バッタモンダーがランボーグを呼び出したその時。ツバサ、ヒョウ、あげは、かけるの四人もミラージュペンとツインチェンジライトを手にした。
「「スカイミラージュ!トーンコネクト!」」
「ひろがるチェンジ!バタフライ!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」
「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」
プリキュア組の二人がメイン担当をバタフライにして変身。そしてかけるとヒョウもツインチェンジライトのライト部分を捻る。すると前とは違ってかけるの方は赤、ヒョウの方は白く発光した。
「あれ!?色が前と違う!」
ヒョウが驚くものの、そのまま二人はその理由を確認する間も無く無意識のうちに手を繋ぐ。まるでアイテムの光に導かれるように。
「「デュアルファンタジーパワー!」」
そして、前と同じようにポーズを取ると赤と白の球体に包まれて空へと浮かび上がる。そのまま宇宙のような不思議な空間へと移行した。
「光り輝け!大地に!」
「舞い踊れ!空に!」
かけるとヒョウが続けてそう言うとそれぞれかけるの右腕とヒョウの左腕にそれぞれ赤色と白色のアームカバーが装着されていく。かけるのアームカバーの先端にはオレンジの太陽の紋章が、ヒョウの方に水色の翼の紋章が入る。そのまま手を繋いでいる方の手にも同じアームカバーが装着されると二人は手を離してそれぞれ単独での変身に。
「過去からホップ!」
かけるがそう言うとワインレッドの半ズボンが装着されてから髪が燃えたつエフェクトと共に赤い髪色になると髪型も多少髪が伸びて周りに広がるような形へと変化。耳にはピアスが装着され、髪にはオレンジの太陽のような髪飾りも付与された。
「乗り越えステップ!」
ヒョウの言葉と共に彼女の下半身に乳白色のスカートが装着される。ただ、差し色には水色や群青色入っており、氷や水系統の色合いも出てきていた。そのまま彼女も髪が変化。ただ、色は白から水色へと変化する前と同じようにポニーテールに残った髪がストレートとして降りる形へ。加えて耳にピアス、ポニーテールを纏めるゴムの所に氷の結晶の髪飾りが付与された。
「「未来へジャンプ!」」
二人が声を合わせてそう叫ぶとかけるにトップスが装着。袖は半袖でアームカバーが無い部分は素肌となっている。色は赤をメインにオレンジや白の差し色が入っていた。更に緋色のブーツや赤にオレンジを基調としたレッグカバーも装着。そして、ヒョウの方も上半身のドレスが生成。こちらは乳白色をメインにしつつ、青やミントグリーンの差し色が入っていて、下半身に合わさった雰囲気を出した。そのままヒョウの両脚にも白に水色の差し色が入ったレッグカバーが装着。
そのまま二人は特殊空間に降り立つとこの姿としての名乗りを挙げる事になる。
「青空を照らす太陽の輝き!アポロンサン!」
「青空を彩る静かな粉雪!アルテミススノー!」
「聖なる世界を汚す者よ!」
「光の裁きを今下さん!」
かけるとヒョウがアポロンやアルテミスとなるが、前とは違う姿になっている事に本人も含め、その場の全員が驚いた。
「嘘!?なんか前とは違うんだけど!?というか、また勝手に口走って……」
「赤系統の戦士ってなんか新鮮だな」
「私達はキュアサンライズでしょっちゅう見てきているからあんまり感じないけど、そういえばかける君……じゃなかった。アポロンってサンライズを見た事が無いから新鮮に感じちゃうんだよね」
かけるはシャドーに乗っ取られている間は記憶が無い上に、彼が解放されてからはサンライズの変身した所を一切見てないのでこの反応も仕方ないと言える。
「ひとまず、今は目の前のランボーグを浄化しましょう!」
ウィングの言葉に一同は気を取り直すと構えを取る。それを見てバッタモンダーはいきなりまた前と違う姿になったアポロン、アルテミスに動揺しつつも余裕そうに話した。
「んだよアイツら!また違う姿になってくれて……でも、勝負の世界は時に非情。残りのプリキュアが来る前に決着を付けてしまおう」
「……何かカッコ付けてるみたいだけど、要は全員が揃った状態じゃ勝てないって思ったんでしょ」
「ですね」
「やっぱりあなたはチキン野郎じゃない。ま、このままでも勝てるから結果は変わらないけど」
「ぐっ……好き放題言いやがって。それにこういうのは頭を使った作戦っていうんだよ!」
バッタモンダーが指を鳴らすとランボーグは早速手の先端にあるゴミの投入口からさっきまで中に入っていたであろうゴミをミサイルとして飛ばしてきた。
「ランボーグ!」
「ゴミはポイ捨てしたらダメだろ!」
「ゴミはゴミ箱に……ポイ!」
ランボーグからの攻撃をウィングやバタフライは蹴り返すとバタフライが蹴った方はランボーグのゴミの投入口へとシュートされて逆にダメージを受けた。
「ラン!?」
しかし、ランボーグはまだまだと言わんばかりに今度は両手でゴミのミサイルを放つ。
「ランボーグ!」
「させない!」
アポロンが手を翳すと手から高火力の火炎弾が出現するとそれが発射。どうやらこのスタイルのアポロン、そしてアルテミスはパワー重視の気弾を扱う固定砲台の役割を担うべき戦士としてチューニングされているらしい。その証拠として火炎弾の火力はムーンライズ達の気弾より遥かに強かったものの、速射性は薄そうだった。
ランボーグのゴミの弾丸に命中すると燃えるゴミだったせいか、そのまま炎上した上でミサイルは逆にまたランボーグの投入口の中へと撃ち込まれる。
「ラ、ラッ!?」
しかもそれだけでは終わらない。炎上したゴミ袋の炎はランボーグの内部に存在する他の燃えるゴミにも発火。そのままランボーグは炎に包まれていく。
「ランボーグ!?」
「なっ!?お前、たった三人からの攻撃で良いようにやられんな!」
それから少ししてやっとゴミが燃え切ったのか、炎が消えるとまたランボーグはミサイルを放とうと構える。だが、なかなかミサイルは出て来ない。
「ラン!ラン!……ラン?」
「あれ?攻撃が来ませんね?」
「……もしかしてさっきので中に蓄えられていたゴミが殆ど燃え尽きたとか?」
事実、ランボーグの内部のゴミは先程の炎上のせいで燃えて灰になっている。そのためにランボーグは得意のミサイルを使えなくなった。
「ふふっ。チャンスよ!はあっ!」
その瞬間、アルテミスが体の冷気を集約。サッカーボールサイズの球を空中へと作り出すとそのままボールは一度バウンド。それからまたボールが浮かび、アルテミスは自ら回転しながらボールを右脚で強く蹴り込んだ。
「吹き荒れなさい!○ターナル・○リザード!」
「ちょ!それ、あのアニメのネタじゃないですか!」
ご丁寧に必殺技の文字のカットインも入ったその一撃はランボーグのゴミ箱の入り口へと吸い込まれるように飛んでいく。
「ボールを相手のゴールに……シュゥゥゥーッ!」
そのままランボーグのゴミ箱の入り口の中へと見事に突き刺さり、ランボーグは今度は凍りつく。
「超!エキサイティング!」
ランボーグが凍りついて身動きが取れなくなったタイミングでバッタモンダーはあんぐりと口を開けて唖然とする。
「バタフライ、さっさと決めちゃって!」
「あはは……。絵面が色々と煩かったけど……任されたよ!」
バタフライは速攻で決めるために跳び上がると動けないランボーグへと浄化技を繰り出す。
「これでお終い!ひろがる!バタフライプレス!」
バタフライが展開した盾を蹴り出すように技を発動されるとランボーグへとそれが落下していく。
「嘘だろっ!?四人相手にこうもアッサリと……」
バッタモンダーが頭を抱えて困惑する中、そこに竜巻が飛んでくるとバタフライプレスを横から弾き飛ばして空中で爆発させた。するとそこに竜巻と共にヒューストムが降り立つ。
「おいおい。わざわざお前の戦略に乗って相手を分断してやったのになんてザマだ。あとちょっとで俺の苦労が水の泡じゃねーか」
ヒューストムが苛立ちを募らせたような声を上げる。更に彼はまた自分のスピードが遅くなっている事を受けて舌打ちした。
「チッ。やっぱりお前ら二人がいると俺のトップスピードが使えないじゃねーか」
どうやらアポロン、アルテミスの特殊能力はこちらの形態でも共通らしい。そのせいでヒューストムは能力を制限されているようだ。
「くそっ。ランボーグもいつまで固まってんだ」
ヒューストムが自身の能力を応用して熱風を送るとランボーグを覆っていた氷が溶けて消滅。水滴を滴らせながらランボーグが復活した。
「ラン……ボーグ」
だがここまでの戦闘の影響でパワーが著しく低下しているのか、ランボーグは元気が無さそうにヘタレ込む。
「くっ。お前、マジでさっきまで何してた?まさかと思うけどワンサイドゲームだった訳じゃねーよな?」
ヒューストムが怒りを露わにすると指を鳴らす。その瞬間、バッタモンダーの体が緑のエネルギーに包まれると彼が宙へと浮かび上がる。
「なっ!?お前、何するんだ!」
「うるせぇっ!お前が好き放題してると面倒なんだよ!ここからは俺一人でやってやる!」
「はぁっ!?お前、何を……」
「弾けて混ざれ!」
その瞬間、バッタモンダーは爆発と共に吹き飛ばされるとそのまま気を失って落下。完全に目を回して気絶してしまった。
「きゅうう……」
「アンタ、バッタモンダーは仲間じゃなかったの!?」
「あ?こんな弱いアンダーグ帝国の住人なんて要らねぇよ。ここからは俺一人でお前ら全員血祭りにあげてやる」
ヒューストムがそう意気込む中、四人は構えを取る。すると彼は手を横に翳すと吸引を開始。するとそこそこ距離や重さがあるはずのゴミ置場を入れ物ごと吸い寄せて手にする。
「ッ!?何を!」
「こうするんだよ!混ざれ!アンダーグエナジー!」
バッタモンダーがゴミ置き場を真上に放り投げるとアンダーグエナジーを召喚。そのままアンダーグエナジーがそれを取り込むと元気を失って殆ど置き物と化していたランボーグへとそれが吸収。ランボーグは先程よりもサイズが大きくなると力が漲ってきたのか、それが凶暴化していく。
「キョーボーグ!」
その瞬間、ランボーグは限界を超えたパワーを引き出したのか叫び声がランボーグから変化。それだけでなく、溢れ出るパワーが先程までの比では無い程に強化されていた。
「ランボーグじゃ……無いのか?」
「ああ。俺一人じゃまだ出せないが、バッタモンダーの使ったランボーグの素体を利用してパワーダウンしたアイツのランボーグに重ねがけする形で別のランボーグを召喚。二つの素材のパワーを持ったランボーグの上位種……その名もキョーボーグだ」
その力はランボーグとは桁が違うと四人は考えて警戒を高める。更にヒューストムが加わるとなると厄介な事この上無い。
「……キョーボーグ。この雑魚四人をぶっ潰せ!」
「キョーボーグ!」
ランボーグ改め、キョーボーグは走ってくると鉄のゴミ箱でウィングを殴る。
「ッ!?うわっ!」
そのパワーは空中で踏ん張りが効きにくいとは言え、ウィングを簡単に吹き飛ばしてしまう。
「キョウ!」
更に左腕をバタフライに向けると今度は先程よりも大きくなったらゴミ袋の弾丸を放つ。
「そんなの、またさっきみたいに!」
アポロンが手を翳すと火炎弾を放つ。そのままゴミ袋へと命中。ただし、ゴミ袋のサイズが大きくなった影響で炎上自体はしても勢いが止まらない。
「ッ、不味い!」
しかもそれだけでなく、ミサイルは子供達が絵を描いた壁画へと一直線に飛んでいく。あんな物が当たれば、壁画は確実に壊れる。しかも、近くにエルも隠れているので彼女に命の危険が降り注ぐだろう。
「させない!」
バタフライは手を翳してバリアを展開するとミサイルをなんとか止める。だが、その威力が凄まじいのかバリアには深いヒビが入ってしまう。これはつまり、もう少し威力が強ければ一撃でバリアが砕かれてしまう事になるだろう。
「アポロン、次からはミサイルの迎撃はしないで。多分、アポロンが発火させた影響だけどミサイルの威力が上がってる」
「わかった。……でも、素のミサイルだとしてもバタフライ一人で止められる?」
「……わからない。でも、子供達の大切な壁画を壊させたくないから!」
バタフライの必死な言葉にアポロンは頷く。するとヒューストムは何かを思いついたのか指を鳴らすと自身の周りに風の弾丸を生成させる。そして、そのまま弾丸は高速回転を始めるとその貫通力を高めた。
「ッ!」
「ふふっ。どうやら、お前らにとってそこの壁画はとーっても大事な物らしいな。だったら、それ。メチャクチャにしてやるよ」
ヒューストムはそのまま指鉄砲を構えると撃つ動作をする。バタフライはすかさずそれに反応。バリアを周囲に幾つも展開した。
「はあっ!」
ミサイルはバタフライのバリアに次々と着弾するとものの数発命中しただけでバリアには次々とヒビが入って一部欠ける場所も発生。何とか攻撃自体は凌いだものの、バリアはもうボロボロで二度は防げなさそうだった。
「よく凌いだなぁ。……おかわりと行こう。勿論次はさっきよりも貫通力は上げるけどな?」
するとヒューストムはまた指を鳴らす。するとあっという間に次弾が装填。バタフライは唇を噛み締めるとバリアの大量展開のせいで疲れた体に鞭打ってまた構える。
「隙だらけよ!」
そこにアルテミスが飛び出すが、前の時程のスピードが出ない。やはりこの形態はスピードよりもパワーを重視しているせいで前のような加速ができないのだ。
「そっちこそ隙だらけだバーカ」
「キョーボーグ!」
そのため、あっという間にキョーボーグに詰められるとアルテミスは殴り飛ばされてしまう。
「きゃあっ!」
「アルテミス!」
ウィングが何とか飛ばされた彼女を受け止め、その間にアポロンが火炎弾でヒューストムを牽制しようとするがその発動をバタフライが止めた。
「止めて、アポロン!」
「でも……」
「アポロンの能力は今のキョーボーグと相性最悪よ!撃ってもまたゴミが燃えた火炎弾として返ってくる!」
アポロンが悔しそうにする中、キョーボーグはそんなアポロンへと一方的にゴミのミサイルを放つ。
「はあっ!」
火炎能力を封じられたアポロンは何とか普通の蹴りやパンチで攻撃を弾くが、ヒューストムの方には飛んでいかない。それもそのはず。彼は攻撃を妨害されないように風圧で実質的な安全地帯を作ったからだ。
「さぁ、地獄を楽しみな」
ヒューストムがまた指鉄砲を撃つ動作を見せるとバタフライは先程以上に力を込めて盾を召喚する。その影響でバリアの層は厚くなったが、今度は先程以上の弾数に火力。しかもヒューストムは第一陣の後ろ。ちょうどバタフライからは死角になる弾の真後ろにほぼ同等の火力の二発目を用意していた。つまり、実質的に先程の倍の弾数である。
「くっ……ううっ!」
バタフライは歯を食いしばって攻撃を耐え凌ごうと盾を必死で支えるように強く両腕を差し出すが、一撃目で深いヒビが入って少しでも衝撃が加わったらすぐ崩壊する程度のボロボロの盾で止め切れるはずも無く。あっという間に盾は撃ち砕かれるとバタフライにも弾が命中。彼女の体は一瞬にしてズタボロになると悲鳴をあげた。
「きゃああっ!」
しかも、面攻撃をしていたヒューストムはバタフライの正面だけで無く、その横にも弾を展開。バタフライが自ら盾になった場所は防げたが、それ以外はもう止められない。
「嫌っ……止めて!私の大切な……」
バタフライが悲痛にも等しい叫びを上げるが、もう止められない。自分の無力さを呪ったその時。
「ああっ!」
そこにアポロンが回り込むと地面に手を置く。その瞬間、地面から火柱が立ち昇ると風の弾丸を受け止めてその角度を中央へと転換。その全てをアポロンがその身を持って受け止めた。
「ぐああっ!」
そのまま爆風に包まれたアポロンはバタフライ同様に深いダメージを負うとそのまま崩れ落ちる。
「あ……アポロン?嫌……嫌ぁああっ!」
バタフライはアポロンが自らを犠牲にして攻撃を止めた姿を見て絶望じみた顔つきを浮かべてフラフラとした足取りで彼へと駆け寄るのだった。
また次回もお楽しみに。