熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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今回の時系列はアニメ14話のスカイランドに行ったユキ達の裏側の話となります。それではどうぞ!


かけるとあげは 専門学校での出来事

現在から遡る事約二ヶ月前。時系列はスカイランドへと通じるゲートが開通し、ユキ達スカイランドに向かった面々がいなくなった後の話となる。

 

「……行っちゃいましたね」

 

「ええ、あの子達ならきっと大丈夫よ」

 

「ユキとアサヒが変身できなくなったとはいえ、まだプリキュアは三人もいるんだ。負けるわけ無いですよ」

 

あげはとヨヨ、ひかるの三人がそんな風に会話する中、かけるは一人ユキ達がスカイランドに行くのをまだ夢見心地な気分で見ていた。洗脳されていたといえ、かけるとしてはこのスカイランドの件にはあまり深く関わる事ができず。そのせいでユキ達と碌に会話ができなかった。

 

「結局、助けるって言いながら俺は何もできなかったな……」

 

かけるはユキとアサヒの二人にシャドーからの洗脳を解いてもらって助けられたその時。自分も助けられたお礼に彼女達の力になりたくて自ら協力を名乗り出た。ただ、それ以降は敵も担当者のカバトンとシャドーが纏めて離脱した影響で一時的に次の担当者の選定に時間をかけていたのか襲って来ることは無かったのだ。

 

「そうだ、あげはさんにひかるさん。今夜、もう一度泊まっていかない?明日からまた学校でしょう?」

 

それを聞いて二人は顔を見合わせる。一応あげははこの時虹ヶ丘家では無く遠い隣町から通って学校に行っていた。もう一日泊まれるのなら少しはゆっくりできるだろう。ひかるに関してもこのままの流れでもう一夜泊める事はできるらしい。

 

「……折角のご厚意ですけど、俺は家族が心配しますし……家で飼ってる飼い猫のライの世話もありますので」

 

ひかるはあげはとは違ってソラシド市内に住む家族がいる上にまだ中学生だ。更にこれ以上の他人の家での宿泊は事前に親に説明していない事もあって彼も気が引けるらしい。

 

「って……ひかる君、猫飼ってたんだね」

 

「はい。性別は雄で結構プライドも高めですけど、飼ったら可愛いものですよ」

 

「じゃあ、また今度会わせてくれる?」

 

「勿論です」

 

あげはとひかるが飼い猫の話で盛り上がる中、ヨヨはあげはにも先程の質問の答えを求めた。

 

「ひかるさんの方はわかったわ。あげはさんはどうかしら?」

 

かけるはヨヨがあげはに問いかけたために自然と視線があげはの方を向いた。かけるとしてはあげはの方は住んでいる家が隣町であり、帰ってからまた通う手間を考えると泊まった方が翌日の事もあるので楽だろうと考えた。しかし、彼女の返事は意外な物が返って来る。

 

「いえ……引っ越してずっとここに住むって話なら兎も角、ヨヨさんにあまり迷惑はかけられません。それにかける君の精神的な負担になるかもですし」

 

あげははヨヨへの迷惑やプリキュアに救われてからこの家に住むことになったかけるがまだ生活に慣れていないだろうという彼への配慮もあるのか、誘いを断ってしまう。

 

「そう。じゃあ、また出る時に言って頂戴。見送りぐらいはするわ」

 

「ヨヨさん、何から何まで気を使ってもらってありがとうございました」

 

それからひかるとあげはの二人がそれぞれ家に帰る前の片付けをする中でかけるはあげはへと話しかけた。

 

「あげはさん」

 

「かける君。どうしたの?」

 

「……その、さっきはごめん。俺のせいで気を使わせて……」

 

かけるは申し訳なさそうにあげはへと謝る。そんな中であげはは気にしていなさそうな様子だった。

 

「そんなに気にしなくても大丈夫だよ、かける君。それとそんな暗い顔したらダメ」

 

するとあげははかけるの元に歩いていくと彼の頬を両手で摘むと上へと吊り上げて口角を上げさせる。

 

「あ、あげひゃさん?」

 

「そんな時は楽しい事を考えて気持ちをアゲてこ!」

 

それからあげはがかけるから手を離すと帰るための準備をするために行こうとしてまた振り返った。

 

「あ、そうそう。明日からまたよろしくね!」

 

「うん……」

 

かけるもあげはも翌日には専門学校がある。特にかけるは入学式前に乗っ取られてしまったせいで殆ど通ってなかったために勉強は遅れに遅れていた。

 

「……そうだ、こうしちゃいられない。少しでも遅れ分を取り戻さないと」

 

かけるはあげはに言われて自分がまた明日からほぼ初めての専門学校での授業に出るための準備を進める事になる。

 

「……正直、遅れを今から取り戻すのは厳しい。でも、あげはさんも頑張ってるんだ……。俺もできる事をしないと」

 

かけるは部屋に籠ると学校の予習を始めていく。そんな彼をヨヨは微笑ましい顔つきで見送った。

 

そして、学校への登校を再開する日。まずかけるは職員室に向かうと今まで不登校が原因で迷惑をかけた事を謝る事に。教師達はいきなり戻ってきたかけるに驚き、困惑するもひとまず彼にはこれ以上の授業の欠席は留年や単位に響くという事を警告した。

 

「……やっぱり、先生達からは良い目を向けられなかったな」

 

そんな中、専門学校ですれ違う生徒達を見るとヒソヒソと何か話すのが時々聞こえた。どうやら今まで休んで不登校だった自分を見て色んな噂話をしているのだろう。

 

「………」

 

しかも、その噂の殆どはある事ない事ばかりの根拠の無い変な物ばかり。かけるはそんな噂が蔓延している事態に頭を抱えたくなった。しかし、自分がそんな噂をされるぐらい長い間いなかったのは事実だと切り替えて歩いていく。

 

「……流石にこのままの状態で教室にはずっといられないな」

 

かけるは周りからの疑惑の目線に耐えかねて教室には行きづらくなったためにひとまず図書室に向かう事になった。ここなら授業開始まで一人で集中して勉強できると思ったからである。

 

「………」

 

かけるは何一つ話す事なく一人で遅れた分の勉強に取り込む。勿論、かけると同じクラスに所属する同年代の人達は彼が不登校で出遅れたのが原因で既にもう自分達の会話の輪を作ってしまっていた。そのために彼としては多少一人で勉強する事への寂しさはあったものの、これは仕方ない事と割り切っていたのだ。

 

そんな中での事。勉強中のかけるがいる図書室の前の廊下を偶々あげはやその友達達が友達同士の仲の良さそうな会話をしながら歩いていた。

 

「それでさー、プリホリのパフェがとても美味しくて!」

 

「うんうん。あそこのパフェを食べると気分アゲアゲになるよね!」

 

「今度皆で食べに行こ!」

 

このような感じの親しい女友達による普通の会話。そんな時、ふとあげはが図書室の前を通ると急に足を止める。

 

「……あげは?どうしたの?」

 

「かける君……」

 

「えっと……誰だろ?初めて見るけど……」

 

「あっ、もしかして前までずっと学校を休んでた望月君じゃない?」

 

友達の一人がそう言うともう一人も納得したように声を上げる。あげははそんな二人の会話が耳に入らなくなるくらいにかけるの姿を見ていた。

 

「ああ、つい少し前まで不登校で休んでたっていう……」

 

「でも、どうして不登校だったのかな。もしかして……何か悪い事を」

 

すると、あげはが黙々と勉強をするかけるを見て何かを思ったのか、未だに彼の事を見続けている。その間も彼女の友達二人はかけるへと疑惑の視線を向けており、この辺りからもやはりあげは以外の同学年の生徒達にはかけるの事はあまり良いイメージを持っていないらしい。

 

「……ねぇ!」

 

「あ、ちょっとあげは!」

 

「危ないよ!」

 

あげはは気がついたらかけるへと声をかけてしまった。友達二人はかけるへと苦手意識を持ってるせいで止めようとするが、あげはは止まらない。

 

「あげはさん……」

 

「どうしてここに?」

 

「……見ての通り勉強だよ。俺は出遅れてるから……ちゃんと勉強して追いつかないと。まぁ、かなり置いてかれてるからちょっとやっただけじゃ全然ダメだけど」

 

あげはは一生懸命に勉強する姿を見て少しだけ考えると友達を待たせてしまってる事もあってこの時は一旦友達の元に行くことにした。

 

「そっか……。かける君、頑張ってね。私……応援するから」

 

「え……」

 

ただ、あげはが自分に見せた笑顔は彼にとっては舞い踊る美しい蝶のように見えたせいか彼はそんなあげはに思わず見惚れてしまう。

 

そして戻ったあげはは友達二人にかけるの事を話した。勿論、彼女が知ってる休んでいた理由も含めてである。尚、プリキュア関連の事は伏せてになるが。

 

「望月君ってそんなに真面目な人だったんだ……」

 

「うん……かける君は誰かの力になろうと一生懸命頑張れる人。保育士に向いてると思う。それこそ、きっと私を助けてくれた憧れのあの人みたいに……」

 

「私達……望月君に失礼な態度取っちゃったね……。ごめん」

 

「多分、かける君はその事も反省して普通に話したら気にしないと思うよ。まだかける君本人に直接悪口は言ってないでしょ?……きっと許してくれる」

 

一応、あげははかけるが不登校だった理由として入学式の直前に外国の悪い人に連れ去られた上に建物に監禁。警察も相手の組織の規模もあってなかなか手を出せなかったらしいが、つい最近救出されたという話とした。

 

……ここだけ聞けば怪しさ全開だが、一応嘘は最小限に抑えている。スカイランドは外国(異世界)だし、悪い人(アンダーグ帝国関連の人)というのも間違ってない。ランボーグ相手に警察は確実に手は出せないだろうし、救出の話もプリキュアに救われてるので本当だ。そのため、あげはの話には妙な説得力があったとして友達二人も受け入れたのである。

 

「望月君、そんなに辛い目に遭ったのに……ちゃんと立ち直って……強い人だね」

 

「うん。……私はあんなに頑張ってるかける君の事を見てると自分も頑張らなきゃって……。ねぇ、明日ももしかける君が勉強するってなったら……私も彼の事手伝っても良いかな?」

 

あげはの言葉を聞いて二人は向き合うとプッと噴き出して笑い始める。それを見たあげははギョッとした。

 

「えっ?二人共、私何か変な事言った!?」

 

「あげは、望月君に凄い執着するなって……」

 

「もしかして一目惚れしちゃった?」

 

「ち、違っ……惚れてなんか無いよ!もう、揶揄わないで……」

 

あげはは否定の言葉を慌てて言うが明らかに頬は恥ずかしさで赤くなっており、それだけかけるとの関係を疑われるのが気になっているのだ。

 

「もう〜、あげはってば照れちゃって〜」

 

「そういう事なら私達も応援するね!かける君が良い人だって知れたから、そのお礼」

 

「だから、そんなのじゃ無いって!ただ、その……かける君って救出された後に初めて会った時からずっと一生懸命って感じで……ひたむきに努力してる姿がその……」

 

あげはがそんな風にかけるの良い所を話すのを見て彼女の友達二人はやはりかけるへの気持ちがほんの少しずつ芽生え始めていると認識。

 

「あ、そうそう。望月君の事情、一応広めておくね」

 

「彼が良い人なのにずっとあんな感じで仲間外れなのは可哀想だし」

 

こうして、あげはの女友達二人によってあげはが話したかけるの休んだ理由は拡散。次第に彼への苦手意識や偏見は無くなっていく事になる。

 

「ちなみにあげはの気持ちも言っておいた方が……」

 

「良いから!そこまで言うのはお願いだからやめて!?」

 

尚、あげははかけるへの想いも流されそうになったのを必死で止める事になったために最終的には流されずに済むことになった。




一応次回もあげは、かけるの専門学校関連の過去編になります。それではまた次回もお楽しみに。
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