熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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バッタモンダーの新たなる力

オーロラとヒューストム、カゲロウが向かい合う中、場面は再度戻ってスカイ対ランボーグへ。ランボーグが手にした巨大な剣を振るう。その攻撃をスカイは自身から見て右手側に跳ぶことで回避。

 

「ッ!?な、何ですかこのパワー……」

 

その瞬間、スカイが今さっきまで立っていた地面に命中したランボーグからの一太刀によって周囲に衝撃波が駆け抜ける。そのパワーに驚いたスカイだったが、だからと言って怯んでいる暇は無い。すかさずランボーグが二撃目と言わんばかりに横から薙ぎ払おうとしてきた。

 

「ラン!」

 

「ふっ!」

 

それが命中する直前にスカイは後ろに飛び退く形で少しだけ距離を取るとランボーグの構えに隙が無い事に気がつく。

 

「これは……付け入る隙が無い……」

 

剣を手にして日が浅い者では決してできないような構えに加え、隙が見当たらない程洗練された動き方にスカイは警戒心を高める。

 

「凄まじい剣の使い手……当たれば、タダでは済みそうに無いですね……」

 

「ララ!」

 

スカイはランボーグの動きから相手が相当な練度を積んだ剣の使い手だと察すると今回の素体は剣を使う者の像か何かだと考える。

 

「ランボーグ!」

 

それからスカイに向かって素早い太刀筋で剣を振るうランボーグ。それに対してスカイはあくまでも冷静な顔つきで回避していく。

 

「……でも、当たらなければタダで済む!」

 

スカイはあくまで強力な剣による太刀筋を回避する方向で立ち回る。そうすれば、自身はノーダメージで済む上に相手は大きな隙を見せる事になるのだ。

 

「はあっ!」

 

スカイはランボーグが太刀を振り終わった直後。再度構え直すまでの間に剣のリーチの内側へと素早く入り込む。

 

「ラン!?」

 

「だだだだだだっ!」

 

スカイはランボーグの懐にまで侵入すると一気に畳み掛けるべく拳による連打を次々と決めていった。

 

「……チッ。やっぱり一筋縄では行かないのか」

 

バッタモンダーは多少面白く無さそうな顔をしたものの、まだ今はそこまで焦る段階では無いと余裕はしっかりと残っていた。むしろ、このくらいはしてもらわないとこの後の楽しみが無くなると言わんばかりである。

 

「はぁあっ!」

 

スカイはランボーグへと繰り出したラッシュでランボーグを仰け反らせると一気に強力なパンチをぶつけるために拳を後ろへと引っ込めた。それを見たバッタモンダーは笑みを浮かべつつ指を鳴らす。

 

「ふふっ」

 

するとスカイの目の前に視界を塞ぐ目的か、一瞬だけ黒い煙が発生。これは前にカバトンもやってきた事のため、スカイはそこまで動揺するには至らない。

 

「ランボーグ!」

 

だが、その一瞬の隙さえあればランボーグは立て直してしまう。ランボーグはスカイへと剣を突き出す形で繰り出すとスカイはその剣の上に飛び乗る形でその攻撃を避ける。そして、二人は向き合った。

 

「はっ!」

 

スカイは剣を足場にしたまま踏み込んで前に飛び出すとランボーグはすかさず剣を戻そうとするが、当然ながらスカイが進む方が早い。そのためランボーグは剣を引き戻す前にスカイからの飛び蹴りを胸にまともに喰らうと後ろに吹き飛ばされて地面に倒れ込む。

 

「バッタモンダー!」

 

スカイは自分への嫌がらせを止めないバッタモンダーへと怒りの気持ちを込めながら彼を睨みつける。しかし、彼も彼でまだ余裕が残っていた。

 

「ふっ、少し優位に立てているからと言って調子に乗るなよ?まだこのランボーグの強さはこんな物ではない!」

 

するとその瞬間、ランボーグからいきなり斬撃波が飛んでくるとそれをスカイは反射的に回避する。

 

「なっ!?」

 

「ランボーグ!」

 

「ふふっ。つまり君が僕に向かってくるにはまだ早すぎるって事さ」

 

ランボーグはかなりタフなのかスカイと戦う意志を示す。それを見たスカイが気を引き締めていると足音が聞こえてきた。

 

「「はぁああっ!」」

 

「ラン!?」

 

その瞬間、スカイの後ろから二つの影が両側を通り過ぎるとその影達はダブルキックをランボーグへと繰り出す。ランボーグはそれを受けて後ろに押しやられると二つの影がスカイの前に並び、名乗る。

 

「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」

 

「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」

 

それはひかるを並行世界に送り出した後に変身してこの場に駆けつけたウィングとバタフライだった。

 

「ウィング、バタフライ!」

 

「お待たせしてすみません」

 

「無事そうで良かった!」

 

「はい!助けていただき、ありがとうございます!」

 

スカイは助けに来てくれた心強い味方の存在のお陰で安心感に包まれる。これで三対一。先程までスカイ一人でランボーグ相手に互角以上に渡り合えていた事もあり、余計にプリキュア側に余裕が生まれる事になる。

 

「チッ、早速余計な邪魔が入ったか」

 

「バッタモンダー、あなたがどんな策略を巡らせたとしても……私達はあなたに屈するつもりはありません!」

 

「……ぷっ……くくっ……あははっ!」

 

スカイは心強い仲間を得て勢いづくとバッタモンダー相手に啖呵を切る。しかし、彼はまだこうなっても余裕そうな様子だった。そして、彼はある事を言い出す。

 

「確かにお仲間が増えたせいで僕のランボーグが倒されるのは困るなぁ……だけど、これは僕自身の手で君達の心を折るチャンスでもあるんだよね」

 

「はぁ?それって今まで散々上から見ていただけで何もしてこなかった奴の台詞?」

 

バタフライはバッタモンダーが初邂逅以降ずっと安全地帯から指示を飛ばしていただけの彼が今更出張ってきても勝てると思っていた。実際、ドリームホテルに泊まる前のバッタモンダーならプリキュア一人でも割と楽に勝てただろう。

 

「あなたが今更出てきた所で負けるわけが……」

 

「ところがどっこい。……お前達は俺に敗北する。完膚なきまでに叩きのめされてな!」

 

するとバッタモンダーの体から漆黒のオーラが飛び出すとそのオーラから無数の黒いバッタが生み出されていく。

 

「ッ!?あれは……」

 

「黒い……バッタ?」

 

「あははっ!ヒューストムから鍛えてもらった僕の実力……。君達相手にお披露目と行こう」

 

するとバッタモンダーの周囲を飛び交うバッタ達は一度巨大な黒いバッタとして形成されるとそれが彼自身の体に纏わり付いていく。そして、バッタモンダーの姿が変化。

 

自身の体は一段階筋肉がパンプアップされると服もそれに合わせて大きくなる。元の形態と比べると細身でひ弱そうな体は筋肉が付いたことでがっしりとした物に変化。

 

しかもカバトンと比べると少し腕の筋肉は下回るが、その代わりに体型が太っているというわけでは無いためにより筋トレしている男性に近い体格になっている。つまり、敵である事を除けばガタイの良い普通の男性と言った解釈と言えるだろう。

 

そして、彼の変化の一番の相違点は彼の薄い緑髪が何処ぞのスーパーな○イヤ人のように逆立った事だ。同時に彼から黒いアンダーグエナジーのオーラが出ているために余計にそう感じる。

 

「嘘、バッタモンダーが……スーパー○イヤ人に!?」

 

「あははっ、ヒューストムもそんな事を言っていたねぇ。それに倣って名付けるならスーパーバッタモンダー……で良いのかな?」

 

「そこは元ネタに倣うんですね……」

 

名前の件は要相談かもしれないが、どちらにせよバッタモンダーに元ネタ通りの変化が起きているのなら彼の戦闘能力は素の状態より飛躍的に上がっている事になる。感覚的にはプリキュアに変身する前の生身と変身後の強化された身体能力の変化に近いだろう。

 

「……どうして」

 

「あん?」

 

「どうしてあなたはその気になればそこまで短時間で強くなれたのに……頑張ろうとする心があるのに、あんな卑劣な真似を……」

 

スカイは短時間で強くなって帰ってきたバッタモンダーを見てそう思わずにはいられなかった。少し前までランボーグの後ろにコソコソ隠れて指示を出すしかできなかった彼が……こうして戻ってきた時に強化形態を使える程にパワーアップしていたのだ。真面目なスカイ……ソラはどうしてもそんなバッタモンダーの思考が理解できないのである。

 

「……それまで努力なんてしても無駄だって思ってたんだよ」

 

「えっ……」

 

「俺だって今まで努力してきたさ!でも、強くなんてなれなかったんだ……ヒューストムの野郎に頭を下げて教えてもらうまではな!」

 

バッタモンダーの声色は悔しさに震えていた。自分一人では強くなれなかった事。ヒューストムに手伝ってもらわなければ今自分はここまで強くなれなかった事に。

 

「悔しいが、アイツは強くなるためのやり方を知っている……。俺みたいな奴でも強くなれるやり方をな……。だからこうして強くなった。俺の事を馬鹿にしてきたアイツらを見返す事も含めてな!!」

 

今回の件に関してだけ言えば、バッタモンダーの言葉に嘘は無さそうだった。事実、今のバッタモンダーの向ける目は今までのような周囲を小馬鹿にして見下すような物では無い。それは、彼の本音に近い物だとスカイは一目見ただけで感じたのである。

 

「ッ……。あなたにも事情がある事はわかりました。……ですが、だからと言って今回の件を私は許すつもりはありません!」

 

スカイの言葉には重みがあり、目の前にいるバッタモンダーにどのような理由があったとしてもランボーグを操って周囲の人々を傷つけてエルを攫おうとする彼の目的に賛同する事は無いと言い放つ。

 

「ふん。そうかよ……だったら、この戦いで白黒ハッキリさせようじゃねーか。ランボーグ!」

 

バッタモンダーの指示と共にランボーグが動き出すと当然その剣先はキュアスカイを狙う。

 

「やはりあなたは私狙いですか!」

 

「スカイを援護しましょう!」

 

「オッケー。私達も……」

 

スカイがランボーグと対決するとウィング、バタフライはそんな彼女を援護しようとする。しかし、そこに動いたのがパワーアップしたバッタモンダーだ。

 

「おっと、キュアスカイを助けるなんてそんな事この俺がさせるかよ!」

 

バッタモンダーが踏み込むと凄まじいスピードでウィング、バタフライへと肉薄。二人へと拳を繰り出す。

 

「オラァッ!」

 

「「ッ!?」」

 

二人が防御姿勢を取るとバッタモンダーからの重い拳が命中。その威力に二人は思わず吹き飛ばされてしまう。

 

「な、なんてパワーですか!?」

 

「コイツ、こんなに強かったの!?」

 

「いいや。さっきも言ったが強かった(・・・・)じゃなくて、強くなった(・・・・・)んだよ!」

 

そのままウィング、バタフライコンビと真正面から殴り合うバッタモンダー。特にウィングはその強さに驚いていた。

 

「この力、スカイランドで見たあの時よりも遥かに……」

 

ウィングは以前ランボーグに撃墜されてボロボロになった後とはいえ、バッタモンダーに高速移動からの攻撃を受けて倒された事がある。当時の時点と今ではプリキュアになる前と後なので感じ方が違うだろうが、それでもバッタモンダーのパワーは比べ物にならない程に強化されていたのだ。

 

「それでも私達なら絶対に勝てるよ」

 

バッタモンダーからの足払いをバタフライは華麗な動きで回転しながら後ろに跳ぶと着地。目の前のバッタモンダーをしっかりと見据える。

 

「確かにバッタモンダーは強くなったと思う。私がプリキュアになって強くなったみたいにさ。……けど、コイツの場合は自分の憂さ晴らしのための力でしか無い。エルちゃんや皆を守るための力を持ってる私達なら……勝てるって、私は信じてるから!」

 

「ふふっ、そうですね!」

 

バタフライは笑顔を浮かべるとウィングはそんな彼女を見て頼もしさを感じると笑顔で返す。対してバッタモンダーはそんな二人へと邪悪な目を向けていた。

 

「ふふっ、それは誰かを想う素晴らしい精神だね。けど、それだけで僕に勝てるなんて甘い考えを持ってるのなら……後悔する事になるよ?」

 

バッタモンダーの目線はチラリとスカイの方を向く。それはスカイの戦うランボーグを見た物だった。

 

「そろそろ見せてあげよう。何故この僕がキュアスカイ相手に直接戦わなかったのか。その理由を……ね」

 

その頃、スカイはランボーグを相手に再度圧倒。理由は単純。ランボーグが剣を振るスピードや太刀筋には隙が無いのは間違いないが、それでも隙を全くゼロにはできない。

 

そのため、ここまでの戦いでランボーグの太刀筋に慣れたスカイはあっという間に懐にまで接近する。

 

「あなたの太刀筋は確かに鋭い。……でも、それはもう見切りました!」

 

スカイはまるでランボーグの攻撃を知ってるかのように接近するとランボーグの前に現れた。

 

「教えてあげましょう。懐に入ってしまえば……剣より、拳の方が速いんです!」

 

スカイはランボーグへと拳を叩き込むとランボーグは呆気なく吹き飛ばされる。そして、積まれていた鉄骨の山に突っ込むとかなりダメージを負った様子だった。

 

「これで決めます……」

 

スカイは一気に決めるべく浄化技を使おうとする。……だが、その瞬間だった。ランボーグは立ち上がると突然背中を向けた。

 

「ッ!?何を……」

 

スカイはいきなりランボーグが不可解な行動を始めたために警戒すると構える。すると、突如としてランボーグの背中にアンダーグエナジーが結集し始めた。

 

「……?」

 

スカイはランボーグが何をしたいのかわからずに警戒を続ける。その直後、ランボーグの背中には青く立派なマントが展開されていく。

 

「これは……マント?」

 

スカイは僅かにマントにどんな意味があるのか思考するが、ふとそのマントの両肩部分を見て戦慄する。そこには金のエポーレットのような肩章の模様もあった。そして、その色合いにスカイは既視感を覚えてしまう。

 

「なっ……まさか……そんな……」

 

スカイの既視感。そしてそれが彼女の絶望への入り口だった。これによりバッタモンダーが自身の強化とは別で仕込んでおいた仕掛けが……今、明らかになるのだった。

 

〜おまけ 拳の神様〜

 

ウィングとバタフライ到着直後。バッタモンダーがヒューストムとの特訓で得た新たなる力を解放する時だった。

 

「ところがどっこい。……お前達は俺に敗北する。完膚なきまでに叩きのめされてな!」

 

バッタモンダーが啖呵を切ると漆黒のアンダーグエナジーがオーラとして放出。それが空中で集まっていくと巨大な白と水色の機械仕掛けの拳として生成される。

 

「拳……?」

 

「アレは一体……」

 

「……あれ?でも何だか私。あの拳を保育園の子達から見せられたような……」

 

スカイとウィングがいきなり出てきた機械仕掛けの拳に困惑する中でバタフライは唯一既視感を感じてしまう。そして、バッタモンダーは右腕にその機械仕掛けの拳を小さくしたナックル型の武器を生成する。

 

「あははっ!この力を見るが良い!」

 

《アウェイキング!》

 

バッタモンダーが右腕に手にしたナックル型の武器を拳の部分と腕の部分で分割。同時にバッタモンダーに似た声が響き渡ると上空に出てきた巨大な拳も同じように分離。

 

待機音が鳴り響くと共に腕側のパーツが胴体として変形すると両脚が明らかになり、胸の水色のコアパーツが露出。拳の部分も変形して両腕が出てくると先程分離した胸から下のパーツと上下で合体。最後にリングのパーツが頭として装着されてから両側にパーツが展開すると顔が露出。

 

また、バッタモンダー自身も服が白に金色のラインが入った物に変化して巨人に搭乗。玩具サイズのロボを掛け声と共に設置するための場所に置く。

 

「リングイン……人○一体!」

 

そのまま玩具サイズのロボが内部に取り込まれると彼はシャドーボクシングをするような構えを見せ、それとリンクするように巨人も動く。

 

「○ーデバーン!」

 

最後にホッキョクグマの鳴き声のような効果音が鳴ると完成した巨神○ーデバーンが降臨する。

 

「「……へ?」」

 

「アレって……確か……」

 

「あははっ!ヒューストムの野郎が俺の声と似た音声をしているって言って強化案として薦めてきたんだよ!」

 

その姿に唖然とするスカイ、ウィングに対してバタフライはこうなると園児達がこの前嬉しそうに語っていたばかりというのもあって既視感がありまくりだった。

 

「ちょっとそれ!○ジュウジャーの○ーデバーンじゃない!?幾らアンタにシステムボイスが似てるからってそれを使うとか趣味悪いわよ!」

 

「別に俺のせいでは無いだろ!?文句ならヒューストムに言え!」

 

「良いわ、そっちがその気ならこっちもひかる君の声にシステムボイスが似た○ガソードを……」

 

「バタフライ!?何であなたまでその気になってるんですか!?」

 

こうして、ウィングはバタフライがバッタモンダーに釣られてトンチキな事を言い出した影響で慌てて彼女へとツッコミを入れる事になる。

 

その後の戦闘がどうなったかは読者のご想像にお任せするとしよう。




今回はバッタモンダーがパワーアップしましたが、元ネタとしては作中で触れた通り○ラゴンボールのスーパー○イヤ人ですね。

ネタバレになるので敢えて言いませんが、バッタモンダーはこの後ある人物のせいで色々と大変な事になります。その際のパワーアップがある人物に似ているという事なので、今回のそれはその人物に例えると段階的には伝説化する前の普通のスーパー○イヤ人という形だと思ってください。(ここまで言ったら知ってる人相手にはモロバレでしょうけど……)

また、最後の茶番は完全に今回限りのネタ展開ですのでそこはご安心ください。

また次回もお楽しみに。
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