ヒューストム達からの総攻撃に対して立ち向かうプリキュア達。そして、今度はシャララボーグを相手に戦いを進めるプリズムやウィングの方の戦況である。
「たぁああっ!」
「ランボーグ!」
プリズムからの気弾攻撃に対してシャララボーグは手にした大剣で全て斬り捨ててしまう。
「ッ、全然効かない……」
「でしたらボクが!」
シャララボーグを相手にプリズムからの遠距離弾ではまるで通用しない。流石はシャララ隊長を素体にしただけの事はあるのだろうか。
そんなプリズムと交代する形でウィングが前に出るとシャララボーグを撹乱するように動き回る。
「こっちです!」
「ラン?」
ウィングは鋭い太刀を振るってくるシャララボーグに対して敢えて剣の間合いに入るとその範囲内で鬱陶しく動き回る。もしこの状況で仮にシャララボーグがウィングを狙って剣を振り下ろせば大きな隙を作る事になる。
また、ウィングはシャララボーグの反撃に備えていつでも攻撃に対する回避の準備をしていたためにただ闇雲に振るだけではシャララボーグの攻撃は空振りするだけだ。
「(恐らくシャララ隊長を素体にしてるのならこう動いておけば次は……)」
「ランボーグ……」
すると、ランボーグは目を閉じて居合い斬りをするかのような構えを見せ、目を閉じる。そしてそれこそがウィングの狙いだった。
「ッ、やっぱりそうしますよね!」
「今だよ!はぁああっ!」
その瞬間、プリズムはウィングがシャララボーグを撹乱した事によってプリズムから視線を完全に外した。そのタイミングでのプリズムの気弾攻撃にシャララボーグは攻撃を防御せざるを得なかった。
「ラン!?」
「ここです!たあっ!」
更にシャララボーグがプリズムの気弾に気を取られた瞬間を狙ってのウィングからの右脚への体当たりを受けたシャララボーグはバランスを崩してしまう。
「ヒーローガール!プリズムショット!」
ここまで2人がかりで戦う事で少しずつシャララボーグの隙を連鎖的に拡大していったプリズムとウィング。正面からなら絶対に弾かれてしまう攻撃もこのようにバランスを崩した直後を突けば直撃は免れない。
「ラン!?」
こうして、プリズムからの最大火力がシャララボーグに命中。衝撃で土煙が発生すると周囲を覆う。
「ッ……ランボーグは……」
「ランボーグ!!」
しかし、その煙を振り払う形で姿を現したシャララボーグはプリズムショットによるダメージなどまるで感じておらず。平然とした様子で大剣を2人のプリキュアへと向けた。
「嘘、全然効いてない……」
「ラン……」
その瞬間、ランボーグが構えを取るとウィングはその姿勢が一撃必殺の光速の太刀を放つ直前だと見抜く。
「ッ!プリズム避け……」
「ボォオグ!!」
しかし、ウィングの呼びかけが終わる前。光速の太刀が放たれるとその凄まじい剣速に2人は反応すらできずに攻撃に巻き込まれてしまう。
「「うわぁああああ!?」」
そのまま為す術無く叩きつけられる2人。2人の体は既に傷ついており、痛みに耐えながら何とか立ち上がる所だった。
「くうっ……プリズム、大丈夫ですか……?」
「大……丈夫。まだ全然平気だよ……」
するとシャララボーグは2人へとすかさず斬撃波を繰り出して追撃をかける。
「ランボーグ!!」
「「ッ!!」」
2人はその攻撃に合わせる形でジャンプすると攻撃を回避。そして、プリズムはシャララボーグが追撃をかけて来ないように気弾を使って牽制した。
「ララッ!」
ただ、やはりプリズムの通常の気弾では全て斬られてしまう。こうなってくるとプリズムの遠距離攻撃ができるという利点が殆ど機能しない。
「どうします?闇雲に攻撃したって……」
「それでも……それでも私達が踏ん張らないと……」
プリズムはどれだけ自分の攻撃が通用しないという現状を見せられても諦めるつもりなんて無かった。それを見たウィングは頷くと彼もプリズムと気持ちは同じであるために再度シャララボーグへと突撃していく。
「はぁああっ!」
すると、シャララボーグはプリズムの気弾攻撃を無視するかのように迎撃を止めると自分に突撃してくるウィングを警戒した。要するに、プリズムの攻撃では自分の脅威にならないと認識しているのである。
「ッ……だけど、それはちょっと迂闊だよ!」
プリズムは自分の攻撃を防ぐまでも無いと判断してきたシャララボーグに対して気弾攻撃を継続。ウィングはそれを見てプリズムの意図を察するとシャララボーグとの距離を確認して目を閉じる。
「ラン!?」
するとシャララボーグは何故自分に向かって突撃してくるウィングが目を閉じたのかわからずに困惑する。ここで彼が目を閉じるなんてしたら自分自身が振り下ろす大剣の太刀筋が全く見えないわけで。
「ランボーグ……」
ただ、それでもシャララボーグはウィングの動きを警戒したものの……彼が目を閉じたのなら絶好の攻撃の的と認識。そのため特に気にする事なく迎撃態勢に入る。
「……煌めけ!」
「ボ!?」
だが、シャララボーグはこのタイミングで警戒する対象を間違えてしまった。シャララボーグが真に警戒しないといけなかったのは気弾攻撃が大した事無いと高を括っていたプリズムの攻撃だったのである。
そして、その思考によりプリズムの攻撃を無視し続けたシャララボーグは普通の気弾と性質の違う気弾を見落としてしまった。同時にプリズムの気弾はシャララボーグの正面。ウィングとシャララボーグの間に入り込むとプリズムの言葉と共に発光した。
「ララ……」
「今だ!だぁぁああっ!」
シャララボーグはプリズムの発光する気弾に目を潰されてしまうと逆に目を閉じていたおかげで光弾の影響を受けなかったウィングが目を開けて一気に接近。ガラ空きとなったシャララボーグの腹を目掛けてキックを放つ。
「ランボ!」
「なっ!?」
だが、流石はシャララ隊長を素体にしたシャララボーグであるからか……視界ゼロで尚且つ攻撃がすぐ目の前に迫っているという状況下ながらも咄嗟の判断で大剣を腹の辺りに持ってくるという防御姿勢を取ってしまう。
ウィングはそのまま大剣へとキックをぶつけるものの、やはり防御されてしまったせいでどうしても攻撃の威力は落ちてしまう。
「ぐ……」
「ランボ……」
「まだだよ!たぁああっ!」
そこにある程度気弾を放った後のプリズムが駆け込むとウィングの攻撃を支援する形で跳び上がり、シャララボーグへとドロップキックを繰り出す。
「ランボ!?」
そのままプリズムのキックもシャララボーグの大剣に当たる形となり2人分のキックで一気にシャララボーグを押し込もうとする。
「「はぁあああっ!」」
2人のキックを受けてシャララボーグは一気に劣勢に陥った。しかし、次の瞬間。2人はシャララボーグを完全に押し込んでいたはずのキックが少しずつ威力を殺されるのを感じてしまう。
「「えっ!?」」
2人が全く押し込まれなくなったシャララボーグを慌てて見るものの、未だに目の方は見えていなかった。しかし、同時に体から禍々しいオーラが出てくる。これは恐らく、シャララボーグの中にあるアンダーグエナジーが具現化した物だろう。
そして、同時にウィングの脳内にある仮定が浮かぶ。そしてその仮定は正しかった。
「まさか……さっきまで本気じゃ無かったという事ですか!?」
「ッ!?」
「ボォオオグ!」
次の瞬間、2人のプリキュアによる渾身のダブルキックはシャララボーグの大剣を振り抜く動きであっという間に吹き飛ばされてしまう。
「「うわぁあああっ!?」」
そのまま2人は建物に強く体を打ちつけてしまう。同時にシャララボーグは視界を取り戻すと再度プリキュアに向けて剣を構えた。
「嘘……今のを止めるなんて」
「この強さ、明らかに前回を超えています……」
それもそうだろう。ここまで言及自体は無かったのだが、ここ数日間でシャララボーグの調整を行っていたバッタモンダーは限界ギリギリまでアンダーグエナジーを投入していたのだ。
本来、アンダーグエナジーは人間に注ぎ込む事自体に無理がある。そのためいつものランボーグのように無制限に追加投入するのは厳しいのだが……シャララボーグの場合、素体であるシャララ隊長自体が強いわけで。
「ここまで強いとなると、合体技でも倒せるか厳しくなりましたよ……」
「だけど、まだ終われないよ……。ここにいないソラちゃんのためにも……カゲロウに捕まってるアサヒのためにも……今諦めたら全部無駄になっちゃうから」
2人は傷ついた自らの体をどうにか動かしてシャララボーグへと立ち向かおうとする。その瞬間、シャララボーグはまた光速の太刀を構えようとした。
「させない!」
しかし、それは太刀を放つ直前にプリズムが気弾攻撃をシャララボーグ相手に放った影響で中断。やはりこの太刀を防ぐには攻撃前の溜めの段階で相手に攻撃を中断させるしか無いらしい。
「「はぁああっ!」」
すると今度はプリズムとウィングがシャララボーグ相手に同時に飛び出す。それを見てシャララボーグがすぐに対応しようとするが、その前に2人は少しだけ外側に膨らむように走ってからシャララボーグに接近。同時にラッシュを仕掛けようとする。
「シャララボーグに剣を振らせたらダメなのはもうわかりました!」
「それなら剣が振れないくらいの距離感で2人で一気に攻撃すれば……」
プリズムとウィングの次の狙いは前にスカイがやってみせたように剣が振れない間合いに密着しての連続攻撃である。剣士の弱点として高速で繰り出される連続攻撃が相手だと振りの動作の大きさが仇となって素早い対応がやりにくくなるという物がある。
スカイは1人でそれができたが、この2人にそのくらいの攻撃の速度は出せない。……しかし、1人でダメなら2人がかりでという事で2人でシャララボーグを挟んで両サイドからの挟み撃ちによる連続攻撃を仕掛けようとしていた。
「ラン……」
するとまたシャララボーグは構えを取った。そして、それはまた光速の太刀を放とうとしている事を意味する。
「ッ、また光速の太刀ですか!?」
「それだったら私が!」
プリズムはシャララボーグが光速の太刀の構えを見せたために気弾を撃つことで攻撃その物を止めようとした。
「ボーグ!」
「「えっ!?」」
プリズムがシャララボーグに向けて攻撃を放った瞬間。突如としてシャララボーグはプリズムからの気弾を全く動かずして真っ二つに切断。いや、動いたような素振り自体は見えた。何しろ、シャララボーグの姿が一瞬だけブレたのだから。
ただ、シャララボーグはそれ以上は動かず。その光景に2人が驚いているとその思考が纏まる前に2人の体に斬られたような鈍い痛みが走る。
「「うわぁああああっ!?」」
そして、2人はそのまま前のめりに崩れ落ちてしまう。2人はこの技を見た事が無いために知らないのだが、実はこの技……シャララ隊長も使っていた事がある。具体的にはスカイランドでムーンライズとの一対一をした際だ。
この技の詳細としては、発動者の周囲に結界のように斬撃の防御フィールドを展開。射程内の敵を全て切り裂くことができるのだ。
何にせよプリズムもウィングも地面に倒れ伏すと何度も被弾している影響か、かなり弱ってしまっていた。
「う……ううっ……」
「こんなの……どうやって抑えれば……」
2人はこの時点で揃って満身創痍。どうにか立ちあがろうとしているが、痛みがそれを許してくれない。
しかも厄介なのが、シャララボーグはアンダーグエナジーで作られたランボーグの発展系。つまり、ヒューストム達とは違って自我や意思を持っていないのだ。
そのため、ヒューストム達のように油断するという事が全く無い。一度攻撃を始めれば、相手が倒れるまで容赦無くそれが続くという事ができてしまう。
「ランボーグ!」
するとそういう事情もあってか、容赦無く倒れている2人に向かってシャララボーグは攻撃しようと構える。
「「ッ!?」」
2人がその痛みに耐えるために身構えた時だった。突如としてシャララボーグの動きが少しだけ止まる。
「ラン!?」
「「えっ?」」
それから何故かシャララボーグがバグを起こしたかのように動きが少しだけカクカクとした動きになっていた。
「もしかして、シャララ隊長が……」
「うん……きっとまだ生きてるって事だよね!」
2人はその様子を見てまだシャララ隊長は生きていると確信する。人間にアンダーグエナジーを注ぎ込んでいる無理がある以上、このようにシャララ隊長の意識がランボーグの活動を阻害する事もあり得るのだ。
そして、その事が頭の中にあるだけでも2人の気持ちは前向きになる。つまり、立ち上がれるだけの力となるのだ。
「ウィング、まだ素早く飛べそう?」
「勿論ですよ、プリズムこそ大丈夫そうですか?」
「私も大丈夫!」
2人はお互いを鼓舞する形で目の前にいる強大な敵に立ち向かうだけの気持ちを確保するとゆっくりと立ち上がり、シャララボーグと向き合う。
「「はぁあああっ!」」
「ランボーグ!!」
こうして、プリズムとウィングは傷つきながらもシャララボーグへとまた立ち向かっていくのだった。
また次回もお楽しみに。