熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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たけるの過ち 襲来の嵐

かけるの作戦が失敗して揉め事に発展する少し前。ユキ、アサヒ、ソラ、ましろ、ツバサ、エルはあげは達の事が気になったのか保育園の外にある茂みに隠れながら様子を見ていた。

 

「あの保育園ですね」

 

「皆、喜んでくれたでしょうか」

 

「あげはちゃんやかけるさん、ヒョウちゃんの邪魔をしないようにコッソリ見てみよう」

 

「はい!」

 

「こっしょ」

 

そんな風に三人が隠れて見ている中、ユキはアタフタしていた。何しろ、こんな風にコソコソと隠れながら様子を伺っていると不審者として勘違いされかねないと思ったからである。

 

「えぇ、でも大丈夫なのかな?こんな風に見ていて。完全に怪しい集団だよ」

 

「仕方ないだろ。ユキだってヒョウの事は心配だって言ってたし」

 

「うぅ。そうだけど、やっぱりコッソリはダメだって。見つかったらとんでもないことになるよ」

 

そんな事を話していると六人の視線の先にある光景が映る。そこにはいきなり保育園から飛び出してきたたけるとそれを追いかけてきたあげはにかける。そして、後からゆっくりと現れたヒョウと彼女が手を繋いだらんこが揃う。

 

「たける君、待って!」

 

「って、あげは先生!?」

 

あげはがかけるの隣から飛び出すとたけるを走って追いかける。たけるはあげはから必死に逃げていく。かけるは無理に走って追いかけてもダメだと考えたのか、敢えて傍観していた。

 

「かける先生も手伝って!」

 

「あげは先生、今はたける君も混乱してるからあんまり無理には……」

 

「ヤダヤダ!」

 

その様子を茂みから見たツバサはたけるがあの時堤防で助けた子であると察する。それと同時にらんこの方を見たアサヒとユキは目を見開いた。

 

「あの子がこっちの世界のらんこちゃんかな?」

 

「ほんとだ。確かに顔つきとか髪型とかそっくり。流石に幼さの関係で違和感はあるけど、それでもよく見たららんこさんその人だな」

 

そんな風に話しているとヒョウの隣にいたらんこが一人ゆっくりと歩き出す。

 

「………」

 

「らんこちゃん?」

 

ヒョウがそう言う中、らんこはたけるの前に恐る恐る近づいていく。その足は震えていた。やはり、人と話すのに怖さがあるという事だろう。

 

「ね、ねぇ……」

 

「らんこちゃん……」

 

かけるが一人、らんこの名を呼ぶ中であげは、たけるもそれに気がついて追いかけっこを止めた。

 

「……わ、わたしをたすけようとしたの?」

 

らんこはたけるに向かってそう聞く。そんな中、たけるはらんこからの言葉に首を横に振った。

 

「ううん。アイツがわるいことをしたんだからやっつけたんだ!」

 

「そうなんだ……」

 

らんこが絞り出すような小さな声で答えを返す。それを聞いてたけるは自慢げな顔つきをした。

 

「ほら、かざなみさんもぼくのことを……」

 

「う……ううっ……」

 

たけるが自分のやった事が正しいと言おうとしたその時。らんこは目に涙を浮かべる。それだけでない。声色も震えていた。それからあまり話さない子と話すのが怖い気持ちを押し殺したらんこはたけるへと言葉をかける。

 

「それであのこをぶったの?……わたしのためじゃなくて……」

 

らんこはたけるへと悲しそうな声色でそう言うと彼は困惑。らんこを助けるつもり……と言うよりは悪い事をした子をやっつけるために出した手。それが原因でらんこが悲しい気持ちになっていくのを見たたけるは動揺する。

 

「で、でも。わるいのはアイツで……」

 

たけるがそう言うが、らんこは首を横に振ると目に涙が浮かぶ。そんな様子を見たたけるは心がキューっと締め付けられるような思いになった。悪者をやっつけるのが最強になるための正しい答えだと思い込んだ彼にとって、悪者を殴ってやっつけたのに泣きそうになったらんこの気持ちがわからなくなったのだ。

 

「たける君。あのね、確かに悪いのはアップルパイを食べたあの子だよ」

 

するとそこにかけるが歩くとたけるの前にしゃがむ。そして、その隣にあげはが同じくしゃがんだ。

 

「でも、らんこちゃんは悪い子をやっつけてもらっても良い気持ちにならなかった。どうしてだと思う?」

 

「……わからない。ぼく、ただしいことをしたはずなのに」

 

「それは、たける君がらんこちゃんを守るという気持ちで助けなかったからだよ」

 

「まもるきもち?」

 

「たける君が悪い子をぶったのってらんこちゃんを守るためにやった事じゃなくて、自分が悪い事をしている子をやっつけるためにやった事だよね?」

 

それを聞いてたけるは首を縦に振った。それもそうだ。らんこを助けたのはあくまでついで。たけるがしようと思ったのは悪い子をやっつける事だ。

 

「だって、ぼく。さいきょうなプリキュアみたいになるためにわるいひとをやっつけないといけないから……」

 

「だけど、それをしてらんこちゃんは悲しんでる。らんこちゃんはね、あの時にたける君が自分の事を助けてくれたと思ってたんだよ」

 

「……え」

 

たけるはそれを聞いて少しだけ硬直すると頭の中で意味を理解。そして、顔が青ざめる。

 

「ぼ、ぼく……そんなつもりじゃ……」

 

たけるはらんこの方を向くと俯いてポロポロと涙を流し、悲しむ彼女が目に映る。それほどまでにらんこの心は傷ついてしまったのだ。

 

「う、うぅ……ひぐっ……ぐすっ……」

 

先程ようやく止まったはずの涙がとめどなく溢れていくらんこ。それを見てたけるは自分がやった事の過ちに気づいた。そして、たけるは自分が悪い事をしたという罪悪感に包まれてしまう。

 

「たける君。確かに強い事は大事な事だよ。でも、強さは見せつけるためにある物じゃないんだ。強さっていうのは……」

 

あげはがちゃんと強さの正しい使い方を教えようとしたその時だった。いきなり爆風が荒れ狂うと緑の竜巻が発生して何かが降り立つ。慌ててかけるとあげはは近くにいたたけるとらんこを庇うように二人をそれぞれ抱くと衝撃をやり過ごす。

 

「おいおい。何間違った答えを教えようとしてんだボケ。強さってのは……自分の力を示すためにあるもんだろーがよ」

 

「ッ!あなたは……ヒューストム!!」

 

そこにそれまで事態を見ていたヒョウが駆け寄るとヒューストムは体にいつもの如く緑の風のオーラを纏っていた。

 

「よぉ、久しぶりだな。って、……チッ。何だよ。お前らだけか」

 

ヒューストムは的外れなタイミングに来たとばかりに舌打ちすると露骨に嫌そうな顔つきをする。

 

「折角強くなったからプリキュアをボコボコにして俺の力を試してやろうと思ったのに、非戦闘員だけか。拍子抜けにも程がある」

 

ヒューストムがそう言う中、そんなヒューストムへと上の方向から声がかかった。

 

「おい、ヒューストム!俺のカッコいい登場の見せ場を奪うんじゃねーよ!」

 

そこにいたのはヒューストムのせいで完全に出るタイミングを逃したバッタモンダーである。彼はまた我を忘れたモードと言わんばかりに頭の触覚がピーンと立っており、口汚く声を荒げた。

 

「折角この俺がランボーグを呼び出して良い場面をぶち壊そうとしてやったのに、邪魔すんな!」

 

「はぁ?知るかよ雑魚が。出したきゃ勝手に出しておけやウスノロ」

 

「言われなくてもやってやる!カモン!アンダーグエナジー!」

 

その瞬間、保育園の庭にある象のジョウロが素体となったランボーグが登場した。

 

「ランボーグ!」

 

「ッ……ヤバイわね。今ここにいるのは戦えない私達だけ……」

 

「もう、こんな時に来ないでよ!」

 

「二人はたける君とらんこちゃんを連れて下がってて。ここは俺が!」

 

かけるは一人前に出ると手を広げる。しかし、ヒューストムはそんなかけるを一瞥した。

 

「ふん。裏切り者のシャドーか。だが、シャドーとしての力が失われ、プリキュアですらないお前に何ができる?」

 

「だとしても、二人も保育園の皆も俺が守る!」

 

「私もやるわ」

 

するとかけるの隣にヒョウが立つとまた手を広げた。彼女も彼女でやる気である。

 

「あははっ。何だよ。戦えない方のプニバードが調子に乗るなって」

 

「確かに私は非力だけど……それでも、私だって大切な皆を守りたいわ!」

 

二人の言葉を聞いてたけるは目を見開くと二人のその背中が大きく感じる。そして、かけるはあげはへと声をかけた。

 

「あげは先生、お願い。今のうちに皆に連絡を……」

 

「させるかよ!」

 

ヒューストムが手を振った瞬間。突如として緑の竜巻が発生。それが前にいたかけるとヒョウを巻き込むとそのまま二人を吹き飛ばしてから地面に叩きつけさせた。

 

「ぐああっ!?」

 

「きゃああっ!」

 

そのダメージでかけるは全身ボロボロに。ヒョウもポンと音を立ててプニバードの姿に戻ると傷だらけで痛みに悶えた。

 

「かける君!ヒョウちゃん!」

 

「せんせい!」

 

「あ……ああ……」

 

そんな中、らんこは恐怖のあまり足がガタガタと震えると次の瞬間には足がガクンとなってしゃがみ込んでしまう。

 

「ッ……どうしよう。このままじゃ……」

 

あげははどうにかしようと思考するが、プリキュアがいない今、絶対絶命だ。そんな中、バッタモンダーが声を上げる。

 

「おいヒューストム。外野を減らすんじゃねーよ」

 

「……あ?」

 

「俺はな、この前負け惜しみやら何やらと俺に嫌味を言いやがったコイツらに仕返しがしたいんだ。それに、折角の観客を減らしたらプリキュアがボコボコに負けるという現実を見せられないだろ!」

 

「お前の都合なんざ知るか。俺は俺のやりたいように……」

 

ヒューストムがそう言った瞬間。突如として彼へと気弾が着弾して爆発。ヒューストムがそれを受けて爆風から飛び出すと目の前に五つの影が並んでいた。

 

「「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!」」」」

 

「ひろがるチェンジ!オーロラ!」

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」

 

「夜空にひろがる煌めく幻想!キュアオーロラ!」

 

「日暮れにひろがる輝く月!キュアムーンライズ!」

 

「「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」」

 

そこには先程の茂みの影から飛び出したユキ達がプリキュアに変身して加勢に来たのだ。今回のメイン担当はオーロラである。ちなみにエルは隠れているため、この場にいない。

 

「出たなプリキュアめ!」

 

「バッタモンダーにヒューストム」

 

「久しぶりに二人揃ったって感じだな」

 

「……お。丁度良い。お前に用事があったんだ。キュアムーンライズ」

 

いきなりヒューストムは笑みを浮かべてムーンライズを指差すと名指しで指名。

 

「何だよ、いきなり」

 

「ちょっとだけお前と話したい事があってな」

 

「……は?生憎だけど俺はお前となんて口も聞きたくねーんだが?」

 

「そうつれない事言うなよ……。ちょっと面を貸せ」

 

その瞬間、ヒューストムの姿がブレたかと思うと一瞬にしてムーンライズの前に移動。そのまま彼の肩を掴むとそのまま竜巻と共に彼を連れ去ってしまう。

 

「なっ!?」

 

「ムーンライズ!!」

 

「おい、バッタモンダー。お前の望み通り、プリキュアに復讐するチャンスをやるよ。さっさと倒しちまいな」

 

「言われなくてもそのつもりなんだよ!」

 

次の瞬間、ランボーグが長い鼻から水を発射。それを皮切りに戦闘開始のゴングが鳴るのであった。




また次回もお楽しみに。
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