らそ山クエストに挑戦し、アスレチックという答えを出したツバサ達。そのままの流れでそのアスレチックもやる事になったツバサとヒョウ。そして、それを終えた2人の意見は真逆だった。
「ふう。楽しかった!」
「はぁ……はぁ……な、何でこんなに疲れるんですか……」
ヒョウはスッキリしたような顔つきであり、明らかにアスレチックを楽しんでいた。ただ、対してツバサの方はかなり疲労の色が大きく。アスレチックを楽しむよりも疲れの方が大きい側の人である。
「ふふっ、少年。ヒョウ君。お疲れ様!」
「えるぅ!」
すると、そこにあげはとエルの2人が到着。それを見てツバサは思わず物を申したいのか。声を上げることに。
「あ、あげはさん」
「うぅ……って事はボク達、最後までやりましたけど……結局、アスレチック関係無かったじゃないですかぁあ!!」
ツバサはアスレチックをやれば道が開けると聞いてアスレチックをやらないと先に進めないと思い込んでしまった節があり、そのために結局アスレチックとは関係なく先には進める構図になっていた事から思わずツッコミたくなってしまったのだ。
「まぁまぁ、こういうのは楽しんだもん勝ちだろうし。そんなカリカリするなよ」
「それにほら。アスレチックをやらないと先に進めなかったらのんびりコースを進む人達にとってこっちに来る意味がないとか?」
「……ああっ!?言われてみればそうじゃないですか!」
あげはの言う通り、そもそものんびりコースを使う人というのはそこまで激しい運動が得意な人では無い場合が多い。そもそも激しい運動が得意かつ山登りが好きな人はユキ達が進んで行った斜面が急になっている方だろう。
ツバサは大事なことを失念していたとばかりに頭を抱えてしまうとそれを見たあげはとエルは思わず苦笑い。また彼は振り回されてしまう形となるとヒョウがフォローを入れる。
「だけど、アスレチックも面白かっただろ?だからそんなに拗ねなくても……」
「ヒョウにとっては面白いかもですが、ボクにとってはそうでも無いんですよ!」
「そっか、ごめん……」
「ッ……」
ヒョウはどうにかツバサを元気付けようとしたが、その声かけに失敗。ヒョウは珍しく“シュン”としてしまうとツバサは言い過ぎたと思ったが、意地を張ってそのまま拗ねた様子を止めなかった。
「……さ、気を取り直して次行こう次!」
「……はい」
「そうですね」
そんな様子を見てあげはが仕切り直すと一同の山登りが再開される事になる。すると、ヒョウがあげはへと声をかけた。
「そうだ、あげはさん。今度は俺が持つよ」
「えっ……そ、そっか!そうだよね!ヒョウくんも男の子だから……」
「何でそんなにヒョウに荷物を持たせるのに躊躇ってるんですか」
あげははヒョウに言われて一瞬躊躇うような様子を見せてしまう。すると、流石にツバサもこれに気がついて違和感を指摘。とはいえ、それ以上のツバサからの指摘は無く。結果的に今度はヒョウがあげはから荷物を受け取り、進んだ。
「えるぅ!」
「おお。エルちゃんもやる気だね!」
「ッ……」
4人は両サイドに花畑が広がる道を進むとあげはが抱えているエルはご機嫌なのか。笑顔で声を上げており、あげははそんなエルに微笑ましい顔を浮かべる。ただ、それとは対照的にヒョウは少しキツそうな顔を見せていた。
「(これ、思っていたより重い……。ツバサに行けるから行けると思ってたけど……流石に無茶だったかな)」
「ヒョウ君、大丈夫そう?」
「は、はい……ちょっと重たいですけどまだ平気です」
ヒョウはここで誤魔化しても何れバレてしまうからか。重たい事に関しては素直に話す。その上で大丈夫な意思も示した。
「無理はしなくて良いからね?厳しそうだったら少年が代わってくれるから」
「そこはあげはさんじゃないんですね!?ま、まぁ良いですけど」
ツバサはヒョウが荷物を持つのが少しキツそうなのは何となく悟しており、流石にここで手伝わずにヒョウが潰れるのは見ていられないのでどうしても無理そうなら手伝うつもりではいた。
すると、ヒョウはツバサに気づかれないようにボソッとあげはへと恥ずかしそうに顔を赤くしつつ話しかける。
「あ、あげはさん……その……もしかして」
「え?ああ、気にしなくて大丈夫だよ。ヒョウ君の秘密はちゃんと守るから」
「すみません……お願いします」
どうやら、ヒョウは何か秘密を抱えているらしく。あげはにそれを守ってもらえると聞いて嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが複雑に交差する。
そんな風に2人がコソコソと話をしているとその様子自体はツバサの目に入っていた。そのため、彼の中にモヤッとした気持ちが出てくる。
「(ヒョウ、あげはさんとすっかり仲良くなって。あげはさんは何でボクばかりあんな子供を見るような扱いをしてくるんだろ。それに、ヒョウはそんなあげはさんと仲良くして……)」
ツバサとヒョウの仲は決して悪くない。むしろ、スカイランドから来た同じプニバード族として頼りにしているまでもある。そのため、あげはとヒョウが仲良くしていると彼をあげはに取られたような気さえもしてしまうのだ。
「(何でボクばかりこんな目に……)」
このようにツバサはあげはに振り回され、ヒョウはあげは側について。どうして自分だけがこのような目に遭わされないといけないのか。どうしても納得がいかずに不満がどんどん蓄積。不機嫌そうな顔つきは変わらなかった。
ツバサとあげは、ヒョウの2人の間の関係に少しずつ不穏な空気が流れていた時、あげはが次のらそ山クエストの問題を発見する。そこにはまた謎が書かれていた。
「お、次の問題発見!」
「えっと、“隠れている綺麗な物は?”……ここに何か綺麗な物が隠されているって事?」
「隠れてる物……あ、もしかしてこの花畑の中に何か特別な物があるとか?」
「うーん、確かに花畑は何かを隠すのには最適だとは思いますけど……」
ツバサ達は自分達のいる登山道の方から周囲の花畑を見渡してみてもそれらしい特別な物は無い。それなら花畑の中で探した方が効率的なのだが……。
「だけどあそこにもある通り、花畑の中を探すのはダメっぽいね」
残念ながら、流石に花畑内部への侵入は禁止されてしまっている。この辺りはらそ山を訪れる観光客達に山を荒らされてしまうのを防止するためだろう。
「じゃあどうすれば……」
「せめてボク達のどちらかが飛べれば上から見渡せられるんですけど」
「あ、そうだ。ツバサがキュアウィングになれば万事解決……」
「ダメですからね!?プリキュアの力はそんなに私的利用する物では無いですよ?」
ツバサはヒョウがプリキュアの力を私的に使えば良いという意見に思わずツッコミを入れる。確かにキュアウィングの能力である飛行能力なら空から花畑の中を捜索できるだろう。
ただ、プリキュアの力は困っている誰かを助けるための物。それに加えてウィングが地上をよく見渡せるのと同じでウィングの姿もまた周りの一般人の目に晒される事になる。
「あはは……確かに、言われてみたらそうだよな」
「それに、そんな目立つ事してたらどんな騒ぎになるか。もうちょっと考えてください!」
「う……ご、ごめん」
ヒョウはツバサに色々言われまくって思わずたじろいでしまう。逆にツバサもヒョウ相手に言い過ぎた事に気がついたのか。
「あっ……えと、すみません。ボクも言い過ぎました……」
「うん……」
そのままお互いに自分の言った言葉に責任を感じて気不味くなってしまう。あげははそんな2人を見てすぐにフォローに入った。
「はいはい、2人共気不味い話はそこまで。流石に今回の件でプリキュアの力は使えないだろうから無しとして。でもヒョウ君の上から見下ろすっていうのも全体が見れて面白そうだよね!」
「面白いって……まぁ、上から探した方が探しやすいのはそうかもしれませんけどこの辺にそんな都合良く上から見渡せるような台なんてありませんよ」
ツバサはあげはがヒョウの意見に面白いという見方を示したために困惑した顔を見せる。そして、あげはは更に続けた。
「でも、面白い見方をした方が問題を楽しめると思うんだよね!」
「そうですよね!」
「「イェーイ!」」
「結局そのノリになるんですね」
あげはとヒョウがハイタッチをすると2人のノリについて行けないツバサが置き去りにされてしまう。
「だって上から見渡すって考え方が面白くてさ。ほら、そうしたら隠れてるものが見つけやすく……!!」
そんな時だった。あげはの脳内に何か電流のようなエフェクトと共に何かの考えが浮かぶ。彼女はヒョウが出してくれた案である上から見下ろすというやり方が気になったようで。
「上から……上から……」
「あげはさん?」
「今度はどうしたんですか?」
あげはが改めて周囲を見渡すとそこにはピンク、青、黄色と言った無数の花が咲き誇るのが見える。しかも見た所、その境界線は曖昧では無く。何か意図的に区切られているようにも感じた。
「もしかすると……」
「ヒョウ、あげはさんはどうしたんですか?」
「俺に聞かれてもわからないよ!」
プニバードコンビはいきなり1人でブツブツと言い出したあげはに困惑。何で1人で考えているのかがわからずに2人で言い合っているとあげはは真剣な眼差しでロープウェイを見た。
「ロープウェイ……」
「あげはさん……?」
ツバサはヒョウと話している間にそんなあげはが気になって視線を移す。それから彼女は何かを決めたような顔を見せると二人へと自分の意見を話した。
「良し……あそこにあるロープウェイに乗ろう!」
「「えっ!?」」
2人はあげはの言葉に困惑するが、彼女はそんな2人を安心させるように声をかける。
「大丈夫、大丈夫!これならきっと上手く行くからさ!」
「あげはさん……わかりました。行きましょう」
「ちょっ、ヒョウまで!?」
ヒョウもあげはからの言葉を聞くと彼女の様子に安心感を感じたのかあげはの案に賛同。そのままあげはとヒョウ。更にあげはに抱かれたエルもロープウェイのある方向へと向かう。
しかし、ロープウェイのある方向は当然山登りのコースからは外れてしまうわけで。そのため、ツバサは慌てて声を上げた。
「ちょっとお二人共!そっちはコースから外れちゃいますよ!謎解きは!?」
「大丈夫!多分だけどこっちに行ったほうが良いと思うんだ!」
「ツバサ、あげはさんを信じてあげて!」
ツバサからの言葉に対して2人の意見はまるで動じない。それどころかツバサも来るべきだと促す始末である。
「良いから良いから!少年、早く早く〜!」
「むうう……」
ただ、そうなるとツバサの言葉は途端に届かなくなってしまう。しかも、ツバサ視点だとちゃんと言ってくれてないがために2人の行動の意図が見えないために余計に混乱。
どれだけ言っても話を聞こうともしない2人……。それに加えて今朝からここまでの間に溜まり続けていたあげはへの不満がとうとう限界にまで達すると我慢が解かれて大爆発。完全に怒ってしまう。
「ほら、行くよ!」
「むぅううう……もう良いです!ボクはこっちを探します!」
彼はそう言ってさっさと正規のコースの方へと行ってしまう。ヒョウはツバサの様子からあげはの気持ちがわかってないと思って慌てて説明しようとする。
「ツバサ!?こっちが正解なのに……」
「大丈夫。ヒョウ君も少年の事を信じてるんでしょ?きっと私達の考えにも後から気づいてくれる。だから先に行こう」
ただ、それに関しては無理にツバサを説得しようとしても無理だと判断したあげはが引き止めた。そのため、あげはの言葉にヒョウは頷くとロープウェイへと向かう。
「ッ……わかりました」
「……この感じだと少年に嫌われちゃったかな。……仲良くしたかっただけなのに」
あげははツバサとの接し方を間違えてしまった事を少し後悔したような声を小さく呟く。それでもヒョウの前では大人としての姿だけは崩さないようにし、結局はエルを含めた3人でロープウェイへと移動するのだった。
こうして、ツバサが我慢の限界を迎えてあげはやヒョウと完全に別行動になってしまう中。あげは達の向かうロープウェイ乗り場での事、その近くにあったロープウェイの機械室にとある人物が入る。
「ご苦労さん、そろそろ交代の時間なのねん」
「あれ?もう?」
ロープウェイの機械室に元々いた運転士は自分が付けているスマートウォッチと思われる時計を確認するとその交代時間の早さに違和感を感じる。
だが、運転士は交代で来た相手が自分と同じ運転士としてのスーツ姿に帽子を被っていたのもあって彼は本当に交代の人員が来たのだと勘違い。
そのため、運転士は早めに交代してくれるならありがたい事だと新しく入ってきた運転士らしき人物の素性をよく確かめずに交代して出ていってしまう。
「じゃあ、後は頼んだよ」
「ごゆっくり〜……なのねん」
そして、新しく入ってきたこの運転士こそが運転士のスーツを着て車掌の帽子を被った豚男……カバトンだった。
「グフフ。こっちは潜入成功。シャドー、アイツらの足止め……しっかり果たすのねん」
カバトンは笑みを浮かべると早速ロープウェイの管理をしつつ作戦を開始するのだった。
また次回もお楽しみに。