プリキュア達と彼女達の記憶に眠る敵達との戦いが始まった。まずはジェントルー及びモットウバウゾーと戦うスノー達四人だ。
「私が支援するから三人は前に出て!」
フォンテーヌはエレメントによる後方支援が可能であるために彼女が後ろから援護。また、純粋な正面戦闘の能力が高いフィナーレとフラミンゴが前に出てモットウバウゾーを押し込み、スノーがバランサーとしてカバーをする形を取る。
「雨のエレメント!」
フォンテーヌが雨のエネルギーを高めた水弾を放つ。それをモットウバウゾーは正面から受け止めると掻き消す。だが、本命はフラミンゴからのキックだ。
「はあっ!」
フラミンゴからの跳び蹴りが命中したモットウバウゾーは後ろに押し戻される。
「ここで私が追撃を!」
スノーが手を翳すが、その手から何も放たれない。スノーは前まで使えていたはずの気弾が出せないために困惑する。
「あれ!?何で……あっ!そっか、キュアスノーは気弾使えないんじゃん!」
その間にモットウバウゾーは立て直したのかスノーへと目からビームを放つ。
「ッ!?きゃあっ!」
スノーは何とか踏み止まって前へと飛び上がる……はずが、オーロラよりも加速が足りない上に空中浮遊もできないのでスノーは飛距離が足りずにモットウバウゾーの目の前に着地してしまう。
「……あれ?」
「モットウバウゾー!」
モットウバウゾーは目の前で止まってしまったスノーへと拳を振り下ろす。スノーは咄嗟に攻撃を受け止めるが、地面にめり込んでしまう。
「ッ!?くうっ!」
するとモットウバウゾーの拳がどんどん熱せられているのか拳が赤く染まっていく。その熱にスノーは持ち堪えようとするが、手に熱が伝わってくる上に得意の氷を使おうとしてもすぐに熱で溶けて使い物にならなかった。
「……ううっ……だ、ダメ……耐えきれない……」
スノーが耐えきれなくなったその瞬間、フィナーレが手にホイップクリームの絞り袋をモチーフにした武器。クリーミーフルーレを構えるとエネルギー体を一回搾り出してからすかさず技を放つ。
「プリキュア!フィナーレ・ブーケ!」
フィナーレから突き出されたクリーミーフルーレからの紫のエネルギーがモットウバウゾーを吹き飛ばすとスノーを助け出す。
「大丈夫か?スノー」
「は、はい……」
「……本当に大丈夫か?」
フィナーレがスノーの心配をする中、スノーはその場にへたり込むと拳を握り締めて悔しそうにする。
「どうやらキュアスノーが狙い目らしいな。やれ。モットウバウゾー!」
ジェントルーがそう言うとモットウバウゾーはエネルギーを高めると手に巨大なフライパンを生成それで灼熱のエネルギー弾をテニスの要領で飛ばしてくる。
「ッ!?」
「その攻撃貰った!プリキュア!ふっとびフラミンゴ……スマッシュ!」
しかし、テニスとなればフラミンゴの対応力が突き刺さる。本来ならエネルギー弾を別途で生成するフラミンゴの技だが、今回はすでにエネルギー弾がある。フラミンゴが手にしたハートルージュロッドの先端に生成したフラミンゴの爪先を型取ったテニスラケットで思い切りエネルギー弾を打ち返すとモットウバウゾーはそれをまともに喰らって吹き飛ばされる。
「ッ……モットウバウゾーの攻撃を真正面から打ち返したか」
「ボーッとしたらダメ!スノー、何か不調なの?」
「すみません……私のせいで」
スノーが大人しくフォンテーヌからの言葉に謝罪で返すと彼女の顔は暗い。何しろ自分はスノーとオーロラの性能の違いに上手く対応できずに足を引っ張ってるのが現状。彼女の中に焦りも出てきてしまっていた。
「今度は上手くやります」
するとスノーは勝手に飛び出すと一人でモットウバウゾーへと拳を命中させる。そのままモットウバウゾーとの乱打戦に入った。
「……スノー、焦ってるのか?」
「だとしたら落ち着いて!そんなに焦ったら……」
次の瞬間、スノーは隙を晒してしまったのかガラ空きになった腹にモットウバウゾーからの拳がクリーンヒット。
「が……はあっ!?」
そのまま吹き飛ばされると地面を転がって倒れ伏す。彼女を襲った痛みは強く、立ちあがろうとした彼女は一度立ちかけて崩れ落ちてしまった。
「く……ううっ……何で、何で……ここには私達が普段一緒に戦わないプリキュアしかいない。今更足を引っ張るような真似、許されないのに」
スノーは焦りのせいで周りが見えておらず、視野が狭くなってしまう。だからこそ、彼女の横からジェントルーが手を翳すのが見えていなかった。
「ッ!?しまった!」
すると地面から生えたエネルギーの液体で生成されたロープに体を拘束されてしまったのだ。
「なっ!?あんな技、私がジェントルーだった時は使わなかった……」
「となると、やっぱりあのジェントルーは本来の存在とはかけ離れた存在になるわね」
「とにかくスノーを助けるぺ!」
「く……早く外さなきゃ……ああああああっ!」
スノーが必死に外そうと力を込めるが、そのタイミングでジェントルーが電撃をスノーへと流すと彼女の体は悲鳴を上げた。更に正面にはモットウバウゾーが迫る。
「モットウバウゾー!」
「氷のエレメント!」
その瞬間、フォンテーヌから放たれた氷のビームが地面を凍結。そのままモットウバウゾーの脚も凍らせた。
「スノー、今助けるからね」
「……すみま……せん」
スノーはフィナーレとフォンテーヌの二人に縄を外してもらうとその間にフラミンゴが周囲を警戒。これによりスノーは拘束から解放されるが、体には既にダメージが蓄積していた。
「こんなのじゃダメ……誰かに頼る程度じゃ……きっとアサヒ君は、アサヒ君は救えない」
スノーがまた一人で飛び出そうとするとその手をフラミンゴに掴まれて止められた。
「待てって。何をそんなに焦ってるんだ。一人で行ったって何も解決しないぞ」
「折角四人いるんだ。そんなに焦る必要は無い」
「でも……でも、今のままじゃダメなんです。こんな程度で苦戦なんてしてたら大切な人なんて誰一人……」
その瞬間、スノーは両肩を掴まれるとフラミンゴが詰め寄って彼女へと声を荒げる。
「何をそんなに焦ってるんだ。やっぱりスノー、何か変だぞ」
「……嫌なんです」
「え?」
「嫌なんです!私のせいで状況が悪化してしまうのは。私がもっとしっかりしなきゃ……。このままじゃ、きっと……私の前から大切な人がどんどん消えて……」
「……スノーあなた……自己犠牲に走りすぎよ!一人で突撃だなんてそんな危険な事したら」
フォンテーヌの詰め寄りに対してスノーは拳を握り締めて自分への怒りに震えながら自分の気持ちを話す。
「危険だろうが何だろうが私は一人で早く戦えるようにならないといけないんです!それこそ、一人で全部解決できるくらいに」
するとフラミンゴにスノーは胸ぐらを掴まれるとフラミンゴが怒りの目を向けた。
「スノー、そんな事言えば周りがどう思うかわかってるのか!今のスノーは危険すぎるんだよ」
するとジェントルーが言い争ってるスノー達を見て隙だらけと判断したのかモットウバウゾーに指示を出す。
「モットウバウゾー、今なら奴等を倒せる。熱線で氷を溶かせ!」
するとモットウバウゾーの体に熱が纏われるとあっという間にフォンテーヌの展開した氷が溶けていく。
「……フラミンゴ、フォンテーヌ、ここは私が説得する。少しだけ任せても良いか?」
フィナーレの言葉にフォンテーヌ、フラミンゴは頷くと二人がモットウバウゾーとの交戦を再開する。
「わ、私も……」
「スノー、今のお前は足手纏いだ。それはスノーもわかってるだろう?そんな気持ちが乱れた状態で上手く戦えない事もな」
「ッ……」
フィナーレは溜め息を吐くとスノーを真っ直ぐ見ながら彼女へと真剣に話す。
「スノー、お前に何が起きてそんなに焦ってるのか私は知らない。だが、フォンテーヌはお前の事を褒めていたぞ」
「……え?」
それは昨日の事だった。レクイエーションの時間中にフィナーレことあまねとフラミンゴことあすかはフォンテーヌことちゆからこんな話を聞いていた。
〜回想〜
「ユキ、楽しそうだな」
「……あまねさん、あすかさん。ユキの事なんだけどね。私、彼女を尊敬してるの」
「ユキをか?」
「ええ。あの子は私達の街に来てビョーゲンズに蝕まれた時、相当苦しかったはずなのに彼女は負けずに頑張り続けたわ。その時はユキが頑張らなかったら本当に彼女は命を落としていたと思う」
それを聞いて二人はユキが相当頑張っていたのだと察する。その後、ちゆは話を続けた。
「ユキは危なっかしいし、結構無茶もしがちだけど芯は相当強い子だと思う。勿論精神的に弱い所はあるんだけどね。でも一度決めた自分の信念には忠実で、真っ直ぐに頑張れる、真面目な子。アサヒもそんなひたむきな彼女に惹かれたって言ってたわ」
ユキの強さ。それは彼女の芯の強さである。確かに精神面に大きな弱点を抱えた彼女だが、それ故に一度決めた事に対してひたすら真っ直ぐなのだ。だからこそ上手くいかなった時に自分を責めがちになってしまうが。
〜現在〜
「スノーは自分の事を弱いと思ってるかもしれない。確かにスノーは自分の責任を重く受け止めすぎる所があるし、自分の落ち度は逃げずにきちんと自分が悪いと認められる所も私は認めている。だが、だからこそスノーはある意味逃げているとも取れる。周りに頼るという事からな」
スノーの昔からの悪い癖だ。何かしら自分が一つ失敗するだけで周りから嫌われると思っている節がある。この辺は過去のトラウマが完全に抜けきらない所も関わるのだろうが、それにしても過去を気にし過ぎなのだ。
「スノー、お前の。過去についてとにかく言うつもりは無い。私にだって後ろめたい過去は幾らでもある。だが、良い加減過去に囚われるのは止めろ。そうしないといつまでも弱い自分から変われないぞ」
そう言ってフィナーレが彼女の肩に手を置くとモットウバウゾーへと立ち向かう。するとジェントルーが一人になって隙だらけのスノーへと近づくと拳を繰り出す。
「ッ!?」
しかし、それをスノーは片手で受け止めた。そして彼女はその状態で深呼吸をする。そして唇をキュッと引き締めるとそのままカウンターの拳をジェントルーへと叩きつけた。
「はあっ!」
その威力は先程までより強かった。そして、スノーは飛び出すとモットウバウゾーへと蹴りをぶつけて吹き飛ばす。
「……すみません。私、焦ってました。皆さんの足なんて引っ張れないって。そう思い込んで無茶ばかりしてしまいました。……ごめんなさい!」
スノーが謝るとフォンテーヌがそんなスノーへと手を差し出す。そして微笑みを浮かべた。
「大丈夫よ。……むしろ、スノーがちゃんと戻ってくれて良かった。……一緒にやりましょう」
「はい!」
するとモットウバウゾーが目を赤く発光させると熱のエネルギーを高める。
「……フォンテーヌ、氷のエレメントを私に!」
「え?でも……」
「お願いします」
「わかったわ!氷のエレメント!」
フォンテーヌが氷のエレメントをスノーへと射出するとスノーのその体に莫大な量の冷気が集約。そのままモットウバウゾーの熱が溜まりきる寸前に踏み込むとモットウバウゾーの前に出る。
「氷雪拳!氷ノ型!ヒーローガール!スノーインパクト!」
スノーは氷雪拳の力を全て脚に移行。氷のエレメントによるバフも加わって絶対零度の氷がチャージされた。
「はあっ!」
その一発がモットウバウゾーに命中するとその体が完全に凍結。動きが停止してしまう。
「馬鹿な!?」
「モット……ウバ……」
「フィナーレ!決めて!」
スノーの叫びと同時にフィナーレの技の射線を開けると彼女はその手にクリーミーフルーレを手にする。
「クリーミーフルーレ!」
フィナーレがエネルギーを四回搾りだすと周囲に出てきた果実のような丸いエネルギーがその場で跳ねるように動く。
「ブルーミン・ダンシンフルーツ!」
そのまま正面に♾️の文字を描くとフィナーレがクリーミーフルーレを構えて叫んだ。
「プリキュア!デリシャス・フィナーレ・ファンファーレ!」
フィナーレがトリガーを押し込むとクリーミーフルーレの先端から強力なエネルギーが放出。更にそのエネルギーに合わせて周囲のエネルギーボールも飛ぶ。エネルギーがモットウバウゾーに直撃すると大量の紫のハートに囲まれながらモットウバウゾーは幸せそうな顔に変わる。
「オナカイッパイ……」
「「ごちそうさまでした!」」
最後にフィナーレと共に合掌をして決め台詞を言うとそのままモットウバウゾーは消滅。撃破される事になった。
「……フォンテーヌの氷とスノーの氷を合わせてモットウバウゾーの熱を完全に奪ったのか」
「凄い……スノーが機能したらここまで変わるのか」
フラミンゴはスノーが機能するだけでかなり強い味方になると驚く。そして、ジェントルーは悔しそうにしていた。
「何にしてもあとはあなただけよ!」
四人が構える中、ジェントルーは笑みを浮かべた。まだ余裕があるという事だろうか。
「ふふっ……モットウバウゾーは浄化されたが、まだ私を倒さない限りはここは行かせないぞ!」
その瞬間、ジェントルーから先程のモットウバウゾー以上のエネルギーが放出される。
「モットウバウゾーのおかげで私の中のエネルギー総量は更に増えた。それに、キュアスノー、お前の負の感情が私の力となる!」
その力は先程までとは比べ物にならない。また、スノーが先程ネガティブな感情を抱いたのが影響してかジェントルーの力は更に上がってしまう事になる。
「ッ……まだまだ気は抜けないな」
「絶対に負けられない!」
スノー達はパワーアップしたジェントルーへの警戒心を高めると共に構えを取るのであった。
また次回もお楽しみに。