熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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未来からの警告 超巨大ランボーグの襲撃

ましろ達が話している頃、アサヒとユキは手を繋いだままベッドの上に座っていた。しかし、別れが近いためか二人共進んで話す気になれなかった。

 

「「………」」

 

二人が気まずい空気を出す中、沈黙を続けていると先にユキが口を開いて話し始める。

 

「本当にこれで終わりなんだね」

 

「そうだな。俺達、出会ってまだ数ヶ月だけど色んなことをしたよな」

 

二人の中に駆け巡る様々な記憶。その一つ一つを噛み締める中、ユキの腕が震え始めた。

 

「やっぱり嫌だよな。別れってさ」

 

「……うん」

 

ユキの目には少しずつ涙が浮かぶ。それを見たアサヒは一度手を離すと両腕を広げて待ち構えた。ユキはそのまま堪えきれずにアサヒへと抱きつく。

 

「これからも私達、何度も会えるよね?」

 

その目からポロポロと涙が溢れており、ユキの胸の中の寂しさがとめどなく出てきていた。

 

「ああ。約束だ」

 

それを聞いて安心したのかユキは涙拭いてからアサヒと向き合うとその唇に自分の唇を優しく重ねた。それから数秒後。二人がキスを終えて唇を離すとユキは立ち上がる。

 

「じゃあ、そろそろましろちゃんにもお別れの言葉。言わないと」

 

それを聞いてアサヒは頷くとユキが先に部屋を出ていく。それからアサヒもその後を追いかけようとしたその時だった。突如としてアサヒの近くに青いゲートが開くと一人の少年が現れる。その姿はアサヒに瓜二つだった。

 

「……え?」

 

「ッ……よかった。ここにこの時間帯、この日付にいるって事はまだあの戦いの前だな」

 

「何?どゆこと!?てかお前誰!?俺にそっくりすぎない?」

 

「何言ってるんだ。お前は俺……。俺は未来のアサヒ・マブシーナだ」

 

それを聞いてアサヒは思わず叫びそうになるが未来のアサヒはいきなり口を塞いでやめさせる。

 

「静かにしてくれ。俺がここにいる事が知られたらいけないんだよ」

 

「……わかった」

 

「良いか。言いたいことは沢山あるが、時間の問題で一つだけ。よく聞けよ」

 

そして、未来のアサヒは今のアサヒへと衝撃的な事を言い出す事になる。

 

「……このままだともうすぐユキが死ぬ」

 

「……は?」

 

アサヒは頭の中がその一言だけで真っ白になると混乱する。そして、未来の自分へと詰め寄った。

 

「おい、それどういう事だよ。ユキが死ぬ?ふざけた事言うな」

 

「これを見ても同じこと言えるか?」

 

それから未来のアサヒが出したのは雪の結晶の模様が入ったシュシュである。

 

「これって……俺が前にユキに贈った……」

 

ユキはアサヒから貰ったシュシュを毎日大切に付けており、プレゼントされたあの日から付けてなかった日は無いほどに大事にしている物だ。

 

「嘘だ……ユキが死ぬなんて。そんなの、そんなの……」

 

「ユキはこの後すぐの戦いで俺を庇ってアンダーグエナジーに侵される。それからユキは過剰に取り込んだアンダーグエナジーの力に耐えきれずに暴走……。トドメを刺したのは……俺自身だ」

 

その言葉にアサヒは絶句してしまう。そして、未来のアサヒは更に続けた。

 

「ユキが苦しむ中、俺は何もできなかった。ただただ暴走を止めるために俺達はユキを攻撃するしか無かった。そして、最後に俺が浄化技を使って倒した時。ユキの体は弱りきっていて、取り返しがつかなくなってしまっていた」

 

そして、そのまま彼女はアサヒに看取られて命を落とした。その当時に弱ったユキの体力を回復させる手段は無かった。そのため、未来のアサヒ達はユキが死ぬのを黙って見ることしかできなかったのだ。

 

「お前が本当にユキが死ぬ未来から来たって言うのなら死から逃れるための対処方もあるんだよな」

 

アサヒからの問いに未来のアサヒは小さく頷く。そして彼はアサヒへと耳打ちした。

 

「……やっぱりそうなるよな?」

 

「ああ。俺にはこれしか対処が思いつかない。……ソラとましろはその時別の事にかかりきり。ヒョウは非戦闘員だしツバサはダメージで動けないからな」

 

すると未来のアサヒの体は少しずつ透けていく。もう時間が無いのだろう。

 

「体が……」

 

未来のアサヒは時間切れが近いからかアサヒを両腕でガッチリと掴むと言い聞かせる。

 

「良いか?起きた事に取り返しはつかない。俺の未来にユキはいない。だからせめてお前の未来ではユキが笑って隣にいるという幸せを絶対に手放すなよ?」

 

未来のアサヒからの言葉にアサヒは頷く、そして未来のアサヒはそのまま消えていく事になった。

 

「……絶対に死なせるかよ……。ユキは俺が救う」

 

アサヒは深呼吸すると覚悟を固めるの事になる。その頃、ましろとツバサ、ヒョウ、エルはお別れ前の言葉を話していた。

 

「ソラシド市に帰る?」

 

「うん。トンネルを開いてって明日おばあちゃんに連絡するつもり。学校に行かないとだし。それに、私がいなくてもスカイランドは大丈夫ってわかったから。ソラちゃんにユキちゃん。隊長さんに護衛隊の皆。ヒョウちゃんもいる。ツバサ君も。この世界を守る人は沢山いるから」

 

ましろがそう言う中、ツバサもヒョウも別れを前にして寂しい気持ちが募っていく。

 

「住むところが変わるだけ。トンネルを潜ればいつだって会える。何も変わらないし何も無くならない。だって私達は友達だから。でしょ?」

 

「えるぅ……」

 

「エルちゃん。元気でね。お腹出して寝たらダメだよ。ちゃんと歯磨きは仕上げまでしてもらうんだよ、あんまりツバサ君に嫌々言ったらダメだよ」

 

ましろがそう言いながらエルの頭を撫でる。しかしその目はツバサやヒョウと同じで寂しそうだった。

 

「それと、私のこと、忘れないでね」

 

「えるぅ」

 

「……良し、ソラさんがパトロールから帰ってきたら皆で思いっきりごちそうを食べましょう!」

 

「そうね。私も賛成」

 

「うん!」

 

ましろ達がお別れ前のごちそうを食べる事を決めたその時、ユキが部屋の扉を開けたその瞬間だった。

 

「お待たせ!三人とも……え?」

 

ユキが外に何かの気配を感じると街中ではバッタモンダーとヒューストムがとある高い場所に立っていた。

 

「カモン、アンダーグエナジー!」

 

すると街の中の至る場所から次々とアンダーグエナジーが噴き上がる。そしてそれは空中で一つに纏まるとそれは球体状の超大型ランボーグになってしまう。

 

「ランボーグ!」

 

「僕が意味も無くただランボーグをぶつけたと思っていたかい?……違う。奴等に倒されたランボーグの中にあるアンダーグエナジーは密かに都に留まり続けた。隊長や護衛隊の奴等はアレを浄化できないからね」

 

「なるほどな。お前も案外策士だな」

 

「当然さ。そして、僕が一回で出せるアンダーグエナジーが仮に少なくともこれならば一度に大量のアンダーグエナジーを揃えられるわけだ。ああ。弱い人達の精一杯の努力が全部無駄になってしまった」

 

バッタモンダーがそう言う中、ヒューストムはそんなバッタモンダーを支援するために手を翳す。

 

「ならば俺からもささやかなプレゼントだ」

 

するとヒューストムからも飛び出したアンダーグエナジーがランボーグへと取り込まれるとその体は更に巨大化。そのため、ランボーグの力は普段の比ではないほどに強化されてしまう。

 

そして、その様子を見た人々は逃げ惑う。護衛隊の面々は城へと避難するように人々を誘導。その間にツバサはキュアウィングへと変身して飛び上がる。

 

王の間では王様と王妃様へとエルを返すのと同時にユキ、ヒョウが揃っていた。ましろは一人で無理しに行ったツバサを引き留めに行っている。そこにアサヒやソラ、シャララ隊長がやってきた。

 

「失礼します」

 

「王様、あのランボーグは……」

 

「……爆弾だ」

 

どうやらあのランボーグは巨大な爆弾とも言える物らしく。一時間後には爆発してスカイランドをアンダーグの闇に飲み込んでしまうらしい。しかし、エルを差し出すならばその爆発を止めても良いそうだ。

 

「……卑怯です」

 

「くっ……。未来の俺の言った通りの展開かよ」

 

アサヒが先程の未来の自分の言った事は間違ってないと認識するが、やはり何もできないのは悔しいものだ。

 

「そんな事……させない」

 

するとそこに傷だらけのツバサがましろに支えられて戻ってきた。それを見てヒョウが顔を青ざめさせる。

 

「ツバサ!?その傷は……」

 

「偵察に行ってやられたみたい……。無理したらダメだって言ったのに……」

 

「えるるぅ!」

 

エルが不安そうにそう言う中、ツバサは痛む体を何とか動かして声を出す。

 

「お役に立てず、申し訳ありません……」

 

「ソラ、何とかあのランボーグを浄化する事はできないか?」

 

シャララ隊長はソラの方を向いて問いかける。ソラはそんなシャララ隊長と目を合わせた。

 

「キュアスカイとキュアプリズムが手を繋いで放つ最強の技。確か名は……」

 

「アップ・ドラフト・シャイニング」

 

ソラはそれに賭けるしかないとましろの方を向くと彼女も頷く。そして、ツバサをヒョウへと預けると二人は外へと出ていった。それを見送るとユキもその後をコッソリと追いかけていく。

 

「(ユキは……ッ!?いない!?まさか!!)」

 

アサヒもユキがいない事にすぐに気がつくと急いでその後を追いかける。

 

そんな中、ソラとましろの二人はランボーグが視認できる王城の展望デッキのような場所に来ると二人揃ってミラージュペンを構えた。

 

「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

二人が変身を完了すると降り立つ。そして、ミラージュペンに二人同時にスカイトーンを装填した。

 

「スカイブルー!」

 

「プリズムホワイト!」

 

するとランボーグの真上にアップ・ドラフト・シャイニングのための円盤が出現。少しずつランボーグの体を吸い込み始める。そして、あと少しで中に入り始める瞬間だった。

 

 

「ランボーグ!」

 

いきなりランボーグの体から何本もの触手が伸びると円盤を捕まえる、そして、ランボーグがその円盤へと力を入れると円盤にはヒビが入り始めた。しかもそのダメージはスカイ、プリズムにも入るのか二人も苦しそうな表情を浮かべると片膝を着いてしまう。

 

「「ううっ……」」

 

するとその瞬間、二人のすぐ近くにヒューストムが降り立った。

 

「「……ッ!?」」

 

二人はアップ・ドラフト・シャイニングの維持で手一杯。ヒューストムに対応はできない。そして、彼はニヤリと笑う。

 

「苦しいだろ?そうやって頑張って踏ん張るのは。だったら俺がその苦しみを終わりにしてやる」

 

その瞬間、ヒューストムの腕に竜巻が生成。二人へと叩きつけようと振り下ろされる。

 

「させない!」

 

そのタイミングでキュアオーロラに変身したユキが割って入るとその攻撃を二人の身代わりとして受け、爆発に巻き込まれた。

 

「ッ!!」

 

「お、オーロラ……」

 

煙が晴れるとそこには傷だらけだったが、オーロラは耐えており足がガクガクとしながらも痛みに耐えてヒューストムをキッと睨みつける。

 

「あははっ。折角出てきたのにもうそんなボロボロか?足手纏いにしかなんねーな」

 

「ッ……」

 

その直後だった。ムーンライズが物凄いスピードでヒューストムに拳を叩き込んだのは。

 

「ぐはあっ!?」

 

「お前ら……絶対に許さないぞ!」

 

ムーンライズの目は怒りに染まっており、その力が爆発的に上昇しているのであった。

 




また次回もお楽しみに。
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