熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ましろにできる事 決戦の幕開け

スカイランドに帰ったソラと湖でのやり取りから一夜明けた早朝。ソラシド市の街中を走る三人の影がいた。それはユキ、ましろ、ひかるである。

 

三人共日課のランニングをする事でアサヒやソラがおらずとも、いつも通りの朝の時間を過ごしていた。

 

「「「はっ、はっ、はっ……」」」

 

三人の軽快な息遣いが響き渡る中で三人が休憩地点に到着すると呼吸を整える。ちなみに、今日は偶々学校の開校記念日という事で平日だがお休みになっていた。

 

「そうだ……ひかる君、まだらんこちゃんの世界とは繋がれなさそう?」

 

「え?ああ……。残念だがまだ無理っぽいな」

 

ひかるはアレから何度からんこの世界に行こうと強く願うが、やはりらんこの世界との繋がりは断たれたまま。

 

「そっか……」

 

「そうだ、ユキちゃん。昨日結局ソラちゃんの所に行ったってね?」

 

「うっ……ご、ごめんなさい……」

 

ユキはアレだけ行かないだの行かない方が良いだの言っておきながら自分はしれっとソラの元に行ったという事実にましろはジト目を向け、ユキは返す言葉も無いためかすぐに謝罪する。

 

「まぁまぁ、落ち着けって。俺だってもし同じ状況だったららんこさんの所に思わず行っちゃうと思うからさ」

 

「それはそうだと思うけど……」

 

ましろはひかるからそう言われて自分もソラを心配している気持ちは同じだと考える。ただ、やはりまだ彼女にはソラと直接会うという方法はできないと思っていた。

 

「ましろちゃん、まだソラちゃんと会う気持ちになってない感じ?」

 

「うん……。ソラちゃんの事を小さい頃から知ってるユキちゃんだから今回は良かったかもだけど……」

 

「だけど、気持ちを伝えないと多分何も変わらないぞ?」

 

ひかるの指摘にましろは悩む。どうすれば直接会わなくても気持ちが伝えられるのか……。そこまで考えた所でひかるはふとある事を言い出す。

 

「そうだ!ソラさんにメッセージを贈るとか?ほら、スマホを使えば簡単に……」

 

「……あれ、スカイランドに電波って通ってたっけ?」

 

「あっ……しまったぁあっ!」

 

ひかるは自身の渾身のアイデアをあっさりユキに論破されて頭を抱える。メッセージを送るという発想自体は良かったのだろうが……スカイランドにはスマホなんて機械は無いために当然スマホ用の電波も通ってない。

 

「メッセージ……送る……そうだ!!」

 

ましろはひかるの言葉からヒントを貰うと何かを思いついて声を上げる。そして、彼女は居ても立っても居られないのか……。二人を置いて一人で走り始めた。

 

「えっ、ちょっとましろちゃん!?」

 

「もしかして何か閃いたのかも……」

 

その後をユキとひかるのコンビが追いかける。それから三人は虹ヶ丘家に行くと順番にシャワーを浴びていく。そんな中でましろは一番最初にシャワーを浴び終わると髪を乾かして早速ある物を部屋で書いていた。

 

「これならきっと私がいなくてもソラちゃんに気持ちを伝えられるはず……」

 

それは彼女が幼い頃からあげはと離れ離れになった後にやっていた事。手紙によるメッセージだ。後はこれを届けるのを誰かにお願いするだけ。

 

「これをユキちゃんに……いや、お婆ちゃんの方が良いかな。ユキちゃん、昨日話しちゃったから何度も行くのは良くないし……」

 

そして、ましろが自室で手紙を書いている間にあげは、かけるの二人が居間で話をしているとそこにヒョウが慌てた様子で飛び込んでくる。

 

「皆、早く来て!」

 

「ヒョウちゃん、どうしたの?」

 

「今ツバサが鳥の友達から詳細を聞いてるんだけど……街に例のランボーグやヒューストム達が出たって!」

 

「ッ、嘘……」

 

「もう来ちゃったのか」

 

あげははランボーグの襲来に悔しそうな顔を浮かべ、かけるも思った以上に彼等の再侵攻が早い事にどうすべきか迷う。しかし、今は迷っても仕方ないという結論に至るとまずは現れたヒューストム達に対処するべきと考える。

 

「皆、行こう」

 

「そうだ、二階にいるユキちゃんとましろんを……」

 

「じゃあ俺が声をかけるよ。俺なら声が響くし」

 

そして、ひかるがシャワー上がりで髪を乾かし中のユキとソラへの手紙を書いていたましろを呼びに行く事に。ヨヨや彼女の抱えるエルも含めて全員が揃った所で外に出る。

 

すると正面にある家の敷地の端を囲むように作られた柵の上でシジュウカラと思われる鳥と会話中のツバサがいた。恐らくヒョウも先程まで会話をしていたのだろう。また、それらの鳥は慌てたように話している辺り山の中から遠目に巨大なランボーグを見て怯えているのかもしれない。

 

「ランボーグがいるって事は多分ヒューストムやカゲロウもいるよね」

 

「できればいてほしく無いけど……流石にバッタモンダーもいると思うわ」

 

そうなると今度は全員が揃った上での総力戦を仕掛けに来ていると見て取る事ができる。どちらにせよこのまま見過ごすわけにはいかないのは確かだ。そのためヨヨが一同が行く事をわかった上で優しく話しかける。

 

「どうか気をつけて」

 

「はい!」

 

「……お婆ちゃん、お願いがあるの」

 

ましろはヒューストムに対応するために頼むなら今のタイミングしか無いという事で先程まで書いていた手紙をヨヨへと差し出した。

 

「これ、ソラちゃんに渡してくれないかな?」

 

「ふふっ……わかったわ」

 

ヨヨはそれを見てからましろの顔を見ると彼女の顔つきは真剣その物であり、その覚悟を見たヨヨはその手紙を渡すというお願いを受ける事になる。

 

「行く前にやる事は終わったね」

 

「アンダーグエナジーを浄化して、シャララ隊長を助ける!」

 

「今度こそアサヒ君とカゲロウを助け出す!」

 

「やりましょう、ここにいない……ソラさんのためにも!」

 

「危険だからひかるはここにいて」

 

それぞれが決意を口にしていると最後にひかるはヒョウからここを動くなと釘を刺される。そして、それが自分を心配しているからだと感じ取ったひかるは少し悔しそうにしつつも頷いた。

 

「ああ、正直今の俺が何かをしようと思っても危険な目に遭うだけだし……ここでその時が来るまで待つよ。きっとらんこさんの世界でも戦いが起きてるはずだから」

 

ひかるがここにいると聞いて一同は安心したのか微笑むとましろが掛け声をする形で声を上げる。

 

「皆、行こう!」

 

それからユキ、ましろ、ツバサ、あげはの四人はスカイミラージュを、ヒョウとかけるの二人はツインチェンジライトを使うと変身を開始。

 

「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!」」」」

 

「ひろがるチェンジ!オーロラ!」

 

「「デュアルファンタジーパワー!」」

 

「光り輝け!大地に!」

 

「舞い踊れ!空に!」

 

今回の変身のメインはオーロラだが、普段なら顔部分を六人で分割するバージョンを今回は初期の頃と同じく四人で分割。それからプリキュア達は名乗りを行っていく。

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

「天高くひろがる勇気!キュアウィング!」

 

「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」

 

「夜空にひろがる煌めく幻想!キュアオーロラ!」

 

「青空を照らす太陽の輝き!アポロンサン!」

 

「青空を彩る静かな粉雪!アルテミススノー!」

 

「聖なる世界を汚す者よ!」

 

「光の裁きを今下さん!」

 

こうして、六人の戦士は変身を完了するとヒューストム達が攻撃している街やシャララボーグにされたシャララ隊長、そしてカゲロウに乗っ取られたアサヒを救うべく飛び出していく。

 

その頃、街ではシャララボーグが手にした巨大な剣で街中にある建物を横薙ぎにして斬りつける。

 

「ラン!!」

 

「はははっ!気持ち良いなぁ!日頃の鬱憤を晴らすってのはよ!」

 

「バッタモンダー、お前毎回苛々してたもんなぁ。プリキュアに負ける度に」

 

「いいや、今日は勝つさ。勝って俺様の有用さをあのお方に証明してやる!さぁ、来いよ。プリキュア共」

 

バッタモンダーがそのように粋がっていると彼とカゲロウが会話。するとヒューストムは風の流れでプリキュア達が来るのを察知した。

 

「はっ、バッタモンダー。噂をしていたら早速来てくれたぜ?プリキュアさん達がよ」

 

ヒューストムがそう言うとプリキュア達が到着したために三人の前に降り立つ。

 

「やっぱりお前達を呼ぶにはこの方法が一番だなぁ」

 

「ッ……わざと街を攻撃したって事?」

 

「ああ。良い子ちゃん達のお前達なら街の危機に黙って見ているなんて最低な事しないだろうからな」

 

プリキュア達は自分達を呼ぶためにわざと無関係な街やそこに住む人々を危険に晒した事に怒りを覚える。それと同時にシャララボーグが近くにあった建物を両断。すると小さなビルが横倒しになる形であっさりと崩れてしまった。

 

「ッ……」

 

「あははっ!はい、強いー!コイツを操る僕も強いんだよなぁ。まぁ、俺様もこの二人に及ばないとは言え強くなった。もう口だけなんて言わせないもんねー!」

 

バッタモンダーは自分が強くなった事を誇示するかのように上機嫌で話しているとそれに対して早速アルテミスが突っかかる。

 

「ほんと、そういう所がアンタが小物って思われる一番の要因なんじゃないの?」

 

「へっ、この前俺達に手も足も出なかったくせに負け惜しみかい?」

 

「この世界のことわざを……アンタに一つ教えてあげる。……“弱い犬程よく吠える”!」

 

バッタモンダーの煽りに対し、バタフライは怒りを露わにしつつあくまで冷静に彼への対応を返す。

 

「ふっ、こんな感じかな?ワァン!」

 

「はっ、弱い犬ほど……か。その弱い犬はお前達の方だと教えてやるよ」

 

バッタモンダーはバタフライからの言葉にわざと犬の鳴き真似をする事で彼女を煽り、カゲロウの方もやる気十分と言うべき雰囲気だった。そして、そんな彼の前にオーロラが出てくる。

 

「カゲロウ、あなたの相手は私がする」

 

「へぇ……わざわざ俺にやられに来たのか。まぁ、お前が嫌がっても俺はお前を相手するつもりだった。せいぜい楽しませてくれよ?ユキ」

 

カゲロウはその瞬間、闇のベールに包まれると同時にその姿をサンスポットへと変化。オーロラと対峙した。

 

「なら俺はキュアバタフライを貰う。アイツとはプリキュアになる前……外野だった頃からの因縁があるからな」

 

「外野だった頃って……まだそんなに前の事を気にしてるの?しつこい男は嫌われるしカッコ悪いよ」

 

「チッ、そんな減らず口……いつまで叩けるか楽しみだなぁ。この俺、スーパーバッタモンダーの前に膝跨がせてやる。はぁっ!」

 

バッタモンダーはソラ以外だと前々から自分がプリキュアにやられてムキになっている所に色々と言ってきた事を恨んでいるのか……。早速スーパーバッタモンダーへと変身。キュアバタフライを全力で潰すつもりだった。

 

「だったら俺はそこのプリキュアもどき二人組だ。お前らを潰せば俺の力をフルで使える。そうすればお前らなんぞどれだけいようが敵じゃ無い」

 

ヒューストムはまず自らの力を阻害する能力があるアポロン、アルテミスコンビを潰すつもりだった。ここ二人を潰せば今のヒューストムにかかっている速度制限を解除できる。そうなればプリキュアを潰すのは容易いと考えていた。

 

「アポロン」

 

「うん。俺達はどっちか片方でもやられたらアウトだからお互いにフォローする形で行こうか」

 

アポロンとアルテミスは二人同時に変身していないと変身を維持できない制約がある。そのため互いの隙をカバーする形で戦う事に決めた。

 

「ランボーグ!!」

 

「プリズム、シャララ隊長の事はボク達でどうにかしましょう!」

 

「うん。ソラちゃんのために絶対に助けるよ!」

 

最後にシャララボーグだが、他の面々が戦うのに合わせる形でようやく暴れられると声を上げる。それに対して残っていたプリズムとウィングが対処する動きを見せた。

 

「さぁ、お前ら全員覚悟しろよ!!」

 

「たあっ!」

 

サンスポットが早速オーロラへと踏み込むと彼女はそれに合わせる形で拳を繰り出す。そのままサンスポットも拳を繰り出したために二人の拳はぶつかるのだった。

 

それから場面が戻って虹ヶ丘家。街中での戦闘音が聞こえたためにひかるが呟く。

 

「始まったか……」

 

「ひかるさん」

 

するとそんなひかるへとヨヨは話しかける。彼女はこれからエルと共にましろのお願いを聞くためにスカイランドに行く。そうなるとこの場にひかるだけ残ってしまう事になるのだ。

 

「そっか、これからスカイランドに行くんですよね」

 

「ええ。一人でも大丈夫かしら?」

 

「はい、欲を言えば俺も戦いたいですよ……。俺、らんこさんの彼氏なのにさ。ほんと、その点ユキさんが羨ましいな」

 

ひかるは世界を越えないといけない都合上、彼女の窮地にいつでも駆けつけられるわけじゃない。対してユキの方はすぐに行くことができる上に自分と違ってこちらでも戦える力がある。そうなると不便な力しか使えない自分が情けなくなっていた。

 

「俺だって……らんこさんを……」

 

ヨヨがそんなひかるへと何かを言おうとする。そんな時だった。突如として二人の近くに光が溢れ出すと二人は思わずその方を向く。

 

「ッ、何だ!?」

 

それから光がある程度収まるとひかるは自分の視界に映った物を見て思わず驚いてしまう。

 

「……あれは!?」

 

それは、らんことの繋がりが断たれてしまったためにここにあるはずの無い並行世界に繋がる緑色に光るワームホームであった。

 

「何で……」

 

「恐らく、向こうの世界で何かがあったのね」

 

「まさか、らんこさんが助け出されたって事かな……」

 

ひかるは自分無しでらんこが助け出されたかもしれないと思って困惑。しかし、彼はこれまでプリキュア側が有利になった際にキメラング達は最後っ屁として強力な技を使ってきた事が何度もあった。そのため、最後まで気が抜けないのは確かだろう。

 

「いや、決めつけるのはまだ早いな。……今度こそ俺がらんこさん達の力になる!」

 

ひかるはこれができたという事はもう一度らんこ達の元に向かう事ができるという事を再認識。そして、彼女達を助けるために意を決すると早速ワームホールへと向けて踏み出す。

 

「ひろがるチェンジ……トール!」

 

ワームホールに入るとらんこの世界に向かえるからか、電撃のエフェクトと同時にひかるの姿はプリキュアへと変化。彼はらんこ達を助けるためにその世界へと向かうのだった。




また次回もお楽しみに。
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