熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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山登り前のコース決め

ユキ達が山道を車で移動し、到着したのは“らそ山”と呼ばれる山であった。そして、その山を登山する直前。掲示板のような場所にあったのはツバサと似た姿をしたキャラクターが描かれてあった。

 

「このキャラクターは……」

 

「多分マスコットキャラだろ。マスコットキャラがいた方がそれと一緒に観光地を覚えやすいしな」

 

「なるほど、このマスコットの名前は……ソラ吾郎ですか」

 

らそ山のマスコットキャラがソラ吾郎である事がわかった所で一同は掲示板に描かれている内容を確認。それは、ソラ吾郎から出される問題を解きつつ登山をするという物……その名もらそ山クエストである。

 

「らそ山クエスト?」

 

「ソラ吾郎の出す謎を解きながら山登りに挑戦しよう」

 

「謎を解きながら山登りですか!面白そうですね!」

 

ソラはただ山を登るだけで無く、謎解き要素も入っているという事で興奮したような様子を見せる。

 

「山登りが苦手な人もやりやすくするための配慮みたいだな」

 

「それに、問題次第ではこの山についてもっと知るとかもできるかもしれません」

 

もしツバサの予想通り、山の知識についての問題も入っているのだとしたらそれだけでこの山に興味を持つ人が増えて宣伝効果にもなるために尚良いだろう。

 

そんな風にユキ達が山についてを話しているとエルはソラ吾郎の事が気になるようで。山について話をしている間、彼女はずっと手を伸ばしっぱなしでソラ吾郎が気になる様子を見せていた。

 

「えーるえるぅ!」

 

「エルちゃん、ソラ吾郎の事が好きなの?」

 

「えるぅ!」

 

エルはユキから聞かれて嬉しそうに頷く。それだけ彼女がこのマスコットを気に入った証拠だろう。

 

「えっと、全ての謎をクリアすると非売品グッズをプレゼントだって」

 

「えるぅ……!える!える!」

 

「エルちゃん、ソラ吾郎のグッズが欲しかったりするんですか?」

 

「える!」

 

エルはすっかりソラ吾郎の虜であり、非売品のグッズが貰えるという話ならこのらそ山クエストを受けた方が良いのは間違い無いだろう。

 

「そういえば、さっきから思ってたんだけど。ソラ吾郎ってさ……ツバサのプニバード形態にそっくりだよな?」

 

「ふふっ、ヒョウ君もそう思うよね?私も同じ事考えてた」

 

あげはとヒョウは2人揃ってツバサとソラ吾郎の姿が似ていると思っており。体色がオレンジである点やそのサイズ感もそっくりであった。ただし、ソラ吾郎の方は鶏冠が焦茶である事や髭を生やしている事。首には蝶ネクタイを付けている点等。

 

ツバサとは違う点がそこそこあるため、あくまで雰囲気だけ何となく似ていると思った方が良いだろう。ただ、ヒョウは自分の感覚があげはに賛同してもらえたのが嬉しかったようで。

 

「あげはさんも!?」

 

「「イェーイ!」」

 

あげはとヒョウの2人は完全に意気投合。そのままハイタッチをする。ただ、そんな事を言われるツバサからしたらたまった物では無いわけで。

 

「似てません!あげはさんだけでなくヒョウも揶揄わないでください!」

 

「アサヒ君の時もそうだったけど、ヒョウって意外と他人を揶揄いたい側なのかな?」

 

「でも、ツバサとそこのソラ吾郎がどこか似てるのには俺も共感かな」

 

ツバサはヒョウにさえ揶揄われたからか完全に拗ねてしまう。そして、その話を聞いていたユキとアサヒの方もツバサの前で言わないだけでソラ吾郎と雰囲気が似ているという話には共感できる所があった。

 

そんな時、エルのソラ吾郎への興味は止められないようなのか。どうしても欲しいとばかりに声を上げてねだる。

 

「えるぅ!えるるう!」

 

「っと、もうそろそろ行かないとエルちゃんが我慢できなさそうだね」

 

「よーし!それじゃあ皆でエルちゃんのために謎解きしちゃいますか!」

 

『おーっ!』

 

一同はあげはからの言葉を聞いて声を合わせるとやる気を示した。この声にはツバサも参加しており、あくまで嫌なのはソラ吾郎と似ている扱いをされる事だけくらいだという事がわかる。

 

彼は自称とはいえエルの騎士である事から、エルが喜ぶ事に繋がるのであれば積極的に参加するようだった。

 

「それでは、登山道の方がどうなってるのか見ましょうか」

 

「そうだね。あっちにも掲示板と一緒に山の全体図とかもあるしあそこで確認しよ」

 

ユキ達は登山をする前に登山道についてちゃんと確認をする事に。そのために一同は地図が描かれている掲示板へと向かうとそこには二つのコースが存在していた。

 

「道は二つあるね。一つは歩きやすくてゆったり楽々。のんびりコース」

 

「もう一つは……本格的な山登りをしたい人が歩きそうなコースだね」

 

左手に見えるのが比較的に緩やかな道が続くコースであり、こちらがのんびりコースだとわかる。道の長さで考えたらゆったり進むという事もあってこちらの方が全長で言えば長い。

 

対して、右手の方は道が明らかに急になっており、どう見ても登るのに体力を使いそうなコースとなっていた。その代わり、最短で進んでいる分だけ全長はゆったりコースと比べると短めである。

 

「なるほど、体力が無い人向けのゆっくり長めに歩くコースと最短で頂上に向かいたい人向けのコースか」

 

「確かに、右側はどう見ても登るのが大変そうだもんね」

 

一同が山のコースを確認しつつ、下側からコース全体を見上げた。8人全員で行動するのなら体力面で不安があるましろの事を考えるとゆったりコースを行くべきなのだろう。

 

……ただ、1番ゆっくりなましろに合わせる必要が出てくるためにユキやソラ辺りは物足りないかもしれない。そして、それがわかっているのか。ソラが右側の急斜面コースを見て目をキラキラと輝かせる。

 

「とっても登りがいのありそうな道ですね!」

 

「あはは、やっぱりソラちゃんはそっちに登りたがるよね」

 

「わ、私も……こっちが良い」

 

「ユキも行きたいのか。ま、でもユキならそっちが良いよな」

 

ソラは急な方のコースを見ると興奮したような声を上げ、ユキも少し言いづらそうな顔をしつつもこちらのコースを所望した。普段から体を鍛えているこの2人基準で考えるとこちらのコースの方がやりたくなるのも至極当然の流れだろう。

 

「なるほど、じゃあソラちゃんにユキちゃん。エルちゃんのお世話は私に任せてそっちのコースに行ってきて大丈夫だよ」

 

「ありがとうございます!」

 

ソラはやる気十分と言った様子で声を上げつつ鼻息を鳴らす。それからソラはお言葉に甘える形でエルをあげはに預けた。

 

「それでは、エルちゃん。行ってきますね!」

 

「えるぅ〜!」

 

ソラはエルへと挨拶を済ませると満面の笑みを浮かべつつましろの腕を掴んだ。そして、いきなりそんな事をされたらましろも驚くわけで。

 

「えっ、ソラちゃん?」

 

「ましろさん、行きますよ!」

 

そして、ソラはましろの手を取るとそのまま引っ張りつつ移動を開始。そのため、巻き込まれたましろは唖然としてしまう。

 

「ええ!?私もそっちなの!?」

 

ましろは運動が得意では無い。それどころか体育の成績も下から数えた方が早いくらいには苦手だ。そのため、今回の山登りではのんびりコースを行きたかったのだが……友達のソラが誘っているので断ることもできず。そのまま連れていかれる事になった。

 

「あはは……ましろちゃんはやっぱりそういうの苦手かぁ。っと、アサヒ君は大丈夫そう?もし無理なら……」

 

「いや、俺はユキに着いていく方で大丈夫。さっきバーニングサンやブリザードにサポートしてもらったおかげで体もそんなに疲れてるわけじゃないしな」

 

アサヒはユキの心配に大丈夫だという意思を返すと彼女はホッとしたような顔を浮かべる。

 

「良かった……。じゃあ、一緒に行こ」

 

「ああ」

 

それからユキはアサヒの手を掴むと先にどんどん行ってしまっているソラとましろのコンビを追いかける事に。それから少しして。2人がツバサ達から離れたタイミングでユキが小声で小さくアサヒへと話しかける。

 

「そういえばだけど、ツバサ君の方は大丈夫かな……。かなりご機嫌斜めになっちゃってるけど……」

 

「あー、アレか。まぁ、多分何とかなるだろ」

 

「でも、もし喧嘩とかしたら……」

 

ユキはアサヒが大丈夫だと話してもまだ心配な様子を見せてしまう。周りから見たらあげはは完全にツバサを揶揄ってしまっている。ツバサもそれをまともに受けてムキになっているためにいつツバサの方が暴発してもおかしく無い。

 

しかも、更にそこにヒョウもいる。先程から見る感じだとあげはとヒョウの方は意気投合して問題無さそうだが、ツバサに関しては何故かあげはと意気投合できているヒョウの方にも色々思う所がありそうな感じで。こうなるとユキが心配するのも無理はないだろう。

 

「いや、きっと大丈夫。むしろ、あそこに俺達がいたらダメだと思うかな」

 

「えっ……どういう事?」

 

ただ、アサヒは逆に自分達がいたらダメだと言い出す。それを聞いてユキは困惑した。

 

「俺はヒョウと偶に揉めるだろ?あの場面で俺がいた所であげは姉の助けになるどころか足手纏いになる。だから、敢えてここはあげは姉に任せるべきだと思うんだ」

 

「ッ……そっか。うん、私もあげはさんならどうにかできる気がする!」

 

「良し、じゃあ。あっちはあげは姉に任せて、もしダメだったらフォローする感じにしようか」

 

「うん!」

 

ユキとアサヒはツバサ達への対応を決めるとまずは目の前の山登りへと集中する事に。

 

一方で、残されたツバサとあげは、ヒョウの三人に加えてあげはが抱いているエルの4人の方は必然的に……。

 

「じゃあ、少年やヒョウ君は私とこっち側だね!」

 

「えっ!?」

 

「ほら、ツバサ。俺達も行くよ」

 

「ちょっ、置いていかないでくださいよ!」

 

あげはとヒョウはさっさとのんびりコースの方を歩き始める。あげはがエルを抱えている以上、無理をして急斜面のコースを進むわけにはいかないためである。ただ、そのせいでツバサは置いて行かれかけたために彼は慌てて2人の後を追う。

 

「(うう、どうせならボクもソラさん達の方に着いていけば良かった。そうすればこんな事には……)」

 

あげはとヒョウがノリノリで進む中、ツバサはあまり良い気分とは言えない様子を見せる。先程のタイミングでソラ達に着いていけば少なくともこのような事態にはならなかったので尚更だ。

 

こうして一同はユキ、アサヒ、ソラ、ましろのチームとツバサ、あげは、ヒョウ、エルのチームに分散。それぞれの山登りが開始されるのであった。

 

一方で、シャドーの導きによって移動中の悪役コンビことシャドーとカバトン。彼等は何故か黒いヴォクシーに乗っており、シャドーが運転をしていた。

 

「なぁ、シャドー」

 

「どうした?」

 

「何でお前がこんな鉄の箱を運転できるのねん?」

 

「……知らん。俺の体が覚えてるだけだ」

 

「えぇ……」

 

カバトンは何故か車の運転を平然とした顔でやってのけるシャドーに呆れた様子を見せる。

 

「お前、そもそもこれどこから引っ張り出したのねん」

 

「……さぁな。俺もよくわからん。ただ、俺の記憶を遡ったら自分が元々住んでいた家らしき場所に鍵と一緒に保管してあっただけとの事」

 

「いやいや、お前って俺様達と出身同じじゃないのねん?」

 

カバトンはソラシド市に住んでいた記憶がシャドーに宿っている事に困惑。普通に考えればこのカバトンの考えは間違ってない。何しろ、本来ならアンダーグ帝国に住んでいるはずの2人にはソラシド市で住んでいた記憶は無いはずなのだ。

 

それなのにシャドーはこうしてソラシド市に住んで車も持っているという事実がある。しかも、免許を取り立てなのか。車にはご丁寧にも初心者マークがしっかりと付いていた。

 

「知らん。俺もいつの間にか意識が出たような状態だからな。それより前の記憶なんて覚えてない」

 

「これ以上は聞いても無駄そうなのねん。それはそうとして、お前は今までどこに行ってたのねん?」

 

「……俺の甘さを消していた。最早プリキュアに情けをかけるつもりは無い」

 

シャドーはプリキュアを必ず潰すという気持ちで燃えており、それはカバトンもたじろぐ程の殺気のような形で表面化していた。

 

「(ッ……シャドーの奴、本気なのねん。だが、これならいつものように余計な事をやらずに済むかもしれない。……ふふっ。このシャドーとなら今度こそプリキュア相手に勝てるのねん!)」

 

「それでカバトン。今回のお前の作戦を聞こう」

 

カバトンとしてはいつものシャドーよりも今の方がプリキュアを倒すという目的の上では役に立つと考える。前までなら自分の戦い方に拘るあまり、プリキュア相手に勝てる状況でも自分の望む戦い方を優先して見逃す場面があった。

 

しかし、今回はそういうのが一切無い。つまり、最初から本気でプリキュアを潰してくれそうな安心感がある。

 

「あ、ああ。今回も勿論作戦を考えたのねん!」 

 

「そうか。なら俺は何をすれば良い?」

 

「それはだな……」

 

それからカバトンはシャドーへと今回の作戦を通達。するとシャドーは納得したのか、頷く。

 

「わかった。こちらは任せておけ」

 

「ああ、頼むのねん」

 

カバトンはシャドーの雰囲気が変わったものの、何だかんだで自分とは変わらず接してくれる点はありがたいと思っていた。それだけカバトンもシャドー相手に情を持っているという事だろう。

 

「っと、プリキュアがいるのはこの山だな」

 

「何々……らそ山?」

 

「ああ。早速だが行くぞ」

 

こうして、シャドーとカバトンもユキ達のいるらそ山に到着。彼等の作戦が決行されるのだった。




また次回もお楽しみに。
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