らそ山への登山をする事になったユキ達一同。そのコースが2つあるという事でのんびりコースを進むツバサ、あげは、ヒョウ、そしてあげはに抱かれたエルの4人。
4人が見つけたのはらそ山クエストの問題が書かれている掲示板のような物で。その問題を4人は見る事になる。
「これが謎解きの問題か」
「えっと……“このさき、あたたたすたれたちたたったくたなのだ!”……何だ、これ?」
「何かの呪文なのかな?」
その内容は“た”の文字がやけに多い文面である。いきなり古文書にありそうな怪文書にツバサやヒョウは困惑。あげははこの問題の答えを考えつつ、掲示板の中にヒントが無いか探す。
「この文章……何だか“た”の文字が多いし、何でかわからないけど沢山書いてある“た”の文字だけ色が違う」
「わざわざ色を変える辺り……何かあるのかな」
ツバサとヒョウのプニバードコンビは問題文の中に“た”が大量にある事とその“た”の色が他の文字と比較して色が赤く塗られている事に関して、何か意図があるのではないのかと予想した。
「えっと……その赤い“た”というのもそうだけど、他にもどこかにヒントがあると思う」
「えっ?あげはさん。この問題にヒントがあるってわかるんですか?」
「まぁ、元々このらそ山クエストというのは問題を解いてもらうのが目的だし……問題がわかりやすくなるヒントか何かあるのかなって」
「それ、ただのメタ読みじゃないですか!?」
ツバサはあげはの発言がメタ的な部分に触れる物だったために思わずツッコミを入れてしまう。ツバサのツッコミはさておき、あげはは問題が描かれた掲示板をよく見るとある事に気がつく。
「(ッ、この絵は狸……ってことは狸も何か関係ありそうかな)」
それは問題部分である謎の書かれた枠の周りには何かを表しているのか狸の絵が描かれていた。恐らく、あげはの予想した通り、この狸の絵に関しても何かのヒントだと言えるだろう。
「「「うーん………」」」
3人が目の前にある問題を見るとどうにして答えを辿り着こうと考えを巡らせていく。……そんな時であった。
「える!?えるぅうう……えるぅうう!」
「プリンセス!?」
「少し臭うし、多分オムツだと思う。えっと……」
突如として泣き出してしまうエル。あげはは今のエルの状況から逆算する形でオムツの方が必要だと察すると周囲を見渡す。すると、あげはの視線の先に目的の場所である休憩所を発見。
「あ。休憩所発見!ちょっと行ってくるね!」
「じゃあお願いします」
そのため、あげははツバサが背負っているリュックからエルのために持ってきていた替えのオムツを取り出すと急いで休憩所の方へと走っていく。
「任せて!」
「えるぅううっ!」
「よしよーし。あとちょっとだけ我慢しててね〜」
あげはがエルの方への対処をしている間に残されたプニバードコンビの2人は引き続く形で謎解きをする事になった。
「あげはさんがエルちゃんの方をどうにかしてくれている間に」
「そうだな。俺達はどうにかして問題を解こう」
あげはは今、エルの事に集中しないといけない。そのため、プニバードコンビはどうにかして自分達だけで問題を解きたかった。そして、2人は改めて目の前にある問題を再度確認する。
「この動物がヒントみたいだけどスカイランドでもこんな動物、見たこと無いですね……」
「ツバサもわからないのか。……多分この動物が答えに辿り着く鍵になると思うんだけどな」
残念ながらプニバードコンビは狸という動物を知らないようで。本来ならこの動物もヒントの一つなのだが、知らないものを嘆いても仕方のない事だ。今あるヒントだけでどうにかしないといけない。
「“このさき、あたたたすたれたちたたったくた”……」
「ツバサ、この“た”が余計に多いの。どうにかならない?」
「“た”が余計に多い……それですよ!」
「……へ?」
ヒョウはいきなりツバサが何かを閃いたのを聞いて唖然とする。そして、ツバサがヒョウへと答えに辿り着くためにアドバイスした。
「ヒョウの今言ったことは多分間違ってないんです。余計に多い“た”の文字……それがこの問題を解くための鍵なんですよ」
「余計に多い“た”が鍵。……それととにかく多すぎる“た”をどうにかする……」
ヒョウはツバサからのヒントを元にもう一度考えてみる。するとヒョウもまた、ある答えに辿り着いた。
「あ!わかった!これの答えって……」
ヒョウはツバサの耳にコソコソと自分の出した答えを話すとその答えは見事にツバサと一致。そして、2人の答えが出揃った以上はここにいる意味は無い。
「はい!ボクもその答えだと思いましたよ!」
「ッ……ツバサも同じ答えか!良かった……」
ヒョウは自分の答えにまだ少し疑心暗鬼な所があったが、自分よりもしっかりしているツバサが同じ答えであるのなら問題は無いと感じると嬉しそうな顔を見せる。
「一緒にあげはさんの所に行って答え合わせしましょう!」
「そうだな!」
それから、2人は揃ってあげはの元に向って移動を開始。同時刻、丁度あげはもオムツの替えが終わったようで、エルも気持ち良さそうにしている。
「これで良しと」
「えるぅ〜っ!」
「ふふっ、エルちゃん。気持ち良いね〜」
「える!」
エルがご機嫌そうな声を上げるのを聞きつつあげはが彼女へと優しい顔を向けているとその脳裏にある事が浮かぶ。
「(そういえば、少年とヒョウ君は上手く問題を解けたかな……。スカイランドに狸がいるかどうかで難易度がだいぶ変わると思うけど……)」
あげはは少しだけ2人を心配した様子であり、問題が解けて無いときは自分が何かフォローを入れようと考える。すると、そのタイミングで2人が到着した。
「あげはさん!ボク、答えがわかりました!」
「俺もです!」
「わぉ。答え出たんだね!」
あげはは自分のいない間に2人がちゃんと答えを出せている事に嬉しそうな顔を浮かべる。どうやら、自分の心配は杞憂で済んでくれたようだった。そんな彼女の気持ちを他所に2人は早速自分達の答えを話す。
「それでは言いますよ。せーのっ!」
「「「アスレチック!」」」
その瞬間。ツバサとヒョウの2人……と、あげはも先程の問題の答えを口にする。そして、3人の出したその答えは見事に一致。ただ、ツバサとヒョウのプニバードコンビは何故か一緒に解いてなかったあげはも答えがわかった事に驚いていた。
「えっ!?わかってたんですか?」
「でもあげはさん、エルちゃんのお世話のために離れた時って答え出てなかったはずですよね?」
何しろ、プニバードの2人の視点だとあげははエルと共に移動した時点では答えがわかっておらず。しかも、あげははその時エルの事で頭がいっぱいだったはずなので問題の答えを考える余裕は無いと思っていたのだ。
「うん。確かにエルちゃんを連れてここに移動を始めた時はわかってなかったよ。……だけど、実はこっちに来る途中で閃いちゃってさ」
「ええっ!?」
ツバサはあげはの閃きに唖然とした顔つきを見せると彼女は続けて答えに至った理由を話す。
「ほら、さっきの問題があった場所にたぬきのイラストがあったでしょ?だから“た”の文字を抜いてアスレチックだな〜って」
「なるほど、やっぱりあげはさんはあのくらいお見通し……か」
ヒョウはあげはが保育士を目指しているためにあのような言葉遊び系の問題にも強いのだという事を感じるとまたまだ自分達ではあげはに敵わない事も自覚した。
「ほら。私もちゃんと謎解きしてるでしょ?」
「確かにそうですけど……」
そして、ヒョウがあげはの閃き力に感心する中。ツバサの方はまた不機嫌になってしまうと拗ねたような顔つきに変わってしまう。
ツバサとしては今回の問題に関して自分達が凄く迷って答えを出していたのにあげははあっさりと問題を解いてしまった事が何となく悔しかったのである。
「(ツバサ、もしかして答えがわかって喜んだのを子供が嬉しさではしゃいだという風に捉えたのか?で、あげはさんは大人の余裕を見せてる感じで……)」
ヒョウの予想した通り、ツバサは先程の問題の答えを解けた際に嬉しさのあまり子供っぽくはしゃいでいた節もあった。
更に言えば、先程の問題も自分達にとっては難しくてもあげはの方はあっさりと解いた事から大人であればそんなに苦戦する問題じゃないとわかってしまったわけで。
かなり悩んだ挙句、正解に辿り着いた際にはしゃいだのが子供っぽさを連想させて余計に恥ずかしくなってしまったのである。
「ツバサ、俺達はあげはさんから見たら年下で。年齢的にも別に子供っぽくはしゃぐのは何の問題も……」
「ヒョウはそれで良いかもしれませんが、ボクはそんな風に扱われるのが嫌なんですよ!」
「えぇ……」
ヒョウは困惑したような顔つきを見せるとツバサはどうしても納得できていなさそうな顔を見せる。
「(まぁ、ツバサが嫌がる気持ちもわからなくはないよ?俺だっていつまでも子供扱いとかはされたくないし。だけど、別にあげはさんだって悪気があるわけじゃないのに……)」
「それと、あげはさんもわかっていたなら先に言ってくださいよ……」
ヒョウはツバサの子供として見られたくないという気持ちをまだ理解できてないのか。いまいちピンと来ておらず。ツバサとの気持ちの違いがここからも感じ取る事ができる。
対してツバサはあげはの方へと答えを知っていたのに言ってくれなかった事に対しての文句を言い始めた。
「あはは、ごめんごめん。でも、私だって問題を解きたいし。それに問題を解くっていうのも楽しいじゃん?」
「それはそうかもしれませんけど……でもそれとこれとは話が違いますよ」
ツバサとしてはあげはに良いように振り回されている現状がどうしてもモヤモヤとしており、ヒョウやあげはの言う事が正しいとわかっていてもそれを上手く受け入れられていなかった。
あげははそんなツバサの言葉を文句一つ言わずに受け止めると上手い事受け流しつつ次の話題を始める。
「そっか……。じゃあ今度から気をつけるね」
「お願いしますよ?」
「うん!じゃあ、謎解きの問題の話はここまでにして。気持ちを切り替えて次はあれだ!」
あげはは場の空気を切り替えるのを目的とした明るい口調で話すと視界の先に映ったある場所を指差す。
「あれは……アスレチックだ!」
「本当にアスレチックなんてあるんですね……」
あげはが指差したその先にはアスレチックが見えており、先程の問題とリンクしているようでもあった。ただ、ここは地点としては登山道のど真ん中。
一応登山道の中にはアスレチック風にアレンジされた物もあるが……登山道の途中かつ、登山道とは完全に別個でアスレチックがあるのは珍しい。
「さっきの問題の所にもあったでしょ?アスレチックをクリアすれば道は開けるって」
「えっ?じゃあもしかして……」
「そうだな。……ツバサ、行くよ」
「ええっ!?何でボクもなんですか!ヒョウが1人で……」
「こういうのは一緒にやるから楽しいんだよ?あげはさんはエルちゃんを連れてるから無理だけど……それなら俺達だけでも楽しむべきだって」
この様子からヒョウは完全にやる気であり、ツバサに拒否権なんて無さそうだった。加えて、エルを抱えたあげははアスレチックをやる事ができないために尚更ヒョウはツバサと2人でアスレチックにチャレンジするのを望んだ形となる。
「うう、仕方ありません。アスレチックをやらないと道が開けないんですから……やりますよ!」
「ふふっ。じゃあ、俺達で一緒に挑もう!」
こうして、ツバサとヒョウによるアスレチックへの挑戦が始まる事に。……ただ、ここでもツバサは色々と振り回されてしまう事になる。
「もうこうなったらやり切りますよ!」
「その調子その調子!俺が後ろから着いていくから安心してくれ」
今回はツバサが先にアスレチックを行い、ヒョウがその後を追う形となった。理由としてはヒョウが先に行ってしまうとツバサを置いてきぼりにする可能性があったからだ。要するにツバサの逃げ道を無くしているのである。
「うわぁああああっ!?」
「頑張れーツバサ!」
「何でそんなにヒョウはやる気なんですかーっ!?」
ツバサは回し車や水の上に浮かんだ足場への飛び移り。ロープ伝いにグラグラ吊り橋……更にはターザンロープ等の多種多様なアスレチックを行う。
「あははっ、楽しい〜っ!」
「だーかーら!何でヒョウだけこんなに楽しめてるんですかぁああっ!?」
ヒョウは先程から素早くアスレチックを攻略しつつ完全に楽しんでいる様子であり、日頃のストレスを発散しつつあった。ここ最近はユキとアサヒが付き合った事でストレスが溜まりやすかったのも相まってこのアスレチックの効果は大きい。
一方のツバサはアスレチックに大苦戦。特に絶叫系が苦手なのか。ヒョウが平然と楽しんでいる回し車やロープ伝い。ターザンロープ辺りで思わず声を上げる場面もあった。
このように苦戦した事もあってツバサは何度か失敗しそうになるものの、その度にどうにかアスレをクリアしていく事に。
「ツバサ、遅いよ!早く早く!」
「そんなに急かさないでくださいよ!焦ったら落ちちゃうんですから!」
このようにツバサとヒョウで対照的だったものの、アスレチック自体は無事に2人共クリアしてあげはやエルの元に戻る事になるのだった。
また次回もお楽しみに。