プニバードの村での災害を無事に解決したユキ達。そんな中、城に戻るとまずは王様達にこの事を報告。そして、それと同時にヒョウの容姿についてもソラ達知り合いからは驚かれた。
「ええっ!?」
「ヒョウちゃんが……」
「女の子ですか!?」
ツバサはこの時、ようやく理解が追いついた。何故彼女が一緒にお風呂に入るのを嫌がったのかという事を。
「でも変だよね……こんな急に女の子みたいな態度で」
「いいえ。むしろヒョウさんは今までずっと我慢してきたんです」
「そうだよ。これからは女の子らしい態度でも全然大丈夫だから」
ソラやましろにフォローされてヒョウは嬉しそうだった。そんな中、ツバサがヒョウへと話しかける。
「え、えっとヒョウさん。村の様子はどうでした?」
「別に。特に大きく変わったとかは無いわ。皆元気そうだったし」
「そうですか……」
「ねぇツバサ」
「は、はい!」
「ツバサ、どうしてそんなに余所余所しい態度なの?別に私とツバサの仲なんだから普通に接すれば良いじゃない」
そうヒョウが言うがツバサは心の中で首を横にブンブンと振った。やはりどうしても男だと接していたのが女の子だとわかると気持ちは受け止めきれないわけで。
「わかりました……(って、無理ですよ!ヒョウがまさか女の子だなんて。しかもいきなり可愛い格好になって。反則ですよ!)」
ツバサが心の中でパニックになる中、アサヒがヒョウへと揶揄いにかかる。
「やっぱりヒョウ。女の子よりも男の子の方が……」
「ふん!」
その瞬間、アサヒの腹にヒョウからの肘打ちが命中。アサヒは痛みに悶えた。
「ぐふっ!?な、何で……」
「アサヒ君、今のは……」
「うん。デリカシー無いし、アサヒが悪いよ」
そんなやり取りをユキ達がしてその日はそのままそれぞれが別れて休む事に。それから数日の時が経った。今は夜のスカイランド。その街中では轟音と共に戦闘が開始されている。
「ランボーグ!」
「「はあっ!」」
ランボーグに立ち向かうのは青の護衛隊として戦っているキュアオーロラにキュアスカイ。更にシャララ隊長だ。ランボーグ相手にプリキュアからのダブルパンチが炸裂するとランボーグは怯む。そのタイミングでシャララ隊長が切り裂いてトドメを刺した。
ある時は昼の真っ只中。王城の前に出てきたランボーグに対して立ち向かう。
「ここで止めるぞ」
シャララ隊長の号令に一同が答え、戦うとトドメを決めたのはペギンだ。
「だだだだっ!」
ペギンの拳速から繰り出される百裂拳によってランボーグはボッコボコにされるとそのまま撃破されて消える。
「ランボーグ……」
またある時は昼の街中で。シャララ隊長がランボーグを切り裂き、更にベリィベリーが電撃を纏わせたパンチで倒した。
「誰一人傷つけさせない!」
そしてまた別の時はスカイが、更に別の時はオーロラが。浄化技で倒していく。
「ヒーローガール!スカイパンチ!はあっ!」
「ヒーローガール!オーロラミラージュ!」
「「スミキッタァ〜」」
二人の技も見事に決まり、ランボーグを浄化する事に。プリキュアと護衛隊の面々は次々と勝利を収めていく。そんな中街の人々はランボーグを倒した護衛隊を讃えた。更に王城でも王様達は防衛の成功を喜んでいた。
「これで十体目。バッタモンダーにヒューストム。更にアンダーグ帝国もそろそろ懲りた頃だろう。よくやってくれた!ヒーロー達よ。これからも力を合わせてスカイランドの国民達を守り抜いて欲しい」
王様はスカイランドのために力を尽くす護衛隊の面々を褒め、その様子をアサヒ達も喜ばしい様子で見ていた。しかしそんな中でユキは一人懸念を持っている。
「(変だ。幾ら何でもあっさりすぎる)」
しかし、その懸念の正体まではわからない。そのため、ユキはモヤモヤは募る一方であった。そんな中、シャララ隊長やソラ達がスカイランドの田舎の村での悩み事を解決しに出かけていく。これもまた立派な護衛隊の仕事であるからだ。
残されたユキ達はいつものように警戒はしつつも平和な時を過ごしていた。今は丁度ご飯時なのでユキはヒョウと共に食堂でご飯を食べている……のだが、ユキはなかなか箸が進まない様子だった。
「ユキ姉さん?どうしたの?」
「え?」
「何だか思い詰めているような顔だよ?」
「……言われてみたらそうかも」
「私で良ければ相談してくれない?」
ヒョウの言葉にユキはありがたく相談に乗ってもらう事になる。ユキはひとまずヒョウに事情を説明した。
「ここ最近ランボーグを出し続けているバッタモンダーやヒューストムがこんなに簡単に諦めるのかなって」
「うーん。そう言われると怪しいわね。でも、今の所は対処できてるでしょ?」
「そう言われればそうなんだけど、ほら。今の所合体技が使えるのってソラちゃんとましろちゃんの二人の技だけだから」
それを聞いてヒョウは疑問に思う。ユキとアサヒにも合体技があったはずだから。
「あれ?ユキ姉さんとアサヒの使う技は?」
「えっと、何だかはわからないけど新しいプリキュアになってから何度か試したけどどれだけそのスカイトーンを使っても発動しなくて……」
つまり実質的な機能停止である。そのため今使える合体技はスカイとプリズムのアップ・ドラフト・シャイニングだけ。もしそれが何らかの原因で使えなくなったり、通用しないという事態に陥れば確実に負ける。
「あ、そういえばヒョウ。その、女の子の格好をするようになってから何か違和感とか無い?ほら、動きにくいとかあるかもだし」
「それは大丈夫よ。少しずつ慣れてきたから。それと、やっぱりユキ姉さんを騙していたのは本当に……」
「ううん。事情が事情だったし。それに私もあの頃はいっぱいいっぱいだったから」
そんな事を話しているとそこに声をかけてくる人がいた、それは偶々近くを通ったペギンである。
「隣、良いかしら?」
「ペギンさん!」
「何だか楽しそうな話し声が聞こえてね。私も混ざって良い?」
「はい!」
それから三人でガールズトークに花を咲かせる、その様子をアサヒが羨ましそうに見ていた。
「うぅ……ユキ、楽しそうだな」
「いつもはユキちゃんの隣はアサヒが独占してるし、偶には良いんじゃないかな?」
そんなアサヒをましろが宥める。それでもやはりアサヒはユキが好きな気持ちを隠せていない様子だった。
「でもさ、こうして見ると俺はヒョウにずっと我慢させてたんだなって思う。だからああやって笑っているヒョウを見るのはなんか嬉しいな」
「そうだね。……あ、そういえばアサヒ。私達、そろそろソラシド市に戻らないといけないから」
それを聞いてアサヒは一瞬硬直するとそのまま僅かに肩を震わせる。ましろは更に言葉を続けた。
「ユキちゃんやソラちゃん達と別れるのは辛いけど、いつかはこうしないといけない。だからアサヒも……」
「わかってる。……わかってはいるんだが……」
「……アサヒ君?」
するとそんな中、辛そうにしているアサヒに気がついたのかユキが声をかけてくる。
「アサヒ君?どうしたの?」
「……ッ!ユキ……え?ペギンさんやヒョウと話してたはずじゃ……」
「えっと、二人から話して来いって言われて……。多分、アサヒ君が思い悩んでたのってお別れの事だよね?だからちゃんと最後は話してきた方が良いって」
それを聞いてアサヒは二人の心遣いに感謝すると共にユキを連れて一旦王城の中の自分が宿泊している部屋にまで行くことになった。
そして、その様子を見届けたペギンとヒョウはまた別れるとヒョウはましろの元に行く。
「ヒョウちゃん?ユキちゃんともっと話さなくて良かったの?」
「本当はそうしたかったんだけど……ユキ姉さんはアサヒとちゃんと最後に話した方が良いって思ったから。アサヒとユキ姉さんが付き合うって話になって正直嫉妬の気持ちは沸いたし、我慢もしてきたけど……。でも、それでもユキ姉さんが幸せになったのはアサヒのおかげ。だから私は二人の幸せを願うわ」
それからましろとヒョウの二人は気を利かせるとアサヒ、ユキとは別の所に行くことにした。
「あ、そうだ。ツバサ君の所に行かないと」
「?どうして?」
「ほら、私達が帰るって事を伝えないといけないし。あとエルちゃんにも」
「わかったわ。私も行く」
こうして二人はツバサと彼が子守りをしているエルの元へと移動を開始。そして当の本人達はというと……。
「こうして、プリンセスは末長く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」
「えるぅ!」
ツバサがエルへと本の読み聞かせをしていたのだ。そして、それが終わるとエルはお昼寝の時間……なのだが。
「さぁプリンセス。そろそろお昼寝の時間ですよ」
「……える!」
エルにはまだ寝るつもりが無いのかプイッとしてしまう。そしてそんなエルをツバサが宥める。
「お昼寝しないと」
「えるるぅ!」
「もう。イヤイヤ期にはまだ早いでしょ」
すると部屋の扉がノックされ、開けられるとツバサにとって見知った男女がやってきた。それは人間態となったツバサの両親である。
「……え?」
その直後、三人はプニバードの姿に変わると家族の再会の場面となった。ただ、その様子は一方的に息子に会えて安心した両親がツバサに抱きつくと言ったものだったが。
「ツバサ!」
「ツバサちゃん!」
「ええっ!?父さん!?母さん!?」
そんな中、エルは嬉しそうな顔つきである。そして、ツバサの父親、カケルがエルへと挨拶をし始めた。
「おお、プリンセス。申し遅れました。私、ツバサの父で……」
「って、何で来たの!?」
「王様から連絡をいただいたんだ。というか、村の危機に何で戻って来ないんだよ」
どうやら前のプニバードの村での災害の際に家族と不仲だったヒョウが来たのに対し、ツバサが戻って来なかった事について何故来なかったのかと問い詰めた。
「全く。せめて親に顔ぐらい見せに来るのが当たり前だろ」
「仕方ないじゃん。ボクはプリンセスの騎士だし、ちゃんと側にいないとダメだから」
「ツバサちゃんはずっとイヤイヤ期なのね」
「赤ちゃん扱い!?」
ツバサの母親のプワはツバサを抱きしめるとツバサをまさかの赤ちゃん扱い。そのままツバサが恥ずかしがっていると声を上げた。
「とにかく離してよ!こんな所誰かに見られたら恥ずかしいじゃないか!」
「ちょっと良いかな?」
「あーいたいた。ツバサにエルちゃん。それにツバサのご両親も」
そこにタイミングが良いのか悪いのか。ましろとヒョウがやってくると声をかけた。
「うわぁああっ!」
「あ!もしかしてツバサ君のパパとママ!?初めまして!」
「えっと、ご無沙汰してます」
するとヒョウはポンと音を立てると人間からプニバードとなって挨拶をする。そして、ましろがヒョウを抱いた。
「虹ヶ丘ましろさんにヒョウだよ。向こうの世界で一緒に暮らしてた」
「「ええっ!?」」
それを聞いたツバサの両親はいきなり驚き、ツバサは唖然とする。そして、二人はツバサを問い詰めた。
「お前、暫く見ない間に結婚したのか?」
「違うから!?」
「ツバサちゃん。もしかして二人となの!?普通は一人だけなのに!」
「だから、違うってば!」
ツバサが必死に弁明しようとする中、ましろは困惑し、ヒョウは僅かに顔を赤くすると更に爆弾を投下する。
「一年間も隣で過ごした仲だし。べ、別に私。ツバサとだったら……良いわよ?」
「ちょっ!?ヒョウ!余計な事言わないで!更にややこしくなるからぁああっ!」
ツバサはヒョウからの爆弾をどうにか処理するために奔走する中、ましろが小声で問いかける。
「そういえばヒョウちゃん。ツバサ君とは……」
「うん。まだそういう関係じゃ無いよ。でも、正直ツバサに惹かれてるところはあるかなって感じ」
「そうなんだね」
そんなわけでヒョウからの言葉の火消しをしていたツバサはだいぶ苦労し、ヒョウはそんなツバサを微笑ましい目で見るのであった。
また次回もお楽しみに。