熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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優しさが与える光 ましろの強さ

サンライズとスノーがシャドー及びランボーグ相手に大苦戦を強いられてる中、突如としてましろがプリキュアへと覚醒しそうになっていた。何故彼女がこのような状態にまでなったのか、それの説明のために少し時間を遡るとしよう。

 

サンライズ、スノーが戦闘を開始した頃。ランボーグから逃れるためにエルを抱えた状態で校舎の中へと入ったソラとましろは二人に来るように促したあげはと共に屋上へと移動中であった。

 

「ねえ、ソラちゃん。いきなり怪物が出てきた上にコスプレした子達が戦い出したあれ、何なの?」

 

あげはは移動しながらこの異常事態を目の当たりにして混乱した様子を見せる。

 

「すみません、詳しい事は言えなくて……」

 

「ええっ!?もしかして、さっき秘密だって言った事がこれなの?……ひとまずはエルちゃんか。ましろん!エルちゃんをこっちに」

 

「ッ、あげはちゃんごめんね」

 

ひとまず、今は事情を聞いている時間は無いと改めて感じたあげはは赤ちゃんであるエルを守るのが最優先であると考えた。そのため、ましろからエルを受け取ると階段を登る事になる。

 

「さっき怪物のサイズだと入れないとは言ったけど……」

 

あげはがそう思考した時、先程聞こえたランボーグとは別の個体と思われるランボーグの声が聞こえてきた。こちらは後出しで生み出された小型ランボーグである。

 

「ランボーグ!」

 

「ッ、ヤバいかも。皆、多分中に別のやつが入ってくる」

 

「「ッ!!」」

 

あげは建物の外から向かってくるであろう別のランボーグ……小型のキノコランボーグが来ると想定して行動を取ることになるのだった。

 

「(プリキュアになれない私じゃ、ランボーグには叶わない……。どうしたら……)」

 

ソラは悔しさでいっぱいだった。自分がカバトンの罠にハマってミラージュペンを奪われたばかりにこのような事態に陥っているのである。責任感の強いソラは己を責めていた。

 

そして、ましろもましろで友達二人を助けたいという気持ちが強い。何しろ、スノーの方は朝練のオーバーワークで体力を殆ど使い果たしている。それがたった半日足らずで万全にまで回復するはずが無い。そんな危険な状態で戦っているのだ。助けたいと思うのは自然と言えるだろう。

 

「(ユキちゃん、きっと相当無理して戦ってる。このままじゃ……)」

 

加えて幼い頃から鍛えてきたソラやユキとは違い、アサヒの方は少し前まではただの一般人だった。当然戦い方なんて知らないど素人である。

 

「(アサヒだって、少し前まで私と同じ普通の人なのに。周りのサポート無しで戦えるのかな……。どうにかして助けないと……)」

 

ましろの気持ちは階段を登りつつ屋上へと近づく度にどんどん強くなる。するとそんな彼女からエルは何かを感じ取ったのかあげはに抱かれた状態でその方を向く。

 

「えるぅ……」

 

エルはましろの胸に小さな白い光が宿っており、それが少しずつ大きくなっていくのが見えていた。

 

「二人共、もう少しだよ!」

 

あげはに言われて前を向くとそこには屋上に繋がるドアがあり、あげはがそこを開けると二人を先に行かせて屋上へと駆け込む。

 

「ロープ、ロープ……あった!」

 

あげはは後から向かってくるであろうランボーグが追ってこないようにするべく、屋上の扉をロープで固定。扉を開けられないようにする。これでひとまず安全は確保された。

 

「えるぅ……」

 

「大丈夫だよ。お姉ちゃん達が守ってあげるからね」

 

あげはは不安そうな顔になるエルを安心させるために優しく話しかける。ましろは階段を急いで走ったからか、疲れた様子だった。

 

「ユキさん……ッ!?」

 

その瞬間だった。ランボーグの触手によってスノーが滅多打ちにされると顔を真っ赤にしたスノーが疲れ果てて倒れ込んだのは。

 

「あああっ!?」

 

スノーはもう限界に近い状態で息を荒げている。一方のサンライズもシャドーとの経験の差による力量の開きが原因でもうやられる寸前だった。

 

「そんな、ユキさん……アサヒ君も……」

 

ソラはより一層強い責任感に追われてしまう中、この危機的な状況を見たあげはもどうにかするべく頭を悩ませる。

 

「どこかで金属バットでも拾って戦えばワンチャン……いや、無理。あんなのにそれで勝てるビジョンが浮かばない」

 

あげははランボーグへの対抗策を考えるが、仮に手元にランボーグに向かって飛ばせるミサイルや戦車とかがあっても勝ち目が無いと思ってしまう。そのくらいあげはでは目の前のランボーグ相手に打てる手が無いのだ。

 

「何か、何か良い手立ては……」

 

それでも何もしなかったらそれこそ二人を助けるなんて無理だ。そのため必死に案を出そうとする。

 

「助けないといけないのに……せめて、プリキュアの力があれば」

 

ソラもソラでプリキュアの力をアテにしてしまっていた。この街に来てプリキュアの力を持つ前であれば今ある力でどうにかしようとしていたのだが、その考えが頭から抜けてしまうくらいにはプリキュアの力を頼りにしてしまうようになったのだ。

 

ソラやあげはが二人を助けるためにどうするべきか悩む中でましろは一人、ある気持ちで心がいっぱいだった。

 

「助けなきゃ……二人があんなに苦しんでるのに」

 

「そりゃあ、できるならそうしたいよ!でも、今の私達にあんな化け物と戦う力なんて……」

 

あげはは必死に考える中である答えが既に脳裏に浮かんでしまっていた。今のままでは自分達に打てる手なんて何も無いと。ただ、そう思ってしまったら二人を助けるなんて夢のまた夢だ。最終的に二人を見殺しにするだろう。そのためその考えを否定するだけで精一杯になってしまう。

 

「そんなの関係無いよ……私達にとって二人は大切な友達。……助けないと」

 

「ましろさん、よく考えてください!今の私達じゃ……ランボーグ相手に勝てないんですよ?それに、今行ったって足手纏いにしか……」

 

ソラは完全に力を失って弱腰になっていた。人間、強い力を手に入れればピンチの時にそれを頼りにしてしまう。そして、ソラはその力を手にしてしまった。だからこそ、今の自分達なりに戦う方法を考える気持ちが湧かない。

 

しかし、ましろは違う。彼女には戦う力が目覚めてない。だからこそ強い気持ちを持つことができた。そして、彼女はその想いをとうとう爆発させる。

 

「そんなのわかってる……でも……それでも行かなきゃだよ!」

 

ましろがそう叫んだ瞬間だった。彼女の胸が光り輝くとその様子は地上にいる二人のプリキュアやカバトン、シャドーからも見えた。

 

「あれは、プリキュアに覚醒するための光……でも、既にプリキュアになれる以上、ソラじゃ無い。だったら、まさか」

 

「もしかして……ましろちゃんなの?」

 

「げっ!?嘘だろ……」

 

「ほう?」

 

ましろが放出した光に四人がそれぞれの反応を示すとカバトンは慌ててランボーグの上に乗るとランボーグの体が上に伸びる。そして、屋上が見える位置に達するとカバトンは目を見開いた。そのタイミングでましろの胸からミラージュペンが飛び出したからである。

 

「げっ!?どうしてあんな脇役が……」

 

「……これはもう一波乱あるか。ふっ、そう来なくては面白く無い」

 

「何を楽しんでるのねん!このままじゃ不味いだろ!」

 

カバトンが焦るのと対照的に面白そうな物を見る目を向けたシャドー。そんな彼にカバトンは思わずツッコミを入れる。

 

「予定変更だ、カバトン。あのプリキュアの力を見るぞ」

 

「ふざけるななのねん!そんな事して、負けたらどうするんだ!」

 

シャドーとカバトンが言い合う中、上にいるソラ、ましろ、あげはは混乱した様子である。だが、ミラージュペンを出した当のましろはこれがあればプリキュアとして二人を助けられると感じた。

 

「何これ……」

 

「これ、私のペン……私がプリキュアに」

 

ましろが覚悟を決めて早速出てきたペンを手に取ろうとする。そんな時、カバトンはそうはさせまいと慌ててメガホンを使って声を上げた。

 

『止めろ!脇役なんかがプリキュアになれるもんか!お前に何の力がある?』

 

カバトンは戦いを楽しむシャドーとは違う。むしろ、邪魔になるプリキュアがここまで三人も出てきているのだ。そのプリキュアを今なら全員を無力化して勝てる状況。それを手放してまでましろをプリキュアにさせるつもりは無い。

 

『自分だってわかってるだろ?ほら!』

 

加えて、カバトンはましろには他の三人程特別な何かを持っていないと予想してそこを突く。実際それは当たっており、ましろは先程まで自分には優れた能力が無いと考えていたため気持ちに迷いが生じてしまう。

 

「……早く、プリキュアにならないと……でも、アサヒやユキちゃんでも勝てない相手なのに……私なんかじゃ」

 

カバトンからの言葉にましろは完全に自信を喪失したのか顔つきは暗くなってしまう。このままでは力が目の前にあっても変身する覚悟が決まらない。

 

しかもタイミングが悪いことに下から追いかけてきた小型のランボーグはどうにかした屋上へと出てこようとドアノブをガチャガチャと捻ろうとしていた。

 

「もうここまでランボーグが……」

 

「どうしよう……プリキュアじゃないと勝てないのに。でも、私なんかじゃ……」

 

しかし、ましろの脳内に浮かぶのは一方的に打ちのめされたサンライズやスノーの姿。能力のある二人でさえこうなっているのだから能力の無い自分がプリキュアになれた所で勝ち目なんて無いのではないか。その気持ちがましろの肩に重くのしかかってくる。

 

「……ましろん」

 

するとあげはが目の前の力、ミラージュペンになかなか手を伸ばせずに葛藤するましろへと声をかけた。

 

「それを手に取ったらどうなるのか?プリキュアって言うのが何なのか。私にはわからない……でも、そんなのどうだって良い!」

 

あげはの言葉はましろの脳内に響くように通り抜け、続く彼女の言葉を聞こうとましろは向き合う。

 

「ましろん、今から本当に大事な事を言うね。でもその前に……そこ、煩い!」

 

「ラン!?」

 

あげははましろへと大切な話をしようとするが、その前に先程からガチャガチャとドアノブを捻る音ばかり響かせて煩いランボーグへとあげはは一喝。ランボーグはそれに驚くと天井に頭を打ちつけて一時的に気絶。完全に黙らせると過去の事を話し始めた。

 

「私が家出したあの日……」

 

それはあげはが幼い頃、彼女が家出をして近くにある川の堤防で泣いている時の事だった。

 

〜回想〜

 

『こんな家出てってやる!』

 

あげはは引っ越しを告げられた際、我慢できずに家を飛び出すと堤防でうずくまって泣く。そんな時、彼女を心配したましろはあげはと同じように別れが辛くて泣いていたアサヒを連れた状態で堤防の上から声をかけた。

 

『ここにいたんだね?お家に帰ろう!お手紙出すよ、電話もするよ!』

 

『アサヒだって泣いてるのに……ましろんは何で泣いてないの!?……ましろんは、悲しく無いの!?』

 

あげはは泣かずに自分を説得しようとするましろへと思わず強い口調で気持ちをぶつけた。何しろ自分やましろの隣にいるアサヒが泣いているにも関わらず、ましろはただ一人泣いていない。自分との別れを寂しくなんか思ってないのだとあげはは思ってしまったのだ。

 

『……悲しいよ』

 

『え……』

 

そんな時、ましろが出した今にも泣きそうなその声を聞いてあげはは慌てて振り返る。そこには泣くのを必死に我慢したましろがあげはへと優しく語りかけていたのだ。

 

『でも私も泣いちゃったら……あげはちゃんはもっともっと泣いちゃうでしょ?』

 

ましろ自身も二人と同じで寂しい気持ちがあっただろう。それでも彼女は必死に泣くのを我慢してあげはの前で笑顔を作る。その優しさが当時のあげはにとっては救いだった。

 

〜現在〜

 

あげははあの時、ましろが自分に向けてくれた優しさに助けられた。だからこそ、あげははましろの力を知っている。他人には無いましろだけの力を。

 

「あの日、私はましろんに教わったよ。優しいっていうのは強いって事だって。私なんか?そんな事言うな!そんな事誰にも言わせるな!ましろんには優しさって言う誰にも負けない力があるんだよ!」

 

あげはの言葉にましろは目を見開く。今の自分に力がある。それだけでましろにとっては大きな支えとなり得たのだ。

 

「あげはさんの言ったとおりです。朝に話した“今のましろさんのままで良い。”あれは、ましろさんは今のままでも十分強いと思ったから言ったんです。だから、自信を持ってください!」

 

ソラはあげはに励まされたましろを更に後押しするように声をかけた。あげはのおかげで彼女も今の自分にできる事をやるべきだと改めて自覚したからである。

 

「ランボーグ!」

 

その瞬間、小型のランボーグは目を覚ますといきなり天井を突き破って姿を現すと屋上へと降り立った。これ以上やってもドアは開けられないと考えた上で手っ取り早くエルを捕まえるならこうするべきと思い至ったからだ。

 

ただ、二人の友達に励まされたおかげでましろの心にもう迷いは無い。彼女はプリキュアになる決意を固めるとアサヒやユキを助けたいという想いでいっぱいになるとミラージュペンを手にする。

 

その直後、ましろがプリキュアになると思ったエルはソラの時と同様にその体に光を灯すと自分の力を放出した。

 

「ぷいきゅあああ!」

 

エルが放出したその光をましろがしっかりと掴む。それと同時にましろが掴んだそれはスカイトーンへと変化。カラーリングはソラの物とは違い、薄いピンクにハートマークの絵が描かれていた。

 

「ヒーローの出番だよ!」

 

ましろの掛け声と共にましろの体が眩い光に包まれると他の三人と同じようにペンがマイクのように変形する。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!プリズム!」

 

その言葉と共にましろがスカイトーンを装填。扇風機部分が回転するとそこにPRISMと表示され、宇宙空間のような変身用の謎空間に移動。同時にましろの髪がピンクの長髪へと変化。一度ディスク型ステージに降り立つとジャンプと同時に両足へとピンクのフリルが付いたシューズが履かれる。

 

「煌めきホップ!」

 

ましろの言葉と共にステージ部分にHOPの文字が浮かぶ。ましろが両手をウサ耳のように頭の上に置くとそこから白の髪飾りが装着。飾りには水色のキラキラマークが模様としてあった。それからスカイとは対照的に左耳に月のイヤリングが付けられ、右耳にはピアスが装着される。

 

「爽やかステップ!」

 

続けてましろがそう言いつつ空中にある丸い小さな円盤を足場にしつつ再度ステージに降りると表示がSTEPへと変化。すると体に白を基調としつつ、水色やピンクの差し色が入ったドレスが出現。それからボリュームのあるドレスのスカートの内部。インナースカートの部分が大小様々な大きさの星の煌めきが入ってから生成。そこには夜空のような星々の煌めきが模様として出ていた。

 

「晴れ晴れジャンプ!」

 

ましろがジャンプするのと同時にステージはJUMPへと切り替わる。それから彼女の両腕に白のロンググローブが装着され、腰の辺りからハートマークが入った二枚の布が生えてくる。その後、彼女は右目をウインクさせつつポーズを決めてから白と薄いピンクの空間へと移行。そのまま画面転換を挟んでからプリキュアとしての名を名乗った。

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

するとバックでハートマークの光が発光してから背景にかかる虹、周囲に浮かぶシャボン玉のエフェクトと共に変身を完了。こうして、優しい光を放つプリキュア……キュアプリズムが誕生するのだった。

 

「……キュア、プリズムだと!?」

 

カバトンが現れた四人目のプリキュア、キュアプリズムを見て驚いたような顔つきに変わる。それと同時にあげははその凛々しさに先程までのふわふわしたましろとは違う印象を受けた。

 

「かっこよ!」

 

「えるぅ〜!」

 

「これがましろさんが変身したプリキュア……」

 

そして、それらの反応から地上にいるサンライズ、スノー、シャドーの三人もプリキュアの誕生を認知した。

 

「ましろがプリキュアに覚醒したのか……やっぱりましろは俺の自慢の幼馴染だよ」

 

「はぁ……はぁ……ましろちゃんもプリキュアに……」

 

サンライズは希望が宿ったような顔になる中でスノーの顔色は少し優れなかった。それはさておき、シャドーの方はこの新たな敵に恐るどころか笑みさえも浮かべる。

 

「ほう。キュアプリズムか……。新たなプリキュアの誕生、これで少しは楽しめる時間が増えたようだな」

 

こうしてプリズムは周りからの反応を受けて早速初陣を迎えることになる。まずは目の前のランボーグと戦うためにプリズムは構えるのだった。




それではまた次回もお楽しみに。
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