熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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採れたて野菜のお弁当 無駄にならない学んだ知識

お昼ご飯時になったためにレジャーシートの上に広げられるお弁当。そこには様々な色とりどりの料理が所狭しと並べられており、まさに豪華な食事である。

 

特に採れたて野菜を使った料理は新鮮さがあり、余計に美味しそうに見えた。

 

「「わぁああっ!」」

 

そんな中で料理が広げられた瞬間、ソラとツバサは感激の声を上げていた。ソラなんて目にキラキラマークが出るくらいに興奮している。

 

「凄く美味しそうです!」

 

「生で食べられる野菜も切ってあるから沢山食べて頂戴ね」

 

どうやらヨヨも料理にも多少参加したらしい。彼女が出したのはレタス、トマト、きゅうり、ピーマンなどが切られたサラダである。

 

「それにしてもこれ、ましろやユキが作ったんだよな?」

 

「うん!そうだよ。とは言っても殆どはましろちゃんだけどね……」

 

ユキがやったのはこちらに来てから完成させた分のみであるし、既に家で作ってきた分に関してはましろがほぼ作ったものである。

 

「あ、でもヒョウちゃんもよく手伝ってくれたし。ヒョウちゃんが切った分の野菜もあるからね!」

 

ヒョウも弁当の完成のための手伝いに参加しているため、彼女の作った分も当然その中に入っている。

 

「あはは。でも私の方は正直切り方下手だし上手くやれてる自信は無いけど……。もう完全に料理の面でもユキ姉に置いてかれちゃったみたい」

 

ただ、やっぱり元々料理が得意であるましろや努力を重ねて上手くなったユキと比べるとヒョウの作った物は不恰好でサイズもバラバラ。見る人が見たらましろ、ユキの二人の料理とヒョウの料理がわかってしまうくらいには差が出ていたのだ。

 

「そんな事ありません!ヒョウが作ってくれた弁当はきっと美味しいですよ!」

 

そう言ってツバサがヒョウをフォローすると彼女はツバサにそう言われて満更でもないのか顔が赤くなった。

 

「あ、ありがと……」

 

「ヒョウ、赤くなっちゃってるし……完全に照れてるなこれ」

 

「あはは……」

 

それはさておき、ましろは生野菜を美味しく食べるためのあるアイテムを取り出した。

 

「そうだ。お野菜を美味しくするためにこれを用意してみたよ」

 

ましろが置いたのはそれぞれ違う色のソースのような物が入った三つの容器であった。

 

「これはソース?でも、色が黄色っぽかったりピンクだったり白だったり……。ましろさん。これって何なのでしょうか?」

 

「これはディップソースって言ってね。食べる時にお野菜をこれにつけて食べるとソースの味が上乗せされて美味しくなるの」

 

ちなみに三種類の味はカレーマヨ、たらこクリームチーズ、ハーブヨーグルトといった感じだ。するとあげはは興奮した様子でミラーパッドを取り出すと写真を撮りまくる。

 

「ヤバっ!オシャレで気分アガるね!」

 

「採れたてのお野菜を、デップ……ソース?で食べるなんて確かに特別ですよ!」

 

「ディップソースだよ、ソラちゃん……」

 

ユキはソラへと苦笑いしつつ補足。ひとまず料理も出揃った事でヨヨが早速声をかける。

 

「それじゃあいただきましょうか」

 

「そうですね」

 

ヨヨの言葉にかけるが同意すると、そのタイミングでツバサは何かに気がつく。するとそんな彼が気になったのかヒョウが声をかけた。

 

「ツバサ、どうしたの?」

 

「……これから雨が降るかもしれません」

 

「え?」

 

ヒョウからの問いにツバサの返事はまさかのこれから雨が降るという言葉だった。それを聞いて他の面々も空を確認する。しかし、真上だけ見れば空は青く、雨が降る素振りすら無かった。

 

「こんなにも晴れてるのに雨が降るの?」

 

「見渡す限り雨が降りそうな様子じゃ無さそうだけど……」

 

ましろやアサヒは半信半疑な状態だった。するとふとユキの鼻の辺りに何かの水滴が当たる感触がする。

 

「ひゃっ!?」

 

「ユキちゃん?大丈夫?」

 

「う、うん。でも何だかちっちゃな水滴?みたいなのがいきなり落ちてきたような気がして……」

 

「まさか、それって……」

 

ユキの答えにかけるがそう言うとほんの少しずつポツポツとだが、小雨が降り始めてきた。更に空にある雲も心なしか少しずつ増えつつある。

 

「本当だ、降ってきた!」

 

「少年、当たったじゃん!」

 

「凄い……」

 

「本降りになる前に屋根のある所に行きましょうか。エンジェリーさん達も」

 

「はい!こっちは任せてください」

 

そんなわけで折角食べ始めたご飯だが、雨が降る中で食べるわけにはいかないので一旦中断して移動する事になった。

 

その頃、風を纏って移動中のヒューストムは周囲に雨雲が増え始めたのを確認する。

 

「チッ、このタイミングで降り始めてくるのか。まぁ、その気になればこの目障りな雨雲も纏めて散らす事もできるが……雨の中でやり合うのも一興だ。捨て置くとするか」

 

そんな風にヒューストムも雨雲に対してそこまで気にするつもりは無いのか、雨に打たれつつも平然としたまま移動していく事になる。

 

それから暫くして。ユキ達一行は一旦ヨヨの畑の外れにある開けた土地の中にポツンと存在する二つの屋根付きのテーブルのある場所を使って弁当を食べていた。

 

ちなみに一つ一つがそれなりの大きさだったので問題無く全員が中に入れている。

 

「はむっ!おいちい!」

 

エルが赤ちゃん用のご飯を食べるのを微笑ましい顔で見るツバサとヨヨ。そんな中でディップソースを使ってピーマンを食べるソラとましろはとても美味しそうな顔つきをする。

 

「ピーマンをカレーマヨで食べると止まりません!あげはさんもどうですか?」

 

「お、じゃあお言葉に甘えて!はむっ!ん〜!美味しい!」

 

あげははソラから差し出されたピーマンとディップソースを口にすると彼女はまた美味しそうに食べていた。

 

「そうだ、アサヒ。このトマトとかどう?」

 

「ッ……あげは姉……俺はトマトはその……」

 

するとアサヒは少し遠慮しがちな声色をしていた。それを見てソラは首を傾げる。

 

「アサヒさん。さっきは平然としてましたから気がつきませんでしたが……もしかして、トマト苦手なんですか?」

 

ソラからの質問に対してアサヒは気まずそうに頷く。どうやら見る分には大丈夫だが、実際に食べる気にはなれないらしい。

 

「アサヒ〜。トマトがダメなんていけないわよ?」

 

「ヒョウ、ここぞとばかりに煽ってくるんじゃねぇよ!」

 

普段はアサヒに煽られっぱなしのヒョウはアサヒがトマトを食べられないと聞いていつもの仕返しとばかりに煽り返す。

 

「大丈夫だよ、アサヒ君。このトマト、普通のと違って甘くて美味しいよ」

 

「ユキ……」

 

彼女のユキにそう言われてもやはりアサヒはトマトを食べるのを躊躇うような顔つきであった。

 

この様子を見るに本当にトマトはダメらしい。一同がよくよく考えて思い出してみるとアサヒはいつも食卓を囲んでご飯を食べる際にトマトを食べた瞬間を見た者は一人もいなかった。

 

「……アサヒ君。はい、あーん」

 

するとユキはどうしても食べて欲しいのか少し恥ずかしそうに顔をほんのり赤らめつつもトマトを一切れ手にしてアサヒへと差し出す。

 

「ッ、ユキ……」

 

「ほら、アサヒ。彼女から食べるように出されているんだよ?これに応えなかったら彼氏失格じゃない?」

 

「うぅ……ええい、仕方ない!」

 

アサヒはユキの気持ちを無駄にしたくないと勇気を出してトマトを食べる。その時、アサヒはその味に目を見開く。

 

「甘い……フルーツみたいな美味しさだこれ!」

 

「うん。驚きに我を忘れる美味しさです!」

 

そんな風に言うユキの後ろに黒髪をツインテールにしつつ大人しそうな少女の影や茶髪で水色の髪留めをしたピンクの瞳の大人の女性の計二名が幻影として現れていた。

 

「ユキちゃん、後ろの二人は誰?」

 

「え?んーっと、私と近い雰囲気を何故か感じるけど……気のせいだと思いますよ」

 

かけるの指摘にユキはそう返す。どうやらユキ本人には見えてないようだった。尚、その二人はいつの間にか消えていたらしい。

 

 

「それにしても何でこんなに甘い味になったんだ?」

 

アサヒが首を傾げる中、そこにエンジェリーが隣にある屋根付きのテーブルがある場所から声をかける形で補足説明をする。

 

「ヨヨさんが言ってました。トマトを育てる時のコツとして、あまり水を与えすぎて甘やかすのは良くないって。ギリギリまで水を与えない事で自然と栄養を蓄えていくって」

 

要するに厳しさを耐え切った先にこそ大いなる実りがあるという事だ。そんなやり取りにましろは少し苦笑いを浮かべる。

 

「何だかこの流れもどこかで見た事あるような……」

 

「気のせい気のせい。私の中の人が出てるアニメのネタだと思うけどきっと気のせいだから」

 

「ユキ姉がまさかのメタ発言をしてる!?」

 

それはさておき、いまだに降り注ぐ雨を見たソラはいつまで降るのか気になったのか問いかけた。

 

「それにしても、この雨はいつまで降るのでしょうか……」

 

「すぐに止むと思いますよ」

 

そう返したのはツバサであった。先程天気を当てた事と言い、ツバサには天気が読めるみたいである。

 

「さっきも天気を当ててたよね?どうしてなの?」

 

「雲を見たんですよ。……朝は小さかった雲が、雨を降らせる大きな雲に成長していたんです。あの雲は短い時間、雨を降らせるので」

 

「凄いです!ツバサ君!」

 

「おばあちゃんみたいに物知りだよ!」

 

ソラとましろはツバサの知識に思わず感嘆の声を上げ、ツバサは慌てて謙遜した。

 

「あ、いや。そんな……。空を飛ぶためには天気も大事なので。それで勉強してて」

 

ツバサがそう返した時。ふとヨヨのした話を思い出す。それは知りたいという気持ちが繋がって広がっていくという話であった。

 

「……ヨヨさん。もしかして……」

 

「ええ。さっきの話はそういう事よ。空を飛ぶために勉強していた事が皆を雨から守ってくれたわね。……私はね、何かを学ぶ事と畑を守る事は似ていると思うの。学んだ事は肥料になってあなた達の夢の種を育ててくれる。……けれど、その種がいつ芽吹くかはわからないから、学んだ事は全部無駄だったんじゃないのかなって。不安になるのよね」

 

これは実際、今のツバサが陥っている状況だ。空を飛ぶために勉強してきた事が、プリキュアとして空を飛ぶ事で達成されてしまったが故にツバサは今までの勉強が無駄になったとある意味落ち込んでしまっている。

 

「……でも大丈夫。それは明日かも、ずっと先の未来かもしれないけれど、必ず花開く時は来るわ。しかも、自分の思いもよらない花が咲く時もあるのよ。勉強のために作った鳥の模型が、畑を守ったりするみたいにね」

 

しかし、今回のようにツバサがここまでに学んだ知識は現に役に立っている。もし、天気の事を知らなければ今回のように雨が降るタイミングを見抜く事ができなかったに違いないだろう。

 

それを聞いて一同に微笑ましい笑い声が広がっていく。そんな中でツバサはヒョウへと話しかけた。

 

「ヒョウ」

 

「ツバサ、どうしたの?」

 

「……ヒョウの言った通りでしたね。ボクが今まで学んできた事やその時間をボクは最初無駄だと思い込んでしまった。でも、こうして改めて別のことで役に立つのを見てしまったら……もうあんな事言えませんよ」

 

「そ、そうね。わかれば良いのよ!」

 

ヒョウはツバサにそう言われて少し気恥ずかしかったのか、そうツンツンした様子で返す。ツバサは空を飛ぶための勉強の事と今回の件も合わせてヒョウに支えてもらってばかりだと改めて感じる。

 

「ヒョウ、ボクは……」

 

そう言ってツバサが改まって決意を話そうとしたその時だった。突如として強い風が吹き荒れるとそこにまたいつも通りと言わんばかりの聞き覚えがする声が聞こえる。

 

「やっぱり、山の奥にやってきてトレーニング中だったかな?」

 

「その声は……」

 

「ヒューストム!」

 

そこに現れたのは移動のための風を解除して降り立ったヒューストムだ。彼は前回同様にユキ達にとってタイミングの悪い時に来た上で笑みを浮かべる。

 

「折角のトレーニングの休憩時間に悪いな?折角だから実戦訓練の前に遊んであげるよ」

 

ヒューストムはこの期に及んでまだユキ達がトレーニング目的でここにいると勘違いしたままだったが、何にせよ彼は戦闘をする気満々だ。そんな彼の邪悪な笑みを見て全員が気を引き締めるのだった。




また次回もお楽しみに。
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