こちらはバタフライ、スパイシー、コーラル、ミルキーの四人のいる地点。そこでは二つの調理器具がモチーフのモットウバウゾーとピーマン大王がいた。
「ふぉーっふぉっふぉー!」
するとピーマン大王が指を鳴らすと小さなピーマンの姿をした兵隊。ピーマン兵が出現。そのままバタフライを取り囲んでしまう。
「ッ!?」
バタフライは苦手意識の強いピーマンの姿をしている物体に囲まれたために寒気がしてしまう。
「バタフライ、気を強く持って!バタフライなら食べられるよ!」
そこにスパイシーが声をかけるが、モットウバウゾーが右腕の泡立て器を振り下ろす。
「くっ……」
「ひとまず、私達はコイツを少しでも引きつけるルン!」
ミルキーはピーマン大王を相手に脚がすくんで動きが鈍いバタフライの方にモットウバウゾーを行かせない事を優先すべきと判断。それにスパイシーやコーラルも頷いた。
「はあっ!」
ミルキーが跳び上がるとキックを放つが、モットウバウゾーはその瞬間、胴体を担当している寸胴鍋の中にミルキーを入れるとそのまま彼女を閉じ込めるように蓋をしてしまう。
「およ!?ちょっと!何をするルン!ここから出すルンよ!」
ミルキーは中からドンドンとモットウバウゾーを殴るが、モットウバウゾーはそんなミルキーを鬱陶しいと言わんばかりに内部がいきなり熱せられたように熱くなり始めた。
「熱っ!?熱い!熱いルン!早く、開けるルン!」
「コーラル!」
「うん!」
スパイシーとコーラルは中にいるミルキーを助けるためにモットウバウゾーへと向かっていく。それと同じくして。ピーマン兵に囲まれたバタフライはピーマン大王が目を光らせるのを見るといきなり目の前にテーブルと椅子が現れた。
「ッ!?か、体が……」
バタフライはピーマン大王の目を見たせいで彼からのコントロールを受けてしまったのか、目の前に用意された席に座ってしまう。
「くうっ……何でこうなるの!?離してよ!」
バタフライが何とか離脱しようとするも、まるで接着剤で固定されたように下半身が動かない。ただ上半身は自由なのか動かせる様子だ。
「この私が出すピーマン料理をしっかりと食べ切ってデリシャスマイルをした上で“ご馳走様でした。美味しかったです”と言えれば君の勝ちとしてあげるニガ!ただし、制限時間は15分ニガ。この時間内に食べきれなければ君は私の僕となってもらうニガよ!」
「ちょっ!?何それ!!」
そう言うピーマン大王。バタフライは困惑しつつもこうなったら受けるしか無いと覚悟を決めた。
「では、ピーマン兵。アレを持ってくるニガ!」
するとピーマン兵が皿に盛り付けられたピーマン料理、ピーマンサラダが出てきた。
「ええっ!?よりによって生なの!?」
「当たり前ニガ。ピーマンの苦味を生で食べてこそ克服できたと言えるニガ!では早速、タイマースタートニガ!」
早速タイマーが始まってしまう。バタフライは早速前に置かれた橋を手に取って食べようとする。だが、ピーマンを一切れ掴んだ所でバタフライは止まってしまった。
「ッ……ダメ……あの苦味が忘れられなくて……」
やはりいきなりでは厳しいのか、ピーマンを食べる勇気が湧いてこない。そうこうしているうちに三分が経過してしまう。
そして、モットウバウゾーの中に閉じ込められたミルキーはあまりの熱に体力も奪われていく。
「このままじゃ……不味いルン」
ミルキーは宇宙人の中で熱に弱い種族では無いが、流石に熱せられた鍋の中に長時間いるのは厳しい。
「ミルキーを離してよ!」
外ではコーラルやスパイシーが何とか対抗するものの、やはり二人からの攻撃では中にミルキーがいる事もあって彼女の事を思うが故に手加減してしまっていた。そのため、なかなか有効打になり得ない。
「どうすれば良いの……」
「こうなったら、私が動きを封じるわ。その間にコーラルがあの蓋を開けて助け出して!」
「うん!」
それからスパイシーがモットウバウゾーを拘束する技を使おうとしたその時。
「プリキュア!しし座・ミルキーショック!」
鍋の内部から大量の電撃がモットウバウゾーを襲うとモットウバウゾーはあまりの電力に悲鳴を上げた。
「モットウバウゾー!?」
そのままモットウバウゾーが倒れ込むと蓋が開き、中から何とかミルキーが出てこれた。
「およよよ……何とか出られたルン……」
ただ、顔は真っ赤で割とギリギリな所での脱出だったと知ると二人は慌てて彼女に肩を貸した。
「大丈夫?」
「……まだ平気ルン。でも、流石にクラクラするルン」
「少し休んでて。ここは私達で何とかするから」
ひとまず体の熱を冷ますのと水分補給のために一旦離脱したミルキー。その間にコーラルとスパイシーが立ち向かう。
「モットウバウゾー!」
するとモットウバウゾーが寸胴鍋の蓋を開けると中から火山弾のようなミサイルを放つ。
「ッ!」
「任せて!」
コーラルが両手の人差し指で×の字を作ると目の前に×の字状のバリアが出現。火山弾を防いだ。
「あなたも盾が使えるのね……」
「うん!スパイシー、お願い!」
スパイシーがそれに頷くと跳び上がってキックを繰り出す。だが、それは先程ミルキーが捕まった時と同じ流れだ。
「へっ……さっきと同じとか学習能力ゼロかよ!」
ナルシストルーが余裕そうにそう言うが、彼は失念していた。スパイシーにはあの技があるという事を。
「行くよ!ピリッtoヘビーサンドプレス!」
スパイシーが二枚重ねにした巨大なパンで文字通りモットウバウゾーを両側からサンドプレスにする。更に蓋が空いた寸胴鍋に対しては目の前にメロンパン型の固い表面をしたバリアが現れる。
「更に上乗せパム!」
「クラスティ・パン・バリア!」
そのバリアをモットウバウゾーに叩きつけるとシンデレラフィットと言わんばかりに鍋の蓋を閉じると中のエネルギーを閉じ込めてしまう。
「モットウバウゾー!?」
「ゲッ!しまった!アイツにその手があるのを忘れてた!」
これにより、モットウバウゾーは対抗手段を完全に消失してしまう。そこに付け加えるようにコーラルが技を使う。
「ハートルージュロッド!」
コーラルがハートルージュロッドにキスすると同時に紫のエネルギーが出現。それを膨らませるように息を入れるとそれがハートのクッションになる。そのままコーラルがクッションの上に乗るとそれが増殖するサンゴのように成長。技を発動する。
「プリキュア!もこもこコーラルディフュージョン!」
高く伸びていくクッションの周囲に展開される先端がハートの形をしたサンゴのエネルギーがモットウバウゾーを包み込むとそれをエネルギードームに包んで封じ込める。
「モットウバ……」
「「くうっ……」」
モットウバウゾーは拘束から逃れるために力を入れ、二人はそれを壊されないように抵抗を必死に押し留めた。
「どうしたニガ?このまま食べられないのなら時間切れニガ!」
その頃、タイマーがスタートして既に六分が経過。しかし未だにピーマン料理と向き合うバタフライ。まだ彼女は食べる勇気が出てこなかった。
「このままじゃダメだってわかってるのに……どうしてもピーマンの苦味を意識してしまって……」
バタフライはどうしても踏み出す勇気が出なかった。その様子を横目で見たスパイシーはバタフライへと声を上げる。
「バタフライ!ピーマンを食べるときに、大切な人が心を込めたピーマン料理を作ってくれているって意識してみて!」
「えっ!?でも……」
「私も、ピーマンを克服するためにピーマン農家の人の所に行ってピーマンの話をしてもらって。その後にゆい達に作ってもらえたピーマン料理を食べる勇気が出たの!だから、バタフライも何か大切な人が作った料理だって考えたら行けるんじゃないかな!」
スパイシーはモットウバウゾーを抑えながらなのでそこまで深い内容までは言えなかった。それでもバタフライにとってはスパイシーのその言葉が心に響くとある想像をする。
「大切な人が作ったピーマン料理……」
するとバタフライの前に浮かんだのは笑顔で自分のためにピーマン料理を作ってくれたかけるの顔だった。
「ッ……かける君が、私のために作ってくれたピーマン料理……そんなの、そんなの……嫌いだなんて言って残せるわけ無いよ」
「……え?」
スパイシーとしては大切な人に関しては友達を想像していたのだが、バタフライは大切な人(好きな人)として連想してしまうとかけるが自分のためにピーマン料理を作って出してくれたと思い込む。
「は……むっ!」
バタフライはなかなか踏み出せなかった一口目を食べると口の中に苦手意識のある苦味が出てくる。だが、それは昔自分が苦手意識を持っていたピーマンの苦味よりも軽かった。
「……ッ!このくらいなら……かける君のためだったら食べられる!」
バタフライはそのまま止まっていた箸が進むとピーマンサラダを食べていく。
「お、おい!ピーマン大王!そこはもっと苦味を増した奴を出せよ!」
「ニガ?おかしいニガ。私もできる限りニガ味をマシマシにしたニガよ!」
ピーマン大王はバタフライを確実に逃さないようにするためにできる限り苦味を引き出した料理として出した。実際、今までのバタフライことあげはなら食べた瞬間に苦味で箸が止まり、ギブアップしただろう。だが、今の彼女は違う。
「かける君のピーマン料理……食べて美味しいって言ってあげたい。だから、だからこんな所で大人の私がギブアップなんてできないよね!」
「ルン……愛情パワーってここまで凄い物ルン?」
「あはは……。思ってたよりも食べ出したら一気に行っちゃったね」
「でも、これなら多分バタフライもすぐに戻って来れる。コーラル、踏ん張って!」
「うん!」
この間もモットウバウゾーが必死の抵抗を見せるともう少しで拘束が解けてしまいそうになる。
「「くうっ……」」
「ここからは私も行くルン!プリキュア!ふたご座・ミルキーショック!」
ミルキーがふたご座のプリンセススターカラーペンを使うとミルキーの姿が二人に分身。そのまま倍増した火力の電撃を繰り出す。
「ウババババ!?」
「これで……最後!ご馳走様でした!美味しかったです!」
「に、ニガァアアアっ!?し、幸せぇええっ!」
ピーマン大王は自慢のニガ味マシマシのピーマンサラダをバタフライに完食された挙げ句、ピーマンが苦手な彼女に笑顔でご馳走様と言われたために食べ物として美味しく食べてもらえた幸せでそのままピーマン兵共々消滅。バタフライはピーマン大王の消滅により、ようやく席から解放された。
それと同時にモットウバウゾーが三人がかりの拘束を突破するとそれを粉砕するが、かなり体力を削られたのか息を荒くしていた。
「も、モットウバウゾー……」
「ごめん、こんなに時間がかかっちゃって」
「大丈夫ルン」
「ちゃんとピーマンを克服できたみたいですしね」
「アゲアゲで行きましょう!」
三人にそう言われてバタフライは頷くとナルシストルーはそんな四人へと声を上げた。
「くっ。だが、俺様達に勝てると思うなよ!」
「……そういえば、ナルシストルーだっけ?君もピーマンが苦手なんだよね?」
「……へ?」
バタフライはその手にミックスパレットを召喚するとスカイトーンをセットして筆を召喚する。
「だったら君のピーマン嫌いも直してあげる!」
「……い、嫌な予感が……」
「二つの色を一つに!レッド!ブルー!ワンダホーにアゲてこ!」
バタフライが赤と青を合わせるとそれを空に掲げる。そしてそれがモクモクと雲のように変化していった。
「何が出るかな?サプラーイズ!」
そして、そのエネルギーが姿を現すとナルシストルーの前に着地。それを見た彼は顔を青ざめさせた。
「う、嘘だろ……?」
「ふふっ。私特製!ピーマンピヨちゃんだよ!」
そこにいたのはプニバードの姿をしつつもピーマンの着ぐるみをその体に包んだ巨大なヒョウだった。
「ピーマン体操、始まるよー!ピーマン食べたらスーパーマン〜♪皆も踊ればピーターパン〜♪」
そんな風に体操をしながらナルシストルーに迫るエネルギーでできた巨大ピーマン形態のプニバード姿のヒョウを見たナルシストルーは恐怖を感じていく。
「お、お、俺は嫌だぁああっ!」
そのままナルシストルーは脱兎のように逃げ出すとエネルギーでできたプニバードのヒョウはそんな彼をノッシノッシと追いかけて行った。ナルシストルーはそのまま空間を抜けたのか、別の場所へと消えていく。そんな彼を手を振って笑顔で見送ったバタフライ。
「バイバーイ!」
「な、何なのルン?」
「多分あれ、まなつが見たら喜びそう……」
「記憶の中の存在とはいえ流石にナルシストルーが可哀想になるわね……」
三人は大嫌いなピーマンの姿を模したプニバードに追いかけ回される事になったナルシストルーに同情する。尚、クッキングダムでも丁度ほぼ同時刻にナルシストルーのピーマン嫌いを克服するため。スピリットルーが彼のために作ったピーマン料理を巡ってひと頓着あった。そのため、現実世界でも彼は苦労する事に。
また、ヒョウことアルテミスもバタフライによって噂では無いが、エネルギーのプニバードとして呼ばれたのでクシャミをする事に。
「スパイシー、アゲアゲで決めるよ!」
「ええ!」
バタフライがそう言うとモットウバウゾーはまた蓋を開けてのエネルギー弾を飛ばそうとする。しかし、今度はバタフライがそれを封じる蓋の役目を果たす。
「ひろがる!バタフライプレス!」
バタフライプレスによって真上からバタフライの作り出した盾でエネルギーの放出を防がれたモットウバウゾー。そこにスパイシーがハートジューシーミキサーを構える。
「シェアリン!エナジー!ミックス!」
「パムー!」
スパイシーがヤムヤムと同様に三回レバーを押し込むとエネルギーを充填。パムパムが叫ぶとスパイシーは再度押し込んで構えた。
「プリキュア!デリシャススパイシー・ベイキン!」
スパイシーがトリガーを押すと青いエネルギーが放出。それがモットウバウゾーへと命中すると青いハートの渦に包まれて浄化されていく。
「オナカイッパ〜イ!」
「「ごちそうさまでした!」」
モットウバウゾーは完全に消滅。また、ナルシストルーが逃亡したので結果的に四人の空間にいた敵がいなくなった。
「このまま他の皆を助けるよ」
バタフライの言葉に三人も頷くとそのまま空間の穴を通って四人は別の場所へと移動していく事になる。
また次回もお楽しみに。