熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

178 / 252
夜の女子会

とある日の夜の事。夕飯を食べ終えたユキ達は各自の勉強を済ませた。そんな時。ユキ、ソラ、ヒョウ、あげはの四人はましろの部屋に呼び出される。

 

「ましろん。皆揃ったよ!」

 

「入っても大丈夫でしょうか?」

 

「うん。今開けるね!」

 

それからましろが部屋の扉を開けると外にいた四人はましろの部屋へと入った。

 

「それで、ましろちゃん。私達に用事って?」

 

ユキが開口一番にそう言うとましろは一度部屋の外に出て扉に何かを貼ると集まってもらった理由を説明する事に。

 

「今日はね、女子会をやろうかなって!」

 

「女子会……って事はさっき貼ったのは」

 

「うん。アサヒやツバサ君。かけるさんが間違って入って来ないように女子会中につき、男子入室禁止っていう紙を貼ったんだ」

 

「なるほど!」

 

ましろは一度会を開いてみたかった節があったのでこのような形を取ったのである。

 

「えっと、でも私達。女子会なんてやった事無いですし。何をすれば……」

 

「特にこれをしないといけないみたいな物は無いから割と自由にって事になるけど……」

 

するとソラは真っ先に何かを思ったのか、話題になりそうな話を振ることになった。

 

「あっ!そういえば、ましろさんがこの前すこやか市に旅行に行った際に……」

 

実はすこやか市に観光に行った際。クルシーナとの決戦後。帰るまでに時間がそれなりに余ったので個別で気になる場所への観光をしていたのだ。その時はソラ、ましろ、のどかチーム。ツバサ、ヒョウ、アスミチーム。アサヒ、ユキ、ちゆチーム。あげは、ひなたチームという感じである。

 

〜回想〜

 

「ハーブガーデン?何だろう……」

 

ましろが入っていったお店はハーブガーデンと呼ばれるお店で、それを見たソラは疑問符を浮かべた。

 

「あっ。ここって!」

 

「ラビ!」

 

三人とラビリンが店の中に入ると店長である土生みきおが出迎えた。そして、ましろが気になったのは店のマスコットと言わんばかりに置いてあるぬいぐるみだ。

 

「可愛い!」

 

そのぬいぐるみは上半分が紫。下半分が緑のマスコットで額や両頬にピンクの花が描かれている。更に大きな目に赤い口紅をした口が目立つ何ともいえないような表情を浮かべていた。

 

「それはこのお店のマスコット。ラベンだるまちゃんだよ」

 

「私もこのぬいぐるみを持ってるんだ!」

 

ラビリンは一応妖精なのでここではただのぬいぐるみのフリをしており、のどかが手に抱えている形である。

 

「ラビリンともすっごく仲良しなんだよ」

 

のどかは一応ラビリンの設定的に仲良しという事でここで通している。そうしないとラビリンが妖精だとバレかねないからだ。

 

「へぇ……でも、私はあまり気になりませんけど……」

 

「何言ってるの!ソラちゃん!こんな可愛いぬいぐるみ。滅多に無いよ!!」

 

「えぇ……」

 

ましろは妙にぬいぐるみを気に入ったようでどうやったら貰えるか聞いた所。ここのお店のハーブティーを飲んでスタンプを溜めると貰えるらしい。だが、旅行でここに来たという事でましろは物理的に貰うことができない事がわかってしまう。

 

「そうですか……」

 

シュンとした顔つきのましろを見たラビリンはコッソリとのどかへと話しかけた。

 

「のどか。ラビリン達のぬいぐるみ。一つ分けられないラビ?ラビリン達はまたここに通えるラビ。でもましろは……」

 

「ラビリンが良いなら……うん!そうしよっか」

 

それからましろは店を後にしてからのどかが自宅で持っていたラベンだるまを一つ譲ってもらえたのだ。

 

「のどかちゃん、ラビリン。良かったの?」

 

「良いよ!友達のためだもん!」

 

「それに、あの良さがわかるなんてましろはラビリンと気が合うラビ!」

 

〜現在〜

 

「あはは、うん。のどかちゃん達が良いって言ってくれたから……ほら」

 

それからましろが実物を持ってくると上機嫌にそれを抱いていた。そんなましろを見てあげはは微笑ましくなる。

 

「ましろん。そのぬいぐるみが大好きなんだね」

 

「でもちょっと意外ね。ましろさん。そういうのも好きだったんだ」

 

「私達の知らないましろちゃんが知れて嬉しいよ!」

 

ユキ達はましろの意外な一面を知れて笑い合う。次の話題として挙がったのはあげはからである。

 

「今度さ、何か保育園の子供達にお話を作ってあげたくてさ。何か良い案は無いかな?」

 

「あっ!私良い案が浮かびました!」

 

四人が考えているとソラが何かを思いついたのか、手を挙げて自分の意見を発表する事になる。

 

「こんなのはどうですか?世界を脅かす悪者がやってきて、正義のヒーローがそれに立ち向かうんです!」

 

「感覚的にはこの前の桃太郎と同じような感じだね」

 

「はい!それでヒーローは悪者にやられてピンチになるんです。ですが、穏やかな心を持ったその人は仲間や守るべき人々を踏み躙る悪者を見て激しい怒りを覚えるんです!」

 

「……あれ?」

 

ましろはソラの言葉に疑問符を浮かべる。その展開。どこかで見覚えがあるな……と。

 

「そして、とうとう怒りの頂点に達したヒーローは体に黄金のオーラをブワーって纏うんです。そう!名付けてスーパースカイランド人!」

 

「ターイム!待って待ってソラちゃん……」

 

「はい?スカイランド人設定に関しては物語の中なので大丈夫なはずじゃ……」

 

「それは良いんだけどそのスーパースカイランド人ってその後どうなるの?」

 

「えっと、物語が進むに連れてスーパースカイランド人2!更にスーパースカイランド人3へと段階的にバババーッて進化するんです!そして神の力を持った敵が現れた時に五つの正しいスカイランド人の心を持った人が一人のスカイランド人に力を注ぐ事で神としての力を発揮!その名もスーパースカイランド人ゴッ……」

 

「わーっ!わーっ!わーっ!それは関係各所から怒られるからダメだよソラちゃん!もうちょっと他の案にしよ?」

 

「えーっ?最後は青髪のブルー。そして体が勝手に反応する極意に……」

 

「だからダメだってぇ!」

 

ましろが無理矢理否定するとソラの案は却下されてしまう。その様子を見ていたユキはキョトンとし、ヒョウはましろがツッコミを入れた理由を知っていたために手を頭に置いて呆れた。

 

「他には、他の案は何か無い?」

 

「私は個人的に怪盗黒あげはってのはどうかなって思うんだけど」

 

「「「「怪盗……黒あげは?」」」」

 

次に案を出したのはユキだ。四人はその案を聞いて声を揃えて復唱する。そのままユキは話を続けた。

 

「えっと。あげはさんが黒い怪盗の服を身に纏って悪事を働いて人々から大切な物を巻き上げる悪い人達から大切な物を取り返すの。所謂正義の怪盗ってのはどうかな?」

 

「なるほど!じゃあ決め台詞は月に代わっておしお……」

 

「ターイム!あげはちゃんストップ!それ以上は言ったらダメだから!これも怒られちゃうから!」

 

「えーっ。別に決め台詞くらい良くない?」

 

「多分ダメですよ」

 

「むーっ。でも、その案良いね。世直しの怪盗か。黒あげはって名前も気に入ったよ!ありがと。ユキちゃん」

 

「はい!」

 

ユキがあげはにお礼を言われて嬉しそうに微笑む。次はヒョウからの話であった。

 

「……あのさ。皆に相談なんだけど……ツバサが気に入るようなプレゼントって何か無いかな?」

 

「ツバサ君が気にいるプレゼントかぁ……って、ん?」

 

「ヒョウちゃん。それって」

 

「うん……私……ツバサの事が好き……みたい」

 

ヒョウが恥ずかしそうに小声になっていく中。周囲から黄色い声が上がった。

 

「それっていつから?いつからなの?」

 

「……スカイランドで両親と仲直りして女の子らしくした時ぐらいに自覚したの」

 

「そうなんだ。……もしかして元々ツバサ君の事を意識してたけど、家族との確執っていうヒョウの最大の悩みが消えたからツバサ君の事だけに集中したって感じかな?」

 

「多分そう……。それと、ユキ姉とアサヒが甘いやり取りをしてるのを見て……つい羨ましくて……」

 

ヒョウは頬を紅潮させると体操座りして膝をギュッと抱きしめる。それは恋する乙女そのものだった。

 

「そっか。少年も隅に置けないなぁ」

 

「それで、ツバサ君が喜ぶプレゼントですか」

 

「ユキ姉はどう思う?アサヒにプレゼントする時とかどういう基準で選んでるとかある?」

 

ヒョウは現在進行形でお付き合いをしているユキが一番経験値が高いと思って彼女へと質問する」

 

「私かぁ……正直、私も最初は何を選べば良いかわからなかった。だからヒョウの気持ちは凄くわかる。アサヒ君の場合は私が心を込めて渡した物は結構喜んで貰えてるし。できる事なら手作りとかどうかな?」

 

「手作りのプレゼント……」

 

ヒョウはそれを聞いて少し悩む。手作りするとなると編み物とかでマフラーや手袋を思い浮かべるが、今はまだ夏に差し掛かる少し前。となるとやはりまだ冬物に相当するマフラー、手袋は早すぎる。

 

「お菓子とかはどう?ヒョウちゃん。ツバサ君の好みとか知ってるでしょ?」

 

「それはまぁ、そうだけど」

 

「私が手伝うから一緒に作らない?」

 

「……うん。お願い、ましろさん」

 

ヒョウも料理ができるましろに教わるなら恐らくできると考えたのか、手作りのお菓子をプレゼントする事になった。

 

「じゃあ次は私……って、あれ?」

 

あげはが話を始めようとしたその時。周囲から目線が降り注ぐ。あげははその状態に疑問を持つと質問した。

 

「あれ?皆どうしたの?」

 

「……あげはちゃん。かけるさんとは上手く行ってるの?」

 

ましろにそう問いかけられたあげはは少しだけ硬直した後に顔を赤らめると思いっきり動揺した。

 

「う、う、う、上手く行ってるって何!?かける君と私は別に……」

 

「かけるさんってカッコいいですよね。努力して苦手な事を克服しようとしますし」

 

「あげはさんの体の事を心配までしてくれてそっと毛布をかけてあげる所とか。……特別大事にしてる証拠だと思いますよ?」

 

「……ッ!」

 

その瞬間、あげはは顔がりんごのように真っ赤に染まった。やはり彼女はかけるの事を意識しているらしい。

 

「キッカケは?何?」

 

「えっとね……。だいぶ前の話になるけど、シャドーとして敵対してた頃からどうにも放っておけないような気がしてさ。それからかける君が助けられて……。ユキちゃん達がスカイランドに行っていた間も遅れを取り戻すために一生懸命勉強してて。……でも、真面目な固い人かなと思ったら私のノリにも付いてきてくれて。かける君は私に無理してまで合わせてるわけじゃないってわかった時なんて余計に意識して……」

 

どうやらユキ達がスカイランドでひと騒動している間にも二人の仲は進展。戻ってきた時に距離感が近くなっていたのはそれが原因らしい。

 

「あはは。でも、私は正直不安だな。かける君って真面目だから。私の事をちゃんと見ようとしてくれて。私の無茶振りにも合わせてくれる。だからこそ、かける君に合わせてもらってばかりだなって」

 

あげはは自分のノリで振り回す事を不安視しているらしい。そんなあげはの事を聞いて四人は顔を見合わせるとヒョウが口を開いた。

 

「大丈夫ですよ。かけるさんはそんなあげはさんが大切だから気を使ってくれてると思いますし」

 

「うん。かけるさんはあげはちゃんの良さを壊さないようにそっと支えてくれてる。だから無理してあげはちゃんが気を使ったら余計にかけるさんも気を使っちゃうと思うよ」

 

「うん……頑張ってみる」

 

そんな風にあげはの話も終わると今度はましろの話になった。ましろはこの前のドラマの話を出す。

 

「この前やった恋愛番組なんだけどさ。凄く泣けちゃって」

 

「あっ、前に見たやつですね」

 

「あれは泣けたわね。何しろ、出演者の女の子が六人の学生の中で一人だけ周りと比べて目立たなくて。目立とう目立とうと必死に頑張ってたらつい共演者の女の子を怪我させちゃって」

 

「ネットから袋叩きにされて自殺しそうになったその子が共演者の男の子に助けられて。そこから二人でネットでの炎上を乗り越えてゴールインしたし」

 

「キスシーンとか興奮したよね!正に感動のフィナーレだよ」

 

ましろの言葉に四人は共感したようにうんうんと頷く。そのドラマは割と視聴率もここ最近の中では良かったらしい。

 

「(……私もアサヒ君に救われた時……こんな風に悩んでたからなぁ。今思えば、アサヒ君は私を助けてくれた王子様で……って、何言ってるの!?私!!)」

 

ユキがそんな風に思っていると今度はその視線が自分に向けられていると気がつく。

 

「……皆?」

 

「ユキさん。今アサヒ君の事を考えてましたよね?」

 

「え、えっとぉ……」

 

「やっぱりアイツはユキ姉を誑かした不届者ね。一発蹴り入れてやるわ」

 

「ヒョウ、落ち着いて!これは違うの!」

 

しかし、ユキは気づいてなかったが思いっきり頬を赤らめて体をクネクネとさせて悶えていたら周りからは丸わかりなわけで。

 

「ユキちゃん。そういえばユキちゃんの話ってまだだったよね?」

 

「も、もしかして……」

 

「アサヒ君とどこまで行ったのか教えてもらいましょう!」

 

「ソラちゃん!?どこまでって一体どういう……」

 

「そういえば、この前アサヒに裸を見られてたよね?ユキ姉」

 

「へっ!?そんな事皆には話してな……あ!」

 

ヒョウは今、ユキにカマをかけたつもりだった。そんなふしだらな事をするわけがないと。だが、ユキはそのカマに引っ掛かってしまった。そのためにヒョウ以外の三人の目に好奇の視線が宿る。それと同時にヒョウは殺意を浮かべた。

 

「もう許さないわあの馬鹿アサヒ。すり潰してやる」

 

「待って待って!誤解だって!」

 

「それにそういえばその時ベッドで随分と積極的だったらしいよね?ユキちゃん」

 

「うん。確か、アサヒ君にだったら見せても良いよって?」

 

ユキは必死に止めようとするが、もうこうなったら止まらない。それ以降、女子会の話題はユキのアサヒに対する甘いやり取りの話を続ける事になるのであった。

 

「………これ、ヤバいな。明日、ヒョウに殺されるかも……」

 

尚、その話が始まったタイミングでたまたま部屋の前を通りかかったアサヒは身の危険を感じる事になる。ただ、何とかユキはヒョウの誤解を解く事には成功したので結局アサヒの取り越し苦労で済んだ。

 

「アサヒ、ユキちゃんとの子供は四人ぐらいは欲しいって言ったってね?」

 

「もう子供の話かぁ。二人共積極的だね!」

 

「ひーっ!もう勘弁してぇっ!」

 

女子会が終わる頃。ユキは文字通り、気力をすり潰されて出てくるとそのまま廊下でフラリと倒れ込み、それを見たアサヒはユキを抱き抱えてベッドに寝かせる事になる。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。