熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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決め切れていなかった雪からのプレゼント

ユキとアサヒはハプニングに見舞われながらも目的地であるソラシドモールへと到着。早速ソラシドモールの中に入った2人。ただ、その顔つきは2人共に赤くなっていた。

 

「「ッ……」」

 

その理由は単純、先程から2人が手を繋いでいる事である。一応双方合意の上で尚且つ理由は逸れないようにするためとはいえ……当然手を繋いでいる様子は周りからも丸見え。そして、2人の距離感は付き合いたての新米カップルとして捉える人が多く。2人とすれ違う人達の殆どは温かい目線か、嫉妬の目線を向けてきていた。

 

「ゆ、ユキ……目的の場所って何処かな?」

 

「ふえっ!?え、えと……」

 

アサヒは周りからの目線に気不味さを感じるが、まずはユキがここに出かけたいと言った目的の場所を聞かない事には始まらないと考えてどうにか質問をする。

 

ユキはアサヒからいきなり話を振られて変な声が出てしまうと慌てて自分が行きたいと思っていた場所を思い出す。

 

「(しまった、完全に手を繋ぐのに気を取られて……えっと、ええっとぉ……)」

 

ただ、ユキは焦ってしまったせいで中々上手く思い出す事ができずに混乱してしまう。

 

「そんなに慌てなくても大丈夫だからな?ゆっくり思い出して」

 

「う、うん……」

 

また、アサヒはユキが焦っているのを感じ取ると一旦落ち着くように声をかける。ユキと接する上で大事なのは彼女に焦らせない事。ユキは焦ってしまうと周りが見えなくなってしまう傾向がある。

 

そして今現在、彼女は初めての男の子との2人きりのお出かけで焦りやすい精神状態なのだ。そういう事情もあって、アサヒはここでユキに無理をさせないためにも彼女へと落ち着くように伝えた。

 

「(まず大前提として、ユキには今回のお出かけを楽しんでもらいたい。勿論アタックもしたいけど、最優先はユキに満足感を感じてもらう事……。それを間違えたらダメだ)」

 

アサヒはそんな事を考えつつさりげなくユキが考える時間を使って彼女と共にソラシドモールの建物の構造が載っている地図の場所へと移動。ユキは地図の所に案内されたのを受けてそれを見た。

 

「アサヒ君、ここに行きたい……」

 

ユキはアサヒに言われて落ち着いたのか。早速行きたい場所を指差すとアサヒは驚いたような顔つきを見せる。

 

「えっ……?ここ?」

 

「……うん」

 

アサヒは困惑しつつもユキが行きたいと言い出したためにそこに連れて行く事に。アサヒも困惑したユキの行きたい場所というのが……。

 

「ここで良いんだよな?」

 

「そ、そうだよ……」

 

そこにあったのは前にユキが1人でソラシドモールに来た際に入っていた男性が付けるようなアクセサリー売り場だった。

 

「(え?え?ユキって男物のアクセサリーとか興味あるのか?女性向けなら兎も角、何で……)」

 

アサヒにはユキが何故こんな場所に来たいと言い出したのかがわからない。そもそも、ユキが欲しいものといえば必然的に女性用の売り場に行くはず。なのに、何故こんな場所に来るのか。アサヒは考えを巡らせるとある答えに辿り着いた。

 

「ユキ、もしかして……」

 

「うん……アサヒ君にプレゼントを贈りたくて……」

 

流石にアサヒもここまでお膳立てされればユキの意図を理解することができる。ただ、まさかユキの方から自分にプレゼントをくれるなんて思っておらず。アサヒは嬉しさと同時に疑問が浮かんだ。

 

「ユキ、どうして俺にプレゼントを?」

 

「ふえっ!?え、えっと……ッ」

 

ユキはどうにか返事を返そうとするが、アサヒの顔を見た瞬間に胸がドキドキと強く脈打つと上手く答えを返せなくなってしまう。

 

「(ど、どうしよう……アサヒ君に日頃のお礼をするためって言うだけなのに……。何でこんなにドキドキしちゃうの……。今までだったら普通に言えたはずなのに……)」

 

「ユキ?大丈夫か?」

 

「ッ!?う、うん。……すぅ……ふぅ……」

 

ユキはこのままでは理由を説明するどころか、まともにアサヒと話す事さえできないと考えると深呼吸を挟む。それから気持ちを落ち着け、改めて話した。

 

「その、この世界に来てからずっとアサヒ君にはお世話になりっぱなしだから……そろそろお礼をしたいなと思って。ほら、来たばかりの頃はこの世界の事が全然わからなくて。この世界のお金も持ってないからお礼とかもできなくて……」

 

どうやらユキはただ気持ちを伝えるだけなどでは無く、何か形として残るタイプのお礼がしたいようで。前にアサヒが自分にシュシュをプレゼントしてくれたのを思い出すとこういうアクセサリーならきっと喜んでくれると思ったのだ。

 

「ッ……ユキ、気持ちは嬉しいけど……このお店は結構高いよ?ユキ、持ち合わせのお金……足りそう……?」

 

「……へ?」

 

ユキはそれを聞いてキョトンとする。彼女は慌てて値札の方を見るとそこには一つにつき5000円以上はする物ばかり。ユキもお金を持っているとはいえ、そこまで高い物となると簡単には手が出せない。

 

しかも、ユキはこの世界に来てから1ヶ月程度しか経ってない。スカイランドのお金はこの世界では使えない上、ヨヨから貰ったお小遣いも湯水の如くあるわけでは無い。

 

何ならここで無理して買い物なんてしたらこの後のお出かけを楽しめなくなってしまう。

 

「あ……あぁ……」

 

「ゆ、ユキ。ひとまず別の所で探そう。ここにずっといたら迷惑になっちゃうから」

 

「う……うん……」

 

ユキはこの時点で今にも穴に入りたいくらいに恥ずかしい気持ちでいっぱいになってしまう。アサヒのために何かを買うつもりだったのにこれでは大恥だ。

 

しかもユキにとってもっと恥ずかしかったのは……前に1人でこのお店に来た時、買えもしないアクセサリーを一時間に渡って。しかもアサヒがもらった時の反応を想像しながら選んでいたという出来事が超が付く程の黒歴史として彼女の脳裏に刻まれてしまった事だが。

 

「うぅ……アサヒ君、ごめんなさい……」

 

「大丈夫大丈夫。そのくらいのミスなんて誰にでもあるよ」

 

「で、でもアサヒ君にプレゼントするって言ったのに……そのプレゼント選びもまともにできなくて」

 

ユキは折角アサヒへとサプライズで喜ばせるつもりだったのにその気持ちが空回りしてしまった。しかも自分だけならまだしも、今回は自分のミスのせいでアサヒにまで恥をかかせてしまったと感じて余計に事態を重く受け止めてしまったのである。

 

「(ユキってこういう時責任を必要以上に重く受け止めちゃうんだよな。それがユキの良い所なのかもしれないけど……今回は早めに立ち直ってもらわないと)」

 

アサヒはこのままズルズルとユキが落ち込む状態を引き摺るのは今回のお出かけの目的に反すると考えると優しく話しかけた。

 

「ユキ、それなら丁度向こうにもっと手頃な値段の雑貨店があるから。そこで探してみよう?」

 

「で、でも私は……私のせいで」

 

「そうやって落ち込んでるユキはあんまり見たくないんだ。今日は楽しいお出かけに来てるんだから尚更……ね?」

 

「ッ……」

 

ユキはアサヒにそう言われて改めて今回のお出かけの趣旨を思い出す。そして、それを自覚したユキはアサヒの言っていることが正しいと感じた。

 

「確かに……そうかも」

 

「じゃ、落ち込むのはもう終わり。切り替えよ」

 

「うん……」

 

ユキはアサヒに手を引かれると嬉しそうな顔つきで彼と一緒に雑貨店に向かう事に。それから暫くして、2人は雑貨店に到着すると何か良いものが無いか漁っていた。

 

「アサヒ君、欲しいもの……見つかった?」

 

「うーん……中々ピンと来るやつが無いんだよな」

 

どうやら、アサヒは欲しいもの探しに苦戦中で。これと言って目立つ何かが見つからなかった。

 

「そっか……」

 

ユキはアサヒの欲しいと思える物が無さそうな様子にどうすれば良いのかと悩んでしまう。このままでは折角2人でお出かけに来たのにアサヒへのプレゼント選びだけで時間を無駄に消費してしまう。

 

そう思ったユキはどうにかアサヒが気に入ってくれそうな何かを探す。すると、ユキは何かを見つけた。

 

「ッ……これって」

 

ユキが見つけたある物を手に取りつつじっくりと見ていた。するとそこにアサヒが来る。

 

「ユキ、もしかして何か見つけた?」

 

「えっ?う、うん……」

 

アサヒに言われて頷くユキ。彼もまたユキの手に取った物を見ると目を見開く。そこにあった物というのが……。

 

「これは……ブレスレット?」

 

ユキが見つけたのは赤を基調としたカラーリングでキュアサンライズの象徴である太陽のマークが描かれた物だった。

 

「ッ……これ、良いかも」

 

「本当!?」

 

更にアサヒは値段を確認。値段は2000円に届かないくらいのお手頃価格であり、これなら中学生でも手が届きそうな物だった。

 

「ユキ、これにしても大丈夫か?」

 

「うん!」

 

ユキは嬉しそうに頷くとアサヒが選んだブレスレットを迷わず購入しに行く。その際にユキはアサヒが喜んでくれるのが相当嬉しいのか……ウキウキした様子を見せる。

 

「(良かったぁ……。アサヒ君、私からのプレゼント……受け取ってくれた)」

 

そんなユキの嬉しそうな笑顔を見たアサヒは胸がドクンと高鳴る。やはりユキの笑顔は男子の胸を虜にする程の破壊力があるようだ。

 

「(ヤバい、ユキの笑う所がマジで可愛い……。って、ダメダメ!こんな簡単に顔を緩ませたら……)」

 

そして、アサヒはユキのそんな笑顔に脳を焼かれつつもユキと共に購入手続きへと移動。店員に買おうと決めていたブレスレットを手渡すとその女性はユキとアサヒの方を向く。

 

その際に2人揃ってほんのり赤い頬をしていたからか、女性店員はユキからお金を受け取って会計を終えると微笑みつつある事を言った。

 

「もしかしてこれ、彼女さんからのプレゼントだったりします?」

 

「「へっ!?」」

 

2人はいきなりの爆弾発言に揃って変な声を出してしまう。そのまま一瞬にして双方の顔が赤くなった。

 

「え、えと……私達付き合っては無くて……」

 

「でも、この子からのプレゼントなのは正しいんです。だから……」

 

「ふふっ。2人共同世代っぽさそうですし、お付き合いしたらお似合いのカップルになれると思いますよ」

 

「「ッ!?」」

 

まさかの店員からの超特大爆弾発言に2人は顔から湯気が出てしまうと恥ずかしさでいっぱいになってしまう。その後、会計が終わった商品を受け取ると2人揃ってまた気不味そうになってしまっていた。

 

「(うぅ……あんな事言わなくたってぇ……。大丈夫かな、アサヒ君にドン引きされてないかな)」

 

「(ヤバい、折角ユキの事を意識し過ぎないようにしていたはずなのに……このままユキの事なんて見たらドン引きされる)」

 

尚、この時の2人の考えも似たり寄ったりであり……こういう所が2人がお似合いだと言われる所以だろう。

 

それはさておき、次に何処に行くのかという話になるわけだが……時間を見ると今は10時過ぎぐらい。まだまだ時間は有り余っている。そのため、今度は何処に行くのかという話になるわけだが……。

 

「アサヒ君……アサヒ君が行きたいのは何処?」

 

「俺か?うーん……」

 

アサヒはそう言われて考え込む。一応お出かけのプランを考えようと思ったのだが、今回のお出かけはそもそもユキが言い出した物。

 

そのため、下手に自分がプランを組むよりは何も考えずに行った方が良いかもしれないと思っていた。そのため、特に予定は決めていなかったわけである。

 

「どうしような……言われてみたら具体的なプランとか何も無い」

 

それから少し迷ったアサヒは咄嗟にスマホを取り出しつつある事を調べた上で場所を選ぶ事にした。

 

「アサヒ君?何を調べてるの?」

 

「えっとな……今は……うん、行けるかも」

 

「えっ?えっ?どういう事?」

 

ユキはアサヒからの情報が未だに入ってこないためにどうすれば良いかわからずに困惑。するとアサヒが選んだ場所について言及した。そのアサヒが選んだ場所というのが……。

 

「なぁユキ。……一緒に映画観ないか?」

 

「え、映画?」

 

ユキは2人での映画と聞いて首を傾げる。彼女はスカイランド来ているというのもあって詳しくは知らなかったのだ。そのため、アサヒが説明を入れる。

 

「えっと、映画っていうのは大きなスクリーンで映像を観れるんだ。後は席もシートになってて。凄く単純に言ったらテレビの大きいバージョンみたいな物かな」

 

「ッ、そんなに大きい画面なの?」

 

「ああ。他にテレビとの違いを挙げると音の質が上がる。具体的にはテレビから直接出るわけじゃなくて。劇場内のスピーカーから音が鳴るって言えば良いのかな。だから音の質も高いんだ」

 

ユキはアサヒから映画館の概要についてを説明。それを聞いて彼女は映画館に興味が出始めていた。

 

「テレビよりも大きな画面、音の質が高い……。凄い気になる」

 

「だろ?今なら丁度幾つかの映画の始まりに間に合いそうだ。行くだけ行ってみるか?」

 

「ッ……!うん!」

 

ユキはアサヒからの提案を受けて嬉しそうに頷く。それから2人は移動を開始。……ただ、流石に今度は手を繋ぐ事ができなかった。勿論、2人共手を繋ぐのが嫌と思ったわけでは無く。

 

この場所の人目の多さが原因で逆に手を繋いだ方が恥ずかしいと思ってしまっていたのである。ただ、2人はそれが原因で落ち込むなんて事は無く。

 

どちらかと言えば一緒に観ることを決めた映画へのワクワクが手が繋げなかった落胆よりも上回ったからか……特にその事を言及する事は無いのだった。




また次回もお楽しみに。
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