熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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プニバード族コンビにとっての思い出の味

プリキュア達を襲撃してきたカバトンに対し、彼の呼び出したランボーグを返り討ちにしたプリキュア。そして、ランボーグがやられたカバトンはと言うと……。

 

「なぁあああっ!?何でこんなにあっさりやられちゃうのねん!」

 

「カバトン、あとはお前だけだけどどうする?」

 

「ぐぬぬ、シャドーの奴め。何でこんな時に限っていないのねん!」

 

それを聞いてプリキュア達は確かに心の中に引っかかる部分があった。普段ならカバトンと一緒にいるか、戦いが始まった直後くらいには参戦してくる彼が今日は妙に参戦が遅い。それこそ、不気味さを感じる程にだ。

 

「皆さん、警戒してください。シャドーは不意打ちを狙ってるかもしれません」

 

「でも、それはそれでシャドーらしくは無いと思いますけどね」

 

プリキュア達がシャドーの不意打ちを警戒しつつ目の前のカバトンの次のリアクションを見ていた。そして、注目のカバトンの行動というのが……。

 

「あーもう!良いもん、良いもん、もう良いもん!今日はこのへ〜んで許してやるのねん!」

 

「「「「「「へ?」」」」」」

 

突如としてカバトンは自分が引いてきた焼き芋屋の屋台の元に駆け込むとその台車を引っ張りながら走り始めた。何ならちょっとだけオナラも残っていたのか。走りながら軽めに放出していた。

 

「ちょっ、もしかしてもう終わり!?」

 

「そうなのねん!今日はシャドーが来てくれないし、もう知るもんか!カバトントン!」

 

半ばヤケクソとばかりにそう言いながらカバトンは走りつつ呪文を唱えて撤退。まさかのあっさりとしたカバトンの退場に隠れていたヒョウも出てくるとプリキュア達の元に合流しつつ唖然としていた。

 

「アイツ、今回は割と諦めるの早かったな」

 

「多分シャドーと連携する事を前提にしてたとか?ほら、今回のランボーグは明らかに後方支援用の奴だっただろ」

 

「確かに、あのランボーグは近接戦がそこまで強く無かったですもんね」

 

今回の焼き芋ランボーグはプリキュアに距離を詰められた際にそこまで力を発揮できていなかったようであり、シャドーが前衛の動きを見せる事から元々は彼が途中参戦するのを見越してランボーグを呼んだのかもしれない。

 

「だとしたらちょっと可哀想だったかも……今回シャドーが不参加だったから」

 

「へっ、あんな奴に同情する必要なんかねーよ。そもそも他力本願な作戦を立てるのが悪い」

 

「あはは……」

 

スノーがいつもの優しさからか、カバトンへと同情する様子を見せるとサンライズはカバトンにわざわざ気を使う必要は無いとばかりでプリズムはそれに苦笑い。

 

何にせよ、事件が解決して一件落着。このまま買い物の方に繰り出そうとした時だった。

 

「では、時間も押してますしそろそろ……」

 

「ッ!危ない!」

 

その瞬間、スノーが何かに気がつくと慌ててスカイを突き飛ばしつつ自分もその方向に飛び込む。直後には先程までスカイのいた場所に斬撃波が命中していた。

 

「「「「なっ!?」」」」

 

プリキュア達はまさかの不意打ちに悪寒を感じ取ると慌てて攻撃が飛んできた方を向く。そこは河川敷にかかる橋の上であり、そこにはつい先程まで話題に挙がっていたシャドーが立っていた。

 

「アイツはシャドー!?」

 

「まさか本当に不意打ちしてくるなんて……」

 

「……」

 

シャドーは刀を振り終わった体勢でプリキュア達が攻撃を避けたのを確認すると無言で刀を背中の鞘にしまう。

 

「シャドー、何の用だ!」

 

「……」

 

サンライズがシャドーへと問いかけるが、彼は答えを返す事は無く。そのまま無言で背を向けると去って行ってしまう。

 

「不意打ちしただけで終わりだなんて」

 

「しかも、凄い不気味な感じ」

 

「今までのアイツとは何かが……」

 

シャドーは普段なら戦いの中にガツガツと入り込んでくるのに何故か今回は戦う気すら無さそうであった。そのため、彼に対する違和感が湧き上がってくる。

 

「シャドー、何があったんだろ……」

 

何にせよ、今回の彼は戦いには積極的には参加せず。しかも不意打ちだけはしっかりして帰った。これは戦いを好み、できる限り正々堂々とした勝負を好んでいたはずの彼とは真逆の対応である。そのため、プリキュア達は不気味さを感じる事になった。

 

「シャドーの事は後にしよう」

 

「そうだね。まずはヤーキターイのための買い物に行かなくちゃ」

 

プリキュア達はひとまず脅威が去ったため、変身を解除。また6人で買い物へと行く事になった。それから約2時間程後、ヤーキターイ作りのための買い出しを終えるとユキ達は同じ堤防の上を歩きながら先程の話の続きをする流れとなる。

 

「ふぅ。買った買った」

 

「そうだ、さっきのツバサ君の話。ここでしよう」

 

「そうだね!」

 

それから6人は横に並んで堤防の前を流れる川を見ながら早速ツバサが話を始めた。

 

「ツバサ君、さっきの話って何だったの?」

 

「えっとですね。ボク、さっきまでのやり取りの中で気づいたんです。ボクもヒョウも。ただヤーキターイを食べたかったんじゃなくて……皆と一緒に楽しい時間を過ごしたかったんだと思います」

 

「「「「えっ?」」」」

 

「ッ!」

 

ユキ達中学生組が目を見開く中、ヒョウは思わずツバサの方を向くと瞳から一筋の涙が溢れていた。

 

「ボクやましろさんはそれぞれの父さんや母さんと楽しい時間を過ごしたから温かい想い出になったんです。……でも、ヒョウの場合はそれが無かった。きっと、ヒョウの両親との想い出に足りなかったのはその温かさなのかなって」

 

それを聞いたヒョウは自分のモヤモヤとした気持ちが晴れ渡ったようだった。ただ、どうしてもその事を受け止めきれないのが。胸がズキズキと痛むと思わず俯いて涙が溢れてしまう。

 

「……そっか。どうりで家族と食べた時と違うわけだよ。俺なんか……俺なんか……」

 

そんなヒョウをツバサは優しく抱きしめるとよしよしと頭をそっと撫でた。それを受けてヒョウは頬をほんのり赤くしつつ目を見開いていた。

 

「ツバサ……?

 

「ヒョウ、もうボク達は家族みたいな物ですよ。だから……これから楽しい思い出をたくさん作りましょう。それこそ、スカイランドにいた時よりもです。それで辛い気持ちなんか上書きするんです!」

 

「ッ……そっか、これから……これから沢山温かい想い出を作れば良いんだよな」

 

ヒョウはツバサへと確かめるようにそう言うと彼や近くにいたユキ達が揃ってヒョウへと優しい顔つきで頷く。

 

「うん……皆、ありがとう」

 

ヒョウは涙を流しながらもユキ達の温かさに微笑むと頷く。同時に彼はツバサへと強く抱きついた。

 

「ッ……。ツバサ、もう少しこのままで良い?」

 

するとヒョウは男の子とは思えない程に可愛らしい顔を見せるとツバサも一瞬ドキリとしてしまう。

 

「ッ!?え、えぇ……」

 

ヒョウはツバサから許可を貰うとすぐに顔をその体に埋めつつ辛い気持ちを吹き飛ばそうと泣く事に。

 

今まではずっと家族から冷たくされたヒョウ。彼はこのような温もりをずっと知らなかった。そのため、今のこの場所が彼にとっては帰るべき場所になっているわけだ。そんなヒョウの様子をユキ達はそっと見守る事になる。

 

それから少しするとヒョウは落ち着き、涙を拭く。それから6人は夕焼けに染まる空を見上げていた。

 

「ボクもヒョウも今日という日はこれまで以上に特別な一日になりしました。だって、皆さんと一緒にヤーキターイを作ろうとして試行錯誤した時間は凄く楽しかったんです」

 

「俺も、今日の時間は今まで生きてきて一番温もりを感じられる時間だった」

 

今日一日、ツバサやヒョウの歓迎パーティをするためにヤーキターイを作るべく一緒に頑張った時間は2人にとって宝物と呼べる物だった。そして、その思い出こそ、2人が歓迎パーティをやる上で一番欲しかったものであったのだ。

 

「皆さん、ありがとうございます。味は違っても、今日皆で作った料理は……この温かい時間は……ボク達にとってのヤーキターイです」

 

「うん、俺もそう思えるよ。……できれば、スカイランドに戻った時に本物のヤーキターイは食べてみたいけどな」

 

ツバサとヒョウは嬉しそうな様子であり、そんな彼彼等の顔を見たユキ達も胸が温かくなっていく。

 

「よーし!そうと決まればやる事は一つだな」

 

「はい!帰って歓迎パーティです!」

 

「時間も時間だし、急がないとだね」

 

「おーっ!」

 

それから皆で微笑み合うと家に戻ってパーティの準備を開始。時間としてはこの時点でかなり遅いタイミングだったが、そこは役割を分担。料理担当がましろとユキ。

 

勿論ユキはまた料理の勉強も兼ねてである。そして、手が止まっていた飾り付けの方もアサヒ達が4人で着々と進めていく。

 

これにより、どうにか夜ご飯の時間に間に合う形でパーティは開催される事になった。

 

「それでは行きますよ。せーのっ!」

 

「「「「ツバサ君、ヒョウ君。改めて、虹ヶ丘家にようこそーっ!」」」」

 

「えるぅ!」

 

ソラの音頭に合わせて4人はクラッカーを鳴らすとツバサとヒョウは彼女達の歓迎を受けて嬉しそうに笑う事になる。

 

そして、今回の料理のメインはヤーキターイ……では無く。様々なバリエーションをしたたい焼きであった。サラダ風にレタスの上に並べられたたい焼き。フルーツを上に乗せたたい焼き。何ならケーキのように生クリーム等で白くなったようなたい焼きもあった。

 

「それじゃあ折角だし、たい焼きでロシアンルーレットやろっか」

 

「ロシアンルーレットですか?」

 

「えっと、確かルールは見た目が全く同じ物の中からハズレの物を選ばないようにするゲームだね」

 

「なるほど、面白そうです!」

 

今回はたい焼きでのロシアンルーレットという事で、見た目が同じだが中身の違うたい焼きの中からハズレを引かないようにするという物である。

 

「そういえば、今回のハズレって何なんだ?」

 

「ふふっ、それは取ってみてからのお楽しみだよ」

 

それからユキ達はましろが出したたい焼きを一つずつ手に取っていく。ちなみに、どれがどれかがわからないようにロシアンルーレット用の計6個のたい焼きはこのルーレットに参加しないヨヨが公平に混ぜていると言う事で。

 

早速6人はこれだと思うたい焼きを一斉に手に取る。そして、そのままの流れで6人は手にしたヤーキターイを構えた。

 

「じゃあ同時にね。3……2……1!せーのっ!」

 

すると、ましろの掛け声に合わせる形で6人は手にしたたい焼きを一口食べる。

 

「これは、シャケのたい焼き!美味しいです!」

 

「シャケのたい焼きって……本当に作ったんですね」

 

ツバサはそう言いつつ苦笑いを浮かべる。尚、彼が持っていたのはさつまいも味だった。

 

「はむっ……甘くて美味しい。これはジャムってやつかな」

 

「そうだね。私のは普通のあんこだ」

 

ユキやましろもハズレでは無く、あくまで普通の中身。これで残るは2人……なのだが。

 

「はむっ……はむっ……チョコ、美味しい」

 

ヒョウの方は大好きなチョコ味のたい焼きを引き当てたらしく。少女のような可愛らしい食べ方で幸せそうな顔つきを見せていた。そしてこうなると残りは必然的に……。

 

「くぅううっ……か、辛ぁあああっ!?」

 

「ハズレを引いたのはアサヒみたいだね」

 

アサヒが慌てて中を見るとそこにあったのは明らかに辛そうな赤い色をした中身のたい焼きである。

 

「ちょっ、ましろ。これを作ったの誰だよ!?」

 

「俺」

 

アサヒは慌ててましろへと抗議の声を上げるとどうやらこのたい焼きを作ったのはヒョウらしい。ちなみに中身というのは激辛カレー味である。

 

「お前かぁああっ!覚悟しとけよヒョウ!!」

 

「別に良いだろ、お前らしく赤い色だし」

 

「だからって普通限度ってものがあるだろうがぁああっ!」

 

アサヒはそんな風に激辛な味を仕込んだヒョウへの怒りをぶつける。ただ、これもあくまで楽しいパーティの中の一幕。アサヒも怒りこそしたものの、雰囲気を壊すようなガチギレでは無かった。

 

このように、この日開かれた歓迎パーティは一同にとって最高に幸せな時間として温かい大切な時間を残していく事になる。

 

「(パパ、ママ……。今日は私の中の輝きを一つ、信じられるようになったよ。……それに。皆と一緒に過ごす時間が、今の私にとってとても大切な時間です)」

 

そして、ましろはそんな風にワチャワチャとしながらも楽しむユキ達を見ながら海外にいる両親の事を考えるのだった。

 

それから暫くの時間が経ち、パーティも終わって片付けた後。もうすぐで就寝時間に入ると言った時であった。アサヒが寝るための準備を進めていると彼の部屋をユキがノックする。

 

「っと、そろそろ寝ようかな〜」

 

「あ、アサヒ君」

 

「ん?その声はユキか。今行く」

 

それからアサヒは部屋の扉を開けるとそこにはほんのり赤い顔をしつつ気恥ずかしそうに少しだけ俯いた顔のユキがいた。

 

「ユキ、こんな時間にどうしたんだ?」

 

「え、えっと……」

 

2人は向かい合っており、そんな中で珍しく自分の前で中々目線を合わせないユキにアサヒは違和感を持つ。

 

「ユキ?そんなに俺から目線を逸らしてどうしたんだ?」

 

「ふえっ!?え、えと……あ、あのね……アサヒ君……」

 

ユキはどうにかアサヒの方を向こうとするものの、恥ずかしさのせいでやはりちゃんと目を合わせる事はできなかった。それから少しだけモジモジとした様子を見せるとあまり勿体ぶるわけにはいかないと思ってどうにか用件を話す。

 

「あ、あのさ……明日の事なんだけど。アサヒ君、時間は空いてる?」

 

「明日か……ああ。日曜だし空いてるぞ」

 

アサヒは今日が土曜日であるために翌日は休みである事。そして今の段階で特に予定があるわけでは無い事を確認する。

 

「そっか……」

 

「それで、どうしたいんだ?」

 

アサヒからの問いにユキはまた少しの間無言になると頬を赤くしつつソワソワしたような形で何かを言おうとしては躊躇していた。

 

「ゆ、ユキ?えっと……」

 

アサヒはそんなユキにどう反応すれば良いかわからずに困惑。ただ、ユキもこのままではダメだと感じたのか……ようやく自分の意見を言い始める。

 

「えと……その……お出かけしない?」

 

「ッ、お出かけか。……わかった。ソラにもユキがお出かけしたいって伝えておくよ。それから……」

 

アサヒはユキがお出かけをしたいと言い出したため、早速彼はソラ達が寝てしまう前にその事を言いに行こうとした。

 

「ッ!!……だ、ダメッ!」

 

「えっ!?」

 

その瞬間、ユキの隣をすり抜けて行こうとしたアサヒの手をユキが慌てて掴む。そのため、アサヒはいきなりのユキの反応に驚きつつその方を向く。そこにはユキが顔を赤く染めたまま首を横に振っていた。

 

「やだ……」

 

「や、やだってどういう事?」

 

「ッ……私は、私は……」

 

ユキはどうにか言いたい事を言おうとして詰まっていた。それでも、ここまでの事をした以上……もう後に退くなんてできない。そのため、ユキは自分の想いを口にした。

 

「私は……私はアサヒ君と2人きりが良い……」

 

「2人……きり?」

 

その瞬間、突然のユキからの2人きりでのお出かけの誘いにアサヒの思考は停止してしまう。そして、その言葉の意味を飲み込むとアサヒは叫びそうになる声をギリギリで押し留めた。

 

「ゆ、ユキ。俺と2人きりって……マジ?」

 

「ッ!」

 

ユキはアサヒが意味を理解してくれたと考えてコクコクと頷く。その顔は尚も赤いまま。そして、それはつまり……ユキからアサヒへのデートの誘いでもあった。当然ながら、ユキはアサヒをかなり意識している事を意味する。

 

「わかった……ユキ、明日はよろしく」

 

「う、うん……よろしく……ね?」

 

こうしてアサヒはユキからの提案を了承。2人きりでのデートが決定する事に。果たして、2人の仲を更に進展させる事はできるのだろうか……?




また次回もお楽しみに。
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