熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ヒョウの仲直り 修復される関係

ヒューストムと対峙するムーンライズにオーロラ。二人を見た彼は笑みを浮かべた。

 

「ふっ……。お前らもここにいるのなら丁度良い。俺としてもお前らの力を見ておきたかった。お前らの力、調べさせてもらうぜ」

 

「そうかよ。だが、俺達も簡単にやられるつもりは無いぜ」

 

「うん。一気に行こう!」

 

「来い!アンダーグエナジー!」

 

ヒューストムがそう言うとアンダーグエナジーが飛び出す。そして、近くにあった木に吸い込まれると木の姿をしたランボーグが登場する。

 

「ランボーグ!」

 

「木のランボーグか」

 

すると早速ランボーグが木々の葉っぱを飛ばして攻撃を開始。二人はそれに対して手から気弾を連射して対応する。

 

「「はあっ!」」

 

葉っぱと気弾がぶつかり合う中、ヒューストムは高みの見物とばかりに二人の戦う様子を見始めた。

 

「ランボーグ!」

 

するとランボーグが地面に根を突っ込むとそれが地下を通して移動。二人の足元から攻撃を仕掛ける。

 

「「ッ!」」

 

二人はそれをジャンプで躱すがそのタイミングを狙ったかのようにランボーグは腕を伸ばして二人を殴り飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

「きゃっ!」

 

二人が吹き飛ばされると何とか空中で態勢を立て直すと近くの家の壁に立って手を繋ぎ、敵であるランボーグを見る。

 

「「はあっ!」」

 

二人が同時に飛び出すとキックを命中させてランボーグを後ろに下がらせた。

 

そんな中、ペギンが倒れているヒョウと腰を抜かしたヒョウの両親の元に到着。ペギンはひとまずヒョウへと話しかけた。

 

「ヒョウ、大丈夫か?」

 

「ペギンさん……はい、私は平気です。それよりも私の両親から助けてください」

 

ヒョウにそう言われてペギンは頷くと両親の元に行き立たせようとする。

 

「私達、助かったの?」

 

「あ、あぁ。あの愚娘のおかげで……」

 

「あんなクソ娘も役に立つのね」

 

するとペギンはこの期に及んで未だにヒョウを馬鹿にするような言葉を吐く両親を見ると苛立った。そして、ついに彼女も限界が来る。

 

「……良い加減にしてくださいよ」

 

するとペギンはある程度力を加減した状態で二人の頬を叩いた。両親はペギンへと文句を言おうとするが、その言葉は出てこない。いや、ペギンの顔を見た途端その言葉は引っ込んでしまった。

 

「あなた達は自分の娘を何だと思ってるんですか?ヒョウはヒョウは必死にあなた達を助けたんですよ!幼い頃に嫌がらせをさせられて、つい昨日もあなた達に傷つけられて。それでも彼女はあなた達が大切だって体を張って助けたんですよ!なのにあなた達は感謝すらしない。親として最低なんだよ!」

 

ペギンは怒りのままに詰め寄ると二人へと説教する。その言葉に二人は自分達が何故無事なのか。ようやく理解した。

 

「……ッ!」

 

するとフラフラとヒョウが立ち上がると二人の元に歩いてくる。そして、何かを言おうとするが無駄だと思って踵を返す。

 

「待って!ヒョウ!」

 

「……私のような愚娘に用は無いんでしょ?」

 

ヒョウはそう言ってまた去って行こうとする。すると両親は人間の姿になると土下座をして謝った。

 

「すまなかった。ヒョウ。今までずっと蔑ろにして……」

 

「ヒョウも必死だったのに、あんな境遇に合わせてしまって申し訳ない」

 

「……父様も母様も私の事なんてどうでも良いんでしょ?」

 

ヒョウが吐き捨てるようにそう言う。二人にとって自分なんて捨て駒程度なのだと知った彼女は半ば自棄になりかけていた。

 

「どうでもよくなんてない」

 

「やっと気づいた。あなたも私達にとっては大切な娘だって」

 

「今までの事を許して欲しいとは思わない。過ぎ去った時間は取り戻せない。だからこれからはヒョウをちゃんと見る」

 

それでもやはりヒョウは納得しない。今まで散々馬鹿にしてきておいてどの面を下げてそんな事を言うのかと思ってしまうのだ。

 

「……私はあなた達のせいで辛い思いを沢山したんですよ?それなのに許せって。そんなの自分勝手じゃないんですか?」

 

「「………」」

 

ヒョウの言葉に二人は黙り込む。それを言われては二人は反論できない。

 

「……約束して。私を一人の娘としてちゃんと見るって。私を……私を娘として愛するって」

 

ヒョウはポロポロと涙を流しながら二人に懇願した。それはヒョウが幼い頃からずっと望んでいた事。両親に認められた先に欲しがった物だった。

 

「ヒョウ……」

 

するとヒョウの両親は手を広げた。ヒョウはそれを見て我慢できずに両親の体へと飛び込む。

 

「父様……母様……」

 

「「ヒョウ……今までごめんなさい」」

 

ヒョウは泣きじゃくるとようやく両親と和解できたことを喜んだ。そして、両親もこれからはヒョウを大切にする事を誓う事になる。

 

そして、横目でヒョウが両親と和解したのを見た二人はランボーグとの戦いに集中する。

 

「はあっ!」

 

ムーンライズは気弾を真上に打ち上げるとヒューストムは疑問に思った。

 

「何だ?何をする気だ」

 

するとオーロラも気弾を放つ。ランボーグがそれを防御姿勢で迎え撃つが突如として気弾はランボーグの体をすり抜ける。

 

「ラン!?」

 

更に真上から気弾が雨のようにランボーグへと降り注いだ。ランボーグはいきなりの攻撃の変化についていけずにダメージを負う。

 

「まさか、オーロラは幻の気弾を、ムーンライズは特性の違う気弾を使い分けるのか!!」

 

ちなみに今回使ったムーンライズの気弾は相手を追尾する性能を持った弾である。

 

「チッ。ランボーグだと混乱するような仕掛けだな」

 

更にムーンライズは気弾を放つとそれはランボーグを取り囲むような軌道へと変化。そのまま全方位からの攻撃が命中していく。

 

「ランボーグ!?」

 

「これ、設定難しいな……。でも、決まった時は強そうだ!」

 

今回の弾は予め弾道を設定する事でその通りに飛ぶ弾丸である。ただ、戦闘中に使いこなすには割と難しい代物ではあるが。

 

「ランボーグ!」

 

するとランボーグがオーロラへと葉っぱを飛ばす。しかし、オーロラはその姿を一瞬にして消すとランボーグの背後へとワープ。そのまま至近距離から気弾をぶつけた。ちなみに先程いきなりヒューストムの前に現れたのもこれが原因である。

 

「はあっ!」

 

「だあっ!」

 

二人からの気弾攻撃にランボーグは一方的にやられていく。サンライズやスノーの時と比べて手数が圧倒的に増えたので余計に対処が難しくなっているのだ。

 

「ふん。手数の多さで考えるならやはり前よりも手強い。ダメージとしてはそこまで無いがそれでもあの量をまともに喰らうと厳しいものがある……か」

 

「ランボーグ!」

 

ランボーグがどうにかするために腕を伸ばして薙ぎ払おうとするものの、それさえも二人が浮くことで躱されてしまう。

 

「決めろ、オーロラ!」

 

「うん!」

 

するとオーロラをバックにキュアオーロラの姿が5人へ分身。ランボーグを囲み、五人が星を描くように線で結ばれると中心に存在するランボーグへと地面からオーロラ色のエネルギーが照射される技。

 

「ヒーローガール!オーロラミラージュ!」

 

「スミキッタァ〜」

 

ランボーグはその技に耐える事ができずに浄化。倒される事になるのであった。

 

「後はお前だ。ヒューストム!」

 

「落ち着けよ。俺はこれ以上無理してやり合う気は無い。今回は君達の力をもっと知れただけでも収穫だ。じゃあね。ヒューストストム!」

 

ヒューストムはそう言って去っていってしまう。そして、残された一同は復旧作業のラストスパートを行った。

 

「やっと終わった〜」

 

「お疲れ様だ。よく頑張ったな」

 

それからは特に大事が起きたという事もなく作業は完了。無事にプニバードの村は元に戻ることになった。

 

「この度は青の護衛隊の皆様のおかげで元に戻す事ができました」

 

「いえいえ。当たり前の事をしただけですよ」

 

ペギンが事後処理を行う中、ヒョウの両親がヒョウの前に来るとヒョウへとヤーキターイを差し出す。

 

「これって……」

 

「その、今までずっと食べてなかっただろ?」

 

「私達があなたをちゃんと娘として見てあげるなんていつでもできたのに」

 

ヒョウはそれを手に取ると女の子らしく可愛らしい一口を食べた。そして、その時に食べたヤーキターイの味は格別である。

 

「はむっ……美味しい。父様、母様。ありがとうございます」

 

ヒョウはようやくヤーキターイの味を知ることができた。そしてそれは両親との関係修復の第一歩となる。これからもわだかまりは残るだろうし、なかなかすぐに普通に接するのは無理かもしれない。それでもヒョウは大切な家族と仲直りできたという事実だけで十分だった。

 

「うっ……うっ……」

 

ヒョウはまた泣き出すと両親は優しく抱きしめる。その様子をアサヒとユキは微笑ましい顔つきで見るのであった。

 

そして、一同は都に戻るために帰り道を進む中、ヒョウは人間態の時も女の子の格好をする事になった。具体的にはズボンからスカートに変え、服も女の子が着るようなリボンや肩出しの服へとチェンジ。更に髪はまだ伸びてないものの、カチューシャを付けて可愛らしい仕上がりになった。

 

「そういえばヒョウ、良かったの?イメチェンしちゃって」

 

「……もう男の子って周りを偽る必要が無くなったから。あと、口調も変える事にする。もう私は女の子の肩書きでも十分自分に自信を持てるから」

 

「そっか」

 

ヒョウの顔は晴々としており、やっと親の呪縛から解放されたようである。そんな中、アサヒがヒョウへと軽口を言い始める。

 

「それにしてもまさかあんな強気で男の子みたいな口調をしていたヒョウがこんなに可愛くしおらしくなるなんてな〜。まるで別人みた……」

 

その瞬間、アサヒの顔面にヒョウからの拳が命中。ユキがオロオロする中、ヒョウは怒った様子だった。

 

「私がいつしおらしくなったって?」

 

「そんなのだからお前は男っぽすぎてモテないんだよ」

 

「はぁ?ユキ姉に好きになってもらったからってマウントかしら?」

 

「そうだよこの口悪女!」

 

「言ったわね!」

 

そのまま二人はいつものように口論を始めてしまう。ただし、ヒョウは女口調になったのでいつもとは少し違うが。

 

「アサヒ君、ヒョウ……。結局こうなるんだ……。でも、前と比べてヒョウの顔が明るくなってる。過去にちゃんと決着が付けられて良かった」

 

ユキはヒョウが立ち直れた事に安堵の気持ちでいっぱいになる。こうして、プニバード村への復興作業は終わりを告げた。しかし、この時はまだユキ達は知らない。この後、ユキ達の運命を変える出来事が起きる事に。




また次回もお楽しみに。
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