アポロン、アルテミスのコンビ対ヒューストム、サンスポットの戦闘が始まるとそれぞれが自分の役目を果たそうと動く。そんな中、場面を移してウィング、バタフライのコンビ対バッタモンダー、シャララボーグの方へ。
「オラオラどうしたぁ?色々と大口を言いながら好き放題されてるじゃねーかよ!」
「ッ、強い……」
バッタモンダーは自らの戦闘力が向上したのを利用してバタフライ相手に猛攻撃を仕掛ける。対してバタフライはバッタモンダーからの攻撃をどうにか防ぐので手一杯だった。
「でも、まだだよ!」
バタフライはバックステップで少しだけバッタモンダーから距離を取るとバッタモンダーが逃さないと言わんばかりに踏み込もうとする。
「バタフライキッス!」
そこでバタフライが手を唇に当てると投げキッスを放つ。それは蝶型のエネルギー弾としてバッタモンダーへと向かって行った。
「そんなヒョロヒロ弾でどうにかできるとでも?」
「忘れたの?その攻撃は爆発する事をさ!」
その瞬間、バッタモンダーにエネルギー弾が正面からぶつかると爆発。それによってバッタモンダーの目の前に煙が発生した。
「爆発が何だって?そんなの僕には効かないって……あ?」
ただ、まともに当たったとはいえ爆発自体はそこまで大したダメージにはなり得ない。バッタモンダーもそれがわかっていたからこそ平然とした様子で攻撃を受けたのだ。しかし、バタフライの狙いはそれでは無い。
「隙だらけだよ!」
バタフライはその直後にバッタモンダーの後ろに出てくると跳び上がっての左脚による回し蹴りをバッタモンダーの左側から命中させる。
「チッ……」
「よっと!」
バッタモンダーはバタフライからのキックを左腕で防御して押し留めるが、バタフライにはまだ次の手があった。バタフライがバッタモンダーに押し留められた左脚をすかさず引くとバタフライが両腕を左右に広げる。
「ッ、何をするつもりで……」
「こうするの!せーのっ!」
その瞬間、バッタモンダーの左右にいきなりバタフライの盾が出現。それからバタフライが正面でバリアを展開する時と同じように手を蝶の形にして組むとバッタモンダーを左右からバリアによって挟んでプレスする。
「ふげ!?」
「良し!」
バタフライがバッタモンダー相手に彼を封じ込めたと考える中、バッタモンダーも笑みを浮かべた。
「なるほどなぁ。少しはやるようだが……そんな程度で俺を抑えたつもりか?弱すぎるんだよ!」
「えっ!?」
バッタモンダー体に力を入れると自らを抑える盾を無理矢理粉砕。それを受けてバタフライは驚いたような顔を浮かべる。
「嘘!?」
「残念本当になんだよな!」
バッタモンダーが踏み込むとバッタのような脚力で一気に接近。バタフライへと体当たりする。
「くうっ!?」
「お前の悪知恵はそれで終わりかよ!」
攻守再逆転。バッタモンダーはまたバタフライ相手に正面から積極的に攻撃を続けていく。
「はあっ!」
バッタモンダーからの拳に対してバタフライがクロスカウンターで拳を放つが、やはり単純なスペックでバッタモンダー相手に勝つのは不可能。バタフライは呆気なく吹き飛ばされてしまった。
「きゃあっ!?」
「ほらよ!」
更にバッタモンダーが飛び出すとバタフライが飛ばされる先に先回り。バタフライの無防備な背中に膝蹴りを叩き込む。
「オラァッ!」
「が……あっ……」
バタフライはそのまま成す術無く吹き飛ばされて地面に激突。そのまま転がってからダメージに悶えた。
「く……ううっ……」
「あーあ。やっぱりこれって僕が強くなり過ぎてしまったようだねぇ。君達では歯が立たないくらいにさ。まぁだけどもう手加減とかしないけどねぇ?」
ここぞとばかりに相手を煽るバッタモンダー。それに対してバタフライはどうにか立ちあがろうとする。
「まだ……だよ。そうやって侮ってきた相手にいつも逆転されてきたでしょ……」
バタフライの顔つきはまだ諦めていないようであり、それを見たバッタモンダーは僅かに苛立つ。ただ、今回はまだ自分に分がある戦況だったからか邪悪な笑みは消えていない。
「あははっ、そうだったねぇ。だけど今の君に何ができるって言うのかな?」
「確かに今の私は無力かもしれない。多分アンタにだって一人じゃ勝てないと思う」
バタフライはこの一連の戦闘で気がついてしまっていた。今のままでは自分がバッタモンダーに勝てないという事実に。そして、それを言われたバッタモンダーの鼻が更に高くなる。
「ふはっ、潔いねぇ。じゃあさっさと諦めて……」
「でもそれはお断りかな。私が思うに、まだ諦めるには早過ぎるから」
バタフライが構えを取るとバッタモンダーは無意味な抵抗をする彼女を玩具にして更に痛ぶる事を考えた。
「そうかよ。だったら僕は君が叩きのめされて敗北という現実がわかるまで君と遊んであげよう。……勿論君が僕の玩具になるんだけどねぇ?」
「私をそう簡単に玩具にできるなんて思ってるなら……痛い目見ても知らないよ?」
バッタモンダーからの言葉にバタフライは引く様子を見せない。そのまま二人は再度ぶつかり合うのだった。
その頃、シャララボーグを相手に戦うウィングはそこから放たれる剣の攻撃に苦戦する。
「ッ!?くっ!?」
ウィングは基本的に徒手空拳……つまり武器を使わない戦闘をする。対してシャララボーグには得物の剣がある。武器がある分リーチは向こうの方が上。……ただ、先程のスカイのように懐に入りさえすれば剣よりも拳の方が攻撃速度が速いため有利と言える。
「ランボーグ!」
シャララボーグが剣を振るうとそのパワーによってエネルギーの斬撃波がウィングへと向かっていく。ウィングはそれを回避するとどうにか攻撃しようと接近。拳を振おうとした。
「はあっ!……ッ!?」
しかし、ウィングの脳裏に浮かぶのは素体にされたシャララ隊長の姿だ。勿論スカイことソラ程彼にはシャララ隊長に対して攻撃を躊躇する気持ちは無い。だが、それでもシャララ隊長へと下手に攻撃して刺激を与えるのは危険だと彼は何となく直感していた。
「シャララ隊長が変化したランボーグ。……何だか嫌な予感がする。下手に攻撃したら不味いような何か……」
ウィングことツバサはプニバード族という鳥の一種。彼には胸の中に引っかかる野生の勘みたいな物が残っているのだろう。ただ、だからと言って攻撃しなければシャララ隊長を救う事は不可能だ。
「ランボーグ!」
そしてシャララボーグはウィング相手に容赦や手加減をする事は無い。このまま何もしなければ一方的にやられてしまうのは目に見えている。
「くっ……」
ウィングはシャララボーグからの斬撃を回避すると考えを巡らせる。その間もシャララボーグは太刀を浴びせようとしてくるために気は抜けない。
「……まずはランボーグの剣を何とかした方が良さそうですね」
ウィングはシャララボーグからシャララ隊長を助けるとしてもその手に握っている巨大な剣がある限り一筋縄ではいかないと判断。加えて彼の脳裏には先程スカイに放った肉眼では見えない程に速い光速の太刀がある。
「あの太刀を使われたらきっとボクでは回避が間に合わない。そして、太刀の体勢に入られたら恐らく動きを止めるのは無理。だったら……」
「ラン……」
ウィングは意を決するとシャララボーグは先程同様に光速の太刀を構えようとした。そのためすかさず彼が反応して動く。
「させません!ひろがる!ウィングアタック!」
ウィングはシャララボーグが光速の太刀を放つ直前。一気に加速するとシャララボーグへとオレンジ色のエネルギーを纏って突進。浄化技をぶつけようとする。
「ラン!?」
するとシャララボーグは光速の太刀をキャンセルするかのように体勢を帰るとウィングからの突撃に構えを取った。やはりシャララボーグの使う光速の太刀は無制限に放てるわけでは無いらしい。
それ用の構えを取った上で相手にしっかりと狙いを定める必要がある。シャララ隊長は前にムーンライズと対戦した際は彼の動きを見切って使っていたが、アレはあくまでムーンライズの動きが完璧に捉えられる瞬間を狙っただけ。
「やっぱり予想した通りです!」
もしあの時ムーンライズが攻撃を止められた事に動揺して動きを止めていなければ光速の太刀は不発に終わっただろう。そのくらい使うタイミングがシビアなのである。
「その剣、封じます!はぁあああっ!」
「ラン……ボー……グ!」
ウィングはシャララボーグを倒すためでは無く、手に持った剣を弾いて奪うために突撃。シャララボーグも自分では無く剣が狙いだと感じたのかウィングからの突撃を正面から迎え撃つ。ウィングの突撃とシャララボーグの太刀がぶつかり合うと拮抗して火花を散らす。
「ランボー……」
するとウィングのパワーがシャララボーグを上回っているのかその巨体を少しずつ押し込み始める。
「はぁあああっ!」
ウィングはこのままなら押し切れると考えて一気に押し込みにかかった。……ただし、それはあくまでこのまま行けばの話だ。
「ラァアン!」
その瞬間、いきなりウィングの視界がヌルッとした感覚と共にいきなり動く。
「えっ!?」
そしてウィングが気がつくと何故かランボーグの姿が真下に見えるのだ。だが、自らの体に纏ったオレンジ色のオーラは消えていない。つまり技は相殺されたわけでは無いと言える。それなのに何故自分の真下にランボーグがいるのか。その答えは簡単だ。
「そん……な」
スカイは傷ついた体に走る痛みに耐えながら安全な場所からシャララ隊長を気にした様子でウィングとシャララボーグの戦いを見ていた。そんな彼女もウィングならきっと押し切れると考えていたのだが……その際にシャララボーグの取った手を見て困惑する。
「まさか、攻撃の勢いを殺さずに流した……?」
そう。今シャララボーグがやったのはウィングからの突撃に対して彼の突撃の威力を殺さないままその軌道だけを上方向に変えたのである。
「くっ……まさかこんな事もできたんですね……」
ウィングはどうにか空中で立て直すと目論見が外れてしまった事に悔しそうな顔を浮かべた。シャララ隊長はスカイランドで一番強い剣士で青の護衛隊の隊長。そう考えると攻撃面のみならず、防御面でも一流と言える技を持っていても何もおかしくは無い。
「ランボーグ!」
「ッ、しまった!」
そして悪い事はまだ続く。ウィングが空中で動揺しながら体勢を立て直している間にシャララボーグが光速の太刀による攻撃準備をする時間を与えてしまったのだ。そのまま容赦無く繰り出される太刀はウィングに命中するとその体に凄まじいダメージを与えてしまう。
「ぐあああっ!?」
ウィングは空中で激しい痛みに襲われると落下。それを見てシャララボーグがもう一度構えているのをスカイは見てしまう。
「止めて……止めて……シャララ隊長……それ以上私の友達を……」
「ラン!」
だがスカイの願いも虚しく、落下中のウィングが真下にいるシャララボーグの目の前に来てしまうとすかさずシャララボーグが二度目の太刀を浴びせて吹き飛ばした。
「がああっ!?」
吹き飛ばされたウィングはそのままスカイの目の前に激突。その体が傷ついているのをスカイは見せつけられてしまった。
「あ……あぁ……」
そして同時に彼女の心に罪悪感が溢れ出てくると気持ちを塗り潰し始める。何しろ先程自分がシャララボーグを止められなかった事に加えて戦意まで喪失したのが原因でこうしてウィングが傷ついてしまったのだ。
真面目な性格のスカイがこれを気負わないはずが無い。そして、その様子はバタフライやバッタモンダーからのしっかりと見えてしまうわけで。
「ッ!?ウィング!」
「あっははーっ!あっちの雑魚鳥は片付いたか。丁度吹き飛んだ先にキュアスカイもいる。シャララボーグ、纏めて終わらせろ!っと、プリンセスだけは傷つけたらダメだからな!」
「!!」
「える!?」
バッタモンダーはそう言ってシャララボーグへと倒れたウィングへのトドメ及び、戦意喪失したスカイへの攻撃。そして近くにいる捕獲対象であるエルに対しては攻撃しない事も付け加えた。流石にここは抜かりない。
そして、バタフライはこのまま危険な状況放っておくわけにはいかない。すかさず動こうとする。
「ヤバっ……助けに……」
「おっと。どこに行くつもりかな!」
バタフライがバッタモンダーを無視して二人を助けようとした瞬間、彼が強化された身体能力で一気に接近。スカイランドでウィングことツバサにやったように彼女が対応できないこのタイミングを狙って裏拳を放つ。
「ッ!うわあっ!?」
バタフライはバッタモンダーに対して向けていた意識を別の場所に移した瞬間を狙われたせいで裏拳をまともに顔面に受けてしまうと吹き飛ばされて地面に激突。体に痛みが走ると彼女の動きが止まった。
「あ……あぁ……」
そしてその間にシャララボーグは二人の前に来てしまう。同時に手にした剣を振り上げた。
「ラン!」
「さぁやれ!シャララボーグ!この僕の恨みを晴らすんだ!」
シャララボーグが剣を振り下ろすその刹那。そこに白い光の気弾が飛んでくるとシャララボーグの顔面に激突。爆発と共にシャララボーグが慌てて後ろに飛び退きつつ構えた。
「はぁ!?」
「今のは……」
「ごめん、お待たせ!」
そこに降り立ったのはユキ達の方に向かったかけるのチームの方から離脱してここに向かってきていた虹ヶ丘ましろ……もといキュアプリズムだ。
「スカイ、大丈夫?」
そして彼女は目の前で戦意喪失して座り込んでいるスカイを見て手を伸ばす事になる。
また次回もお楽しみに。