熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ましろの才能 絵本コンテストへの挑戦

ユキ達は図書館でのバイトを終えてやってきたかけるも合流した所で全員であげはのバイトするPrettyHolicへと入る事に。

 

「あげはさん」

 

「あ!皆、ヤッホー!来てくれたんだね!」

 

あげははバイトのためかエプロンを着けており、いつも通りの笑顔をユキ達に向けてきた。そんな中、ツバサが心配そうに話しかける。

 

「あげはさん、忙しいのにバイトまでして。無理してるんじゃないんですか?」

 

「全然平気だよ!むしろ、前々からここでバイトしたいって思っててさ。もうめっちゃくちゃ楽しくて〜!」

 

「本当ですか〜?」

 

「……ツバサ、その辺にしてあげて」

 

「ヒョウ……。でも、あんまり無茶させるのは」

 

「ツバサは逆に心配し過ぎ。過保護な母親じゃないんだからさ」

 

ヒョウは済ました顔で言う中、ツバサはそれでも心配な様子である。そんなツバサの頭にかけるが手を置く。

 

「まぁまぁ。あまり言い争いはダメだよ。……もしあげはさんに何かあったら俺がフォローするから」

 

「僕としてはかけるさんも大概ですけどね」

 

「あはは、それを言われたら弱いかもだけど……」

 

かけるはツバサにそう言われて苦笑い。かけるの現状もあげはと比べてそんなに大きな差異は無いため、ツバサが彼の事も心配するのは必然と言えるだろう。

 

「あっ!これ新作だね!」

 

「可愛い……ピンク色のリップかぁ」

 

ましろとユキがコスメの所にある新作リップを見て興奮した声を上げる。尚、ましろに抱かれたエルはキョトンとした顔つきであった。

 

「あ、これとかどう?」

 

「これは爽やかレモンの香り、こっちは優雅なミントグリーンの香り……?あっ、多分これって」

 

恐らくムーンライズのイメージカラーの黄色、ライトピラーのイメージカラーのミントグリーンから取っているのだろう。

 

「うーん。どっちも魅力的だけど、アサヒ君のウケを考えたら……」

 

ユキは彼氏であるアサヒに好かれるためにこういった香水への研究も怠っていない。

 

「ユキ、そんなに深く考えなくても大丈夫だぞ?」

 

「ううん。アサヒ君が良いからって妥協なんてできないよ……」

 

ユキは首を横に振ると吟味モードに入ってしまった。そんな中、ましろはリップを手に取るとリップを見ている。そこにソラが声をかけた。

 

「綺麗な色ですね!」

 

「うん。夏の太陽に負けないくらいに元気になりそうだよ!」

 

ましろがそんな風にリップの事を表現するとそんな二人の後ろに一人の女性店員が現れる。

 

「素敵な表現ですね!」

 

「「え?」」

 

「あ、菜摘さん」

 

彼女の名は菜摘。あげはにとってはバイトの先輩に当たる人である。そんな彼女はましろ、そしてユキの方を見てから話した。

 

「あげはちゃんのお友達?そっちの白い髪の女の子と一緒によく来てくれてるよね?」

 

「はい!」

 

「こ、こんにちは」

 

ユキは自分も話しかけられる対象だと知ると慌てた様子で今よりももっとアサヒに好かれるための香水選びを中断。菜摘と向き合う事になる。

 

「最初はましろんがここの大ファンで、それで私もよく来るようになって。ユキちゃんは元々別の街に暮らしていたんですけど、こっちに来た時にましろんに連れて来られて以降。ファンになったみたいなんです」

 

「あれ?あげはさん。私達が来たのは別の街じゃなくて別のせか……」

 

「ソラちゃん、ストップストップ……あはは、何でもないですよ」

 

ユキが慌てた様子でソラの口を塞ぐとモゴゴという声がソラから聞こえるが、ユキ達は苦笑いでやり過ごす。また危うく正直過ぎるソラが暴露してしまう所だったのだ。止められて一安心と言った所である。

 

「PrettyHolicは私の癒しなんです!」

 

「あの、菜摘さんでしたっけ?恐らくあげはさんと同年代ぐらいだと思うのですが、大学生って感じですか?」

 

アサヒは菜摘があげはと同年代か少し上ぐらいだと感じ取ると彼女へとその質問を問いかける。

 

「そうですね。普段は美大に通う大学生、って所です。そこで絵の勉強をしてるんだけど……あ、そうだ。ましろんさん。ちょっと相談に乗ってもらいたくて」

 

それからましろに相談があると言い出した菜摘に連れられて一同はPrettyHolicのコスメのお試しコーナーのある場所へと移動する。そこにあったのはコスメ等が置かれた棚……の更に奥側にある海の中を描いた絵であった。

 

「綺麗……」

 

「ツバサが見てもやっぱり上手く見えるの?」

 

「はい。父さんの絵に負けないくらい美しい絵ですね」

 

この辺りは流石に絵描きの息子と言った所だ。ヒョウとしては家がプニバード族の中で名家の方に入るのだが、過去の家族関係の冷え込みが原因であまりそういう知識には疎くなってしまっていた。

 

「この絵、菜摘さんが?」

 

「ええ。……でも、ここ。何か物足りない気がするの。PrettyHolicファンのましろんさんなら何か良いアイディアとかあるのかな〜って」

 

菜摘としては先程ましろがリップへの表現をしていたのを聞いて、もしかしたら彼女なら何か出てくると判断したのだ。

 

「うーん……あっ!この綺麗な海の中……こんなに綺麗な海にはまるで人魚が住んでいそう」

 

「人魚……それ良いかも!」

 

それから菜摘が一旦絵を取り外すと少し時間を待たせた上で再度絵を取り付けた。そこにあったのはピンクの髪に頭に王冠を乗せた人魚のお姫様のような物が明るい地上を夢見るように手を伸ばす絵が描かれていた。

 

「凄い、短い時間であっという間に……」

 

「プロの仕事って感じだな」

 

「まるで今にも動きそう……」

 

一同が絵の美しさに身惚れて感嘆の声を次々と漏らす。そのくらいこの人魚の絵には見ている者を引き込めるような力があった。

 

「これ凄く良い!新作コスメを使ったら人魚になれそうって感じする!」

 

「ありがとう!……私にもましろんさんみたいな才能があったら絵本もスイスイ書けるんだろうけど」

 

「……絵本ですか?」

 

菜摘が溢した絵本というワード。その言葉が気になったましろが聞き返すと菜摘は部屋の一角に貼られたポスターを指差す。

 

「うん、最近アレに挑戦してるの」

 

そこにあったのは“ソラシド市・みんなの絵本コンテスト”という物であった。どうやら現在進行形で絵本のコンテストの応募が進行中らしい。

 

「でも、なかなか上手く描けなくて」

 

「……なるほど、多分それは絵本の物語を考えるのに苦戦してるって感じですかね?」

 

「うん。絵を上手く描くことはできても、ストーリーがなかなか浮かばないから苦戦してるって感じなの」

 

菜摘は自分で言う通り、題材やストーリー構成が上手く纏まらずに筆が止まっている形なのだ。この辺りは絵を描く事とは別の能力が必要になってくるために苦戦するのも仕方の無い所だろう。

 

「そうだ、折角だからましろんさんもやってみたら?」

 

「うえっ!?いやいや、それは……」

 

ましろとしては半ば不意打ちのような提案だった。彼女自身、その場での閃きこそはあっても自分の能力では絵を描く事も、ストーリーを考える事もそんなに上手くはやれないと考えているのである。

 

「へぇ、面白そうじゃん。ましろん!」

 

「でも、こんな急に……」

 

そんな風にましろが慌てる中、アサヒがましろの前に来ると彼女へと優しく話しかける事に。

 

「ましろ、ここ最近自分のやりたい事とか目標について悩んでたんだろ?……何かヒントになるかもだし、挑戦するだけしてみたら?」

 

「アサヒも……」

 

それからひとまず考えてみるという事で菜摘からポスターのコピーを貰うとバイト時間中のあげはを残して一同はソラシド市内にあるホームセンターである“UB’s”にやってきた。

 

「絵本作り……」

 

「ありましたー!」

 

「ソラちゃん、もうちょっと静かに……」

 

「ああ、すみません!」

 

ソラが興奮して大声を出しながらスケッチブックを持っていく中、ユキがそんなソラを宥めるようにして後を追いかける。

 

「こっちにもありましたよ」

 

「描く物も色々バリエーションはあった方が良さそうね」

 

それからツバサとヒョウの方は絵本のために使うクレヨンや色鉛筆等の道具を持っていく。

 

「本当に私、やるのかな……?」

 

「ましろさんが作ってくれた雲パン、感動しましたよ!菜摘さんが言う通り、ましろさんにはセンス?と言う物があるんだと思います!」

 

ソラの褒めちぎりにましろが照れくさそうにするとソラはましろへと更に話しかける。

 

「私、ましろさんが描く絵本を見てみたいと思ってて。……すみません、私の勝手な希望です!」

 

「……ましろならきっと良い絵本を作れる。十年以上一緒に過ごしてきた俺も保証するから」

 

「アサヒも……。うん、わかった。絵本作り、挑戦してみようかな!」

 

そんな風にましろもようやく迷いから吹っ切れたのか彼女自身も絵本作りにやる気を見せた。そのため、ソラ達は嬉しそうに微笑む。

 

「ねぇね!これ、どーお?」

 

するとエルがその手に砂場遊びに必要なスコップや小さなバケツなど一式を揃えた道具を手にユキへと持ってきた。

 

「エルちゃん!?それは絵本と関係無いよ!?」

 

ユキがエルを抱き上げると彼女はどうしてもこれが欲しいのか駄々をこね始めてしまう。

 

「すにゃば、あそぶーの!」

 

「もしかすると、この前保育園に行った時とかに砂場遊びをしている子がいたから……」

 

実はヒョウは壁画アートを描いた後も本当に偶にだが、エルを連れて散歩がてら保育園に何度か行ったことがある。その際に砂場で楽しく遊んでいる子を見て興味を示したらしい。

 

「えるぅ!ましお、ねぇね、にぃに、かって!」

 

どうやらエルの一番はましろであり、次点で兄や姉として慕うアサヒやユキらしい。この様子を見てツバサは崩れ落ちる。

 

「プ、プリンセスの騎士である僕が……負けた」

 

「ツバサ、気の毒過ぎるだろ……」

 

何気にツバサがエルのお世話を引き受ける事が大きいので彼がエルといる時間は一日の中でも長い部類に入る……のだが、エルとしては義兄や義姉のような立ち位置のアサヒやユキ及び、自分相手に優しくしてくれるましろの方がイメージに残りやすくなっていた。

 

「えるぅ、ましお。おねがい!」

 

「……欲しいの?」

 

「える!」

 

結局、ましろは自分が絵本を書いている間にずっとエルを待たせることになるために砂場遊びのための道具も購入する事に。

 

「あ、そういえばかけるさんは?」

 

「かけるさんなら、ましろさんが上手く絵本を描けるように〜って絵を描くコツとかが書いてある本とか、後は物語を作る上で必要な知識を得られる本とかを借りに行ってますね」

 

先程から会話に参加していないかけるだが、実は彼はこの場にいない。彼が今いるのは自分が働く図書館であった。ましろのための参考書を借りに行っているらしい。

 

「かけるさんにも感謝しないとだね」

 

それからユキ達はましろの絵本作りのために物を購入する行為を終えると一旦ソラシド市内にある砂場のある公園へと向かうのであった。




また次回もお楽しみに。
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