熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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今回も読んでいただきありがとうございます。

前々から説明してますが、諸事情があってこの小説の初期の話をアップデートをしています。概要等はまた小説のあらすじの方に改めて載せますのでよろしくお願いします。


リメイク中 リメイク版(アニメ10話)
太陽の向ける恋心


フェアリーパークでの出来事があった日から2日後となる平日の月曜日。この日の登校直後の事だった。

 

「それでね……」

 

「「ソラちゃん、ユキちゃん、ましろん!ちょっと話があって」

 

下駄箱で靴を履き替えた4人の所に来たのはクラスメイトの仲田と吉井である。どうやら彼女達は女の子組4人で話がしたいらしく。アサヒ以外の3人を呼んだ所だった。

 

「わかりました」

 

「アサヒ君は先に教室に行ってて」

 

「お、おう……良いけど」

 

アサヒは男子にはあまり聞かれたくない話だと察すると彼はただ1人で教室へと移動。するとそこに男子のクラスメイトで友達のひかると軽井沢がやってきた。

 

「よっ、虹ヶ丘!おはよう!」

 

「おはよ。ひかるに軽井沢」

 

「今日は珍しく女子組と一緒じゃないんだな」

 

「ああ、さっき仲田達が女子会するみたいな感じで何故か3人とも連れて行かれたよ」

 

アサヒは自分に話しかけてきたひかるや軽井沢に事情を説明すると2人は納得したような顔を見せた。

 

「ま、偶には俺達男子だけで話すのも良いんじゃないか?」

 

「別に俺は構わないけど」

 

「良し来た!じゃあ早速だけど、あの空を飛ぶ新しいプリキュアについてな」

 

アサヒはそれを聞いて少しだけ固まっていたものの、聞き捨てならない言葉が聞こえて慌てたような声を上げる。

 

「……んん?空を飛ぶ新しいプリキュア!?」

 

「そうだぜ!見ろよ」

 

すると軽井沢の持っていたスマホには何故か登場から1週間も経ってない新プリキュアであるキュアウィングの動画が映された。そのため、アサヒは目が点になってしまう。

 

「う、嘘だろ?」

 

「な?この男の子。空を飛べるプリキュアみたいでさ」

 

「ちょっ、待て待てこの映像誰が撮ったんだよ!?」

 

「へっへーん、実は俺が……」

 

「詳しい経緯は聞かない。だけどその動画、絶対拡散すんなよ?やったらどうなるか……」

 

「お、おう。わかったって、だから一旦落ち着け。アサヒ」

 

どうやら動画撮影の犯人は軽井沢であり、それを聞いたアサヒは拡散したら許さないと言わんばかりの圧をかけて黙らせた。そのため、軽井沢はその圧に冷や汗をかきつつ頷く事になる。

 

「まったく」

 

「あはは……まさかアレを撮ってるなんてな」

 

「本当に油断ならないよ」

 

アサヒがホッとした顔になる中、軽井沢の隣にいたひかるはキュアウィングの件を知ってるためにこっそりとアサヒへと話しかけた。

 

「コホン、気を取り直して。実は俺の方から2人に聞きたい事がある」

 

「「……え?」」

 

「2人には気になる子はいるのか?」

 

すると軽井沢は咳払いしつつ2人へとプリキュアとは別の新たな話題を持ち込む事に。それが気になる女子の話だ。そして、軽井沢からの質問に2人は真面目な顔つきへと変わる。この話は身近な女子がいる前ではなかなか話しづらい事。そのため話に乗ることにした。

 

「なるほど、女子がいない今のうちにってやつか。それにしても何で急に?」

 

「えー?俺だって自分の周りの子達の恋愛事情とかも気になる年頃なんだよ」

 

「まぁ、それはわからなくもないか」

 

アサヒも軽井沢の意見には共感できる点がある。彼もまた年頃の男子。普段から男女が混ざって話しているグループにいる彼にとって、男子だけの時くらい可愛い女の子とかの話で盛り上がりたいのは同じだ。

 

「良いぜ!俺の気になる子は……」

 

「ストップだひかる。俺達の方から話しても良いけどここは軽井沢、お前の話から聞こうじゃないか。話を持ちかける以上はこのくらい当然だろ?」

 

「確かにそれも一理あるか。じゃあ俺から話すぜ」

 

アサヒはそう言って軽井沢に先に話をさせることにした。疑うわけでは無いが、流石に自分達だけ喋って聞き逃げなんてされたらフェアではない。そのため、軽井沢に先に話させる事で聞き逃げをされないようにする。

 

「俺はやっぱり仲田か吉井かな。どっちか片方だけなら吉井の方だ」

 

「へー、まぁ無難な所だな。いつも喋ってるし」

 

「あ、でもあくまで俺の場合は友達としてだからな」

 

軽井沢の答えは無難な所を行っており、彼の様子から嘘は無さそうだった。アサヒとしてはあまり面白味が無かったが、それも仕方ないだろう。何しろ軽井沢達の話し方は外から見ても友達の範疇だと分かる程であるのだから。

 

「次はひかるだな。お前はどうだ?」

 

「ああ、次は俺だな!俺は……ッ」

 

するとひかるは先程までの勢いがいきなり途絶えてしまうと僅かに顔を赤くしてしまう。そして、そんな反応をすれば意識する気持ちは一発でわかるわけで……。

 

「おい待て、ひかる。お前……」

 

「いや、何でも無い」

 

「お前、それで誤魔化してるつもりか?」

 

ひかるは済ました顔をしたものの、僅かに残っていた彼の顔のニヤけは消えていない。アサヒも軽井沢も彼の反応がとってもわかりやすいと思うがここは話しやすいようにあくまで普通に聞くことにした。

 

「脈ありだな。で、その相手は誰なんだ?」

 

「え!?それは……その……」

 

「うーん、だったらタイプだけ聞いておこうか」

 

ひかるが質問に対して口籠ったのを見てアサヒは話の方向性を変える。流石にこのまま攻めてもひかるを困らせるだけで、これ以上の進展が無いと感じたからだ。

 

「えっと、気が強くて。周りから見たら近寄りがたいけど、本当は内に秘めた可愛らしさを恥ずかしがりながら口にするみたいな。一言で言ったらツンデレ?みたいな子」

 

「なるほどな〜。ひかるはツンデレな子が気になると。言ってくれてありがとな!意外な一面が見れたよ」

 

軽井沢が嬉しそうに頷いているとアサヒはその特徴を持つ女子に1人だけ心当たりがあった。それは春休みの最終日に一緒に行動した並行世界の友達、風波らんこのことである。

 

「(うーん。ひかるが言ったその性格だと前に会ったらんこさんっぽいよな。あ、でもあの子は恥ずかしがり屋には見えたけどツンデレって言う程では無いか)」

 

アサヒはこう言ってはいるが、実は彼女。ツンデレと恥ずかしがり屋の両方の属性を併せ持っている。

 

ひかるはそんならんこのツンデレな部分を知っているが、アサヒが出会った時は周りを拒絶してばかりだったために変わった後のらんこについては知らない。そのため解釈違いだとアサヒは割り切ってしまう。

 

「(それに、あの子とはひかるは度々世界を飛び越えて会ってるみたいだけど流石にな?そんなすぐには好きになったりしないだろう。うん、きっとそうだ)」

 

アサヒはもし仮に2人が付き合う事になれば世界を飛び越えた超遠距離恋愛をする事になってしまう。そのため、そんな2人を想像するとあまりに非現実的過ぎるという答えに辿り着いた。

 

そう言う事もあってアサヒは一旦この件は先送りにするとそのタイミングで2人からの目線が自分に向けられている事に気がつく。

 

「さーて、俺達の番が終わったし……」

 

「次は虹ヶ丘の番だぜ!」

 

「……やーっべ」

 

アサヒはどうにかして誤魔化す手立てを考えた。勿論約束なので最低限は答えるつもりだが、今ここで2人に自分の気になる人……ユキの事を知られるのは面倒である。

 

何しろ、どちらもクラス内ではムードメーカー的立ち位置で少々口が軽い。下手をしたらこれをクラスどころかそれを起点に学年中にまで広められる危険がある。

 

「俺達は言ったんだ」

 

「お前だけ逃すつもりは無いぞ」

 

「わかってる。でも残念だったな。俺には気になっている子なんていない」

 

アサヒは渾身のポーカーフェイスを作り上げると息を吸うように平気で2人を誤魔化そうとした。ただ、こんなやり方では当然軽井沢が声を上げるわけで。

 

「嘘だ!お前同学年の女子3人と同居してるんだろ!誰かしらとはフラグの1つや2つ。立ってるはずだ!」

 

「そうだそうだ!このハーレム野郎め!」

 

「ハーレム野郎って完全に風評被害だろ……」

 

アサヒは2人からの嫉妬の渦に呆れたような目線を向けるとため息を吐きつつチャンスくらいはあげる事にした。

 

「そんなに言うなら俺の気になる人を当ててみろよ。ちなみにチャンスは2人合わせて1回な」

 

「はぁああ!?」

 

「お前ちょっとケチ過ぎないか!?」

 

「このくらい当然の権利だろ!というか、2人に解答権あげたら特定されるんだよ!」

 

アサヒの言う通り、仮にユキ、ソラ、ましろの誰かが気になる子だと考えた場合……もし2人にチャンスを与えたら特定にまで持って行かれてしまう。そう考えての2人で1回分のみである。

 

「しょうがないな」

 

「じゃあ言わせてもらうぞ」

 

「……うん?何だ、何でそんなに答えに迷いが無い」

 

アサヒはこの時点で嫌な予感がしていた。2人で1回の解答権であれば普通少しは話し合うはずだ。それなのに2人の言い回しだと最初から答えが決まっているような口振りであり、彼は冷や汗をかき始める。

 

「(嘘だろコイツら。まさか、与えたチャンス1回で特定されるんじゃ……)」

 

そして次の瞬間、アサヒの嫌な予感は的中。2人は自信たっぷりな様子で答えを言ってしまう。

 

「「ユキさんだろ!」」

 

「………はぁ!?」

 

2人は迷う事なくアサヒが意識する相手はユキだと答えるとアサヒの心は驚きのあまり一瞬凍りついてからガタガタと体を震わせてあからさまに動揺する。

 

「ち、ち、ち、違うし……。俺がす、す、好きなのはユキじゃ……ユキじゃねーよ」

 

「あからさまに動揺してるねぇ。しかもお前。気になる子って質問されてるのに何で好きな子って言い方をするんだ?」

 

「えっ?……あっ」

 

そして、アサヒはそこまで言った所で自分の失言に気がつく。何しろ、彼が質問されたのはあくまで気になる子だ。好きな子では無い。

 

「あ……ああ……」

 

「珍しく動揺し過ぎたな、アサヒ」

 

「でもあれだけユキさんの事を特別扱いしてたらバレバレだっての」

 

「どこが!?別に俺はユキの事特別扱いしてるわけじゃ……」

 

アサヒはこの期に及んでユキが好きな事を隠すために見栄を張っては誤魔化そうとする。しかし、2人には……というよりはこのクラスメイトの中で知らないのはユキ本人と色恋には鈍感なヒーロー。ソラくらいと言える程にアサヒがユキに恋してるのは知られていた。

 

「おいおい、まさかと思うけど無意識だなんて言わせないぞ?この前ユキさんにわからない所で頼られた時、明らかに優しい話し方で接してただろ」

 

「ユキさんが頑張り過ぎないようにクラスのノートを配る時とか率先してして手伝ってよ」

 

「ユキさんと喋る時だって顔が少しだけ嬉しそうになってるし」

 

「下校の時もしれっとユキさんが車道に飛び出さないように車道側を歩いて。尚且つ前に一回転びそうになった時とか優しく支えてたよな」

 

「な、何で全部バレてるんだよ。こんな事が……」

 

アサヒはこれらの行動からユキの事が好きだと周囲から完全に見破られていた。唯一、ソラだけはアサヒはユキが傷つかないように色々注意してくれてると有り難さを口にするのみで全く気がついてなかったが……それ以外の人にはユキに対しての特別扱いとして通っていたのだ。

 

何にせよ、ここまで自分の気持ちがバレているのはアサヒにとって完全に誤算である。するとそんな風に動揺するアサヒを尻目にひかると軽井沢はある事を言い出す。

 

「作戦大成功!」

 

「ああ、しっかりと言質取れたな!」

 

「「イェーイ!」」

 

「……は?言質?」

 

ひかると軽井沢はテンションが上がったからか2人はハイタッチ。するとアサヒはハッとして急いで思考を巡らせる。同時にそもそも何故こんな事になったのか。それについて、この学校に来てからの事を思い出すと段々と全容が見えてきた。

 

「さてはお前ら……仲田や吉井も含めて全員グルだな!?」

 

「何の事だかわかりませーん!」

 

「へへっ。前々から予想してたけど、虹ヶ丘はユキさんの事好きなんだな!」

 

「クソッ、コイツら俺の事全員でハメやがった!!」

 

アサヒはここに来てようやく自分は4人がかりで嵌められたと思った。しかし、もう全てが遅い。これにより、完全に弱味を握られてしまう。

 

「じゃあ、早速深掘りするぞアサヒ」

 

「ぐ……だ、誰がそんなのに素直に答えるか……」

 

「えー?良いのか?ユキさんにバラしても」

 

「あーもう!素直に答えれば良いんだろ答えれば!!」

 

アサヒは最後まで抵抗しようとするが、ちゃんと答えないなら気持ちをユキにバラすと言われてしまう。こうなると最早逃げ道など無い。

 

アサヒとしては折角ユキが自分の向ける気持ちに気づいてないのなら気持ちを伝える時くらいちゃんとした舞台を用意しようと思ってさえいた。それなのにここでバラされたら全て水の泡となってしまう。

 

そんな事もあってここは2人からの質問攻めに対して大人しく屈服せざるを得ず。そのまま彼等からの質問を受ける事に。

 

「アサヒってユキさんのどういう所が好きになったんだ?やっぱり可愛い所か?」

 

「別に……確かに落ち着いてる今考えたら可愛いっていうのは好きになった大きな理由かもしれない。だけど、会ったばかりのユキは全然自分に自信を持ってなくて」

 

アサヒが思い出すのは事あるごとに自分の事を卑下しては他人に対して顔色を伺ってばかりのユキの顔であり、その時のユキは兎に角自分以外のために過剰な程自分を犠牲にする行為が目立っていた。

 

「そんなユキの事が心配で。少しでも自信を持ってほしくて。その時は下心とか何にも無かったんだけどさ。でも、段々ユキが明るく振る舞うようになって笑顔を見せる度にその……ユキの色気みたいな所に気がついて」

 

「なるほどなぁ。最初はユキさんを助けるために必死だったから気が付かなかったけど、一緒に過ごす内にユキさんの可愛さに毒されたって感じか」

 

「毒されたって……。でも実際可愛いし、ユキの事を下心無しに助けられる男なんていないだろ」

 

アサヒは恥ずかしさでどんどん顔が赤く、体が熱くなっていくのを感じると声も少しずつ小さくなってしまう。これはもう完全に意識している男の子としての反応だった。

 

「(ッ……そっか。俺がらんこさんの事を意識し出したのも多分こんな感じなんだろうな)」

 

同時にひかるも自分がらんこに対して気持ちを伝えたい程に好きな気持ちが芽生えたのは案外アサヒがユキに気持ちを向ける時とそこまで変わらないのだと考える。

 

「でも、そうやって聞いてるとアサヒは運が良かったよな」

 

「え?」

 

「だって、ユキさんが一番大変な時に下心無しで彼女を助けたんだろ?」

 

「まぁそうなるのかな……」

 

「そのお陰でユキさんからの好感度とか爆上がりじゃね?」

 

「確かに。ユキさんの方もアサヒに対してメチャクチャ意識してる所あるだろ」

 

軽井沢の言葉を聞いてアサヒは困惑したような顔つきを見せた。何しろ、自分が想いを寄せている相手“ユキが自分を意識してる”なんて言われれば動揺するのも当たり前だろう。

 

「いやいやいや、無い無い。少なくともユキはそんな素振りなんて見せてないって」

 

「は?お前何言ってんだよ。ユキさんのあの距離感見て好意が無いって言う方が無理だろ」

 

軽井沢はあくまでユキから向けられる好意を否定するアサヒに対してこちらもまた困惑する。何故こんなすれ違いが起きるのか……理由は簡単。

 

ユキはアサヒと出会ったばかりの頃から一貫して似たような距離感でいるからだ。つまり、他人から見たら恋人の距離感でもユキとアサヒが仲良くなる頃にはもうとっくに2人共恋人レベルの距離感で接してしまっていたわけで。そのせいでアサヒの中ではユキがこの距離感で接するのは当たり前という形で刷り込まれてしまったのである。

 

「アサヒの中ではそうかもしれないけど……なぁ?」

 

「ああ、俺にだってユキさんの接し方がアサヒだけを特別扱いしてるってわかるぞ」

 

「えぇ……」

 

ひかるも軽井沢も普段からユキとあんな近い距離感で接したせいでアサヒの脳内感覚がバグってしまった事に呆れてしまう。それだけユキという劇薬によって脳を焼かれ、アサヒの心はとっくに彼女色に染まってしまったのかもしれないという事なのだろう。

 

こうして、それからも時間が許す限り2人からの質問攻めは続くとアサヒはそれに答えるので手一杯になってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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