熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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夢見心地の男 学校や外での話

ドリームホテル・エンジョイーズへの宿泊による他のプリキュアとの邂逅及びエンジェリーを救い出した後の月曜日。ユキ達が学校へと登校すると異様な光景を目にしていた。

 

「えへへぇ……らんこさん、大好きぃ……」

 

「ひかる君!?え?どゆこと?」

 

「何だか夢の中にいるような感じですね」

 

「あはは……」

 

ソラ、ましろ、ユキが次々とそう言う中、アサヒは自分達よりも前にひかるを見ていたと思われる仲田、吉井、軽井沢の方へと向かう。

 

「……軽井沢、これどういう事か説明」

 

アサヒが呆れたような顔つきになると男同士で話しやすい軽井沢へと説明を求める。

 

「ああ、これなんだが……俺達にもわからないんだよな。朝登校したら珍しくひかるがいて、話しかけたらこんな感じって所」

 

「ふぅーん……いや、こうなった経緯の情報0かよ!?」

 

「この感じだと何か良いことでもあったんじゃないの?ほら。らんこさんだとか言ってるし、ひかる君の好きな人かな?と何かあったのかも」

 

「例えば……ほら、虹ヶ丘君とユキちゃんの時と同じように恋人になれた……とか!」

 

仲田がそんな風に推測を立てる中、彼の事情を知る四人は何と無く彼の身に何があったのかを察する事になった。

 

「なるほどなぁ……。要するに、向こうの世界のらんこさんと恋人になれたと」

 

「おめでとうって言いたいけど、まだ無理だね。こんな夢見心地から起こされたら嫌だろうし」

 

「えっ?でもあと三十分もしないうちにホームルームですよ?このままで良いんですか?」

 

ソラは真面目であるためにひかるがこうなっているのを見過ごせないようで、気にしていた。

 

「……まぁ、流石に直前になったら声をかけるけど、それでも無理なら放置……だな」

 

「ええっ!?」

 

ユキが慌てる中、もうこうなってくるとひかるを起こすのはキツイという事実に彼女とソラを除くその場の全員が理解している。そもそも彼はアニメを観るために深夜まで起きている事が多い。そのため朝に弱く、学校に遅刻ギリギリで登校してくるような奴なのだ。

 

そうなると今のこの状況は彼にとっての感覚は寝ているに近いだろう。これを即起こすのは不可能に近いために自然に起きるのを待つしか無いのだ。ただし、ホームルームが始まったら教師とかに否が応でも起こされると思われるのでその場合はアサヒがいつもの背中へと一撃を入れて起こすのが一番安全なのである。

 

「でもさ、ひかる君も嬉しいんだと思うよ。ずっとらんこちゃんの事を好きって気持ちが溜まってて、それがやっと報われたんだからさ」

 

ただ、実際問題ましろの言う通りである。彼女の予想通りひかるは一昨日のらんことのデートで紆余曲折あったものの、念願のらんことのお付き合い……恋人関係にまでなれた。しかもそんな初っ端から彼女からされたキスは深い方で遅効性の毒のように侵食され、後からボーッとするぐらいの夢心地の中にあったのだ。

 

ただし土曜日にデートをしてきてその日のうちに帰宅し、日曜日一日中時間があったはずなのにその夢見心地から抜けないのは異常だが。

 

「ふふっ、ましろさんはやっぱり優しいですね」

 

「そうかな……」

 

ソラに褒められてましろが照れくさそうにしているとそこに軽井沢が何かを思い出したかのように声を上げる。

 

「あっ、そうだ。そういや、皆はこれ知ってるか?」

 

するとユキ達四人の元にとあるスマホの画面を見せられた。そこにあったのはまた街中で活躍するヒーロー、プリキュアに関する事である。……実は新学年が始まって以降、この話題は何度か話としてクラス内で話題を呼んでいた。ただ、その度に正直者のソラや口が割と軽めなひかる辺りが危うく言いそうになって他の面々が誤魔化す……という一連の流れが何度か繰り返されていたのだが。

 

「あー、そういえば新しく三人も増えたんだよね!」

 

「「「「………」」」」

 

そこにあったのはバタフライとアポロン、アルテミスの姿である。どういうわけか、いつの間にかこの三人の姿も撮られていたらしい。この辺りは偶に避難のどさくさに紛れて写真を撮るような厄介な人がネットに勝手にアップしたのだろう。

 

「初期メンバーの四人に加えてウィングが参加して、サンライズ、スノーが離脱?して、代わりにムーンライズ、オーロラが入ってきて。更にここで三人加入……かぁ」

 

「何だか人数も増えて賑やかになったよね」

 

「ましろんはどのプリキュアが好みとかある?」

 

「えっ!?私?私は……スカイ、スカイかな!」

 

「ましろさん……ありがとうござ……」

 

「ストーップ!ソラちゃん!」

 

慌てたユキが手をソラの口に当てると慌てて苦笑いを浮かべてソラの発言を誤魔化す。やはりいつも通りの流れになってしまったようだ。

 

「あはは、私はキュアムーンライズかな……」

 

「でもこうなってくると気になるのが、一体何人まで増えるのかな?」

 

「増える……ですか?」

 

「それはそうだね。この時点で八人もいるし、まだまだ増えるのかな〜って」

 

「えー?でも流石に八人だよ?八人。もうすぐで○ンピースの○わらの一味の正規メンバーの数に並ぶよ?」

 

「いや、そこでそれを出すの!?」

 

ましろがツッコミを入れると軽井沢はそれにもめげずに更に言葉を続ける事になる。

 

「このメンバーの中に更に一人増えるなら……そうだ!夜空の星のようなキラキラしたお姫様のような人とかどう?例えば一番星の生まれかわ……」

 

「ターイム!それ以上はいけないよ!色々とメタ発言になっちゃうから!あと怒られちゃうよ!」

 

ユキが慌ててそう言うともうすぐホームルームの時間になるという事でその場は解散する事に。尚、ひかるは案の定授業中ぐらいまでらんこと付き合えた夢心地の中にいたため、しっかりとアサヒに背中を叩かれて無理矢理起こされたのだとか。

 

同時刻、保育の専門学校にいるあげは。彼女は一人机に突っ伏していた。するとそこに彼女の専門学校での友達が声をかけてきた。

 

「あげは〜、何そんな風に突っ伏してるの?」

 

「……」

 

それは彼女が普段は滅多に人前で見せない悩んだような顔つきである。すると友達があげはの反応が悪いと考えてとある言葉をかけた。

 

「あ、もしかして望月君が誰かとデートしたとか?」

 

「はえっ!?か、か、か、かける君がデート!?それ、いつなの!?誰か見たの!?」

 

「……いや、違うけど」

 

友達があげはの慌てように呆気に取られた後、友達はあげはへと更に話を続けた。

 

「そんなに気になるのなら誘えば良いじゃん、デートにさ。向こうともそれなりの時間を過ごしてるんでしょ?思い切ってみなよ」

 

「あはは、そうしたいけど……ここ最近授業とか色々忙しいし」

 

「………あげは、それってデートに誘えない口実作り?」

 

「そ、そ、そんなのじゃ」

 

あげはが顔を赤くしたまま未だに慌てたような声色でそう話す。そんな彼女を見たあげはの友達はあげはへと現実的な問題を突きつける。

 

「そんな風にウジウジしてたら、望月君が誰かに取られちゃうよ?折角彼と保育実習とかが一緒で一番近い位置にいるんだから」

 

ちなみにあげはの友達はあげはがましろの家に泊まっている事及び、かけるも一緒の屋根の下にいて過ごしているという事実は知らない。知っていたらこんな程度の声掛けじゃ済まなかっただろう。

 

「それにホラ、望月君ってカッコいいでしょ?スタイル良し、勉強も物凄いペースで追い上げてきて、今は私達と同じような内容の授業でも問題無さそうじゃん。それに、望月君は根が優しいから他にも彼を狙ってる子もいるかもよ?」

 

するとふとあげはは脳裏にかけるの隣に別の女が立っていて仲良く手を繋ぐシーンを想像するとどうしてもモヤモヤとしてしまう。

 

「……ッ」

 

「大丈夫だよ、あげは明るいし、あげはのアゲの気持ちとかもちゃんと理解してくれてるんでしょ?ちゃんと向き合ったら良い結果になるって」

 

「あはは、心配してくれてありがと。……なんか元気出てきた。頑張ってみるね」

 

あげはがそんな風に友達に言われて気持ちを奮い立たせるとひとまずは目の前の授業を受けるために気持ちを入れる事になる。

 

またこちらは街中にて。ツバサとヒョウが買い物のために歩いているとそこにフラリと一匹のベンガル猫……ライが姿を現した。

 

「にゃーお」

 

「あれ?この子……僕達が気になってるみたいですね」

 

「にゃーお、にゃーお」

 

「えっと、“こっちの世界のツバサと……確かひかるが言うにはそっちの嬢ちゃんがヒョウだったか。……ちょっと良いか?”」

 

「えっ!?この子、ひかるさんの猫さんなんですか?」

 

「にゃーお」

 

ライはそう言って頷く。ツバサやヒョウ、更に言えばあげはやかける辺りはライの存在をこちらの世界では知ってはいるものの、実際に出会うのは今回が初めてであった。ユキ達、中学校メンバーは前に学校からの帰り道で縄張りの見回りをしているライと出会ったためにそのメンバー四人は既に会っている。

 

「取り敢えず、話くらいは聞くわ。えっと、あそこでも良いかしら?」

 

それからツバサ、ヒョウは近くのベンチに腰掛けるとその間にちょこんとライが降り立つとそのまま楽に座り込む。

 

「意外と人懐っこいですね、ライさんって」

 

「にゃあ」

 

「“……別にそんな事はねぇよ。お前らが特別なだけさ”ですか……」

 

 

ライはツバサやヒョウが自分の敵では無いとちゃんと認識しつつ、尚且つ安心できる相手だと感じているようだった。そのため、彼はラフな感じにしているのだが。

 

「それじゃあ、話しても良いよ」

 

「にゃーお」

 

そこから始まったのはライからのひかるへのストレスの発散だった。どうやら昨日一日中事あるごとにらんこへの惚気話を聞かされたせいでかなり神経に来ていたらしい。

 

「“本来なら顔を三回は引っ掻いてやる所だが、あんな幸せそうなひかるを見るのは初めてだから我慢して。……でも、流石にここまでずっと惚気を話されるとこっちも反応に困るんだよ”……と」

 

「どうやらこの感じだとひかるさんのデートは成功したみたいですね」

 

「そんな感じね。恋人になったって単語もあったし。全部の理解は難しいけど、大体は惚気を聞かされて良い加減ウザくなってきてると」

 

「にゃお」

 

ライはそう言って自分の気持ちを理解してもらえたと思ったのか、そう小さく返す。

 

「それは大変ですね……」

 

「ええ。私もアサヒにユキ姉との惚気を聞かされたあの時は顔面に一発殴りたくなったし、気持ちはわかるわ」

 

「あはは……ん?何々、“そういえばお前らは何で二人なんだ?もしかしてお前らもデートか?”」

 

「って、デ、デ、デ、デート!?そ、そ、そんなわけ無いじゃない!?」

 

「ら、ライさん。あまり揶揄わないでくださいよ!」

 

そんな風に二人揃って慌てるのを見たライはまたこのパターンかと言わんばかりに溜め息を吐く。そして、それからスッと立ち上がると最後に一言残してそのまま去っていった。

 

「え?“お前らもそんな風かよ……。早く自分の気持ちに素直になれよ……”って、ライさん行っちゃいましたね」

 

それから少し二人の間に気不味い空気が流れるものの、ヒョウがそれを破るように若干早口で話し始めた。

 

「ッ、そろそろ買い物の続きをしましょう!あまりヨヨさんを待たせるのはダメだし!」

 

「そうですね!早く買い物の方をしましょうか!」

 

それから二人は慌てて体裁を整えると二人でまた買い物の続きをする事になる。そんな風に話す二人を遠目に見てライがまた二人のその距離感に溜め息を吐いたのは言うまでも無い。




お久しぶりです。色々あってここまでかかりましたが、またこれから更新を続けていこうと思います。流石に次回は原作の話をやると思います。ただ、前回の原作の話……アニメ19話の話を書いたのって去年の12月半ばなので約半年ぶりの原作アニメの話となります。間が空いているためにブランクが出るかもですが、また楽しみにしてもらえたらと思います。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。

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