たけるとらんこを襲おうとしたランボーグの前に立ち向かうあげは。そこに傷つきながらも、彼女の隣に並んだかけるとヒョウの二人が加わった。
「かける君、ヒョウちゃん、大丈夫なの?」
「このくらい平気です。むしろ、心配をかけてしまってすみません」
「園児達を守るのは俺達の仕事だから。あげはさん、絶対に守り抜きましょう」
ヒョウとかけるの言葉にあげはは頷く。その様子を見たヒューストムは小さく吹き出すと笑い始めた。
「ぷっ……あははっ!おいおい、お前ら。戦えない雑魚のくせに何を粋がってるんだ?」
「私達は戦えない。でも、これ以上はあなた達の好きになんかさせない!」
あげははバッタモンダー、ヒューストム、ランボーグにそう言って啖呵を切る。
「そっかそっかぁ。外野のくせに僕をどうするって?まぁ、この圧倒的戦力差の前でいつまでそんな強気でいられるか……試してやるよ」
バッタモンダーがそう言って指を鳴らすとランボーグは三人へと迫っていく。ヒューストムはひとまず一度下がると三人がどう出るのか、様子を見る事にした。
「二人共」
かけるの目配せと同時にあげはとヒョウは頷くとあげはがらんこを、かけるがたけるを背負うとかけるとあげはは同時に別方向に逃げ始め、ヒョウは一度その場を離脱した。
「あのプニバードの女、逃げやがったな。まぁ良い。ランボーグ、まずはあの二人を捕まえろ!」
ランボーグは残った二人をさっさと仕留めるために水鉄砲を連射。しかし、二人はバラバラに走っているせいで一度に仕留めるのは難しい。加えてバッタモンダーがターゲットを一人に絞らなかったため、かけるとあげはが示し合わせたかのようにランボーグの周囲を逃げ回るのを見て混乱。
「ラ、ラン!?」
「今だよ、ヒョウちゃん!」
「任せて!」
その瞬間、ヒョウが戻ってくるとランボーグの顔面目掛けていきなり手にした何かを噴射した。それは粉末の消火器である。その粉による目潰しを喰らったランボーグは視界を奪われてしまったせいで上手く狙えずに転ぶと悶えるように叫んだ。
「ランボーグ!?」
「う、嘘だろ!?」
バッタモンダーはこの三人による連携に口をアングリと開けて愕然とした。
「はぁ……あの馬鹿。こんなのも止められないのかよ」
ヒューストムは非戦闘員である三人に良いようにやられたバッタモンダー及びランボーグを見て完全に呆れた様子である。
「「はぁ……はぁ……」」
ただ、それと同時にかけるとあげはは園児一人を背負ってダッシュしたせいか息切れするとその場に園児を降ろしてしゃがんでしまう。
「せんせい……」
「だいじょうぶ?」
「平気だよ、たける君」
「らんこちゃんも大丈夫?」
二人は疲労困憊で疲れ切った様子だったものの、そんな状況下でもたけるとらんこの事を心配して気にかけた。そして、自分を守ってくれたたけるの心に何かが芽生えてくる。
「チッ。やれやれ、仕方ないなぁ……」
すると様子見をしていたヒューストムはいきなり移動すると疲れ切ったあげはとかけるを裏拳で殴って吹き飛ばしてしまう。
「ぐっ!?」
「きゃっ!?」
二人が倒れる中、ヒョウがフォローしようとするものの、ヒューストムが巻き起こした風によってヒョウもその場に倒れてしまう。
「ああっ!?」
「この程度で倒れるくらいに脆いくせによくもまぁ好き放題してくれたな。あと、こんな奴らに翻弄されるあの馬鹿も油断し過ぎだが」
ヒューストムはそう言ってらんこの方を向くと彼女へと歩み始める。そして、何かに気がついた。
「そういや、お前。見た目こそ幼いが、この前会ったアイツにそっくりだな。丁度良い。コイツにあの時の鬱憤を晴らしてやる」
「ッ!逃げて!!」
「危ないです!」
スカイやウィングがドームの中から叫ぶものの、らんこは恐怖に怯えてその場から動くどころか立つ事さえもできなかった。このままではヒューストムに酷い目に遭わされるのは目に見えてわかる。
「やめろー!」
その時だった。たけるはらんこの前に立つと手を広げて彼女を庇った。それを見てプリキュアの三人は驚く。そしてそれはヒューストムも同じで。
「……あ?お前。俺が怖く無いのかよ。さっきまでのを見てたらガキでもわかるだろ?俺の邪魔をしたらどうなるのかをよ」
「た、たける君。にげて……」
らんこは震えた声でたけるにそう呼びかけるが、それでもたけるは逃げようとしない。
「ぼ、ぼくはさいきょうになるんだ……さいきょうはわるいやつをやっつけるんじゃなくて……たいせつなひとをまもるためにたたかうんだ!」
たけるは勇気を振り絞ってらんこを守ろうとそう言った。その言葉にヒューストムは当然のように苛立つ。
「綺麗事が。……良いだろう。お前がそんなにも俺の手で怪我をしたいのなら……望み通りそうしてやる!」
そう言ってヒューストムが拳を繰り出した時。その拳を二人分の手が止めた。そして、目の前にいたのは黄色とミントグリーンの光を纏ったかけるとヒョウだったのだ。
「なっ!?」
「たける君……やっとわかったんだね」
「プリキュアが何で戦っているのか。そして、最強になる事の意味を」
「……先生は信じてたよ。たける君ならきっとわかるって!」
そして、そこにあげはも現れると彼女の胸の中にピンクの光が宿っていた。
「あれは、もしかして!」
「くっ、外野のくせに生意気な事ばかり言いやがって!おい、ランボーグ!お前はいつまでもたつくつもりだ!」
バッタモンダーがそう言うとランボーグはようやく立ち上がると共に自分に水をかけて顔の周りの粉を全て洗い流した。
「ランボーグ!」
「……その外野っていうのは止めてくれる?プリキュアも保育園の皆も私にとっては大切な人達だから。……私は、私達は外野なんかじゃない!」
そして、あげはの決意と共に彼女の胸の光は更に強くなる。加えて、ヒューストムからの拳を抑えていた二人は思い切り力を込めると光のエネルギーと共にヒューストムを押し返して彼を後退させた。
「ッ!?何だと……この二人のどこにそんな力が……」
「俺達だって守りたい気持ちは同じだ。そして……」
「ずっと側で皆の戦いを見てきたからこそ、今度は私達が!」
「「大切な人を守ってみせる!」」
かけるとヒョウの言葉に共鳴すると気を失っているアサヒとユキの中から今度は赤と白の小さな光が飛び出す共にかけるとヒョウの中に飛んでいく。そして、既に二人の中にあった黄色とミントグリーンの光が出てくると四つの光が空中で合わさると二人の手にペンライトのようなアイテム……ツインチェンジライトが生成された。
「嘘だろ!?何なんだよあのアイテムは!?それに、外野じゃないならお前らは何なんだ!」
「保育士!……そして、最強の保育士も最強のヒーローも目指す所は一緒。それは……たける君が言った通り……大切な人を守る事!」
あげはがそう言うと胸からピンクの光が飛び出すと同時に彼女のミラージュペンが生成。それをあげはは手にする。
「まさか、このタイミングで三人共覚醒しただと」
ヒューストムの驚愕の声と共にその様子を見ていたスカイ達は興奮を隠し切れない様子だった。
「あげはさんに……」
「ミラージュペンが!」
「って事は、もしかして!」
「エルちゃん!」
あげはは髪をポニーテールからゴムを外していつものロングヘアに戻すとエルへと声をかける。
「アゲアゲで行こ!」
あげはの言葉にエルは頷くといつものように薄紫の光を纏ってあげはのためのスカイトーンを射出。それをあげはが手にするとそれは蝶のイラストになった。
「アゲ!ぷりきゅあああ!」
「たける君、らんこちゃん。先生達……今から最強になるから!」
「あげはせんせいたちはもうさいきょうだよ!」
「うん。わたしたち、しんじてるから!」
二人の言葉にあげは、かける、ヒョウは笑顔になるとそれぞれがアイテムを構える。
「……最強の保育士の力を見せてあげる!」
するとその瞬間、あげはの体が眩い光に包まれると同時に他のプリキュア達と同じようにペンがマイクのように変形する。
「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!バタフライ!」
その言葉と共にマイク部分にBUTTERFLYと表示され、宇宙空間のようなエフェクトに包まれるステージへとあげはは舞い降りた。その瞬間、頭に蝶が落ちてくるように止まると同時に髪がピンクの光に包まれてから黄色へと変化。そして、一度ステージに着地してから飛び跳ねたあげはの脚にピンクのブーツが装着される。
「きらめきホップ!」
その言葉と共にあげはが立っているステージ部分にHOPの文字が浮かぶ。すると髪にまたどこから飛んできた蝶が止まるとピンクの小さな帽子と蝶の髪飾りが生成。更に両耳にハートのピアスが付く。
「さわやかステップ!」
続けてあげはが空中に浮かぶピンクのディスクのような場所から飛び出し、再度ステージの上でポーズを取るとステージがSTEPに変化。
すると下から上がってくるような形で体にピンクのヘソ出しのドレスが、右脚には紫のタイツ。左脚にはアンクレットを装着する。加えてまたもや蝶が止まると腰の辺りから蝶の羽のような形をしたローブも飛び出してきた。
「はればれジャンプ!」
更にあげはがステージからジャンプするとステージの文字がJUMPに切り替わり、肩から指先に向かっていく形で両腕に中指で留められたピンクのアームカバーを装着。このアームカバーは肩に向かっていくにつれて素肌へと変わっているように見えるが、一応素ちゃんと肩までアームカバーに包まれてはいる。最後にあげはの目元に下から飛び出してくる蝶の群れに紛れる形でアイシャドウが入っていった。
その後、彼女は左目を閉じる形でウインク。そのまま場面が変わって名乗りを挙げた。
「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」
名乗りと同時に蝶のエフェクトが出てくるとその中心から芋虫から蛹、そして成虫である蝶へと変化しつつ羽ばたいて飛んで行く蝶のエフェクトが目を引く。
こうして、あげはは蝶の名前を冠するプリキュアであるキュアバタフライへと変身を完了する事になる。
それと同時にかけるとヒョウはペンライトのライト部分を捻るとかけるが黄色。ヒョウがミントグリーンをそれぞれ選択。そして、かけるが左手を、ヒョウが右手を出して二人で手を繋ぐと掛け声を言いつつ、ペンライトを胸の横に持ってきた。
「「デュアルファンタジーパワー!」」
その瞬間、二人は黄色とミントグリーンの光の球体に包まれてから空へと浮かび上がると同時に宇宙のような不思議な空間へと移行した。
「夜空を照らし!」
「希望へ導け!」
かけるとヒョウが続けてそう言うとそれぞれかけるの右腕とヒョウの左腕にそれぞれ黄色とミントグリーンのアームカバーが装着されていく。かけるのアームカバーの先端には青白い月の紋章が、ヒョウの方には紫の翼の紋章が入る。そのまま手を繋いでいる方の手にも同じアームカバーが装着されると二人は手を離してそれぞれ単独での変身に。
「過去からホップ!」
かけるがそう言うと黄緑の半ズボンが装着されてから髪がレモンのような薄い黄色になると髪型も多少髪が伸びて周りに広がるような形へと変化。耳にはピアスが装着され、髪には三日月のような髪飾りも付与された。
「乗り越えステップ!」
ヒョウの言葉と共に彼女の下半身にミントグリーンのスカートが装着される。ただ、差し色には薄紫や青も入っており、オーロラの色合いが濃く出てきていた。彼女も髪が変化。ただ、色は白から紫へと変化するとそれが一部がポニーテールに。そして残りはストレートとなる変則スタイルへ。加えて耳にピアス、ポニーテールを纏めるゴムの所にピンクのハートの髪飾りが付与された。
「「未来へジャンプ!」」
二人が声を合わせてそう叫ぶとかけるにトップスが装着。袖は半袖でアームカバーが無い部分は素肌となっている。色は黄色をメインに赤や黄緑が差し色が入っていた。更に黄色のブーツや黄色や赤を基調としたレッグカバーも装着。そして、ヒョウの方も上半身のドレスが生成。こちらはミントグリーンをメインにしつつ、水色やピンクの差し色が入っていて、下半身とは違う雰囲気を出した。そのままヒョウの両脚にもミントグリーンに紫の差し色が入ったレッグカバーが装着。
そのまま二人は特殊空間に降り立つとこの姿としての名乗りを挙げる事になる。
「夜空を照らす満月の輝き!アポロンムーン!」
「夜空を彩る幻想の奇跡!アルテミスオーロラ!」
「聖なる世界を汚す者よ!」
「光の裁きを今下さん!」
二人が名乗りを終えると特殊空間は消え去ると同時にこちらも変身を完了。これにより、一度に三人の戦士が誕生する事になるのであった。
また次回もお楽しみに。