熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ムーンライズの覚悟 欠けた月

ムーンライズへと変身したアサヒは傷ついたオーロラを嘲笑ったヒューストムに怒りの目を向ける。するとムーンライズの体にオーラが纏われた。

 

「ふーん。やっぱりその姿でもオーラは纏うんだ」

 

「俺はお前を許すつもりは無い!」

 

ムーンライズが至近距離から気弾を放つとヒューストムは距離を取るために跳び上がる。すると気弾はヒューストムを追尾していく。

 

「ッ!!」

 

そのまま攻撃が命中し、ヒューストムの周囲に煙が発生。すかさずムーンライズは追撃として前に出るとヒューストムとの肉弾戦に移る。

 

「だだだっ!」

 

「ふふっ。わざわざ苦手な近距離か?自分の姿に合わせたバトルスタイルも分かってないとかアホすぎるね」

 

ヒューストムが煽る中、ムーンライズはそんなのお構い無しとばかりに攻撃を継続。するとムーンライズはヒューストムを蹴って後ろに下がった。

 

「……?」

 

その瞬間、ムーンライズが自らの体を肉壁として隠していた弾丸を至近距離から放つ。

 

「そんなの喰らうかよ」

 

ヒューストムはそれを読んでいたのか正面にバリアを展開すると攻撃を防ごうとする。

 

「かかったな!」

 

その瞬間、弾丸がいきなり軌道を変化させると分散して全方位から一斉攻撃を仕掛けた。

 

「チッ!」

 

ヒューストムはそれを防げずに直撃を喰らうと後ろへと下がる。その顔は僅かに苛立っていたが笑みを再度浮かべた。

 

「ふふっ、あははっ」

 

「何がおかしい!」

 

「いやぁ、俺にばかり気を取られて良いのかなって思ってさ」

 

ムーンライズが何かに気がつくと後ろを向く。そこでは今にもランボーグによってアップ・ドラフト・シャイニングが粉砕されそうになっていた。しかもスカイ、プリズムの二人もかなり消耗している様子である。

 

「俺にばかり注意を向けても良いけどな?お前らが止めないといけないのはランボーグの爆発だろ?俺自身からの妨害じゃない」

 

「……ッ!」

 

するとオーロラが傷ついた体に力を込めると光を纏って空中へと浮かび上がった。

 

「オーロラ!?」

 

「ここは私が何とかするから!ムーンライズはそのままヒューストムを止めてて!」

 

しかし、それではムーンライズの中にとある不安がよぎる。それは先程未来の自分が教えてくれたオーロラが、ユキがアンダーグエナジーに侵される際にカバーが効かなくなってしまう。

 

「ヤバい……どうすれば……」

 

その時。自らのスカイトーンが光ると先代プリキュアの一人、キュアルーセントムーンの幻影が出てくる。

 

「ッ!?ルーセントムーン!!」

 

『はあっ!』

 

するとルーセントムーンが手を翳すとヒューストムの立つ地面に満月の紋章が映るといきなりヒューストムの体に何倍もの重力がかかった。

 

「ッ!?何だこれ……」

 

『月の力で重力を増やしました。でもこれは長くは保ちません』

 

「まさか、助けてくれるのか?」

 

『当たり前じゃないですか!私だって命の恩人が死ぬのを黙って見たくありませんから!』

 

ルーセントムーンもムーンライズと気持ちは同じ。それに彼女はオーロラに一度救われた。だからこそ、今度は自分が力になる番だと思っていたのだ。

 

『さぁ、早く!』

 

「ごめん、任せた!」

 

ムーンライズも光に包まれるとオーロラの後を追って空中へと飛び出す。

 

「クソがっ……お前は力を失った過去の亡霊……。大人しく消えてろ!」

 

ヒューストムが体に竜巻を纏わせようとするが、月の周囲は宇宙空間。彼女の作り出したエネルギーフィールドにはその原理が働く。つまり、風は発生しない。実質的にヒューストムの長所を潰したも同然だ。

 

そして、空中を飛ぶオーロラがランボーグに接近する中でその近くを飛行する物体を見つけた。

 

「ッ!?シャララ隊長!!」

 

そこにいたのはワシオーンと呼ばれる巨大な鳥に乗ったシャララ隊長だった。

 

「どうして……危険ですよ!」

 

「この戦い。君達だけに背負わせたりなんてしない。私も出る!」

 

オーロラは頷くと二人揃って自身へと伸びてくるランボーグの触手との戦闘を開始する。

 

「相手がどんなに強くとも、正しいことを最後までやり抜く!それがヒーロー!」

 

「はあっ!」

 

するとオーロラは飛行時間に限界が来たために気弾を至る所に配置。それを足場の代わりとして飛び乗ると機動戦を展開する。

 

「ランボーグ!」

 

ランボーグが触手をオーロラ、シャララ隊長をターゲットとして次々と放つ中、そこにムーンライズも参戦する。

 

「ひろがる!ムーンライズドリーム!」

 

ムーンライズからのエネルギー波がランボーグの触手の中の一本を消し飛ばす中、ランボーグは三人を纏めて倒すために巨大な触手を伸ばしてきた。

 

「ちゃああっ!」

 

それをシャララ隊長がすれ違い様に細切れに斬り裂く。しかし、それと同時にシャララ隊長が手にしていた剣は力を使い果たしたのか根本から折れてしまった。しかも彼女へのダメージも大きく、そのままワシオーンから落ちて落下してしまう。

 

「「不味い!」」

 

二人が咄嗟にシャララ隊長のカバーをしようとするが、まだ飛行能力が再度使えるまでには時間がかかる。その瞬間、ランボーグから特大のアンダーグエナジーのエネルギーが放たれた。

 

「ランボーグ!」

 

そのエネルギーがシャララ隊長を飲み込もうとした刹那。シャララ隊長は残された力でこう言い残した。

 

「ソラ、ユキ。ヒーローの出番だ」

 

そのまま彼女はエネルギーに飲み込まれてしまう。それを見たオーロラは絶望の顔を浮かべる。

 

「オーロラ!まだ終わってない!俺達で止めるぞ!」

 

そこにムーンライズがオーロラの元に来ると二人で手を繋ぐ。すると突如として二人の体が光り輝くと黄色とミントグリーンのオーラに包まれるとそのまま二人はエネルギーの球体へと包まれる。そのままランボーグへと突撃していった。

 

「ッ!?あれは!」

 

「まさか、二人の新しい力……」

 

映像越しに見ていたツバサとヒョウが声を上げる中、二人の纏ったエネルギーの球体は飛距離が伸びれば伸びるほどに力を増幅させていく。

 

「「はぁああっ!」」

 

「ランボ!」

 

ランボーグはそれを止めるためにエネルギー波を差し向けるものの、二人の攻撃は止まるところを知らずにそのままランボーグに激突。ランボーグの一部を浄化して一気にその体を小さくさせた。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「スカイ、プリズム!」

 

「今が好機だ!掴み取れ!」

 

「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!」」

 

そのままスカイとプリズムの二人が技を発動。そのままパワーが落ちて抵抗できなくなったランボーグは成す術なく吸い込まれていき、浄化。

 

「スミキッタァ〜」

 

そして二人は力を使い果たしたのかそのまま手が離れて倒れ込む。更にムーンライズ、オーロラも手を離すとそのまま落下していく。

 

「チッ……ふざけんな……クソがぁああっ!」

 

『ッ!?きゃあっ!』

 

このタイミングでルーセントムーンが展開した倍増重力フィールドをヒューストムが粉砕。そのまま彼はルーセントムーンへと竜巻をぶつけて彼女をダメージで消失させてしまう。

 

『役に立てず……すみません……ううっ』

 

するとヒューストムは倒れているスカイ、プリズムを睨みつけた。そして、手に大量のアンダーグエナジーを凝縮させたエネルギーの弾を構える。

 

「こうなったら、お前らをアンダーグエナジーで暴走させてやる。今の弱ったお前らにこれは耐えられないだろ!」

 

そのままヒューストムが攻撃を繰り出そうとする中、オーロラは咄嗟にショートワープを発動させる。

 

「ッ!オーロラ!」

 

この状況下で一人だけワープは不味いとムーンライズは急いでオーロラの服の裾を掴むと二人同時にワープ。

 

「消えろぉおお!!」

 

そしてそのタイミングでムーンライズ、オーロラの二人がヒューストムからの攻撃の直線上へとワープしてきた。

 

「ッ!止める!」

 

オーロラは手を翳すと攻撃をバリアで防ごうとする。しかし、ムーンライズはそんなオーロラの体を捕まえるとそのまま思い切り投げ飛ばした。

 

「きゃあっ!?」

 

突如として仲間に投げられたため、オーロラは驚くと共にムーンライズを見る。そして彼はそんなオーロラを見て微笑みかけるとそのままエネルギーが命中してしまった。

 

「うわぁああっ!」

 

「ッ!?ムーンライズ!!」

 

すると爆発が晴れるとそこには体に大量のアンダーグエナジーを取り込んだせいか漆黒のオーラに包まれたムーンライズがいる。そしてその顔は苦しそうだった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「あははっ!馬鹿なやつだな。そんな守る価値の無いような女を庇うとは。しかも自らアンダーグエナジーに飲み込まれて、余程死にたいらしい」

 

「そんな……」

 

オーロラがムーンライズに駆け寄ろうとする中、ムーンライズの目は黒く光るとヒューストムを睨みつけた。

 

「貴様、何が守る価値のない奴だと?オーロラを、ユキをそこまで侮辱して……よっぽど死にたいのか?」

 

その声はドスが効いており、今にもヒューストムに飛び掛からんとするような声である。

 

「ッ……。おお、怖い怖い。でも、今のお前は死にかけの病人みたいなものだ。そんな体でいつまでも立っていられると思うなよ?」

 

「そんなの知るかよ。俺は、ユキを守る……それが俺の彼氏としての勤めだ」

 

それを聞いたヒューストムは気に入らないとばかりに舌打ちするとムーンライズを一瞥するように見た。

 

「ふん。暴走による即死は防いだがお前の命は保って数ヶ月だ。死にたくなかったら……せいぜい足掻くんだな。ヒューストストム」

 

そう言ってヒューストムは竜巻と共に撤退。そんな中、ムーンライズは倒れ込むと変身解除。アサヒの姿に戻り、オーロラが駆け寄った。

 

「ねぇ、アサヒ君。しっかりして!どうして私なんかを庇ったの!?あのくらい私なら防げたのに……」

 

しかし、アサヒは首を横に振る。もしユキがあの後攻撃を喰らっていたらどうなったか。アサヒは知っているからだ。

 

「いや、多分ユキは耐えきれなかった。そんなに傷ついている今の体じゃな」

 

「でも、どうして……」

 

「ユキに死んで欲しくなかったから」

 

それからアサヒは未来の自分が来たことをユキに伝えると彼女は息を呑んだ。しかし、それとこれとは話が別だ。

 

「だとしても命を粗末にしないでよ……アサヒ君がそう教えてくれたのに」

 

「あはは、そうだったな」

 

するとアンダーグエナジーの進行が更に進んだのかアサヒの意識は少しずつ遠のいていく。

 

「ごめん。ちょっとの間、俺は寝ないといけないみたい」

 

「……ッ!!そんな、アサヒ君無しで、私は……」

 

「ユキ、俺の事を想ってくれるなら……今度は俺を助けて欲しいた……の……む」

 

そのままアサヒは目を閉じると体にアンダーグエナジーのようなオーラを纏って気を失ってしまうのだった。

 

「嫌っ……アサヒ君!アサヒ君!お願い。目を覚まして!ねぇ、ねぇ!!嫌、嫌、嫌ぁあああっ!」

 

その場にはオーロラの悲しみの叫びが響き渡る。そして、いつの間にかスカイランドに雨が訪れるのであった。




お知らせです。近々、そらまめ24さんの作品であるひろがるスカイ!プリキュア〜無個性なヒーロー〜とコラボします。また始まるコラボを楽しみにしてください。それでは次回もお楽しみに。
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