ユキ達がスカイランドから戻って少しの時が経った。今現在、虹ヶ丘家では平穏な日常を過ごしている。
「ふぁああ……おはよ、ユキ」
「おはようアサヒ君。今日は私が朝ごはん作ったんだ!」
「え!?マジ!?」
そう、今回は初めて一人でユキが朝食を作ったのである。今までは料理が下手だったためにましろが隣にいたのだが、今回は本当に一人だけで作ったのだ。そして、食卓に並べられた食事はどれも美味しそうな物ばかりである。
「やべぇ……どれも美味しそう」
「凄いですよユキさん!」
「今まで料理が下手だったのにこんなに上手くなって」
「えへへ……そう言ってくれると嬉しいな」
ユキはこちらの世界に来てからましろに手伝ってもらいつつ料理のトレーニングを積み、少しでも美味しい料理を作れるように努力した。それがようやく実を結んだ形である。それからアサヒは一人、全員が揃ってないのにつまみ食いをしようとする。その瞬間、その手をバシンと叩かれた。
「痛ぁっ!?」
「……アサヒ。ユキ姉の料理をつまみ食いしようとしないで」
「てめぇ、ヒョウ!毎回毎回手を出しやがって!」
「あんたが余計な事をするからでしょうが!」
この光景もいつもの事である。そして、ユキ達は全員が揃ったところで朝食を食べる事になる。
「はむっ!美味しいです」
「ユキさん、凄い成長してますよ!」
「この前のアップルパイと言い、本当に料理が上手くなったよな」
ユキはベタ褒めされた影響か恥ずかしそうに顔を赤らめる。しかし、それでもユキが成長しているのは事実だ。初めは不味いご飯しか作れなかったのに大きな進歩である。それから一同は朝食を摂り終えると最後の片付けまで行った。
「うー……てか今日は特に予定無いからなぁ」
「うん。どうしようね」
「でしたら皆さんで双六……というものをしませんか?」
「良いね!やろうやろう!」
そんな感じで一同は双六をやる事になった。参加メンバーはユキ、アサヒ、ソラ、ましろ、ツバサ、ヒョウの六人である。かけるは買い出しのために自分の車に乗って移動しているのでここにはいない。
「じゃあさっそくケンジャンをしましょう!」
「……ん?ケンジャン?」
「あ、もしかしてこっちの世界のじゃんけんの事?」
どうやらスカイランドではじゃんけんの事をケンジャンと呼ぶらしい。ここでも文化の違いが現れていると言えよう。
「じゃあ行きますよー!じゃんけ……」
その瞬間だった。突如として虹ヶ丘家の庭の方から何かの音が聞こえたのは。
「いたた……あれ?ここって……」
慌てて一同が外に出るとそこにいたのは緑がかった癖毛とそばかす、大きく丸い目が特徴的な小柄な少年であり、その姿にアサヒとユキは見覚えがあった。
「出久君!?」
そこに現れたのは以前彼の並行世界の面々と一緒にフュージョンと戦った存在。緑谷出久である。
「どうしてここに?」
「えっと、それがプリキュアの事を纏めたノートを見返して、キュアサンライズやキュアスノーのページをみていたらいきなりノートが光り始めて……。そのまま吸い込まれたって感じ」
「えっと、それってあそこに沢山落ちてるノートの事?」
ヒョウが指差す先には出久の言っていたヒーロー分析ノートが全て落ちており、それは何冊も何冊もあった。
「ああっ!あれ僕のノート!」
「嘘、あれ全部出久が書いたのかよ。凄いな……」
アサヒが関心する中、出久がそのノートを拾おうとした瞬間。突如としてそのノートが宙に浮き上がるとその近くにワームホールが開いた。勿論そんな物を見れば一同は驚くわけで。
「なっ!?何だ!?あれ!」
「誰かがこっちに来るんじゃ……」
その瞬間、現れたのは一人のマジシャンのような黒いスーツ姿に帽子を被った男が姿を現す。その男は大量のヒーロー分析ノートを宙に浮かせたまま奪ってしまう。
「おやおや。どうやら面白いものを手にできたようですねぇ」
「何ですかあなたは!」
「私はアンダーグ帝国お抱えのマジシャン。ドッキリーヌです」
どうやら彼はアンダーグ帝国からやってきたらしく、丁寧に挨拶をすると会釈した。
「そのノートを返せ!」
「残念ですがこれは私が預かっておきます。返して欲しければ私と勝負をしてください」
その瞬間、ドッキリーヌが指を鳴らすとユキ、アサヒ、ソラ、ましろ、ツバサ、出久の六人の姿が消えてしまう。
「ッ!?え?皆!?何で!?」
一人取り残されたヒョウ、そしてヒョウが抱えているエルのみがその場にいるのみだった。
その頃、飛ばされたユキ達六人はと言うとドッキリーヌが作り出したと思われる空間にいた。周囲を見渡すとそこには足元にスタートと描かれたマス目のような物があり、サイコロのマス目のような物が広がっていた。
「何これ!?」
「これって、双六のような空間?」
「サイコロもありますし、恐らくそうですね」
そこにこの場所に連れて来させたドッキリーヌが姿を現すと一同に告げる。
「さぁ、プリキュア共よ。変身しろ。そしてこれからプリキュアになった状態でこの双六をやってもらう。
「双六ぅ?あのなぁ、どこの誰がはいそーですかってそんなのやるんだよ!」
「この双六をクリアしたらこの空間から出すと言ってもやらないって言うのかな?」
「良し皆さっさとこの双六をクリアしようぜ!」
「手のひら返し早すぎない!?」
ましろがアサヒにツッコミを決める中、ひとまず六人は変身するためにミラージュペンを構えて光に包まれた。
「「「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」」」」」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」
「夜空にひろがる煌めく幻想!キュアオーロラ!」
「日暮れにひろがる輝く月!キュアムーンライズ!」
「覆いひろがる途切れない希望!キュアクラウディ!」
「「「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」」」
六人が変身するとドッキリーヌが改めてルールを説明する。とは言っても単純で、サイコロを振って出た目の数だけ進み、ゴールにまで辿り着くと言ったものだ。
「じゃあ早速振りましょう!」
スカイが手にするとサイコロを振る。すると最初に六の目が出てきた。六ならばかなり運がいい。
「やりました!六です!」
それから六人は光に包まれると共に六マス進むとそこの止まったマス目の表記を見る。そこにはPK対決という物があった。
それから一同がワープするとそこにはサッカーのグランドやゴールが存在し、ルール説明がなされた。
「これからここでPK対決をしてもらいます。そちらは三人に出てもらい、ボールを一人一球ずつ蹴り誰か一人でもゴールを決められたらそちらの勝利です」
「サッカーのPK対決……」
「ちなみにそちらは一人だけ助っ人を用意する事を許可します。ただし、選べるのはこのノートにメモされているプリキュアのみ」
すると複製されたヒーロー分析ノートが出てくるとオーロラ達の手元に置かれる。
「誰が出るかはそちらの自由ですし、助っ人を使わないという手もありますので。どうぞそこはご自由に」
「なるほど。要するにゲームにクリアすれば良いってことか」
「取り敢えず、誰が出ます?」
「スカイ、サッカーはできる?」
「はい!私、つい最近授業でやりましたし問題ありません!」
「なら俺も行くよ。あと一人は……」
スカイ、ムーンライズの二人が出るのを表明し、残す枠は一人。ただ、助っ人も使えるのなら適任者を探すべきと考える。
「このキュアルージュとかどうかな?フットサルやってるし」
「その方が良さそうですね」
するとオーロラ達が決定ボタンを押すとちゃんとキュアルージュが召喚された。
「情熱の赤い炎!キュアルージュ!」
ルージュが名乗りを上げると特段驚いてない所から一応本人のコピーであるという事がわかった。
「順番はルージュ、スカイ、俺で行く」
それを受けて電光掲示板にそれぞれ三人の顔が表示されるとまずはルージュから蹴ることになった。するとサッカーボールが現れてルージュが構える。
「それではどうぞ!」
「はあっ!」
それからルージュが走っていくとサッカーボールを思い切り蹴り飛ばす。そしてそれはゴールへと一直線に向かっていった。
「やった!あれなら決まる!」
すると次の瞬間。突如としてゴールにランボーグの目とモヒカンが出てくるとゴールは勝手に動いて避けてしまう。
「………え?」
「はぁ!?おいふざけんな!」
「残念!ルージュのシュートはミスです!」
それを見た瞬間、流石のルージュも怒りを露わにすると声を上げた。
「ちょ!スポーツを何だと思ってるのよ!何勝手に避けてんのよアンタ!正々堂々と……」
その瞬間、召喚されたメンバーだからか文句を言ってる途中で強制退場させられてしまう。
「酷すぎる……」
「幾ら何でもこんなのは……」
「別にこっちはゴールが動かないとか一言も言ってないし」
「ズルすぎですよ!」
ひとまず次はスカイの番だがこのままでは確実にまた失敗だろう。どうすべきか悩んだ末に取り敢えず蹴ることになる。
「集中です。ひとまずど真ん中を狙えばあのサイズなら躱せないはず!」
スカイは直線で打ち込むために思い切りゴールのど真ん中を狙ってシュートを放った。このコースとスピードなら先程のように端を狙ってない分、躱すまでに時間がかかる。
しかし、その瞬間、いきなりゴールから腕が生えるとシュートをブロックしてしまった。
「ゴールから……」
「腕?」
次の瞬間、スカイの所にもバツマークが付いてしまう。流石にこれでは酷すぎる。どうしようもできないと思われたその時。ムーンライズはある作戦を思いついた。
「おい。一応聞くがこのゲームってルール無用だよな?」
「まぁそうなりますね」
「じゃあ決めても文句言うなよ?」
「ムーンライズ、何か作戦でも……」
「ああ。俺にしかできない手だ」
それからムーンライズが走っていくとシュートを放つために蹴り出す。それはゴールの角を狙ったものだ。しかし、これでは先程と同じ。躱されて終わりになってしまう。
「馬鹿ですねぇ。それじゃあ躱されて終わり……」
しかし、その瞬間ランボーグの目の部分に何かのエネルギー弾が飛ぶとそれが発光。ランボーグは眩しさのあまりボールを見る目を潰されてしまう。
「ランボ!?」
そしてランボーグが混乱する間にゴールが決まり、三本目にして成功した。
「あれって……」
「ああ。ボールのコースを端にする事で死角から予めコースを設定して放つ弾丸を近づかさせるためだ」
「凄い。僕と会わない間に新しい姿だけじゃなくてこんな能力も」
クラウディが驚く中、ドッキリーヌは悔しそうにしつつもルール無用と言った手前今の行為を咎める事ができない。
そのためオーロラ達プリキュアは第一ステージをクリアする事に成功するのだった。ただし、まだこれは序章にすぎない。まだまだ双六のゴールまでの道のりは果てしないのだから。
また次回もお楽しみに。