熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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新たな希望 ソラシド市への旅立ち

オーロラはアンダーグエナジーに侵されたアサヒを背負うとそのまま王城に戻る。しかし、王城では更に悲惨な事が起きていた。

 

それは、オーロラ達がヒューストムやアサヒの件で気を取られている間にバッタモンダーが城の中に侵入。止めようとしたツバサとヒョウをあっという間に倒すと王様と王妃様にアンダーグの呪いをかけてしまった。その後、連れ去られそうになったエルをどうにか意識を取り戻したスカイが間一髪の所で助けに入ったために事なきを得ることに。

 

「スカイ……ごめんなさい。私……」

 

「オーロラ。あなたは何も悪くありません。

 

オーロラは全てが解決した後にようやくスカイの前に現れたために自分がもっと早く戻るべきだったと悔やむ。しかし、スカイはそんなオーロラを責めなかった。オーロラも大切な人を失ってしまったと見てわかったからだ。

 

「オーロラは、ユキさんは体を休めてください。隊長の捜索は私達でやります」

 

それからスカイは変身解除すると急いでシャララ隊長の捜索を開始。オーロラはユキの姿に戻ってアサヒをスカイランドのベッドに寝かせると一人悔しさを滲ませていた。

 

「ごめんね……ごめんね……私の、私のせいで」

 

するとユキの持っているスカイトーンが光り輝くと先代プリキュアのキュアライトピラーが姿を現す。

 

「ライトピラー……」

 

「あなた、そうやってまた自分のせいにするのね」

 

「当たり前だよ。私がもっと上手くやってれば……」

 

「……見てられないわ。私はあなたのせいだなんて思ってないわよ」

 

「どうして?私がちゃんと事情を知ってて、こうなるってわかってたら私がアサヒ君を庇ってたのに」

 

「良い加減にしなさい」

 

ライトピラーは涙を浮かべて悩むユキの頬を一度叩いた。そして彼女はユキを見つつ言う。

 

「アサヒがどんな気持ちであなたを庇ったか、わからないのね」

 

「ッ……」

 

「それに、今までの成長がまるで無意味じゃない。そんなのでアサヒが喜ぶとでも?」

 

ユキはそれを聞いて深呼吸する。そして、ライトピラーからの意見に賛同した。

 

「……そうだ。いつまでも落ち込んでなんかいられない。アサヒ君は私に助けてって言ってくれた。今度は私がそれに応えないと……」

 

「その意気よ、ユキ。それで私から一つ」

 

「……え?」

 

「私とルーセントムーンの力でアサヒを一時的に目覚めさせるわ」

 

「……ッ!?それ、本当ですか!?」

 

「ええ。理論上は可能のはずよ。……ただ、アンダーグエナジーの侵食を遅らせるのは無理。だから時間が経てば確実に体へ害は出てくるわ。そこは覚悟して頂戴」

 

「……今はアサヒ君が戻って来れるなら……私は、それだけで十分です」

 

「そう。なら、私も頑張らないとね。少し時間はもらうわよ。何しろアサヒを覆ってるアンダーグエナジーが割と分厚いから」

 

ライトピラーはユキの期待に応えるために一旦姿を消す。そしてユキはアサヒの手を握ると祈るように彼の側にいた。

 

「……アサヒ君。私がクルシーナのせいでビョーゲンズに侵された時も同じ気持ちだったのかな」

 

同時刻。アサヒの意識の中。アサヒはまるで水の中を少しずつ落ちている感覚だった。

 

「ん……何でここに?」

 

アサヒは僅かに困惑するが、自分のやった事を思い出すとこうなっているのも納得の顔つきになる。

 

「そういや、俺はユキを庇ってアンダーグエナジーに侵されたんだよな……」

 

「はい。私の力が及ばないばかりに……」

 

するとそこに申し訳なさそうな顔つきのルーセントムーンが立っていた。

 

「ルーセントムーン。気にしなくて良いよ。これは俺が選んだ選択だ。だからそんなに気負わないでくれ」

 

「……アサヒ君にお知らせがあります」

 

「……お知らせ?」

 

「はい。もしアサヒ君が望むなら、あなたを元の世界に戻せるかもしれません」

 

「ッ!?本当ですか!?」

 

奇しくもルーセントムーンもライトピラーと同様に元の世界に戻れるか問いかけていたのだ。

 

「はい。今、外の世界からもライトピラーが戻れるように働きかけています。ですので、多少時間はかかりますがあなたを戻せると思います」

 

それからルーセントムーンはアンダーグエナジーの侵食は止められないという話をアサヒにするとアサヒは頷いた。それも承知の上でやるようだ。

 

「でしたら私も始めますね」

 

それからルーセントムーンはアサヒを元の世界に戻すために働きかけを開始する事になる。

 

アサヒはそれから元の世界に戻ることができるようになるまで待つことになる。するとそこにどこからともなく声が聞こえてきた。

 

「……けて。助けて……」

 

アサヒはそれを聞いて疑問符を浮かべる。そしてこの声の発生源を探す。

 

「ッ……どこから」

 

しかしアサヒが幾ら周りを見ても誰もいない。当然だ。この空間は自分の精神の中。自分とルーセントムーン以外はこの場に存在しないはずだ。

 

「マジでどこから……」

 

アサヒが困惑しているとまたその声が少しだけ大きく聞こえる。そしてその声にアサヒは聞き覚えがあった。

 

「……お願い、助けて……アサヒ、ユキ」

 

「らんこさん!?らんこさんなのか!?でもどこから?ここには絶対いないはずなのに」

 

アサヒがらんこの声が聞こえてきたのに誰もいない事に考えるがその声はじきに聞こえなくなってしまう。

 

「マジでどうしたんだよ……。うーん。あ、そういえばひかるの奴が言ってたっけ?ひかるの持ってるスカイトーンがらんこさんのスカイトーンと共鳴すると二つの世界を繋ぐゲートが開くって。という事はスカイランドにはらんこさんは来ない可能性が高い……むしろ、早くソラシド市に戻らないと行き違いになっちゃわないか!?」

 

アサヒは慌てた様子で早く戻れるようになりたいと願うことになるのであった。

 

その頃、王様と王妃様が眠る間での事。そこにはましろ、ツバサ、エル、ヒョウの四人が揃っていた。

 

「これを何とかしないと、二人は眠りから覚めない」

 

「アサヒもアンダーグエナジーに侵されて……このままじゃ」

 

「これじゃあまるで呪いだよ」

 

ましろがそう言う中、そこに別の部屋にいたソラとユキが戻ってくる。そして、ヒョウが問いかけた。

 

「ユキ姉、アサヒは?」

 

ユキは首を横に振る。まだ眠りから目覚めないということだ。やはりどうしても時間がかかってしまうのであろう。

 

「どうすれば良いのでしょう……」

 

一同が重い雰囲気を出す中、ソラは胸の内に秘めていたある事を言い出した。

 

「帰りましょう、ソラシド市に」

 

「……えっと、帰る?」

 

「はい。王様と王妃様、そしてアサヒ君を治す方法をヨヨさんに調べてもらうんです。それに、バッタモンダーはエルちゃんを狙ってますからスカイランドに一人で置いていくのもできませんしプリキュアがここでバラバラになるのも良い考えじゃありません」

 

「……しょーら」

 

エルは不安そうにソラの名前を呼ぶ。実はソラの名前なら舌足らずながらも呼べるようになったのだ。

 

「心配いりません、プリキュアは無敵です」

 

「ソラちゃん、無理しちゃダメ」

 

「私、隊長から手紙を貰ったんです」

 

シャララ隊長が出撃前に部屋に立ち寄って書いてくれたらしいのだ。そこには“立ち止まるな、ヒーローガール。また会おう”とのみ記されていた。そして隣にはソラが昔彼女に贈ったハート型のスカイジュエルがあったのだ。

 

「絶対にまた会える。そんな魔法がかかったペンダントです!」

 

するとその時、また部屋の扉が開くとそこに一人の少年が現れた。そして、それを見た瞬間、ユキはその少年に抱きつく。

 

「あ、あぁ……」

 

「心配かけたな。皆」

 

「アサヒ君……アサヒ君!!」

 

ユキはアサヒの元で涙を流す。やはり一人は心細かったらしい。幾ら精神が成長してもユキの心はアサヒによって支えられているのだと一同は感じた。

 

「ごめんね、ごめんね……辛い思いをさせてしまって」

 

「良いんだよ。この選択に後悔はしてない。ユキが無事で良かった」

 

ユキがアサヒの温もりを感じる中、アサヒはましろに聞かれて事情を説明する事になる。

 

「そういえばどうして起きれたの?」

 

「実は先代プリキュアの二人の力で一時的にアンダーグエナジーの力を弱めてもらってる。ただ、やっぱり一日の中で起きられる時間の限度はあるけど、日常生活に支障は出ないらしいから」

 

それを聞いて一同はホッとした顔つきになった。そして、翌日。ユキ達は荷物を持ってソラシド市に戻る事になる。多くの人々に見送られながら。

 

「……負けるな、ソラ」

 

「私達も応援してるぞ」

 

ベリィベリーやペギンがそう呟き、ユキ達六人はエルと共にソラシド市に向かうためのゲートを通るのであった。

 

スカイランドから戻る最中、アサヒはユキへとある事を問いかける。

 

「そういえば、ユキ。らんこさんからの声って聞こえたか?」

 

「え?らんこちゃん?うーん……聞こえなかったけど……何で?」

 

「実は俺が眠ってる間なんだけど、どこからからんこさんが助けて欲しいって言っててさ」

 

「え!?じゃあ助けに行かないと……」

 

「とは言ってもひかるがいないと俺達は多分行けないからなぁ。そうなると一旦ソラシド市で事情を話してからになるかな」

 

「……そっか。でも、多分大丈夫だよね。まさからんこちゃんがそんな簡単にボロボロになんてならないと思うし」

 

二人は一旦らんこの事は無理に考えないように決めた。彼女の事だから余程の不運が重ならなければ平気だと考えたのである。

 

「ひとまずは目の前の問題に集中しよっか」

 

「ああ。流石にらんこさんも鳥に蹴られたり飯マズに遭ったり電撃を喰らったり過酷な労働をしたり、挙げ句の果てにボロボロになるなんて絶対に無いよな〜」

 

この時ソラ達はアサヒが言った事が具体的過ぎて実際にあったら笑えないと思ったのだが、誰もその事に関してのツッコミは入れなかった。

 

その頃、スカイランドではバッタモンダーとヒューストムが顔を揃えている。

 

「クソッ、クソォオッ!キュアスカイめ……この僕に屈辱を舐めさせてくれやがって!」

 

バッタモンダーが怒り狂う中、ヒューストムは冷めたような目つきをしていた。

 

「はぁ、お前な。ちょっとやられたぐらいでイライラしてたら保たないぞ?」

 

「あ?お前だって同じだっただろ!キュアムーンライズとキュアオーロラに良いようにやられて怒ってただろーが」

 

すると突如としてヒューストムは笑みを浮かべる。そして、笑い始めた。

 

「な、何がおかしい」

 

「ああ。実はな、今回の作戦でキュアオーロラのアキレス腱に亀裂を入れられたんだ。あとは時が経てば容易く勝手に切れるようになる」

 

「何だよそれは……」

 

「これからに向けての布石を打っておいたって事さ。お前と違ってな」

 

「なっ!?布石なら俺も打ったっつーの!」

 

「そうか。なら楽しみにしておこうぜ。アイツらが絶望に染まるのを……そしてユキ。俺を侮辱したあの女を絶望の中に葬る瞬間を」

 

そして、アサヒの心の中。アンダーグエナジーが渦巻くその中心でアンダーグエナジーによって作られたエネルギーの赤ちゃんが生まれており、それがゆっくりと目を開いた。




また次回もお楽しみに。
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