熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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赤信号の脅威 激昂する嵐

信号機のランボーグによってその場の全員の動きが停止。その後バタフライとムーンライズが吹き飛ばされてしまったプリキュア側。しかし、ランボーグ達は待ってくれない。今度は車のランボーグがタイヤにエネルギーを高めると高速でタイヤを連射してきた。

 

「ランボーグ!」

 

「ッ!させないよ!」

 

それに対してプリズムが気弾を使って攻撃を相殺。そこにアルテミスが氷塊を生成するとそれを発射する。

 

「はあっ!」

 

車のランボーグはそれを回避しようとするが、今度はタイヤが全く動かない。先程とは違ってランボーグをタイヤごと地面に凍り付かせたのだ。

 

「ランボーグ!」

 

すると車のランボーグをカバーするように信号機のランボーグが氷塊を殴って弾き飛ばす。そこに一気にウィングとアポロンが距離を詰めるとダブルパンチをぶつけた。

 

「「はあっ!」」

 

「ララン!?」

 

そのタイミングでスカイが先に停止能力が厄介な信号機ランボーグを倒すべく浄化技を使う。

 

「決めます!ヒーローガール!スカイパンチ!」

 

スカイは雲を吹き飛ばしてできた青空をバックに青いエネルギーの拳となって加速。ランボーグへと突撃する。

 

「はぁああっ!」

 

「ランボーグ」

 

「ラン!」

 

ヒューストムが声をかけると信号機ランボーグは飛ばされながらも、着地と同時に停止能力を発動。その瞬間、いきなりその場の全員の動きが止まった。そのせいで攻撃が当たる少し前に技は止まってしまう。

 

「うっ……あと少しが……届きません」

 

「赤信号になると動きが止まる!」

 

「青信号になると動けるけど……そのタイミングがわからない!」

 

しかも厄介な事が一つあった。この技による停止が有効なのは周囲に存在する物だけ。つまり、停止している間も時計の針は進み続けている。

 

そのため、このせいで提出期限のタイムリミットまでの時間はこの間もどんどん動き続けるのだ。

 

「ふふっ。さぁ、動きを制限されて……お前らはどうする?」

 

その直後。停止能力は解除されるものの、ランボーグはスカイパンチの起動を見切っているために簡単に回避されてしまった。

 

「ラララ!」

 

「だったら、私達の合体技で!」

 

「ああ。追尾式の技ならいつか当たるはずだ!」

 

オーロラ、ムーンライズが合体技を発動させるために合流しようとする。その判断は正しい。二人の技は追尾すればするほどに威力が上がるタイプの技。加えて、軌道の変化も自在なので発動できればずっと追い回す事もできる。ただし、それは二人が合流できたらの話となるが。

 

「ラン!」

 

するとランボーグがそうはさせないと言わんばかりに先程自分が攻撃を回避したスカイの方を振り向いた瞬間にまた停止を使ってしまう。

 

「ちょっと!こういう時のお約束のクールタイムとか無いわけ!?」

 

「一体どうしたら良いの!?」

 

「このままじゃ、絵本の締め切りが……」

 

今現在は先程から更に時間が経過してもうすぐ16時。ここから市役所までの道のりはまだそれなりにかかってしまう。となるといつまでも足止めされるわけにはいかなかった。

 

その直後、ランボーグの停止が解除されるとランボーグからの拳がスカイに迫る。

 

「ッ!」

 

スカイはそれを何とか後ろに下がって回避するとそのタイミングでオーロラがムーンライズの元に走った。

 

「ムーンライズ!」

 

「ッ、オーロラ!危ない!」

 

だが、その直後にはオーロラへとドリフトしながら体当たりする車のランボーグ。オーロラは堪らず近くの壁に激突してしまった。

 

「きゃあっ!?」

 

ランボーグが退くと傷ついたオーロラが顔を顰めていた。ランボーグはオーロラの真隣にいつつも、そのままタイヤのエネルギーを近くにいたムーンライズ、アルテミス、バタフライへと発射。

 

「はあっ!」

 

それに対してムーンライズは少しだけ浮かんで回避し、アルテミスは氷壁で防御。バタフライもバリアで凌ぐ。

 

「はあっ!」

 

そのタイミングで持ち直したオーロラが攻撃しようとするとランボーグは急発進して攻撃を回避。そのまままた勢いを付けてドリフトしながらバランスを崩したオーロラへと体当たり。

 

「あああっ!?」

 

「オーロラ!?お前、汚いぞ!」

 

「別に。瞬間移動持ちのオーロラがお前の所に行かないように警戒するのは当然だろ?」

 

「ううっ……ムーンライズ、気にしないで。私は平気だから」

 

オーロラはムーンライズを安心させるようにそう言うものの、明らかに彼女が執拗に狙われている。ヒューストムの私怨も半分くらいは入っているのだろうが、彼の言う通りオーロラを自由にすると危険が伴うからだろう。

 

「「はあああっ!」」

 

そして、信号機の方と交戦するスカイとウィングが信号機ランボーグへと攻撃しようとするものの、そのタイミングでタイヤを射出してきた車ランボーグによって二人の攻撃が妨害。地面に激突して立ち上がった直後にまた信号機ランボーグが停止を使ってしまう。

 

「ラン!」

 

「くっ……またこれか……。そろそろ何か対策を練らないと」

 

「時間も押してきてしまってます!」

 

するとそんな中で一番時間を気にするべきプリズムがある事を言い出した。それは自分の事を気にしないというものである。

 

「皆、私の事はもう良いよ!ランボーグのせいで間に合わなかったら……それはもう、仕方ないから」

 

「……そんなの絶対にダメだ!」

 

プリズムの言葉に真っ先に反応したのはムーンライズであった。彼はプリズムを真剣な目で見ていた。

 

「プリズムはここまで絵本を作るのを楽しみながらずっと頑張ってきたんだ!あんなにも自分のやりたい事、将来の夢がわからなくて悩んでて。やっと見つけたやってみたい事。それをこんな事で台無しにされるなんてあったらいけないんだよ!」

 

ムーンライズは幼い頃からずっとプリズムとましろと一緒に過ごしてきた。そんな彼が言うからこそ、その言葉には重みがあったのだ。それに続くようにスカイも言う。

 

「ムーンライズの言う通りです!プリズム、次に青になったら私達に構わず行ってください!」

 

「でも、ランボーグが二体もいるんだよ?皆だってこんなにピンチなのに……」

 

「このくらい、ボク達なら倒せますよ!」

 

「そうよ。私達だってプリズムが頑張ってるから沢山応援できた!」

 

「その努力を無駄になんてしたらダメ!」

 

ムーンライズやスカイだけで無い。ウィングが、アルテミスが、オーロラが。次々にプリズムの背中を後押ししていく。

 

「だからって皆を見捨てるような真似なんて」

 

「良いから行く!私達はいつもプリズムの優しさに支えてもらってる。だから、今日くらい思いっきり応援させてよ!」

 

バタフライの言葉にその場の全員が頷いていく。プリズムは全員から受け取った優しさに決意を固めることに。

 

「皆……」

 

「……バタフライ。考えがある」

 

そんな中でアポロンはある事を思いつくとバタフライへと声をかける。そして、それはバタフライ自身も同じ事を考えていた。

 

「私もアポロンと同じ考え……。だから、準備はもうできてるよ」

 

「ふふっ……あははっ!美しいなぁ。仲間のために譲り合って頑張る。尊い友情だねぇ……本当に反吐が出る!まぁ、お前らが何をしようと全て無意味だ。誰一人この場から逃してやるつもりは無い!ランボーグ、やれ!」

 

ヒューストムがそう言うとランボーグが停止を解除。これにより、全員の動きが戻った。その瞬間、バタフライがある仕掛けを用意する。

 

「スカイ、ランボーグへの攻撃!」

 

「え?」

 

「良いから早く!」

 

「わかりました!」

 

スカイがランボーグへと攻撃をするために踏み込んだ瞬間。バタフライはアポロンと話した作戦通りにミックスパレットを召喚。スカイトーンを装填する。

 

「二つの色を一つに!レッド!イエロー!」

 

それから赤と黄を混ぜるとそれによってミックスパレットからある力が発動する事になる。

 

「守りの力、アゲてこ!」

 

その瞬間にスカイの体にオレンジのオーラが生成されて纏われるとそのまま彼女はランボーグへ。

 

「無駄だ!止めろ!」

 

その直後。信号機ランボーグの力でその場の全員が強制停止する……はずだった。現にランボーグ自身やエルを含めてその場の11人の動きが止まる。しかしその11人に入っておらず、この場にいる人間の中でただ一人。しっかりと動ける人間がいた。

 

「はぁああっ!」

 

それはバタフライによって守りの力のバフが入ったスカイである。どうやら守りの力はただ単純に防御力が強化されるだけで無く、特殊能力に対しての耐性も付くらしい。

 

「ランボーグ!?」

 

スカイからの拳を赤信号の部分に受けたランボーグは液晶部分が粉々に砕けたせいで赤信号としての機能が使えなくなってしまった。

 

「良かった、上手く行った!」

 

「これなら赤信号は使えない!」

 

「プリズム、さぁ早く!」

 

スカイに促されてプリズムはエルから原稿の入った紙袋を受け取ると非戦闘員のエルと共に市役所の方角へと走り出す。その直後。走るプリズムへと向かう一つの影。その動きは赤信号を潰して歓喜していた所を突いたために殆どのプリキュアが反応できなかった。

 

「うらあっ!」

 

それは信号機ランボーグの赤信号が使えなくなった事で逆に自由に動けるようになったヒューストムである。

 

彼は完全に背中を向けているプリズムを狙った不意打ちを敢行。そのまま拳は彼女に命中するかに思えた。

 

直後。体に当たる重い音と共に拳は何者かに真正面から止められた。プリズムはそれを聞いて振り向くとそこにはムーンライズがたった一人でヒューストムの拳を止めている所であった。

 

「チッ……貴様!」

 

「ムーンライズ!?」

 

「むーらいず!」

 

「く……ううっ……心配……すんな。プリズム、早く行け!」

 

ムーンライズは拳を体に受けながらも、しっかりとダメージは上手く周囲に逃してその場に踏み留まっていたのだ。

 

「うん……ごめんね」

 

プリズムは頷きながらも小声でムーンライズへと謝った。そしてプリズムはどんどん遠ざかっていく。そんな中、ヒューストムは苛立ちの顔つきだった。

 

「そんなに仲間を庇って……早死にしたいのか」

 

「お前にはわからないだろうな……。大切な友達が、家族が頑張ってるのに……それを背後から襲うとか。そんな卑劣な事を俺が黙ってやらせる訳無いだろ!」

 

ヒューストムはムーンライズのその態度に歯軋りする。彼の態度が気に入らなかった。

 

「お前……ふざけんなよ。ユキの彼氏だからって、アイツの心が弱ってる時に付け込んで自分の物にしておいて」

 

するとヒューストムの体からいつもよりも更に黒に近い緑のオーラが浮かび上がる。

 

「キュアムーンライズ……ざけんじゃねぇぞ!」

 

するとヒューストムはムーンライズに受け止められた拳に竜巻のエネルギーを纏わせると無理矢理彼を吹き飛ばして壁に激突させた。

 

「が……ああっ」

 

「ムーンライズ!しっかりして!」

 

オーロラは傷ついたムーンライズへと駆け寄るとグッタリした彼を見て不安に駆られる。そんなオーロラの隙をカバーするようにアポロンとアルテミスがヒューストムに立ちはだかった。

 

「これ以上はやらせない!」

 

「お前らも邪魔なんだよ……」

 

するとヒューストムは手を横に翳すと赤信号が封じられてこれ以上残す価値が無いと判断した信号機ランボーグの体からアンダーグエナジーを回収。

 

「あっ!」

 

「アンダーグエナジーを回収した?」

 

「ああ。お前らに浄化されなきゃ、キラキラエナジーにはならないからな。信号機の方の分は俺が貰う」

 

ヒューストムの判断は正しい。もしあのまま信号機ランボーグを残しても能力の使えないランボーグなどプリキュアへの打点にはならない。だったら浄化前にアンダーグエナジーを回収しておけばキラキラエナジーにされて取られずに済むわけだ。

 

「こんな怒ってる時に冷静すぎますよ!」

 

「怒ってる時に冷静?ああ、そうだな。……怒ってるのに何故か俺の頭はシーンってなってるこれがクールな怒りってやつかもな」

 

その直後。周囲にヒューストムからと思われる風が吹き荒れた。そして、彼の体には緑の禍々しいオーラが立ち昇る。

 

「ここからは俺が直接手を下してやる。覚悟しておけよ……」

 

ヒューストムがやる気になるとその場の全員が構える。その頃、壁に激突したムーンライズの脳内では。

 

「よぉ、アサヒ」

 

「またお前か……良い加減引っ込んだと思ったんだけど」

 

「そうつれない事言うなって……」

 

再びカゲロウがムーンライズの、アサヒの精神の前に姿を現すと邪悪な笑みを浮かべるのであった。




また次回もお楽しみに。
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