバーニングサンやブリザードの話を聞いた通りである。そして、ルーセントムーンはある事を話し始めた。

 

「私は弱い自分のままでいたくなくて。力を求めました。そんなある日の事です。私の前に一人の男が姿を現したのは」

 

それは当時のアンダーグ帝国の王に仕え、その王の娘の教育係だったそうだ。

 

「私はその男の誘惑に負けました。その男は私に力を授けると言ってくれたんです。そこから私は狂ってしまいました」

 

ルーセントムーンはそれからただひたすらに力を求めるようになった。自分の体の事も考えず、ただただトレーニングを積むように。しかし、その力はいつまで経っても手に入らなかった。それでも彼女が頑張ってきたのはその男に唆されたからだ。

 

「彼は言ってました。私の術を使えば、トレーニングを続ければいつかは力を得られると」

 

それからルーセントムーンは一度倒れ、それから復活すると仲間の前から姿を消した。ルーセントムーンはそれから自らの命が尽きるその時までひたすら自分を鍛え続けた。しかし、それは実を結ぶ事は無かった。何しろ彼女がかけられたのは強くなれる術では無く、呪いだったからだ。

 

永遠に力を求め続け、強さや戦いだけを好むという呪い。それから彼女が使っていたスカイトーンは長い年月をかけてソラシド市へと落ちた。そしてそれを拾ったのは春休みで専門学校に行く準備をしていたかけるだったのだ。

 

呪われたスカイトーンを拾った彼に取り憑いたルーセントムーン……いや、彼女の心優しい性格とはまるで掛け離れた性格が根付いたシャドーとして。

 

「時折り私の自我が戻る時もありました。その時は私の力を纏ったかけるさんの姿として降り立っていましたが。ただ、シャドーは私の力の大半を持っていってしまって」

 

長らくの間、ルーセントムーンはシャドーによって力を吸われ続けていた。そのため、彼女の力はトレーニングに明け暮れていた全盛期よりも落ち込んで、初期の力とほぼ同格レベルになっている。

 

「それもこれも全部私のせいなんです。私がもっとしっかりしていたら。情けない先代ですよね……」

 

するとライトピラーはそんな彼女の頬を叩くとルーセントムーンへと話す。

 

「……良い加減にして。あなたがそんなのでどうするの?もうあなた一人の問題じゃない。バーニングサンもブリザードもあなたを助けるために力を出し尽くした。そこにいる二人だって私達の失敗の尻拭いをしてくれたのよ」

 

「まぁまぁ、落ち着いて。ルーセントムーンが戻ってきてくれただけでも良かったですよ」

 

ましろにそう言われてライトピラーは一旦落ち着くことになる。とにかくは目の前の問題である。

 

「アンダーグ帝国には多分まだ幹部がいる。そうでしょ?ルーセントムーン」

 

「はい。私に、シャドーに指示を出していた奴はいます。だからきっとこれからも襲ってきます」

 

「でしたら私達が頑張ります!」

 

そう言うのはソラだ。ソラは張り切った様子で鼻息をフンと鳴らす。ましろやツバサも同じだ。

 

「これからは戦えない二人の分も」

 

「ボク達が何とかします」

 

「俺もできる事をやる。だからライトピラー」

 

「わかっているわ。私も力を貸す」

 

ソラ達が意気込む中、アサヒとユキもプリキュアになれないなりに頑張ると約束。ルーセントムーンは涙のながらに感謝する。

 

「ありがとうございます……皆さん。私もできる限りの事をします。私の罪は決して消えません。その罪を乗り越えるぐらいには頑張ります」

 

「でも、今度は無理しすぎないでね。私達もいるからさ」

 

あげはに言われてルーセントムーンは頷く。そして、かけるは口を開くとある事を言った。

 

「俺も手伝って良いかな?」

 

「かけるさん……」

 

「俺も力になりたい。皆さんに迷惑をかけたのは俺も同じ。だから俺も協力者にしてください。お願いします!」

 

それを聞いて一同は喜んで承諾。ただ、かけるとルーセントムーン。そしてアサヒとユキはまずは戦いの傷を癒すために暫くは休むことに専念すると決められた。

 

そして、ソラ、ましろ、ツバサ、ユキ、アサヒは庭に出るとアンダーグ帝国について話す。

 

「アンダーグ帝国。一体どんな刺客を寄越すのでしょうか」

 

「カバトンに聞くのが一番でしょうが、きっともう会う事は無いでしょう」

 

「ルーセントムーンもシャドーの時の記憶が殆ど残っていないようだったし」

 

「多分、俺達に浄化されてアンダーグエナジーや呪いが消えた時に一緒にシャドーの記憶も消えてしまったんだろうな」

 

「皆、確かにまだ色々心配だけど。こんな時こそ元気を出していかないと!」

 

「ですね!気持ちをチェンジです!」

 

「どんな相手が来ても、エルちゃんを守り抜くだけです!」

 

ソラの言葉に四人も頷く。こうして、一同は気持ちを新たにしてこれからも頑張る事を誓うのであった。

 

その頃、アンダーグ帝国では帝国の女王と思わしき人物が一人の男と話している。

 

「カバトンにシャドーめ。結局役立たずのまま終わったな」

 

「次に向かわせる者は決めております。ご安心ください」

 

「……アイツに今のプリキュアを相手にさせて太刀打ちできるのか?」

 

女王はその者の名前を聞いて渋い顔をする。すると男は淡々とした様子で付け加えた。

 

「ならば彼も付けましょう。彼ならばキュアサンライズとキュアスノーに対抗できるかと」

 

「……確かに奴ならば十分か。よかろう。彼等二人にプリンセス強奪の命を下す」

 

「はっ。では早速彼等に任務を伝えまする」

 

それから男が去っていくと女王は側近が口にした戦士達の名を告げる事になる。

 

「……貴様らの頭脳と力に期待するぞ。バッタモンダー……ヒューストム」

 

それから女王は一度奥の部屋へと引っ込み、その場には静寂が流れるのであった。




また次回もお楽しみに。
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