熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ひかるの一日

朝。カーテンの日差しが差し込む中、一人の黄色の髪の少年は睡眠を取っていた。そんな中、一匹のオスの猫が目を開ける。その猫の体は割と大柄でベンガル猫というブラウンの豹柄の模様が目を引く。

 

「にゃ……」

 

その猫は時計を見てから近くで寝ている少年を見ては呆れたような顔つきになる。

 

「にゃあ……」

 

猫は少年の頭を軽めに猫パンチするが、まるで少年は目を覚まさない。それどころか、寝言まで言う始末だ。

 

「らんこしゃん……恥ずかしがって照れ隠しに殴ってくる君もだいしゅきぃ……」

 

「にゃーお」

 

ここ最近、少年は寝言を言う場合は大抵これである。そのため、猫も聞き飽きたと言わんばかりに一度彼のベッドから飛び降りると少し離れて助走。そのまま思いっ切り跳び上がると少年の体へとダイブした。

 

「ふがっ!?」

 

流石にこれだけの衝撃が加われば少年も起きざるを得ない。少年は寝ぼけ眼で起きると猫へと話しかけた。

 

「ん……おはよ、ライ。まだ早い時間だしそんなに……」

 

「にゃあ!」

 

ライと呼ばれた猫が時計を指差すと少年……雷田ひかるは少しだけボーッとしていたが、慌て始める。

 

「っ!?げえっ!?もうこんな時間!?学校に遅刻するじゃねーかぁっ!!」

 

「にゃ」

 

ひかるの慌てっぷりを見て猫のライは半ば呆れたような溜め息を吐くとダメな主人を下に見るような顔つきになった。

 

「もっと早く起こしてよ、ライ〜!目覚ましだってかけてたはずなのに……」

 

ライは猫の自分のせいにしてくるひかるにまた溜め息を吐きたいと言わんばかりでそそくさと部屋の隅にあるキャットタワーに登ると起こしてやった感謝の言葉は無いのかという気持ちを持つが、これ以上は面倒に思ったのかまた丸くなってしまった。

 

尚、ひかるがかけていた目覚ましは鳴り出した瞬間にひかるが自分で止めてしまっていた。なので、ライに罪は無い。ライが欠伸してまた眠りに付く中、ひかるの一日は始まるのであった。

 

「遅刻遅刻〜!」

 

ひかるが慌てて準備をして下に降りると彼の母親こと雷田しょうこはそんなひかるを戒める。

 

「もう、ひかる。そろそろ早起きできるようにならないとダメでしょ」

 

「そんな事言ったって〜!」

 

「お弁当はできてるから、早く朝食を食べなさいよ」

 

「わかってるって!」

 

ひかるが朝食のパンを頬張る中、朝のテレビのニュースにある少女が映った。

 

「あっ、あの子って確か、春日うららさんだっけ?」

 

そこにあったのは彼女のライブがつい先日あったというニュースであった。彼女のライブは一万人を動員したらしく。その抽選倍率もとてつもなく高かったらしい。ひかるもダメ元で応募してみたが、やはり当たらなかった。

 

「らんこさん……別世界で観れてたらなぁ……って、そんな事言ってる場合じゃない!」

 

ひかるはニュースを見るのもそこそこに朝食をかき込むと制服を着て学校へと走るのであった。

 

「行ってきます!」

 

「気をつけるのよ!」

 

しょうこにそう声をかけられながら玄関を開けてひかるは飛び出す。そして、その様子をいつの間にか起きていたライは二階から見送ると彼はいつものようにのんびりとし始める事になる。

 

「ひーっ!急がないと間に合わねぇ!」

 

ちなみに時間はあと十分でホームルームと言った所だ。学校まで歩けば普通は二十分ぐらいかかる。なので、歩けば確実にアウト。という理由から彼は走って登校していた。

 

「くっそ、信号機ぃ!何でこんな時にいつも赤なんだよ!!」

 

ひかるの家からはどれだけ裏道を通ってショートカットしても信号機を二つは越えないと学校に着かない。なので、この信号機の運も必要なのだが今回は最悪だった。何故かタイミング悪く両方共ひかるが到着したタイミングで赤に変わったばかりという不運の日であったのだ。

 

「ここ長いんだよ!マジでヤバいっ!」

 

かと言って信号無視して走るという行為をひかるは絶対にしない。なので、変わるまで何とか待ってからまた走り始める。

 

学校に着くとホームルームまでもう一分も無く、校門に立っていた先生はいなくなっていた。そして、それはひかるが遅刻寸前になっているという事を示している。

 

「うぉおおおっ!間に合えっ!」

 

ひかるは先生に見つからない事を祈りながら廊下を全力疾走。勿論バレたら注意ものなので、見つかった瞬間間に合わなくなって終わりだ。そして、教室の扉に手をかけた瞬間。

 

「これより、ホームルームを始めるぞ!」

 

チャイムの音と共に担任の雑木林の声が響いた。それと同時にひかるは教室のドアを開ける。

 

「せ、セーフっ!」

 

ひかるは堂々と入ると自分の席へと向かうが、雑木林は苦い顔をしてひかるへと残酷な現実を告げた。

 

「いや、ギリギリアウトだよ。明日は遅刻しないようにね」

 

「は、はぁい……」

 

その後クラス内で笑いが起きるが、クラスメイトの中のしっかり者でヒーローガール。ソラはひかるへと注意の声をかけた。

 

「もう、ひかる君、遅刻はめっ!ですよ」

 

「あはは、ソラちゃん。こっちに来てからひかる君にそれを言うの何度目かな……」

 

「少なくとも五回は言ってるな」

 

ひかるは毎日とは言わないが、それなりに遅刻をしてしまう人なのでそれをやる度に毎度ソラに注意されてしまっている。

 

「今度から気をつけよ」

 

「いやいや、ここまで遅刻の回数が多いのはいけませんよ!」

 

ユキが優しく諭すものの、やはりソラはダメだと思うのか不満の声を上げた。そんな中、ホームルームも終わって授業が始まる……のだが。

 

「と、このように徳川家三代将軍の家光の代に日本は国を閉じて中国とオランダ以外からの貿易船が来ないようにしました。この体制の事を……雷田。答えなさい」

 

「……すぅ……すぅ……」

 

ひかるは授業で寝る常習犯であった。元々彼は勉強が得意では無く。それをするぐらいなら体を動かしたいと思う系の人である。

 

「ひかる君、起きて!先生に当てられたよ!」

 

ユキがコッソリと彼の背中を揺らすが、まるで彼は反応しない。彼は一度寝てしまうと揺らされてもすぐには起きないのだ。

 

「はぁ……しょうがねぇ。ユキ」

 

「えっ!?またアレやるの?」

 

アサヒが少し呆れたような顔で立つと手に息を吹きかける。それから彼はひかるの背中を思い切り引っ叩いた。

 

「ぐぎゃっ!?」

 

ひかるはその痛みで強制的に起こされるとそれと同時に今の状況を理解する事になる。

 

「あ、あ、えっとぉ……」

 

「ひかる君、答えは鎖国だよ!」

 

ユキは席に戻ったアサヒと入れ替わるように急いで彼をフォロー。ひかるはユキに言われた言葉を答えると先生に呆れた目線を向けられた。

 

「はぁ……雷田、虹ヶ丘アサヒ君とユキ・ハレワタールさんに感謝しなさい。座ってよし」

 

もうこの光景もクラスでは割と日常茶飯事となっている。クラスメイトからもひかるの居眠りの癖は仕方ないと割り切られている節もあった。

 

「ったく。お前な、いつまで授業中に寝るつもりだ?高校からは俺達が近くで一緒に授業を受ける保証は無いからな?」

 

休み時間になるとアサヒからの文句が彼へと飛ぶ。ひかるは苦笑いすると一応言い訳をした。

 

「ごめんごめん。実は昨日見たい深夜アニメがあって……」

 

「またお前深夜アニメが原因かよ……」

 

「その深夜アニメ?というのは気になりますが、それでも寝坊や居眠りをするのはダメだっていつも言ってるじゃないですか」

 

「ひかるの居眠り癖に関してはもう多分直せない所に来てるのよ」

 

今はアサヒ、ソラ、そしてクラスのやんちゃ男子のブレーキ役の吉井の三人と話している。ましろやユキが今、お手洗いに行った影響でこのメンバーなのだ。

 

「でも良いじゃねーか。昨日の○ンフォギアの激アツ展開なんて見たらスッゴイ興奮するからな?何しろ四期の敵役の力を借りて新たな力に目覚めるっていう展開!主人公の“だとしてもッ!”という台詞!そしてそのタイミングで入るデュエットの挿入歌!マジで神回だったわ!」

 

ひかるの熱弁にソラは興味深そうな顔をしていた。一応ひかるが夜に見ていたアニメはヒーロー物であり、前々から彼が話していたというのもあってソラも気にはなっていたのだ。

 

「今度、ブルーレイが発売されたら貸すからソラさんも見てみなよ」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「ソラも完全に懐柔されちゃったし……溜め息が出るわ」

 

アサヒの呆れた声に吉井も手に負えないと言わんばかりの顔つきとなる。そして、彼は学校が終わると近くの本屋へと走る。この日は自分が好きなアニメの原作漫画の最新刊の発売日との事なので友達に断りを入れてから先に帰る事にした。

 

「ふんふっふふーん!」

 

鼻歌を歌いながら上機嫌に本屋から出てきたひかる。彼の手にはお目当ての漫画……○都探偵があった。これは二人で一人の仮面の戦士になるヒーローが街で多発する怪物事件を解決する話で、これもまたソラと共にどハマりしているアニメであるのだ。

 

するとひかるの前に家から出てきて街を散歩していたのか、ライが現れた。

 

「ライ?また一人でお散歩か?」

 

「にゃあ!」

 

元々ライはひかるが小学生ぐらいに街中の野良猫のボス的立ち位置だった彼の窮地をひかるが救ったという事でひかるに懐いたというのが彼らの出会いで、それ以降もボス猫として偶に散歩も兼ねて縄張りの見回りをするのだ。

 

「にゃーお」

 

「何々?今日は気分が良いから一緒に帰ってやるって?」

 

「にゃ!」

 

ひかるはライと過ごすうちに彼の気持ちをある程度はわかるようになった。そのため、偶にこうして彼と意思疎通する事もある。とは言え大体の場合はひかるの解釈違いもあって微妙に噛み合わないが、それでも解釈にそこまでの誤差が無い場合はライも訂正どころか文句すら言ってこない。

 

ライはひかるの隣を悠々と歩くと二人は家に帰る。それからその日の夜。ひかるは勉強を殆どせずに買ったアニメの漫画を見て目を見開いていた。

 

「マジか……とうとうあの子が○ーパントに。○太郎と同じメモリを使うからどんぐらい強い……って、嘘だろ?幹部三人相手に痛み分けって……化け物すぎる」

 

ひかるが本を読み終わるとライの方を向く。彼はそんなひかるを見て溜め息のような鳴き声を吐くと彼の元にやってきた。

 

「お、今日は素直だな」

 

それからひかるは猫じゃらしを出すとライと戯れを始めた。ライもこの時間はひかるがどうしても自分に構って欲しい時間だとわかっているので彼もそれに乗ってあげている感じである。

 

「ライってあんまり俺と戯れるのに抵抗しないよな。もしかして譲歩してくれてるのか?」

 

ひかるの質問にライは答えたく無いと言わんばかりにまた別の場所へと移動してしまった。

 

「やれやれ。ライって結構気まぐれだよな」

 

ライの行動は割と気まぐれだ。ひかると積極的に交流する日もあればもう面倒だから放っておいて欲しいと言わんばかりに寝る時もある。要するに彼の気持ち次第ということだろう。

 

「さて、毎日の楽しみ。深夜アニメを観ますか!」

 

それから彼は寝る前の楽しみである深夜アニメに没頭。ライは溜め息とばかりの鳴き声を発してそのまま寝る事に。

 

「らんこさんにもこのアニメ見せたいなぁ……」

 

ひかるはそう言って世界の垣根を超えた自分の想い人の事を考えると顔が緩む。アニメが終わると彼は余韻に浸りながらベッドに入って睡眠を取る。こうして彼の一日は終わっていくのだった。




今回は番外編でひかるのある一日という感じになりました。また次回もお楽しみに。
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