熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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バッタモンダーの恨み ヒューストムの正体

場面は移り、バッタモンダーとソラの対面。ソラはいきなり怒ったような声を上げたバッタモンダーに僅かに身構える。そんな時、彼はかつて自らが味わった恨みの事を話し始めた。

 

「バッタモンダー、あなたが私に持ってる恨みって何の事ですか!?」

 

「へぇ……。覚えて無いかぁ。だったらしっかり思い出させてやるよ。……アレはスカイランドのお城での事だったなぁ」

 

〜回想〜

 

時間を遡り、スカイランドでの超巨大ランボーグ事件の話になる。外でオーロラが倒れてしまったムーンライズを心配して駆け寄っていた時だ。そのタイミングでバッタモンダーはスカイランドの王城へと侵入すると王様、王妃様がいる謁見の間へと移動。

 

彼は二人に降参してエルを渡すように要求するが、当然二人は拒否。だが当時はオーロラ、ムーンライズ以外のプリキュアであるスカイとプリズムはランボーグの浄化で体力を使い果たしてしまったために倒れていた。加えてウィングも直前にランボーグにやられたせいでダメージが酷く変身は不可能。

 

また、あげはとかけるはまだその頃は変身不可能なのでスカイランドには来ておらず。唯一ヒョウはその場にいたが、彼女も変身できるようになる前なのでバッタモンダーへの対抗戦力が無かった。

 

「残念だよ……バッタモンダーモンモン」

 

バッタモンダーはその場にいたツバサとヒョウをあっという間に殴って気絶させると王様と王妃様へと呪いをかけて眠らせてしまう。そのため、守れる戦力が無くなってしまったために完全に無防備になってしまったエル。そのためバッタモンダーからの魔の手が迫っていった。

 

「プリンセス……僕とお出かけの時間だよ」

 

バッタモンダーは泣き出してしまったエルを捕まえるために歩み寄るとその直後にガラス張りの天井を破壊する形で気絶していたはずのスカイが侵入。バッタモンダーはそれに驚いた顔を見せた。しかし、今のスカイは完全に満身創痍。それなら仮に暴れられても勝てると踏んだバッタモンダーはあくまで優しく声をかける。

 

「ふっ……今の君はボロボロ。その体で何ができ……」

 

「動くな!!」

 

しかし、その瞬間。バッタモンダーへと向けられたスカイの声は凄まじいい程の怒りと圧力を感じる物だった。彼女の顔つきまでは目元の影でわかりにくかったものの、まず間違い無くその顔つきは怒っているだろう。

 

そして、まさか満身創痍の彼女にここまで抵抗されるとは思っていなかったバッタモンダーは思わずその気迫に圧倒されてしまう。

 

「なっ!?」

 

「……そこからエルちゃんに1ミリでも近づいたら……。絶対に許さない!」

 

「く……ううっ……」

 

スカイはそれからバッタモンダーへと普段は見せないような怒りに満ちた声色で脅しをかける。それから彼女は恐怖に怯えるバッタモンダーへと今にも襲い掛からんとばかりに足元にあるガラスを少しずつ鳴らす形で飛びかかる構えを見せる。

 

「バ、バッタ……モンモン!」

 

結局、バッタモンダーはエルを連れ去る事は叶わずに撤退を選択。そのためエルは無事だったのだが、この選択がバッタモンダーに怒りと憎悪を与えてしまう事に。

 

〜現在〜

 

それ以降バッタモンダーはスカイランドでのその借りをずっと覚えており、スカイへ……ソラへと復讐する事を誓ったのだ。

 

「憎い……。この胸が憎しみで張り裂けそうだ!」

 

バッタモンダーは胸の辺りに手を置き、心の底からとめどなく湧き上がってくる憎しみに身を任せるとソラへとその感情をぶつけるかのように頭の触覚を逆立てながら声を荒げる。

 

「強くて優しいこの俺に、こんなにもドス黒い憎しみを植え付けた責任……キッチリ取ってもらうぞ!」

 

ただし、バッタモンダーがこうなる原因を作ったのは他ならぬバッタモンダー自身。卑劣な策略を持ってスカイランドを危機に陥れた挙げ句、プリキュア達の反撃を受けてこのような状況になった。なので、今回の件は完全な自業自得であり本当ならソラに責められる理由なんて物は無い。

 

「身勝手だ!今回の事はあなたが自分でそうなるようにしたんでしょう!」

 

「ふふふ……。お前が何て言おうと、俺の復讐は終わらない!……この俺自ら手を下しても良いが、お前だけは特別だ!」

 

バッタモンダーが邪悪な笑みを浮かべつつソラへと話す中で彼の話を聞いたソラはバッタモンダーの言い回しに疑問符を浮かべる。しかしバッタモンダーはそれを考える間も与えずに指を鳴らす。するとソラの立っている足元の土にヒビが入ると轟音と共に手が飛び出てきた。

 

「ッ!?」

 

ソラがそれを見て慌てて後ろに跳んで回避するとその腕の下から更に地面を抉る形でランボーグが姿を現す。

 

そのランボーグは珍しく何の変哲も無い人型であった。変わった点があるとすればそれは胸にある水色の謎の紋章くらいだろう。しかし、だからと言って戦わなくて良い理由にはならない。そのためソラはミラージュペンを手にすると構えた。

 

「ヒーローの出番です!」

 

そして、彼女は目の前のランボーグを浄化すれば王様達を救えるキラキラポーションの完成に近づけるので迷う事無く変身する。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!スカイ!」

 

ソラの掛け声と共にその姿が光に包まれるとプリキュアへと変身。降り立って名乗りを上げる。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

ソラがキュアスカイに変身するとランボーグは自身の右手にアンダーグエナジーを集約。巨大な水色の刀身を持つ剣を生成した。

 

「ランボーグ!」

 

スカイはランボーグと対峙する中でバッタモンダーが自ら戦いを挑もうとしない事に声を上げる。

 

「ランボーグの影にコソコソと隠れて……。それであなたのつまらないプライドは満たされるんですか!?」

 

「ふふっ、確かにそれはそうかもしれないなぁ」

 

「だったらどうして?」

 

「何しろ、俺の憎しみを返すためには、お前には最も屈辱的なやられ方をしてもらわないとといけなくてねぇ。ランボーグ、やれ」

 

「ランボーグ!」

 

バッタモンダーは邪悪な笑みを浮かべると意味ありげな言葉を口にし、ランボーグへと攻撃を指示。それに応えるようにランボーグは手にした剣を振るう。スカイはこれ以上は会話をしても無駄だと感じ、そのまま戦闘に突入する事になる。

 

その頃、スカイことソラを探すために移動中のツバサとあげは、ひかるの三人の元にソラが行ったと思われる方向から戦いの音と思われる音が聞こえてきた。

 

「ッ、この音……もしかして!」

 

「うん、多分だけどソラちゃんが危ない!」

 

「マジか、ランボーグが出てきたら俺は……」

 

ツバサやあげはは兎も角、ひかるはこちらの世界ではランボーグ相手に太刀打ちできない。そのため顔を歪めてしまう。

 

「どうします?もしかするとソラさんとは別の場所でランボーグが暴れてるだけの可能性もありますけど」

 

「確かにそうなんだよね……。うん、じゃあひかる君にはあの場所以外を探してもらおう。もしかすると運良く合流できるかもだし」

 

ツバサの言葉にあげはは年長者として三人を纏めるとひかるには別の場所を探してもらおうと考える。だが、そんな時だった。

 

「ッ、あっ!これは……」

 

するとひかるが持っていた緑色のスカイトーン。つまり、らんこの世界に繋がるスカイトーンがいきなり発光すると点滅。直後に並行世界へと行くためのトンネルが生成される。

 

「嘘だろ……何でこんな時に……」

 

「ひかるさん、これってもしかして」

 

「ああ。らんこさんの世界に繋がってるトンネルだ。だけど、どうして……」

 

「もしかすると、向こうの世界でもらんこちゃんがピンチなのかも……」

 

その言葉にひかるはすぐに向かおうとするが、今はこちらの世界で人探しをしている最中。しかも、探し人であるソラの近くにランボーグが出たとなれば余計に発見を急がないといけない。

 

そんな大事な時に自分が抜けて良いのかと迷ってしまう。そんな彼を見たあげはは迷わずひかるへと話しかけた。

 

「……だったら、予定変更」

 

「え?」

 

「ひかる君。今すぐらんこちゃんの世界に行ってきて!」

 

ひかるはあげはからの言葉に驚いたような顔を浮かべると視線をその方に向ける。確かに助けに行かせてくれるのならこれ以上無いくらいにありがたい。しかし、だからと言って二人を見捨てるのはひかるの中で抵抗感があった。

 

「で、でも二人が……」

 

「私達なら大丈夫!……それに、どのみちソラちゃんがランボーグと一緒だったらひかる君だけ逃すつもりだったし。それだったら向こうの世界でなら変身できるひかる君の存在はらんこちゃんにとって心強い味方のはずだから」

 

「それに今のソラさんが不安定な状態だったとしても、ボク達二人が付いていれば絶対に負けません。だから安心してらんこさんを……大切な人を助けに行ってきてください」

 

ツバサとあげはの二人はこのままひかるを連れて行ってもランボーグ相手になった場合は彼を逃さないといけなくなる。それなら、危険の無い今の段階でひかるを並行世界に送れればそれがベストだと感じたのだ。

 

「ツバサ、あげはさん……。すみません、お願いします!」

 

ひかるは二人に背中(この世界)を任せると迷わずトンネルの中へと飛び込む。それを見届けた二人はそれぞれミラージュペンを出して頷く。

 

「それじゃあボク達も」

 

「うん。ソラちゃんを助けに行こっか!」

 

「「スカイミラージュ!トーンコネクト!」」

 

「ひろがるチェンジ!バタフライ!」

 

それからツバサ、あげはの二人は前と同じでバタフライをメインにしつつ既にランボーグがいる事を念頭に置いた上でプリキュアへと変身。狙われたソラ……キュアスカイの元に急行するのだった。

 

時間を遡り、バッタモンダーのやり取りがある少し前。完全に孤立した状態を狙われたユキの方面だ。そこではそのユキがヒューストム相手に一人でどう立ち向かうか思考していた。だが、彼は笑みを浮かべると屋上から攻撃する……事は無く。珍しくのんびりと話を始める。

 

「そう身構えるなよ。確かに前俺は総力戦を仕掛けるとは言った……ただ、それはあくまでお前達に抵抗の意思があれば……だ」

 

それからヒューストムは屋上から飛び降りるとユキの前に降り立った。そんな彼にユキは警戒心を解く事は無く構えを続ける。するとヒューストムは改めて話を進めた。

 

「抵抗の意思……そんなの、あるに決まって……」

 

「まぁまぁ、話は最後まで聞けって」

 

ユキは交渉の余地なんて無いと言わんばかりの言い方をするとヒューストムはまた珍しく落ち着くように促す。

 

「折角俺が珍しく最初から話し合いをしようとしているのにやり合うつもり?」

 

「……あなた相手に話し合いをしたって。それに、アサヒ君の事もある。要求を呑むつもりは……」

 

ユキはアサヒが闇に染まってしまったのはヒューストムのせいだと思っている。だからこそ彼が何を言ったって交渉に応じるつもりなんか無かった。

 

「はぁ……。俺は別に君達を相手に交渉とかそんな事するつもりは無いよ。だってお前の言う通り時間の無駄だからね」

 

「だったらどうして……こんな回りくどい事を……」

 

ヒューストムはユキ相手に交渉はしないと宣言。ただ、その場合彼が話しかけた理由がまるでわからない。交渉は無し、でも話し合いはしたいという形で切り込むヒューストム。ユキは困惑した顔つきを浮かべると彼は邪悪な笑みを浮かべて話しかける。

 

「別に、俺の昔話をちょっとしてあげるだけだよ」

 

「昔……話?」

 

ユキはそう言われて余計に混乱する。ヒューストムの昔話についてユキは全く興味が無いかと言えば嘘になるが、今はそんな話をしているような空気じゃ無いのは間違いない。そのため思わず聞き返す。

 

「えっと、どうしてヒューストムの昔話を私にするの?私達……何の接点も……」

 

「ふぅ〜ん?接点が無い……ねぇ。確かに君が言いたい事はわかるよ?けど、これを見ても同じ事が言えるのかな」

 

するとヒューストムの姿がチカチカと点滅を始める。そして、同時にその姿を見たユキの瞳は思いっ切り開かれると彼女の顔つきは一瞬にして青ざめ始めた。

 

「う……嘘……何で……」

 

ヒューストムの髪は暗い緑色の髪から濃藍と呼ばれる濃い青色へと変化。同時に髪型も少しだけ変化していく。瞳は濃い紫から群青色へと変わっていく。そして、衣装もアンダーグ帝国としての物からスカイランドで探している人間の服に似た物となった。

 

「……はぁ、この姿を見せてやっと気がついてくれたか」

 

ヒューストムが変身した青髪の少年はヒューストムの時と同じように邪悪な視線をユキに送ると彼女は体や脚がガクガクと震え始め、少しだけ後退りする。それは、彼女がここ暫く忘れていたトラウマを思い出してしまうには十分過ぎる程に見覚えのある顔だった。

 

「この姿を見せるのは久しぶりだなぁ。あの時ぶり、ユキさん」

 

「嘘……嘘……何で、何で……あなたがここに……こんな所にいるの……」

 

「嘘じゃ無いし、本物だよ?あ、でもまさか姿が変わって以降から今日この瞬間に至るまで俺と会っても思い出さなかったって言うのは少しショックだなぁ。あれだけクラスメイト使って可愛がってあげたのにさ」

 

ヒューストムの言い回しから察するに彼はユキの元クラスメイトだったらしい。……そして、ユキを今のような自己犠牲が強く臆病で気弱な性格にしてしまった元凶。

 

「でもちゃんと覚えていてくれて嬉しいかな。それに、俺へのトラウマもしっかり覚えてくれてるみたいだし」

 

「あなたの事なんて……忘れる……わけ、無いよ……」

 

ユキの顔には冷や汗が浮かんでおり、今すぐにでもこの場から逃げ出したい気持ちだった。それだけ彼の姿に対して嫌な気持ちを覚えているらしい。

 

「レイン……サミダーレ君……」

 

レイン・サミダーレ。それがユキにとって忘れられない程にトラウマを植え付けた元凶の名前であり、今目の前にいるヒューストムの正体。

 

そして、ユキが小学生の頃に告白を断った結果……自分を酷い目に遭わせてきた男の名前だった。




また次回もお楽しみに。
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