熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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絶対に諦めないという気持ち 復活のヒーロー

ソラがヨヨとのやり取りの中でましろからの手紙を読んでいる頃。ソラシド市でアンダーグ帝国の戦士達と交戦するプリキュアはとうとう追い詰められつつあった。

 

「その程度のスピードじゃあ遅すぎるんだよ!」

 

「「うわぁああああっ!?」」

 

アポロンとアルテミスは本気を出しつつあるヒューストムの圧倒的スピードの前に翻弄されると2人の周囲に生成された暗い緑のエネルギー弾の一斉攻撃を受けて2人のいる場所が爆発。

 

ヒューストムは2人を一方的に攻撃すると見下すような様子でその前に立って見据えていた。

 

「お前ら、弱いのに調子に乗り過ぎなんだよ。俺が少し本気を出したら手も足も出ないくせに」

 

ヒューストムがそう言う中、2人の肉体は既に傷ついて限界が近づきつつある。そのせいで先程までできていたはずのヒューストムへの攻撃の対応が遅れ出していた。

 

「く……ううっ……ここまでなの……」

 

「いや……まだ諦めたらダメだ……」

 

「はぁ?どう見ても絶望的な状況だろ。そういう遅延行為っていうのは援軍がいるからできる物だお前達にそんな存在はいないだろ?」

 

ヒューストムはこの2人を助けに来る存在なんていないと思っていた。何しろ、オーロラ達はそれぞれの相手でかかりきりなのに加えてムーンライズことアサヒはカゲロウの中。ソラに至っては変身すらできないという状況で誰の助けを待って2人はこんなにも粘るのかという事である。

 

「そうだな……助けに来る人なんていないかもしれない」

 

「おいおい、それがわかってるのならさっさと……」

 

「でも、諦めるのはお断りかな」

 

ヒューストムがそう言って立ち上がるアポロンに舌打ちする。流石にここまで諦めが悪いと彼としてもプリキュアですら無い相手に粘られるというのは苛立ってしまう。

 

「チッ……テメェ、良い加減にしろよ?俺の足元にも及ばないくせに……」

 

「例え足元に及ばなくたって、俺達には戦う理由がある。絶対に仲間達が他の戦いを終わらせて……助けに来てくれるって信じてるから」

 

「アポロン……うん……そうだよね!」

 

アルテミスもアポロンの折れない心に感化されて一度は折れかけたものの、立ち上がる事に成功。そうなるとヒューストムの気持ちはまた乱れるわけで。

 

「ぐぅうう……だったら二度と立ち上がれないくらいにお前らの希望を粉々に打ち砕いてやる!!」

 

ヒューストムは最早いつもの相手を挑発する姿勢どころか逆に劣勢にも陥ってないはずなのに心が荒れ狂っていた。やはりアポロンがレスバの相手だとヒューストムもかなりやりにくいらしい。

 

その一方、バッタモンダーと戦うバタフライもパワーアップしたスーパーバッタモンダーの前に劣勢が続いていた。

 

「あはははっ!君の全力はその程度かい?」

 

「ッ、まだ……だよ!」

 

バタフライはどうにかバッタモンダーに抗おうとするが、先程から攻撃は全て避けられるか防がれてしまっていた。

 

「あれあれぇ?段々攻撃が軽くなってきてるよ?もしかしてさぁ……限界が近かったりする?」

 

「なっ!?」

 

バッタモンダーはバタフライの動きが鈍りつつあるのを感じ取ると彼女からの回し蹴りをあっさり回避すると同時に後ろから耳元に囁いた。

 

そのためバタフライは背中にゾクリという感覚を感じて慌ててパンチを繰り出すものの、それは空振ってしまう。

 

「さてと。そろそろ俺と君の差は明らかになったと思うし……反撃しよっかな!」

 

「ッ!?」

 

バッタモンダーはバタフライがその言葉を聞いて咄嗟に防御するよりも早く拳を繰り出すとノーガードの腹に突き刺さってしまう。

 

「が……はあっ……」

 

「ほらほら、俺はそこまで力入れてないんだからそんな簡単に終わったらダメでしょ?」

 

バッタモンダーはすかさずバタフライの体を痛ぶるように次々と拳を繰り出してその体を滅多打ちにする。

 

「ああああああああっ!?」

 

もうこうなってしまうとバタフライに為す術は無い。後はもうバッタモンダーにとって彼女はサンドバッグでしか無かった。

 

「俺って普段からストレスを溜めやすいからねぇ。丁度こういうサンドバッグが欲しかったんだぁ!」

 

「アンタって……本当に……性格最悪……ああっ!?」

 

バタフライは痛めつけられながらも必死に反論しようとするが、一方的に殴られる状況ではそれも長くは保たず。体中がボロボロになってからようやく攻撃が止んだ。

 

「あ……ううっ……」

 

バタフライが痛みに悶えているとその近くから轟音と共にプリズムが吹き飛ばされるのが見えた。

 

「きゃああっ!?うっ!?」

 

そのままプリズムは建物の壁に激突して力無く崩れ落ちる。その様を見せつけられたバタフライの中に絶望感が浮かんだ。

 

「プリ……ズム……」

 

「ランボーグ!」

 

そして、彼女を吹き飛ばしたのは当然シャララボーグであった。シャララボーグは手にした巨大な剣の先をプリズムへと向けており、睨みつける。

 

「ッ……そんな事させない!」

 

シャララボーグはプリズムにトドメを刺そうと剣を振り上げるが、そこにウィングが猛スピードで突っ込んでくると光を纏った。

 

「ひろがる!ウィングアタック!」

 

それはウィングの浄化技であり、夕日をバックにオレンジの光を全身にオーラとして纏いつつ突撃する。

 

「ふふっ、その程度の攻撃が今更通用するとでも思ったのかな?」

 

ただ、それを見たバッタモンダーは余裕そうな顔を見せるとシャララボーグへと指示を出すかのように指を鳴らした。

 

「ラン!」

 

すると、シャララボーグは攻撃を剣で止める必要性すら無いとばかりに自身が身につけているマントを使うとそれでウィングアタックを受け止めてしまう。

 

「はぁあああっ!」

 

それでもウィングは押し切ろうと全力……いや、それ以上の力を見せる。ただし、それでもシャララボーグに効くかどうかは別問題なわけで。

 

「ボーグ!!」

 

「うわぁあああっ!?」

 

シャララボーグはウィングをあっさりと押し返すとウィングは突撃に使っていた凄まじいスピードを丸々自分が吹き飛ばされる力に変換されてしまう。つまり、凄い勢いで地面にめり込むように叩きつけられてしまったのだ。

 

「あははははっ!無駄無駄!良い加減君達じゃあ勝てない事を認めなって」

 

バッタモンダーが余裕そうに煽るとプリズムはそんな中でも立ちあがろうと歯を食いしばっていた。

 

「それでも……勝てないってわかってても……前のソラちゃんなら……キュアスカイなら、きっと……諦めないから……」

 

プリズムがそう言うと同じく倒れていたウィングやバタフライもまだ諦めるわけには行かないとばかりに立ち上がる。それを見てバッタモンダーは笑みを浮かべた。

 

「なるほどねぇ。じゃあ、君達が諦める気になるまで存分に痛ぶってあげよう。その方がソラちゃんをもっと追い詰める事に繋がるからね!」

 

こうして、プリキュア達が一方的な展開になりながらもソラやカゲロウの中に囚われているアサヒを信じて戦いを継続。その頃、スカイランドではヨヨからの説得を受けていたソラが胸から飛び出したミラージュペンに驚いていた。

 

「えっ……」

 

「えるぅ!」

 

「あのペン、壊れちゃったんじゃないの!?」

 

ソラ達が新しくミラージュペンが生成されたという事に驚いている中、シドが自身の中に浮かんだある仮説を元に話す。

 

「夢は多分……1つきりじゃないんだ」

 

「えっ?」

 

「例え見失っても……例え壊れても。それは何度だって生まれる」

 

「ッ……!」

 

夢という物は一度失敗したからと言ってその人の中から完全に消え去る物では無い。その人が諦めずに挑戦する度に何度でも蘇らせる事ができる。今回のソラのように……。

 

「……それが、あの子の決めた事なら……行きましょう!笑って送り出してあげなくちゃ!」

 

「ああ……」

 

そして、ソラは夢を失うという絶望から這い上がってきた。同時に暗闇の中に自らの夢という光を再び見つけ、そこに向かって歩き始める。レミはそんな自分の娘の姿を見て、彼女を応援する事を即決。シドもそれに賛成した。

 

「しょーら!」

 

「カッコ良いぜ、お姉ちゃん!」

 

エルが再びプリキュアになる覚悟を決めたソラを見て嬉しそうな顔を見せるとそこにシド達が来る。そして、レミが質問する形で改めて今のソラの気持ちを確認した。

 

「ソラ、良いのね?」

 

「……うん!」

 

「行ってらっしゃい……でも躓いたら、またユキと一緒に帰っておいで。チシュー用意しておくから」

 

「うん!」

 

そして、ソラがもう大丈夫であるということを確認。彼女の返事を聞いて安心したレミはソラを後押しすると共に自分達はいつでもこの場所で帰りを待っているという事も伝えた。

 

ソラはその事を聞いて嬉しそうに頷くとそこにヨヨがソラへ話しかける。何しろ、ソラがこうして自分の事で迷っている間にソラシド市ではプリキュア達が苦しい戦いを強いられている。できる事なら一刻も早く助けに行かないといけない場面であったのだ。

 

「……実は状況は差し迫っているの。あのランボーグやヒューストム達が街で暴れている」

 

「えっ……」

 

「……行ってくれる?」

 

ソラはそれを聞いてユキ達が今現在危険な目に遭っているのだと察すると同時に何故ヨヨ達だけがここに来たのか。その理由も何となく察する事ができた。

 

「……!はい!」

 

ソラはヨヨからの言葉に少しだけ間は空いたものの、それでも今度はハッキリと答えを返した。そしてそれはもうソラの中に戦いに恐怖を感じて躊躇う気持ちが無くなった事を意味する。

 

「わかった。……すぐにトンネルを繋げるわね」

 

それからヨヨは今いる場所からソラシド市へと出られるトンネルを開くとその中に入るように促す。そして、ソラはその中に飛び込む前に……一度止まって自分を見送ってくれる家族の方を振り向いた。

 

「それでは……行ってきます!!」

 

ソラのその言葉に3人は頷くとソラ本人も微笑み、そのままトンネルの中へと突入。青い空間を通りながら彼女は右手にミラージュペンを、左手はスカイトーンを握りつつ胸の辺りに持ってきていた。

 

「(ヒーロー……。今の私が口にできる言葉じゃありません。でも、あなたがそう呼んでくれるのなら……私は……何度でも立ち上がってみせます!)」

 

ソラがそう言うと胸に持っていたスカイトーンの中に再度青い輝きが纏われると先程まで霞んでいたはずの色が復活。前のように鮮やかな色合いが取り戻される。

 

「……ひろがるチェンジ!スカイ!」

 

ソラがそう叫ぶと同時に目の前に出口と思われる穴が生成。そこを通り抜けながら体が光に包まれる事になるのだった。

 

この少し前、場面はソラシド市へと戻る。戦況は先程から引き続きプリキュア側が圧倒的不利なままだった。

 

「ああっ!?」

 

「ぐあっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

「あのさー、さっきから無駄な抵抗ばかりじゃん。もうそろそろ諦めてくれても良いと思うんだけどなぁ?」

 

「「「はぁ……はぁ……はぁ……」」」

 

プリキュアの3人は満身創痍で息を荒げているのに対し、バッタモンダーの方は全くもって疲れている様子は無く。戦力の差は明らかであった。

 

そして、プリキュア側にとって不利な状況はこれだけでは無い。次の瞬間、倒れているプリキュア達の近くに轟音と共に2つの影が叩きつけられる。

 

「あぐうっ!?」

 

「ぐはあっ!?」

 

「ッ……アポロン……」

 

「アルテミスも……」

 

とうとうヒューストムの相手をしていたアポロン、アルテミスの力も底を突いてしまっていた。その証拠に2人共体の痛みでまともに動く事さえできない状態にされてしまっている。

 

「君の方も終わったか」

 

「まだギブアップはしてないけどな?……本当にしぶとい奴等だよ」

 

「まだ……終わってないよ」

 

「「(は)(あん)?」」

 

すると、他のプリキュア達が全員倒れている中でただ1人。プリズムだけは未だに立ちあがろうと足掻いていた。

 

「私達が……頑張らないと……ここで、諦めたらきっと……」

 

プリズムのそんな姿を冷めた目で見るヒューストム。そして、彼は指鉄砲を構えると話しかけた。

 

「良い加減にしろって言ってるだろ。お前達は負けたんだ。見苦しいぞ」

 

ヒューストムがそう言うが、未だにプリズムは動くのを止めようとしない。ヒューストムはそのプリキュアの心の強さに溜め息を吐くとプリキュア側は何を言っても諦めないと判断。手を上に翳した。

 

「こうなったらもうお前達が動く事すらできないくらいに痛めつけるしか無さそうだ。……ただ、お前達が倒れる様をユキやソラに見せつけるためにもせいぜいこれでバラバラにならないでくれよ?」

 

するとヒューストムは上に翳した右腕の所に巨大な暗い緑の竜巻を発生。そして、それを使ってトドメを刺そうとしたのは明らかである。

 

「じゃあな。プリキュア」

 

ヒューストムがその場に倒れている4人と最後まで足掻こうとするプリズムを竜巻に呑み込ませようとした瞬間。

 

「……うん?何だ……あの穴は!?」

 

突如としてヒューストムの顔色が変わるとプリキュア達の少し後ろ、その上空を見る。プリズム達もそれに合わせて振り返るとそこには青く輝く空間の穴が空いていた。そしてその空間はプリズム達にとって見覚えのある物であり、中から飛び出した影を見て驚いたような顔をする。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

穴から飛び出したのはプリズム達がずっと待ち望んでいた存在であり、彼女達にとってのヒーロー……キュアスカイだった。

 

「さぁ、ヒーローの出番です!」

 

こうして、ソラことキュアスカイはこの土壇場で完全復活を遂げる事に。同時に彼女の登場によって戦いの流れも大きく変わるのだった。




また次回もお楽しみに。
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